マジンカイザー 新魔神伝説

ページ名:マジンカイザー 新魔神伝説

登録日:2018/02/20 Tue 22:12:56
更新日:2024/02/19 Mon 11:47:24NEW!
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マジンカイザー 新魔神伝説』は、永井豪&ダイナミックプロによる読切漫画作品。


講談社の『マガジンFRESH』2001年9月号に掲載されたのが初出で、
以降は2002年5月刊行のOVA版ムック本『マジンカイザー MEMORIAL BOOK』(講談社)、
2003年4月刊行の津島直人版『マジンカイザー』(双葉社・アクションコミックス)、
2014年3月6日刊行の『グレートマジンガー』(講談社・KCデラックス)に併録されている。
2018年時点では『グレート』の単行本が一番入手し易いだろうか。


OVA作品『マジンカイザー』の第1巻発売に併せて発表された作品で、正真正銘、原作者・永井豪の手による『マジンカイザー』漫画作品。
内容はOVA本編とはまた異なる、永井豪独自の設定による「マジンカイザー・サーガ」が描かれており、マジンカイザーを始めとするメカニックの書き込みは勿論の事、
あしゅら男爵にDr.ヘル、兜十蔵といった『マジンガーZ』という作品を彩ってきたキャラクター達にも新解釈によるリブートがなされ、
読切漫画ながらもかなり独特な味わいのある作品に仕上がっている。


物語自体は永井豪版『マジンカイザー』・序章といった雰囲気で、
これから甲児とカイザーの物語が始まらんとするところで終わってしまっているところに一抹の物足りなさを感じる読者もいるかもしれないが、
果たしてこの後どのような戦いが繰り広げられたのか、想像の翼に心を委ねてみるのもファンの楽しみ方の一つではないだろうか。


ちなみに、本作を収録した単行本では、概ね本筋の収録内容とは別に巻末収録となっているのに対し、
双葉社の『マジンカイザー』収録版では、津島直人氏のコミカライズを差し置いて冒頭に収録されており
見ようによっては本作を経て、OVAコミカライズの本編へと繋がっていく構図に見えなくもない。
(前述の通り、『新魔神伝説』はOVA本編ともコミカライズとも繋がらない内容ではあるが)



登場人物


主人公。かつてのマジンガーZ操縦者……だが、機械獣との戦いの中でZが破壊されて以来、戦場から身を退いていた。
胸に穴が開いたような感情を抱きつつも日々を過ごしていたが、そんな彼の前に現れたのは……


  • 弓さやか

アフロダイA操縦者。彼女もまた乗機を破壊されてしまっていたようだが、新たに建造されたアフロダイAに搭乗して再び戦場に赴くことを決意する。


ご存知、戦闘のプロ。本作ではグレートの操縦席に乗っている姿が僅かに映るのみ。
Zを失った甲児の代わりに機械獣軍団と戦い続けているが、その総攻撃の前に窮地に陥る。


  • 炎ジュン

名前のみ言及。彼女も鉄也と共に戦っている模様。


  • Dr.地獄ヘル

世界の王として君臨することを目論む、地下帝国の首魁。
髪型のデザインがボサボサ髪からストレートヘア気味になり、見た目の印象が割とシュッとしたものに変わっている。
今回、その出自について衝撃的すぎる真実が描かれることに。


かつての戦いで命を落としていたが、Dr.地獄ヘルのクローニング技術によって復活を遂げる。
本作では従来作における「ミケーネ人の夫婦のミイラを繋ぎ合わせた」という設定とは異なり、
元々そういう姿になるようDNAを操作して作り出された人造人間」という描写として描かれている。


  • 鉄仮面

Dr.地獄ヘル配下のサイボーグ兵士たち。デザインがリメイクされアーマー風に。


  • 善のあしゅら男爵

突如として甲児の前に出現した人物で、Dr.地獄ヘルのあしゅら男爵とは男と女の左右が逆なのが外見上の相違点。
ちなみに男性側のボディは口髭を生やしている。
悪の道に走った「悪のあしゅら男爵」と異なり、Dr.地獄ヘルと戦う勢力に付き従い、甲児を迎えるべくその姿を現した。


  • Dr.天国ヘブン

善のあしゅら男爵が付き従う「Dr.地獄ヘルに戦いを挑む者」。
衛星軌道上の人工衛星で甲児を待ち受けていた、その正体は……



登場メカ


甲児のかつての愛機だったが、機械獣の猛攻の前に遂に斃れ、朽ち果ててしまう。
現在はその躯のような残骸を戦場に転がしており、甲児は度々その地に複雑な想いを抱きつつ訪れていた。
本作では機械獣同様、古代ミケーネの文明がその技術の大本となっている事が語られており、
またボディを構成する超合金Zも、ジャパニウム由来ではなく「外宇宙由来の素材」であることが示唆されている。


ご存知、「偉大な勇者」。
失われたマジンガーZの代わりに機械獣軍団と戦いを繰り広げていたが、Dr.地獄ヘルの指揮する総攻撃の前に遂に……


  • アフロダイA

かつての戦いの中で破壊された旧機体に代わって新造された機体で、初期型に似たフォルムを残しつつ改良を加えて建造されている。
外見的には『Zマジンガー』のアフロディアよろしく「人間のような瞳と顔」を持つのが印象的。


  • 人工衛星

善のあしゅら男爵が甲児を導いた、衛星軌道上に存在する人工衛星。
非常に巨大な建造物だが、電波を反射しないため現在の地球の技術で地球上から見つけ出すのは極めて困難とされる。
その実態は機械獣やマジンガーの大本となったミケーネ文明……太古に古代人が神と崇めた宇宙人の遺産であり、
この中でDr.天国ヘブンは甲児の事を待ち続けていた。


Dr.天国ヘブンが建造した「魔神の中の魔神」にして「王の中の王」、“魔神皇帝マジンカイザー”。
一応OVAに併せて発表された作品という事もあってか、カイザースクランダーは未装備。



ストーリー解説


瓦礫と化した廃墟の街を、進撃するDr.地獄ヘルの機械獣軍団……
その傍らを、バイクで疾走する兜甲児。彼の足は、ある地点へ向かっていた。
かつての相棒……マジンガーZが無残にも破壊されてしまった地へと。
地面に無残にも横たわるZの躯を前に、甲児は複雑な心境を抱くのであった。


ふと、気付くと傍らに弓さやかがいた。彼女もまた、甲児がこの場所に来ることを察知していたのだ。
さやかは機械獣が暴れているにもかかわらず、甲児が出動できないという現実に歯痒い思いを抱いていたが、
甲児は「オレの戦いはZと終わったのさ、今は剣鉄也が、グレートが、俺とZのかわりに戦ってくれる」と呟くのであった。


自衛隊の戦車の一個師団の猛攻すらも物ともせず、容赦なく蹂躙する機械獣軍団。
その野望を挫くべく、空より「偉大な勇者」グレートマジンガーが降り立つ……



場面は変わり、Dr.地獄ヘル一派の本拠地。
巨大な培養槽の中、一糸纏わぬ姿のあしゅら男爵が、無数のケーブルに繋がれて培養液に漂っていた。
その姿を見届けるDr.地獄ヘルと鉄仮面の兵士たち。
かつて戦死したあしゅら男爵を、死んだ身体から取り出したDNAを生きた卵細胞へと移植し、復活させたのだ。
かつての知識や記憶も脳が目覚める前に学習済みであり、以前の記憶も全て継承して新たな身体に生まれ変わるのだという。


しかし、鉄仮面たちは一つの疑問を抱く。
というのもこのあしゅら男爵、DNAから再生させたにもかかわらず、その姿が誰もが良く知る男女半々に繋ぎ合わせたものだったのだ。
鉄仮面たちの疑問に対し、Dr.地獄ヘルは答える。あしゅらとは元々「そういう存在」なのだと。
手術で男女を繋ぎ合わせた訳ではない、最初から別の男女のDNAを操作して作り出された人造人間……
それも、人間の悪の部分を集合させた存在。そしてDr.地獄ヘルの命に絶対服従する存在、それこそがあしゅら男爵だったのだ。



一方、光子力研究所では、新たなアフロダイAの建造作業が行われていた。
鉄也やジュンだけには任せておけない、自分も戦場に出ると決心したさやかではあったが、甲児は「やめとけ!」と言う。
曰く、彼がもう助けに行けないからだそうだ。


宛てもなくバイクで疾走し、出撃するグレートマジンガーの姿を見送る甲児。
ふと、彼の前に見知った人物……左右半々の姿を持った、あしゅら男爵が待ち受けていた。
あしゅら男爵は「お待ちしておりました、甲児さま」と、彼を出迎えるかのような言葉を発する。


甲児は自分の良く知るあしゅら男爵の態度とは異なる、明らかに下手に出ているそれに不信感を抱くが、
彼は自身の姿をよく見るよう促し、自分が甲児の知るあしゅら男爵ではない、甲児とは初対面であると説得する。
そして甲児は気付いた。Dr.地獄ヘルのあしゅら男爵は右が男性で左が女性なのに対し、
今目の前にいるあしゅら男爵は、右が女性で左が男性と、まるで鏡映しの様に真逆である事に。
彼はDr.地獄ヘルの元にいる者を悪のあしゅら、自分の事を善のあしゅらと称し、Dr.地獄ヘルと戦おうとする者に従っている故、甲児を迎えに来たと語る。


Dr.地獄ヘルに戦いを挑む者とは一体何者か……甲児の疑問に対し、善のあしゅら男爵はその存在を仮に“Dr.天国ヘブン”と呼び、
彼の元へ案内するから、本当の名は本人から直接聞くよう甲児に言う。
それでもなお不信感を拭いきれない甲児だったが、善のあしゅら男爵は今更騙したところで何の価値がある、
マジンガーZを失った甲児はただの一少年に過ぎない、これは罠などではないと説得。
その言葉に甲児も渋々ながら納得し、善のあしゅら男爵が用意した宇宙船に乗り込むと、共に宇宙へと行くのであった……


彼らが辿り着いたのは、衛星軌道上に存在していた巨大な人工衛星。
その内部は、甲児が見た事もないテクノロジーの機械で埋め尽くされていた。
甲児は、一体誰がいつの間にこのような建造物を作ったのかと疑問を抱くが、
それに対し善のあしゅら男爵は地球人が気付かなかっただけで太古の昔から存在していたと語る。
曰く、これは機械獣やマジンガーの大本となった文明……ミケーネの名残なのだそうだ。


更に善のあしゅら男爵は語る。
ミケーネ人とは、太古に古代人が神と崇めた宇宙人で、彼らが地球に降り立った地がエーゲ海の島だったこと。
マジンガーや機械獣の素材や、基礎となる科学も、全て地球のものではないこと。
Dr.地獄ヘルも兜十蔵も、古代から残されたミケーネの科学文明を利用したに過ぎないこと。



――――そして、遂に対面の時が来た。
甲児は善のあしゅら男爵の導きにより、彼の言う“Dr.天国ヘブン”……一人の老人と対面した。
始めて会った筈なのに、甲児の人となりをよく知る、その人物……甲児は、その姿をどこかで見た覚えがあった。
そう、忘れもしない……死んだはずの彼の祖父「兜十蔵」に、顔の怪我こそ無いが、あまりにも酷似していたのだ。
老人は語った。自分こそが本当の兜十蔵。正真正銘、甲児の祖父だと。


十蔵曰く、かつて命を落としたマジンガーZを建造し、命を落とした兜十蔵は、彼のクローンだという。
クローンであったが故に寿命が短かったらしく、またDr.地獄ヘルに襲われて重傷を負ってしまったが、
それでも彼はマジンガーZを整備し、起動させるまで頑張ってくれたと、十蔵は亡き友を偲ぶような表情で口走る。


かつて十蔵はミケーネ文明を発見した時、彼の能力をもってしても、到底一人でそれを解析することは不可能だと悟った。
故に自身と同じ能力を持った者……自分自身のクローン人間を2人、製造した。
十蔵とクローン2人の3人で研究すれば、ミケーネのロボット文明を解明できると考えたからだそうだ。


ここまで聞いた甲児は、ある点に気が付く。十蔵は「クローンが2人」と言った。
一人目のクローンは甲児にZを託した者……ではもう一人は一体?その問いに、十蔵は沈痛な表情で答えた。
クローンと言えど、自分と全く同じ考えでは無かった。少しずつ違った考えに捕らわれる者が出たと。
つまり悪に走る者……ミケーネの巨大ロボット群を我が物とし、世界の王として君臨しようとする野望を持つ者が。
それこそ、今はDr.地獄ヘルと名乗る、兜十蔵のクローンの一人だったのだ!



その頃、Dr.地獄ヘルの本拠地では、クローン再生された“悪の”あしゅら男爵が復活を遂げていた。
Dr.地獄ヘルは、十蔵の息子・兜剣造が作ったグレートマジンガーにてこずっている現状を打破すべく、
あしゅら男爵に、機械獣による総攻撃の指揮を取り、全力でグレートマジンガーを叩き潰すよう命令する。
かくして、海底要塞サルードを旗艦とした機械獣軍団が、海の彼方より押し寄せる……



人工衛星の中で、十蔵は甲児に語っていた。Dr.地獄ヘルは、自分自身の悪の心が集合した存在なのだろう、
人間の心には、常に相反する善と悪の心が同時に存在しているのだ、と。
甲児はかつて、クローンの十蔵が落命した時の遺言……マジンガーZを持つ者は、神にも悪魔にもなれるという言葉を思い出した。
彼は、甲児がDr.地獄ヘルのように、Zの超越した力を悪に使うことを恐れ、彼の心に釘を刺したのだろうと述懐する。
十蔵もまた、誰にも悪の部分があると断言した。


そこまで話したところで、善のあしゅら男爵が、地球においてDr.地獄ヘルの機械獣軍団が総攻撃を仕掛けてきた事を報告する。
モニターに映されたのは、圧倒的物量で襲い来る機械獣に、徐々に劣勢に追い込まれつつあるグレートマジンガーと、剣鉄也の姿……


十蔵は、今こそ甲児に渡すものがあると告げた。
クローンの兜十蔵ではない、本物の兜十蔵が研究し、作り上げたマシンの魔神。
その完成のために、十蔵は人工衛星の中で長い年月を研究に没頭し続けてきたと言う。
十蔵は言った。悪のクローン、Dr.地獄ヘルを打ち破れと。


そして十蔵は甲児を導いた。魔神の中の魔神、王の中の王……魔神皇帝マジンカイザーの元へと。


カイザーパイルダーに搭乗した甲児は、機体へとパイルダー・オン……遂に、マジンカイザーが起動する。
甲児は鉄也を、そして世界を救うべく、Dr.地獄ヘルの機械獣へと果敢に挑んでゆくのであった……



――それは兜甲児と、マジンカイザーの戦いの始まり!!





追記・修正は、自身のクローン2人と共同作業でお願いします。


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  • 流石の永井豪って雰囲気作りが上手い作品だったな。 -- 名無しさん (2018-02-20 22:24:27)
  • 懐かしい、津島版マジンカイザーのに収録されてるやつで持ってるわ。古代ミケーネ人とは実は宇宙人で~のとこの件、真マジンガーのに似てるけどこの漫画から流用した設定だったりしてねえ。 -- 名無しさん (2018-02-21 13:55:46)
  • ミケーネ文明(というか闇の帝王)が宇宙人という構想はグレンダイザーの没案にあったらしい。あと初期稿ではドクターヘルと見分けのつかない十蔵のラフが実在してたりする -- 名無しさん (2018-02-21 21:45:00)
  • クローン100人ぐらい作れば余裕なんじゃね?⇒武蔵司令官ですね解ります -- 名無しさん (2018-02-22 10:51:33)

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