aklib_story_遺塵の道を_WD-5_沁礁の地_戦闘前

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遺塵の道を_WD-5_沁礁の地_戦闘前

舞台は再び現代、サルゴンに戻る。シェーシャとヘビーレインは、突然ロドスへの加入を希望してきた謎の来客「サンドソルジャー」に、慎重に対応していた。彼の正体は、どうやらケルシーと関わっているようだった。


現代

p.m. 3:32 天気/晴天

サルゴン中部 イバト地区 名もなき町

[ヘビーレイン] ……私たちと共に行きたい……?

[ヘビーレイン] ご存知だと思いますが、私たちからすれば、あなたはただの疑わしい人物でしかありません。

[「サンドソルジャー」] 私には敵意はありません。外の皆さんのご様子はいかがでした?

[シェーシャ] ヘビーレイン。

[ヘビーレイン] ……異常ありませんでした。

[ヘビーレイン] でも私はあなたを信じていません。

[「サンドソルジャー」] ええ、ええ、おっしゃる通りです。当然、私は信頼に足る人物ではありません。

[ヘビーレイン] あなたの目的は何なんですか?

[「サンドソルジャー」] 私の目的は……そうですね。自分の目的を見つけることです。

[ヘビーレイン] 何を訳のわからないことを――

[「サンドソルジャー」] あなた方はご存じですか? イバト地区の首長が――無残にも火災で亡くなったことを。

[シェーシャ] ……そりゃ二、三年前の話だろ? 今の首長はその息子だ。ヤツはイバト地区でいろんな騒動を起こしてるって聞いたぜ。

[シェーシャ] あの火事のせいで、俺は新しい雇い主を探す羽目になっちまった。新しい仕事に慣れるのに何ヶ月もかかって、マジで面倒だったぜ。

[「サンドソルジャー」] それはそれは。しかしあれは私の最後の獲物でした。

[「サンドソルジャー」] これ以上網を張り、罠を仕掛けたところで、肝心の獲物がいない。今の私は、もはや無聊を慰める手段がないのですよ。

[シェーシャ] ――

[ヘビーレイン] ――あ、あなたが首長を殺したんですか……?

[シェーシャ] サルゴンの軍隊が黙っちゃいないぞ――

[シェーシャ] ――いや、待て、どうしてそれを俺たちに言ったんだ?

[「サンドソルジャー」] おや、その点に気づかれるとは、さすがは闇市の常連ですね。そうです、今のところあなた方の他に、私が首長の死に関係していることを知る者はいません。

[「サンドソルジャー」] サルゴンの出方については……昔と違って、イバト地区を統治しているパーディシャーは、この荒れ果てた土地に何ら価値を見出しておられないのですよ。

[「サンドソルジャー」] 思うに、領主が父親だろうと息子だろうと、パーディシャーが気にすることはないでしょう。私も実はそこまで気にしていません。

[「サンドソルジャー」] 私はただ単純に、彼の死を求めたのです。浮いた権力の行く末については些末なことです。

[ヘビーレイン] あなたの目的は一体何なんですか?

[「サンドソルジャー」] 復讐。……ああ、二文字で終わってしまいました。口にするとあっけないものですね。

[「サンドソルジャー」] あまりに平凡な答えでしょう? 有形無形、大きい小さい、対象はそれぞれですが、大地に生きる人々の大半に復讐相手がいますからね。……だから私はこれまで一度も、答えてこなかったのです。

[「サンドソルジャー」] 二十数年が過ぎました。その間私の全てはたった一つのことのためにあった。

[「サンドソルジャー」] 権力、地位、財産、これらはすべて、復讐の副産物です。必要とあらば、捨て去っても一向に構いません。

[「サンドソルジャー」] あるいは、これらのすべてを「ロドス」に差し上げましょう。

[「サンドソルジャー」] かつてないほどの、美味しい話ではありませんか?

[ヘビーレイン] ……

[「サンドソルジャー」] フッ、どうやらまだ信じていただけないようですね。お嬢さん、あなたは軍人だったのではないですか? もしやサルゴン軍では。

[ヘビーレイン] ――あなたには関係ありません。

[「サンドソルジャー」] あなたはどうです、若き「ブリッジ」。ああ、「シェーシャ」の方がお好みであればそちらで呼びましょう。

[シェーシャ] ……

[ヘビーレイン] シェーシャさん、彼は信用に値しません。

[シェーシャ] ……お前、まだ何か大切なことを隠してるだろ?

[「サンドソルジャー」] ふむ。隠していること……

[「サンドソルジャー」] ……おおっと、ええ、そうですね、なぜ忘れていたのでしょう。

[「サンドソルジャー」] 確かロドスは感染者の治療を行う製薬会社を謳っていましたね……いいでしょう、この大地にそのように酔狂な方々がいるということを、ひとまず信じるとして……

[「サンドソルジャー」] ――私は感染者です。

[「サンドソルジャー」] 私は首長に匹敵するほどの財力と、首長を失脚させることができるほどの人脈と影響力を有しております。

[「サンドソルジャー」] そして、私はこれらすべてと引き換えに、治療の機会を得たいと思います。これで納得していただけますか?

[ヘビーレイン] ――正気ですか?

[「サンドソルジャー」] そう問われるに足ることは理解しています。

[「サンドソルジャー」] ですが、人は生き汚いものです。目の前に生き延びる可能性があるならば、何を捨てても治療を求めるというのは……理にかなっていないことでしょうか?

[シェーシャ] いや、ヘビーレインはそういうことを言ってるんじゃない。

[シェーシャ] その軽い態度……本当は自分が感染者であることすら、気にしちゃいねぇだろう。

[シェーシャ] 復讐の副産物っつったってモノはモノ。それを全部捨ててまでロドスに来たがってんのはなぜだ。お前はロドスで一体何を得ようとしてるんだ?

[「サンドソルジャー」] ……

[「サンドソルジャー」] いいでしょう、時間も迫っていますし、率直に伝えます。

[「サンドソルジャー」] 私は「ケルシー」に会いたいのです。

[「サンドソルジャー」] 彼女は私に多くのものをもたらす可能性があります。私に一筋の道を示す可能性もあります……もちろん何もせずに、ただ再び意地悪く私に選択を突きつける可能性の方が高いかもしれませんが――

[「サンドソルジャー」] 私はそれでも構いません。

[「サンドソルジャー」] 当時の事件に関わっていた者を一人一人余すところなく片づけ終えた今、もはやサルゴンに未練はありません。ですから私は、この吐き気を催す土地をさっさと出て行きたいのです。

[「サンドソルジャー」] 私には新しい一歩を踏み出す先が必要です。

[「サンドソルジャー」] ちょうどそんな時に目の前に現れた、記憶深い名前……誰がこのような機会を逃すでしょう。

[ヘビーレイン] ……ケルシー先生とは、どのような関係なんですか?

[「サンドソルジャー」] ハハッ……それを話すと長くなりますが――

[「サンドソルジャー」] 彼女は私の命の恩人です。彼女には感謝しています、心の底から。

[ヘビーレイン] ……私たちに決定権はありません。

[シェーシャ] ……三年前、イバト首長は旅の途中で火事に巻き込まれて死んだ。大火は町全体を焼き尽くした。その後に息子が反乱を起こして、ほかの連中と首長の座を争った。

[シェーシャ] 確認をするが、これはお前が仕組んだことなんだな。

[「サンドソルジャー」] まさに。

[シェーシャ] 一体どうやった?

[「サンドソルジャー」] 私はもともと隙間だらけだった哀れな親子の関係性に、些細な――ほんの小さな楔を打ち込んだだけです。これも、もはや過ぎたことなのですが……

[「サンドソルジャー」] どうしてそんなことが知りたいのです?

[シェーシャ] ちょっとした手がかりを探してたんだが、お前のおかげで、イバト地区での調査を打ち切る羽目になっちまった。

[「サンドソルジャー」] ほう、手がかりですか。

[「サンドソルジャー」] 信用していただけるきっかけになるかもしれませんね。詳しく話してください、もしかしたらお力になれるかもしれません。何の手がかりをお探しで?

[シェーシャ] 人だ。俺はクルビアの企業が行った、ある軍事武器実験の責任者を探している。

[「サンドソルジャー」] ふむ、クルビアの会社とはまた。

[シェーシャ] ……その実験で、俺がこの世で一番尊敬してた人が馬鹿馬鹿しい事故に巻き込まれて死んじまったんだよ。

[「サンドソルジャー」] もしそれが本当にただの事故だとしたら?

[シェーシャ] だとしても俺は……真実を知りてぇんだよ。それにそいつらは兄貴の死を踏み台にして出世した可能性がある。

[ヘビーレイン] ……シェーシャさん。

[シェーシャ] わかってるよ、これは俺の個人的な問題だ……だがこんなチャンスは二度とないかもしれない。そうだろ? 「サンドソルジャー」。

[「サンドソルジャー」] フフッ、ゴホンッ、失礼。

[「サンドソルジャー」] さて、私は先ほど何と言いましたか……

[「サンドソルジャー」] 大地に生きる者の誰しもが、対象の大小やかける執念の深さにかかわらず復讐の炎を身に宿している……と、こんな感じでしたかね。つまり、復讐は人生における永遠の主題なのです。

[「サンドソルジャー」] もし、私がロドスで治療を受けられるよう取り計らっていただけるのならば、その件について私が調査をして差し上げましょう。もちろん先ほどお話しした条件も、依然として有効です。

[「サンドソルジャー」] 扉の外の、あなた方が入手に苦心した品ですが、私ならばたとえ十倍の量でもご用意ができます。それも低価格かつ素性の綺麗なものを。製薬会社にとって、これ以上の話はないのではないですか。

[ヘビーレイン] ……シェーシャさん、申し訳ありませんが、あなたの個人的な目的は判断材料から外してもらえますか。

[シェーシャ] んなことはわかってる……ただ……

[「サンドソルジャー」] そうだ……また忘れるところでした。どうも最近は物忘れが激しいようです。

[「サンドソルジャー」] あのイシンが残した予言を、私は真に受けたことなどありません。しかし今になって考えれば、予言というのは一種の交渉と交流だったのかもしれませんね。

[「サンドソルジャー」] フッ、予言……凡人には未来を知り得るすべなどありません。そんな便利なアーツがどこにあるというのでしょう。

[シェーシャ] ……予言?

[「サンドソルジャー」] それについて確認したくても、残念ながらイシンはもういません。まあ仕方ない、彼女がまだこの約束を覚えていることを願うばかりですね。

[「サンドソルジャー」] 彼女は……あなた方に金貨を渡していませんか?

[「サンドソルジャー」] 一枚の古いサルゴンの金貨です。

[ヘビーレイン] ……!

[ロドスオペレーター] ヘビーレイン、シェーシャ、大変だ!

[「サンドソルジャー」] ……

[シェーシャ] 落ち着け、どうした?

[ロドスオペレーター] ……所属不明の大規模な部隊が、この町に近づいている。

[「サンドソルジャー」] 警戒した方がいいでしょうね。

[ロドスオペレーター] しかも、かなりの進軍速度だ。今撤退すればまだ間に合う。だが、遅れれば交戦は避けられない。

[ロドスオペレーター] 十五分だ、最大猶予は十五分。隊長、副隊長、早く決断してくれ。

[ヘビーレイン] ――あなたが仕向けたのですか?

[「サンドソルジャー」] いえいえ、今の私には仲間はいません。人は機械ほど信頼できませんからね。

[「サンドソルジャー」] しかし、彼らの狙いは恐らく私でしょう。

[シェーシャ] ――クソッ! これもお前の計算のうちかよ!?

[「サンドソルジャー」] 私を連れて撤退するか、一緒に身の程を知らない殺し屋たちに応戦するか……

[「サンドソルジャー」] いかがいたしますか?

[ヘビーレイン] ……

[ロドスオペレーター] ど、どうするんだ?

[「サンドソルジャー」] 私はあなた方の決定に従いますよ。

[シェーシャ] チッ、この野郎――

[シェーシャ] ――最後に一つだけ訊く。お前はなぜあの町を焼いた? 首長一人殺すのに、あれだけ多くの人を巻き込む必要はあったのか?

[シェーシャ] その割には一般人が避難する時間は与えたよな――ただ単に町を燃やしたかっただけか? レッドホーンはお前の縄張りから相当離れてるだろ? 一体何がしたかったんだ?

[「サンドソルジャー」] 目的は重要ですか?

[シェーシャ] ――お前が本気でイカれてるか、戦闘狂じゃないかを確認しないといけないんだよ。

[「サンドソルジャー」] ふむ。一理あります。しかしあなたに理解できるとは思えません。私が火に焚べるべきは過去だけでしたから。

[シェーシャ] やはり復讐か?

[「サンドソルジャー」] いいえ……

[「サンドソルジャー」] ただの、遅くなってしまった火葬ですよ。

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