aklib_story_喧騒の掟_CB-7_1108P.M._戦闘前

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喧騒の掟_CB-7_11:08P.M._戦闘前

ガンビーノが裏切り者のカポネに終止符を打とうと決めた矢先、情報網を全面的に拡大したペンギン急便がカポネの本拠地を見つけ出す。いよいよ戦いの火蓋が切られたのだった。

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[マフィア] ボス、ペンギン急便に動きがありました。

[ガンビーノ] ……想定内だ。奴に大した傷を負わせてなかったからな……。

[ガンビーノ] それよりもカポネだ。奴はどうした？

[マフィア] じ、実は一時間前から全く連絡が取れなくなっています。

[ガンビーノ] ……最後の定期連絡はどこだった？ スラムか？

[マフィア] ええ、そうです。

[ガンビーノ] やれやれ、奴には失望したぜ。

[マフィア] と言いますと？

[ガンビーノ] まずは全チームに通達だ。元の計画に沿って、ペンギン急便の奴らを食い止める——

[ガンビーノ] ま、一部の奴らにはもう連絡取れねぇだろうがよ。

[マフィア] それはどういう……あっ。

[マフィア] まさか——カポネさんがファミリーを裏切ったんですか？

[ガンビーノ] ああ、俺にはアイツが考えそうなことなんて全部分かるんだよ。

[ガンビーノ] 俺たちはガキの頃から一緒に育ってきた。自分の手で父親の為に裏切り者をバラしたのが、俺の——俺たちの最初の殺しだ。

[ガンビーノ] だがシラクーザの惨敗は俺たちを変えちまった。俺と奴の唯一の違いは、奴が臆病になり、俺は賢くなったってことだけだ。

[ガンビーノ] 奴はファミリーを売るつもりだ。つまりファミリーの名前を変えるんだな。

[マフィア] なら俺たちはどうすりゃいいんでしょうか？

[ガンビーノ] ……ペンギン急便は想像よりも手強い。敵をあんまりいっぺんに作らない方がいいかもな。

[ガンビーノ] やはり、先に裏切り者を片づけるべきかもしれねぇな。

[マフィアA] こちらは三差路、異常なし。

[マフィアB] わかった。なら予定通りの作戦で行動しろ。

[マフィアA] ちょ、ちょっと待て！ 作戦ってなんだっけ？

[マフィアB] あ？ お前マジで言ってる？

[マフィアA] いやぁ、ちょっと確認するだけだって。龍門はあんまり詳しくないもんでな。

[マフィアB] 安魂祭は0時過ぎから恒例のイベントが始まる。俺らの任務は人々がイベントで街を留守にしている間を狙って、ペンギン急便の連中を倒すことだろうが！

[マフィアA] じゃあボスの——。

[マフィアB] ウルセぇな。あれこれ聞くなよ。これは命令だ。いいから言われた通りにしてりゃあいいんだよ。早くしろ！

[マフィア] ……そういうことだ。

[マフィア] 俺のことは殺さない。約束だろ？

[エクシア] もっちろん。ありがとね、お兄さん。それじゃおやすみ～。

[エクシア] もしもしテキサス、聞こえる～？

[テキサス] こちらの状況と同じだな。奴らはチームを分散させた。

[テキサス] ただリーダー自らが戦闘に参加するからには、必ずもう一人が司令塔になり、部隊の配置を指揮しているはず。

[テキサス] そいつを探し出し、対処すれば全て終わりだな。

[ソラ] もしも～し？ テキサスさん？

[ソラ] 龍門の中心街に到着しました。だけど、本当に人が多いですよ。

[テキサス] 敵の動向に注意しろ。

[ソラ] わかりました～！ 街の仲間たちに監視してもらいますので……。あれっ待ってボス、フロートの上に行くの？ うわ、ちょっと待って——。

[テキサス] ……クロワッサン、バイソン、聞こえるか？

[バイソン] テキサスさんが仰っていた、その司令塔に関して、少し意外な発見がありました。

[クロワッサン] ……バイソンはん、頭低くしぃや。あの箱の後ろに隠れるで。見つからんようにな。

[バイソン] あっ、はい。テキサスさん、また後で報告します。

[マフィアA] 俺ら、これからはどうなる？

[マフィアB] 知らねぇよ。ボス……ガンビーノ・リッチの通信を切ってから、俺らにもう選択肢はねぇんだ。

[マフィアA] はぁ……。

[マフィアB] 何ため息ついてんだ。カポネさんは龍門で俺らのためにここまでしてくれたのに、結果はどうだ？

[マフィアB] ガンビーノの奴、シラクーザから移ってきてからめちゃくちゃなことばかりしやがって、いいことなんて何もしてねぇ。

[マフィアB] カポネさんの計画通りにいけてたら、こんな面倒なことをやらずに済んだろうが。

[マフィアB] もう鼠王と話がついているのに、なんで殺しをしなきゃならないんだよ。ここはシラクーザじゃないんだぜ！

[マフィアA] はぁ、ボス、というか元ボスは、自分の鬱憤を晴らしてるだけなんだろうよ。

[マフィアB] へん、ガキか。

[クロワッサン] （なんや仲間割れしとるみたいやな？）

[バイソン] （みたいですね。これは絶好の機会です。ぼくたち——）

[マフィアA] ！ そこにいるのは誰だ！

[クロワッサン] およ？ この銃声どっからや？

[バイソン] またあのスナイパーか——！ ぼくたちの居場所をバラした！

[マフィアB] ペンギン急便がいたぞ！ 奴らを逃がすな！

[執事] ……バイソン様、申し訳ありません。これも旦那様からのご命令なのです。

[執事] しかしこともあろうにバイソン様を危険に陥れるなんて……。

[執事] この件が落ち着いたら、私は暇を頂くべきですかな。

[執事] はぁ……。

[テキサス] ……向こうはトラブルが発生したようだ。

[テキサス] エクシア、マフィアのルートの確認が終わったら、クロワッサンと合流して。

[エクシア] 了解～。

[テキサス] ソラ、そちらはどうだ？

[ソラ] えっと……。彼らの動向は複雑ですが、二つのチームに分かれて行動しているみたいです。多分、罠かと——

[イース] そんなに複雑なことではありませんよ。敵の内部に問題が発生したようです。これはチャンスです。

[ソラ] きゃっ！ びっくりした！

[テキサス] ……お前、戻ってきていたのか。

[テキサス] なぜ仲間内のチャンネルをハッキングしているんだ。普通に通信をすればいいだろう。

[イース] こうする方が早いので。

[ソラ] ところでキミはいまどこにいるの？

[イース] ザ・サッドカフェですよ。今日は休日であることをつい先ほど思い出してしまってね。本来の業務を取りやめ、こちらのイベントに参加することにしました。

[イース] クロワッサンさんとあの新人くんの座標については、皆さんにはもう送ってありますよ。いや龍門ネットの通信速度は本当に気持ちいい程早いですね。

[テキサス] ……わかった。各自の任務を遂行したら、それぞれ彼らのサポートに向かってくれ。

[テキサス] これは反撃の絶好の機会だ。

[マフィア] カポネさん、ボスがペンギン急便に奇襲を仕掛けた作戦は失敗したようです。

[カポネ] 当たり前だ。あの馬鹿に何ができるんだ。奴のことは放っとけ。

[マフィア] ……本当に良いんですか。

[カポネ] ファミリーに必要なのは生きていくための強固な基盤だ。名前がどうこうなんてどうだっていいんだ。

[カポネ] ところで、まだ鼠王は見つからねぇのか？

[マフィア] まだです。鼠王が残す痕跡が少ないもので……。

[カポネ] 辛抱強くやれ。奴はこの都市の一部、龍門の影のようなもんだ。俺らの時間はもう多くないが。

[マフィア] しかしもし鼠王に気づかれたら、我々は同時に三つもの勢力と対峙することに……。

[カポネ] それは誰にとっても同じことだ。もし劣勢に立たされたなら、俺はむしろこの状況を混沌へと突き落としてやる。

[カポネ] おい、ガンビーノから何か言ってきてるか？

[マフィア] ……。

[カポネ] どうした？ なぜ喋らないんだ？

[ガンビーノ] おいおい水くせぇなお前。俺の声が聞きてぇなら、直接連絡を寄越せばいいじゃねぇかよ？

[カポネ] ……どうやって入ってきたんだ？

[ガンビーノ] どいつもこいつもお前と同じわけじゃねぇってことだ。親父の墓前で立てた誓いの言葉を、何の躊躇もなく踏みにじりやがって。

[カポネ] 誓いの言葉？ ああ、あんなのは単に俺らが同じ道を歩んでいたからだろ。だがな、今は昔と違えんだよ、ガンビーノ。

[ガンビーノ] 今のボスは俺だ。お前には失望させられたよ。だが俺はお前に弁明するチャンスをやりてぇと思ってるんだ、ブラザー。

[カポネ] フン。七年前、先代ボスが暗殺されたとき、俺はお前の指示でこの龍門に飛ばされた。

[カポネ] そう、俺がその指示を飲んだのも、ここでイチからビジネスを開拓して、シラクーザのファミリーの後ろ盾を作るっていう大義があったからだ。

[カポネ] しかし結局お前はシラクーザで失敗して、オメオメとこっちに逃げて来たよな。そして俺が苦労してイチから作り上げた全てを奪いやがった。

[ガンビーノ] 止せよ、お前はこんなちっぽけな利益にこだわるような人間じゃないだろ。そうでなきゃお前はとっくに死んでるさ。

[カポネ] なんとでも言え。俺はな、今になってようやく気付いたんだ。ファミリーで最も勇猛な牙ってやつこそが、最もファミリーに害を及ぼす元凶になってるってことがよ。

[ガンビーノ] それでテメェの牙をへし折って、代わりに首輪でもハメて大人しくしようってのか？ ハッ！

[カポネ] この龍門で、お前にこれ以上好き勝手させてりゃあ、俺たちは遅かれ早かれ時代の波に飲み込まれるんだよ。

[ガンビーノ] へぇ、感動で涙が出そうだぜ。お前がファミリーのためにそこまで深く考えてるとは思わなかったぜ。

[カポネ] お互い様だな。

[ガンビーノ] お前も腕が鈍ったな、カポネよ。

[カポネ] お前がシラクーザで受けた傷もヤバそうだな、ガンビーノよ。

[ガンビーノ] やめろ。お前を殺したくはねぇんだ。

[カポネ] そりゃどうかな。本当はその逆だろ。

[ガンビーノ] ハッ！ 俺のことをよくわかってるじゃねぇか！

[カポネ] なに——。

[クロワッサン] ありゃ？ 壁ブチ抜いて脱出しよ思っとったけど、なんや修羅場にブチ当たってもーたってやつか？

[クロワッサン] まぁええわ。えらいすんまへんな。どうぞお続けください。ウチらが道変えますよって。

[マフィア] 早く追え！ あの二人を逃がすな！

[バイソン] ……これ無理みたいですね。

[ガンビーノ] 丁度いい、役者が揃った。全員まとめて——。

[ガンビーノ] 今度はなんだよ！？

[エクシア] ハローゥ！ 来ちゃったよ！

[テキサス] ……これは。全員揃ったようだな。

[ソラ] うーん、この感じは最終決戦ってやつかな？ ちょっと早くない？

[テキサス] 問題ない。こんな茶番は早く解決するに限るからな。

[テキサス] ボスの命令通り、縛り上げて河に流してやろう。

[カポネ] フッ、混乱すればするほど都合がいいぜ。

[カポネ] どうやら、ここから無事に抜け出せた奴だけが、今夜の勝者になるようだな。