マジンカイザーSKL(OVA)

ページ名:マジンカイザーSKL_OVA_

登録日:2011/01/28(金) 20:22:00
更新日:2023/08/17 Thu 18:22:20NEW!
所要時間:約 100 分で読めます



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俺達が
俺達が






画像出典:「マジンカイザーSKL」(2011年1月28日から2011年4月7日までリリース/全3巻)第1話「Death caprice」より
© 2010 永井豪/ダイナミック企画・マジンカイザー製作委員会


!!




『マジンカイザーSKLスカル』は2011年より展開されている新たな『マジンカイザー』シリーズ。OVA全3話。
監督は川越淳、脚本は早川正と『鋼鉄神ジーグ』のコンビが手掛けている。


2001年に販売されたOVA『マジンカイザー』シリーズの最新作であるが、メカ、キャラクターともに本作オリジナルの設定が多く取り入れられ、主役ロボ『マジンカイザー』も今作ではデザイン、武器共に一新されている。


作中では尺の都合により、世界観やキャラ・機体等の設定についてはあまり多くは語られないため、これらの理解を深めるためには、主要スタッフ自らが解説している以下4点を抑えておく必要がある。*1
 -BD/DVD収録のオーディオコメンタリー+ブックレット
 -公式ムック「魔神大戦21」
 -先行上映イベント限定販売のパンフレット
 -ustream配信動画「マジンカイザーSKL バトル2 前前前夜祭!」


このほか、構成・脚本担当の早川氏本人が後に手がけた『猟界のゼーレン』『スーパーロボットINFINITISM』においても『SKL』関係の設定が新たに判明することがあり、その点では現在も時折展開のあるコンテンツである。


OVAだけでは気付きにくいが、これらの関連作品や各所でのスタッフコメント等を見ていくと、ダイナミックプロ作品のネタが大量に取り込まれている他、過去のマジンガーシリーズとも全くの無関係ではないことがわかる。






【あらすじ】


「先の大戦」終結後、重力カーテンによって閉ざされてしまった『奇械島』。そこでは『キバ軍』、『ガラン軍』、『八稜郭』の三つ巴の戦いが繰り広げられていた。
各勢力が所有するプラントへエネルギーを供給する重力炉の限界が近いことを察知したWSOは、『奇械島重力炉停止作戦』をスカルフォースに命じる。
グレンファルコン隊の一員として奇械島にやって来た由木翼が見たものは、キバ軍、ガラン軍にたった一機で立ち向かう『魔神』だった…。




【登場組織・人物】


〈WSO〉


世界広域監視機構。前身である国際連合や国連軍を手本としつつ、よりグローバルな視点による地球規模の行政と安全保持を目的に組織された。
本部は極東二区(かつての日本)にあり、失われた技術の解析・運用に力を注いでいる。
また、戦闘用ロボットや最新兵器を保有する防衛軍事部門を持ち、無法地帯に現れる支配者を潰し、そのエリアを監視下に置いて治安を回復させることも人類復興のための大義としている。




神に会うては神を斬り
悪魔に会うては、その悪魔をも撃つ



戦いたいから戦い



潰したいから潰す



!!



CV.浅沼晋太郎
傭兵上がりのマジンカイザーのパイロット。
常にナイフを携帯しており、カイザーの操縦においても巨大な牙斬刀を巧みに用いた近接戦を得意とする。
理屈や建前を嫌い、どんな相手に対しても何も考えず真正面から斬り込んでゆく砲弾のような男。


スカルフォース・デスカプリース隊所属。階級は特務中尉。コードネームはアモン6


『PROJECT KAISER 誕生編』:
関東地獄砂漠をマント、コンバットナイフを伴って歩き、無法者と戦うという『バイオレンスジャック』を髣髴させる出で立ちで登場。*2
敵のロボットを奪って格闘だけで百体近いロボット軍団を全滅させたことがあるとのことで、カイザー以前にもロボット操縦の経験はあったようだ。


『猟界のゼーレン』:
小説版にはハイティーンの頃の海動らしきキャラが登場。
一流の潰し屋であり機甲闘士(グラップル・トルーパー)の元チャンプでもある鋼光一(モチーフは『アイアンマッスル』の同名キャラ)と行動を共にし、生きぬく術を学んでいた。
作中で出会った超能力者の美剣千草(モチーフは『凄ノ王』の同名キャラ)から「強烈な吸引力を持つ野良犬の匂いがする」と評された。


『スーパーロボットINFINITISM』:
今回も美剣千草共々登場し、SKL型のカイザーに乗って甲児と共闘したり、生身で変異体ビーストと戦ったりして暴れている。
ちなみに千草の記憶によると、こちらでも海動は「野良犬の匂い」がするらしい。
なお、最終決戦では機甲闘士(グラップル・トルーパー)の素質を持つがゆえに、脳に深刻なダメージを及ぼすという逆転移症候群(インバージョン・シンドローム)すらも戦闘に利用している。
これは『猟界のゼーレン』で海動が師事していた鋼光一の出典元である『アイアンマッスル』において、光一の父親も発症していたものである。



CV.日野聡
傭兵時代から海動とコンビを組んできた、もう一人のマジンカイザーのパイロット。
冷静沈着に見えて、海動に劣らぬ残虐性を秘めている。
斬り合い、殴り合いを好む海動とは対照的に、二挺拳銃ブレストリガーによる早業で、触れたことさえ気付かせずに敵をなぎ倒す。また、近接戦もこなす。
実は「エルプスユンデ」という人造人間であり、その素性を忌み嫌っている。


スカルフォース・デスカプリース隊所属。海動と同じく特務中尉。コードネームはルシファー4
5秒も待てない早漏。


『PROJECT KAISER 誕生編』:
WSOの正規軍が介入できないような案件を担当していた有名な潰し屋で、海動と並んでもう一人の「死神」と呼ばれる。*3
必要に応じて巨大ロボットも扱うことがあるとのことで、海動と同様、カイザー以前にもロボット操縦の経験はあったようだ。
エルプズュンデ*4(人造人間)に関する技術を有するという精密医療機器メーカー「ミドロ・コーポレーション」からの出向組であるドクター砂沢は、真上に会った際に足を止めて驚くシーンがある。
これに関して由木から理由を問われた砂沢は、なかなかの二枚目だからと評して誤魔化し、それ以上は語られなかったが……


『猟界のゼーレン』:
真上本人は登場しないが、上記の「ミドロ・コーポレーション」とそのCEOである美登呂遼(みどろ・はるか)、及び部下であるドクター砂沢(何故かダイナミックプロ所属の風忍氏に激似)が登場。
真上のモチーフの一つである『ガクエン退屈男』の身堂竜馬は、美登呂遼の曾祖父である美登呂虎乃助のモチーフ(『ガクエン退屈男』の三泥虎の助)と深い関係性があり、どちらも人造人間に関連するキャラクターであること、また、小説版では美登呂遼は42歳ではあるが美しい青年に見える上、64年前の出来事をまるで見てきたかのように語るシーンがあること、さらに、読みこそ違うものの、名前に真上と同じ「遼」が使われていたりすること、等を踏まえると、真上遼も美登呂遼も虎乃助をベースとしたエルプズュンデなのかもしれない。


『スーパーロボットINFINITISM』:
美登呂虎之介が早乙女研究所のオブザーバーとして、美登呂遼がマリア&甲児の技術協力先として登場する。
また、美登呂遼が用意し、SKL型のカイザーに搭載された遠隔ナビゲートシステム「TRANOS」は、虎之介をイメージさせる名前でありながら性格や口調は真上そのもの。
本体は「ミドロ・コーポレーション」の実験室にあり、そこには百体分の培養カプセルのポッドが並び、パラレルコードで繋がっているという描写がある。
十中八九エルプズュンデ関連の技術であり、この世界における真上遼のようなものと言えよう。
ちなみに最終決戦において、「TRANOS」が己の創った精神世界の中で力を使い果たした海動の生存を願うという展開は、『バイオレンスジャック』に出演した身堂竜馬が並外れた精神エネルギーにより故人の相棒・早乙女門土を複製創造していた、というエピソードを思い起こさせるものである。


なお、OVAのオーディオコメンタリーでは、真上はエルプズュンデ(エルプスユンデ)を最初に研究していた家系と関わりがあることや、「先の大戦」時にエルプズュンデを作っていたのが奇械島であり、キバやガラン、八稜郭の面々も作られた存在であること、等が明かされている。
上述の関連作品を見ていくと、この家系というのが、美登呂のことを指しているのは想像に難くない。
ちなみに『スーパーロボット大戦UX』では、そもそも発売が「魔神大戦21」と同時期なのもあり、上記の研究者に当たる存在がUXオリジナルキャラのノーヴル・ディランだったことになっている。



  • 由木翼

CV.早見沙織
スカルフォース・グレンファルコン隊所属の技官。
奇械島に突入の際の事故からただ一人脱出に成功し、八稜郭の女達に助けられる。
海動や真上とは同僚であり、重力炉を停止させるという重大任務の完遂のため、二人に協力を要請する。


最終的に2人に感化されたようで、優等生が相棒になった感じになり、3人のチームが完成したという。
スカーレット大尉のスカーフを巻き、階級も中尉から大尉になった。
正式にデスカプリース隊の一員として、2人と一緒に色んな任務に派遣されるようになっているらしい。


モチーフは『デビルマン』の牧村美樹とのことだが、海動・真上のモチーフが『ガクエン退屈男』の早乙女門土・身堂竜馬+『デビルマン』の不動明・飛鳥了であるため、由木にも『ガクエン退屈男』の錦織つばさの成分が含まれているのかもしれない(名前が同じであるだけではなく、最終的に3人が協力体制になるところも共通している。
ちなみに、門土・竜馬・つばさの3人組の活躍はゲスト出演した『凄ノ王伝説』等でも描かれている)。*5


『PROJECT KAISER 誕生編』:
アカデミー時代からの期待の星であり、在学中に上級分析官のライセンスを取得し、主席で卒業した秀才。
前任者達が成し遂げられなかった任務(カイザーのブラックボックスを回避するリレープログラムを完成させたり、ウイングルを復元したり)を次々と達成し、研究施設が傭兵部隊に占拠された際には誰よりも早く気付き、瞬時に対象の人員把握とシャッターの遠隔操作による戦力分断を行ったりとスカーレットも絶賛する活躍を見せた。
一方で面と向かってかわいいと言われ、対処に困っているような意外なシーンもあった。


『猟界のゼーレン』:
本人は登場しないが、小説版には『PROJECT KAISER 誕生編』で由木が室長を務めていた組織(LLI;遺物科学運用開発室)が登場する。



  • スカーレット・ヒビキ

CV.浅野真澄
スカルフォース・グレンファルコン隊の指揮官を務める女性大尉。
姉御肌で弱音を吐くヤツには「チンカス野郎!!」と激をとばす勇猛な性格。
また、優秀なパイロットでもあり、先行したカイザーと合流して作戦を成功に導くはずだった……
ちなみにOPには毎回出る。
グレンファルコン隊の部下の面々は、よく見ると『凄ノ王』の不死団及び『バイオレンスジャック』の朱紗一族がモチーフとなっている。
朱紗一族にはスカーフを巻いた長髪の女傑もいるため、このキャラがスカーレットのデザインモチーフなのかもしれない。


『PROJECT KAISER 誕生編』:
海兵隊の教官を務めながら、軍属に顔が利くためカイザーのリブートプロジェクトの責任者である由木の補佐としてWSO内部の調整等に奔走。
カイザーの操縦適応者探しに苦戦するも、情報特務二課のウィルヘルム・オーディン少佐(モチーフは『アイアンマッスル』の同名キャラ)から海動と真上を紹介され、二人を手懐けてカイザーと引き合わせる(ちなみにオーディンは『猟界のゼーレン』においてもWSOの作戦に必要な傭兵役として海動を紹介している)。
漫画版同様、形状記憶合金で出来た「メタルスナッパー」と呼ばれるムチにも槍にもレイピアにも変化する武器を使ったり、ウイングルに乗ってOVA版同様のブレイクダンスのような動きでツインアームブレードを扱ったりして戦闘面でも大活躍した。
ちなみに本人曰く、これでも昔は人形遊びが好きな普通の女の子だったらしい。


『猟界のゼーレン』:
WSOのスクランダー部隊の追加隊員として少尉時代のスカーレットが登場。
相変わらずイチモツ、ふにゃチンといった言葉を口にしながら他者を叱咤激励するシーンがある。
ちなみに同じく追加隊員として登場したニコラス・ヘイデン兵曹長は、『PROJECT KAISER 誕生編』ではグレンファルコン隊の中でスカーレット以外で唯一生き残ったキャラ。



  • 荒神谷

CV.長克己
WSO参謀長にしてスカルフォース長官であり、さらに地球政府最高議長を兼任している。
モデルは『バイオレンスジャック』最終回でメガロポリスカントウ行政長官となった「逞馬竜」。
二十代でジャックに関する情報収集を開始し、関東復興の歴史書に記録し続ける生き様は、失われた技術の解析・復興を掲げるWSOの理念にも通じるものがある。
なお、ジャックを「荒ぶる神」と表現していたが、その文言は『SKL』においては自身の名前に使われることになる。


『PROJECT KAISER 誕生編』/『猟界のゼーレン』:
どちらの作品にも同じ役職で登場し、70歳を超えているが体格は良く、高い統率力を持っている点も共通している。
ちなみにそれらの作品では、唐古よりもWSO防衛軍の事務次官である垂柳というキャラと相談するシーンが多い。
これらWSOの幹部3人や上記のドクター砂沢は、弥生時代の遺跡にちなんだネーミングと思われる。
WSOが人類史の遺産を扱っていることを意識したものなのかもしれない。



  • 唐古

CV.松山鷹志
WSO防衛軍の参謀で、荒神谷に次ぐナンバー2の立ち位置。何故か『マジンガーZ』のボスに似た姿をしている。
幾つかのサイトや書籍では「唐吉(とうきち)」と記されているが、設定資料や関連作品を見る限りは「唐古(からこ)」が正しいようだ。


『PROJECT KAISER 誕生編』:
WSOの巨大戦闘ロボの開発を手掛けるロボットメーカー「アダム・ロボテック」に、カイザーの再解析への協力を打診する役目を担った。
ちなみに「アダム・ロボテック」のCOOは『獣神ライガー』に登場するリュウ・ドルクで、『猟界のゼーレン』の小説版にも同じ役職で登場している。
リュウ・ドルクの父でありカイザーの調査プロジェクトの責任者であったアダム・ドルクは過去の調査時の事故が原因で死亡していたため、唐古は多少の小言を言われる羽目になった。


『猟界のゼーレン』:
ボス似のキャラではないが、同じ苗字を持つ初老のWSOメンバーが登場している。
2隻しかない新鋭艦の艦長を務めていたり、荒神谷からも信頼されていたりするところをみると、外見が変更されただけで同一人物なのかもしれない。




〈八稜郭〉


奇械島の勢力のひとつで、女の園。他の勢力同様、ロボットを生産するプラントを持つ。
他の勢力とは違い、他の勢力を制圧しようとはしていない。
これらの設定は、『バイオレンスジャック』の地獄街が3エリアに分かれており、その内の1地区のリーダーが争いを好まない女性であるアイラ武藤(アイラ・ムー)であったことのオマージュであるといえる。
なお、美人揃いだったり超能力を持っていたりするのは、エルプズュンデとして意図的に調整されたものだという。



  • アイラ

CV.田中敦子
八稜郭を治める美女。カイザー、キバ軍、ガラン軍の戦いを見守る。
モチーフは漫画版『ゴッドマジンガー』及び『バイオレンスジャック』のアイラ・ムー。



  • ハリケーン

CV.白石涼子

  • ファンシー

CV.高橋美佳子

  • フラッシュ

CV.喜多村英梨

  • ミスティ

CV.清水愛
八稜郭を守る女性達のリーダー。サイコギアを駆って、他勢力と戦う。
モチーフは『キューティーハニー』のハニーの七変化の各形態及びそれらを基にした『バイオレンスジャック』の如月ハニーの協力者達。




〈キバ軍〉


海沿いの『キバの砦』にたむろう某世紀末のヒャッ八ーみたいな連中の集まり。



  • キバ

CV.檜山修之
ゴロツキ共の頭領。ロボット軍団を率いて奇械島の支配を目論む。
専用ロボ『爆劉鬼』に搭乗し、仇敵マジンカイザーを執拗に付け狙う。
「キバってくぞー!」
モチーフは『ズバ蛮』及び『バイオレンスジャック』のズバ蛮。


脚本担当の早川氏によるとキバは元々ガランの手下であったが、最大勢力であるガラン軍から独立してキバ軍を立ち上げた過去があるとのこと。
これは、ガラン(の機体)のモチーフがスラムキングであることを踏まえると、元ネタ作品における対立関係のオマージュであるといえる。



  • ゴウダ

CV.飛田展男
キバの副官。ぺっちゃんこ。『放送コードに引っかかりますよね』
『凄ノ王』や『マジン・サーガ』『デビルマン・サーガ』及び『バイオレンスジャック』に登場する合田と同じ名前だが、見た目や性格は全く似ていない。
ちなみに『PROJECT KAISER 誕生編』にはサルバドール・合田という傭兵が登場する。




〈ガラン軍〉


山岳地帯の城を拠点とする軍団。キバの輩とは異なり、きわめて統制された兵士から成る。



  • ガラン

CV.銀河万丈
カイザーとキバ軍を戦わせ、漁夫の利を狙うガラン軍の首領。
武将のような姿をしている。



  • ヒミコ

CV.井上喜久子
ガランに忠誠を尽くす、妖艶さを漂わせる側近の女性。
モチーフは『骨法伝説夢必殺拳』及び『バイオレンスジャック』の火神子(スラムクイーン)。
実はアイラの姉であり、元々は八稜郭に属していたらしく、元ネタ作品のように何か訳ありでガランに付き従っていたのかもしれない。



この他にも、『デビルマン』の不動明や牧村美樹、『マジンガーZ』のローリーやボスなどがカメオ出演している。
探してみよう!




【登場ロボット】


我らが魔神皇帝。本作ではデザインが一新されている。作中では基本的に「カイザー」とだけ呼ばれる。
海動と真上にしか使いこなすことができない二人乗りの最凶ロボ。
スカルパイルダーとドッキングして起動する。
詳細は項目参照。


武器も一新されており、身の丈を超える大剣『牙斬刀』や、胸のいわゆるブレストファイヤー部分から分離される二挺拳銃『ブレストリガー』を駆使して戦う。
この巨体で繰り出すガン=カタはかなりかっこいい。
また、マジンガー伝統のロケットパンチ『トルネードクラッシャーパンチ』を装備している。


『PROJECT KAISER 誕生編』:
作中の20年前、富士山麓にある研究施設跡の地下に鎖で繋がれていたところをWSOの地質調査隊により発見された。*6
発掘当初は特殊な組成でできた未知の合金が特定の環境下に長時間曝されたことにより大量の放射線を発しており、カイザーの傍に近寄った人々が次々と倒れていく事故が発生し、後に由木がリーダーとなって再解析を始めるまでは凍結されていた。
半減期が終了し、機体の解析が再開された際には以下のような特徴が明らかになった。


◆エモーションセンサー
髑髏型のコクピットに組み込まれている、搭乗者の精神状態と連動するセンサー。その範囲に応じて各部位のリミッターが解除される。
つまるところパイロットの気迫がロボットそのものの基本性能に影響を与える強力なシステムであるが、集中力や闘争本能等を何百倍にも増幅させる代わりに脳の活性化が連鎖し、並みのパイロットはパニック状態に陥る。
作中では「環境や訓練により精神をコントロールする能力に著しく長けた人間」または「システムとリンクさせるために、意図的に創り上げられた人間」でもなければ操縦は不可能だとされている。


◆グラビティ型光子縮退炉
詳細不明の動力源。仮に上記のリミッターを最大限に開放した場合、この時代の一般的なロボットの出力より百万桁は違う、殆ど無限と言ってもいいパワーを引き出せるとのこと。


◆専用武装
「強力なレーザー」「金属腐食ガス発生装置」「超熱線放射装置」などが内蔵されているが、リミッター弁が解放されていない状態では使用できない。
通常時には由木が用意した外部装着兵器(ブレストリガー、牙斬刀)以外では「前腕部を高速回転させながら発射する不可思議な装備」ぐらいしか使えないが、この武装は絶大な硬度を誇る合金の拳を5基の高出力ブースターで押し出すことで核爆弾の三分の一弱の破壊力を生むとのこと。


なお、本作においてはカイザーはいつ、どこで、誰に作られたのかは不明のままだが、これは別頁のスタッフ鼎談にもある通り、当時は「意図的に秘密にしていた」ためであろう。
逆に言えば、OVAの中核スタッフは知っていた、ということでもある。


『スーパーロボットINFINITISM』:
マジンカイザー編でその存在が示唆された後、マジンガーZERO編で一部未完成の状態で登場。
どこかの時空で兜甲児が設計したカイザー型のマジンガーの一種。


マジンガーZEROに対抗するための「異なる時空の友軍」として、関連人物共々、マリア・グレイスが選び出した隠し玉。
選出の理由は、「共鳴型認識システム」と「時空を超えて重力炉を制御するシステム」を持っていたため。
非物質世界に傾倒しているミケーネの技術に近い共鳴型認識システムと超重力とを組み合わせれば、マジンガーZEROに憑依した闇の帝王を分離させることができる、という寸法である。


◆共鳴型認識システム
マジンカイザー編の時点でSKL型のカイザーの特徴点として挙げられており、使いこなすには「常識を超えた精神力を持つパイロット」が必要とされていたが、とある時空の海動剣が乗ることになった。
エモーションセンサーが海動の強い精神力に呼応することでSKL型のパワーにブーストがかかり、パワーゲージが天井知らずに上がる。
この時、SKL型の体からは青いオーラが舞い上がるとのことだが、この演出はOVA版のOPにおいても少しだけ描かれている。


◆時空を超えて重力炉を制御するシステム(TRANOS;Trance Navigate Operating System)
とある時空の美登呂遼が持っていた技術で、マリア・甲児が技術協力依頼をしたことでSKL型に搭載された。
人には見せられないような禁域の技術を用いているらしく、「美登呂が持つ信頼のおけるアナログ・インターフェースに制御させる」「美登呂の研究所を起点として、制御用AI込みでシステムを組み込む」(要するに核の部分は他人には見せない)という条件が付いたが、これは『猟界のゼーレン』小説版に出てきたインターフェース(生きている人間をネットワークの核とすることで、精密な遠隔制御を行うシステム)の延長にあるものだろう。
SKL型のコクピットに搭載された「すかした男の声」のナビが「10分後には貴様は必ず死ぬ」といった予告をしたり、海動と口喧嘩したりしながら、別時空の美登呂の研究所から精密な遠隔操作によりSKL型の重力炉を制御している。
ちなみにSKL型は「二基の光子力エンジン(どこかの時空のZとグレートのもの)を繋いだグラビティ型光子力縮退炉を備え、超重力を制御できる」とあるため、『PROJECT KAISER 誕生編』でも触れられていた謎の動力源は重力炉の一種だったということなのだろう。


◆その他、武器・オプション等
この時点でのSKL型の見た目は甲児のカイザー(MTP型)と殆ど変わらないが、マテリアルが足りなかったため背中や胸回りには何も付いていない。
これらは『PROJECT KAISER 誕生編』でもWSOが開発したディメンション・ロータリー方式の複座(OVA版でお馴染みの二人乗りシート)や、胸のブレストリガーは後から取り付けられたものであった(=元々は一人乗りで、銃も持っていなかった)ことを踏襲した形となる。
また、牙斬刀を持っていない代わりに超合金Zで鍛えられた「髑髏丸」という魔刃を持っているが、マジンガーZERO戦後に手放す結果となった。
スクランダーも付いていないが、本作にはウイングルが登場しないため、ウイングクロスは最後まで実現しないままだった。


なお、マジンガーZEROとの戦いを終えた後は「Zとグレートが消えた時空の光子力研究所の廃墟の地下」へと転送され、傷だらけの状態で闇の帝王の呪いの空間に晒された姿のまま、目覚めの時を待っているとされる。
→同じく光子力研究所の地下に封印されていた『PROJECT KAISER 誕生編』にそのまま繋がるという考え方もできる。*7
この場合、『PROJECT KAISER 誕生編』にて地獄組がお互いに何処かで以前にも出会ったような気がすると感じていたり、SKL自身が「待ち望んだ二つの欠片」として地獄組を呼ぶ悪魔の囁きのような気配を出していたりしていたことにも納得感がある。
ちなみに闇の帝王(及びDr.ヘル)の呪いの空間の影響が残っているとすれば、『PROJECT KAISER 誕生編』でSKLが「地獄」「悪鬼」「おぞましい姿」「底知れない闇の力」とやたらと怪しげなイメージで表現されていたことへの理由付けにもなり、一部のファンが妄想していた「SKLはミケーネまたはDr.ヘルにより造られたのではないか」という説をある程度汲んだ形にもなる。



  • スカルパイルダー

マジンカイザーの頭部にドッキングして操縦席となる、縦列複座の小型機。
ラフを提供した永井豪は、二人乗りと聞いていたために骸骨のデザインにした(両目の部分にパイロットが見えるようにした)が、最終的にはロータリー方式で縦に並んで座る形式が採用された。



  • ウイングル

頭部に『レディファルコン』がドッキングし起動する女性型ロボット。
また、カイザーのサポートロボットでもある。


モチーフは『マジンガーZ』に登場したミネルバXと『デビルマン』に登場したシレーヌを併せたもの。
さらに翼がない状態だとデビルマンレディーになる、というコンセプトらしい。
デザイナーの野中氏は、『マジンガーエンジェル』においてもこれに酷似した機体をデザインしている(ミネルバXに飛行ユニットを装備した形態「ミネルバX シレーヌモード」)。


『PROJECT KAISER 誕生編』:
カイザーが発見された研究施設跡には他にも数体の巨大ロボットの設計データが残っており、その中から、由木の解析によりカイザーとのコネクト機能を持つことが判明したウイングルが復元の対象となった。



  • 爆劉鬼

青竜刀などを武器とする、キバの専用機。
巨大な履帯とキャノン砲を備えた起動ユニットを持ち、自在に分離・合体が可能。



  • DBM-2

二本首が特徴のキバ軍量産機。
大型ガトリング砲を備える。


モチーフは『マジンガーZ』に登場する機械獣『ダブラスM2』。



  • GDK-7

同じくキバ軍の量産機。
頭部の大鎌を取り外して武器とする他、アサルトライフルも扱う。


モチーフは『マジンガーZ』に登場する機械獣『ガラダK7』。



  • サイコギア

八稜郭が所有する女性型ロボット。
ビームソード、ビームガンを駆使して戦う。
リーダー機は縦ロール、ツインテールなど頭部の形状が異なる。
操縦者の超能力を増幅して操縦する仕組みとなっており、不可視のシールドやサイコ平手打ちといった芸当も可能。



  • カーゴ

WSOの大型輸送機。
機首に内蔵されたグラビトンコイルで、奇械島の重力カーテンを突破する為に使用された。


『PROJECT KAISER 誕生編』/『猟界のゼーレン』/『スーパーロボットINFINITISM』:
これらの作品のWSOでは中型の兵員輸送用VTOL「グレン・キャリー」や、大型の長距離輸送用航空機「フライト・トレーラー」が使用されることが多いため、本機が登場することはなかった。



  • エクスバトラー

ガラン軍の量産機。
兜の装飾が機体毎に異なる他、親衛隊専用機はボディが赤い。


モチーフは『マジンガーZ』に登場する機械獣『キングダンX10』。



  • ガイストテレス

ガランの専用機。
世を収める指導者のような姿をしている。
というかぶっちゃけスラムキング。
マジンカイザーに一度勝った機体。



  • アイアンカイザー

奇械島のガラン城に封印されていたロボット。
モチーフは『手天童子』及び『バイオレンスジャック』に登場したアイアンカイザー。


左胸にグラビトンリアクターと呼ばれる重力炉を内蔵し、重力制御による飛行・標的の拘束が可能。
作中ではこの機体の覚醒により奇械島の重力炉が暴走した。
→重力炉は奇械島の3つのロボットプラントを動かしているエネルギー源であり、WSOで研究・運用されている(『猟界のゼーレン』でもフライト・トレーラー等に搭載されている)。
 アイアンカイザーはその重力炉やカイザーSKLの研究から生まれた機体で、本来は奇械島の暴走を抑制する役割を担っていた。


Live配信動画等におけるスタッフコメントによれば、作中の世界におけるカイザーの名前を持つロボットは、世界各地の重力炉と対になる守護者として配備されているらしく、アイアンカイザーもその内の一体である。
また、カイザーSKLは悪用されたカイザーを破壊するための特別なカイザーであり、対応する重力炉は立ち入り禁止区域となった富士山麓の研究所の地下にあるらしい。
なお、『スーパーロボット大戦BX』には富士山麓の重力炉が登場するが、上記の設定を拾ったものなのか、『真マジンガー 衝撃! Z編』とのクロスオーバーの流れでたまたまそうなっただけなのかは不明。


ちなみにスタッフ鼎談によればOVA版の後の展開として、カイザーSKLが他のカイザーシリーズと戦うという構想もあり、最後の相手は「マジンカイザー」であるとのこと。




【主題歌】


  • OP

『The ETERNAL SOLDIERS』-LOUDNESS
英語歌詞のヘヴィメタルだが、サビでは「マジン!カイザー!!」と連呼するため疑いようもなくマジンカイザーの主題歌である。
日本屈指のメタルバンドによる異例のタイアップだが、LOUDNESSは元々影山ヒロノブが所属していたレイジーの元メンバーで結成されたバンドであることを踏まえるとある意味納得ではある。


  • ED

『Juggernaut』-sadie
ハイテンポなヘヴィメタルの曲。厨二っぽい歌詞もアツイ。


  • 挿入歌

『THE DANGER ZONE』-LOUDNESS


『LEGEND of KAISER』-Rey
他と異なりReyはアニソン中心のロックバンドであり、スーパーロボット色の強い歌詞になっており、まさに王道の曲調に。スパロボでもOPと共に採用されている。




【関連商品】


〈スーパーロボット超合金〉


2010年8月にスーパーロボット超合金で立体化。
魂ウェブ商店等のサイトにて、「マジンカイザーSKL スターターパック」としてDVD1巻とセットで受注販売された。
出来が良く非常に格好いいのだが、限定品なので入手困難。
全高は約140mm。牙斬刀(全長約150mm)やブレストリガーが付属。
時期的にウイングクロス用のティアラエールとアーシュガードは付属しない。
およそ6000円の内、DVDは4000円なので実質的に2000円とかなりお買い得。


2015年3月には単体製品として再リリースが決定。価格はおよそ10000円。
各部がブラッシュアップされ全高は約170mmに上がった。
それに伴い牙斬刀も更に大型化し、さらにボロボロのマントが付属するなど劇中のイメージに沿った改良が加えられている。


その後、2016年2月に「ファイナル・カウントVer.」としてリニューアル版がリリース。価格は少し上がりおよそ11000円。
アニメの雰囲気に近づけたダークな彩色が施され、頭部は右眼が破損した状態に変更されている。
マントの代わりにティアラエールとアーシュガードが付属しておりウイングクロスを再現できる。


この他、2010年11月に「マジンガーZ マジンカイザーSKLカラーVer.」が受注販売された。
その名の通りカラーリングSKLをイメージしたものになり、牙斬刀が付属する。
価格はおよそ4000円。『ヴァーサス』の単行本1巻の帯に付いている応募券を使うことで購入できる。




〈MODEROID〉


2019年11月には「MODEROID マジンカイザーSKL」が商品化された。SKLのデザインを手がけた野中剛氏により各種アレンジがされており、新規の武器や翼はやや生々しく骨を意識したディテールとなっていたり、翼の変形や武器の合体といった新しい要素も盛り込まれている。


また、胸に付いた二丁拳銃「ブレストリガー」が、ミケーネの戦闘獣もかくやというリアルな顔になっているのもポイント。
これにより、SKLの誕生にDr.ヘルが関わっているとする説の信憑性が増している。*8


ちなみにMODEROIDではダイナミックプロ作品のキャラやロボをデザインモチーフとしたオリジナルのマジンカイザーシリーズを展開しており、スラムキング、獣神ライガー、ゴーバリアン等をイメージしたマジンカイザーも商品化されている。
世界中に「カイザー」の名を冠する機体が存在するという『SKL』の世界観と相性が良いと言えるかもしれない。




〈超合金魂〉


2022年5月にマジンカイザー20周年を祝して商品化される「超合金魂マジンカイザー20th Anniversary Ver.」と共に、牙斬刀を背負った禍々しい姿の「もう一体のマジンカイザー」の写真が模型誌等で突如公開された。
→後に「GX-102 マジンカイザーSKL」として正式に発表。発売は2022年10月。
巨大な斧型武器「ブレストマホーク」も含めた立体化は初めてとなる。


初報では妙にボディ全体が青く、その後も情報が出るたびにカラーリングが変わり安定していなかったが、最終的にはやや青みがかったグレーに落ち着いた。


ちなみに今回も商品開発用デザインは野中剛氏が担当し、取扱説明書にはラフスケッチも収録されているが、ミケーネを思わせるようなアレンジはあくまでMODEROIDだけのものであるらしく、今回は採用されていない。



上記3シリーズの他、METALBOXの「メタルボーイ」、アルカディアの「AA合金」など、SD等身のアイテムも発売されている。




【メディアミックス】


〈マジンカイザーSKL 魔神戦風〉


「電撃ホビーマガジン」における公式ジオラマ小説。ストーリー担当は谷崎あきら氏。
2010年6月号に告知され、12月号まで連載された。
ジオラマに出てくるマジンガー達の作例はスパ金をもとにしている。
これらの作例は事前に野中氏によりイラストが起こされており、マジンブラザーと名付けられている。


ストーリー的にはOVAの遥か昔を描くプロローグ的な、というより神話的なものであり、意思を持つマジンガー軍団を従える2体のロボットが対決する。
なお、どのロボットにもパイロットは存在しない。


トーチカの中で記憶のない状態で目覚め、分けもわからぬまま別の勢力と戦わされるロボットの軍団、そしてそれらの各戦士達の役割は将棋の駒をイメージしたもの、という設定は『真夜中の戦士』がモチーフであると思われる。
味方の勢力はカイザーと呼ばれる存在をリーダーとしたロボット軍団であり、作中の描写からするとマジンガーZやグレートの他、ビューナスやダイアナン、アフロダイといった女性型のロボットも含まれている模様。*9
テレポーテーションを使う機体もあるらしく、これは『ゴッドマジンガー』または『マジン・サーガ』のZ辺りだろう。
一方、敵の勢力はそれぞれ戦斧、ドリル、ミサイルを装備した3種数組からなる戦闘部隊で、分離合体を駆使して攻撃をかわしたり、指揮官がエンペラーと呼ばれる存在であったり、と明らかにゲッター軍団を意識した文面であったが、正体を現したエンペラーの姿は何故か上記のカイザーと瓜二つの魔神という肩透かしのオチだった(フィギュアの作例を用いたストーリーということで、仕方なかったのかもしれないが)。


本作において「SKL」という名前の由来は、骸骨の意匠の他に「Separated Killing Lord (分かたれた殺戮の王)」という意味があることになっている。
己と渡り合う者との戦いを求め、自身を2人に分け、それぞれ顔と記憶を失ったという。
後述の「魔神大戦21」の鼎談によると、「Slum King Legend」というデザイナーによる名称案が、当時の資料を整理した際に出てきたとのこと。
このことから、『スーパーロボットINFINITISM』で明かされたものも含めると、SKLの由来は3つ存在していることになる。




〈マジンカイザーSKL ヴァーサス〉


マジンカイザーSKLの漫画版。作者は星和弥氏。
バンダイビジュアルの携帯コミック配信サイト「週2コミック! ゲッキン」で2010年8月~2011年9月に連載。
単行本は全3巻でレーベルはエモーションコミックス。
イタリアなどの海外でも単行本の翻訳版が刊行されている。


1〜2巻は前日談で、本編に至るまでの経緯がわかり、最後は直接OVAに繋がる。
3巻は後日談となっており、翼が本編での戦いをWSOの荒神谷参謀に報告し、OVAの内容がダイジェストで描かれる場面から始まる。
八稜郭の面々が乗る新型ウィングル「アイアンメイデンシリーズ」の他、新たな敵や「魔王」が登場する。
デビルマン』のデーモン等をモチーフとするロボットも複数登場する。


話は熱く、評価も良いものの、
「もう少しページ数が欲しかった」
「それぞれの話の繋がりがやや解りづらい」
という意見もある。


とはいえ面白いのでオススメ。
女性キャラも可愛いぞ!


星氏は2014年からダイナミック企画の公式サイトで『ダイノゲッター』も描いており、共演を望む声もある。
ちなみに先生はTwitter上に千値練の「METAMOR-FORCE ダイノゲッター1」とスパ金のリニューアル版SKLを並べた写真を投稿している。




〈PROJECT KAIZER 誕生編〉


2013年発行の「魔神大戦21」に収録された、構成・脚本担当の早川正氏によるプレストーリー。
『ヴァーサス』と別物である理由については「マジンガーZにジャンプ版とテレマガ版があるような感じ」とのこと。
元々はOVAスタッフや関係者への設定紹介用として書き上げたものとのことで、現状、『SKL』の設定資料としては最も情報量の多い作品である。


WSOや「先の大戦」を中心とする世界観の説明から始まり、海動・真上・由木・スカーレットの出会いや過去、そしてカイザーの搭乗者が決定するまでが描かれる。
早川氏によると、この誕生編の後、スカルフォース設立→カイザーのデータ収集・調整する由木と地獄組の物語→カイザーの実戦投入に伴いスカルフォースの拠点が漫画版でもお馴染みのコーラル・ステーションに移され、デス・カプリース隊結成→いつも地獄組二人だけが生き残るという伝説が生まれる→OVA(奇械島での任務)へ続く、とのこと。


ちなみに監督達は新作を作りたいと鼎談にて語っている。
案としては、別の島での同様の任務を描いた物語、由木と知り合う前のスカーレット大尉と主役2人の話、アステカに行ってアステカイザーと戦う、マジンカイザー対マジンカイザーSKLといったものが出てきた。




【関連作品】


〈猟界のゼーレン〉


2013年9月に発表された『猟界のゼーレン』は、ダイナミック企画と電撃ホビーウェブの共同プロジェクトで、シナリオ・構成は『SKL』の脚本を手がけた早川正氏が担当している。
そのためかWSOや海動をはじめ共通する組織や人物等が多数出てきているが、設定がほぼそのままのものもあれば、差異が見られるものもある。
→両作品はよく似た別の世界であり、ものによっては同じ設定を持つ要素もある……ぐらいに見ておくと良いかもしれない。


設定に差異があるものを纏めると、以下のようになる(どちらも小説版の記述による)。
両作品の時代設定に数年程の差があるとすればどうにか説明できそうなレベルのものも多いが、WSOの設立時期に関してはかなり大きな違いがある。


SKL猟界のゼーレン
「先の大戦」の時期70年ぐらい前には終わってから大分経過していた64年前とその前後数年
WSOの設立時期20年前63年前
LLIの設立理由SKLの解析とリブート遺物の整理・解析や失われた技術の復活
LLIの室長由木翼樹静子(漫画版主人公の母親)
アダム・ドルクの調査対象富士山麓の地下の工場施設に封印されていたSKL富士山麓の地下に眠るマシーンコクーン
アダム・ドルクの死亡原因SKLに使用された合金が発する放射線(超合金Zを使用したロボットを取り込んだ)マシーンコクーンの発する放射線
アダム・ドルクの死亡時期19年前(表向きには)15年前
海動の年齢成人?(恐らく同年代の由木がアカデミー卒業から3年)16~17才ぐらい
スカーレットの階級大尉少尉
スカーレットとニコラスの所属グレンファルコン隊スクランダー特科航空隊

一方で『SKL』以前のダイナミックプロ作品由来のネタも見受けられ、前日談小説も含めるとかなり多くの要素が含まれている。


早川氏の企画書によると、この作品における66年前の「先の大戦」は、先住人類(ミケーネや恐竜帝国等)が地上の人類に牙を剥いたため、民間の研究機関が巨大ロボ(マジンガーZゲッター等)を駆使して戦った、というもの。
これは「マジンガーとゲッターという2つの世界が一つの作品になって、最終回も同じ日だったらどうだろう?」というところから逆算された設定だという。*10
小説版では、浅間山の研究所から富士山麓の研究所にかけての区間はマシーンコクーン(どう見てもマシーンランド)と呼ばれる敵機動兵器が存在し大戦後も特に残存敵が多く、WSOにより優先的に復興作業を受けている。
また、この辺りには廃棄された民間の研究機関や演習所が幾つもあり、地下に何が埋まっていても不思議はないらしい。
ちなみに富士山麓のマシーンコクーンには暗黒大将軍の姿をした思考ロジックが備えられており、マジンガーブレードらしきものを備えた巨大ロボットと戦ったとされる。


WSOが有するメカニックの一つであるマシントルーパー「ガーディアン・ジード」、機体コード「MG-Zeed」はZ(ゼット)と呼ばれ、独立する専用スクランダーを装備している。
その姿はリアルでありつつも"鉄の城"に酷似しており、マシンサイズが大きい"失われた世代"の設計思想に基づく人型巨大トルーパーとされる。
さらに作中終盤には「ガーディアン・グレート」、機体コード「MG-G」と略される巨大トルーパーも登場。
MG-Zeedと合わせてMGシリーズと呼ばれるこれらの機体は、上述の暗黒大将軍型プログラムと戦った民間の巨大ロボの後継機であるとのこと。
開発はWSOのアメリカ本部主任研究者Dr.Kにより行われたようで、この人物は年老いてはいるが髪型に兜シローの面影があり、兜甲児のヘルメットらしきものを「自分の兄が使っていた」と発言している。
上記の通りこの世界ではマジンガーZが戦っていたのはちょうど60年以上前であるため、年齢的にもシロー本人である可能性が高い。*11


WSOの主力ロボット兵器「Zeed-01」はボスボロットのフレームをイメージしてデザインされている他、民生品の作業用マシントルーパー「B-ROBU-3S改」もボスボロットがモチーフの機体である。
「Zeed-01」の支援機体である「ホバーパイラルセプター」のモチーフはホバーパイルダーであり、運用している部隊の名称には「スペイザーユニット」「スクランダー」「紅」等、マジンガーシリーズでお馴染みの用語が使われている。
「Zeed-02」用の巨大な武器「グラインドハープーン」は、出撃後にブースター付きで射出されたものを受け取る仕組みになっており、グレートブースターがモチーフであることがわかる。


「先の大戦」後に密かに誕生した組織レムリアは、WSOより進んだ科学技術を保有しており、ゲッター1~3、ステルバー、レディコマンド等をモチーフとするマシントルーパーを遠隔操作または生体サイボーグによる操作で運用している。
また、人間のパイロット搭乗型の機体としてブラックゲッターをモチーフとしたマシントルーパーも存在する。
ちなみに本作のラストバトルはレムリアのマシントルーパーが胴体からゲッターエネルギータンクを引きずり出し自爆しようとしたことがきっかけで終結しており、これは漫画版ゲッターの武蔵死亡シーンのオマージュである。


なお、本作ではWSO側のメカニックデザインは柳瀬敬之氏、レムリア側は海老川兼武氏というどこかで見たような組み合わせの担当となっている。
「柳瀬氏デザインの軍用量産型マジンガー」も、『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』のイチナナに先駆けての登場である。
ちなみに小説版の挿絵担当だった長田馨氏も、後に上記映画の前日譚『『マジンガーZ インターバルピース』で作画を担当している。


早川氏は、本作の小説版はマジンガーやゲッターだけでなく、デビルマンまで混ざっているとコメントしている。
作中にはそのことがはっきりと分かるような展開はあまり見受けられないが、WSOと対をなす組織であるレムリアやその指導者ノアまわりの描写には、「氷の帝国」「神のごとき力」「鉄の天使」「救世主」「恐怖の遺産」「金髪のハーフ」「北極圏にある拠点」といった飛鳥了やデーモンを思わせるものは存在している。
先述の「先の大戦」の設定を考えると、本作における先住人類にはデーモン族が含まれているのかもしれない。*12


また、大手企業のトップや軍の上層部の活動を積極的に描く作風は『デビルマン・サーガ』にも似ていると言える。


なお、本作では意外にも地獄組まわりの描写にはデビルマン関係の要素はあまりないが、学生服を着た海動がハイスクールに潜入して暴れまわったり、真上と関係の深い美登呂一族が登場したり、『SKL』に引き続きエルプズュンデが重要な技術として扱われる等、地獄組のもう一つのモチーフである『ガクエン退屈男』の要素は多く見られる。


先述の支援戦闘機「ホバーパイラルセプター」に搭載された機関銃「リドル・ストラクチャー」は、『SKL』のスタッフが製作した『鋼鉄神ジーグ』においてもビルドエンジェルやビッグシューターの武装として登場した。
ちなみにビルドエンジェル隊の隊員二人は、地獄組と同じく『ガクエン退屈男』の早乙女門土・身堂竜馬がモチーフのキャラであり、ヒロインの錦織つばさも、司馬博士の助手のナースとしてちゃっかり登場している。


WSOの施設址で発見された恐竜型生物兵器は、『マシンザウラー』で主人公が搭乗するサイボーグ恐竜*13がモチーフである。
『SKL』においてもライバルキャラの一つとして野中氏によるラフスケッチが起こされていたため、その時の案が再利用されたのかもしれない(ただし、本作に登場するのは海老川氏により再デザインされたものである)。
作中ではレムリアの勢力と格闘戦を行うシーンがあり、永井豪・石川賢共作の恐竜ロボ繋がりで妄想されることが多かった「ゲッターVSマシンザウラー」がある意味実現した。


WSOには巨大ロボットを有する民間の研究所も幾つか協力しているとのことなので、上記を踏まえると、それらの中にはビルドベースや轟研究所(メタ的にはマグネロボ繋がり)が含まれているのかもしれない。


伝説の大陸名にあやかったというレムリアだが、一般にはムー、アトランティスと並んで語られる(または同一視される)ことが多く、それらはダイナミックプロ作品においては度々登場する古代文明である。


『ゴッドマジンガー(幻の東映版)』:
企画書によると、闇の帝王とは、遙か昔に地球へやって来た宇宙人の子孫である科学者の集団であり、アトランティス文明、ムー文明、そしてミケーネ文明などを作りあげたが、すべて天変地異によって潰え去った。
切り札は地球へやって来た時に乗っていた円盤で、現在の科学力を遙に上回る文明の粋を集めたものだった。
ちなみに永井豪による読切漫画『マジンカイザー 新魔神伝説』には一部の設定が流用されており、「マジンガーや機械獣等の基礎となる技術は、古代の宇宙人であったミケーネの科学文明である」とされた。


『ガルラ』:
宇宙の放浪者・大円盤人の二機の円盤が、ムー及びアトランティスの大陸となった。


『ゲッターロボG(漫画版)』:
アトランティス帝国及びその遺産「ウザーラ」が登場。
上記『ガルラ』に登場するビッグ・ダイタンは、龍の部分はウザーラと、人の部分はグレンダイザーに酷似している。


UFOロボ グレンダイザー(桜多吾作版)』:
グレンダイザーやラーガといった守護神を作り出したシグマ文明は、マジンガーシリーズに登場する様々な敵・味方勢力の源流であるという設定であり、その拠点はアトランティスであるとされる。


ゴッドマジンガー(漫画版)』:
宇宙人の末裔であるというムーの民が暮らす大陸が舞台であり、ゴッドマジンガーはその守護神である。


『ゴッドマジンガー(幻の劇場版)』:
ムック「魔神全書―マジンガー・バイブル」掲載の設定資料には、マジンガーと合体した巨大戦艦のイラストに「ビッグ・ダイタン」の名前が付けられている。


『スカルキラー邪鬼王』:
かつて海底に沈んだはずのムー帝国のロボット軍団との戦いを描いている。


『凄ノ王』:
古事記の高天原=アトランティスという設定である。『猟界のゼーレン』の小説版にも登場した美剣千草は、原作ではアトランティスの民の末裔であった。


鋼鉄神ジーグ』:
邪魔大王国は、外宇宙からやってきた異星人の勢力である。彼らが乗ってきた宇宙船「ラングーン」は、『凄ノ王』では美剣一族が操るアトランティスの超戦艦であった。


これらを踏まえ、宇宙からきた一つの巨大な古代文明が様々な勢力の源流であると考えることで、ダイナミックプロ作品のロボット達に何故か一定の類似性があることについて納得がいくようになるかもしれない。


なお、後述の『スーパーロボットINFINITISM』では実際にこういった設定が採用されているらしく、ベガ星系の技術が太古のミケーネに取り入れられていたりする他、「世界各地に伝承として存在するムー、アトランティス、レムリアなどの失われた大陸と、銅鐸の解読作業から得られた日本の古代史とは結びつく」「天孫降臨として地上に降りた神々は、異星人の到来とも読める」とされており、古代日本に降臨した神々と、百鬼帝国の円盤を造った者と、失われた大陸で暮らしていた超古代人は同じ系譜を持つ宇宙人かもしれない、と予想されている。
→天孫降臨を宇宙人の集団渡来とする考え方は、現実でもエーリッヒ・フォン・デニケンの「古代宇宙飛行士説」発表以降、割と定番な仮説である。
 そういった説の中では、アトランティスやムー等は四大文明以前の宇宙人たちの基地または植民地であるとされている。




〈スーパーロボットINFINITISM(INFINITISM NOVELS)〉


2019年より展開されているBANDAI SPIRITSホビー事業部発のINFINITISMプロジェクトは、ダイナミックプロのスーパーロボット達を、新しい世界観と解釈によりリデザイン及びプラモ化していく企画。
第1弾はグレンダイザー、第2弾はマジンカイザー、第3弾はゲッタードラゴン、第4弾は鋼鉄ジーグ、第5弾はマジンガーZEROが選出されている。


これに合わせ「月刊ホビージャパン」では2019年4月号より、模型特撮と小説により描かれる「スーパーロボットINFINITISM」*14が展開されており、メカニックデザインを『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』の柳瀬氏、ストーリーを『SKL』『猟界のゼーレン』の早川氏が担当している。
このためか、小説には『SKL』『猟界のゼーレン』の設定が大量に流用されており、それらのリブート作品としての側面も見受けられる。
よって、非常によく勘違いされるが、本作は『INFINITY』の世界線におけるグレンダイザーやマジンカイザー等を扱ったものではなく、作者の過去作の設定を使ってそれらのロボットや関連キャラを共演させた、独自設定のクロスオーバー作品である。


以下各編解説:



これら2編のストーリーは地続きとなっており、マジンカイザー編にはプロローグが存在しない。


内容的には、地球へ逃れてきたフリード兄妹がベガ星連合と戦うという基本的な流れだけはグレンダイザーの既存作品と同様。
その既存作品以上のベガ星連合の強大さやフリード星の技術力の高さが影響して、甲児がマジンカイザーを開発して自ら前線で戦ったり、鉄也&グレートマジンガーも現役で共闘したり、更には他作品のキャラも絡んできたりで、完全に別物になっている。


また先述の通り『SKL』『猟界のゼーレン』との類似点が多く、例を挙げると以下のようなものがある。


  • 『猟界のゼーレン』においては地下から現れる魔神獣により世界が脅かされているが、本作では巨神獣が地下から出現する。魔神獣は機械獣が野良化したものという設定であるのに対し、巨神獣は作中で鉄也が思わず7つの軍団を想起していたように、ミケーネ帝国の戦闘獣が元ネタとなっている。なお、巨神獣に使われているベガ星連合軍の技術はミケーネ帝国で闇の帝王が用いた技術のルーツとなった、ともされており、この両勢力の繋がりは終盤の展開にも関わってくる。
  • 原作よりも強力な勢力となったベガ星連合軍に対抗するため、祖父・十蔵、父・剣造、そして自身へと続く兜家三代の光子力研究の結実として「第三の魔神」を開発するべく、マリアの協力を得た「科学者としてもパイロットとしても最良のバランスを持つ甲児」が50年後の未来へと渡る展開がある。そこでは老科学者となったシローがいたり、甲児が不在(死んだわけではない)だったりと『猟界のゼーレン』と類似する状況となっている。
  • 未来世界にある拠点「フォトン・アルファー」には、科学者となった甲児があらゆる時空で開発した機体のデータが蓄積されており、それらのデータファイルには「Project Kaiser」と名付けられているが、これは『SKL』のプレストーリー小説である『PROJECT KAISER 誕生編』にちなんだものと思われる。このデータファイルにはカイザー型が数体と、そのパートナーロボット数体の設計図が含まれているらしく、中でも甲児が注目したのは多次元宇宙超越型である「MTP型」と共鳴型認識システムを持つ「SKL型」と呼ばれるもの。「SKL型」は『PROJECT KAISER 誕生編』でも触れられていたエモーションセンサーを採用した機体で、ブーストの掛かったマジンパワー状態を搭乗者の精神力に応じて引き出す仕組みだが、パイロットを選ぶこと、また、パワーの底上げに光子力エンジンを二つ使用するため、造ればZとグレートがこの世から消えてしまうこと*15、等の制約を聞いた本作の甲児は、「MTP型」をベースとしたマジンカイザーを開発することを選択した。これにより、カイザーSKLやウイングルの設計者が実は甲児であったという衝撃の事実が判明した。また、MTPはMultiverse Transcendental Person、SKLはSympathizer Knowledge Loaderの略であるとされており、機体デザイナーの野中氏や魔神戦風の作者である谷崎氏とは異なる、設定担当の早川氏本人によるSKLの由来も新たに語られている。
  • 上述の未来世界では巨神獣やスカルムーンの勢力の侵攻により人口が5分の1になっているが、この数字は『PROJECT KAISER 誕生編』や『猟界のゼーレン』で設定されていたものと全く同じである。ちなみにゼーレンの世界の被害状況については、「実際に暗黒大将軍が七大将軍を引き連れて地球で暴れ回ったらどの程度の被害になるか」を作者が考えた結果であるとのことなので、戦闘獣が元ネタである巨神獣が暴れ回るという本作での展開とかなり似ている。
  • WSO(=世界広域監視機構)の前身組織と思われる、国連の広域監視機構準備室が登場する。責任者で国連調整役でもあるガリプ・オルハンは、『猟界のゼーレン』の小説版においても国連軍をベースとしてWSOを設立した立役者で、それ以前は国連防衛軍の参謀を務めていたという設定であり、政治・軍事に及ぶパイプと強い影響力を持つキャラクターだった。
  • 来るべき日のために地球の防衛力を整備する「グレイス財団」が名を変えた組織である「非公式科学者協会」は、『猟界のゼーレン』の小説版においても財力と未来を見据えた見識を持つというルドルフ・シュタインベック・シュタイナーが創設した組織として登場していた。また、上述のガリプはルドルフの旧知の友人であり、本作でも「グレイス財団」のエージェントを兼ねていることから、どちらの作品においても「非公式科学者協会」の設立に間接的に関わっていると思われる。ちなみに、「グレイス財団」自体は過去へ渡ったマリアとその従者が立ち上げたものである。従者の老人は原作では名前が付けられていなかったが、本作では老剣士デュルゼルと呼ばれており、これは作者の早川氏が過去にシナリオを担当したゲーム『英雄伝説III 白き魔女』の熟練剣士の名前から取ったものと思われる。また、未来を知る力のある預言者であるという共通点からか、作中ではマリアが魔女に例えられるシーンもあったりする。上記のゲーム開発当時には魔女(ゲルド)とデュルゼルの旅を描くという構想が没になっていたため、25年経ってその一部が今回実現した、とも言える。

+ 余談1;『白き魔女』の開発室-

本ゲーム中の隠しMAP「Falcom開発室」では、当時の早川氏の意外とお茶目な姿を見ることができる。
このMAPでは一部の社員が夜遅くまで働いたり、頻繁に遅延する中央線をネタにしている(実際、会社ビルは本線の立川駅付近にある)が、この経験が後に『サイボーグ009VSデビルマン』小説版の深夜の中央線車内の妙にリアルな描写に繋がったのかもしれない。


ちなみにWindows移植版では早川氏の台詞が少し減っているが、代わりに新人時代の現Falcom社長・近藤季洋氏(移植前の『白き魔女』の熱烈なファン活動が高じて入社)や『君の名は。』等のアニメ監督・新海誠氏といった有名人が追加で登場する。


+ 余談2;ルドルフ・シュタインベック・シュタイナーの出自-

20世紀ごろに実在した思想家ルドルフ・シュタイナーは、神智学協会を経て人智学を立ち上げた。
それらの中では『猟界のゼーレン』の項目でも触れたレムリアやアトランティスの存在が強く支持されていたため、ゼーレンにおいてレムリアを立ち上げたルドルフの元ネタの一人と考えて良いだろう。


また、上述の『白き魔女』においては、デュルゼルは国王ルドルフというキャラの良き相談役であったという設定であり、本作のデュルゼルが(ルドルフが創設に関わったと思われる)「非公式科学者協会」と関係があるのは偶然ではないのかもしれない。


さらに、シュタインベックという名前は複数のダイナミック作品でスターシステム的に度々使われていたものであることを踏まえると、実在の人物+作者の過去作のキャラ+ダイナミックの定番キャラという複雑な組み合わせで発想されたのではないかと考えられる。


+ 余談3;神智学などのオカルトネタ-

アトランティスなどの古代大陸と共に70年代にブームとなったのが、レイモンド・バーナードの「地球空洞説」である。
上述の神智学者らはこちらの説も支持しており、その空洞部にあるという地底都市「アガルタ」はゴビ砂漠にあると主張した。
また、イギリスの神秘主義者アレック・マクラレンは、アガルタとはアトランティスの生き残りが建設した地底王国であるとした。


一方、本作におけるアガルタは地底に潜んでいたベガ星連合の先兵であり、そのベガ星連合を含めた宇宙人の勢力はアトランティスなどとの関連性が疑われているため、先述の「地球空洞説」や「古代宇宙飛行士説」などのオカルトネタが積極的に取り入れられているのが分かる(なお、作者の早川氏は元オカルト雑誌のライターである)。


ちなみに早川氏が過去にシナリオを担当した「ブランディッシュ」シリーズにおいても、神智学を創始したヘレナ・P・ブラヴァツキーやルドルフ・シュタイナーにより提唱された「アカーシャ」(アカシック;触れることで叡智が得られる)という概念を拝借して組み入れた、と本人が語っている。
本作におけるスペイザーの中枢にある聖殿(守護神としての判断をサポートする情報の源泉)を「アカーシャ」と呼称しているのも無関係ではないのだろう。


  • 『SKL』や『猟界のゼーレン』と同様に、「遺物科学」が重要なファクタとして扱われる。本作ではフリード星で封印された超技術の数々がそれに当たり、グレンダイザーを始めとして、時空ターミナル、亜空間航行、時間旅行、マルチバースメモリなど、見るからにとんでもないものが多数登場し、一部は甲児がカイザーを開発する際等にも利用されている。『真マジンガーZEROvs暗黒大将軍』においては亜空間操作パネル、瞬間物質移動システム、認識遮蔽ステルスがフリード星の超技術として挙げられており、甲児がZEROを倒す為にその内の一部を借りるシーンも参考にしているのかもしれない。
  • 『猟界のゼーレン』と同様、「恐怖の遺産」「南極から現れる未明の敵勢力」といった、『デビルマン』を彷彿とさせる表現が多々使われている。
  • 『猟界のゼーレン』と同様、世界各地の神話(北欧、ギリシャ、日本等)、伝承(古代大陸や地下都市等)、御伽噺(グリム童話やロシア民話等)、聖書をモチーフとしたファンタジックなエピソード・固有名詞が数多く見受けられる一方で、国連軍や自衛隊関係の(一部は実在もする)部隊や施設、兵器等が多数登場し、スーパーロボットものでありながらもリアル寄りなミリタリー感も持つ作風となっている。

そのほか、本作にはマジンガーシリーズだけでなく、ゲッターロボシリーズの影響を受けていると思われる点も存在する。


例えば、

  • ジャパニウム鉱石は富士火山帯のみに存在する資源であるが、本作では同じ条件の場所として北海道の摩周湖周辺でも発見された。このため国際宇宙観測センター(及び関連施設である白樺牧場)も摩周湖付近に設立されたのだが、これはアニメ版『ゲッターロボ號』において北海道のサロマ湖畔にあるNISAR(日本国際航空宇宙技術公団)が、G鉱石(=ジャパニウム鉱石が元ネタ。マジンガーZのリメイクとして企画されていた名残と言われている)を所有しているという設定と、『グレンダイザー』の前身である『宇宙円盤大戦争』では、宇宙科学研究所と白樺牧場は北海道に所在するという設定、の二つを合わせたものと思われる。
  • 国連軍特殊戦略室の代表である犬神大佐は、30代半ば、長く伸びた前髪に長身、痩せているように見えて筋肉質、山咲という名の黒髪女性の部下がいる、かつてマッドサイエンティストの爺さんを相手にしていた等、漫画版『ゲッターロボ號』における神隼人を思わせる人物である。ゲッターの初期企画案では隼人の苗字は「犬神」であったことや、『ゲッターロボ アーク』『真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ』では隼人の階級が大佐であったこと等を踏まえると、益々怪しいキャラである。なお、国連軍特殊戦略室は民間研究所の協力を得ており、巨大戦闘ロボットの脅威への備えがあるらしく、今後の活躍にも期待できる。

プラモでゲッタードラゴンの商品化が正式に決定したことで、小説もゲッタードラゴン編として仕切り直された。


ストーリーとしては以下の通り漫画版ゲッターをベースとしつつ、一部独自の展開が見受けられる。

  • プロローグは漫画『真ゲッターロボ』の単行本に収録された「ゲッターロボG・ブライ誕生」のエピソードを元ネタにしている。
  • アンドロメダ流国の存在が示唆されている。
  • ゲッターロボGは後に全宇宙から「聖なるドラゴン」と畏れられる存在の、最初の形であるとされる。
  • 敷島博士が登場する(ただし、原作よりも登場タイミングが早く、NISARの橘博士や予備パイロットの弁慶と共に、恐竜帝国戦より前から早乙女研究所に協力していることになっている)。
  • 百鬼獣「魔王鬼」が登場する(こちらも登場タイミングが早く、初代ゲッターと帝王ゴールとの戦闘中に姿を表している)。
  • 隼人の校しゃ」の名言が再現されている。
  • 隼人の母方の従兄弟である竜二が登場。本作では「犬神」という苗字になっており、隼人も母親の連れ子のため戸籍上は「犬神隼人」であることが判明*16。また、国連軍の出先機関として「特殊戦略室」が立ち上がり、メンバーとして「犬神隼人」が選出されたことで、マジンカイザー編の犬神大佐が隼人本人であることが確定した。
  • 隼人の同僚として山咲が登場する(例によって原作より登場タイミングが早い)。隼人との初会話は市ヶ谷駐屯地の旧館2階で、これはマジンカイザー編でひかるが犬神大佐&山咲技官と面会した場所でもある。
  • 原作では三餓鬼と呼ばれる三人組(一本鬼、二本鬼、五本鬼)が登場するが、本作では護法童子と呼ばれる六人組にパワーアップしている。
  • 龍神ウザーラが名前のみ登場。アトランティス繋がりなのか、日本において銅鐸を残した勢力等と関連性があるという設定になっている。

ちなみに、ゲッター線を疑問視する国際世論の動きによりゲッターロボGの開発が困難な状況に陥っていた早乙女研究所に対して、美登呂虎之介なる男が手を差し伸べ、パトロンとなったことが語られている。
「五十を迎えようというのに青年のように若々しい」「人造人間のように冷たく美しい秘書を連れている」「医療機器の研究開発で実績のある会社を経営している」「忌避されつつも優れている技術には並々ならぬ執着を見せる」といった特徴や、やけに丁寧な口調などは殆ど『猟界のゼーレン』の美登呂遼そのもの。
上述の秘書や会社というのも、エルプズュンデやミドロ・コーポレーションのことであろう。
ゼーレンの小説版と同様、この世界における美登呂遼の曾祖父(又は人造人間としてのオリジナル)等の関係性があるのかもしれない。
ちなみに名前は明言されていないが、マジンガーZERO編では美登呂遼が「曾祖父」の残した書物を参考にするシーンがある。


また、虎之介は早乙女ミチルが大学で師事している草薙武彦教授にも多大な興味を示している。
教授は邪馬台国の研究をしているらしく、その名前からして『鋼鉄神ジーグ』の剣児や鏡の血縁者であると思われる。
→シリーズ第4弾である鋼鉄ジーグ編へのネタ振りといったところだろうか。


+ 余談4;草薙教授と『ブランディッシュ・アレス』-

草薙は思想史学、考古学が専門で「邪馬台国論争」や「邪馬壱国説」に触れている点、また、偽書関係まで持ち出し学閥からは厄介者扱いされている点などから、実在した古代史研究家の古田武彦氏がモデルと思われる。
早川氏は『ブランディッシュ・アレス』というノベライズ作品を手掛けていた際、古田武彦氏も支持した「竹内文書」を始めとする日本の怪しげな偽書が好きであること、ムーやアトランティスなども包括したそれらの持つ世界観を土壌にして物語を描いたこと、これにより、使い古されたファンタジー作品に、国境を越えた東西融合歴史創作という意味を持たせる考えがあったこと、等をコメントしている。
本作を見ての通り、これはダイナミック作品に関わるようになってからもある程度共通しているといえよう。


草薙は竹内文書にてムーやレムリアの別名として「ミヨイ」「タミアラ」が挙がっており、西洋と東洋、異なる宗教・言語圏でも大洪水や失われた大陸の伝承といった同じような言い伝えがあることを指摘している。
また、ゲッタードラゴン編以外ではメンヒルや象形文字が各地に残っている他、超合金Zの組成は原初を辿るとオリハルコン(=アトランティスにあったとされる伝説の金属)*17やヒヒイロカネ(=オリハルコンと同一視されたり、ムーにあったとされることの多い、竹内文書でも言及される金属)に行き着く、という描写がある。
これらは『ブランディッシュ・アレス』においても似たようなネタが使われており、そちらでは「ミヨイ」「タミアラ」は世界を形成する八つの大陸のうちの二つとして登場し、特に「タミアラ」は300年前に水没した失われた大陸であるとされ、象形文字を刻んだメンヒルや伝説の金属を遺産として残している等、アトランティスを意識した設定になっている。


なお、本作で竜馬の古巣の組織において彼の後釜となった「来栖丈」は、上述の「犬神隼人」と同様にゲッターの初期案に含まれていたキャラクターであり、本来は竜馬の死後に新たな主人公となるべく用意された存在であった。


早川氏が作者ということもあってか以下のように『鋼鉄神ジーグ』の要素が多く取り入れられており、その前日談のような内容になっている。*18

  • プロローグの舞台である「1975年の阿蘇」は、『鋼鉄神ジーグ』においても初代ジーグと邪魔大王国の闘いがあったとされる*19。また、その5年前には司馬博士が草薙教授の誘いにより奥熊野で発掘調査を行い、二つの銅鐸と美角姉弟を発見したが、これも『鋼鉄神ジーグ』において1970年の出来事であったとされており(アニメ第1話の冒頭のシーン)、年数まで完全に一致している。
  • ジーグ向けの特化用ユニットであるスカイパーツ、アースパース、マリンパーツを射出するための列車砲が登場する。これは『鋼鉄神ジーグ』において、50年前から九州に残されていた「ギガシューター」であると思われる。また、これらを運用するために必要だという専用の静止衛星を完成させるため、大利博士が種子島にあるNISAR*20の施設を訪れるシーンがある。こちらは『鋼鉄神ジーグ』に登場した宇宙要塞「ビルドステーション」のことを指している様子。
  • ミッチーこと美和は、麻布都珠勾神社の末裔・珠城家の出身で、とある理由により司馬家が預かっているという設定。
  • 司馬博士の助手として美角美夜・美角鏡の姉弟が協力している。原作同様、数年経っても見た目も中身も変わらないらしい。
  • 邪魔大王国がゾンビ兵「黄泉軍兵」や小火炎偶、大火炎偶を擁している。
  • 邪魔大王国が使用する兵器は「ハニワ幻人」ではなく「ハニワ幻神」であり、それぞれの名称の語尾には「羅」が付くようになっている。プロローグに登場する「琉呉羅」は、東映版第1話の敵役「ルゴン」をアレンジしたものだと思われる。東映版第3話、4話の敵役である「ボウラ」、「ガルラ」も「暴迂羅」、「迦楼羅」として登場している。*21
  • その他の邪魔大王国の人物・兵器も漢字表記(八岐大蛇、妃魅禍、壱鬼馬、壬魔使、阿磨疎)になっている。
  • 鋼鉄神ジーグ』の回想シーンにもあった多卦流・美夜受・破瑠覇と妃魅禍との戦いが描かれている。ちなみに、その内容は高天原から地上(高千穂)に降り立った際に天の逆鉾を大地に突き刺すという「天孫降臨」になぞらえた展開である。
  • 美剣美里と名乗る、クレオパトラのような髪型の女性が政府の名代としてビルドベースを訪れるシーンがある。この髪型は、『凄ノ王』の美剣千草がかつて高天原で善神・摩利支天だった頃のものと同様。また、『凄ノ王』では美剣一族は高天原の一族の血を引いており、ラングーンを操っていたことを踏まえると、同じ境遇である美角姉弟とは同族であると思われる。偶然なのかどうかは不明だが、美里と美夜はどちらも苗字と名前の頭に「美」の字が使われているという共通点もある。なお、美剣美里の上司(公安警察情報第二課の特別理事)は瓜生麗であり、『凄ノ王』では美剣千草との深い因縁を持つキャラであった。作中では麗(れい)という名前をもじってゼロというコードネームが付けられたことになっているが、現実に存在する情報第二担当理事官もゼロと呼ばれていることが一般的にも知られている(その手のフィクションではお馴染み)。ちなみに瓜生麗は美角鏡と瓜二つの顔をしているらしく、何らかの強い関係性を持つことが示唆されている。
  • 壬魔使が初代ジーグを初めて見た際、凄ノ王の化身であることを一瞬疑うシーンがあるが、それは後に『鋼鉄神ジーグ』において「荒之皇」として登場することになる*22。その際には、上記のラングーンも重要なポジションで登場する。
  • 九州を閉ざした「TSアブソリュートゾーン」が発生するに至った経緯が描かれている。
  • ゾーンに閉じ込められる前の早乙女門子と身堂竜子が登場する。前後どちらでも操縦可能なタンデム式のシートに改造した戦闘機で暴れまわる姿は地獄組を彷彿とさせる。『鋼鉄神ジーグ』で再会することになる直次郎も整備士として登場。同じく『あばしり一家』がモデルの五右衛門の方は残念ながら出てこない。
  • ゲッタードラゴン編から引き続き登場する草薙教授は、美角美夜が婿嫁であることを明かしている。すなわち、『鋼鉄神ジーグ』の草薙剣児の祖父であるということになる。

そのほか、第3話のタイトルには、不死団(ノスフェラトゥ)、闇(ドゥンケル)といったワードが含まれている。*23
前者は『凄ノ王』において瓜生麗が率いる不良集団として登場し、後に『SKL』のグレンファルコン隊のデザインにも使われた。
後者は『猟界のゼーレン』において、WSO組織内で創設以来影の決定機関と噂されていた黒幕メンバー達の総称であった。
また、第4話のタイトル「魂の檻」は、『猟界のゼーレン』の小説版において「ゼーレン」という言葉が意味するものとして用いられていた。*24


宙と妃魅禍の戦いが終わった後、瓜生麗と美剣美里は邪魔大王国以外の懸念点としてヘルシンク博士という人物の不穏な動きを挙げている。
鋼鉄ジーグ編の時代設定や、この人物がバードス島の調査隊に参加していたこと、また、対策として富士の麓の関係者を密かに警護することが提案されていたりする点から、後のDr.ヘルであると思われる。
ちなみに、本作においては『猟界のゼーレン』にも登場した「非公式科学者協会」に所属していたことになっている。


なお、鋼鉄ジーグ編最終話の後には「Crossover episode」と称した短編が添えられており、マジンカイザー編で敗走したベガ星連合の黒騎士バレンドスが、時空を超えてジャマル星系の旗艦・ラングーンに赴くシーンが描かれている。*25
ここではラングーンがベガ星連合に屈し対地球の戦力として徴用されていること、しかし当のラングーンは侵略ではなく移住を望んでいること、ラングーン内の人造人間の下女にバレンドスが惑星イドゥンの果実*26を与え、自我を喪失させて狂わせたことが語られている。
このことから、妃魅禍が主(あるじ)であった美夜受・多卦流らと袂を分かつことになったのは、ベガ星連合の地球侵攻が発端であったことがわかる。


原作漫画版とは直接関わりのないオリジナルストーリーとなっており、ZEROという全宇宙の驚異に立ち向かう都合上、これまでの4編のロボットやキャラが総登場し、更には「異なる時空の友軍」としてまだプラモ化されていない作品まで関わってくる。
また、後述のように多数の伏線回収やネタばらしが含まれるなど、本作の集大成的なエピソードとなっている。


+ 回収された伏線-
  • グレンダイザー編等で言及されていた「甲児が宇宙開発用として設計した有人型スクランダー」が、ダブルスペイザーであることが明言された。事前に明かされていた通り、実際にグレートマジンガーと合体して宇宙空間で戦うシーンも描かれている。
  • マジンカイザー編の未来世界の(71歳の)甲児は「別の要件で忙しく飛び回っている」とだけ説明されていたが、ZEROが生まれるに至った経緯を「時空超越者(バースブレイカー)」として独自に調査していたことが判明した。
  • シローによると甲児がカイザーに乗った時の台詞が初めてマジンガーに乗った時と同じ、とのことだったが、そのシーンが実際に描かれている。
  • マジンカイザー編で甲児がスルーした月からの緊急信号が、アクシデントが発生していたマジンガーZERO編終盤の甲児(21歳)を助ける為、タイムパイルダーに乗った甲児(71歳)が出した信号だった、ということがわかった。
  • マリアやデュルゼルがベガ星連合から地球を守るために立ち上げたはずの「グレイス財団」が、Dr.ヘルやシュトロハイム博士をバックアップするような闇の組織「非公式科学者協会」に変貌した経緯が語られている*27。これは組織のフロント企業ABMが、バードス島の調査に関わっていたり阿修羅男爵を抱え込んでいたことへの説明にもなっている。
  • 瓜生麗や美剣美里といった公安のメンバーと美角美夜・鏡の姉弟との詳しい関係性が説明された。→1800年前の妃魅禍の叛乱の際、多卦流(鏡)と美夜受(美夜)は地球の環境に適応する自らのクローンを万が一のために市井に放った。クローンは地球の人類と同じように歳を取るが、子を作り代を重ねても、その記憶と細やかな特殊能力は受け継がれる。その子孫たちが瓜生麗や美剣美里であり、不死団(ノスフェラトゥ)と呼ばれる人々だった。中でも、より強い記憶と能力を残した者が「麗」を名乗り、リーダーとなって多卦流や美夜受が望んだ世界の平穏を影から支える。彼らが国家の要所や警備機関に多く在籍しているのも、そういう理由からだった。
  • 各編に散りばめられていたオカルトネタ(古代宇宙飛行士説、失われた大陸など)には、相関関係があることがわかった。鋼鉄ジーグ編で「高天原」に現れたとされる異星人(の一部)は、地上の「高千穂」へと降臨し、ハニワ幻神による襲撃を行った。これを「外八州史観」の考え方*28でみて世界の縮図とするなら、マジンガーZERO編で出現した機械獣の出処は、「ノアの方舟の伝承が残るアララト山」に現れた異星人(の一部)が、大洪水の流れに沿って辿り着いたエーゲ海の「バードス島」だと予想される。また、ハニワ幻神の中に八部衆の迦楼羅がいたことと、機械獣の軍団に八部衆の阿修羅(男爵)がいたことも、この対比関係を証明するものである。実際、太古の「高天原」には多卦流や美夜受、妃魅禍らが訪れており、「アララト山」にはマリアやそれを追ってきたベガ星連合が現れている。また、ノアの大洪水の流れに乗ってさらに西に行くと、一夜にして海底に沈んだというアトランティスがあったとされる大西洋がある。ゲッタードラゴン編の終盤では百鬼帝国との繋がりが疑われているアトランティス(大西洋のど真ん中)に向かう展開があり、それらの勢力にも太古に地球にやってきた異星人が関係していることが示唆されていたが、バードス島の祭壇の技術は地球ではアトランティスと分類されるシグマ星系の惑星ミュケーナイ(ミケーネ)のものであることが説明された。ミュケーナイ自体は既にベガ星連合によって滅ぼされているが、アガルタ同様、太古のバードス島に先遣隊を送っており、彼らが何らかの理由で死滅した際にミュケーナイの帝王・テネブラエ(ラテン語で「闇」の意)の魂が残留思念となったのが闇の帝王なのだという。その闇の帝王がベガ星連合の技術を使っていたり*29、アトランティスが百鬼やジャマルにも関係があるという草薙教授の考えも踏まえると、本作では全ての敵勢力に繋がりがあることになるが、これは様々な敵・味方勢力の源流がシグマ文明であるとした桜多吾作版のグレンダイザーの設定を推し進めたものと言える。
  • 鋼鉄ジーグ編にて名前が挙がっていたヘルシンク博士は、本名をラース・ヴァレリアン・ヘルシンク*30といい、フィンランドからバードス島調査に参加した後、闇の帝王の囁きを受けてDr.ヘルと名乗るようになったことが語られている。ちなみにバードス島調査のホストである民間企業ABM及び現場責任者のデビッド・エルマンは『アイアンマッスル』からのゲストであり、原作におけるデビッドのライバルである鋼光一、そして師匠であるウィルヘルム・オーディンは『SKL』『猟界のゼーレン』の小説版にも登場していたため、それらの作品と何らかの繋がりがあるのかと思いきや、その正体は一時的に本来の使命(地上の人間を滅ぼして闇の帝王を迎え入れる)を忘れていたミケーネ帝国の使者、阿修羅男爵であった*31。また、他にも地球には自分が異星人の子孫であることを知らない、或いは、記憶から消されている「アガルタ」も居るとされており、ここでもミケーネとベガ星連合の関わりが強調されている。
  • 本作の恒例行事となっている「後続のストーリーに関連するキャラの先出し」*32によりこれまでの4編は一見同じ世界での話に見えるが、そう仮定した場合、Drヘルがバードス島の二次調査から帰還して動き出した時期(1970年代)と、甲児がマジンガーZに乗った時期(犬神の階級・年齢描写から逆算すると、少なくとも2007年以降)が合わなくなり、矛盾が生じていた。これはそもそも各編が別々の世界を描いたものであったためだと判明したが、それらの関係性は中々複雑なので、次のセクションで詳しく述べる。

+ 時空を越えた世界の関係-

本作ではグレンダイザー編の早い段階からマルチバース的な世界観であることは仄めかされていたが、マジンガーZERO編での描写から、これまでのエピソードで主に描写されていた世界は、分類すると少なくとも以下の4つの軸に分かれていることが判明した。


 ①グレンダイザー編&マジンカイザー編&マジンガーZERO編(のメイン時空)
 ②ゲッタードラゴン編
 ③マジンガーZERO編(で描かれた「始まりの時空」)&鋼鉄ジーグ編?
 ④マジンガーZERO編(で描かれた『猟界のゼーレン』に極めて近しい時空)


①-1:
本作のベースとなる世界で、ベガ星連合からのかなり大規模な襲撃を受けようとしている地球が描かれる。
意図的なものなのか、他の世界と違って具体的に西暦何年なのかがはっきりとは語られないが、本編開始時点で甲児が21歳であり、その2年前にはアメリカ留学、さらにその2年前には鉄也と共にミケーネ帝国と戦っていたことがわかっている。
なお甲児によるとゲッターロボも開発されてはいるようだが、あまり印象に残るような活躍はしていない様子。


①-2:
①-1から50年後の世界。全ての時間、並行宇宙に繋がる時空ターミナルとしての役割を持つ静止衛星フォトン・アルファーを拠点として、年老いた甲児やシロー達が、ベガ星連合やZEROの脅威から「全ての」世界を守るために奔走している。
マジンカイザーやタイムパイルダーといった時空転移機能を持った機体もその流れで造られたもの。


②:
西暦2011年に、初代ゲッターやゲッターGが恐竜帝国及び百鬼帝国と戦っている様子が描かれる。
ゲッタードラゴンが進化して全宇宙から畏れられる存在になることが示唆されており、そのためか、強敵を求めるZEROが唯一世界を滅ぼさずに立ち去るという特殊な例となった。
ちなみにこの世界にも邪魔大王国がいたことや、2011年時点でマジンガーどころか超合金Zすら完成していないこと、そしてバードス島がこの世界では「まだ」危険視されていないということが判明している。


なお、鋼鉄ジーグ編の扱いについてだが、エピローグで2011年に70代の草薙教授が早乙女研究所での会議を終えて帰宅するシーンがある。
この会議はゲッタードラゴン編で描かれたものであると思われ、そちらでの草薙教授の年齢描写とも一致する。
また、鋼鉄ジーグ編本編(1975年)の宙の回想によると、10年前(1965年)には草薙は30代だったとのことなので、その点でも年齢的な矛盾はない。
これらから鋼鉄ジーグ編も②に属すると考えたくなるが……
本編の最後にはDr.ヘルが動き出し、美里が富士の麓の関係者を守る提案をしており、そのシーンが実際にマジンガーZERO編(1976年)で描かれている。
また、その際には1年前にジーグの戦いがあったことや、九州が既に封印されていることにも触れており、③の方に属しても矛盾はないが、仮に②の方だとすると、Dr.ヘルが動き出してから45年経ってもまだマジンガーが完成していない、というおかしな状況になってしまう。
このため、鋼鉄ジーグ編の世界は基本的に③に属するが、エピローグ部分のみ②という可能性もある、としておくのが無難だろう。


③:
ZEROが生まれた世界で、通称「始まりの時空」。技術の進歩が早く、1976年には甲児がマジンガーZに乗ってDr.ヘルと戦い始めている。
永井豪の漫画版『マジンガーZ』に沿っている部分が多いが、ZEROや別時空のキャラが関わってくることで、独自の展開をみせている。


顕著なのがマジンガーZが海底要塞サルードに捕らえられるエピソードで、登場する機械獣の種類やZが捕まるまでの流れは概ね同じだが、ボスと共に脱出する漫画版とは異なり、スペイザーで転移してきたマリアが別時空から連れてきた美里と来栖丈により甲児のみ救出される。
Zに関しては「始まりの時空」が移動する(=ZEROが生まれる世界が他へ移る)要因にならないよう、意図的に敵地に残す展開になっている。


④:
2043年。フランスのWSO士官学校カンヌ・リセを卒業した美剣千草が、外部エージェントの「エペ」を迎えに行くシーンが描かれる。
彼はウィルヘルムの依頼でウッタラカンドでの仕事を片付けた後、何故かそのままヒマラヤに登っていってしまったらしい。
依頼人からの報酬として千草から「柄尻に丸みを帯びた彫刻のある日本刀」を受け取った彼は、「鬼に、金棒ってな――!」の台詞と共にその場にいたビーストを蹂躙した。


……実はこの④の内容は、ほぼ全てが『猟界のゼーレン』の小説版ネタとなっている。
そちらではウィルヘルムからの依頼でカンヌ・リセに潜入した「エペ」(=フランス語で「剣」)が学生時代の千草と出会う話があった。
また、ウッタラカンドは全部で8つあるキャズムポイント(マシンビーストを自動製造するシステムの位置)の内の1つであるため、本作で彼が片付けたという仕事の内容は大体の想像がつくだろう。
その後ヒマラヤに登った理由は不明だが、同作者による『サイボーグ009VSデビルマン』の小説版では、彼の元ネタの一つである不動明の天敵・デーモン族の魂がヒマラヤに囚われているとされていることや、不動明のさらに前進となるキャラ(『魔王ダンテ』の宇津木涼)が作中でヒマラヤ山脈に呼び寄せられたことと何か関係があるのかもしれない。


もうお分かりだと思うが、「エペ」とは海動剣のことであり、上記の台詞も『SKL』のOVA版第3話にもあったものである。
ちなみにOVA版のOPには雪山と日本刀が映っているシーンがあり、何となく上記の展開との関連性を感じさせられる。


これほどの共通点のある④の世界だが、ゼーレン側の設定的には漫画版の舞台は西暦2118年*33なので、メタ的にはほぼ続編のような感覚で読めるが、設定上は一応別の世界なのだろう。


なお、この世界の海動が乗ることになる「SKL」の対ZERO戦における役割については、次のセクションで述べる。


その他:
鋼鉄ジーグ編に添えられている「Crossover episode」では、①~④のいずれかというよりも、全ての時空に影響を及ぼすという時空ターミナルとしての機能を持ったベガ星連合の拠点が登場する。
実際、鋼鉄ジーグ編にも関わらず、①の世界から逃げてきた黒騎士バレンドスが辿り着いている。
ここではバレンドスにより妃魅禍が闇堕ちする経緯が描かれているが、それは即ち、ベガ星連合や邪魔大王国の侵攻は全ての時空において共通で発生する事象であることを表しているのかもしれない。


+ 本作品におけるZERO-

上述の「始まりの時空」において、兜十蔵がマジンガーZのサポートAIとして設計した「ミネルバ・プログラム」を、バードス島から帰還したDr.ヘルやシュトロハイム博士がドナウα1やガミア等を経て発展させ、奪ったマジンガーZに取り付けた。*34
そこに星や民を失った闇の帝王の呪いの想念が加わり、プログラム自体が変異してZEROの思考ロジックが創り上げられていった。


ZEROは自身の思考ロジックに従い成長を続け、宇宙最強の証として全宇宙の生命を滅ぼし尽くすまで、その行動を終えることはない。
一つの宇宙を消滅させると転位し、移動先の宇宙を破壊する。その行動を繰り返し、本編の時点で凡そ5万の宇宙がZEROに消されている。


マリア達が観測したデータでは、大気圏外から全方位に放ったフォトンビーム一撃で月も地球も砕け散り、宇宙の生命を全滅させた。
このビームは1パーセク(=約31兆キロメートル)の範囲に影響を与えるらしく、一発撃たれたら太陽系ごと吹き飛ぶことになる。


ボディーの元は超合金Zだが、アストラル誘導体がコーティングされて変異しており、その強度はグレン合金でさえ寄せ付けない数値になっている。
動力も既に光子力エネルギーではなく別次元のものに変わっており、「物理的システムで形成されていない世界」から力を引き出すことすら可能とのこと。


このように絶望的な強さを持つ本作のZEROだが、マリアと甲児が用意した意外な「助っ人」により、引導を渡されることになった。
→SKL型のカイザーに搭載された「TRANOS」が重力炉を制御棒代わりに使い、空間のエネルギーを融合させて精神世界に傾いた亜空間フィールドに変換。
→精神力のみでの力比べとなったフィールドで、SKL型のカイザーに搭載された「共鳴型認識システム」を海動が気合で発動させ、爆発的に高まったエネルギーをもってZEROから闇の帝王の魂を引き剝がした。
→引きずり出した闇の帝王とブースト状態のSKL型のカイザーが相打ちとなり、ZEROは元のマジンガーZに戻って「始まりの時空」へ、カイザーは自身が作られた(Zとグレートのいなくなった)世界へと返されていった。
→ちなみにこのとき、両者の闘いで発生した膨大なエネルギーを利用して、ベガ星連合の大艦隊があっという間に一掃された。


その後の展開は次のセクションを参照。


+ マジンガーZの”ZEROモード”-

「始まりの時空」では、甲児が新型のジェットパイルダー(東映版以外の作品では拾われることが大変珍しい、ホバーパイルダーの後継機)をマリアから受け取り、起動準備を進めていた。*35
闇の帝王と分離して亜空間から戻ってきたマジンガーZとドッキングし、甲児の意志で変化したマジンガーZは”ZEROモード”となった。
元通りのサポートAIとなった「ミネルバ・プログラム」によると、このモードは大気圏内では強力すぎて使用できないらしい。
胸の放熱版から敵のエネルギーを無効化する特殊なブレストファイヤー(「聖なる水色の光の筋」と表現されている)を放出することが可能で、これにより生き延びていたマザーバーン及び発射されたベガトロン砲のエネルギーまでをも氷結化させてしまった。
ファイヤーとは一体……?


なお、ZERO時代の機能もある程度使えるらしく、当然のように時空転移も行っている。


ちなみに”ZEROモード”のマジンガーZが凍らせた巨大なエネルギーは幾つかの巨大氷塊に分かれて地球の引力に引き寄せられ始めたため、これらを自然サイクルを崩さない程度の割合で異なる時空の地球に分散転送することになった。
明言はされていないが、この膨大な総量の氷塊が溶けたことにより、作中で何度か言及されていた、各地に残る大洪水伝説に繋がったと考えることもできる。


+ 余談;他媒体での設定について-

INFINITISMシリーズのプラモでは、ボックスやインストにストーリー概要や武器・オプション等の設定が記載されているが、上記のホビージャパン(以下、「HJ」と表記)連載の小説と連動している部分とそうでない部分とが混在してしまっている(連動していない部分については、既存の色んなダイナミック関連作品から適当にかいつまんでコピペしている模様)。
参考までにインスト記載の情報の出所と思われるものを整理すると、以下のようになる。


ストーリー概要武器・オプション設定
HG グレンダイザーHJ連載小説TVアニメ※1
HG マジンカイザーHJ連載小説HJ連載小説、ゲーム、OVA※2
HG ゲッタードラゴンTVアニメTVアニメ※3
HG 鋼鉄ジーグTVアニメTVアニメ
HG マジンガーZERO原作漫画、HJ連載小説※4原作漫画

※1 ダブルスペイザーの説明のみ、HJ連載小説の設定が取り入れられている。
※2 HJ連載小説由来の設定が多いが、『スパロボα』やOVA版『マジンカイザー』からも節操なく取り入れられている。小説の方では使えることが判明したカイザーノヴァについては触れられていない。
※3 何故か飛行速度の数値のみ、HJ連載小説の設定が取り入れられている。
※4 前半部分が原作漫画、後半部分がHJ連載小説から引用されており、意味不明なストーリーになっている。ボックスの方にもストーリー概要があり、こちらはHJ連載小説のものになってはいるが、かなり複雑で壮大なマジンガーZERO編の中からプロローグの一部だけを取り出しているため、恐らくこれだけ読んだ人には理解できないと思われる。


ちなみにマジンカイザーINFINITISMが参戦している『スーパーロボット大戦30』では、本来INFINITISMとは別世界である『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』と同時参戦している上にグレンダイザー等がいないためかHJ連載小説のようなストーリーは再現されていないが、カイザーの図鑑説明はほぼ全文が小説のマジンカイザー編第3話からそのまま持ってきたものとなっている。
このため、ゲーム中においても「MTP型」の特徴である「時空超越者(バースブレイカー)」の能力を持っていたり、未来の甲児が開発したものである等、設定が共通している部分もないわけではない。




〈鋼鉄神ジーグ〉


「魔神大戦21」によると、2007年放映のアニメ『鋼鉄神ジーグ』は、『SKL』とはキャラクターデザイン以外の殆どのスタッフが同じ、とのこと。
ダイナミックプロ作品のネタが大量に散りばめられている点も共通しており、『デビルマン』や『Xボンバー』のようなカメオ出演の他、メインキャラのモチーフとして使用されている『電送人バルバー』、実は主役3人組(門土・竜馬・つばさ)全てが登場している『ガクエン退屈男』、古事記を扱うという共通点があり、終盤に幾つかの要素が取り入れられている『凄ノ王』、の3作品については特に扱いが大きい。


本作から数年後、「無双の出来るマジンカイザー」というオファーを受けたスタッフ陣は、『ガクエン退屈男』の門土・竜馬をそのまま主人公としたバイオレンスな作品を提案。
紆余曲折あり、『デビルマン』の明・了の要素までをも取り込んだ結果、かの永井豪先生から「ワルいなこいつら」「やりすぎだよ」と言われるほどの二人組が誕生した。
お察しの通り、『SKL』の地獄組である。


余談だが、早川氏は本作の円盤ブックレットにおいて、以下のようなやり残しや裏設定について語っている。

  • 妃魅禍は鏡たちの種族が星を征服する際の生体兵器である
  • ミッチーは珠城神社を継ぐために姓が変わっただけで、つばきは本当の孫ではない
  • 天孫降臨の舞台である高千穂の天の坂鉾が1話の背景に映っており、これは妃魅禍の封印に使われた。それに付随する高天原伝説を持ってくるにあたり、永井豪の『凄ノ王』ネタが使われていった
  • 多卦流と美夜受の古代の闘い、それに関わる剣児の祖先、剣児の母が美夜受と同じ顔である理由、等を説明する話を書いたが13話に入りきらなかった

見ての通り、殆ど全てが先述の『スーパーロボットINFINITISM』の鋼鉄ジーグ編において回収されており、それらは決して安易な後付けではなかったことがわかる。



〈サイボーグ009VSデビルマン〉


2015年のOVA作品『サイボーグ009VSデビルマン』は、『SKL』と同じく監督を川越淳氏、脚本を早川正氏、キャラクターデザイン・総作画監督を伊藤岳史氏、アニメーション制作をアクタスが務めている。
さらにデビルマン側の主要キャラクター3人は、『SKL』の主役2人とヒロインを演じたキャスト陣3人が声を当てている。


浅沼氏は川越監督の新作で出演者も同じということで最初は『SKL』の続編やカメオ出演だと思い、更に『デビルマン』と聞いて同作に『SKL』が出ると思ったという。
その後、伏せられていた正式なタイトルや演じる役も明かされどんどん混乱していった様子。
監督曰く、もともと『SKL』の3人の役が『デビルマン』の不動明と飛鳥了と牧村美樹のメタファーとして作られたキャラクターだったので、どうせならこの3人に再登板してもらおうと最初から決めていたとのこと。
早川氏による小説版では、不動明だけではなく飛鳥了自身も猟銃や特殊警棒、グレネードランチャーで積極的に戦っており、二人纏めて009側のキャラから危険視される等、地獄組を彷彿とさせる描写もあったりする。
また、本作にはサイボーグ化したデーモン族「サイバネティックデーモン」が登場するが、同時期の『猟界のゼーレン』にはサイボーグ化した恐竜「サイバネティックビースト」が登場するという類似点もある。


余談だが、『マジン・サーガ』では不動明が悪のマジンガー「デビルマンX」となって登場する。
永井豪の構想によれば、これはDr.ヘルが「マジンガーZ」の研究データを基に作り出したものであり、マジンガーとは戦う運命にあるとのこと。
一方で、ファンの間ではカイザーSKLの製作者はDr.ヘルなのではないかとする説もあり、もしそうなら上記の構想に似た展開になりそうなのが興味深い点である(スタッフによれば、カイザーSKLが誰に造られたのかは意図的に秘密にしていたそうだが、最終的に戦う相手がカイザーであることは明かされている)。




〈ゲッターロボ アーク〉


2021年7月放送開始のTVアニメ『ゲッターロボ アーク』は、主要スタッフ陣が『鋼鉄神ジーグ』『SKL』等と同様の顔ぶれで、完全にいつものメンバーである。
このため、以下のように『SKL』を含む上述の関連作品群と類似するアニメオリジナル要素が含まれている。

  • 円盤のブックレットによると、ランドウ軍との戦いの影響により人間社会が荒廃していることになっており、『SKL』と同様、一部地域を除いて殆ど『バイオレンスジャック』のような世界であるとのこと。なおこの設定は、女王蟲戦で住宅街のシーンがカットされた一因にもなったのだとか。
  • 作中でアークチームが「地獄へのお使い」と呼ばれるシーンがあるが、これは『SKL』において海動と真上が「地獄からの使いさん」と呼ばれることへの綺麗な対比となっている。両者には先代パイロット不在の中、世界に残された(物騒な見た目の)マシンに乗って戦うという共通点もあったりする。
  • 「先の大戦」「マテリアル」「蟲軍」「龍神」「美しい夜」「聖なる竜」*36「テラ星(地球)」「昆虫型ヒューマノイド」といった『SKL』『猟界のゼーレン』『スーパーロボットINFINITISM』でも使われた表現が多々見受けられる。またそれらの作品で多用されていた、所謂「三文字頭字語」も新規に設定していたりする(BUG;Biogeocenosis Unlimited Genocidemachine等)。
  • 『猟界のゼーレン』のように、遠隔操作による無人のステルバーが登場する。
  • 回想ではあるが、『スーパーロボットINFINITISM』と同様に隼人の婚約者である山咲の出番が増えている。
  • ウザーラの機体解説にある通り、『スーパーロボットINFINITISM』と同様、アトランティス人が太古の地球に渡来した異星人の末裔だったという設定になっている。
  • アンドロメダ流国のメカが過去の様々な時代に送り込まれた結果、地球にオーパーツとして存在することになった(このため、ハン&シュヴァイツァ博士が海底でメカを発見するシーンがある)。これは『スーパーロボットINFINITISM』においても百鬼帝国の円盤を造った者が過去の地球に到来していた、という形で表現されている。それどころか、そちらは他にもジャマルやベガ、アトランティスなど、異星人の勢力が山ほど押し寄せているヤバい世界なのだが。

なお、「永井豪70'sアニメ大解剖」の川越監督へのインタビューによると、本作の前には多数の企画書が没になっていたらしく、その中には『マジンカイザーSKL対ゲッターロボ』というタイトルからして物騒極まりない作品もあったのだとか。
その後、アニメ版アーク最終話に向けて監督が提示した蔵出しイラストは(何故かアニメの内容とは無関係の)「マジンカイザーSKLがゲッタードラゴンと組み合っている」という謎のシチュエーションであった。
脚本の早川氏もオフィシャルワークスにおいて「今後は原作準拠ではなく原作の設定を使った新しい形の『ゲッター』をお見せできれば」と語っており、これらは今後世に出したいものを各所へアピールしている状態なのかもしれない。*37




【外部出演】


〈超大戦!ロボットバトル〉


2011年から2014年までMobageで提供されていたソーシャルゲーム。ゲーム内容的には『ガンダムロワイヤル』のダイナミック版といったところ。
ダイナミックオンリーということもあってかなりマニアックな作品まで抑えており、スパロボシリーズに一度も出ていない『Xボンバー』『ゲッターロボアーク(漫画版)』『MAZINGER U.S.A. Version』『Zマジンガー』『サイコアーマーゴーバリアン』『ダイノゲッター』他多数が参戦。
当時までの今川・川越監督の映像作品もすべて網羅しており、その中には当然『SKL』も含まれていた。




〈スーパーロボット大戦UX〉


ニンテンドー3DS用ソフト『スーパーロボット大戦UX』でシリーズ初参戦。
ところが『SKL』単独参戦だったため、「マジンガーZ兜甲児が登場しない」という版権スパロボ初の事態が発生した。
それどころか、『UX』参戦作品の中では(『サヨナラノツバサ』を除き)一番最後なので、当時は『マジンガーシリーズ』はスパロボ最古と最新の参戦作品を有する事になった。
おまけにキャラが合いそうなゲッターロボ(特にOVAゲッターシリーズ)や鋼鉄ジーグおよび鋼鉄神ジーグもいないので、ダイナミック枠が1つだけだったりもする。


ラインバレルが原作漫画版なので、話の繋がり的に『ヴァーサス』の内容も取り入れると予想されていた。
実際、『ヴァーサス』の要素もいくつか組み込まれている。


シナリオではオリジナル勢や初音ミク(フェイ)とよく絡む。奇械島の設定が便利に使われ、第2次Zのバードス島以上にとんでもないことになっている。
デモンベイン等の参戦によりやたら神様やそれに近い存在を相手にするが、最初から最後までぶれずに地獄っぷりを貫く。


参戦が決定した時は同時参戦作品に劇場版ガンダム00劇場版マクロスF前編後編がいたため、対 話 終 了と言われたりもしたが、蓋を開ければ空気を読みまくって全くと言っていいほど口出ししなかった。むしろ対話を「戦いを終わらせるための戦い」と認めている節すらある。
ただし、あくまで邪魔はしないというだけで、サコミズ王の説得をやらせたりすると当たり前のように対話終了してしまう。


あとさりげなくミストさん語録を使用した。
海動「理由なんざ、どうだっていい!あの野郎をブチのめすチャンスだ!」




〈スーパーロボット大戦Card Chronicle〉


ソーシャルゲーム『スーパーロボット大戦Card Chronicle』にもアップデートで参戦。
別の世界である真マジンガーOVAマジンカイザーのマジンガーチーム、世界最後の日版ゲッターチームネオゲッターチーム鋼鉄神ジーグ勢との共闘を果たした。
ハロウィンイベントのコスプレでは、大変珍しいミニスカ衣装の由木を見ることができた。


あとまたもミストさん語録を使用した。
真上「確かにな…だが、重要なのはそこではない」




〈スーパーロボット大戦BX〉


『UX』に続き2作目となる3DS用ソフト『スーパーロボット大戦BX』では真マジンガーと同時参戦。パッケージイラストにも両者が描かれている。
原作終了後の参戦。『UX』に比べ、新たなカットインや『ヴァーサス』で使用された技が追加された。又、マジンガーZとの合体技により甲児君が地獄の仲間入りをした。


近年のスパロボではマンネリ防止の為か、ダイナミックプロ作品に関しては毎回何らかのサプライズ要素が用意されている(マジンエンペラーG真ゲッタードラゴン等)。
本作におけるそれは、OVA版の最後に登場したサポートメカ「SKL-RR」と『ヴァーサス』の最後に使用された武器「インフェルノギガブラスター」の採用、『真マジンガー 衝撃! Z編』の暗黒大将軍との本格的な戦闘、マジンガーZとカイザーSKLの合体攻撃、の3点であり、いずれも版権元から快諾を得た上でノリノリで戦闘アニメを描き起こしたことが攻略本のスタッフインタビューで語られている。


なお、本作での『SKL』のキャラは『聖戦士ダンバイン』のキャラとやたらと密接に絡み、「海動&真上がバイストン・ウェルに聖戦士候補として召喚され、シーラ・ラパーナから「地獄の使い」として雇われているという驚きの展開がプロローグで起こっている。
バイストン・ウェルでもドレイク軍のオーラバトラー相手に彼らが暴れ回って千切っては投げたりして、まさに「地獄」と言うべき原作以上の戦乱が巻き起こっていたんだろうと想像出来るが、良いのか、シーラ姫。
ちなみに、富野監督は「デビルマン」に対抗して「ダンバイン」を製作した(監督曰く、ハイパー化はデビルマンに行き着く過程であり、終盤の物量戦で敵と味方にデビルマンが出せたら「良き理想」「悪しき理想」という形の華のある物語にできたが、人の変身を描きたくないためデビルマンにはできなかった)とのことであるため、不動明と飛鳥了の影響を色濃く受けている地獄組がダンバイン勢とよく馴染むのは自然なことだったのかもしれない。
小説版である「オーラバトラー戦記」では主人公が初めてガロウ・ランの所業を見た際に「デビルマンの世界じゃないか!」と叫ぶシーンがあるが、スパロボにおいては『UX』『BX』と2作連続で地獄組がガロウ・ラン呼ばわりされているという対比も面白い。


ちなみに、『PROJECT KAISER 誕生編』『スーパーロボットINFINITISM』で判明したSKLのエモーションセンサーの仕組みも、オーラコンバーターと類似している。




〈スーパーロボット大戦X-Ω〉


ソーシャルゲーム『スーパーロボット大戦X-Ω』にはイベント「新天地! その名は・・・地獄」で参戦。その後もダイナミックプロ作品関係のイベントによく顔を出す。



「新天地! その名は・・・地獄」
主役3人組が甲児の同僚として登場し、光子力研究所において異世界から来た他作品のキャラ達の訓練を請け負っている。ちなみに、異世界から来た他作品のキャラと言うのが、ヘボット!とセガ・ハード・ガールズの面々。
どうしていきなりこいつらと絡ませたのか…。
由木は既にスカーレットの後を継いでいるらしく(昇進済&マフラーあり)、地獄組に負けず劣らずスパルタの模様。


「激突!宇宙海賊×地獄」
地獄組がWSOの任務で勇者ロボを救出するためにスーパー戦隊やメタルヒーローと協力する、という無茶なシナリオ。
ちなみに海動は元々乗り気ではなかったが、由木に恐ろしい剣幕で迫られ、断り切れなかったらしい。


「平和を創った戦士たちへ・・・」
劇場版 マジンガーZ / INFINITY』の鉄也の後輩軍人という立ち位置で主役3人組が登場。
とはいえ現役を退いた甲児の復帰を促すべく声をかけるぐらいで、あまり目立った出番はない。


「獣神ライガー 闘気邂逅篇」
Dr.ヘルに連れ去られた神代ゆいを救出するため、WSOからいつもの3人組が参戦する。
獣神ライガー』の剣が真上をドルクと見間違えるというシーンがあるが、これは真上の元ネタの一つである飛鳥了がリュウ・ドルクと似ているからかもしれない。
また、地獄組は剣の言うドルクとは別のドルク(真上曰く技官)を知っているらしく、『PROJECT KAISER 誕生編』や『猟界のゼーレン』ネタかと思わせる発言もある。
とはいえ、それらの作品ではドルクはWSO関係者ではあるが技官ではなく、また地獄組との直接の面識もないのだが……


「時空を超える歌声」
マクロスシリーズのイベントかと思いきや、いつの間にかマジンガーシリーズのキャラがマジンガーZEROと戦う展開になる。
ZEROと戦えると知ってむしろ大喜びする地獄組や、ミネルバやさやかといった別作品のヒロインと交流する由木が見られる。


「Closed World」
マジンガーZEROが創り出した世界に、唯一計算外に呼ばれた存在として地獄組が登場。
その立ち位置からか、最終的に彼の想像を超える力を発揮して撃退に成功した。
地下から発掘したマジンガーZを「これなら俺たちにも扱える」と言って乗り込もうとする海動や、ZEROを見て「神というよりはサタンのような容貌」と評する真上等が見どころ。


「超越並行世界の旅であります!」
ケロロ軍曹達が並行世界体験装置(仮称)を使って辿り着いた世界の一つが、『SKL』+『チェンゲ』というバイオレンスな組み合わせの荒廃した世界観となっている。
侵略者に容赦のないゲッターチームや、インベーダーやゴロツキを喜んで叩き潰す地獄組を見て、絶対に協力を申し込みたくないとケロロも恐怖を感じている。
ちなみにWSOがゲッターチームに協力する理由として「治安回復もWSOの任務ですから」と由木が回答しており、『PROJECT KAISER 誕生編』の設定が拾われていることがわかる。


「並行世界大冒険であります!」
並行世界体験装置(仮称)の改良型を使って辿り着いた世界の一つが、またもや上記のバイオレンスな世界だったという展開。
ゲッターチーム+地獄組が東方不敗マスター・アジアと戦いたがったり、引き続きケロロにトラウマを植え付けたりする。
ちなみに故障した上記の装置を修理できるか問われた由木は、時間さえかければ可能と返答しており、秀才設定が活かされている。


その他、2020年12月1日スタートの強敵イベントでは『マジンカイザーSKL(WC)』の新技インフェルノギガブラスターが実装。
『BX』同様、ゲームに出すにあたって設定確認を含めて関係各位に様々な協力をしてもらった、とのこと。
運営チーム側でずっと出そうと言っていたらしく、SKL-RRも登場したりと演出には気合が入っている。






真上「アニヲタwikiに篭ることでしか生きている実感を掴めない者同士…」


海動「仲良く追記・修正しあうのも悪くねぇ!!」


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*1 ただし、下2つについては現在では閲覧する手段がほぼ存在せず、ハードルは高いと言わざるを得ない。
*2 海動のモデルとジャックの正体が共通であることを踏まえたネタであると思われる。
*3 こちらは白いロングコートに猟銃という飛鳥了を思わせる出で立ちであり、OVA版のラフスケッチでは銅磨高虎(=スラムキングの本名)という仮名が付けられていたこと、スラムキングの正体が了と深い関係があることを考慮すると、海動同様にバイオレンスジャックネタもカバーしている。
*4 本作ではこの表記になっている。スパロボでは、本作より後に出た『BX』でも「エルプスユンデ」のまま。
*5 つばさは『真マジンガー 衝撃! Z編』にも登場するが、こちらは原作の『ガクエン退屈男』ではなく、『バイオレンスジャック』版のデザイン(アシスタントが描いていたと言われるほど画風が浮いており、原形をとどめていないほぼ別人)の方をベースとしている。
*6 OVAのOPにもこれを描写したと思われるカットがある(富士山や光子力研究所の特徴的なフォルムが見える)。
*7 とはいえ、そちらでは頭部に髑髏(=スカルパイルダー)があったり、全身が鎖で縛られて「封印」されていたりといった差異もあるため、仮に繋がっていたとしても両作品の間にはまだ何らかの語られていないエピソードがあるのだろう。
*8 ただし、OVA版の設定資料を纏める目的で執筆された『PROJECT KAIZER 誕生編』によれば、ブレストリガーはWSOがSKL発掘後に間に合わせで取り付けた外装であるとされており、ミケーネ関与の余地はない。また、OVA版の設定画によると、そもそも胸の部分のモチーフはミケーネではなくデビルマンであると明記されている。
*9 ちなみに本作の後、『激マン! マジンガーZ編』にて同じようにカイザーをリーダーとする謎のマジンガー軍団が永井豪により描かれている。こちらのカイザーはマジンカイザーというよりもいわばマジンガー版のゲッターエンペラーといえる存在であるが、詳細は語られていない。また、『激マン! マジンガーZ編』は後に『マジンガーZ2022』として永井豪自身によりリブートされたが、その際にもこのカイザーに関する新しい情報は特になかった、どころかエピソード丸ごと削除されてしまった。
*10 何となくTVアニメをイメージさせるような雰囲気のコメントだが、作中には漫画やOVA作品のネタも多数含まれており、別に東映版の延長の世界というわけではない。
*11 ちなみに、シローは『ダイナミックヒーローズ』においてもアメリカの研究施設に留学しており、兄同様、祖父のような研究者を目指していた模様。
*12 『デビルマン対ゲッターロボ』では、実際に恐竜帝国と覇権を争っていた先住人類である。
*13 『テレビマガジン』連載当時の設定資料によると、実は「テラノス」という正式名称があるらしい。ちなみに仲間の2体(「トリプス」と「プテラス」)は残念ながらゼーレンには登場しない。
*14 プラモのインストやパッケージには「INFINITISM NOVELS」と記載されているが、誌上ではこの名称は一度も使われておらず、第2弾までは単に「グレンダイザーINFINITISM」「マジンカイザーINFINITISM」と呼称されていた。第3弾からは「スーパーロボットINFINITISM」という親タイトルが付けられたため、本項でもこちらの表現に合わせている。なお、第5弾からはようやくプラモ側の表記も雑誌側に合わせて修正された。
*15 Zとグレートの光子力エンジン搭載によりカイザーの出力を強化するという展開は、漫画『マジンカイザーVS真ゲッターロボ』でも描かれている。そちらではゲッター線を融合させた光子力エネルギーの無尽蔵なパワーを制御するため、という別の理由が付けられている。
*16 ちなみに東映版同様、隼人には姉がいるらしく、そちらは直系のため苗字は「神」のままらしい。
*17 早川氏が脚本を担当したアニメ版『ゲッターロボアーク』においても、アニメオリジナル設定としてウザーラのボディがオリハルコン製だということになっている。
*18 『鋼鉄神ジーグ』は東映版とは繋がらないためか漫画版の続編であると言われることもあるが、実際には複数あるどの漫画版とも設定が異なる。内容的にはむしろ、この鋼鉄ジーグ編の続編が『鋼鉄神ジーグ』であると言える。
*19 ちなみに1975年は、東映版が放送開始された年でもある。
*20 NISAR自体は勿論『ゲッターロボ號』が元ネタだが、実在する種子島宇宙センター(宇宙航空研究開発機構)も併せたネタであると思われる。
*21 ちなみに後者は元ネタ(仏法)の通り、八部衆という上位個体の内の一つという設定になっている。他の7体が出てくる前に作品が終了してしまうという点でも、永井豪の『ガルラ』の怪鳥神・迦楼羅とは共通点がある。
*22 荒之皇は凄ノ王に加えて、『魔王ダンテ』のダンテもモチーフの一つとしている。
*23 ノスフェラトゥも原作漫画の作中で「闇」と表現されているという繋がりがある。
*24 ゼーレンのメインキャラクター達が乗る戦艦やその乗組員のコードネームには、北欧神話の神々や戦乙女の名前が使われている。これは作中の世界がヴァルハラ(北欧神話において戦士の魂が訪れる死後の世界。それらの魂は戦乙女により導かれ、恒久的に戦い続ける)に喩えられているためであろう。要するに永劫に戦いを繰り返す人類の世界を神話の死後の世界に重ねることで「魂の檻」と表現しているのであり、それはINFINITISMの世界でも変わらないということなのだろう。無論、表向きにはゾーンに閉ざされた九州や封印された妃魅禍を揶揄している表現でもあると思われるが。
*25 「ジャマル」は『鋼鉄神ジーグ』で妃魅禍が呪文を唱える際に使っていたフレーズでもある。
*26 北欧神話の女神イドゥンが持つ黄金の林檎が元ネタと思われる。
*27 「組織には必ず『闇』も生まれる」という理屈によるものだが、『猟界のゼーレン』小説版でも同じテーマでWSOという組織の『闇』が描かれていた。
*28 日本の歴史や地理などは、外八州である世界の歴史や地理を縮密して内八州である日本に移写したものであり、世界のものと日本のものを精細に照合すれば、世界史の真実が浮かび上がるという理論。
*29 『猟界のゼーレン』の項でも触れたように、闇の帝王が太古の異星人であり、ミケーネ等の技術を齎したのは東映版マジンガーの完結作向けにダイナミック側が用意していた設定。当時は採用されなかった。
*30 このネーミングはフィンランドの首都ヘルシンキに実在した数学者ラース・ヴァレリアン・アールフォルスが元ネタと思われる。
*31 光一やウィルヘルムとの関わりは特にないため、デビッドを阿修羅男爵の仮の姿として設定した理由はわからないが、デビッドが飛鳥了の要素を持つパロディ的なキャラであり、その了が両性具有だったことが関係しているのかもしれない。
*32 小説で先出ししていくことはプラモ側にも明記されている。実際、グレンダイザー編には甲児達が、マジンカイザー編には隼人&山咲が、ゲッタードラゴン編には草薙教授が、鋼鉄ジーグ編には瓜生麗(通称ゼロ)とDr.ヘルが登場していた。マジンガーZERO編にも「助っ人」として新しいキャラやロボットが出てきているが……?
*33 企画書の記載による。本連載時には変更されている可能性もあるが、実際の漫画版作中でもアダム・シュタインベック社が21世紀初頭(=2001年~)から倫理的に問題とされる研究者達を囲い込んできたとされており、さらに小説版ではシュタインベックがそういったダークな世界に足を踏み入れた研究者達を援助する団体(非公式科学者協会)を立ち上げたのは「先の大戦」(=作中の64年前)より後だとされているので、どちらにせよ④の2043年という設定には合いそうもない。
*34 バードス島の祭壇はミケーネの技術で作られたポータル(転移装置)の出口となっており、ここでDr.ヘルやシュトロハイム博士の意識も闇の帝王に浸食された模様。
*35 マリアは1年と6か月後の弓教授から受け取ってきたとのことだが、これは東映版71話から登場したことを踏まえたネタだろう。
*36 GYAO!等の一部配信サイトでは、放送前の最終話のタイトルが「聖なる竜」とクレジットされていた。これは勿論漫画版のゲッター聖ドラゴンを意識したものであろうが、実際にアニメ版最終話で目覚めたドラゴンの名義については、オフィシャルワークスでは「真ドラゴン」、円盤のブックレットでは「真ゲッタードラゴン」と記載されており、少々ややこしいことになっている。どちらのドラゴンも『チェンゲ』の真ドラゴンの没デザインを再利用した経緯があるためであろう。余談だが、その没デザインの別案の内、最終形態として描かれたものが後にゲーム『ゲッターロボ大決戦!』の真ゲッタードラゴンとして再利用されている。
*37 ちなみに『SKL』の時は監督が『PROJECT KAIZER 誕生編』の存在を各所で宣伝した結果、ムックへの掲載が実現したのだとか。

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