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理想都市-エンドレスカーニバル-_IC-7_生きる道_戦闘後
スディチをドームに向き合わせ、未練を残させないために、彼の友人たちは懸命に奔走する。
[放送] ゼルウェルツァ市民の皆さんにお知らせです。
[放送] エッジ先生による観測結果が出ました。
[放送] 活性源石鉱脈は、およそ二十五日後に爆発すると見られます。
[放送] これより、我々は正式に避難準備の段取りに入ります。
[放送] この後、各代表による協議を経て、広場にて全体会議を行います。
[放送] その際、具体的な避難計画、および都市の遺影についての討論をいたします。
[放送] 今後のアナウンスにご注意ください。
[キャッチ] デカルチャーさん、起きて、デカルチャーさん。
[眠るデカルチャー] ……スディチロボは、ほんとにいい子ね。
[キャッチ] ……デカルチャーさん、デカルチャーさん。
[眠るデカルチャー] キャッチロボは、おバカさんね。
[眠るデカルチャー] あなたたち、バトルしなさい。
[キャッチ] 一体どんな夢を見てるんだよ。
[キャッチ] デカルチャーさん! 起きて!
[デカルチャー] ん? どうしたの?
[キャッチ] ……聞きたいのはこっちだよ、どうしてスディチの庭で昼寝なんかしてるんだ?
[デカルチャー] スディチの庭がとても静かだからよ。
[キャッチ] 死んだように寝てたし、どうせ放送も聞いてなかったでしょ。
[デカルチャー] 何かあったの?
[キャッチ] ……エッジ先生が湖の対岸で観測した結果、以前の地震によって源石鉱脈がトンネルの出口付近まで移動したことがわかったんだ。しかもかなり活性化しているらしい。
[キャッチ] 僕たちはこれから全体会議を行って、避難方法を決めなくちゃならないんだよ。
[デカルチャー] そう。
[デカルチャー] でも、わざわざそれを言いに来たわけじゃないでしょ?
[キャッチ] ……うん。
[キャッチ] スディチを探しに来たんだ。
[デカルチャー] スディチなら、私が貸したボートでエッジ先生たちを追って湖の対岸へ向かったはずよ。
[キャッチ] そうか、じゃあここで彼を待つよ。
[デカルチャー] なんで彼を探してるの?
[キャッチ] うん、実は……彼に設計部へ戻ってドームの改修に参加してほしいんだ。
[キャッチ] ゼルウェルツァが滅びようとしている今、僕たち二人がこの都市のシンボルに関して争う意味はない。でも幸いまだ少し時間がある。
[キャッチ] だったらこの後の会議で、地震によるドームの穴をどう処理するか決めなくちゃならない。
[デカルチャー] 別に放っておいてもいいと私は思うけど?
[キャッチ] だとしても、都市の住民たちの同意がなきゃダメだろ。
[キャッチ] この土地に建設した都市の最後の瞬間を完璧なものにすることは、すべての建築デザイナーにとって非常に意味のあることなんだ。
[キャッチ] 僕たちは最後にもう一度この都市をよく見て、残された時間で、できる限りの計画を立てるんだ。
[デカルチャー] それで、あなたはスディチに戻ってきてほしいのね。
[キャッチ] うん。
[キャッチ] ヴィンチ先生がどうして突然いなくなったのかはわからない。師弟関係が冷えただとか、縁が切れたとか思う人もいるかもしれないけど、僕は知ってるんだ。そんなことはありえない。
[キャッチ] ヴィンチ先生の元助手として、僕は誰よりも彼を理解してるんだ。彼は豪快な人だけど、実は心の底ではスディチのことをとても気にかけていた。
[キャッチ] 彼にとって、スディチは実の息子みたいなものなんだよ。
[キャッチ] だから、彼が去ったのはきっとスディチに深く関係しているはず。
[キャッチ] そして先生が去ってからのスディチの様子は、工業代表である君も見てきただろう。
[キャッチ] スディチの案は何度も何度も否決された。だんだん設計部にも姿を見せなくなった……僕はずっと彼の力になりたかったけど、結局方法が見つからなかったんだ。
[キャッチ] このドームは、スディチの師匠、ヴィンチ先生がこの都市に残した最も壮大な作品だ。それは間違いない。
[キャッチ] だけどこのドームは、スディチにとって、むしろ負担になっているんじゃないだろうか?
[デカルチャー] ……
[デカルチャー] それでもあなたは、彼に未練を残してほしくない、そういうこと?
[キャッチ] うん。
[キャッチ] これが最後のチャンスなんだよ、デカルチャーさん。
[デカルチャー] まったくあなたらしいわね。
[エッジ] スディチ! スディチ! いるか?
[ガヴィル] ん? どうしてお前らがここにいるんだ?
[エリジウム] キャッチくん、君とデカルチャーさんはそういう関係だったの?
[デカルチャー] 違うわ。
[エリジウム] わーお、随分ときっぱり言うね。
[キャッチ] 冗談はやめてよ、エリジウム兄さん。
[キャッチ] エッジ先生、ガヴィルさん、お疲れ様。
[デカルチャー] 私はここでお昼寝してて、彼はスディチの帰りを待ってたのよ。
[エッジ] スディチは戻ってきてないのか?
[デカルチャー] 彼は先生たちに設備を届けに行ったんじゃないの? かなりの騒ぎになってたでしょ。
[エッジ] 途中でいなくなってしまったんだ。どこへ行ったかわからないし、ここに戻ってもいないとなると……
[ガヴィル] トミミが見かけたらしいんだが、思い詰めた顔をしてたって言ってたぞ。
[ガヴィル] 何か心当たりはねぇか?
[デカルチャー] 私は……わからないわ。
[キャッチ] ……僕は多分知ってると思う。
[奇怪なロボット] ズゥママ、ズゥママ、コノ列二モ、ナイ!
[ユーネクテス] よし、次の列を見てみよう。
[アヴドーチヤ] はぁ、少々疲れましたわ。
[アヴドーチヤ] こんなに探してもまだ見つからないなんて……
[ユーネクテス] 少し休め。
[アヴドーチヤ] 先ほどの答えについて、理由が知りたいですわ、ズゥママさん。
[アヴドーチヤ] ドゥリンの生活がいかに素晴らしいか……わからないはずはありませんでしょう?
[アヴドーチヤ] ここには陰謀も、いがみ合いも存在しませんわ――たとえあったとしても、可愛いものですわよ。
[アヴドーチヤ] たとえ災害が迫ろうと、それに対し充分な対応策がありますのよ。彼らは今、この状況をお気楽にもこう考えていますわ――
[アヴドーチヤ] どうすればゼルウェルツァを、自分たちの考える最高の姿に仕上げてから、破滅を迎えさせてやれるのだろうかと。
[ユーネクテス] アヴドーチャ、お前の考えを否定しているわけではない。
[ユーネクテス] お前の言うことは正しいと思う。ドゥリンの生活は良いものだ。
[ユーネクテス] 私がお前の提案を拒んだ理由は、お前の言うことが間違ってるからではない……それが私の好みではないからだ。
[ユーネクテス] もしその時になって、地下で暮らしたいと言い出すティアカウがいるなら、私もイナムも、誰も止めはしないだろう。
[アヴドーチヤ] なぜですの? わらわは単に己の境遇だけを根拠に地上の生活を拒絶しているというわけではありませんわ。
[アヴドーチヤ] ドゥリンの都市にいる間、わらわは何度も地下と地上の生活の差について考えましたわ。
[アヴドーチヤ] 結論から申し上げますと、ドゥリン人の生活は間違いなく、地上の生活より良いもので、文化的であるとわらわは思いますわ。
[アヴドーチヤ] なぜ貴方もガヴィルさんも、より良い生活に興味がありませんの?
[ユーネクテス] ……
[ユーネクテス] 私の師匠は機械系に関して素晴らしい知識を持っているが、ドラマ好きでもある。
[ユーネクテス] 彼女はいつも私に色んなドラマを見せる。私が興味を示さなくてもお構いなしに解説をしてくるものだから、私もある程度、話のセオリーを覚えてしまった。
[ユーネクテス] 例えばドラマの中で、ある登場人物が長ったらしい話を始めると、彼女は決まってこう言う――
[ユーネクテス] 「はぁ、こんなド正論を容赦なく長々話す奴は、大抵最後になると実は悪役か、主人公の邪魔になるポジションなんだよ。もっと可愛い役にできないのかな……」とな。
[アヴドーチヤ] ……
[ユーネクテス] なぜお前は私を、あるいはガヴィルを説得する必要があるのだ?
[アヴドーチヤ] それは……
[大祭司] おっと! ついでに一つ言っておくぞい。小娘、ドゥリンに関するお前さんの認識は、実は間違っとるんじゃ。
[アヴドーチヤ] どういうことですの?
[大祭司] お前さんが、ドゥリンの都市での暮らしは「より便利」で、「より快適」で、「より安全」だと言うのなら、わしは反論せん。
[大祭司] じゃが、ドゥリン人の暮らしが「より良い」ものだと思っておるとしたら、必ずしもそうではないかもしれんぞい。
[大祭司] お前さんは賢い子じゃからの、その違いがわからんということはあるまい。
[アヴドーチヤ] 老師……ひとまずそう呼ばせていただきますわ。貴方のおっしゃる意味はわかります。
[アヴドーチヤ] ですが、他の人たちに対し、物質的にも精神的にもより満ち足りた生活を送ってほしいと望むのが間違っているとでも?
[大祭司] それはまた別の問題じゃ。今のお前さんはとっくにケリがついた議論を掘り返して、少しでも自分の心を納得させようとしておるだけ……違うかのう?
[アヴドーチヤ] ……
[ガヴィル] つまり、スディチはプレッシャーに押しつぶされて、逃げることを選んだってのか?
[キャッチ] そうだね。
[キャッチ] 多分彼は今頃、湖のそばの小さな家にいると思う。
[キャッチ] あの場所は、この家に越してくる前に、彼と師匠が一緒に住んでた場所なんだ。
[エッジ] キャッチ、私が言いたいことはわかっているだろう?
[キャッチ] もし最終的にドームを改修することが決まったら、たとえスディチがやらなくても、僕一人でやるって話かな?
[エッジ] ドームの強化は、都市の完璧な遺影を作るのと同時に、我々の避難時に時間を稼ぐという現実的な意味も持っている。
[エッジ] 私はヴィンチと仲が良かったが、彼が挨拶もなしに去ってしまった理由はわからない。だが、その弟子の面倒はできるだけ見てやろうとこれまでずっと思っていた。
[エッジ] だが何事にも限度はある。
[キャッチ] ……ガヴィルさん、スディチを探してきてもらえないかな?
[ガヴィル] お前に言われなくても探しに行くつもりだったさ。トミミは都市の人たちの力になろうと手伝いに行ったのに、アタシは手持ち無沙汰なんだからよ。
[ガヴィル] 今となっちゃあ、アタシとあいつの間にも片をつけなきゃならねぇことがあるみたいだな。
[キャッチ] ……じゃあお願いするよ。
[ガヴィル] で、その家はどこにあるんだ?
[キャッチ] 湖のすぐそば、この家とよく似たデザインだよ。ユニークだから、行けばわかると思う。
[ガヴィル] わかった。
[エリジウム] キャッチくん、君は行かないのかい?
[キャッチ] 僕は……この状況でスディチに何を言えばいいかわからないんだ。
[エリジウム] でも君は彼を心配しているんだよね?
[キャッチ] そうだよ。ヴィンチ先生が急にいなくなってから、僕はずっと彼を助けたいと思っていた。でもどうすればいいかわからなかった。
[エリジウム] 君って奴は、人が良すぎると言うべきか、人がすごーく良すぎると言うべきか。
[エリジウム] でも、君たちドゥリン人はみんなそういう感じだね。
[キャッチ] え?
[エリジウム] 理由はわからないけど、スディチくんは今、ちょっと卑屈になってるんだよ。
[エリジウム] 君の方が対等な立場で接したつもりだとしても、彼のような性格の人は、自分が見下されているように感じちゃうんだよね。
[エリジウム] なぜって、彼にとっては、君と対等なふりをするだけで、もう精神的にいっぱいいっぱいだからさ。
[エリジウム] 人とのコミュニケーションってね、こっちが真心を差し出しても、必ずしも向こうが応えてくれるとは限らないんだよ。
[キャッチ] じゃあ、僕はどうすべきなんだ?
[エリジウム] 僕のことを兄さんと呼んでくれる君だからね、もちろんお兄さんとしてアドバイスしてあげるよ。
[エリジウム] 実はとても簡単なことなんだ。「自分と公平に争ってほしい」とかは言わない。「君には選択肢がある」とかもね。
[エリジウム] 彼の退路を断つんだ。「君に選択の余地はない、でも僕が君と一緒に頑張るよ」ってね。
[エリジウム] 自分で作った狭い檻にずっと閉じこもっているような人には、刺激を与えてやらないといけない時もあるんだ。
[エリジウム] デカルチャーさんはどう思う?
[デカルチャー] どうして私に聞くの?
[エリジウム] 僕はただ持論を述べただけだからね。でも君は、この中で一番彼のことを理解してるでしょ。
[デカルチャー] ……確かにスディチは少し卑屈になっているわ。
[デカルチャー] あなたの言ってることは正しいかもね。彼に必要なのは優しい慰めではなくて、思いっきり手を引っ張ってやることかも。
[キャッチ] それだと、彼を傷つけてしまわないかな?
[エリジウム] 傷つけるだろうね。それに絶対いい結果になるとは限らないよ。
[エリジウム] でも、もし君の言うように、これが彼にとって最後のチャンスだとしたら――
[エリジウム] 君も自分自身に聞いてみなよ。君はただ、彼との関係を良くしたいだけなのか、それとも、たとえもっと関係が悪化しようとも、彼自身に壁を超えてほしいのか。
[キャッチ] ……
[キャッチ] 頑張ってみるよ。
[エリジウム] それなら早くした方がいいよ。
[エリジウム] でなきゃ、ガヴィルの拳は「引っ張ってやる」なんていう生易しいものじゃないから。
[キャッチ] ハハッ、じゃあ急いで行ってくるよ!
[デカルチャー] ……
[デカルチャー] ……
[デカルチャー] 明るくて、社交的で、人との付き合い方をわきまえていること。これらは人として素晴らしい資質よ、キャッチ。
[デカルチャー] 人はこうあるべきだとあなたは思い、自らもそう振る舞っている。
[デカルチャー] でも、いつも他人に自分と同じように強制するのは良くないわ。
[デカルチャー] エリジウムが言っていたことも正しいわ。もしスディチを助けるのなら、私もそうするかもしれない。
[デカルチャー] でも私は、悩んで逃避することも間違っていないと思うの。
[デカルチャー] だから……
[デカルチャー] キャッチ、あなたが自分の思う通りにするのなら、私も私の思うようにするわ。
[デカルチャー] もしスディチが逃げたいというなら、私は彼が逃げるのを助ける。
[奇怪なロボット] デカルチャー、デカルチャー、ナニカ用?
[デカルチャー] 行きなさい、スディチを助けてあげて。
[エリジウム] ……デカルチャーさんのあの顔、もしわざとじゃなければ、自分のことを、考えが顔に出やすいタイプだと気付いてないんだろうね。
[エリジウム] 彼女、本当は僕の話に納得してなかったよね、アハハ。
[エリジウム] ふむ――こんなアオハルな雰囲気を感じたのは随分久しぶりだね。なんならちょっかい出しに行きたいくらいだよ。
[エリジウム] ……
[エリジウム] いや、やっぱりやめだ! 行ったらガヴィルの拳の巻き添えを食らうかもしれないし。
[エリジウム] 理由もなく殴られるのは嫌だな。
[エリジウム] スディチくん、君もそろそろ目を覚ますべきだよ。
[エリジウム] 君を助けたいって人がこんなに大勢いるのに、見て見ぬふりなんてしたら罰が当たっちゃうよ。
[アヴドーチヤ] わかりませんわ。貴方がたはガヴィルさんほど道理が通じない人間ではありませんでしょうに。
[アヴドーチヤ] なぜそこまで――
[アヴドーチヤ] 彼女のわがままに付き合ってあげますの?
[イナム] あんたはガヴィルみたいな人を見て、私たちにはこういう人が必要だとは思わないの?
[ユーネクテス] イナム、外にいたんじゃないのか?
[イナム] いつまで経っても出てこないから、何してるのかと思ったら……
[イナム] アヴドーチャ……実は私たち、少し似てると思うのよ。
[イナム] 私がトランスポーターになって、アカフラまで来た一番大きな理由はね、終わりの見えない首長間の争いから逃れるためなのよ。
[イナム] アカフラには何もないわ。でもここでの生活はすごく快適で、私はこの土地が大好きよ。
[イナム] それに、心配と言う意味では、あんたより私の方が心配してるわ。アカフラにドゥリンが来ることで問題が起こるんじゃないかって。
[アヴドーチヤ] だったらどうして……
[イナム] ガヴィルはアカフラを離れて何年も経つけど、何一つ変わっていないの。
[イナム] まるで、この大地に彼女を屈服させられるものなんてないみたい。
[イナム] ガヴィルを見てるとこんなふうに思うのよ。「あぁ、この大地にはやはりこんな人も存在するんだ」ってね。
[イナム] そして思わず彼女を支えたくなるのよ。
[イナム] ただそれだけ。シンプルでしょ。
[ユーネクテス] ……
[ユーネクテス] ガヴィルの後に続いてアカフラを離れるまで、私は無知だった。
[ユーネクテス] ロドスに入って多くのものを見てきたが、私が本当に学んだものは知識だけではないと、後々になって気付いた。
[ユーネクテス] この大地には私が考えたこともないが、当たり前のことが数多く存在する。
[ユーネクテス] ガヴィルもきっと、自分ではどうすることもできないようなことをたくさん見てきたはずだ。
[ユーネクテス] 私の夢は、この大地で最もすごい機械を作り出すことだ。
[ユーネクテス] だが、それを作り出した後、どう使うかは考えていなかった。
[ユーネクテス] ──私は、ガヴィルを見ていて、その使い道を見つけたんだ。
[ユーネクテス] 私が作った機械は、ガヴィルを助けるものになるだろう。
[ユーネクテス] いつか、彼女の拳でもぶち壊せない壁が現れるはずだ。
[ユーネクテス] だがそれは彼女の問題ではない。ガヴィルだって血の通った人間だからな。
[ユーネクテス] その時になったら、私は今回のように、彼女に最高の武器を与えてやる。
[ユーネクテス] 拳でダメなら斧を使えばいい。斧でダメならハンマーを。ハンマーがダメならドリルだ。ドリルもダメなら、ビッグ・アグリーを作ってやろう。
[ユーネクテス] ビッグ・アグリーでもダメなら、移動都市を作ってやるさ。好きに使えばいい。
[アヴドーチヤ] そんなに彼女を信じていますの?
[ユーネクテス] ガヴィルは、他の何よりも「アカフラ」だからな。
[ユーネクテス] 彼女は私たちの精神的な支柱であり、これからもさらに多くの人の支えとなるだろう。
[ユーネクテス] 私たちにできるのは、彼女の拳が永遠に妨げられないようにすることだ。
[アヴドーチヤ] ……
[イナム] もちろん、かなり心配もしてるけどね。アカフラをガヴィルに預けたらどうなってしまうのだろうって。
[イナム] ガヴィルの性格なら、権力を持たせても変なふうに使っちゃうのは間違いないわ。
[イナム] だから、もし彼女が本当に首長になるっていうのなら、私は彼女を厳しく躾けてやるつもりよ。
[ユーネクテス] おそらく効果はないだろう。
[イナム] アハハ、そうね。
[イナム] それにしても、びっくりよ。自分ですら思ってもみなかったわ。まさか私が彼女のためにここまでやろうとするなんてね。
[アヴドーチヤ] ……
[イナム] あんたの過去の経験が、ガヴィルのような人に対する疑いを抱かせているのよ。
[アヴドーチヤ] 否定はいたしませんわ。
[イナム] なら、彼女を信じることから始めてみてもいいかもね。
[アヴドーチヤ] ……試してみましょう。
[イナム] それで、地図は?
[アヴドーチヤ] あっ……わらわったら、すっかり頭から抜けていました。
[大祭司] ふん、お主らがガヴィルのことで不毛な言い争いをしておる間、真面目に地図を探しておったのは、老いぼれのわしとこのロボットたちだけじゃったよ。
[大祭司] それに先ほど気付いたんじゃが、こちら側の書架の本は旅行記とは全く関係ないぞい。
[大祭司] それで反対側の書架を探してみたら、すぐに見つかったわい。
[大祭司] これのことじゃろう?
[アヴドーチヤ] 間違いありませんわ、これです。
[ユーネクテス] ……
[イナム] ……
[奇怪なロボット] アヴドーチャ、マヌケ! アヴドーチャ、バカ!
[アヴドーチヤ] ……はいはい、わかりました、申し訳ありませんわね!
[アヴドーチヤ] これでよろしくて!?
[クロッケ] あっ、アヴドーチャ! ここにいたんだね。
[クロッケ] さっきエッジ先生からメッセージが届いたんだけど、今から広場で全体会議を行いたいって。他の代表はもうみんな同意してるよ。あとはあなただけ。
[アヴドーチヤ] ……
[アヴドーチヤ] ありがとうございます、ズゥママさん。
[アヴドーチヤ] まだ完全に受け入れられておりませんが――確かにわらわも、一歩踏み出しても良いかもしれませんわね。
[ユーネクテス] ああ。
[アヴドーチヤ] クロッケさん、エッジ先生にお伝えくださいませ。わらわも異論はありませんわ。それから、ゼルウェルツァの住民はわらわが必ず説得いたしますと。
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