aklib_story_翠玉の夢_DV-6_夢からの解放_戦闘後

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翠玉の夢_DV-6_夢からの解放_戦闘後

サイレンスと開拓隊との接触を経て、ドロシーは実験の一時停止に同意した。状況が好転したかに見えたその時、実験成果の利用を目論むフェルディナンドが行動に出る。彼の命令を受けた社員たちが、銀色の何かへと人々を取り込む「伝達物質」を開拓者に注入させてしまったのだ。


[フィリオプシス] ……サニー。

[フィリオプシス] 俺たちは自発的にこうしてるんだ。

[サニー] モル先生……あんた、一体誰の言葉を代弁してるんだ……?

[フィリオプシス] ……

[フィリオプシス] メッセージを――

[フィリオプシス] これまでと異なるメッセージを受信しました。

[フィリオプシス] うっ……

[サイレンス] ジョイス、頭が痛むんじゃ……

[フィリオプシス] 身体状況に問題はありません。

[フィリオプシス] ですが、不正なデータがシステム中枢に侵入しています。追加の処理が必要です。

[サニー] ……不正なデータって……?

[フィリオプシス] っ……サニー、俺たちはわかってるんだ……

[フィリオプシス] これは……リスクのあることだって。

[フィリオプシス] どうなるかなんて、わからないけど……俺たち自身で選んだことなんだ。

[フィリオプシス] ――データ送信が中断されました。システムの判断によると、以上のメッセージはサニーさんに宛てられたものです。

[サニー] ……今の、俺たちの仲間みたいな喋り方だった……

[フィリオプシス] そちらの仮説を確認することは出来ません。

[フィリオプシス] フィリオプシスが感じ取ったデータの出所は不明です。

[サニー] 本当なのか、サイレンス先生? モル先生には俺たちの仲間の声が聞こえてるのか!?

[サイレンス] ……ジョイス。あなた今、「感じ取る」って言葉を選んだ?

[フィリオプシス] はい。

[フィリオプシス] 夢の内容が変化しました。

[サイレンス] どんな夢を見たの?

[フィリオプシス] 解析不能です。

[エレナ] 何だか、いつもと違う目をしてる……もしかして、悲しんでるの?

[フィリオプシス] 大脳辺縁系の信号に強い波動が検出されました。

[フィリオプシス] ……ダラ……

[サイレンス] またダラレイドさんのことを思い出してたの? ……まさか、九号デバイスはドロシーの実験とも関係があったとか……?

[フィリオプシス] きっかけは論理的な繋がりではなく、感情でした。

[フィリオプシス] 私はこう感じたのです。「これは我々の選択だ」、と。

[サイレンス] あなたたちの……選択……

[サイレンス] ……

[サイレンス] ――サニーさん。私が全力で彼女の過ちを正すと約束したら、今は一度、ドロシーのことを見逃してもらえない?

[サニー] ……俺たちはあんたが助けてくれたことに感謝してるし、実験の真相を明らかにしてくれたことにはなおさら恩義を感じてる。

[サニー] だから、あんたなら俺たちの味方になってくれると信じたいけど――

[サニー] こいつが二度と実験を再開しない、なんてこと保証できるのか?

[ドロシー] ……

[サイレンス] できない。

[サイレンス] だけど、万が一本当にそうなったら、次は私があなたに代わって、この件に片を付ける。

[エレナ] ふぅ……実験は中止になって、ドロシーは怪我をせずに済んで、被験者たちも少しずつ意識を取り戻してるなんて……

[エレナ] あの状況からこうなれたのが、まだ信じられないくらいだよ。

[フィリオプシス] そのように感じるのは正常な反応です。問題ありません。

[エレナ] キミがあのタイミングで目を覚ましてくれて本当によかったよ。

[エレナ] あんなに怒ってるオリヴィア、初めて見たから……

[エレナ] しても、どうしてキミには被験者たちの声が聞こえたのかな?

[エレナ] あの人たちの意識はドロシーの作った「メインコア」で繋がれてたとはいえ、キミはその外にいたんだし……一体どうやったの?

[エレナ] 九号デバイスと「メインコア」は無関係なんでしょ?

[フィリオプシス] 正確な判断を下すには、有効情報が不足しています。

[フィリオプシス] ですが、夢から覚める時、マイヤーズさんの声が聞こえました。

[エレナ] それって……

[エレナ] あの廊下で一悶着あった時のこと? その前にも何度か戦闘はあったけど、どうしてそれでは目が覚めなかったのかな……?

[エレナ] 不思議だなあ……

[エレナ] でも、何とか解決してよかった。オリヴィアのお陰だよ。

[フィリオプシス] はい。事前の予測通りです。

[エレナ] 改めて思ったけど……オリヴィアって、本当に変わったよね。

[エレナ] 知り合ったばかりの頃は、なんていうか……大学ではよく見るタイプの、物静かでシャイで、ちょっと無口な優等生って感じだったけど……

[フィリオプシス] その説明はフィリオプシスの記憶とも一致しています。

[エレナ] さっきなんて、ドロシーを問い詰めたかと思うと守ろうともして、もう別人みたいだったよ。

[エレナ] まるで……ほかの誰かさんみたいな……

[フィリオプシス] その「誰か」として連想した対象は、サリア主任ですか?

[エレナ] な、なんで言っちゃうかなあ……!?

[エレナ] 私がこんなふうに言ってたこと、オリヴィアには秘密だからね!

[フィリオプシス] サイレンスさんは、その程度のことであなたとの友情を疑いはしません。

[エレナ] ……うん、わかってる。

[エレナ] でも、友達として、こんな大変な時に嫌なこと思い出させたくないからさ。

[フィリオプシス] 了解しました。

[エレナ] よし、じゃあ行こう。私も仕事をしないとね。

[エレナ] 通信は……まだ復旧してないのかな? うーん、ボスから連絡来てそう……

[エレナ] それに姉さんも、今頃山ほどメッセージ送ってきてるんだろうな……

[サイレンス] ドロシー、私と一緒に研究エリアから離れてくれる?

[ドロシー] ……少し待っていて。

[ドロシー] 実験を中止した今、彼らはきっとこのラボを残したりなんてしないはず。

[ドロシー] それなら、一つ……持ち出さないといけないものがあるの。

[サイレンス] それは……写真?

[ドロシー] ええ。

[サイレンス] 写ってるのは、開拓者の人たちみたいだけど……

[サイレンス] この子は……あなた?

[ドロシー] ……私がサニーに話したことは、全部本心なの。

[ドロシー] 私のお母さんと、親戚の人たちはみんな……開拓者だったの。

[ドロシー] だから私は小さい頃から、あの人たちが夢を語る姿も、奮闘しているところも、苦労する様子も全部見てきた。

[ドロシー] 私に夢を追うチャンスを与えてくれたのは……そういう人たちの献身だったのよ。

[ドロシー] だけど、大抵の開拓者たちは、私のような幸運には恵まれないものなの。

[サイレンス] じゃあ、あなたの家族は今……

[ドロシー] ……ほとんどは、私のそばから去って行ったわ。

[ドロシー] 昔、アイアンフォージ工科大学が私を招待してくれて、ごく少数のいわゆる「天才」を集めたサマーキャンプに参加したことがあったんだけど……

[ドロシー] その時、お母さんがいた臨時基地が天災に破壊されてしまってね。

[ドロシー] 研究者になるという私の夢は、お母さんの夢でもあったのに……私が奨学金を得て、特例合格を認められたということを伝えてあげられもしなかった。

[サイレンス] ……つらい思いをしたんだね……

[ドロシー] ねえ、サイレンスさん。本当に、この実験を止めるのが正しい選択だと思う?

[ドロシー] 被験者のみんなは――追い詰められて行き場をなくしたあの人たちは明日にも破滅してしまうかもしれないのに。

[ドロシー] それを、救うことができたはずなのに……

[ドロシー] 私の大事な人たちみたく砂嵐に飲まれる必要なんて、ないはずなのに……

[サイレンス] ……

[パルヴィス] どうしてそんなことを聞くのかな? サイレンス。

[パルヴィス] いいかい? この実験がなければ、あの子はハイドン一号実験室を出て数日のうちに死んでいたはずなんだ。

[パルヴィス] 私たちがあの子を救い、生活の面倒を見ているおかげで、あの子は快適な生活を享受し、科学の進歩に貢献することができているんだよ。

[パルヴィス] 荒野でひっそりと死んでいく感染者の子供たちに比べれば、あの子は本当に幸運だ。

[パルヴィス] ――私は君を信頼しているからこそ、こうして重用しているというのに……君は些細な運用上の問題をあげつらえて、私と科学そのものとを非難しようというのかい?

[サイレンス] ……わからない。

[サイレンス] 私が答えるべきことではないと思うから。

[サイレンス] 実際、気付かせてくれたのはジョイスだった。

[サイレンス] 私が、あなたたちの――あなたのやることに、絶対に賛同できないとしても、私だけの基準ですべてを判断すべきじゃない、ってことに。

[サイレンス] だから……自分を信じられなくなったり、不確実な未来に苦しめられたりすることは、私たちが選んだ運命なんだと思う。

[サイレンス] 研究者として、求める答えは自分で探すしかないんだ。

[フェルディナンド] 手はずは整ったか?

[ライン生命警備課職員] はい。こちらの人員がすでに基地へ入り、研究エリアに近付いています。

[フェルディナンド] よし、そのまま準備していろ。

[フェルディナンド] 大佐殿、遅くなって申し訳ありません。ですがどうか、もう少しだけ時間をください……

[「大佐」] ……クルーニー。基地に外部の人間がいるとは聞いていないぞ。

[フェルディナンド] 外部の、と言いますと……例の製薬会社でしょうか?

[フェルディナンド] ご心配なく。彼らはライン生命のパートナー企業ですので、私が必ず――

[「大佐」] 君の保証になど意味はない。

[「大佐」] 我々が求めているのは結果だけだ。

[フェルディナンド] 申し訳ございません。少し遅れは出てしまいますが……

[「大佐」] 結果が出せないのなら、こちらに迷惑だけはかけてくれるな。

[「大佐」] ――今言ったことを忘れるなよ。

[フェルディナンド] ……

[ライン生命警備課職員] 予定通り続行してよろしいですか?

[フェルディナンド] ……ほかに選択肢はないだろう。

[ライン生命警備課職員] わかりました。

[フェルディナンド] そうだ……

[フェルディナンド] 特殊通信チャンネルに繋いでくれ。

[エレナ] あれ……急に繋がった……?

[フェルディナンド] ……エレナ。

[エレナ] 主任?

[エレナ] よかった! ずっと連絡しようと思ってたんですけど、繋がらなくて……私のメッセージは届いてましたか? 基地で起きたことはすべて書いておいたんですが。

[エレナ] ドロシー……フランクス主任の実験で、トラブルが発生していたんです。あ、でも、安心してください。私とサイレンス研究員で対処しましたから。

[エレナ] それに、開拓者たちも落ち着きを取り戻して、研究エリアを離れていきました。

[フェルディナンド] ……ああ、知っている。

[エレナ] も……もうご存知なんですか? 流石ですね。

[フェルディナンド] 君は為すべきことをしてくれた。このあとの片付けは、ほかの社員たちがやってくれることになっている。

[エレナ] ってことは、警備課の人たちが? やっと来てくれるんですね!

[エレナ] ふぅ……それなら安心です。とはいえ、研究エリアに保管されたままの「伝達物質」のことはちょっと心配ですけど……

[フェルディナンド] そちらの対処は彼らに任せて、君は撤収しなさい。

[エレナ] ですが主任……やっぱり私も残って手伝います。ドロシー以外でこの実験に一番詳しいのは私ですから。

[フェルディナンド] 私は今監視ステーションにいるんだぞ。主任が二人もいる状況で、事態を制御できないとでも?

[エレナ] いえ、そういうわけでは……

[フェルディナンド] それなら、言う通りにしなさい。今すぐ基地を離れるんだ。

[エレナ] 理由をお聞きしてもいいですか?

[フェルディナンド] そんな意味のない質問で、私の時間を無駄にしないでくれ。いいからすぐに監視ステーションへ来なさい。

[エレナ] ……はい、主任。

[エレナ] ……

[フィリオプシス] 何か問題が発生したのですか?

[エレナ] 主任……フェルディナンドさんが、すぐに撤収しろって。

[フィリオプシス] ……?

[エレナ] オリヴィアに伝えておいてくれる? 警備課の人がこっちに向かってるって。

[フィリオプシス] あなたはどうなさいますか? ここを離脱するのですか?

[エレナ] 実は……主任の反応、なんか変だったんだ。ドロシーがしてたことを知らなかったのなら、実験の結果に対して無関心でいるのはおかしいよね?

[ライン生命警備課職員] フェルディナンド主任、まだエレナさんが撤収していません。

[フェルディナンド] ……

[ライン生命警備課職員] 計画を中断されますか?

[フェルディナンド] ……その必要はない。

[フェルディナンド] 続けろ。

[サニー] ほかの奴らはみんなもう出たよな?

[開拓隊の隊員] おう。

[ライン生命警備課職員] 次。

[サニー] ……? あいつら、何やってるんだ?

[開拓隊の隊員] ああ、なんかの予防処置だとか言ってたぜ。鎮静剤でも打ってくれるんじゃねえか?

[開拓隊の隊員] 俺たちも随分大騒ぎしちまったからな。

[サニー] ……さっき言ったこと、忘れるなよ。あいつらに何か訊かれたら、全部俺がやったって言ってくれ。

[開拓隊の隊員] 安心しろ、お前一人に背負わせたりなんかしねえよ。

[サニー] お前って奴は……

[ライン生命警備課職員] 次。

[サニー] ……サニー・ロマーノだ。

[ライン生命警備課職員] 名前は聞いていない。

[サニー] あんたらのリーダーに伝えてくれ。誘拐の件は全部俺の独断でやったことだって。

[ライン生命警備課職員] ……

[ライン生命警備課職員] 右手を出せ。

[サニー] ……注射が終わったら、この件の片付けに入るんだよな?

[サニー] うわっ……!? どうした、ウビカ博士。急にぶつかってきたりして……

[エレナ] 注射を打っちゃダメ!

[ライン生命警備課職員] 仕事の邪魔をするおつもりですか。

[エレナ] それが仕事だって言うなら、「偶然にも」その注射器に入ってるのは私の仕事の成果なんだけど……

[エレナ] きちんと用途を説明してあげたほうがいい?

[サニー] えっ……? こいつら、あんたたちが呼んだんじゃないのか?

[エレナ] キミったら、信じる相手も疑う相手も間違いすぎじゃないかな!?

[エレナ] とにかくそのバングルも取って! 早く!

[サニー] ……バングルって、これか?

[エレナ] そう! 注射してるのを見て、ジョイスが目を覚ました時のことを思い出したんだ!

[エレナ] あれは――このバングルの影響だったんだよ!

[エレナ] キミたちに配られたバングルは全部改造されてるんだ! ドロシーのラボにあったのと同じセンサーが入ってて、「伝達物質」に触れると……

[エレナ] そうだ、主任に報告しなきゃ……! 最初から誰かに仕組まれてたんだってこと……!

[エレナ] もう! 通信がまた――待って、また途切れた……?

[サニー] どうしたんだ?

[エレナ] ……

[エレナ] そういう……ことだったんだ。

[エレナ] じゃあ、私はずっと……

[サニー] きゅ、急に泣きそうな顔するなって……!

[エレナ] ……違うよ、私はただ――

[エレナ] ううん、今はそれどころじゃないね。

[エレナ] この件はまだ終わってない。キミたちの敵は初めからドロシーじゃなかったんだよ!

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