aklib_story_局部壊死_6-12_氷原の雪_戦闘前

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局部壊死_6-12_氷原の雪_戦闘前

ロドスと近衛局が残りのレユニオンを一歩ずつ一掃していく中、スノーデビル小隊はフロストノヴァの安全のために彼女を逃がし、命を犠牲にして強敵である黒装束の部隊に立ち向かった。

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[スノーデビル隊員A] よし、確認完了。連絡がついたレユニオンの部隊はみな撤退できたみたいだ。

[スノーデビル隊員B] 恐ろしいまでの人の量だな。

[スノーデビル隊員A] ひしめき合って……まるで河の流れのようだな。

[ビッグベア] 荒原に河が……避難者たちの河ができるだろう。

[ビッグベア] ウルサス人も、龍門人もいる。感染者もいれば、非感染者もだ。過ぎし日の貧も富も、明くる日には意味を成さない。

[ビッグベア] かつての彼らは、どこかに必ず自分たちを受け入れてくれる場所があると信じていた。しかし今の彼らは、自分たちに帰れる場所などないことを知った。

[ビッグベア] この河は、荒野の中で消え逝くのみだ。

[スノーデビル隊員B] ……。

[スノーデビル隊員B] （悲しい語り口だな。）

[スノーデビル隊員A] （大旦那のマネだろう。）

[スノーデビル隊員B] （それもそうか。こんな時だ、感傷に浸るのも仕方のないことだろうな。）

[スノーデビル隊員A] もし大旦那がここにいれば、俺たちは絶対に勝てた。こんなことにはなってないよな？

[スノーデビル隊員B] 運の良し悪しを持ち出して、別の結果を考えたところでどうにもならないさ。

[スノーデビル隊員B] ……準備しろ。あの狙撃手たちと相談してくる。

[スノーデビル隊員A] 急かすなよ。俺だってわかってる。

[スノーデビル隊員B] 早くしろ、グズグズするな。

[スノーデビル隊員A] 俺だって悲しんでんだよ！

[ブレイズ] あいつら、間違いない？

[オペレーター] はい、スノーデビル小隊です。

[ブレイズ] アーミヤたちは？

[オペレーター] 既に現場へ急行しています。ちなみに、アーミヤさんから「落ち着いて行動してください」と伝えるように言われています。

[ブレイズ] ……。

[ブレイズ] 落ち着いて？ 落ち着きのなさにかけては、私がロドスのナンバーワンだってアーミヤちゃんも知ってるでしょうに。

[オペレーター] ブレイズさん！ どこに行くんですか！

[ブレイズ] もちろん人助けに！

[スノーデビル隊員B] 狙撃手たち！ 少し待ってくれ！

[迷彩狙撃兵] スノーデビルか……待て、何をしているんだ？

[スノーデビル隊員B] ……姐さんの……フロストノヴァの身体は、もう長くは保たない。

[スノーデビル隊員B] 先程の龍門の部隊は撃退したが、力を使い切ってしまったようだ。すぐには目覚めないだろう。

[迷彩狙撃兵] つまり、彼女も連れて行ってほしいと？

[迷彩狙撃兵] だが俺たちは、チェルノボーグに戻る予定はないんだ。ファウストもメフィストをチェルノボーグには連れて行くなと……。

[スノーデビル隊員B] 頼む！ この通りだ！

[スノーデビル隊員B] 俺たちは姐さんに、最期の刻をパトリオットの大旦那と過ごしてほしいんだ！

[スノーデビル隊員B] 今は少し仲違いをしているようだが、俺たちは知ってるんだ……二人の関係は、血の繋がりなんかよりもずっと強いものだと。

[スノーデビル隊員B] だから……どうか頼む。

[迷彩狙撃兵] ……。

[迷彩狙撃兵] お前たちはどうするんだ？

[スノーデビル隊員B] お前たちのしんがりを務める。ここで時間稼ぎをしなければ、すぐに龍門の部隊に追いつかれるだろうからな。

[スノーデビル隊員B] お前たちと他の同胞が遠くまで逃げ延び、龍門の脅威になりえないと判断されれば、もう追われることはない。

[迷彩狙撃兵] だがそれでは、お前たちは……。

[スノーデビル隊員B] まぁ、この戦いに身を投じたときから、いつかは死ぬと覚悟はできていたさ。それがここになるのも悪くない。

[スノーデビル隊員B] 姐さんの言う未来には、まだ少し遠いだろうな。だが俺たちは、必ずしもそれを自分の目で見る必要はないと思っている。

[迷彩狙撃兵] また借りができてしまったな。

[スノーデビル隊員B] 姐さんのことを引き受けてくれたんだ。これぐらい借りでもなんでもないさ。

[迷彩狙撃兵] ……分かった。お前たちの頼みは必ず果たしてみせる。

[スノーデビル隊員B] これを。サポーターと防護服だ、使ってくれ。

[迷彩狙撃兵] これは？

[スノーデビル隊員B] 姐さんの体温が低すぎて、普通じゃ耐えられないだろうからな。

[迷彩狙撃兵] ……彼女は……。

[迷彩狙撃兵] ……こんなにも軽かったのか……。

[スノーデビル隊員B] アーツに身体を空っぽにされてしまったんだ。どうか優しく、優しく持ってあげてほしい……。

[スノーデビル隊員B] 目が覚めてしまわないように。

[スノーデビル隊員B] こんなにも……安らかに眠っているのだから。

[スノーデビル隊員B] さらばだ、姐さん……。

[スノーデビル隊員B] 向こうで待っている。

[迷彩狙撃兵] ……すまない……。

[迷彩狙撃兵] では俺たちは先に……行くぞ。

[スノーデビル隊員] 先にいくのは俺たちさ。

[迷彩狙撃兵] ああ、必ずまた会えるさ、雪の化身たちよ。

[スノーデビル隊員] その日の訪れが、遅くなってくれることを祈る。

[スノーデビル隊員D] ……。

[スノーデビル隊員D] やっぱり、僕たちは死ぬんですか？

[スノーデビル隊員A] ……。

[スノーデビル隊員A] *ウルサススラング*、なんで泣いてんだよ？

[スノーデビル隊員A] それでもスノーデビルの一員か！

[スノーデビル隊員D] あんただって泣いてるでしょう！？

[スノーデビル隊員A] 誰が泣いてるって！ ……あの時、姐さんがなんて言ってたか忘れたか！

[ペトロワ] ああ……姐さんは泣くなと言っていた。

[スノーデビル隊員A] そうだ！ 泣くんじゃない……十数年前のあの時、俺たちはみんな泣くなって言われただろう！ 涙を零すのはまだ早い……まだ敵に打ち勝っていないからだって！

[スノーデビル隊員D] 我々が勝利し、自由になったら……。

[スノーデビル隊員A] 「自由になったら、その時大声で泣けばいい。荒野で、雪原で、高く積もった藁の上で、泣き叫べばいい！」

[ペトロワ] そうだ。姐さんだってそう言いながら泣いてたくせにな。

[スノーデビル隊員A] 確かあの時姐さんはまだ九歳だったよな。俺たちはみんな、ずっと年上だってのに情けないもんさ……。

[ペトロワ] ああ、あの時姐さんがいなければ、皆あの採掘場で死んでいたさ。

[ペトロワ] ところで、持ってきたのか？

[スノーデビル隊員A] 何を……ってアレか。いや、作戦への持ち込みは禁止だったろ？

[ペトロワ] 作戦中に飲むのは禁止というだけだ。だが持ってるんだろう。知っているぞ。

[スノーデビル隊員D] 僕も飲みたいです……。

[スノーデビル隊員A] ダメだ、お前はまだそんな歳じゃないだろう？

[スノーデビル隊員D] で、でもこれまで飲んだことありませんし、味を全然知らないままでなんて……。

[ペトロワ] いいさ、少しだけ飲ませてやれ。

[スノーデビル隊員A] ペトロワ……。

[スノーデビル隊員A] わかった。少しだけだぞ。飲みすぎるなよ、みんなで分けるんだからな。

[スノーデビル隊員A] 兄弟たち、さぁ、コイツを飲んで身体を温めようじゃないか！

[ペトロワ] 姐さんと大旦那に乾杯！

[スノーデビル隊員全員] フロストノヴァとパトリオットに乾杯！

[チェン] あの感染者たちのこと、知ってるのか？

[アーミヤ] はい、チェンさん。

[チェン] だが彼らには、いま引導を渡すしかない。

[アーミヤ] それ以外の選択肢は本当にないのでしょうか？

[チェン] ああ、残念だが他にはない。

[チェン] 君の後方、よく目を凝らしてみろ。今の奴らは、姿を隠すことすらしていない。

[アーミヤ] ……黒装束。

[チェン] そうだ。だからこそ、我々で決着をつける必要がある。

[チェン] これは我々がやらざるを得ないことだ。敵戦力を発見したにもかかわらず手をこまねいていれば、増援が抑えきれなくなったという口実で特殊部隊を呼び込んだ行為に説得力がなくなる。

[チェン] だが、彼らを説得し投降させることはできないだろうか？

[アーミヤ] 彼らは撤退するレユニオンの部隊や退避する感染者の時間稼ぎをしようとしています。目的を達成するまでは、恐らく投降はしないかと………。

[チェン] ……アーミヤ。

[チェン] 君たちが戦いに参加するかどうかは君たち次第だ。強制はしない。

[アーミヤ] 申し訳ありません、チェンさん。ですが……私たちはこの戦いの証人になります。

[アーミヤ] 近衛局が勇敢に戦ったことは、誰にも否定させません。皆さんはいま龍門のために戦い、侵略者を排除しようとしています。

[アーミヤ] これが私たちが皆さんのためにできる、あの特殊部隊に対抗する唯一の方法です。

[アーミヤ] それに私たち自身にも……感染者たちの戦いを、全て記録しておく責任があります。

[アーミヤ] 感染者たちが戦ってきたことを全て。

[チェン] なぁ、アーミヤ。

[アーミヤ] チェンさん？

[チェン] 戦いが終わったら、一緒に食事でもどうだ。

[アーミヤ] で、ですが私は感染者……。

[チェン] 気にするな。あの声のデカい奴も、身体がデカい奴もそんなことは気にしない。

[チェン] この戦いでは……皆が皆、多くのものを失った。

[アーミヤ] 私たちからすれば、あくまで「戦い」ですが……。

[アーミヤ] 龍門にとって、これは紛れもない「戦争」です。

[アーミヤ] 戦争というものは、いつも人々から大切なものを奪っていきます。

[チェン] だがこの全てを画策した張本人は、この場にいない。

[アーミヤ] ……。

[チェン] 一つ、君たちに伝えておきたいことがある——

[チェン] ——だがそれを伝えるのは、今ではない。

[アーミヤ] はい、今は目の前の戦いに集中しましょう。チェンさん。

[アーミヤ] ……。

[アーミヤ] ドクター……。

[ドクター選択肢1] 本当はこの戦いを見たくないのでは？

[アーミヤ] ……はい。

[アーミヤ] 私は……。

[ドクター選択肢1] だが、チェルノボーグの時も……。

[アーミヤ] ……。

[アーミヤ] はい。もう決心しました。

[アーミヤ] 絶対に……この目で見届けたいと思います。

[ドクター選択肢1] ああ、一緒に見届けよう。

[アーミヤ] はい、一緒に。

[スノーデビル隊員D] 姐さんって呼ぶのは……別に年齢は関係なかったんですね？ なんで今まで知らなかったんだろう。

[スノーデビル隊員A] いやいや、お前がそう呼ぶのは当然だろう。年齢で計算するなら当時お前は三歳だからな。

[スノーデビル隊員D] ちぇっ！

[スノーデビル隊員A] オイオイ……ふて腐れるなよ、まさか一口で酔ったのか？ お前が腹が減ったって言えばパンやスープを分けてやったのは誰だったか忘れたのか？

[スノーデビル隊員D] それはそれ、これは……これです！

[ペトロワ] そういえば、急にロドスのことが頭に浮かんできた。こんな時に連中のことを思い出すなんて、なんだか笑えてくるな。

[スノーデビル隊員A] あいつらがどうしたんだ？

[ペトロワ] あの全身から熱気が立ち昇ってたネコ女、覚えてるか。今度一緒に飲もうって言ってた奴だ。

[ペトロワ] 少し残念に思ってな。あれは呑める口のヤツさ。酔って暴れ回ったらきっと面白かっただろうな。

[スノーデビル隊員A] でもあの小さなウサギは、どう考えてもそんな歳じゃないだろ？

[スノーデビル隊員A] 何歳くらいだろうな？ 十六？ 十七？

[ペトロワ] 十四くらいだろう。無理して大人の振るまいをしていたが。

[スノーデビル隊員A] あの時の姐さんと……同じだな。

[スノーデビル隊員A] 最後の一口はあいつらに乾杯してやろう。

[スノーデビル隊員A] 全部うまくいくようにってな！

[ビッグベア] 乾杯！

[スノーデビル隊員D] うぐ、うえっ……乾杯！

[ナイン] ……。

[ナイン] 龍門人の団結力は、本来なら彼ら以上であるべきなのだがな。

[レユニオン構成員] 急ぐぞ、見ててもしょうがない。スノーデビルだって大した時間は稼げない。

[ナイン] 彼らの行動を尊いとは思わないのか？

[レユニオン構成員] ああ、だがもし俺たちがここで死んじまえば、あいつらの尊い行動も無駄になるだろう？

[レユニオン構成員] 狙撃手たちの話では、チェルノボーグにはもう帰れなそうだ。新しい拠点へ向かうことになる。

[ナイン] ……。

[レユニオン構成員] 新しい拠点がどこか、興味ないのか？

[ナイン] どこだって同じだ。ただ共に征くだけだ。

[レユニオン構成員] そうか。あんたたち龍門人も、俺たちと何も変わらないんだな。

[レユニオン構成員] 龍門では感染者も多少はまともな扱いを受けてると思ってたが、まさかウルサスと同じようなことになってるとはな。

[ナイン] 感染者は、所詮どこに行っても同じさ。

[レユニオン構成員] 待てよ、あんたが来たばかりの頃は、そんな風には言ってなかったよな。

[ナイン] 人は変わっていくものさ。

[ブレイズ] あれは？ あれはスノーデビル……？

[ブレイズ] やっぱり！ 間違いない！

[ブレイズ] あいつら……！ 何でそこまで意固地に粘ってんの！

[ブレイズ] クソッ、クソッ！ 死なないで！ 死なないでよ！！

[ブレイズ] 私が行くまで耐えて……！ 私が君たちを助けて、一緒に……一緒に連れて帰るから！

[ブレイズ] どうして君たちみたいな感染者ですら、こんなとこで死ななきゃいけないの！

[近衛局隊員] 特殊部隊が攻撃を止めた？ いや、撤退している……？

[近衛局隊員] どうやら……主導権をこちらに明け渡したようだ。

[近衛局隊員] 龍門の治安維持部隊としての実力を見せろというところか？ *龍門スラング*、甘く見られたものだな！

[近衛局隊員] ……まあいい。

[近衛局隊員] 各位へ、最後の一波だ。攻勢に出る。市民とチェン隊長の期待に応えるぞ。

[近衛局隊員] 奴らに、あのレユニオンに龍門の実力を教えてやるんだ！ いかなる感染者も、二度と龍門を侵略できないように！

[ペトロワ] ふぅ……。

[ペトロワ] 狙撃手たち、失望させてくれるなよ。必ず姐さんを大旦那の元まで連れて行ってくれ。

[ペトロワ] ……もう残された時間は少ない。最後のひと時ぐらいは大旦那と過ごしてくれ、姐さん。

[スノーデビル隊員B] 俺たちにもそれほど時間は残されてないよな？

[ペトロワ] 準備はできたか？

[スノーデビル隊員B] ああ、全て整った。迎えに行こう、俺たちの人生の結末を。

[スノーデビル隊員B] 奴らに見せつけてやる。ウルサスで最も偉大な戦士ボジョカスティに鍛えられ、冷艶な悪夢と恐れられた姐さんが率いたこの部隊が、一体どんなものなのかを！

[ペトロワ] 姐さんが最後に残したアーツを……。

[ペトロワ] 霜凍源石（フロストオリジニウム）、解放準備！

[ペトロワ] ビッグベア！ いくぞ！

[ブレイズ] スノーデビル！！！