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暗黒時代・下_1-1_孤島_戦闘後
ドクターと一行は、アザゼルという診療所の前を通りかかった。 彼らとの過去のやりとりを思い返しつつ、今や誰もいないその建物を目にしたアーミヤは、感染者を取り巻く状況に想いを馳せる。
時刻不明 / 天候不明 / 視界:低
チェルノボーグ 行動隊E0現在地
Dr.{@nickname}救出作戦 第三段階
[医療オペレーター] あっ……!
[医療オペレーター] アーミヤさん、ここって……
[医療オペレーター] もしかして、前に訪れた診療所、でしょうか……?
[アーミヤ] ……ええ……確かに、場所は合っているように思います。
[アーミヤ] ですが……どうしてこんなことに……?
[医療オペレーター] レユニオンに襲撃された、とか……? 中は無人のようですし……
[アーミヤ] ……
[前衛オペレーター] それじゃ……ここが、感染者を診てるとかっていう、例の診療所ですか? 名前は……確か、「アザゼル」でしたっけ。
[アーミヤ] ……はい。
[前衛オペレーター] ……こう言うのもなんですけど、俺、あの人たちにはあまり良い印象がなかったんですよね。チェルノボーグ中の情報に通じているのに、ロドスには協力してくれませんでしたし……
[前衛オペレーター] レユニオンとも繋がりがあるようなないような、微妙な関係みたいでしたから。
[前衛オペレーター] っていうか、せめてあの時、ちょっとしたヒントだけでもくれてたら……
[前衛オペレーター] 俺たちだって、もう少し早く脱出できてたかもしれませんしね。
[前衛オペレーター] ……そう考えると、この結果は自業自得かも、とか思ったりして。
[アーミヤ] ……すべてが自業自得とは、言い切れないと思います。
[前衛オペレーター] ええと……でも、アーミヤさんも、アザゼルとの交渉に参加してましたよね……?
[前衛オペレーター] あの人たちの態度ときたら、傲慢っていうか、無関心っていうか……俺は結構頭にきちゃったんですけど。
[Ace] その態度も含めて、頭ごなしに否定はできないってことさ。
[前衛オペレーター] ……隊長……
[Ace] 感染者として生きてると、なかなか他人を信用できなくなっちまう奴もいるもんだ。
[Ace] そういう連中は、苦労してきた分、頭が固くなってるからな。
[アーミヤ] ええ。彼らはまさに、そういう状態だったんだと思います。これ以上傷つけられまいとして、人と接する時に壁を作ってしまう――その心理は理解できますし、責める気にはなれません。
[アーミヤ] たとえ感染者同士であっても、簡単に信じ合うことはできないと思う人もいるものですから。それに、私たちのようにリスクを負ってでも行動しようと考える人自体、多くはないですし……
[ドクター選択肢1] ……ここに、感染者向けの診療所があったのか?
[アーミヤ] あっ、はい。……いわゆる闇医者というか、無認可の診療所でしたが……彼らは、鉱石病を専門として診ていたんです。
[アーミヤ] というのも、感染者の社会的地位を思えば、鉱石病にかかったことを公にしたくないという人も多くいるものですから。
[アーミヤ] 中には、隔離区画に連行されないよう、感染の事実を隠して街で生活している患者さんもいて……
[アーミヤ] このアザゼルという診療所は、そんな人たちに医療を提供していたんです。
[アーミヤ] ……しかし、ここが襲撃を受けたとなると……恐らく彼らは、レユニオンへの協力を拒んだのでしょうね。
[アーミヤ] ――ドクター。私たちが鉱石病をわずらっている、ということはお話ししたと思いますが……
[アーミヤ] ……この病気は、いずれ命を奪う代わりに、普通の人にはない力を与えるものでもあるんです。
[アーミヤ] たとえば、源石を用いて引き出す力――アーツを行使する際に、通常なら媒介となるアーツユニットが必要になります。けれど私の場合、それがなくてもアーツを操ることができるんです。
[アーミヤ] ……とはいえ、鉱石病によって蝕まれるものは、命だけではありません。これは、私たちの人生そのものを害する病気なんです。
[アーミヤ] 一度感染してしまえば、普通に暮らしていくことさえ許されず……それどころか、社会にすべてを奪われることになりますから。
[アーミヤ] そして、今いるこのチェルノボーグは――感染者から様々なものを奪い去ってきた、「社会」の象徴とも呼べる都市なんです。
[アーミヤ] 感染者を恐れ、差別して、追放や殺害にまで踏み込んでいく……ここでは、そんなことが繰り返されてきました。
[ニアール] ……だが、そうした扱いに耐え、生き延びてきた人々に対して……
[ニアール] 最後に与えられたのがこんな結末だと思うと、やりきれんな。
[アーミヤ] そうですね。……ただ、実情としては、こうしたケースも多いのかもしれません。ロドスのような感染者のための組織に加入する、という選択肢自体、誰しもが得られるものではありませんから……
[アーミヤ] ほとんどの感染者は、そうした機会さえも奪われてしまうのが現状だと思います。
[アーミヤ] そう思うと、この診療所は……きっと、そんな人たちの最後の拠り所だったんですね。
[アーミヤ] ……今の医学では、鉱石病を治すことはできません。感染者たちからすれば、希望のない状況が続いているんです。……皆、いつかは苦痛の中で命を落とすことになる、とわかっていますから。
[アーミヤ] その上……鉱石病患者の遺体は、新しい感染源にすらなってしまいますしね。
[アーミヤ] ――超人的な力を与えられる代わりに、最期には死が待ち受けている危険な伝染病……
[アーミヤ] 人々がそれを恐れるのも、無理はないと思います。
[アーミヤ] ……こうして、色々とお話しはさせて頂きましたが……
[アーミヤ] 私も、この説明だけですべてをわかっていただけるとは、思っていません。
[アーミヤ] ですがいつか、こうした問題が引き起こす結末と向き合った時には……
[アーミヤ] 感染者の境遇を、より現実的なものとして……本当の意味で、理解してもらえると思うんです。
[ドーベルマン] ……感染者を差別しない、ロドスのような組織。そして、非感染者に異常なほど排斥的な姿勢を取る、レユニオンのような組織。両者はいずれも、珍しい部類だと言えるだろう。
[ドーベルマン] ゆえにこそ、アザゼルに対するお前の怒りもよくわかるが、彼らが抱えていただろう苦しみも理解できるんだ。……腑に落ちたか?
[前衛オペレーター] ……なる、ほど……
[前衛オペレーター] 考えてみれば、そうですね……あの人たちだって、巻き込まれただけの被害者ですし……
[ドーベルマン] ああ。……思うところもあるだろうが、それは忘れたほうがいい。もはや、当人たちにぶつけることさえ叶わない怒りだろうからな。
[アーミヤ] ……一つ、考えてみてほしいんです。たとえば、ロドスのみなさんはいい人ばかりですよね。もちろん、時には恐れや反感から、隔たりが生まれることもあるかもしれませんが……
[アーミヤ] ロドスの仲間同士でいる限り、そうした誤解もいつかは解けるはずです。
[アーミヤ] そう思うと、アザゼルもきっと……ロドスと同じように、人と人が繋がりを持ち、支え合う――そんな場所だったんじゃないでしょうか。
[前衛オペレーター] ……アーミヤさん……
[アーミヤ] あくまで、私の想像ですけどね。……さて。では、そろそろ先へ進みましょうか、ドクター。
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