aklib_story_紅炎遣らう落葉_CF-2_盤石の守り_戦闘前

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紅炎遣らう落葉_CF-2_盤石の守り_戦闘前

現状を受け入れてようやく、学者アイルーはリオレウス討伐への助力を決めた。一方で、露華村の村長はヤトウたちの警告を聞き入れる様子はないようだ。ヤトウとノイルホーンは村民に検査を行う中で、この村には何か秘密があるということに気付き、その解明を心に決めた。


[学者アイルー] これは一体どうやって作ったんですかニャ?

[学者アイルー] ゴシャハギの毛のように丈夫でありながら、ナルガクルガの鱗にも匹敵する軽さですニャ……

[学者アイルー] こちらの服はどれも、素材が軽くてなめらかで……柔軟性も抜群ですニャ。

[学者アイルー] しかし、一番不思議なのは、この辺の人たちが皆この素材で作った服を着ていることですニャ。どの服も、裁断は立派な加工屋の仕事さながらですしニャ……

[学者アイルー] それに、この量を作るには同じ素材が大量に必要だと思いますが、モンスターの素材だけでまかなうには多すぎますよニャ……

[鍛冶屋アイルー] 新しい素材、大好きニャ~! 森になら、もっといっぱいありそうだニャ!

[鍛冶屋アイルー] だから、ツノのハンターさんと一緒にリオレウスを討伐するニャ!

[学者アイルー] もう、あなたもちゃんと考えなさいニャ! ここはわたしたちの目指していた大陸とは全然別の場所ですニャよ!

[学者アイルー] 森で狩りをしない村人たちに、モンスターの素材で防具と武器を作ることもしない文化……

[学者アイルー] 彼らが使っているものがどこから来たかもわからない上、村には見たこともない道具がたくさんありますし、もはやどうしたらいいのやら……ニャ~……

[学者アイルー] ヤトウの話では、こちらの人たちの中にも、古龍観測隊のように自然現象を観測する人と、生態学者がいるようですがニャ……

[学者アイルー] 何もかもが違いすぎますニャ!

[鍛冶屋アイルー] 違うかニャ?

[学者アイルー] そうですニャ! だから早く帰る方法を考えましょうニャ! わたしの新大陸最強学者計画には、まだ希望が残っているはずなのですからニャ!

[鍛冶屋アイルー] 両方、新大陸だと思うけどニャ……

[学者アイルー] ……! つまり、ここも新大陸だってことですかニャ? そう考えると、ここはまだほかの調査団が来ていない、前人未踏の地ということに……

[学者アイルー] ハンターも研究者もいなければ、古龍観測隊も来ていない、まったくの新大陸! わたしたちしか知らない場所なんですニャ……!

[学者アイルー] ここで得た見聞や知識を記録して持ち帰れば……元いた場所へと戻る頃には、わたしは一躍大スター学者になれますニャ!

[学者アイルー] そうなれば、本の山に埋もれていた竜人族のご老人たちも、わたしの学識にあっと驚くに違いありませんニャ! わたしはなんて賢いアイルーなんでしょうかニャ!

[鍛冶屋アイルー] ニャ?

[学者アイルー] はっ……いやいや、やっぱりもっとよく考えるべきですニャ。

[学者アイルー] 大体、リオレウスの討伐だなんて……わたしたちはオトモアイルーではないですし、そもそも二人のことは一度助けてあげたはずですからニャ!

[鍛冶屋アイルー] リオレウス、討伐するニャ! ニャ~!

[学者アイルー] ……あなたが行きたいなら止めませんけど、わたしはここから離れませんからニャ……

[好奇心旺盛な子供] わあ、見て見て! この子たち、フェリーンかな?

[年長の子供] こんなにちっちゃいし、きっと違うよ。すっごくふわふわの毛並みだね……かわいい~!

[学者アイルー] ちょっと! 何をするんですニャ!

[好奇心旺盛な子供] わっ、喋った! ほんとにかわいいね!

[好奇心旺盛な子供] そうだ、ちっちゃいフェリーンちゃん、一緒に遊ぼうよ!

[好奇心旺盛な子供] 抱っこしてあげるし、きれいな服にも着替えさせてあげるから!

[好奇心旺盛な子供] 高い高いだってしてあげるよ! ほら、こうやって……

[学者アイルー] おやめなさいニャ、とんがり耳のおちびさんたち! わたしは元王立古生物書士隊の学者であって、あなたたちのおもちゃではありませんニャ!

[年長の子供] あっ、こうすれば頭をなでなでできるね。

[学者アイルー] こら! 勝手に触らないでくださいニャ!

[学者アイルー] すぐにやめ……ニャ……き、気持ちいいですニャ~……

[学者アイルー] って、違いますニャ!

[学者アイルー] 相棒、あなたも戻ってきなさいニャ! 勝手にどこかへ行かないでくださいニャ!

[学者アイルー] こほん、いいですかニャ? わたしは決めましたニャ!

[学者アイルー] 博識なわたしの力を借りて、強大なリオレウスに挑みたいと、あんなにも誠意を込めてお願いしてくれたことですしニャ……

[学者アイルー] 誇り高き元王立古生物書士隊の学者として、救いを求められて拒むなどプライドが許しませんニャ!

[学者アイルー] 出発ですニャ! 今すぐに!

[露華村の村長] ……つまり、こう仰りたいのですか? 家ほどの大きさの怪物が、村近くの森で飛び回っている、と……その上それは爪に毒を持ち、火を噴くことまでできる、というわけですか。

[露華村の村長] ははっ、森とは本当に不思議なものですね。

[ヤトウ] 信じがたい話だとは思うが、この目で確かめた真実なんだ。我々は実際、奴と交戦しているしな。

[ヤトウ] この先、別の危険が起きないとは言えないし……天災と同等の災害と見なすべきだ。すぐにこのことを村中の人に知らせて、避難を始めるよう勧める。事は早いほうがいい。

[露華村の村長] そうですか。……お二人とも遠路はるばるお越しいただいたというのに、危険な目に遭われるとは……さぞお疲れでしょう。

[露華村の村長] 申し遅れましたが、この小さな村の村長を務めております、滝居應(たきい・あたる)と申します。……まあ、村の平穏は私一人の力ではなく、皆の努力の賜物なのですがね。

[滝居應] さて、お客様方。よろしければ、このお茶をぜひご賞味ください。

[滝居應] これは我が村の特産品なんです。頭をすっきりさせてくれますし、疲労回復にも役立ちますよ。

[ノイルホーン] そんじゃ、遠慮なく……

[ヤトウ] 滝居さん、事態は一刻を争うことだ。

[ノイルホーン] ……や、あとでもらおうかな。

[ヤトウ] 村人全員の安全を守るには、迅速な避難活動が最善だ。皆が退避してくれたら、我々も心置きなく対応に専念できるからな。

[滝居應] おや、お若い方はせっかちですね。ですが、それも悪いことではありません。何しろ、早起きの羽獣は得をすると言いますからね。

[滝居應] さあ、お二人ともまずはお掛けください。まだ時間も早いですし、この件についてじっくりお話ししましょう。

[ノイルホーン] ヤトウ、まずは村長の話を聞いてみようぜ。

[ヤトウ] ……もう一度、ご提案について検討してはもらえないか。それと、できれば村周辺への防衛設備の設置許可もいただけると嬉しい。避難の際、不測の事態があった場合に備え、保険として。

[滝居應] ……先ほどもお聞きしましたが、お二人がいらしたのは、確か……ロ……

[ヤトウ] ロドスだ。

[滝居應] そうだ、ロドスでしたね。

[滝居應] そして、あなたがヤトウさんで、そちらの方はノイルホーンさん……と。申し訳ない、年を取るとどうも物覚えが悪く……

[滝居應] 私がロドスへご連絡したのは確か……そう、あなた方が鉱石病対策の専門家だとお伺いしたからなのです。

[滝居應] 近頃、露華村では何人も感染者が出ておりましてね。

[滝居應] 島長、渡沢、千野、そして石取の家でも……あの家の子はまだ幼いというのに、あのような病気にかかってしまうとは、本当にやりきれない思いです。

[ヤトウ] 鉱石病と、関連の問題については、専門家である我々を信じていただけたらと。

[滝居應] もちろん、心強く思っております。私どもとしても、お二人が来てくださったことには感謝しかありません。……ただ、いくつか気になる問題が……

[ヤトウ] というと?

[滝居應] あなた方が森の怪物にこだわる理由は何なのでしょうか?

[滝居應] ロドスは製薬会社だそうですね。

[ヤトウ] ……

[ノイルホーン] 俺から説明させてもらおう。――普通、鉱石病が広がるのには根本的な原因ってのがあるもんだ。だから対策として一番重要なのは、その感染源を取り除くことなのさ。

[ノイルホーン] 実を言うと、俺たちは山での調査で見つけた手がかりから、村に広がる鉱石病はあの怪物と関係している可能性が高いって結論を出したんだ。

[ノイルホーン] まだ決定的な証拠はねえが、事件が起きちまう前に助言をするのも俺たちの仕事の内なのさ。

[滝居應] そういうことでしたか。問題へ丁寧に向き合うその姿勢、さすがは専門家の方ですね。村の若者たちにも、あなた方を見習ってほしいくらいです。

[ヤトウ] では、考え直していただけないか? これは村の人全員の安全に関わる問題なんだ。

[滝居應] ……ならば、お二人に一つ伺ってもよろしいでしょうか?

[ヤトウ] どうぞ。

[滝居應] ありがとうございます。……お茶のお味はいかがですか?

[ヤトウ] 話を逸らさないでもらえると――

[ノイルホーン] うまいよ、それもかなりな。清涼感があるっつーか、さっぱりしててそこらのバーで飲めるもんよりずっといい。

[滝居應] それはよかった。実は、光元家の尊い方々もこの茶葉を気に入ってくださっているのです。

[ヤトウ] 光元家との取引があるのか……

[滝居應] はい。これの原料となる涼花草という植物は非常に繊細でして……蒼暮山地以外では生育しないものなのです。

[滝居應] つまり、涼花草を使った茶葉は、極東全国でもこの村でしか栽培できないものというわけですね。

[滝居應] またこのほかに、露華村の名産品としては手打ちの鉄器や寄せ木細工などもあるのですが、それを作れるのも、この山の上質な鉱石と多種多様な木材のおかげなのです。

[ヤトウ] ……その話をした意図を伺っても?

[滝居應] こちらの事情をお話ししたいと思いましてね。――数年前まで、ここは狩人たちの村でした。皆生きるために狩りをして、その収穫で生きてきたのです。

[滝居應] そうした暮らしは、収穫が多くあれば皆で焚き火を囲み、宴を開くことができますが……収穫のない日には、ただ残りの食料が何日持つかを指折り数えながら、獣害の心配をすることしかできません。

[滝居應] ですが、数年努力した甲斐あって、今では村中の屋根が新しくふきかえられ、村内に街灯を置くこともできるようになり、そして子供たちは毎日温かいシャワーを浴びられるようになったのです。

[滝居應] 私たちはもはや、生きるために山へ入って狩りをする必要も、明日を案じる必要もなくなりました。

[滝居應] ですから、お二人が偶然発見したものを根拠に、故郷を離れろと言われても……我々は困ってしまうというのが本音なのです。

[ヤトウ] 何もここから追い出そうというわけではない。危機が去り、状況さえ落ち着けば戻れるようになるんだ。

[滝居應] それには何日かかりますか? 一日、二日、それとも一ヶ月でしょうか? あるいは一年かかるかもしれませんよね。それに、我々の村が無事で済み、今の生活に必ず戻れるという保証はありますか?

[滝居應] ロドスの方に、そこまで保証することができるのでしょうか?

[ヤトウ] ……申し訳ない。確かに、保証はできかねるのが事実だ。現状の情報だけでは、危険の規模を予測することは難しい。けれど……

[滝居應] そうでしょう。ならば、我々も故郷を離れることはできないというのが結論です。

[ヤトウ] 間違ってる……! 村の人たちの安全を第一に考えてくれ! 脅威から目を背けるな、あの生き物は実在しているんだから!

[滝居應] それはどうでしょうか。

[ヤトウ] ……どういうことだ?

[滝居應] この辺りには、こんな言葉がございます。「秋に胡蝶が踊れども、その羽見れば散り紅葉」……

[滝居應] 森のことなら、我々が誰よりよく知っています。ヤトウさん、あなたがご覧になったのは「紅葉」だったのかもしれませんよ。

[ヤトウ] 何を――

[ノイルホーン] そうだな、わかったよ。

[ヤトウ] ノイルホーン……

[ノイルホーン] そんじゃ、俺たちは村の感染状況を確認して、その結果を見つつ対処方法を考えることにしよう。

[滝居應] 本当にありがとうございます。……時に、対処と言えば……厚かましいとは思うのですが、よろしければもう一つお願いが。

[ノイルホーン] おう、聞くぜ。

[滝居應] 鉱石病の抑制剤を少々分けていただくことはできませんか?

[ノイルホーン] っていうと、理由は……?

[滝居應] 村内の状況は芳しくありません。今回はお二人のお陰で助かりましたが、今後のことを考えますと、備えがあったほうが安心できるように思いまして。

[滝居應] 薬代についてはご心配なく。きちんとお支払いしますので。

[ヤトウ] いいや、その必要はない。我々が感染源を……

[ノイルホーン] ヤトウ。

[滝居應] こんなお願いをするのは、ご迷惑でしょうか?

[ノイルホーン] いや……構わねえさ。すぐにでも渡せるぜ。

[ノイルホーン] っと、そうだ。滝居さん、一つ聞き忘れてたんだが……この村は昔狩りの収穫で生活してたんだよな? そんなら、今も狩人がいたりしないのか?

[滝居應] 狩りをする必要がなくなりましたので、狩人もおりません。

[ノイルホーン] そうか。村に入った時、狩人名乗ってる爺さんと会ってさ。確か柏生とかいう名前の……心当たりねえかな?

[滝居應] ははは……名乗るだけなら私にもできますよ。

[滝居應] あの人ももう随分なご年齢ですし、山に入っては樹木を相手に素振りの練習をしているような肩書きだけの狩人です。

[滝居應] ただ……これだけはお伝えしておきましょう。お二人はあの人に近付かないほうがいいと思いますよ。トラブルに巻き込まれるかもしれませんし。

[ノイルホーン] あの爺さん、家族もいねえみたいだが、昔になんかあったのか?

[滝居應] 面白いことに興味をお持ちになりますね。単にあの人が偏屈なだけですよ。ああいう変わり者はどこの村にもいるものです。おかしなことでもありません。

[滝居應] さて、そろそろ時間も時間ですし、今日はここまでにしましょう。お二人がこの田舎村で楽しいひとときを過ごせますように。

[ノイルホーン] 色々手間かけて悪かった。そんじゃあな。

[滝居應] ……村長ではなく私個人として、お二人に一つご忠告を。

[滝居應] 熟練の狩人なら誰もが知る道理として……森の中では、好奇心が強い獣ほど罠にかかりやすいものです。

[滝居應] くれぐれも、それをお忘れなく。

[ヤトウ] 私の見通しが甘かった。村人を避難させることがここまで難しいとは……

[ヤトウ] 証拠が足りない状況で、ただ危険だから故郷を離れろというのは確かに賢明ではなかったな。

[ノイルホーン] いやあ、俺としてはなんとなく……証拠が十分揃ってても、村長は俺たちを信じてくれなかったんじゃないかって気がするんだよな。

[ヤトウ] 確かに。彼は意図的に私たちをリオレウスから遠ざけようとしているようだしな。情報収集を嫌がっているような節も見受けられた。

[ヤトウ] 私を止めたのも、あの態度を見てのことか?

[ノイルホーン] ああ。薬がほしい理由も変だったし……なんか隠してそうだから、とりあえず薬を渡してしばらく様子を見たほうがいいと思うんだ。

[ノイルホーン] ……村長が最後に言ったこと……あれは忠告っつーか警告かもな。

[ヤトウ] だとしても構わない。

[ヤトウ] 村の人々にどんな態度を取られようと、我々の目的はただ一つ――この脅威から彼らを守り抜くことだ。

[ヤトウ] 何があっても、必ず解決の糸口を探し出してみせる。

[ノイルホーン] ……うん。

[ヤトウ] それにしても、お前こそ細かいことをあれこれ気にしすぎだぞ、ノイルホーン。

[ノイルホーン] 俺はただ、柏生の爺さんが相当変な態度だったから気になっただけで……

[ヤトウ] お前が心配していることも理解はできるが、我々が考えることではないだろう。

[ヤトウ] 余計なことまで気を配るのはよせ。

冷たい秋の山林の夜。

風が、温もりの残る身体を吹き抜けて。

噛み潰され、噛み千切られ、引き裂かれ、咀嚼され。

耐えがたいほどの――

痛みが走る。

痛みが……

[???] 奴らを殺せ!

[柏生義稜] っ……!

[柏生義稜] チッ……夢か。

[柏生義稜] また、夢にお前が出てきた……

[和也] おじいちゃーん、いる~?

[柏生義稜] おう、入れ。

[和也] おはよう! おにぎりとたけのこの煮物を持ってきたよ。机の上に置いとくね。

[和也] 町のほうから送られてきた弁当もあるから温めて食べて……あれ、今から出かけるの?

[柏生義稜] ああ。山へ行ってくる。

[和也] そ、それって……お兄さんたちが言ってた、すっごく大きくて、空を飛べる怪物を狩りに行くの?

[柏生義稜] ただの狩りだ。いつもと変わらんさ。

[和也] えっと……あのね、ぼく……この日のために、ずっと準備してきたから……すっごく強い怪物が出た今こそ、ぼくが本物の狩人になるべき時だと思うんだ。

[和也] 見て、おじいちゃん。これ、ぼくの弓なんだ。登山用の皮靴とナイフもあるよ。それに、ぼくとっても健康だし、手の力だって鍛えてるんだ。

[和也] だから、その……狩りについていってもいい?

[柏生義稜] ダメだ。

[和也] そう言わずに、お願い……! ぼく、絶対役に立つから!

[和也] おじいちゃんの矛を預かったり、罠を仕掛けたり、毛皮を運んだりもできるよ……!

[柏生義稜] お前はまだ小さいし、狩りの経験もない。足手まといだ。

[和也] 小さくないもん! 昔だったら、ぼくくらいの歳の子はみんな山で狩りをしてたんでしょ? おじいちゃんなら、そんなこと知ってるはずじゃない!

[和也] おじいちゃんの言いつけは絶対守るから……! 迷惑かけたりしないから……!

[柏生義稜] ……もう言うな。

[和也] ぐすっ……だって……だってみんな、狩人なんかもういないって言うんだよ……!

[和也] 狩人はみんなのために、森で獣を倒してくれる人たちなのに……おじいちゃんみたいな、村で一番の英雄なのに!

[和也] ずっとみんなを守ってきたのはおじいちゃんなのに、みんなはどうして、あんなひどいことばっかり言うの……?

[和也] おじいちゃんは狩人なんかじゃないとか、山に行ったら骨も残らず獣に食われるに決まってるとか……!

[柏生義稜] そんなふうに言っていたのか……

[柏生義稜] だが、森は……日増しに危険になってきている。

[柏生義稜] あれはもう、人が踏み入れるべき場所じゃないんだ。

[和也] おじいちゃん……嘘つきなのはみんなだよね? おじいちゃんは狩人だもんね……?

[柏生義稜] 俺は……

[柏生義稜] あの怪物を仕留めて必ず帰る。俺を信じろ。

[柏生義稜] わかったら、もう泣くんじゃない。

[柏生義稜] ……坊主、俺は信じてるんだ。お前なら、いつか必ず本物の狩人になれるってな。

[柏生義稜] だから、お互い信じているとしよう。これは俺とお前の約束だ。いいな?

[和也] うん……! 約束する……!

[柏生義稜] ……? なんだ? 村の連中が出てきているな……

[ヤトウ] 手を挙げて。そう、そのまま。

[ヤトウ] 怖がらなくていい。少し見せてくれ。

[ヤトウ] よし、いい子だ。

[ヤトウ] では、次。

年老いた狩人はしばし立ち留まる。そして、身を翻そうとした瞬間――

若きオペレーターが偶然そちらを見やり、二人の視線が一瞬だけ交差した。

[柏生義稜] ふん……

[おとなしい村人] 私の身体、大丈夫なんでしょうか? 最近、よく頭痛がして……

[ヤトウ] 大丈夫。今のところ、大きな問題はなさそうだ。

[ヤトウ] この鎮痛剤を持って行ってくれ。激しい痛みがある時は、一錠だけ服用するように。痛みがなければ、常用する必要はない。

[おとなしい村人] ありがとうございます……!

[ノイルホーン] ヤトウ、ちょっと来てくれ。造影検査の結果が出た。

[ヤトウ] わかった。――失礼、少し待っていてもらえるか。戻ったら注意事項をお伝えしよう。

[ノイルホーン] ……見えるか? これ。

[ヤトウ] そんなはずが……

[ヤトウ] ……いや、わかった。

[ヤトウ] お待たせして申し訳ない。悪いが、もう一つ聞かせてもらえないだろうか。

[ヤトウ] 検査の結果を見たところ、少し気になる兆候がある。最近、変わったものに接触しなかったか、あるいは、普段行かない場所に行かなかったかを教えてほしいんだ。

[おとなしい村人] えっ! き、危険な状態だとか……?

[ヤトウ] 今はまだ間に合う段階だが、このまま活性源石との接触が続けば鉱石病になりかねない。そうなってしまえば、訪れる結果は筆舌に尽くしがたいものだ。

[ヤトウ] 最近と言わず、もっと前のことでもいい。思い出してくれないか。特に源石関係の心当たりがあれば。

[おとなしい村人] 活性源石って……そんな……あの人たちの言う通り、入る前にちゃんと防護したはずなのに……

[ヤトウ] 入る前……? それはどこにだ?

[厳かな村人] 成松さん、軽率な発言は慎んでください。先生を誤解させかねませんから。

[おとなしい村人] ……!

[おとなしい村人] わ、私はただの鍛冶屋ですから、源石に関わることなんてありませんよ! きっと何かの間違いではないかと……!

[厳かな村人] この人の言う通り、村の人はごく普通の生活をしておりますので、先生が心配なさるような状況に置かれることはないと思いますよ。

[ヤトウ] ……わかった。では、皆よく聞いてくれ! 今後は活性源石が存在しうる場所には近付かないように! それと、出所のわからないものに触れることもしないでくれ!

[ヤトウ] 今のが最後の一人か。一通り検査は終わったな。

[ノイルホーン] お疲れさん。何か新しい情報は?

[ヤトウ] なかった。皆「ずっと村に居た」と言い張るか、口を閉じて何も言わないかのどちらかだ。

[ヤトウ] 症状が悪化した場合のことを話して、協力への理解を得ようとしてみたが、それも失敗した。行動範囲の話題であるとか、症状以外の話になると彼らは途端に警戒してしまう。

[ヤトウ] 結局、鉱石病の感染者は数名に留まっていたし、その数名にも処置は行ったとはいえ……鉱石病が村に及ぼしている影響を軽視することはできないな。

[ヤトウ] さっきお前が見せてくれた検査結果だが……今来た全員、ああいう状況だったのか?

[ノイルホーン] ああ。

[ヤトウ] ……

[ヤトウ] 感染が最近のことでないのなら、原因はどこにあるんだ……?

[ノイルホーン] 造影検査の結果を見るに、この辺の住民たちは数年前から活性源石の影響を受けてると考えるのが妥当だ。

[ノイルホーン] それでも、その影響が弱かったから、明らかな症状が出なかったんだろう。現に感染者は数人で済んでるわけだしな。

[ノイルホーン] ここからは俺の推測だが――多分、村人たちが接触したのは濃度の低い源石粒子で、接触時間も限られてたんじゃねえかと思う。

[ヤトウ] ふむ。リオレウスの爪痕から検出した粒子と濃度は同じくらいか?

[ノイルホーン] いや……爪痕に残ってたやつは濃度が高かったんだ。あれだけで鉱石病を引き起こしてもおかしくないくらいにな。感染者になった数人は森に行ったことを認めてたし、手がかりはそこにありそうだ。

[ヤトウ] (深呼吸をする)

[ヤトウ] この近辺は長く源石の影響を受けていたが、ある日突然、爆発的にその影響が表面化した。そう仮定すると、やはり一つの可能性に行き当たる。

[ヤトウ] 爪痕の源石粒子にしろ、彼らの源石接触にしろ……原因は同じ場所にあるように思う。

[ノイルホーン] 同感だ。可能性は高そうだな。

[厳かな村人] お二人とも、こんにちは。

[ヤトウ] あなたは、先ほどの……

[厳かな村人] 失礼、自己紹介がまだでしたね。私は利藤裕(りとう・ひろし)と申します。先祖代々、この露華村に住んでおります。

[ヤトウ] よろしく。それで、用向きは?

[利藤裕] 患者にしていた質問に割り込んだことを、お詫びしたいと思いまして……私はただ、彼が人々の前で間違ったことを言ってしまえば、彼自身のことに影響するのではと心配だっただけなのです。

[ヤトウ] 彼自身のことに……? どういう意味なんだ?

[利藤裕] それが……この村の人の多くは、とある事件のせいで、皆口封じをされているような状況でして……

[焦燥する村人] ――あ、あの! お二人はお医者様ですか!?

[ヤトウ] いや……我々には、鉱石病の検査くらいしかできないんだが。

[利藤裕] そんなに慌てて、何かあったんですか?

[利藤裕] あっ、まさか……

[焦燥する村人] お願いします! 石取さんの子を助けてください!

[焦燥する村人] あ、ええと、石取さんとは家が隣同士で……! とにかく、あの子が大変なんです……ずっと血を吐いていて……!

[ヤトウ] それはまずいな。

[ヤトウ] すぐに向かおう。

[利藤裕] わ、私もお供します!

[ヤトウ] ――ガイド管を。

[ヤトウ] 次は鉗子だ、早く!

[ヤトウ] ガーゼをくれ!

[感染者の子供] こほっ……けほ、ごほっ……

[ヤトウ] ふう……なんとかなったな。似たような経験があったことが功を奏したようだ。

[ノイルホーン] あったな、そんなこと。あの時は確か、お前が自分で……

[ヤトウ] 余計なことを言うな。それより、あの子に抑制剤を投与してくれ。

[焦燥する村人] 先生……この子は大丈夫なんでしょうか?

[ヤトウ] 危険な状態は脱した。

[ヤトウ] 肺から出血している状態でおかしな姿勢で休んでいたことに起因して血の塊が詰まり、気管が塞がれていたようだ。……座った状態で休ませるようにしてくれ。

[焦燥する村人] そうですか……た、助かってよかった……

[ヤトウ] 気を抜くのは早い。まだ予断を許さない状況だからな。

[ヤトウ] この子の感染状況は村の誰より重篤だ。抑制剤の投与が間に合ったことは不幸中の幸いと言えるだろう。

[ヤトウ] だが、それでも症状を遅らせることしかできないし、今後も継続的に治療しなくてはならない。ロドスに連れて行く必要すらあるかもしれないな。

[ヤトウ] ここまでひどい状態だとは……この子の感染経路に心当たりは?

[焦燥する村人] わ、わかりません。何もないと思うんですが……

[ヤトウ] ないわけがないだろう。この子の家族は?

[焦燥する村人] 何も……何も知りません……!

[ヤトウ] あなたたちは一体何を隠しているんだ?

[感染者の子供] ……う……父、ちゃん……

[感染者の子供] っ……父ちゃんは……絶対、嘘をついたり……しない……

[感染者の子供] ……怪物が……おっきな、怪物が……

[ヤトウ] ――!

[ヤトウ] 怪物というのは?

[焦燥する村人] い、言わないで!

[ノイルホーン] うおっと! 今は近付くなって!

[ヤトウ] ノイルホーン、その人を止めてくれ。

[感染者の子供] のど……かわい、た……みず……

[ヤトウ] ここにあるから――気を付けて、ゆっくり飲むといい。

[感染者の子供] (水を飲む)……

[ヤトウ] 怖がらなくていい。君を助けにきたんだ。

[ヤトウ] ……君の家族はどうした?

[感染者の子供] 父ちゃん……洞窟から、帰ってきて……すぐ、村長さんに……連れてかれ、ちゃった……

[ヤトウ] 洞窟?

[焦燥する村人] そ、外の人に言ったりしたら……!

[ヤトウ] 黙っていてくれ! この子の命より大切なものがあるのか!?

[感染者の子供] けほっ……

[感染者の子供] ……父ちゃんは、毎朝……洞窟に、行って……夜遅くに……帰ってくるん、だ。

[感染者の子供] でも、おととい……ごほっ……洞、窟から……すごく、大きな音が……聞こえて……

[感染者の子供] 村長、さんが……誰か、見てこないとって、言うから……父ちゃんが洞窟に……でも、帰ってきたら、すぐ……熱が出て……身体に、石が生えてきて……

[ヤトウ] そこまで急速に進行したのか……

[ノイルホーン] 聞いてる限り、多分活性源石に直接晒されたんだろうな。その親父さんの身体が汚染されてたせいで、この子の状態まで悪化しちまったわけか。

[感染者の子供] 父ちゃんが、洞窟には、怪物がいるから……危ないって言ってた……だけど、村長さんは……そんなの嘘だ、って……だからみんな、信じてくれ、なくて……父ちゃんは、連れてかれて……

[感染者の子供] だけど……父ちゃんは絶対、嘘なんかつかない……絶対、だよ……

[ヤトウ] 話してくれてありがとう。……君の言う通り、お父さんは嘘なんてついていない。怪物は本当にいるんだ。私たちも、この目で見ているしな。

[感染者の子供] ほん、と……?

[ヤトウ] ああ。だが安心してくれ。私たちはとっても強いんだ。あんな怪物くらいすぐに倒して、村の人たちを守ってみせるさ。

[感染者の子供] お姉さんが……倒して、くれるの……? 村のみんなを、守ってくれる……?

[ヤトウ] 勿論だ。約束する。ロドス行動隊A4の隊長として、このヤトウがあなたの依頼を受けよう。

[ヤトウ] 私は、約束を破ったりはしない。

[感染者の子供] あり、がとう……

[ヤトウ] どういたしまして。……さあ、君はゆっくり休んでいるといい。

[ヤトウ] ノイルホーン、退いてくれ。

[焦燥する村人] ……!

[ヤトウ] この子がどんな顔をしていたか、見ただろう?

[ヤトウ] このままでは、感染者が増える一方だ。原因を取り除かないと、いずれあなたたち全員が鉱石病になり、あの子と同じ――あるいはより重篤な症状に見舞われることになる。

[ヤトウ] 次はあなたの番かもしれないと、本当に理解しているのか!?

[ヤトウ] 教えてくれ! あなたたちが隠そうとしている事実を!

[焦燥する村人] ごめんなさい……ごめんなさい……! 何も、何も知らないんです……!

[ヤトウ] ……

[利藤裕] 皆、色々と事情があるのです。どうか許してやってください。代わりに、私がお話ししますから。

[利藤裕] あなたは先に戻ってください。私からお伝えしておきますよ。

[焦燥する村人] ありがとうございます……

[ヤトウ] ようやく話す気になったのか。

[利藤裕] ……あの子が言っていた洞窟というのは、村の裏山にあります。村長が管理しているそこで、多くの村人が働いているのです。

[ヤトウ] その洞窟には何がある?

[利藤裕] 私はその仕事に関わったことがありませんので、わかりません。たとえ知っていたとしても、何も言えないと思います。

[ヤトウ] 口封じというのは、村長がしているのか?

[利藤裕] 私からは何とも申し上げられません。

[ヤトウ] ……この子の看病は頼んだ。村長のところへ行ってくる。

[利藤裕] お待ちください。本当に向かわれるおつもりですか?

[ヤトウ] すぐにも解決しなければ、状況はさらに悪化していくんだぞ!

[利藤裕] 直接訪ねていっても、真相を掴むことはできないと思いますよ。何一つ問題は解決しないまま、適当にごまかされて終わりでしょう。

[ノイルホーン] ヤトウ、この人の言う通りじゃねえかな。

[利藤裕] 実は……

[利藤裕] 洞窟の位置なら知っています。よろしければお教えしましょうか。

[ノイルホーン] さっき教えてもらった場所を中心として、周りは全部調べてみたが……この辺はほとんど建物がないし、地形も複雑だな。一見して疑わしいところはない。とはいえ――

[ノイルホーン] 見ろ。あそこに二人、村人がいるよな。ぱっと見は裏山で気分転換してるだけって感じだが……

[ノイルホーン] 視線を追うと、向こうの建物を意識してるように見えるぜ。

[ヤトウ] では、あの二人は任せろ。寝かせておくから、お前が様子を見てきてくれ。

[ノイルホーン] 待て待て、誤解だったらどうすんだ?

[ノイルホーン] 無関係な二人をのしちまったなんてことになりゃ、村から叩き出されるぞ。

[学者アイルー] 話は聞かせてもらいましたニャ! お喜びなさい、相棒に考えがあるそうですニャ!

[ノイルホーン] ――!

[ノイルホーン] お前ら、一体どこから来たんだ? 急に出てくるから、ちっと驚いたじゃねえか。

[学者アイルー] あなたたちのリオレウス討伐に助太刀してあげるべく、駆けつけたのですニャ。せいぜい感謝してくださいニャ!

[ノイルホーン] はいはい。そんで、お前らが村人たちを建物から引き離してくれんのか?

[学者アイルー] わたしではなく、相棒がそう言ってただけですがニャ。

[ノイルホーン] だとさ。こいつらに任せて、俺たちは裏から潜入するとしようか。

[学者アイルー] ちょ、ちょっと……本当にこれで作り方合ってますかニャ?

[学者アイルー] それにこの食材も、一体どこから調達したんですかニャ?

[鍛冶屋アイルー] 刻んで刻んで、まぜまぜするニャ! 誰もこの誘惑には抗えないはずだニャ!

[学者アイルー] ああもう、何なんですかニャ、この状況は!

[学者アイルー] 元王立古生物書士隊の学者にして、新大陸随一の研究者となる予定のわたしが……

[学者アイルー] 料理人の真似事をするなんてニャ!

[鍛冶屋アイルー] ここで裏返して……焼けたニャ! 完成だニャ~!

[お腹を空かせた村人] そろそろ夕飯の時間かなあ。

[逞しい村人] 何言ってんだ、まだ太陽も沈んでねえぞ。

[お腹を空かせた村人] 今日は朝も昼も食べそびれたし、おやつも何にも食べてないんだよ……

[お腹を空かせた村人] あのよそ者たちが来たせいで村長に見張りを押しつけられて、ずっと待ちぼうけ……もう限界だ。

[お腹を空かせた村人] 腹減ったなあ……

[逞しい村人] そうボヤくなよ、俺だって腹ぺこなんだから。

[お腹を空かせた村人] そもそも、あの二人本当にこんなとこ来るのか? 村のみんなの検査をしてるって話だったろう。

[逞しい村人] 村長の命令なんだから、黙って見張ってりゃいいんだよ。

[逞しい村人] あの小娘の時みたいになりたかないだろ? お陰で村は大騒ぎだったじゃねえか。

[お腹を空かせた村人] わかった、わかった……我慢するよ。

[お腹を空かせた村人] ……待った、何か良い匂いがしないか?

[逞しい村人] 良い匂い? 一体何の……あっ!

[お腹を空かせた村人] 肉の焼ける匂いだ! 焼き加減が絶妙で、溶けた脂が野菜の上で踊り出すようなやつ! それに、焼いた果物の甘い香りまで……!

[逞しい村人] ごくっ……

[逞しい村人] やめろやめろ、俺まで我慢できなくなる……

[お腹を空かせた村人] この匂い、あっちからだ! 誰かが差し入れを持ってきてくれたのかもしれないし、行ってみよう。

[逞しい村人] 一人で行ってこいよ。俺はここで待ってるから……

[お腹を空かせた村人] そう言わず、一緒に行こう。な、お前だって腹ぺこなんだろ?

[逞しい村人] ……ちょっと見に行くだけだからな。

[学者アイルー] ニャーニャー! アイルーお手製、栄養満点のお料理で、つらい夜にもスタミナ注入してあげますニャ!

[学者アイルー] お二人とも、ご飯はいかがですかニャ?

[逞しい村人] ! お前……!

[お腹を空かせた村人] あっ! こいつら――

[学者アイルー] 相棒、出番ですニャ!

[ノイルホーン] こっちだ! ちゃんと構えてるから、降りてこい。

[ノイルホーン] できれば着地は優しめに――うわっ!

[ヤトウ] ここが、あの子の言っていた洞窟か……?

[ノイルホーン] 壁に掘削の痕が残ってる。自然にできたもんじゃなさそうだな。

[ヤトウ] 地面にレールがあるな……この真新しい痕跡を見るに、最近まで使われていたようだ。

[ノイルホーン] 俺たちが入ってきた時、入口は閉じられてたよな。ただ、外から入らせないために閉じたっていうよりは、中にいる何かを食い止めるために閉じられてたって感じに見えた。

[ノイルホーン] あの子供の話と合わせて考えると、この数日で何か異変が起きたんだろうが……その先に、リオレウスとの繋がりが見えてくるのかねえ。

[ヤトウ] 奥に進めばわかるさ。

[ノイルホーン] 前のほうにあるのは……

[ヤトウ] 待て――動くな!

[ノイルホーン] 俺が見てくるよ。

[ヤトウ] 気を付けてな。

[ノイルホーン] ……大丈夫だ。生き物じゃない。

[ノイルホーン] 焦げた服が落ちてる……身体に燃え移る前に脱いだって感じだな。

[ヤトウ] 向こうにもあるぞ。

[ノイルホーン] ヘルメットにサーチライト……あの子の親父さんの物かもな。

[ヤトウ] 目の前に通風口があるな。恐らく、持ち物を捨ててここから逃げようとしたのだろうが……うまくはいかなかった、ということか……

[ノイルホーン] 何とか逃げようとしてたんだな……

[ヤトウ] ……この大きさの洞窟なら、リオレウスでも入れるだろう。この人が遭遇したのは、恐らく……

[ヤトウ] ノイルホーン、この衣服も源石粒子の確認を行おう。

[ノイルホーン] 結果が出たぜ。これも源石粒子の反応ありだ。濃度は森の爪痕に近いが、こっちのほうがちょっと高いな。

[ノイルホーン] ……なあヤトウ、なんか変なにおいがしねえか?

[ヤトウ] 血のにおいだな。前方からだ。

[ノイルホーン] 了解。確認してくる。

[ノイルホーン] これは……肉の塊か?

[ヤトウ] すべて肉獣のものか。並の量ではないし、どれも新鮮に見えるな。私たちがここへ来る少し前に置かれたんだろう。

[ヤトウ] 人為的に運ばれてきた物のようだが、なぜここに……

[ノイルホーン] 何かをおびき寄せるために置いたみたいだな。――ってことは……

[ヤトウ] リオレウスを呼び込むつもりか!

[鍛冶屋アイルー] ニャー!

[ノイルホーン] おわああっ!?

[学者アイルー] ニャアア~ッ!?

[学者アイルー] いきなり大声出さないでくださいニャ!

[ノイルホーン] お前らが音も立てずにいきなり出てくるからだろうが!

[ノイルホーン] うわっ、なんだ……? 急に良い匂いが……

[学者アイルー] 見張りの引き離しクエストを完璧に達成した結果、思いのほかご飯がたくさん余っちゃったんですニャ。

[鍛冶屋アイルー] ハンマーでえいってしといたニャ!

[ノイルホーン] おいおい、結局殴ったのかよ……大体、「ご飯が余った」ってどういうことだ?

[学者アイルー] 細かいことは気にしないでくださいニャ! とにかく、どんどん進みましょうニャ!

[ノイルホーン] ちょっと待ってな、まだいくつか調査が残ってるんだ。

[鍛冶屋アイルー] でも、もうじき追いつかれちゃうニャ。

[ノイルホーン] 追いつかれるって、何にだ?

[鍛冶屋アイルー] 村の人たちだニャ。

[ノイルホーン] どうしてそんなことになってんだよ!

[学者アイルー] 他人の所有地に忍び込む時は、捕まる覚悟もすべきなのですニャ!

[学者アイルー] 仮に相棒があの人たちのキッチンから食材を盗んでいなくても、このことは絶対バレてたと思いますしニャ。

[ノイルホーン] なに訳わかんねえこと言ってんだ……

[ヤトウ] ――全員、静かに。

[ヤトウ] 耳を澄ませてみろ。

[学者アイルー] どんどん音が近付いてますニャ!

[学者アイルー] 早く行かないと追いつかれちゃいますニャ!

[ノイルホーン] いいや……この音は……

[ノイルホーン] 洞窟の奥から聞こえるぞ。

[ヤトウ] 感染生物か!

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