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苦難揺籃_7-20_??:??:??
チェンとタルラが別れた夜、コシチェイはウェイと対峙する。 そして、摂政王と聴罪師は自分たちの計画について討議を重ねるのだった。
[コシチェイ] この子を返してやってもいいぞ、ウェイ。
[ウェイ] ――!
[ウェイ] やめろ!
[ウェイ] ……手を出すな。
[コシチェイ] おお、忌々しい死の執行人どもよ、全くお前たちには、何度苦汁を舐めさせられたことか。
[コシチェイ] この子を返してやっても構わないが……この子についた「鎖」は、龍門大半の都市を爆破させるものだ。
[ウェイ] 貴様……
[コシチェイ] ウェイよ、これはかつてのお前が私に仕掛けたことと同じものだ。お前が私を龍門から追い出すために取った手段だ。
[コシチェイ] 今、我々の立場は逆転している。私こそが客人で、毒を盛る側だ。
[ウェイ] コシチェイ。貴様が私の兄弟を殺した。
[コシチェイ] いいや、違うな、ウェイよ。お前の兄弟を殺したのはお前自身だ。私が演じた役など、どうでもよかったのだよ。
[コシチェイ] お前の兄弟の悲劇の原因は、一角獣の密命かもしれん。真なる龍の逆鱗かもしれん。だが、情報を漏らしたのが私か否か、そんなことはどうでもいいのだよ。ああ、実にどうでもいい。
[コシチェイ] 重要なのは、ウェイ……ただ一つ重要な点は、お前がその手に握る剣で、自分の兄弟を殺したことだ。そう、お前自身の手で、だ。
[コシチェイ] 赤霄(せきしょう)……この龍殺しの剣の錆と化したのは誰だ? 血の繋がった親族、義によって繋がった親族、最も親しい者たち。
[コシチェイ] 龍殺しの剣? お前たちがこの剣を拵えたのは、同族殺しのために他ならない。
[ウェイ] 喋り過ぎたな。
[コシチェイ] いいだろう、選ばせてやる。
[コシチェイ] 選ぶがいい。私を殺して姪を奪い返し、それと引き換えにこの都市を滅ぼすのか。あるいは、私たちが安全に立ち去ることを許すか。
[ウェイ] …………
[コシチェイ] 剣を抜くとどうなるか、わかっているだろうな。
[ウェイ] (唇を噛み締める)
[コシチェイ] リラックスしたまえ、ウェイ。こうやって選択権まで与えてやっているのだから。だがお前が選ばなければ、私も、お前も、お前の市民たちも、そしてこの可憐な姉妹二人も、みな共に死ぬだけだぞ。
[ウェイ] 何を……企んでいる?
[コシチェイ] ウェイ……ウェイよ、私はお前を知っている。知り尽くしている。
[コシチェイ] お前にはいつも選択権があった、そうだろう?
[コシチェイ] お前の大切な市民たちが、もし自分たちの命が天秤にかけられて、そのもう片方が、名も知れぬ幼き龍だと知れば、彼らはどう思う?
[コシチェイ] そして私には、この子を傷つける必要などないのだよ。
[ウェイ] ……私の油断によって、貴様が再びこの都市に足を踏み入れることを許してしまったが、貴様が出て行くことを許さない理由などどこにもない。
[チェン] タルちゃん!
[コシチェイ] 本当か?
[ウェイ] …………
[ウェイ] いつかこの手で殺す。必ず。
[コシチェイ] いいや、その必要はない。
[コシチェイ] 私は正しき者の手にかかるだろう。
[コシチェイ] そういえば、私がこの子に「鎖」をかける前に、お前にはこの子を助ける機会があったはずだ。
[コシチェイ] それなのに、お前は私の動きを警戒するだけで動かなかったな……私に勝ち、私を倒し、滅ぼすことに頭が一杯で、私が何をしようとしているかを見極めようとしただけだった。
[コシチェイ] ウェイ、お前は本当は私を恐れている、そうだろう?
[タルラ] あの子が来た。
[タルラ] やっと、あの子が来た。
[タルラ] あの子を、その手で殺すのだ……
[???] 聴罪師、答えよ。
[???] レユニオン・ムーブメントのリーダーには、同盟を結ぶ価値があるか否か。
[聴罪師] はっきりと存じておられることを、改めて私めに問う必要がお有りでしょうか、摂政王さま?
[聴罪師] 蓄積も無く、背景も無く、資本すら無い普通の若者が、己の力のみでウルサスの重要都市を落とすなど不可能であります。
[聴罪師] 非感染者である統治者たちには、彼女の行動に隠されたロジックを知ることができません。
[聴罪師] 彼らは過剰に反応し、ただ恐れるばかりか、破壊的な方法によってその局面を打開しようとするのみ……ええ、感染者がもたらす混乱した局面を、ですね。
[聴罪師] ですが、我々サルカズには、盤上の様子とこの先に打たれる手が、この上なくはっきりと見えております。
[摂政王] では、彼女がここに残した部隊について、どう考える?
[聴罪師] 未来がない、と申し上げます。殿下が予見なさった通り、全く未来がない。彼らは正規の軍隊ではありません。そして、我々が必要としているのは十分な数の暴力です。
[摂政王] 彼らを滅ぼしてもタルラの力を削ることはできんな。あやつを消すための材料がない。
[聴罪師] おっしゃる通りです、殿下。
[聴罪師] 彼女がもたらした局面も、彼女がそれの撹乱に要する力も、彼女が只の感染者のリーダー、あるいは、単なる戴冠準備の整った後継者ではないことを証明しています。
[聴罪師] 彼女は策略家です。
[摂政王] それでも私には、全てのサルカズの呼応が必要だ。
[聴罪師] では、二つ朗報が。一つは、「魔王」の調査についてですが、これはすでに目処がついております。
[聴罪師] ロドスの主は、一度も変わっていません。
[摂政王] 間に合わん。今すぐ始めさせねば。
[聴罪師] どうかお怒りにならずに、二つ目の朗報をお聞きください。
[聴罪師] 「彼女」の準備が整いました。
[摂政王] おお、あれこそ我らに在るべき力よ。
[摂政王] サルカズの正当なる王は、凡百の無名な継承者に勝る。
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