aklib_story_ニアーライト_NL-1_カレンデュラ_戦闘前

ページ名:aklib_story_ニアーライト_NL-1_カレンデュラ_戦闘前

このページでは、ストーリー上のネタバレを扱っています。

各ストーリー情報を検索で探せるように作成したページなので、理解した上でご利用ください。

著作権者からの削除要請があった場合、このページは速やかに削除されます。

ニアーライト_NL-1_カレンデュラ_戦闘前

代弁者マッキーと燭騎士は、騎士についてを語り合う。その頃マリアは、馴染みの皆と一緒に、姉とムリナールの決闘の話をしていた。そして感染者の居住区では、感染者騎士たちが何かを画策しているようだ。


[代弁者マッキー] お疲れ様です、ドロステさん……何をご覧になっているのですか?

[燭騎士] あら、マッキーさん。ありふれた詩集ですよ。

[代弁者マッキー] なるほど……詩文を愛するあなたらしいですね。

[代弁者マッキー] 初めてお目に掛かった時も、あなたは本を手にしておられた。血と鉄さびの臭いに満ちた競技場の中で佇むお姿が、周囲とはまったく異なる雰囲気だったのを覚えています。

[燭騎士] そんなに細かいことまで、覚えていてくださったのですか……?

[代弁者マッキー] あ……はは、お恥ずかしい。実は、私もあなたのファンなのです。お時間の許すときがあれば、サインをいただきたいくらいでして。

[燭騎士] ふふ、光栄です。

[企業職員] お話中失礼いたします、マッキー様。

[企業職員] ご注文のワインですが、こちらに置かせていただきます。

[代弁者マッキー] ありがとう。ほかのスタッフにも感謝を伝えてくれ。

[代弁者マッキー] では、ドロステさん。お祝いに、一杯ご一緒させてください。

[燭騎士] ええ、喜んで。

[代弁者マッキー] 乾杯!

[燭騎士] 乾杯。

[代弁者マッキー] ああ、確かに良いワインですね。こちらは非常に高価なガリア・コレクションなのですが……

[代弁者マッキー] 今日のような日に、そして、あなたのような騎士にこそ相応しい逸品ですよ。

[燭騎士] 身に余るお言葉です。私は、ただ運が良かっただけですから。

[代弁者マッキー] ご謙遜なさらず。……ところで、その詩集は……

[燭騎士] 故郷の詩人が書いたものです。無名の人ですが、彼の書く詩が本当に好きで。

[代弁者マッキー] ほう、リターニアの詩集ですか。タイトルは……ふむ、『双月とカレンデュラ』ですかな?

[燭騎士] いつもながら、リターニア語がお上手ですね。

[代弁者マッキー] はは、外交上の必要があって学んだだけですよ。カレンデュラがお好きなんですか? ……昨今のカジミエーシュには、こうした詩歌をどう味わうか知る者はもはや少数になってしまいました。

[燭騎士] ……文字というものは、想像と切り離すことはできません。そのすべては、想像を表現するための単なる符号にすぎませんから。

[燭騎士] 現代人にとって、詩歌は美学に欠けた文字の迷宮に過ぎません。感情を押しつけられる感覚が、不自然でわざとらしく感じるのだと思います。

[燭騎士] 恐らく、すでにカジミエーシュの人々は別種の「消費」に慣れきっているのでしょう。けれど、詩歌はそうした消費とは無縁のものですから、現状は、ごく当然のことです。

[代弁者マッキー] ……どこか含みがあるように聞こえますね。

[燭騎士] そのようなことはありません。詩歌のことをお話ししているだけですよ、マッキーさん。

[代弁者マッキー] ですが……何か、ほかに仰りたいことがあるはずでは?

[燭騎士] ええっと……何のことでしょう。

[燭騎士] あっ。新しい眼鏡のことでしたら、とってもお似合いですよ。

[代弁者マッキー] そ、それはどうも……! まさか気付いていただけるとは……これは驚きました、はははっ……

[代弁者マッキー] っと、ごほん。……その件ではないのです、ドロステさん。以前、都市間ネットワークや紙媒体で掲載された、噂話のことで……

[燭騎士] ああ……ワイン風呂ですね?

[代弁者マッキー] はい。あんな噂を放っておいては、あなたの名声に傷が……

[燭騎士] ワインのお風呂に入る人なんて、本当にいるのでしょうか? べたべたしてしまうのではないですか?

[代弁者マッキー] ……言われてみれば? 確かにそう、かもしれませんね。

[燭騎士] ふふっ……そうでしょう? であれば、あのようなニュースを誰が信じると?

[代弁者マッキー] 信じてしまう者はいますよ、ドロステさん……どんなに根拠のない話でも、それが必ずしも真実とは限らないと知っていても、彼らは何かと首を突っ込みたがるものですから。

[燭騎士] あとから誤解を解くのでは、いけないのですか?

[代弁者マッキー] その……あなたは、騎士にまつわること以外を、単純に考えすぎる節がおありですね……

[代弁者マッキー] こちらでローズ新聞本社と連絡を取ったところ、あの記事はとあるゴシップ紙の編集者が独断で掲載したものだそうです。

[代弁者マッキー] 気付いた時には既に大きな反響が寄せられており、様々な理由からすぐには撤回されなかった、とのことで。

[燭騎士] それが彼らの仕事ですから、責めはいたしません。

[代弁者マッキー] ……あなたはとても寛大な方だ。だからこそ、私はやりきれない気持ちになることがあります。

[代弁者マッキー] 故郷に学校を、そして移動式プラットフォームを建設するために、あなたは、個人収入のほとんどをリターニアの貧困地域に寄付されているというのに。

[代弁者マッキー] 今更噂を否定したところで、大騒ぎした群衆はそれが真実がどうかなど気にすることはないでしょう。

[代弁者マッキー] デマや噂を面白がり、言いふらして喜んでる者たちが、根拠もなく誰かを傷つけ、中傷するのは簡単なことです。

[代弁者マッキー] しかし、真相が明らかになったあとに、あなたを傷つけた人々があなたのために事実を広め、無実の罪を晴らしたことなど、これまで一度もなかったではありませんか。

[燭騎士] ゴシップは民衆に刺激を与えますが、事実を広めるのは退屈なことですから。それもまた、ごく当然のことですよ。

[代弁者マッキー] ……あなたは、どうしてそうも無関心なのですか!

[代弁者マッキー] あなたのような清廉潔白な騎士こそが、ほかの人々の手本とされるべきだというのに! 本来、あなたの名声はより高くあらねばなりませんし、その上――

[燭騎士] ――マッキーさん。

[代弁者マッキー] ッ……はい。

[燭騎士] 今のお言葉、感動しました。

[燭騎士] あなたは、情に厚く……心の優しい方です。

[代弁者マッキー] ……

[代弁者マッキー] ……連合会の代弁者として、騎士の皆様が競技外の干渉を受けないようにすることも、私の仕事ですので。

[代弁者マッキー] とはいえ、あなたにはもう少しご自分の生活に気を配っていただきたいものですが。

[燭騎士] あっ……そういえば。

[燭騎士] 決闘のお相手は、いつ頃発表されるのでしょうか?

[代弁者マッキー] はあ……どうしてご自分の試合すら気にかけていらっしゃらないのですか?

[代弁者マッキー] 予定通りに進みましたら、次の相手は灰髭騎士です。そして、その次に当たるのが……耀騎士です。

[燭騎士] ……

[代弁者マッキー] ……驚いておられますか?

[燭騎士] ええ、とても。耀騎士、マーガレット・ニアール……この名は幾度も耳にしてきましたけれど、いつ聞いても強く、美しく、優雅な響きです。

[代弁者マッキー] 連合会はあなたの勝利をお祈りしております。

[燭騎士] はい……ですが……

[燭騎士] 「燭」と「耀」……私に勝ち目などあるのでしょうか?

[代弁者マッキー] そう仰らず。現代の騎士称号というものは、広まりやすさを重視したものであって、実力とは無関係ですからね。

[代弁者マッキー] あなたはとてもお強い。どうかご自身を信じてください。

[老騎士] よおし――わしの勝ちじゃな!!

[老職人] クソッ! 今のはズルだろ!

[老騎士] ガッハッハ、老騎士フォーは未だ壮健~♪ よぼよぼコーヴァル負けて吠えろよ~♪

[老職人] あんたなあ! 「始め」の合図の瞬間、わざとゲップしただろ!?

[禿頭マーティン] おっと、その椅子は使わないでくれ、コーヴァル。あまり丈夫じゃないからね。使うなら、ほかのにしてくれないか?

[老騎士] お前は敗者だ~♪ コ~~ヴァ~ル~♪

[ゾフィア] ……一体何してるの?

[禿頭マーティン] 腕相撲だよ。それで、君が持ってるのは何かな?

[ゾフィア] さっき買ってきた薬だけど……

[禿頭マーティン] と、言うと、ムリナールに渡すつもりか?

[ゾフィア] ……ええ。でも、彼はきっと私を無視するでしょうね。それに、彼がちゃんと薬を使うとも思えないし……

[ゾフィア] はぁ。性格は全然違うけど、マーガレットたちにそっくりなところもあるのよね。

[禿頭マーティン] そういえば聞いたぞ。ムリナールとマーガレットの二人が真剣勝負して、マーガレットが勝ったんだって?

[老職人] これでやっと、ムリナールの目を覚まさせてやれるかもしれないな……

[老騎士] フン、あの小僧に目を覚ますも何もないと思うがな。あやつの意識ははっきりしてるよ。はっきりし過ぎてるからこそ、今のように幽霊じみた姿になったのだろうさ。

[ゾフィア] ムリナールは……

[ゾフィア] ……ううん。何でもないわ。

[マリア] みんな~! あっ、ゾフィア姉さんまで!

[ゾフィア] あら、マリア。一人できたの?

[マリア] ついさっき、騎士協会の人がお姉ちゃんを訪ねてきてね。仕方ないから、私だけ先に……

[マリア] どうもお姉ちゃんみたいに追放された後、身分を取り戻した例は少ないから、審査が必要な書類がたくさんあるんだって。

[老騎士] そうじゃったか。しかし、まったくおかしな話じゃのう。あやつらときたら、当時は必死でマーガレットを陥れようとしておったくせに、今度はあっさりと騎士の身分に戻しよった。

[老職人] なんか裏でもあるんじゃねえか?

[ゾフィア] まったく、二人ともいっつも口さがないんだから。

[老騎士] 心配して言っておるんじゃろうが……

[老職人] まあ、本当に問題が起きたとしても、そん時は俺たちみんなで夜逃げして、カジミエーシュとおさらばすりゃいいだけさ。そんでなんつったか、あの……ドロスとかいう場所を見物しに行こうぜ。

[ゾフィア] ……ドロスじゃなくて、ロドスよ。

[ゾフィア] ところで、マリア。君の叔父さんは……?

[マリア] えっと……ムリナール叔父さんなら、まだ仕事中じゃないかな。そろそろ帰る頃だと思うけど……

[老騎士] 奴のことは、耀騎士がこっぴどく懲らしめてやったんじゃろう?

[老騎士] まったく、もっと早くにこうなるべきだったくらいじゃな。そもそもニアールの旦那が健在なら、あの小僧の自堕落など許すわけが――

[マリア] ……

[老騎士] ――マリア?

[マリア] 確かに……叔父さんとの決闘に勝ったから、お姉ちゃんがまた騎士競技に戻れたっていうのは事実だよ。今は、叔父さんも口出ししてこないしね。

[禿頭マーティン] ふむ、あのムリナールが負けを認めた、と……?

[マリア] でも……叔父さんは決闘中、最後までアーツを使わなかったの。

[老職人] ……はあ? じゃああいつ、わざと負けたのか?

[老騎士] どうせ、全力を出す勇気などなかったんじゃろ。それなら、負けても言い訳ができるからのう。

[ゾフィア] ……負けを認めるのも、わざと負けるのもありえないと思うわ。ムリナールよ?

[ゾフィア] 彼は……マーガレットを見下しているわ。耀騎士という存在も。

[ゾフィア] 単純にアーツを使うに値しないと思っている、それだけなのよ。

[ユスティナ] 「灰毫(かいごう)」グレイナティ。……ソーナを見なかった?

[グレイナティ] あそこにいるが……それにしても、なぜ私を呼ぶ時だけ称号をつけるんだ?

[ユスティナ] ……嫌だったら、やめてもいい。

[ユスティナ] ただ……君のイメージに、よく似合うと思って。

[グレイナティ] ……まあいい、好きにしてくれ。

[グレイナティ] ――ソーナ!

[ソーナ] なーにー?

[グレイナティ] こっちへ来い、全員揃ったぞ!

[ソーナ] 了解! よいしょっと――

[ソーナ] お待たせ! カイちゃん、ケガの具合はどう?

[グレイナティ] 大したことはない。……で、これは何だ? 人形か?

[ソーナ] あははっ、あたしだって女の子だもん! 可愛いものが好きでもおかしくないでしょ?

[グレイナティ] ……ソーナ。

[ソーナ] はいはい、わかってるって。冗談言ってる場合じゃないわよね。

[ソーナ] 「工業事故」はますます増えてきてるわ。あいつらは感染者を追い出して、スラム街でパニックを引き起こさせてるの。

[グレイナティ] 無冑盟は既に、公然とやり合うつもりでいるようだ。こうなった以上は、感染者たちを隠れさせ続けたところで、何も解決しない。

[グレイナティ] シェブチックが興味深い情報を提供してくれた。私たちは一刻も早く――

[グレイナティ] ――どうした? ソーナ。

[ソーナ] ん、何?

[グレイナティ] なんだか、うわの空に見えるぞ。

[ソーナ] ね……もしいつかまた、あたしたちが自由を得られる日が来たら……

[ソーナ] その時は、何をしたい?

[グレイナティ] そうなってから、一緒に考えればいいさ。

[グレイナティ] 急にそんなことを言い出すなんて、本当にどうしたんだ? 今日はやけに感傷的じゃないか。

[ソーナ] あははっ、何でもないわ。ほら、それより早く行きましょ。

[ソーナ] レッドパイン騎士団の新顔たちに挨拶しなくちゃ!

[経験豊富な騎士] ……ここの人たちは、ほとんどが感染者なんだな。

[かすれ声の騎士] そう思うと、国民議会に睨まれそうなもんだが。

[経験豊富な騎士] ……それだけで済みゃまだマシだよ。法律関係の「問題」なら、金さえ積めば何とでもなる。

[経験豊富な騎士] だが、この状況が続けば……無冑盟が黙ってないだろう。

[かすれ声の騎士] 無冑盟ぃ? あれって実在すんのか?

[経験豊富な騎士] ああ。都市伝説だと思ったら大間違いさ。

[経験豊富な騎士] っと、誰か近付いてくるぞ。あれがレッドパインの騎士たちか……

[経験豊富な騎士] ……はぁ……子供ばかりのように見えるが。

[経験豊富な騎士] しかし……若者だからこそ、できることもあるんだろうな。

[かすれ声の騎士] 焔尾(えんび)騎士、ソーナ。

[かすれ声の騎士] 灰毫(かいごう)騎士、グレイナティ。

[かすれ声の騎士] 遠牙(えんが)騎士、ユスティナ。

[「ジャスティスナイト」] “Di-di!”

[かすれ声の騎士] ん? もう一人のクランタはいないらしいな……

[経験豊富な騎士] ……彼らの計画に加われば、生き延びられるのだろうか? たとえ今生き延びても、来月は? 来年は?

[かすれ声の騎士] まあ聞け、友よ。感染者仲間がよく言ってるだろ? 努力なくして成功なし、ってさ。

[かすれ声の騎士] 俺たちは鉱石病にかかったんだ。こうなった連中の大半は、天命に従うことを選んでる……感染者の命は短い上に、死体は爆発する。周りにとって危険な存在だからな。

[かすれ声の騎士] だが……俺たちだって、すぐに死ぬとは限らない。まだ時間が残されているなら、行動あるのみさ。

[ユスティナ] ……人数が減ってるね。

[ユスティナ] このまま小規模の作戦を繰り返したところで、感染者全員を救うことはできないと思うよ、ソーナ。

[ソーナ] ……わかってる。だから少しでも早く突破口を見つけないといけないわ。

[シェブチック] ハンッ……考えてもみろ。たかが数名の感染者騎士の権力と財力頼りで、この都市で何をなし得ると言うんだ。

[シェブチック] ここにいる感染者たちを救うために使う金も、その無意味な隠蔽工作も、ビルの隙間の下水路に詰め込んだボロ小屋も……

[シェブチック] すべてこの都市から与えられたものだ。ゆえに、突破口などない。

[ソーナ] あはは、耳を塞ぎたくなるような話ね、シェブチック。

[グレイナティ] そういうお前の親類はどうなんだ? 騎士貴族のお歴々は、お前のために企業家たちの機嫌を取ろうとしてはくれなかったんだろう?

[グレイナティ] ――商業連合会の標的となった以上、お前も我々と似たような立場にあることを自覚しておくんだな。

[シェブチック] ……フン……確かに、似たようなものだろうな。俺たちは皆、ここにぶちまけられたゴミにすぎん。

[シェブチック] お前は、グレイナティだったか? 騎士貴族なんてものは、従者団が設立された瞬間から終わっている。

[シェブチック] お前がかつて属した一族にまだ幻想を抱いているとは言わないだろうな、灰色リス。

[グレイナティ] ……

[ソーナ] (小声)騎士貴族を馬鹿にしてやれば、喧嘩ふっかけてくると思ってたんじゃない? 彼、意外とそういうタイプじゃないよ。

[グレイナティ] ……なるほど。お前は思ったより冷静らしいな、シェブチック。

[シェブチック] ハッ、知ったような口を。言っておくが、俺はすぐにだってこんなとこ出て行きたいんだ。お前らに、いつ病気を移されるか分かったもんじゃないからな。

[シェブチック] だが、そのお前たちはまだ死にそうにない。となれば、今はほかのことを考えるべきだろう――

[ソーナ] ――無冑盟のことね。

[シェブチック] ……そうだ。連合会の下賤な手先めが、必ず後悔させてやる。

[シェブチック] お前たちも、奴らと敵対するというからには、切り札くらいはあるのだろう?

[ユスティナ] ……零号地。

[ユスティナ] あるいは大騎士領の感染者集中医療部と呼ばれる場所。多くの企業が共同で担当する、感染者収容治療エリア……

[シェブチック] ふむ。感染者騎士であれば常連だろう? それで、無冑盟はそこにどんな秘密を隠しているんだ?

[グレイナティ] ――待て。

[グレイナティ] 我々は当然、いくつかの手段を用意しているが……お前にそのすべてを明らかにするつもりはない。

[シェブチック] ほう? 手段とやらをそこまで知られたくないのなら、あのクソ病院から俺を救い出すのではなく――いっそ置き去りにして、無冑盟の連中に拷問させておくべきだったな、感染者。

[シェブチック] そうやって噛みついてくるのはやめろ。俺たちはそれぞれの目的のため、ここにいるだけだ。――そもそもお前ごときが、俺と会話をしていい身分だと思うか? 灰毫。

[シェブチック] それとも、連れ出してくれてありがとうとでも言ってほしいのか?

[グレイナティ] ッ、傲慢な貴族め――!

[ソーナ] は〜わかったわかった、そんなに喧嘩がしたいなら好きにしてちょうだい。無冑盟を目の前にしたとき後ろから刺されるよりかは、今のほうがまだマシだもの。

[ソーナ] ――シェブチック、あたしたちだって何年も取り組んできたわけだし……政府とのパイプくらいは持ってるわ。

[ソーナ] カジミエーシュで商業連合会を強く憎んでいるのは、まともな日常を過ごすこともできない貧民と感染者たちだけじゃないわ。……一体、誰だと思う?

[シェブチック] ……フン。

[シェブチック] 監査会が、連合会に打撃を与えるべく、お前たちと取引しているとでも? 狂っているのは俺か、それともカジミエーシュか……いよいよわからんな。

[ソーナ] あっはは……

[ソーナ] 今の自分の状況を、そして騎士たちを見て、シェブチック。

[ソーナ] ――カジミエーシュはとっくに狂ってるわよ。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧