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光冠残蝕_10-7_痛みを同じくする_戦闘前
地下拠点内、シージチームが今後の行動方針で口論になる。アーミヤとドクターはクロヴィシアを説得し、ロドスは自救軍と協力関係を結ぶのであった。
貴方の目に映るこの都市の姿を、脳裏に刻み付けて欲しい。
高層ビルを建てる時には、必ず礎となる建物が存在する。真新しいビルの足元で、数えきれないほどの古い建物が塵となるのだ。そうして数百年たまった埃が積み重なって、今日のロンディニウムとなった。
貴方がこの土地を受け継いだなら、美しく見事な毛皮だけではなく、その下に隠された傷跡もすべて引き継ぐことになる。
既に出来上がった街並みの中に新しい建物を作るのはとても大変なことだ。
貴方の眼は何もかもを見通し、この都市の背骨を――すべての根幹をなす支柱を見つけ出さねばいけない。
これが貴方の始点となる。
ヴィーナ、受け継ぐべきものをすべて忘却の淵に追いやったその時こそ、貴方は相応しき継承者となるだろう。
[シージ] ……
[ダグザ] シージ、私の上申をどうか容れてくれまいか。
[ダグザ] 我々はここを離れねばならない。――この暗く気の滅入る地下洞窟から。
[ダグザ] 日の光を避けて潜るのは臆病なハガネガニとムシケラだけだ。敵が地上で野放図に振舞っているのを放って、こんな場所で無為に時を過ごすことはできない。
[インドラ] ……お前のその変な口調は聞き飽きたぜ。
[インドラ] サルカズに反抗するために立ち上がった仲間たちに、気概のねぇ戦士がいるか? もし命を惜しがるような奴らなら、とっくにサルカズの下僕になってるよ。
[ダグザ] 誤解しないでほしい。私は彼らを非難してるわけじゃない。だけど……彼らの能力には限界があるんだ。
[インドラ] 何が限界だ! 今にも死にそうな姿でロンディニウムから逃げ出したお前を救ったのはどこの誰だ、あ? あん時は随分大人しかったじゃねぇか、無理だ限界があるなんてさえずってなかったよな?
[ダグザ] ……あんたと喧嘩はしたくない。
[インドラ] 喧嘩じゃねぇ、俺はお前のその甘ったれが気に食わねぇんだ。
[インドラ] 一年前に出会ったばっかの時に、俺とモーガンで言ったよな。俺たちと一緒にいたいなら、お高くとまってんな、クソの役にも立たない貴族のプライドは駄獣に食わせてこいって。
[モーガン] はーい、一応ここで公平な立場から言わせてもらうと、ダグザちゃんは頑張ってるし、すっごく変わったよ。
[モーガン] 今のこの子を見て、一目で元貴族騎士だって見抜ける人なんていないでしょ。
[ダグザ] うん。私は……あんたたちから色々教わった。もうとっくに自分のことをグラスゴーの一員だと思ってるし、それはあんたたちも知ってるはず。
[ダグザ] でも、ここはロンディニウムで、私たちはこの場所に帰ってきた。グラスゴーであると同時に塔楼騎士の一員であることも忘れられない。
[インドラ] ロンディニウムに戻ったからって何か変わるわけじゃねぇからな?
[インドラ] どんだけの連中が、ヴィーナの動きに注目してると思ってんだ? 今までだって俺たちに安全地帯なんてねぇ。ロンディニウムに帰って来たんなら余計危ねぇよ。
[ダグザ] それについては私たちの意見は一致してる。
[ダグザ] リスクを排除するという観点から、私たちはこの正体不明の武装集団から早々に離れるべきだと考えているんだ。
[モーガン] ダグザちゃんってつまりさ、自救軍がヴィーナに危害を加える心配してるの?
[ダグザ] ここのメンバー構成は……かなり複雑だ。万一何か企んでるような奴がいれば……
[インドラ] なら俺たちはどこに行くべきだと思ってんだよ?
[ダグザ] 信頼できる者が、まだ何人かロンディニウムに残っているのを知ってる。私の母さんの古い友人だ。
[ダグザ] 塔楼騎士が崩壊した時は事態が切迫していたから、その人たちに連絡を取ることができなかったんだ。でも……今は悪くないタイミングだと思ってる。
[インドラ] ……お前それ……俺たちに貴族を頼れって言ってんのか!?
[インドラ] 誰がヴィーナの父親を殺したと思ってやがる。誰のせいでヴィーナが何年もストリートに身を沈めることになったと思ってんだ!
[インドラ] 一体誰が……俺たちの命を狙い続けて、ロンディニウムにいられなくなるまで追い込み、ベアードたちが生きてるか死んでるかもわからない状態にしたと思ってやがる!?
[ダグザ] 当時の貴族たちには……それぞれ考えがあったのかもしれない。でもその後サルカズが来た……
[インドラ] ハッ……俺たちの敵がサルカズだけだと思ってんのか!?
[インドラ] 騎士サマよぉ、よーく耳の穴かっぽじって聞いとけよ。ヴィーナを陰険な貴族どものとこに送り込みてぇなら、まずは俺を殺す覚悟ができてからにしろ!
[モーガン] ……ハンナちゃん!
[モーガン] あんた何したいの? そんな大きな声を出して、ヴィーナが何者であるかみんなに知らせるつもり!?
[インドラ] ……
[ダグザ] ……
[モーガン] 二人とも落ち着きなさい。喧嘩じゃ何も解決できないんだから。特にこういう大事な局面ではね。
[モーガン] 自分たちの言葉がどんな結末をもたらすのかをちゃんと理解できるまで、口は閉じておきなよ。
[モーガン] あんたたちはヴィーナ……
[シージ] ……構わない。
[モーガン] ……ヴィーナ? というか、あんたはどう思ってるの?
[モーガン] 正直、ダグザちゃんの懸念も一理あるんだよ。アーミヤちゃんやドクターと一緒にここまで来たけど……吾輩たちの目的は結局あの子たちとは違うからね。
[モーガン] ドクターたちはこの都市のサルカズを止められればそれでよくて、自救軍と目的は一緒だもの。
[モーガン] でも吾輩たちは……
[シージ] 貴様は、我々の目的は何だと思う?
[モーガン] えっと……
[シージ] モーガン、インドラ。
[シージ] 貴様らはあの時、私をリーダーとして認めた。それは何のためだ?
[モーガン] ……グラスゴーとしてロンディニウムで生きていきたいから。
[モーガン] 当時、吾輩たちはまだガキんちょだったし、面倒事もたくさん起こしてた。吾輩たちを狙うごろつきもいっぱいいたし、ひどい時は悪い警察にもちょっかい出されていた……
[インドラ] ヴィーナ、お前は俺たちの誰よりもすげぇ奴だ。
[インドラ] 拳を振ることしかできない奴は立派なボスなんかじゃねぇと教えてくれた。お前は俺たちを率いて面倒事を追っ払い、そのうえ多くの奴を仲間に引き入れ、グラスゴーを少しずつ強くしていった。
[インドラ] だからこそ、俺は我らの王がすげぇ人だと固く信じてるし、ヴィーナがこれからもっとデッカくなると信じてる……
[シージ] ……いいだろう。どうやら、我々は皆当初の目的を忘れてはいないようだ。
[シージ] 貴様らもあの……自救軍の指揮官の話を聞いたか?
[シージ] あいつらはロンディニウムを救おうとしているらしい。そしてその前に、人を救うと言っている。
[シージ] あいつらの目的は本当に我々と違うのか?
[シージ] 私のハンマーは、この都市のために……ヴィクトリアのために作られた。私の力で一人でもヴィクトリア人を救うことができるなら、この戦場に残らない理由はない。
[ダグザ] ……
[シージ] ダグザ。
[ダグザ] 申し訳が立たない……もうあんな話は二度としない。
[シージ] ……いや。貴様も別に間違っていない。
[ダグザ] え……?
[シージ] 仮に貴様に使命があり、自分の考えがあるなら、私の言うとおりに行動しなくてもいいんだ。
[シージ] 貴様は優秀な騎士だ。だが貴様の肩書は私が授けたわけじゃない。私は貴様が生まれつき忠誠を誓うべき領主でもない。
[シージ] いいや……ダグザ、貴様は自分が本当に忠誠を誓うことができる相手を見つけるべきだ。血に流れる誓いに束縛されるのは貴様に似合わない。貴様はいつだって自由なのだから。
[ダグザ] ……シージ!?
[モーガン] ヴィーナ、それってさすがに……
[インドラ] そうだ、ダグザだって別に……
[シージ] これ以上何も言うな。私の考えはもう理解したな?
[シージ] ダグザ、私は貴様が選択するのを待っている。
[ダグザ] ……
[ダグザ] わかったよ、シージ。
[アーミヤ] クロヴィシア指揮官、我々の協力案について、考えはまとまりましたか?
[クロヴィシア] アーミヤ君……いやアーミヤと呼んでいいか? 私のことも直接クロヴィシアと呼びたまえ。
[アーミヤ] あっ……もちろんです、クロヴィシアさん。
[クロヴィシア] キミとDr.{@nickname}は来訪の理由を説明してくれたわけだが、私の理解が間違っていなければ、ロドスは……感染者問題の解決に尽力する製薬会社ということだね?
[クロヴィシア] 確かにロドスは過去に、いくつかの都市ないしは国に協力してきたと聞いている。また、サルカズのほとんどが感染者であるということも知っている。
[クロヴィシア] しかしアーミヤ、もう一度確認させてほしい。キミたちがロンディニウムに来たのも、同様の理由からなのか?
[クロヴィシア] それとも、ロドスの業務にはサルカズの問題解決も含まれているというのか?
[アーミヤ] ……サルカズは問題ではありません。
[アーミヤ] クロヴィシアさん、私たちの目の前で起きているサルカズとヴィクトリア人の戦争こそが問題なんです。
[アーミヤ] この戦争ではもう十分多くの血が流れています。ヴィクトリア人の血にしろ、サルカズの血にしろ……
[アーミヤ] もし戦争がさらに拡大した場合、次は何が起きるでしょうか? どれだけの人、どれだけの国が巻き込まれることになるでしょう?
[アーミヤ] 惨劇が起きるのを知りながら、手をこまねいているわけにはいかないんです。
[クロヴィシア] アーミヤ、キミの理想は……見上げたものだ。キミは感染者であるから、感染者のために戦いたいのだろう。それについてはよく理解できる……だがキミ自身は、サルカズと何の関係があるんだ?
[アーミヤ] 私は……私の理想はある方から受け継いだものなんです。彼女はサルカズでしたが、コータスである私を、そしてあらゆる人を愛していました。
[アーミヤ] そして私たちロドスは……まさに彼女の思いから生まれました。
[アーミヤ] ロドスは感染者、サルカズ、そして抑圧されている全ての人々のために戦います。なぜなら争いにおいて、このような人々は常に残酷な上位者に使い捨てにされる立場だからです。
[アーミヤ] 高いところに座る方々と取引せざるを得なかったとしても、本当に私たちを必要としている人を忘れることはありません。
[クロヴィシア] 残酷な上位者……か。
[クロヴィシア] わかった。アーミヤ、キミの気持ちは理解できるし、ロドスの理念についても尊重しよう。
[クロヴィシア] だが……我々の立場も理解してもらいたい。ロドスと違って、自救軍の戦士の出身階級は様々であり、皆それぞれに理念がある。だが自救軍の戦う目的は一致しているのだ――
[クロヴィシア] ――我々はロンディニウムを取り戻したい。
[クロヴィシア] ロドスが我々の側につき、裏切ることがないという保証を得られなければ、たとえキミが私を説得できても、私が戦士たちを説得することはできない。
[ドクター選択肢1] 我々は共に立とう。
[クロヴィシア] Dr.{@nickname}……それも一種の承諾になるのか?
[ドクター選択肢1] 君たちが必要としているのは承諾ではない。
[ドクター選択肢2] 君たちが必要としているのはロドスの行動だ。
[クロヴィシア] そうだ、認めよう。見ての通り我々の人的資源は限られている。ロドスのために人を割く余力は自救軍にはない。
[アーミヤ] ロドスが自救軍の足を引っ張ることは絶対にありません。
[クロヴィシア] いいやアーミヤ、誤解しないでくれ。我々はキミたちの力不足を危惧しているのではない――むしろ真逆であるといえる。
[クロヴィシア] キミたちの目標は非常に遠大だ。しかし自救軍は都市の暗がりに隠れ一戦一戦の中でどうにか活路を探している段階だ。
[クロヴィシア] もしロドスの本当の望みが、より大きな戦争であり、今回その舞台が偶然ロンディニウムだったのだとしたら――
[ドクター選択肢1] 君はロドスだけで、都市内にいるサルカズに勝てると思うか?
[ドクター選択肢2] 同じスタートラインにいる者にしか支配権は争えない。
[クロヴィシア] ……
[クロヴィシア] Dr.{@nickname}、キミがこんなに率直な性格をしていたとは少々意外だよ。
[クロヴィシア] つまり現時点のロドスにはサルカズに対抗しうる力はないが――
[クロヴィシア] 機さえ熟せば、あの暴虐な摂政王の権力を奪うことが目的だと認めるんだな?
[ドクター選択肢1] 我々の目の前の目標は君が考えているより明確だ。
[ドクター選択肢2] 我々は中央区に攻め入りたいと思ってくれていい。
[ドクター選択肢3] 協力を願い出る武装勢力を支持することに、損はない。
[アーミヤ] ドクター……コホンッ……
[アーミヤ] (小声)事前と違う話になっていますが……
[ドクター選択肢1] (小声)アーミヤ、彼女は軍事指揮官だ。
[ドクター選択肢1] 政治屋が見るのは賭けの元銭。
[ドクター選択肢2] 商人が嗅ぐのは利益の匂い。
[ドクター選択肢1] そして将軍が必要とするのは、より強大な力だ。
[アーミヤ] これは私たちが協力を求める際にいつも使う手段ではありません……
[アーミヤ] ですが……ドクターの言う通りです。私たちは戦争の終結を願い続けてきましたが、戦いを前に逃げたことはありません。ずっとそうでした。
[アーミヤ] クロヴィシアさん、私たちの目標は明確です。ロドスは自救軍と同じく、サルカズ摂政王の目論見を阻止するその日まで、戦い続けます。
[ドクター選択肢1] ロドスは自救軍に応急薬を提供しよう。
[ドクター選択肢2] クロージャがすでに君たちのエンジニアと協力している。
[ドクター選択肢3] ロドスにはほかにも誠意を示す方法がある。
[ドクター選択肢1] そして次の行動では、ロドスはその力を示そう。
[ドクター選択肢1] クロヴィシア指揮官、これで満足かな?
[クロヴィシア] Dr.{@nickname}、キミとアーミヤは素晴らしいコンビだな。
[クロヴィシア] ……どうやらフェイストの見立ては間違いないな。我々がずっと待ち望んでいた助っ人はキミたちだ。
[アーミヤ] フェイストさんは……
[クロヴィシア] 彼は私と大隊長全員の前で、大見得切ったよ。
[アーミヤ] では先ほどの質問は……
[クロヴィシア] フェイストはまだ若い。立ち上がる勇気があっても、結果を担う準備ができているとは限らない。したがって、こうした責任は私が担うものだ。
[アーミヤ] クロヴィシアさん……あなたも若いですよ。
[クロヴィシア] ハハ、でも私は皆の指揮官だから。アーミヤ、もしキミなら、やはりこうするだろう?
[アーミヤ] はい……あなたの意図はわかります。もう一度きちんと私たちの考えを聞きたかったんですよね。
[クロヴィシア] アーミヤ、気に障ったなら謝ろう……
[アーミヤ] そ、そんな、気に障るだなんて。私もドクターも、素晴らしい仲間と出会えてとても嬉しく思っていますよ。
[ドクター選択肢1] クロヴィシアは優秀な指揮官だ。
[ドクター選択肢2] 自救軍はすごい。
[ドクター選択肢3] フェイストに感謝しよう。
[クロヴィシア] Dr.{@nickname}、フェイストからキミのことは聞いていたけれど、それでも……私の予想を超えていたよ。
[クロヴィシア] 偵察担当の者たちが帰ってきたら、共に作戦計画を立てよう。
[クロヴィシア] 救助作戦についてはロドスのオペレーターは経験豊富なのだろう?
[クロヴィシア] 協力を楽しみにしている。
[ビル] ロックロック、仲間がゴールディングさんからのメッセージを受領した。
[ロックロック] その人に伝えて、もうすぐで着くって。
[ビル] ふぅ……トランスポーターに連絡できればいいんだがな。彼女がいないと、監獄の場所を見つけるのはかなり難しい。
[ロックロック] うん。今回は少しでも進展があってほしいね。
[ビル] そうだ、フェイストと何かあったのか?
[ロックロック] ……何も。
[ビル] よく言う。喧嘩している声が聞こえてたぞ。小隊を組んでからお前たちはいつも良いコンビだったじゃないか。あんな剣幕で言い争うの初めて聞いたぞ。
[ロックロック] フェイストとあたしは気にしてるところが違うの。
[ビル] ちゃんと話もしないでどうして違うってわかるんだよ? もっと早くに昔の話をあいつにしてやるべきだったんだ。あいつはいつも技術研究に夢中だが、話はちゃんと聞くぞ。
[ロックロック] それが君がついてきた理由? 溶接が得意なのは知ってたけど、人間関係の修復にも興味を持つようになったんだ?
[ビル] ハハ、どっちもおんなじくっつける作業だろ? お前たちは優秀な戦士だ、俺はとっくに自分の弟と妹のように思ってるよ。
[ロックロック] ……左! 気を付けて!
[ビル] ふぅ……危なかった。なぜこの通りにこんなに傭兵がいる?
[ロックロック] サルカズがあたしたちを急いで捕らえようとしている。ロック五号は……
[ロックロック] うん、ロック五号が連絡係を見つけた。パン屋の前にいるみたいだから急いで行こう、あたしが傭兵の位置を見ておくよ。
[フェイスト] ビル、この部品をハマーの兄貴に届けてくんない。食糧輸送車を補強する時に使えるはずだからさ。
[???] あっ……うん。
[フェイスト] そっちのレンチ取って。
[???] ......
[フェイスト] あと、フランクの盾だけど、表面のコーティングを再調整しといたから。これで火に耐えられると思う。ただそれでも高温に長時間さらされれば簡単に裂けちまうから、よーく注意しといてくれよ!
[???] うーん……このコーティングの技術ってとっくに時代遅れだよ。
[???] レイジアン工業の最新の調合を試してみたら? あっちはぼったくり価格だけど、あたしたちエンジニア部が廉価版を出してるから、興味があれば割引してあげるよ……
[フェイスト] は?
[フェイスト] 熱っあちちち! あっち!
[クロージャ] あーらら、穴のあいた耐熱手袋をするなんて、君って本当にエンジニア? エンジニアは手が命じゃない!
[フェイスト] 新しい手袋なんてのは高級品だっての。使いたいからじゃ使うか、なんて簡単な話じゃねぇんだよ!
[フェイスト] それに、あんたが急に現れるなんて思いもしなかったんだよ。じゃなきゃ俺の手元が狂うわけないね。
[クロージャ] 目も悪そうだったけどねぇ。そっちもエンジニアに必須な素質十項目の一つなんだけどなー。
[フェイスト] コホンコホンッ、それはビルのせいだろ……
[フェイスト] 普段俺のそばにいるのはあいつくらいだからさ。ったく、どこ行っちまったんだよ。
[クロージャ] あっ、ここに来る時、一小隊が君の副隊長についてどっか行くのを見たよ。
[フェイスト] まじかよ……俺を手伝いに来るって言ってたのに。
[クロージャ] 彼らが心配なの?
[フェイスト] ロックロックの奴、焦りすぎだろ。ロック五号を見る時間もなかったわ。
[フェイスト] 朝のあの戦闘がドローンの性能に影響していないか心配だな……
[クロージャ] あのさ……目の前のことに集中したら? 気が散った状態で作ったもの出して、胸張って問題ないって言える?
[クロージャ] あたしたちはこういうとこでサポートするしかないんだからね。やれることちゃんとやってこそ、みんなが上で安全でいられるんじゃないの?
[フェイスト] ……ハハ、まさかロドスのエンジニアがこんなに人を慰めるのがうまいとはな。
[クロージャ] はぁ……こう見えてあたしはロドス一の心理カウンセラーなんだからね! ケルシーだって……うちのこわーい上司だってストレス発散のためにあたしに本音をぶちまけに来るんだから!
[クロージャ] ま、さっさとレンチ貸しなよ。
[フェイスト] は?
[クロージャ] さっさと仕事に取り掛かりなって! なに、もっとあたしとおしゃべりしないとやる気が出ないとか?
[クロージャ] すぐにもっと厳しい戦いが始まるんだよ。あたしたちエンジニアはみんなの支柱なの! 柱の中の柱なんだから、こんな感傷的になっちゃダメだよ!
[フェイスト] ハ……ハハ、そうだな、仕事仕事っと。
[クロージャ] そうだ、あのドローン……ロック十七号をちょっと見せてよ。姿勢制御モジュールが欠けてたから、壊されたあたしの子から一つ取り外してきたよ。
[フェイスト] え、いいのか? 特許上の問題はないのか?
[クロージャ] シーッ、静かに。Dr.{@nickname}に黙って取ってきたんだから!
[フェイスト] え!?
[クロージャ] 何ぼさっとしてんの。ぼろ儲けしたのがわかってるなら早くレンチ貸して!
[ビル] な……何? ゴールディングさんに会ったのか? 彼女は何と言っていた?
[ビル] ……了解した、この情報はすぐに指揮官に伝えねば。
[ビル] うっ――! て、敵だ! 見付かったぞロックロック、早く逃げるんだ!
[サルカズ傭兵] 隊長に報告してこい、ユーストン通りで反乱軍を発見した!
[サルカズ傭兵] 奴らを捕らえろ!
[ロックロック] 早く行くよ!
[サルカズ傭兵] 何だこれ? ブンブンとうぜぇ……ドローン? そういうことか。今朝、ゲートにいた奴はテメェだったか!
[ロックロック] ロック五号――! どういうこと、攻撃が外れた……!?
[ロックロック] もしかして調整してないせい? さっきも敵が見つからなかった……うっ!
[サルカズ傭兵] フェリーン、いつまでも思い通りに行くと思うなよ。王庭に従う兵士どもは引っかかっても、俺たちはそうはいかねぇぞ。
[ビル] ロックロック、ドローンが壊れたんじゃないのか?
[ロックロック] ……大丈夫、ドローンがなくても、あたしは戦えるよ。
[サルカズ傭兵] チッ……俺に傷をつけるなんてな。根性座ってんじゃねぇか。
[サルカズ傭兵] 隊長にはここで反逆者を始末したって伝えるよ。そうすりゃあの工場で苦しみを味わわずに済むだろう。
[ロックロック] うっ――!
[ビル] ロックロック、お前は早く行け! ここは俺が食い止める!
[ロックロック] ダメ、一緒に行くよ!
[ビル] お前はゴールディングさんの情報を持ち帰るんだ……! 非常に重要な情報だ……あの……あのトランスポーターが……
[ロックロック] ……
[ビル] 絶対に指揮官に……届けろ!
[ロックロック] ビル!
[ビル] 俺は……指揮官を信じている……お前とフェイストのこともだ。
[ビル] よく聞け。もう喧嘩なんかするな。俺たちは……仲間だろ。あの時お前の親父さん……お前の親父さんもこうしてサルカズを食い止めてくれた……そのおかげで俺たちは逃げることができた。
[ロックロック] あたしは……
[ビル] 行け!!!
[サルカズ傭兵] ゴホゴホ……ゴホゴホゴホッ! なんて煙だ……こいつ手榴弾なんて持ってやがったのか?
[サルカズ傭兵] うちの連中も何人かやられたか。随分と舐めた真似してくれたな、生きて帰れると思うな!
[ビル] ……
[サルカズ傭兵] ……隊長?
[ヘドリー] 彼を連れて帰り、他の反乱軍と共に閉じ込めておけ。
[サルカズ傭兵] しかし隊長、こいつは俺たちを爆破するために、自分も重傷を負いました。長くは持ちません。
[ヘドリー] 長生きさせる必要もない。
[サルカズ傭兵] わかりました。将軍のお考えということですね? ならほかの奴は追いますか?
[ヘドリー] 追え。
[ヘドリー] しかし、あまり希望は抱くな。
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