aklib_story_ドッソレスホリデー_DH-1_思いがけぬ参戦_戦闘前

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ドッソレスホリデー_DH-1_思いがけぬ参戦_戦闘前

チェンが大会への参加を考え始めたその時、エルネストからユーシャが街で戦っているという連絡が入った。急いでそこへと向かった彼女は、ユーシャと共に誤って大会の予選会場へと迷い込んでしまうのだった。


[チェン] (人の多さこそシエスタと同じくらいだが、雰囲気はまったく違っているな。)

[チェン] (どこへ行ってもバーやカジノ、レストランが目に入る……)

[チャラい観光客] ヘイ! そこの綺麗なねーちゃん、俺たちと一緒にビーチで遊ばないか?

[チェン] 失せろ。

[チェン] (リン・ユーシャはといえば、朝にはもういなくなっていたし。)

[スワイヤー] ……あの下水道のネズミにもう一度電話しようと思って。

[スワイヤー] スラムのことはよく知らないけど、あの特殊部隊はきっと恐ろしいことをやってるに違いないわ。

[チェン] お前はスラムのリンに会ったことはあるのか?

[スワイヤー] あるわ。穏やかで親切な老人って感じで、お祖父様よりもずっと良い人だったわ。

[チェン] ……だがあれは「鼠王」だ。

[スワイヤー] あの人たちはみんなそうでしょ。でもあの人は、本当に良い人よ。

[スワイヤー] ただユーシャがあんな風になるなんて思わなかったわ。昔は内気で臆病な子だったのに。いつもアンタの後ろに隠れてたっけ。

[チェン] 私は彼女が変わったとは思わない。彼女はただ……責任を背負ったのだろう。それも、本来は負わされるべきではなかったものをな。

[チェン] (……まあいい。どうせまた会うことになるだろうしな。)

[チェン] はぁ……せっかくここまで来たんだ、何かやることを考えよう。

[チェン] (だが、何をすればいいものやら……土産でも見繕うか?)

[チェン] (ホシグマとスワイヤーには、買って帰るにしても……送るのが面倒だな。彼女たちが外勤に来た時にでも渡すとしよう。)

[チェン] (……っと、そうだ。フミヅキさんへのお礼にも、何か用意しないとな。)

[チェン] (ロドスのほうは……シラユキに、バグパイプ、アーミヤ、それと……彼女の分か?)

[チェン] (まあいい。要するに、贈る相手が多いというのはわかった。問題は持ち帰れるかどうかだ。……状況を見つつ、また後で考えることにしよう。)

[チェン] (買い物自体は、そこまで時間もかからないだろうし……)

[チェン] (となると、ぶらついてみるか? ……いや、どうせ何をするにも街中を歩くことにはなる。)

[チェン] (それなら、エルネストに観光スポットでも案内させるか?)

[チェン] (……いや、そこまで気安い仲でもないしな。)

[チェン] (そういえば、カンデラ市長が言っていたあの件……)

[カンデラ] ここ最近、都市の武器流通にちょっとした異常が頻発していてね。……まあ、君たちが心ゆくまで遊ぶ合間に、刺激が足りないと感じた時にでも、この調査を楽しんでくれ。

[チェン] (市長の立場にあるというのに、自分の都市に無関心なあの態度……ウェイは何故、あんな奴と関係を結んでいるんだ?)

[チェン] (その上、この都市はといえば、贅沢三昧を体現したような有様だし……)

[チェン] (……しかし、スワイヤーなら、もしかするとこの場所を気に入るかもしれないな。私はシエスタに戻りたい気分だが。)

[チェン] (まあ、来てしまった以上は仕方がない。何もしないよりは、調査をしていた方がマシだろう。ここは一つ、やってみるか。)

[チェン] (カンデラ市長は、調査についてもエルネストに尋ねて構わないとは言っていたとはいえ、もし彼らが明確な手がかりを掴んでいるとすれば、恐らくとっくに行動に移しているはずだ。)

[チェン] (直接聞きに行ったところで、大したことは聞き出せまい。それならばまずは歩き回ってみて、この都市を理解するところから始めるとしよう。)

[残念がる男性観光客] 昨日の戦果はどうだった?

[喜んでいる男性観光客] 俺は勝ったぜ。何千も儲けた! そっちはどうだ?

[残念がる男性観光客] ちぇっ。いいなあ、俺はボロ負けだ。

[喜んでいる男性観光客] ハハッ、気にすんなって。今日勝てばいいだけの話だろ?

[残念がる男性観光客] 言われなくってもそうするつもりだよ。*ボリバル感動詞*……ここはやっぱり最高だな、これっぽっちも帰りたくねぇや。

[喜んでいる男性観光客] まったくだ。ここから一歩外に出りゃ、血なまぐさい毎日に逆戻りだからな。ボリバル中、この街以外はどこもかしこも戦争、戦争、また戦争……本当、嫌になるぜ。

[喜んでいる男性観光客] あーあ、この場所に家を買えるほど金があったらなあ……

[残念がる男性観光客] おいおい、金ならあるだろ? ギャンブルに勝てばさ!

[喜んでいる男性観光客] ハハハッ、そりゃ確かに!

[情熱的なバーのキャッチ] そこの綺麗なお姉さん、うちのバーで働いてみないか?

[情熱的なバーのキャッチ] お姉さんみたいな美人なら、一晩でガッポリ稼げちゃうよ!

[チェン] 失せろ。

[チェン] カジノにバー、レストラン、カラオケ……この都市はそれ以外何もないのか。

[???] ――予選は今日で終了となります……

チェンは振り返った。それは、通りの店のショーウインドーに置かれたテレビから聞こえてくる声だった。

[テレビ司会者] 親愛なるドッソレス市民及び、観光客の皆さん。バカンスを満喫していますか~!?

[テレビ司会者] 私はと言えば……昨日はカジノで30万も負けてしまいました。ですが今日は、それを取り返してみせますのでご心配なく。

[テレビ司会者] ではでは、本題に入りましょう! 十日間の戦いを経て、ドッソレスウォーリアーチャンピオンの予選は本日終了となります!

[テレビ司会者] 午後三時、つまり今から三時間後に、我々は予選最後の一戦である大乱闘予選を迎えることになるのです!

[テレビ司会者] 本大会の熱狂的ファンなら絶対に見逃せないこの戦い! 予選会場へと足を運んで、エキサイティングな雰囲気を楽しみましょう!

[テレビ司会者] おっと、もちろん、炎天下や人混みが苦手な方もご心配なく! ご自宅のテレビで公式チャンネルをご覧になるだけでOKです。皆さんのために、我々が試合内容をライブでお届けいたしますよ!

[テレビ司会者] そうそう! 音楽好きならきっと大いに盛り上がる、こんな情報もご紹介しちゃいましょう。

[テレビ司会者] 既にご存知の方もいらっしゃるかとは思いますが、なんと! カンデラ市長がMSRグループの有名ミュージシャン、D.D.D.を今大会にお招きしたとのことです!

[テレビ司会者] しかも、この謎に満ちた覆面ミュージシャンは、自由奔放な電子音楽を披露してくださるだけでなく、今大会のゲストMCまで務めてくださるんですよ!

[せっかちな男性観光客] ニーナ、早くしろよ。聞こえなかったのか? あと三時間で予選が始まるんだぞ。

[面倒臭がりな女性観光客] あんな殴り合いのどこが面白いのよ。まったく、野蛮なんだから。

[せっかちな男性観光客] この大乱闘予選で勝ち残る選手っていうのが、大会のダークホースなんだよ。だからちゃんと見ないとダメなんだって。

[面倒臭がりな女性観光客] あっそ。じゃあ見てくれば。終わったら連絡ちょうだい。

[せっかちな男性観光客] お前って奴は……チッ、わかったよ。一人で行ってくる。

[音楽好きな男性観光客] おい、マジかよ……D.D.D.が来てるらしいって噂は何日か前に聞いてたけど、まさか本当だったとはな。

[音楽好きな女性観光客] 確か先月まではシエスタにいたはずよね。もうドッソレスに来てるなんて思わなかったわ。

[音楽好きな女性観光客] しかも彼女がゲストMCまで務めるんですって? カンデラ市長は一体どうやってD.D.D.を口説いたのかしら!?

[音楽好きな男性観光客] 「彼女」?

[音楽好きな女性観光客] あら、知らないの? D.D.D.は女性なんじゃないかって推測してる人はたくさんいるのよ。

[音楽好きな男性観光客] へえ、そうなんだ……まあ、俺は男だろうと女だろうとどっちでもいいけどな。何せあんないい曲作っちまうんだからさ!

大多数の人々の会話が、大会の話題で持ちきりであることに、チェンは気付いた。

[チェン] ……

[チェン] (確かにドッソレスにおいてこの大会は、多くの人々から注目を集めているようだ。)

[チェン] (……大会期間中に何かをしでかすつもりなら、その人物は必ず参加選手として紛れ込み、混乱を作り出す機会を伺うことだろう。)

[チェン] (と、なれば……)

[エルネスト] もしもし。ああ、チェンさん? ハハッ、ごめんね、ちょっと今取り込んでてさ。

[エルネスト] ――はぁッ!

[電話越しに聞こえる声] グハッ……!

[チェン] 交戦中か? 何があった?

[エルネスト] 話すと長くなるんだけど……まあ、簡単に言うと、リンさんが喧嘩を始めちゃったんだよね。

[チェン] 場所は? すぐに向かう。

[エルネスト] 了解。今いるのは……

3時間前

[ユーシャ] ……

[チェン] お前はなぜ、あの男の小間使いなどをしているんだ?

[ユーシャ] ……ふん、幼稚な奴。

[エルネスト] ――もしもし、リンさん? 何か俺にお手伝いできること、ありそうかな?

[ユーシャ] あなた、この都市には詳しいと言っていたわね。

[エルネスト] うん。

[ユーシャ] なら、どの勢力とも裏の繋がりがない小さなカジノとか知らない?

[エルネスト] 裏の繋がりがない……それってつまり、騒ぎが起きてもそこまで問題にならないところ、ってこと?

[エルネスト] だったら、心配しなくても大丈夫だよ。カンデラさんがいる以上、誰もリンさんに迷惑なんてかけられないからさ。

[ユーシャ] 違うわ。私が言っているのは、後腐れのないような店のこと。

[エルネスト] ……なるほど、了解。

[ユーシャ] ここがその場所?

[エルネスト] そう、ここはカジノバーでね。

[エルネスト] オーナーのアラスがゼロから築き上げた店なんだ。苦労してようやくこの通りに店を構えて、ここまで大きくしたんだよ。

[エルネスト] 周囲の勢力はどこも、この店を欲しがってるんだけど……今のところアラスからいい返事を引き出せた連中はいない。彼の石頭には歯が立たない、ってとこかな。

[ユーシャ] へえ。とってもいいじゃない。

[ユーシャ] じゃあ、あなたはここで待ってて。

[カジノの下っ端] いらっしゃいませ。バーとカジノ、ご利用はどちらでしょうか。

[ユーシャ] カジノの方よ。

[カジノの下っ端] ――す、すごい女が来ちまった……

[カジノの下っ端] だ、誰か! 早くオーナーを呼んで来い!

[カジノのオーナー] どこのどなたかは存じませんが……お嬢さん、あまり思い上がらないことです。こんな場所まで一人でやってきておいて、派手に勝ちすぎては……

[ユーシャ] 無駄話はやめて。――ハンドは?

[カジノのオーナー] やれやれ。――フォーカードですよ。フッフフ……

[ユーシャ] そう。私はストレートフラッシュよ。

[カジノのオーナー] そっ……そんなバカな!?

[ユーシャ] あなた、イカサマが下手なのね。

[カジノのオーナー] くっ……認めよう、お嬢さん。あんたの腕は確かなようだ。けどな……

[ユーシャ] いいからさっさと得物を出しなさい。私、急いでるの。

[カジノのオーナー] チッ。お前ら、かかれ!

[エルネスト] 確かに、事前調査で色々聞いてはいたけどさ……

[エルネスト] それにしたって、これが……龍門の鼠王、その娘のやり方なのか?

[チェン] 待たせたな。リン・ユーシャはどこだ?

[エルネスト] チェンさん! 来てくれたんだね。

[エルネスト] 実は……リンさんとやり合ってた奴、彼女に敵わないと悟ったら逃げ出しちゃってさ。彼女も、それを追いかけて行っちゃったんだよね。

[チェン] そうか。どちらの方向へ向かった?

[エルネスト] あっちだよ、ビーチのほう。

[チェン] わかった、見てこよう。

[ユーシャ] あいつ……逃げ足は早いのね。

[チェン] おい、リン・ユーシャ。お前、一体何をしてるんだ?

[ユーシャ] あら、チェン・フェイゼ。あなたこそ、何しに来たの?

[チェン] 質問に質問で返すな、まったく……

[カジノのオーナー] チッ……あのイカレ女、ぶっ倒せねえ上に撒くのもキツいとは……

[カジノの下っ端] ボス、これからどうしましょう?

[カジノのオーナー] どうするもこうするもねぇだろ、とにかく逃げるぞ。

[カジノのオーナー] ……っと。

[カジノのオーナー] あれは……大乱闘予選の会場か?

[カジノのオーナー] へっ、こりゃちょうどいい。お前ら、行くぞ! あそこに紛れ込むんだ!

[ユーシャ] ――見つけた。

[ユーシャ] 悪いけど今取り込み中であなたに構ってる暇はないの。

[チェン] 何っ……こら、待て!

[ユーシャ] あなたたち、もう逃がさないから。

[カジノのオーナー] こ……ここまでやっても追いついてくるのか?

[カジノのオーナー] フンッ。だがここには、頼まなくたって大量の助っ人がいるんだ。

[カジノのオーナー] ――お前たち、かかれ!

[チェン] ここは……先ほどテレビで言っていた、大乱闘予選の会場か?

[チェン] ちっ、仕方がない。こうなれば、まずは周囲の選手たちから片付けるか。

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