aklib_story_シラクザーノ_IS-1_静かなる雨_戦闘後

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シラクザーノ_IS-1_静かなる雨_戦闘後

稽古をしていたソラは、ある奇妙な見物客に出会った。ウォルシーニが次第に殺伐としていく中、マフィアたちの間でパーティーが開かれようとしている。


[ソラ] あなたはあの人をわかってないだけ。私はちゃんと理解してるわ。

[エクシア] 自分の「理解」を過信しすぎているのではないか? 我々は、感情や衝動がもたらす錯覚に容易く欺かれてしまうものだ。

[ソラ] サルヴァトーレには……彼には、クルビアの路地裏を出る資格があるのよ。

[エクシア] 妹よ、奴はシラクーザ人だ。お前は奴のやり方をわかっていない。あの男が本当に、我々が財を成す助けになると思っているのか?

[エクシア] 奴は自ら身を滅ぼすに違いない。我々もろともな。

[ソラ] 彼は拳を以て身を守り、秩序を以て拳を戒めることができるのに、まだ足りないって言うの?

[エクシア] ロマンに踊らされた物言いはよせ。

[ソラ] 違うわ、兄さん。ほかのシラクーザ人は、血の跡や傷を勲章として誇るけれど――

[ソラ] 流されるそれは所詮血なのだとわかっているのは彼だけよ。

[エクシア] ソラ、あたしの演技どうだった?

[ソラ] 正直な感想でいい?

[エクシア] うん、もちろん!

[ソラ] もうぜ~んぜんダメ! エクシアにはやっぱり向いてないよ!

[エクシア] え~? 結構感情込められたと思ったんだけどな~。

[ソラ] 演技はただ感情を込めればいいっていうものじゃないからね。

[ソラ] でも読み合わせに限って言えば、悪くなかったよ! 読み間違えもほとんどなかったし。

[エクシア] そんなにハードル低かったの!?

[ソラ] あはは……クロワッサンはどう思った?

[クロワッサン] サイコーやったと思うで!

[クロワッサン] せやけど、兄ちゃんに不満を訴えるっちゅーさっきのシーンは、もうちょい感情を抑えたほうがええんちゃう?

[ソラ] うーん、それなら別の表現もありか……あとで試してみるね。

[エクシア] わーお! クロワッサン、キミいつから演技に明るくなったわけ?

[クロワッサン] 毎週ソラの撮影現場に行っとるんやから甘く見んといてや。ウチは一日中影も形も見えへんくらい大忙しのお二人さんとはちゃうからな。

[エクシア] ふーんだ、あたしは誰かさんと違って、何も言わずにいなくなったりしないもーん。

[クロワッサン] ちょいちょい、そんなつもりじゃ……

[エクシア] あ、でもそれって、今回もあいつはちゃんと見つかるってことでもあるよね?

[クロワッサン] そーゆーこっちゃ。

[???] 実に個性が生かされた演技でした。

[ソラ] えっ……?

[ソラ] あの、どちら様でしょうか……?

[???] 私はベントネキシジオスと申します。

[エクシア] えーっと、ベントネ……なにさん?

[ベン] よければ、ベンとお呼びください。

[エクシア] オッケー、ベンさんね!

[ソラ] すみません、ベンさん。稽古中なので、ご用事がないようならご退出いただいてもいいでしょうか……?

[ベン] 用ならばありますよ。今まさに観劇中です。

[ソラ] 歩きながらピッツァを食べてる人が観劇中とは思えないんですが……

[ベン] 鑑賞の際はピッツァを食べるな、というルールがあるとでも?

[エクシア] んー、劇場にはそういうルールがあると思うけど。

[ベン] それはあくまで劇場のルールであり、オペラそのもののルールではありません。

[ベン] 規範があれば、人々は物事に対して同様の敬意を払っているように見え、そこには偽りの高台が築かれることになりますが、一方で真の敬意を払うことは難しくなるものです。

[エクシア] んえ?

[ベン] あなたも食べますか、お嬢さん。

[エクシア] もっちろん!

[エクシア] うっわー、口当たり最悪!

[ベン] 道端で買える一番安いピッツァですからね。とはいえ、ソースの味に限って言えばなかなかですよ。

[ソラ] ……ところで、さっきの稽古を見てらしたんですよね。あたしの演技はどうでしたか?

[ベン] 気にかかる点が一つありました。感情を捉えそれを表現するのが得意なあなたのやり方では、オペラのスタイルには合わないという部分です。

[ベン] あなたはステージ慣れしていますが、慣れすぎているというべきかもしれません。かえってそれがオペラ女優としてステージに立つことを難しくしていますから。

[ベン] これはあなたのせいではありませんが、あなたが乗り越えるべき課題なのです。

[エクシア] わあ~、おじさんすごいね! まさかそんなに詳しいなんて!

[ベン] ――想像してみてください。あなたはクルビアの大商人の娘。そして彼、サルヴァトーレは、シラクーザから来た放浪者です。

[ベン] 彼はこれまで会ったどんな男とも違って、あなたの身分には興味がなく、あなた自身を大層気にかけてくれています。

[ベン] サルヴァトーレは誰よりも怠け者ですが、誰よりも賢い男です。

[ベン] いずれはファミリーのドンになる運命にあるようで、後戻りできない危険な道へと歩んでいます。

[ベン] では教えてください、お嬢さん。それでも彼を愛していますか?

[ソラ] 私は……彼を、愛して……

[ベン] いいえ、恐れているはずです! 彼を愛すれば愛するほどに、彼が恐ろしくなるのです!

[ベン] あなたには彼を繋ぎ止める自信がない……

[ベン] 直感は「逃げるべきだ」と、「彼は決してあなたのものではない」と告げています。

[ソラ] ……

[ベン] ゆえにあなたは、幾度も己に言い聞かせるのです。彼は自分の人生においては行きずりの人であり、彼を逃してもさらに良い人がいくらでも見つかるはずだ、と。

[ベン] 彼に追いついてしまえば、己の人生が砂塵の中の陸船の如く先の見えないものになることを、あなたは知っているのです。

[ベン] あなたには、自分の決断の正誤すらもわかりません。

[ベン] それでも、自らの肉親に向けて叫ぶのです――

[ソラ] 「流されるそれは所詮血なのだとわかっているのは彼だけよ!」

[クロワッサン] うわ~お。

[エクシア] おお~!

[ソラ] こういう、気持ちだったんだ……

[ベン] お嬢さんは、その気持ちをよく知っているようですね。

[ソラ] あたしは……

[ソラ] エクシア、もう一回お願い!

[エクシア] 先にお水飲ませてよ~!

[クロワッサン] あははっ、ソラがこうなったらもう逃げられへんで。

[クロワッサン] ウチは飲み物と、ついでになんか食べ物買うてくるわ。

[クロワッサン] ベンはん、よかったら――

[クロワッサン] ってあれ、どこ行ったんや?

[通報者] やっと来てくれたんですね……! 警官さん、こっちです!

[ラヴィニア] 警官ではなく、ウォルシーニの都市裁判官です。ラヴィニアとお呼びください。

[ラヴィニア] それと、失礼ながら。シラクーザに警察はいませんよ。

[通報者] えっ……警察がいない……?

[ラヴィニア] 外国の方ですよね? この場所では、彼らが街の治安を維持しているんです。

[通報者] 彼らと言いますと……? シラクーザにはビジネスで来たんですがこの土地のことはまだよくわからなくて……

[ラヴィニア] あのマフィアたちのことですよ。あまり関わり合いにならないようお勧めします。

[通報者] わ……わかりました。

[ラヴィニア] それで、現場はどちらですか?

[通報者] あ……あそこです、ゴミ箱のうしろ……

[ラヴィニア] ……

[ラヴィニア] 人数は五人……死んでからまだ一日経っていませんね。服装を見るにマフィアだと思います。

[ラヴィニア] あら、この人たち……

[通報者] どうされたんですか?

[ラヴィニア] ……今朝見かけた人たちなんです。

[ラヴィニア] ある役人を襲撃したあと、私を見て逃げていったのですが……

[ラヴィニア] それがなぜここに……? リーダー格の姿もないようですし……

[通報者] し……シラクーザは危険な場所だと聞いていましたが、そこまでとは……

[ラヴィニア] いえ……仮にファミリー間の衝突なら、現場を綺麗に片づけていくはず。

[ラヴィニア] これはイレギュラーな状況です。

[ラヴィニア] あなたの安全のためにも、どうか何事もなかったように行動してください。

[ラヴィニア] ここは私に任せて。

[通報者] わ、わかりました!

[通報者] くっそぉ……こんな場所、今日中に出てやりたいな……!

[ラヴィニア] ……

[???] よう、ラヴィニアさん。あんたのほうから連絡してくるとはな。

[ラヴィニア] ディミトリ、聞きたいことがあるの。最近街に派手な仕事をする殺し屋はいる?

[ディミトリ] んー、そうだな……この時期に好き放題やろうとする奴はいないと思うが。

[ラヴィニア] ……ここひと月の犯罪関係の報告を全部顔に投げつけてあげましょうか?

[ディミトリ] 多分、そのほとんどはちょっとした誤解だと思うぜ。

[ラヴィニア] オルヴィエート街道の路地裏で五人の死体を見つけたの。現場は片付けられていなかったから、どこかのファミリーの仕業ではないと思ってね。

[ラヴィニア] しかも今朝がた、私はその人たちがある役人を襲撃したのをこの目で見てるのよ。

[ディミトリ] へえ、そいつは面白いな。

[ラヴィニア] あなたたちの権力闘争には興味ないけど、秩序の存在は忘れないでほしいわね。

[ディミトリ] なにもこの時期に限らなくても、ウォルシーニにはベッローネが腰を据えていて、あんたみたいなルールに厳しい裁判官までいるんだぞ。

[ディミトリ] そんな真似すりゃベッローネに喧嘩売ることになるんだし、わざわざそんなことする奴は誰もいないさ。

[ディミトリ] ただ――

[ラヴィニア] クルビア人なら話は違う、と言いたいの?

[ディミトリ] 俺たちの決めたルールを気にしないような奴だったら、誰でもそうする可能性はあるだろうな。

[ラヴィニア] ……そう。何かわかったら連絡して。

[ディミトリ] 俺にそんな義務ないと思うがね、ラヴィニア裁判官。

[ラヴィニア] その発言も「ベッローネに喧嘩を売る」ことになるんじゃない?

[ディミトリ] はいはい、レオンに伝えとくよ。あいつなら気にする余裕があるかもしれないしな。

[ラヴィニア] ……

[ラヴィニア] 政府の役人をターゲットにした襲撃事件と、突然現れた殺し屋……

[ラヴィニア] この二つは、本当に関係しているのかしら……

湿った空気が吹き込んでくる。

裁判所に帰る道すがら、ラヴィニアの頭の中では最近の事件一つ一つが駆け巡っていた。

このすべてを暗雲の如く覆うものは何なのか、彼女にはよくわかっていた。だが、この地の人々はそれにすっかり慣れきっており、彼女自身もまたそうだった。

裁判所の入口まで来たラヴィニアは、自分の車を見て、ため息をつくしかなくなった。

彼女の車にはペンキがぶちまけられ、周囲の車から浮いている。

それは単純な悪意によるものだった。

以前の彼女なら途方に暮れていたところだが、今ではこの降り続く霧雨のほうが悩ましいくらいだ。

当然、洗車代も悩ましいが……

[ラヴィニア] あっ、ごめんなさい。

[ラップランド] 気を付けてね、裁判官さん。

[ラップランド] 雨はまだ続くだろうし、足元に気を付けないと転んじゃうよ。

[ラヴィニア] ……ご忠告ありがとうございます。ですが、あなたも傘を持っていないですよね。

[ラップランド] 傘を差すのは嫌なんだ。身体が雨に打たれる感覚が好きでね。

[ラヴィニア] そうですか。では、そちらも足元にお気をつけて。

[ラップランド] ……

[カポネ] なんで挑発してたんだ?

[ラップランド] どうしてそう思ったの? まさかボクのことを理解したつもり?

[カポネ] ……聞かなかったことにしてくれ。

[ラップランド] 確かに、挑発してたのは事実だけどね。

[カポネ] ……

[ラップランド] あの人からは馴染み深くて嫌いなにおいがしたんだよ。

[カポネ] そうかい、まあ好きにしろよ。しかし、あんたの言う通りベッローネに潜り込んだはいいが、今考えてみりゃこんなんはベッローネに疑われるだけじゃないのか?

[ラップランド] ボクはこの都市で今起きていることを、そしてベッローネがテキサスを連れ戻した理由を知りたかっただけさ。

[ラップランド] そういえば、キミたちは今後どうするつもりなの? 底辺の殺し屋から始めてコツコツ登り詰め、ベッローネの凄腕用心棒でも目指すのかな?

[カポネ] ガンビーノの奴はそう考えてるだろうな。

[ラップランド] 効率悪すぎだよ。

[ラップランド] キミたちには交渉材料が必要でしょ?

[ラップランド] それで、ガンビーノは?

[カポネ] ……例の仲介人に取り入りに行ったよ。

[ラップランド] アハッ、ご覧よ。どうすればシラクーザでのし上がれるかについては君より彼のほうが上手みたいじゃないか。

[カポネ] 否定はしない。

[カポネ] 龍門で長いこと過ごしたってのに、シラクーザがこんなに変わってないとは思わなくてな。完全に出鼻をくじかれたよ。

[ラップランド] 大丈夫、すぐ慣れてくるよ。ガンビーノみたいにね。

[ラップランド] だって、キミはシラクーザ人だもの。

[カポネ] あんた、あいつがシラクーザで成り上がろうとするのを本気で止めないつもりなのか?

[ラップランド] 止める理由なんかないでしょ? キミもそうしていいんだよ。ボクは絶対キミたちの邪魔なんてしないから、気にせず気楽にやればいい。

[カポネ] ……あんたの考えはつくづくわからん。

[ラップランド] ボクは雨期を楽しんでるだけさ。キミ、雨は嫌い?

[カポネ] さあな。ガンビーノの奴は雨を死ぬほど嫌ってるみたいだが。

[カポネ] それよか、あんたが仕入れた情報は?

[ラップランド] 知りたいの?

[カポネ] わかったっての……どうすりゃ教えてもらえるんだ?

[ラップランド] キミはラッキーだね。ちょうど運転手がほしいと思ってたんだ。

[カポネ] ……はぁ……

[ディミトリ] どうぞ、噂の犯人さん。

[ガンビーノ] 生きて帰ったぞ、クソバーテン。

[ディミトリ] 悪くない腕前だ。あんたにしろ、八年前龍門に行ったお友達のカポネにしろ、まだまだって感じだが。

[ガンビーノ] 偉そうに抜かしやがって、ガキが!

[ディミトリ] 噂通り、あんたは固執すべきものとそうじゃないものの区別がついてないみたいだな。

[ディミトリ] 最後のシチリア人はそうしてミズ・シチリアの庇護を失ったってのに……

[ディミトリ] 今のシチリア人ときたら、自分のちっぽけな名誉を守ること以外なにもできやしないとは。

[ガンビーノ] ……

[ディミトリ] いいか、ガンビーノ。あんたとカポネが何をしにシラクーザへ戻ってきたかにも、あんたらの後ろにいるのが誰なのかってことにも、俺は興味ない。

[ディミトリ] 求めるのは能力と行動だけだ。

[ガンビーノ] なら、俺たちの行動ってのはどうだったんだよ。

[ディミトリ] あんたらはシラクーザの人間じゃないが、度胸はあると見える。こいつはなかなかいいことだ。

[ディミトリ] そこでこうしよう。あんたらは俺のために働く。俺はあんたらに報酬を払う。いい働きをすればその報酬も上がる。簡単な話だよな。

[ディミトリ] ベッローネに会いたいんだろ? 俺を満足させてくれたらあの人に会わせてやるよ。

[ガンビーノ] ハッ、言ったな。後悔するほど満足させてやるぜ。

[ディミトリ] シチリア人のそういう骨のあるところは嫌いじゃない。

[ディミトリ] 最近のシラクーザにはどうも、そういうものが欠けてるしな。

[ディミトリ] だから試してみるといい。

[ディミトリ] 時が来ればわかるさ。俺は後悔なんかしないってことがな。

もうすぐパーティーが始まろうというその時、ある人影が会場の入口で待ち構えていた。

[???] ベアートさん、ようこそ。

[傲慢な役人] おや、あなたは――

[???] ルビオです。先週のパーティーでもお会いしましたよね。

[傲慢な役人] そうだそうだ、思い出しましたよ。ルビオさんでしたね。いや申し訳ない、物覚えが悪いもので。

[傲慢な役人] しかし、あなたが居るのなら今夜の料理にはかなり期待が持てそうですね。

[ルビオ] いやいや、恐縮です。大切なお客様をお迎えするために精一杯準備したのは確かですが。

[傲慢な役人] それは楽しみです。

[権力に媚びる役人] あっ、ベアートさん! こちらです!

[傲慢な役人] ああ。――では、失礼しますね。

[権力に媚びる役人] 今の人はどなたですか?

[傲慢な役人] 食品安全保証部長のルビオだよ。

[権力に媚びる役人] えっ? あの見た目で……部長なんですか? ただの門番か何かだと思って、来た時無視しちゃいましたよ。

[傲慢な役人] 構わないさ。相手にするほどの価値はない、ただの小物だからな。

[権力に媚びる役人] と仰いますと……

[傲慢な役人] あいつはマフィアと無関係な出身なんだ。だから、たとえ一生かけて頑張っても、あんなぱっとしないところの部長にしかなれないのさ。

[傲慢な役人] まあ、部長になってからそこら中のファミリーに媚びまくったおかげで、多少の成果は出て――

[傲慢な役人] 今じゃ食品安全保証部は、ウォルシーニ中のパーティーすべてに料理を提供するくらいにはなったがな。

[傲慢な役人] それに、あいつはメンツも気にせずよくああやって入口に立って、賓客を自分で出迎えてるんだ。

[権力に媚びる役人] なるほど……その面の皮の厚さには学ぶべきところがありますね。

[ルビオ] ……

[???] ようルビオ、おめでとさん。

[ルビオ] おや……何のことでしょう?

[???] 今夜のパーティーには、ベッローネの若旦那でカラチのお気に入り――あのレオントゥッツォが来るらしいって聞いたぜ。

[???] あいつはこれまで、この手のパーティーには来なかったよな。

[???] あんたにとっちゃ出世の大チャンスじゃねえの?

[ルビオ] ……はは、どうやら数日前にお送りしたステーキにはご満足いただけたようですね、ウォラックさん。

[ルビオ] でなければ、そんな冗談を言うためにわざわざお電話くださったりはしないでしょう。

[ウォラック] ハハハッ。

[ウォラック] こっちもこっちで前とは訳が違うんだよ。俺はこの街のロッサティを率いるリーダーみたいなもんで、多少偉くなったように見えるかもしれねえが、実際は結構ルールに縛られてるんだ。

[ウォラック] たとえば今、あんたと親しくしとかないとなんねえ、とかな。

[ルビオ] それはなんとも、有り難い限りです。

[ウォラック] ま、みんな家族みたいに仲良くやってけるならそれもいいことだ。お互い助け合って、何かあれば話し合いで解決していけるしな。

[ウォラック] 俺たちだって四六時中殺し合いたいわけじゃねえ。どれも必要に迫られてのことなんだよ、わかるだろ?

[ルビオ] そうでしょうとも。ウォラックさんの日頃のご苦労が偲ばれます。

[ウォラック] ――たとえば、運輸部長はベッローネの人間だ。普段は俺を避けてるし、こっちもあいつをどうにもできない。

[ウォラック] だが、商務部長は賢い奴で、俺の良き友人だ。ロッサティはあいつを全面的に支持している。

[ウォラック] そして今夜のパーティーの主催者――建設部長のカラチ。奴は掴み所のねえ男だ。ベッローネのガキをそばに置いてるが、奴自身は誰とでもうまく付き合ってやがる。

[ウォラック] で、ルビオ。食品の安全ってのも実に重要なことだからな……あんたが賢い奴であることを願ってるぜ。

[ルビオ] もちろん、ご期待にお応えしますとも。

[ルビオ] おっと、お客様がいらしたのでそろそろ失礼しますね。

[ウォラック] ああ。

[テキサス] ……

[レオントゥッツォ] テキサスさんの強さは知っているが、生憎俺は暴力を行使するのが好きじゃない。

[レオントゥッツォ] あんなものは一番効率の悪いやり方だ。

[レオントゥッツォ] だから、何回か暗殺任務をこなせば帰れると思っているのなら、あんたを失望させることになる。

[テキサス] ……何をすればいいかだけ教えてくれ。

[レオントゥッツォ] 新しい移動都市区画の建設を担当している、ベッローネ側の人間――ウォルシーニ建設部長のカラチ。

[レオントゥッツォ] 彼を守ってもらいたい。

[テキサス] 政府の役人をか?

[レオントゥッツォ] 言いたいことはわかる。

[レオントゥッツォ] 「政府というのは、グレイホールの円卓に敷かれたテーブルクロスのようなもの。」

[レオントゥッツォ] マフィアなら誰だって、ミズ・シチリアのこの言葉を覚えている。

[レオントゥッツォ] かつては俺たちも、その上に置かれた食器や花瓶なんてものに目を配らずにいたものだが……

[レオントゥッツォ] 今やそれは重視すべきものになった。

[レオントゥッツォ] クルビア人が持ち込んだものの中で俺を一番不安にさせるのは、奴らの持ち帰った技術ではなく、奴らのやり方でな。

[レオントゥッツォ] あれはシラクーザとはまるで違っている……

[レオントゥッツォ] 奴らは、シラクーザの役人が古参のファミリーに逆らえないということを知っている。だから、表立ったやり方で自分たちに服従させようとはしない。

[レオントゥッツォ] 単にその時々、目を瞑ってもらったり、便宜を図ってもらったりすればそれでいいというやり口だ。

[レオントゥッツォ] それに対して、俺たちに何ができると思う? ――役人たちを始末するか? そんなのは何の解決にもならないだろう。

[レオントゥッツォ] クルビア人のほうをつついてみるか? 奴らはそれでぼろを出すほどバカじゃない。

[レオントゥッツォ] つまり、俺たちにいくら影響力があろうとも、奴らをどうにかすることはできないんだ。

[レオントゥッツォ] だが思うに、龍門で何年か暮らしてたあんたになら、この手のやり方にも馴染みがあるんじゃないか?

[テキサス] ……龍門に戻ってきたかとすら思った。

[レオントゥッツォ] そうか。――だが、シラクーザには、クルビア人のやり方がどれほど大きな影響を及ぼすかをわかっている奴はほとんどいない。

[レオントゥッツォ] 実のところ俺は、このやり方のロジックを理解したその時――

[レオントゥッツォ] 感心したんだ。

[レオントゥッツォ] 奴らは暴力と争いではなく、利益と交渉術を武器にしている。

[テキサス] それでお前も同じやり方を学んだというわけか。

[レオントゥッツォ] 学んだ? いいや、違うな……俺のほうが奴らより上手くやれるくらいさ。

[レオントゥッツォ] 件のカラチは俺の手札なんだ。

[レオントゥッツォ] 近頃市内で起きている役人の暗殺事件を踏まえ……首謀者はまだわからないが、とにかくカラチの安全を確保する必要がある。

[レオントゥッツォ] あいつは面白い人間で、車嫌いで歩くのが好きなんだ。密かに護衛がついてはいるが、正直俺としては安心できなくてな。

[レオントゥッツォ] 話はもう通してあるから、あいつをパーティーに連れて行ってくれないか。

[テキサス] ……

[テキサス] (対象は前方の通りを通過中……物陰から彼を守るマフィアも七名以上はいるようだな。)

[テキサス] (問題はなさそうだが……)

[テキサス] (ッ!?)

[ラップランド] ほらね、やっぱり良いことが起きた。

[ラップランド] ミルフィーユでもどうだい? テキサス。

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