aklib_story_ウルサスの子供たち_習慣

ページ名:aklib_story_ウルサスの子供たち_習慣

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ウルサスの子供たち_習慣

ジュナーがグムの攻撃時の不思議な癖を指摘する。グムはそれを克服しようと試みるが、失敗に終わる。 彼女の癖は過去の経験が残した傷跡であり、それが完全に癒えるには、まだ時間がかかりそうだ。


グムは、ズィマー、イースチナとの三人が暮らす宿舎で二番目に目覚める。彼女には習慣がある。

イースチナに起こされると、彼女の手を握り、同じ方法で隣のベッドのズィマーを起こすのだ。

ただし、ズィマーが彼女の手を握るかどうかは、「冬将軍」が目覚めた時の機嫌次第ではあるが。

6:30 a.m.

ロドス宿舎エリア ズィマー、イースチナ、グムの宿舎

[グム] すぅ……すぅ……

[グム] (朝だ。)

[グム] (イースチナお姉ちゃん、そろそろ起こしに来るかな。)

[グム] すぅ……すぅ……

[グム] (お姉ちゃん、今日は遅いなぁ。疲れてるのかな?)

[グム] (これ以上待ってたら、朝の仕事に遅刻しちゃうよ。早く起きて、グム。)

[グム] すぅ……すぅ……

[グム] (グムならできる、グム、ファイト!)

[グム] すぅ……ううん、うーん。

[グム] よし、起きたよ!

[グム] あれ? 暗いなぁ。

[グム] ベッドライト、なんで消えちゃってるの?

[グム] イースチナお姉ちゃん? イースチナお姉ちゃん!

[グム] 変だなぁ、出かけたのかな?

[グム] ベッドを見てみよう。

[グム] ……

[グム] いない。

[グム] ホントに急いで出かけちゃったんだ。

[グム] 何かあったのかな?

[グム] あっ。

[グム] 書き置きがある……

[グム] 「グム、今日は用事があって出かけます。夜にならないと帰らないので、自分の面倒は自分で見てください。」

[グム] 「イースチナ――」

[グム] 「――とズィマー。」

[グム] ふーんだ、またグムを子供扱いして。自分の面倒くらい、言われなくてもちゃんと自分で見られるに決まってるじゃん!

[グム] でも、ズィマーお姉ちゃんも先に起きたんだ。

[グム] そっか……

[グム] あ、もうこんな時間! すぐに行かないと。

[グム] フライパンと、硬いかたーい盾を持って……

[グム] よし、準備完了。

[グム] 出発!!

11:28 a.m.

ロドス食堂 キッチン

ぐー――

[グム] お腹空いちゃった……

[グム] 朝は急ぎすぎて、何も食べられなかったし。

[グム] でもまずは仕事に集中しよう、終わったらご飯だから。

[グム] よぉし――

[グム] この料理できてるよ、受け取り口に持っていって!

[ジュナー] よし来た!

[グム] 次の料理は野菜スープだね! グム、ファイト!

[グム] ……

[グム] 完成!

[グム] これもできたよ、受け取り口にお願い!

[グム] 次の料理は……うーんと、揚げ餃子が一つ。

[グム] じゃああとはこの料理を運んでもらって、もう一つ作れば、朝の仕事は終わりだね。

[ジュナー] グム、こっちは手が回らないよ! 自分で持って来られる!?

[グム] わかった!

[グム] よいしょっと。

[グム] 盾よりも軽いね。

[グム] どこに持っていけばいいのかな?

[グム] ジュナー教官!

[グム] ……

[グム] ジュナー教官?

[グム] 変だなぁ。

[グム] どうして今日はみんなこんなにそそっかしいんだろ? 気付いたらもういないなんて。

[グム] まぁいいや、直接受け取り口の人に聞いてみよう。

[グム] 多分ここだよね、今日のお会計担当は――ギターノお姉ちゃん?

[グム] ギターノお姉ちゃん、こんにちは。

[ギターノ] これはこれは、熊のお嬢ちゃんではないか。

[ギターノ] 何故おぬしが鍋を持って出てくるのじゃ、手伝いは必要かの?

[グム] 大丈夫だよお姉ちゃん。この料理をどこに置けばいいか、グムに教えて。このままずーっと持ってたら冷めちゃうよ!

[ケオベ] ……

[ギターノ] それは野菜スープじゃな、わらわの記憶が確かならば、真ん中のはずじゃ。あちらのクーリエがおる場所じゃ。

[グム] わかった、ありがとう!

[ギターノ] 本当に手伝いは必要ないのか、熊のお嬢ちゃん?

[グム] 大丈夫だよ。じゃあまたね、ギターノお姉ちゃん。

[ギターノ] ……

[スポット] こっちを見るなよ、俺には持てないって。

[ギターノ] わかっておる。

[クーリエ] いらっしゃいませ、今日は何を召し上がりますか?

[クーリエ] 野菜肉煮込みと、野菜炒め、茶碗蒸しですね。わかりました。

[クーリエ] どうぞ、ごゆっくり。

[クーリエ] やけどには気をつけてくださいね。

[クーリエ] はい、ではまたどうぞー。

[グム] クーリエお兄ちゃん、料理ができたよ。

[クーリエ] おっと、ありがとうグムさん。

[グム] どういたしましてー。

[クーリエ] それっ!

[クーリエ] よっと! よし、これでオッケーっと。

[クーリエ] グムさん、お手数ですがこの鍋を持っていってもらえますか。

[グム] わかった!

ぐるる――――

[グム] うう……

[クーリエ] おや……本当にお疲れ様です。よかったらクッキーをどうぞ、小腹の足しにしてください。

[グム] わあ、ありがとう、クーリエお兄ちゃん!

[クーリエ] いえいえ、落ち着いたらしっかりご飯を食べてくださいね。

[グム] うん!

[グム] じゃあキッチンの仕事に戻るよ。またねギターノお姉ちゃん。

[ギターノ] 気をつけるのじゃぞ。

[グム] わかった!

ぐるるる――――

[グム] (もう少しでご飯だよ、グム。あとちょっとだけ我慢して。)

[ケオベ] おいしいごはん!

[グム] わああケーちゃんここに入ってきたらダメだよ!!

[ケオベ] ダメなの?

[グム] ダメ! 扉に張ってある紙は見た?

[ケオベ] 見たよ。

[ケオベ] 赤いまん丸に斜めの線が描いてあった。

[ケオベ] あとケーちゃんの顔も!

[グム] それは「ケーちゃん進入禁止」って意味だよ、わかる?

[ケオベ] わかるよ。

[グム] わかるならなんで入ってくるの!

[ケオベ] お腹空いた。

[グム] それならあそこに並んで注文してから食べて。

[ケオベ] お腹空いた。

[グム] と、とにかく、ケーちゃんは入ってきちゃダメなの! あそこに並んで!

[ケオベ] お腹空いた!

[グム] えーっと、うーんと……わかった、グムがどうにかするから!!

[グム] でもどうしたら……うーん……あっ!

[グム] ねえケーちゃん。もし……

[グム] グムがこのクッキーをあげたら、出ていくって約束してくれる?

[ケオベ] (くんくん)

[ケオベ] うん!

[ケオベ] いいよ!

[グム] じゃあ、はい……

[ケオベ] ありがとう!

[グム] どういたしまして……

[グム] はぁ……やっと出ていった……

ぐるるるる――――

[グム] まだ、まだ仕事が残ってるよ、あと一品……

[グム] もう少しだけ、少しだけだから。

ぐるるるるる――――

[グム] うう、おたまが重いよ……

[グム] フライパンももう振れない……

[グム] ……

[グム] もうダメ! グムも食べる!

グムには習慣がある。彼女は飢餓状態になると――

制御不能で食べる。

なんでも食べる。

[グム] ……

[グム] これはなにかな?

[???] ウム、ろうしあの?

[グム] わあ、柔らかぁい! えへへ、これ、絶対美味しいよ。

[グム] あーん。

[グム] あむ。

[ジュナー] うわああああ!!!

[グム] あれ?

[ジュナー] グム! なんで急に腰に噛み付くの!

[グム] えっ、うーん、あれれ?

[グム] ご、ごめんなさい教官!!!

11:55 a.m.

ロドス食堂 食事エリア

[グム] (パンを丸呑み)

[グム] (一口でスープを飲み干す)

[ジュナー] あ、慌てないでグム。ゆっくりよく噛んで食べなさい。午後には訓練もあるんだから。

[グム] (きれいに平らげる)

[グム] (おかわり)

[ジュナー] グム?

[グム] (食べ物バキューム)

[ジュナー] 今は話しかけない方がいいみたいね……

[ジュナー] 小言は後にしましょ。

[グム] ふわぁ、生き返った!

[グム] あれ? 教官は食べないの? お腹空いてないの?

[ジュナー] そりゃもちろん空いてるけど、私が持ってきた料理は全部あなたのお腹の中よ。

[グム] えっ、ごめんなさい教官!!

[ジュナー] いいわよ、また取ってくればいいだけだから。

[ジュナー] でも、そこまでお腹を空かせてたなんてね。朝ご飯食べてないの?

[グム] 今日の朝はちょっと寝坊しちゃって、食べる時間がなかったの。だから……

[ジュナー] なるほどね。それにしても、すごい量を食べたわね。あなたはもしかすると、どれだけ食べても食べ足りないってタイプかもね。

[グム] そうなの?

[ジュナー] ええ、たぶん。あそこのあの子と同じで。

[グム] ケーちゃん……どうしてまたキッチンに行こうとしてるの!? グムが――

[ジュナー] 大丈夫大丈夫、キッチンには専属の見張り役がいるし、入り口にもおやつを置いて足止めできるようにしてあるから。中に入られても大きな影響は出ないはずよ。

[グム] あのおやつカゴ? あれは仕事前に腹ごしらえするためのものだって思ってたよ。

[ジュナー] そのためでもあるだろうけど、効果があればいいのよ。

[ジュナー] ほら、出てきたでしょ?

[ジュナー] もしあのドアを閉め切っちゃったら、あの子はきっと傷つくわ。たまには中に入れてあげて、勝利を経験させてあげないと。そうすればあの子もそこまで大きな面倒事は起こさないでしょうし。

[グム] そういうことだったんだ。

[グム] じゃあ、見張り役っていうのは誰?

[ジュナー] 今日はギターノのはずよ。

[グム] なぁるほど! ギターノお姉ちゃんならきっと最初から、この結果もお見通しだね。

[ジュナー] そうだ。ねえグム、ひとつ聞きたいことがあるの。午後の訓練にも関わることなんだけど。

[グム] うん、何でも聞いて。

[ジュナー] あなたは腕を連続して素早く振れない、あるいは振らないようにしてるように見えるけど、理由を教えてくれる?

[グム] えっ?

[ジュナー] 実戦の時も、キッチンで包丁を使う時も、二回腕を振ったらそこで一旦止まるでしょ。

[グム] 多分……習慣……だと思うよ。

[ジュナー] 習慣――ね。それなら仕方ないって言ってあげたいところだけど、良い習慣とは言えないわ。直るかどうか試してみない?

[ジュナー] 戦場で動きが止まっちゃうと命に関わるし――

[ジュナー] もしそれが克服できれば、次のロドス包丁使い大会のチャンピオンの称号は、あなたに贈られるかもしれないわよ。

[グム] ……

[ジュナー] やってみない?

[グム] ……

[グム] 試して……みる……

[ジュナー] よし、じゃあ午後の重装オペレーターの研修が終わった後に、挑戦しましょ。

[ジュナー] 効果があるかないかはやってみてからね。

[ジュナー] 今はとにかく――

[ジュナー] お腹を満たしましょう。

[グム] うん。

3:00 p.m.

ロドス訓練センター 重装オペレーター訓練室

[ジュナー] これが今日最後の訓練よ、みんな気合い入れて。

[ジュナー] プランク四セット、用意――

[ジュナー] 始め!

[ジュナー] 残り十秒!

[ジュナー] 三、ニ、一!

[ジュナー] そこまで!

[ジュナー] 今日はこれでおしまい! みんなゆっくり休んでね。

[重装オペレーターたち] はい!!!!

[ジュナー] グム。覚えてる?

[グム] 覚えてるよ、教官。

[ジュナー] じゃあお昼に話したこと、試してみましょ。

[グム] うん!

[ジュナー] 私は訓練用の盾を取ってくるわね。あなたは手頃な武器を使うといいわ。

[ジュナー] リラックスするのよ。その方がうまくいきやすいと思うから。

[グム] わかった!

[ジュナー] いい? グム。今から全力で、かつ連続で私に攻撃しなさい。

[ジュナー] さっきの訓練でヘトヘトだろうけど、そんな状態だからこそ意味があるのよ。

[ジュナー] わかった?

[グム] わかった。

[ジュナー] よろしい。じゃあ残った力を全部ぶつけてきなさい。

[グム] たあっ!

[ジュナー] もう一回。

[グム] はあっ!

[ジュナー] もう一回。

[グム] やあっ!

[ジュナー] もう一回、手を止めるな!

[グム] はっ!

[ジュナー] もう一回!

[ジュナー] (ここまで疲れていたら、意思の力だけで筋肉をコントロールするのは難しいわ。普通なら勢いで三発目を振り下ろしてしまうはず。それなのに……)

[ジュナー] (どうして三発目が出ないの?)

[ジュナー] (この子は、無意識に攻撃を止めてるってこと?)

[ジュナー] グム、三発目を出しなさい!

[グム] できないよ!

[ジュナー] やりなさい!

[グム] 本当にできない!

[ジュナー] これは命令よ!

[ジュナー] グム!

[ジュナー] 命令よ、振り下ろ――

料理人のグムには、習慣がある。

彼女は、ものを切る時は二回しか切らない。もし三回目を振り下ろせば――

まな板を、調理台ごと叩き切ってしまうからだ。

[ジュナー] うわっ!

[ジュナー] うっ、はぁっ、はぁっ……

[グム] 教官!

[ジュナー] うん、大丈夫。でもこんな重い衝撃は久々に味わったわ。

[ジュナー] これもあなたの習慣の一つ?

[グム] ごめんなさい教官……

[ジュナー] 謝らないの! 私はピンピンしてるでしょ。

[ジュナー] でもこの問題は、ちょっと複雑みたいね。

[ジュナー] あなたは連続して攻撃すると、手を止めない限り三発目に無意識で全力を出しちゃう、そうでしょ。

[グム] うん……。

[ジュナー] 四発目もきっと振れないでしょうね。

[ジュナー] さっきのをもしキッチンで出してたら、まな板は真っ二つだし……

[ジュナー] ポイントだけ克服すればと思ってたけど、これはちょっと大変そうだわ。

[ジュナー] 私が急ぎすぎたのね。ごめんなさい、グム。

[グム] だ、大丈夫だよ。

[グム] それにグムこそごめんなさい。教官に迷惑かけちゃって……

[ジュナー] それはいいって言ったでしょ? じゃあ今日はここまでにしましょうか。戻ってゆっくり休んでね。私は今後、どうしていくか考えてみるわ。

[ジュナー] もしまた試してみたくなったら、いつでも私に言ってちょうだい、グム。

[グム] うん……じゃあグム、先に戻るよ。

[グム] またね、教官。

[ジュナー] ええ、じゃあね。

[ジュナー] ……

[ジュナー] (腕がじんじんする。)

[ジュナー] (ああ、肩まで痺れてるわ。)

[ジュナー] (ウルサスのボーイスカウトはなんであんなに力が強いのよ。)

[ジュナー] (医療部にガヴィルの顔を拝みに行く必要がありそうね。)

[ジュナー] (ついでにおやつを持ってってあげるか。)

4:30 p.m.

ロドス宿舎エリア ズィマー、イースチナ、グムの宿舎

グムは一人で宿舎に戻った。

グムは部屋の明かりを付けなかった。

グムは「盾」を壁に立てかけ、

盾と壁の隙間に潜り込んだ。

グムはなにも間違ったことはしていない。

でも、グムはただ悲しかった。

支えてくれるみんなの役に立ちたい、そう思うのに――

グムは失敗した。

ロドスに来てから、グムにはたくさんの「習慣」が増えた。

グムは一部の習慣が周りに迷惑をかけていることを知っている。

だがグムはそれを変えることはできない。

グムは「グム」を変えることができないのだ。

グムには習慣がある。

それはどこへ行く時も絶対に、金庫の鉄扉で作った盾とフライパンを持っていくこと。

グムには習慣がある。

それは歯磨き粉を限界まで使ったら、最後は直接口で吸って歯に塗りつけること。

グムには習慣がある。

それは、高い所に立つ時に、絶対にふちから距離を取ること。たとえそこに落下防止用の柵があっても。

[???] ......

グムには習慣がある。

それは飢餓状態になった時に、制御不能で、周りのものに齧り付くこと。もし周りに何もなければ……

[???] ......?

グムには習慣がある。

それは真っ暗な場所に長くいた時……

[ズィマー] なんだ、戻ってたのかグム。なんで明かりを付けないんだ?

――だが。

――だが。

ズィマーとイースチナの前では、すべての習慣は習慣でなくなる。

[グム] !?

[イースチナ] また何か嫌なことがあって、部屋の隅で泣いているんですね。

[グム] (泣き声)泣いてないよ!!

[イースチナ] 泣いてるじゃないですか。

[ズィマー] ったくしょうがねーな。

[ズィマー] ほら、片付けるぞ。そろそろリェータの奴が来るからな。

[グム] わかった、ズィマーお姉ちゃん。

[イースチナ] ズィマー、これを。

[ズィマー] チッ。

[ズィマー] グム、ちょっと来い。

[グム] うう、ちょっと待って!

[ズィマー] いいから来い。

[グム] ううー。

[グム] ズィマーお姉ちゃん、グム、顔くらい自分で拭けるよ……

[ズィマー] 動くな。

[グム] ううん……

[ズィマー] これでよし。ハンカチは洗ってイースチナに返してやれ。

[グム] うん。

[ズィマー] まったく、今日はどうしたってんだ。言ってみろ。

[グム] えっと……

[イースチナ] ズィマー。

[ズィマー] ああ?

[イースチナ] (シーッ――)

[ズィマー] そうだな、聞く必要もねえか。

[ズィマー] 仕事だグム、買い出しは済んでるから、後はオマエたちに任せる。

[グム] あれ、今日は何か特別な日だっけ?

[イースチナ] 今日はロドスに来て一年の記念日です。ズィマーも珍しく早起きしたんですよ。明日は雨が降るかもしれませんね。

[ズィマー] ってことでアタシは疲れた。横になってるから、あいつが来たら起こしてくれ。

[イースチナ] そんなこと言わないで動いてください。まだやることが山積みですから。

[ズィマー] 知るか。疲れてるって言っただろ。

[イースチナ] 仕方ないですね……グム、例のやつをお願いします。

[グム] えっ、アレを? 本当にやるの?

[イースチナ] 私は飲み物と食べ物を分けるので、ズィマーを起こす任務は任せました。

[グム] わかったー。

[グム] ふふーん。

[グム] ズィマーお姉ちゃーん。

[ズィマー] 何だよ。

[グム] グムはズィマーお姉ちゃんのことがだーーーい好きだよ。

[ズィマー] 気持ち悪いこと言うな、アタシは寝るから。

[グム] ズィマーお姉ちゃーん、えへへー。

[ズィマー] のしかかってくるな。

[グム] こちょこちょー。

[ズィマー] おいっ! あああわかった起きるよ、起きる!!

[グム] イースチナお姉ちゃん、やったよ!

[イースチナ] ふむ、ではしっかり働いてもらいましょう。まだまだやることはたくさんありますからね。

[ズィマー] チッ、朝から散々荷物を持たされた挙げ句、なんでまだ働かなきゃいけないんだ。

[イースチナ] リーダーになるということはそういうことですよ。

[グム] そういうことだよ、へへーん。

[ズィマー] あーめんどくせ。

[ズィマー] 開いてる、入れ。

[ズィマー] お、もう来たのか。じゃあこいつを持っててくれ。物が多くてな。

[ズィマー] お祝いするには、ちゃんと全部片付けねーとな。

[リェータ] ここに来て一年か。お前ら、よくそんなこと覚えてたな。

[リェータ] うわっ、これはっ!?

[リェータ] 私の大好物じゃねーか!?

[リェータ] でもこれ、安くはなかっただろ?

[ズィマー] 細かいことはいいんだよ、今日はアタシのおごりだ。

[リェータ] へへっ、いいとこあるねぇ。

[ズィマー] ボーっと突っ立ってないで手伝ってくれ。

[リェータ] はいはい、任せとけって。

[リェータ] これはここに置けばいいか?

[ズィマー] それはアタシがさっき持ってったやつだろ!

[グム] あはははは。

グムには習慣がある。

楽しい時は、笑う。

心の底から笑う。

グムは、みんながそうであってほしいと願っている。

[イースチナ] 終わりました。

[イースチナ] ズィマー、何か挨拶を。

[ズィマー] そんなのいらねぇよ、食うぞ。

[ズィマー] ウラー!

[イースチナ] ウラー。

[リェータ] ウラー!!

[グム] ウラー!

[グム] (みんなで集まるのは久しぶりだなぁ。)

[グム] (……)

[グム] (次はナターリアお姉ちゃんも来てくれるといいのに。)

[ズィマー] 入っていいぞ、開いてる。

[ケオベ] (キョロキョロ見渡す)

[ケオベ] クマちゃん、いる?

[グム] ケーちゃん! どうしたの?

[ケオベ] いた!

[グム] えっ、グム?

[ケオベ] あのね、クマちゃん。

[ケオベ] お昼にクッキーを貰ったから、お返しに来たよ。

[ケオベ] ヴァルカンお姉ちゃんが作り方を教えてくれたの。ほら、できたてだよ!

[グム] うわあ、ありがとう! でもちょっと……大きすぎるよね?

[ケオベ] そうかな。早く食べてね! 冷めたら美味しくなくなっちゃう。

[ケオベ] じゃあ、ばいばい。

[グム] あっ、ケーちゃんちょっと待って!

[グム] 行っちゃった……

[リェータ] そりゃ(ウルサスの感嘆詞)クッキーか?

[ズィマー] あいつがそう言うならそうなんだろ。

[ズィマー] ポカンとしてどうしたんだ、食えよ。

[グム] (今夜はお腹いっぱい食べられそう。)

[グム] (嬉しいな。)

9:00 p.m.

ロドス宿舎エリア ズィマー、イースチナとグムの宿舎 グムの部屋

[グム] ふぅ、楽しかったなぁ、でもそろそろ寝ないと。

[グム] ベッドライトちゃんを点けて……

[グム] あれ? なんで点かないの?

[グム] 壊れちゃったのかなぁ?

[グム] そういえば、朝も消えてた……

[グム] あの時にはもう壊れちゃってたの?

[グム] どうしよう……

グムには習慣がある。

グムは夜眠る時、必ずベッドライトを点ける。

[イースチナ] グム。

[グム] どうしたのイースチナお姉ちゃん。

[イースチナ] 今日は一緒に寝ていいですか?

[グム] い、いいよ!

[イースチナ] ズィマー。

[グム] ズィマーお姉ちゃんも今日はここで寝るの?

[ズィマー] ああ、まぁそうだな。

[ズィマー] でも、イースチナ。

[ズィマー] グムのベッドに三人も寝られるのか……?

[イースチナ] 詰めればどうにかなりますよ。

[ズィマー] グムが潰れてクマちゃんクッキーになっちまうぞ。

[グム] グムは大丈夫だよ、ズィマーお姉ちゃん。

[ズィマー] ならいいけど。もし息苦しかったり暑かったら言えよ。アタシは戻るから。

[グム] わかった。

[イースチナ] じゃあ電気を消しますね、おやすみなさい。

[ズィマー] おやすみ。

[グム] おやすみ~。

[ズィマー] 前にこうやって一緒に寝たのはいつだったっけ?

[イースチナ] 忘れました、思い出したくもありません。

[グム] グムも思い出せないよ。

[ズィマー] あー余計なこと言っちまったな、寝るぞ。

[イースチナ] Zzz……

[ズィマー] こいつ、こんなにすぐ眠るのか?

[グム] ……

[ズィマー] グム?

[グム] Zzzzzz……

[ズィマー] 目を閉じても眠れねーのはアタシだけってか……

[ズィマー] なんだよ……

[ズィマー] あーもういい、明日も仕事の山だ、めんどくせぇ。

[ズィマー] ……

[グム] (へへっ。)

[グム] (ズィマーお姉ちゃんは可愛いなぁ。)

[グム] (おやすみー。)

グムには習慣がある。

......

自治団のウルサス人たちや、ズィマーとイースチナ。

彼女たちとともにあること。

それが、グムの習慣だ。

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