登録日:2009/05/27 Wed 13:44:41
更新日:2023/08/11 Fri 17:01:46NEW!
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ガンダムによる全戦争行為への武力介入を開始する
機動戦士ガンダム00は、『機動戦士ガンダム』を初めとしたガンダムシリーズの12作目。
【概要】
2007年秋より放送開始。
TV放映のガンダムとしては初めて前期、後期に分けて放送された。
後に劇場版が製作され、シリーズは完結する。
(劇場版に関する詳細は個別項目を参照のこと。)
ガンダムシリーズでは『宇宙世紀』や『コズミック・イラ』などの架空の年号を用いるのが定番であるが、本作は『西暦』を用いており、アニメ制作当時の現実世界と地続きのような国家勢力図や科学考察を重視している点が特徴。
また、宇宙開拓時代のSFガジェットとして『軌道エレベーター』を取り入れており、世界観や物語にも大きく関わる。
一方、他のガンダム作品でよく見られるスペースコロニーの描写は控えめ。
本作のガンダムはいずれも『GNドライヴ(太陽炉)』と呼ばれる特殊な動力源を持ち、“空を飛ぶ”というより“宙に浮く”ような、反重力を思わせるフワリとした挙動であることが特徴。
また、GNドライヴを有する機体とそうでない機体とでは火力・耐久力・機動力など全てにおいて大きな性能差があるため、このあたりの独特なパワーバランスは戦闘シーンにおける見所のひとつになっている。
本作のストーリーは「戦争と平和」「人類の革新」などガンダムシリーズらしさ溢れるテーマを扱いながら、1stシーズンは「武力による戦争根絶」、2ndシーズンや劇場版では「対話による相互理解」という切り口で進んでいく。
登場人物も多く、序盤のストーリーは群像劇に近い進行であるため、キャラの相関図や勢力図の理解が難しいかもしれない。
監督に水島精二、シリーズ構成(脚本)に黒田洋介を迎え、音楽に川井憲次、キャラクターデザイン原案に漫画家の高河ゆん、キャラクターデザインに千葉道徳、メカニックデザインに海老川兼武、柳瀬敬之、鷲尾直広、寺岡賢司、福地仁、そして巨匠・大河原邦男と、主要スタッフに個性的なメンバーを揃える。
また、ナレーションを初代ガンダムの主人公アムロ・レイを演じた古谷徹が務めたことで当時話題になった。*1
なお、良く勘違いされるが、本作のタイトルは算用数字の0を二つ並べて「ダブルオー」と読む。
アルファベットのOを二つ並べて『OO』とか書くと、良くて失笑、悪けりゃリンクや検索に影響して大迷惑なので要注意。
【評価】
ガンダムシリーズの常もあるが、テロリスト主人公という点や、妙なネーミング、尖ったメカデザインから放送前は様々な所で拒否反応が溢れていた。
しかし、放送開始後には気合いの入った作画・演出による戦闘シーンを賞賛する声が非常に多くなり、序盤はやや地味めだったストーリーも第一期中盤から加速度的に盛り上がりを見せたことで、着実にファンの数を増やしていった。
特にその映像クオリティは放送終了して数年経った後でもサンライズのプロデューサーをして「当時のTVアニメとは思えない」と評するレベルであり、2010年代のガンダム作品と比較しても見劣りしない。
クセの強い設定やネーミング、メカデザインに対し、意外にもストーリーの根っこにあるテーマ的な部分に関しては、個性派揃いのアナザーガンダムの中では非常に“ガンダムらしい”文脈に則ったものになっている。
序盤こそ本作独自の要素*2がストーリーを牽引するものの、物語が進むにつれ、「人の革新」や「対話」といったガンダムらしい要素が前面に出てくるのが特徴。
ただし、ここに関してはしばしば賛否が分かれており、特にオリジナリティの強い1stシーズンを好む層は、2nd以降のやや手垢のついたストーリー展開には馴染めないケースがある。
また、1stシーズンでは善/悪や、敵/味方で単純に二分できない複雑な勢力図による先の見えない展開が魅力であったのに対し、2nd以降は(1stと比べて)シンプルな勢力図・勧善懲悪的な演出になっており、物語が陳腐化したという意見も根強い。*3*4
一方、そういった1st・2ndの方向性の違いはさておいて、本作を『主人公の物語』という視点で見ると、一本筋の通った作品となっている。
平和を願いながらも戦うことしか知らなかった主人公が次第に変革を遂げていく様は全編を通して丁寧に描かれており、1st・2ndの主人公の歩みは本作の集大成たる劇場版のストーリーへと昇華されていくため、この一貫性を評価する声も多い。
脚本を担当した黒田洋介は“黒田節”とも呼ばれる芝居掛かった台詞回しや独特な掛け合いで知られるが、本作でもそれは遺憾なく発揮されている。
特にグラハム・エーカーやアリー・アル・サーシェスといったキャラクターは、黒田節の効いた名言(迷言)の数々や声優の熱演により、敵キャラクターではあったが高い人気を博した。
また、自由に書かせるとしばしば暴走しがちな黒田脚本の悪癖は、監督の水島精二のコントロールによって削ぎ落とされ、絶妙なバランスで作品として成立している部分もある。*5
ちなみに水島・黒田がコンビを組むのは本作が初であり、1stシーズン前半はお互いのことをよく知らない中、作品の方向性を模索しながら進めていた。*6
製作を進める中で水島氏は「“キャラの掛け合い”こそが黒田脚本の真骨頂」と考え、それまで多数の登場人物に少しずつ台詞を与えながら群像劇的に進めていたやり方を変え、黒田氏の強みを活かす方向で各キャラのドラマを描く方針にシフトしたという。
長崎健司という新たな才能を発掘したことは、本作の功績のひとつとして挙げられるだろう。
1stシーズン第12話から角田一樹氏と共に演出陣に合流し助監督へと就任した彼は、その優れたセンスで良質な絵コンテを切り、ベテランの寺岡巌氏らと共に、作品の盛り上げに大いに貢献した。*7
長崎氏は本作で演出家として名が知れ渡り、若手ながら後にガンダムビルドファイターズの監督に抜擢され、こちらも高い評価を得た。
長崎氏の他にも、本作に関わったスタッフの多くは後のガンダム作品(AGE、BFシリーズ、鉄血など)でも主要スタッフとして参加している。
【ストーリー】
1stシーズン(全25話)
─ 破壊による再生が始まる ─
2007年10月6日~2008年3月29日放送。
西暦2307年──人類は枯渇した化石燃料に代わるエネルギー源として、3つの軌道エレベーターからなる宇宙太陽光発電システムを構築する。
だが、その恩恵を受けられるのは軌道エレベーターを所有する「ユニオン」「AEU」「人類革新連盟」の世界3大国家郡に限られており、各国家郡は己の威信と繁栄の為、大いなるゼロサム・ゲームを続けていた。
一方、軌道エレベーターの建設に関わらなかった中東の途上国は、太陽光発電システムの恩恵を受けられず、経済的に困窮し、一部は内戦へと発展してしまう。
そう、24世紀になっても人類は未だ争いを続けていたのだ。
そんな世界の中で、突如として「武力による戦争根絶」を掲げる私設武装組織が現れる。
モビルスーツ「ガンダム」を所有する彼らの名は、ソレスタルビーイング。
ガンダムによる全戦争行為への武力介入が始まる───。
2ndシーズン(全25話)
─ その再生を破壊する ─
2008年10月5日~2009年3月29日放送。
ソレスタルビーイングと国連軍との最終決戦から4年。
地球連邦政府を樹立した人類は更なる国家の統合、恒久和平実現のため、連邦正規軍とは別に独立治安維持部隊「アロウズ」を組織する。
しかし、アロウズによる平和維持活動の実態は、人類意思統一の名を借りた反政府勢力・主義・思想への非人道的な弾圧であった。
4年前の決戦で生き残った刹那・F・セイエイは、ソレスタルビーイングによって変革を促された世界の行く末を見つめていた。争いの無い平和な世界を夢見て。
しかし、彼が目の当たりにしたものは、アロウズによって造られた偽りの平和、そして今までと変わらない歪み続ける世界であった。
彼は再び戦う事を決意する。世界を変えうる力、「ガンダム」と共に。
そして人類に変革をもらたす存在──ダブルオーガンダムが産声を上げる。
【登場人物】
個別項目がある人物の詳細はそちらを参照のこと。
私設武装組織 ソレスタルビーイング
チームプトレマイオス
「エクシア、目標を駆逐する」
「俺がガンダムだ」の名言でおなじみ、本作の主人公。
ガンダムマイスター*8の一人で、剣技を得意とする近接戦闘のエキスパート。射撃はやや苦手(2ndシーズンで改善)。
刹那・F・セイエイはコードネームで、本名はソラン・イブラヒム。
元々は中東のクルジス共和国にてゲリラに参加していた少年兵で、戦場においてとあるガンダムに命を救われた過去を持つ。
戦争根絶の体現者であるガンダムに強い思い入れがあり、しばしば独断専行しがち。
- ロックオン・ストラトス(CV: 三木眞一郎)
ガンダムマイスター。1stではニール・ディランディ、2ndではニールの双子の弟であるライル・ディランディがそれぞれこのコードネームを名乗る。
「デュナメス、目標を狙い撃つ!」
双子の兄ニールは面倒見の良い兄貴肌の人物で、年若いガンダムマイスターたちを統率するリーダー役を担う。
狙撃のスペシャリストであり、MS・生身どちらでも狙撃の腕は作中随一。
MS搭乗時は支援端末としてハロを同乗させており、相棒と呼んで慕っている。
「その名の通り、狙い撃つぜぇ!!」
双子の弟ライルは反政府組織カタロンの構成員として活動していたが、刹那にスカウトされソレスタルビーイングに加わる。
飄々とした性格に見えるが、優秀な兄にコンプレックスを抱いているなど影の部分も見え隠れする。
兄同様に優れた射撃センスを持ち、早撃ちを得意とする。
- アレルヤ・ハプティズム(CV: 吉野裕行)
「ハレルヤ、世界の悪意が見えるようだよ」
ガンダムマイスター。穏やかな性格で登場人物の中では比較的常識人。
人類革新連盟の超人機関によって造り出された強化人間『超兵』の失敗作、という特異な経歴の人物。
機関による非人道的な実験の影響で、常人より強靭な肉体を持つ反面、人格が分裂してしまっており、まれに「ハレルヤ」という第二の人格に入れ替わる。
「なんという失態だ…万死に値する!!」
ガンダムマイスター。中性的な外見が特徴の、謎の多い人物。
ソレスタルビーイングの計画の根幹をなす量子演算システム『ヴェーダ』へのアクセス権を持ち、ヴェーダが示す計画の遂行を至上の目的とする。
ヴェーダの指示に固執しすぎるあまり、周囲と衝突しがちで、特に独断専行の多い刹那とは犬猿の仲。
物語が進むと互いに精神的に成長し、良きパートナーとなる。
- スメラギ・李・ノリエガ(CV: 本名陽子)
「私たちソレスタルビーイングの初お披露目よ、ド派手にいきましょ」
ソレスタルビーイングの戦術予報士*9。
ガンダムの母艦プトレマイオスにて作戦指揮を担っており、事実上の艦長も兼ねる。
日系スペイン人で、本名はリーサ・クジョウ。
前々作の巨乳艦長に負けず劣らずのけしからんおっぱいの持ち主。*10
「生き残る!!…全員、生き残るの…!」
プトレマイオスのオペレーター。ピンク髪がトレードマーク。ちなみに地毛ではない。*11
ハロが好きで、非戦闘時はよく一緒にいる。
人付き合いが苦手で口数も少ないが、徐々に克服していく。
1st時点で14歳とかなり若いものの、何気にスタイル抜群。
- クリスティナ・シエラ(CV: 佐藤有世)
「見る目ないね、私…」
プトレマイオスのオペレーターその2。愛称はクリス。
明るく社交的で、8歳も年下のフェルトとも友人のように仲良く接する。
ハッキング能力が高く、ちょっとしたデータの盗み見は朝飯前。
「刹那、ドッキングだ!!」
プトレマイオスの砲撃士。ガンダムの支援機等に搭乗するサブパイロットも務める。
元マフィアで筋骨たくましいイイ男。
- リヒテンダール・ツエーリ(CV: 我妻正崇)
「生き残りますよ!」
プトレマイオスの操舵士。愛称はリヒティ。
語尾の「ッス」が特徴の陽気な男。
クリスに気があるが「好みじゃない」と一蹴される。
実はその体に重い秘密を抱えている。
「なんじゃこりゃぁぁぁあああ!?」
プトレマイオスのメカニック。
ガンダムの設計・開発から整備まで何でもこなす超優秀なエンジニア。
「カッコいいMSじゃないと勝てない」が持論らしい。
リンダという年齢の離れた嫁がいる。犯罪ですよ。
- ミレイナ・ヴァスティ(CV: 戸松遥)
「お二人は恋人なのですか?」
プトレマイオスのメカニック兼オペレーター。2ndシーズンから登場。
イアンの娘。非常にハイテンションで、語尾に「です」がつく。
- アニュー・リターナー(CV: 白石涼子)
「私たち、分かり合えてたよね?」
プトレマイオスのクルー。2ndシーズン中盤から登場。
宇宙物理学、MS工学、再生治療、操船技術、料理に長ける美人…という完璧超人。
ロックオン(ライル)と出会い、互いに惹かれていくが…?
チームトリニティ
- ヨハン・トリニティ(CV: 小西克幸)
「世界に見せつける必要があるのさ…ソレスタルビーイングの本気さをな」
ソレスタルビーイングのセカンドチーム「トリニティ」のリーダー格で、トリニティ三兄妹の長兄。
三人の中では最も理知的ではあるが、民間人にも容赦しない過激な武力介入を機械的に遂行する冷徹さを持つ。
- ミハエル・トリニティ(CV: 浪川大輔)
「行けよ、ファング!!」
トリニティ三兄妹の次兄。
好戦的な性格で、戦場において敵軍を徹底的に破壊・蹂躙・殲滅することに愉悦を感じる危険な男。
「死んじゃえばいいよ♪」
トリニティ三兄妹の末っ子である少女。
二人の兄を「ヨハンにぃ」「ミハにぃ」と呼んで慕っている。
子供じみた残忍さを持ち、罪もない人々の命すら容易く奪う。
声はくぎゅぅぅぅだが貧乳でもツンデレでもない。
エージェント・監視者 他
- 王留美(CV: 真堂圭)
「紅龍、私はね、この世界が変わりさえすればいいの。どんな手段を使ってでも…」
ソレスタルビーイングのエージェント。
弱冠17歳にして、世界有数のセレブである王家の当主を務め、その財力と人脈、情報網でガンダムの活動を支援する。
紅龍という従者を常に連れている。
- アレハンドロ・コーナー(CV: 松本保典)
「君はまさしく私のエンジェルだよ」
表向きはユニオンに所属する国連大使だが、その裏でソレスタルビーイングの監視者*12に名を連ねる男。
秘めたる野望を持ち、世界の裏で暗躍する。
- リボンズ・アルマーク(CV: 蒼月昇)
「始まるよ、イノベイター…人類の未来が」
アレハンドロの従者。声が「親父にもぶたれた事の無いあの人」に似ている。果たしてその正体は…。
- イオリア・シュヘンベルグ(CV: 大塚周夫)
「世界は……。人類は…… 変わらなければならないのだから……」
ソレスタルビーイングの創設者にして稀代の天才科学者。
ガンダムの動力源であるGNドライヴや、量子演算システム・ヴェーダなど、ソレスタルビーイングが有する独自技術の数々はほぼ全てイオリアが基礎理論を提唱したもの。
西暦2051年の生まれであり、作中世界では200年以上前の人物。本作一のツンデレ。
ユニオン
「グラハム・エーカー……君の存在に心奪われた男だ!!」
ユニオン軍の精鋭部隊「MSWAD」に所属するトップガン。
ガンダムの圧倒的な性能に“愛”と呼べる感情を抱いた乙女座の男。
本作屈指の名言&迷言メーカー。
「どうもこうも、うちのフラッグの猿真似だよ。独創的なのはデザインだけだね」
グラハムの盟友。ユニオン軍に所属する技術士官で、レイフ・エイフマンに師事する。
大学時代からリーサ・クジョウ(現在のスメラギ・李・ノリエガ)に好意を寄せているが、彼女がソレスタルビーイングに所属していることには気づいていない。
「心配しないでくれ。僕だって…未来を見つけたいんだ…!」
ユニオン経済特区の日本に住む民間人。
戦争とは縁遠い世界で平和に暮らしている、至って普通の学生。
しかしガンダムの出現と共に変わっていく世界に、否応なしに巻き込まれていく。
「夢を叶えて。それが…私の夢なの。だから…私の夢を叶えて、沙慈……」
スペインから日本にやってきた海外留学生で、沙慈のガールフレンド。
実家はかなりのお金持ちで、甘やかされて育ったのかちょっとワガママ。
ソレスタルビーイングの武力介入を「すっごいボランティアなんじゃない?」と評するなど、あまり物事を深く考えていないところがあるが…。
- 絹江・クロスロード(CV: 遠藤綾)
「父さん。私も事実を求め、繋ぎ合わせて、そして真実へ…」
沙慈の姉。JNNに所属する報道記者。
ソレスタルビーイングに興味を示し、その実態に迫っていく。
AEU
- パトリック・コーラサワー(CV: 浜田賢二)
「大佐の勝利の為にぃッ!!」
AEU軍に所属する、スペシャルで2000回で模擬戦な、自称“AEUのエース”。
上官のカティ・マネキンに一目惚れし、彼女の気を引くためあの手この手を尽くす。
作品内外でネタキャラ扱いされているが、パイロットとしての実力はわりと本当にエース級。
「信用しろ。私がお前を男にしてやる」
AEU軍の戦術予報士。階級は大佐。
コーラサワーの憧れの女性。
優秀な指揮官で、巧みな戦術でガンダムを苦しめる。
人類革新連盟
- セルゲイ・スミルノフ(CV: 石塚運昇)
「戦争根絶とやらの覚悟…見せてもらうぞ!」
“ロシアの荒熊”の異名を持つ人類革新連盟の指揮官。階級は中佐。
戦術家として名を馳せているが、MSパイロットとしても腕は一流という傑物。
おまけに軍人としての良識も持ち合わせた作中屈指の人格者。しかし…。
- ソーマ・ピーリス(CV: 小笠原亜里沙)
「今度こそ……今度こそ任務を完遂させる……。超兵として…!」
アレルヤと同じく「超人機関技術研究所」出身の超兵一号。
小柄な少女だが、強化人間らしい優れた身体能力を持つ。
セルゲイ率いる対ガンダム特務隊「頂武」に配属される。
独立治安維持部隊アロウズ
- ホーマー・カタギリ(CV: 大友龍三郎)
「メメントモリ…人類は死を思い、平和の尊さを考えねばならんのだ」
ビリー・カタギリの叔父で、アロウズの最高司令官。2ndシーズンから登場。
謎の男『ミスター・ブシドー』に武士道を伝授した人物。
- アーサー・グッドマン(CV: 江川央生)
「刮目せよ! 一世紀以上かけて造り上げた人類の英知が滅びる様をな!」
2ndシーズンから登場。ホーマー・カタギリの側近で、階級は准将。
メタボ体型の悪人面で、性格もお察しの通り。
しかしスタッフ・キャストの間では「パン屋さんみたいな見た目」といじられているようで、DVDの映像特典で公式にパン屋ネタでいじられた。
「やらせてもらいますよ…私の大好きな殲滅戦をね」
2ndシーズンから登場。アーサー・グッドマンの部下。階級は少佐。
声はまさかのガンダムΖΖの主人公…しかし中身は汚い大人そのもの。
掃討作戦を好む戦術家で、上官のグッドマンと並んでアロウズを象徴するような人物。
- バラック・ジニン(CV: 稲田徹)
「ガンダムとはいえ5年前の機体…アヘッドの敵ではない!」
2ndシーズンから登場。アロウズの小隊長を務める男。階級は大尉。
テロで家族を失くした過去を持ち、恒久和平の実現を掲げるアロウズの理念に共感して志願した。
優秀なMSパイロットであり、アロウズの新型MS・アヘッドを駆ってガンダムと戦う。
- アンドレイ・スミルノフ(CV: 白鳥哲)
「乙女だ」
セルゲイ・スミルノフの息子。2ndシーズンから登場。
父親と同じく軍人だが、過去の出来事から父親を忌み嫌っている。
- リヴァイヴ・リバイバル(CV: 斎賀みつき)
「このガデッサには容易いこと!」
2ndシーズンから登場。アロウズ内で独自行動の権限を有する“ライセンサー”と呼ばれるパイロット。
また、人類を導く存在『イノベイター』を自称する。
新型MS・ガデッサを駆り、ソレスタルビーイングと幾度も刃を交える。
- ヒリング・ケア(CV: 川庄美雪)
「そっちとは射程が、ダンチなのよね!」
2ndシーズンから登場。リヴァイヴと同じくライセンス持ちで、かつイノベイターを自称する一人。
好戦的な性格で、主にリヴァイヴとコンビを組んでガンダムに戦いを挑む。
その他
- マリナ・イスマイール(CV: 恒松あゆみ)
「悲しい事を言わないで…。刹那、争いからは何も生み出せない。無くしていくばかりよ……!」
今作のメインヒロイン。
中東にあるアザディスタン王国の第一皇女。
平和を願う気持ちは誰よりも強いが、内戦の絶えない祖国を前に何も為せない自身の無力さを痛感している。
- シーリン・バフティヤール(CV: 根谷美智子)
「もし分からないのであれば、あなたにこの国を救う資格はないわ」
マリナ・イスマイールのお目付け役。眼鏡の似合う知的な女性。
弱気になりがちなマリナを叱咤しつつ、彼女の政治活動をサポートする。
- クラウス・グラード(CV: 川島得愛)
「近い将来、彼らと我々が手を取り合う日が訪れるさ」
2ndシーズンから登場。反政府組織カタロンの中東第三支部リーダー。
連邦政府打倒のため、ソレスタルビーイングとの共闘を画策する。
- アリー・アル・サーシェス(CV: 藤原啓治)
「やっぱ戦争はぁ!白兵でねえとなァッ!!!」
民間軍事会社 (PMC)に所属する傭兵。
常に戦場を求めており、名を変え場所を変え暗躍する戦争中毒者。
かつて中東に存在したクルジス共和国にて反政府ゲリラ組織・KPSAを指揮していた男で、刹那を含め多くの少年らを巧みに誘導・洗脳し、戦闘技術を叩き込んで少年兵に仕立てあげた。
- リジェネ・レジェッタ(CV: 朴ロ美)
「そう、宇宙環境に適応した僕らが、人類を新たなフロンティアへ導くのさ」
2ndシーズンから登場。(正確には1stシーズン最終話に1カットのみ登場)
リヴァイヴやヒリングと同じくイノベイターを自称しているが、アロウズには所属せず独自の考えに基づいて行動する。
【登場機体】
※劇場版の登場機体も含みます。
【スペシャルエディション】
1st・2nd全50話を再編集し、3部作にまとめた特別版。
- スペシャルエディションI:ソレスタルビーイング
- スペシャルエディションⅡ:エンド・オブ・ワールド
- スペシャルエディションⅢ:リターン・ザ・ワールド
それぞれ90分程度とかなり短く、重要なシーンがカットされたりナレーションで済まされるなど、全体的に尺不足で駆け足気味の展開となっている。
そのため、本作を初めて楽しむ上ではやや心もとない作品。
一方、主に戦闘シーン周りで追加カットが多いため、そちらが目的であれば視聴する価値あり。
特に1stシーズン序盤のややおとなしかった戦闘シーンは、2ndシーズン準拠の派手な作画・演出に大きく手直しされている。
【劇場版】
スタッフは「テレビシリーズで一通りテーマは描き切った」と言及したが、更にそこから先に踏み込んだ『00』の完結編。
「物語当初から刹那・F・セイエイという男がどういった変化を遂げたのか?」という部分に焦点を当てながら、地球圏に降り注ぐ絶体絶命の危機を前にソレスタルビーイングや地球連邦軍を巻き込んだ最大規模の戦いが繰り広げられる。
詳細は個別項目を参照。
→ 劇場版 機動戦士ガンダム00-A wakening of the Trailblazer-
【ガンダム00 Festival 10 "Re:vision"】
ガンダム00の10周年記念に開催されたリーディングライブイベント(朗読劇)。
劇場版の後のソレスタルビーイングを描いた話で、まさかの人物がガンダムマイスターに任命される。
俺達の戦いはこれからだ!と言わんばかりの終わり方だが、劇場版ラストに繋がるのでご安心されたし。
【楽曲】
- オープニングテーマ
- DAYBREAK'S BELL/L'Arc~en~Ciel
- Ash Like Snow/the brilliant green
- 儚くも永久のカナシ/UVERworld
- 泪のムコウ/ステレオポニー
- エンディングテーマ
- 挿入歌
- LOVE TODAY/Taja
- TOMORROW/マリナ・イスマイール(CV.恒松あゆみ)
- Unlimited Sky/Tommy heavenly6
【ゲーム出演】
『第2次スーパーロボット大戦Z』に参戦。
今回の世界観に『三大国家』、テーマとして『変革』を挙げており、本作を主軸にしたものとなっている。
但し、ユニオンがブリタニア帝国と合併して「ブリタニア・ユニオン」なる新国家となっていたり、AEUの軍部をOZが仕切っていたり、人革連に中華連邦が含まれていたりと、『00の三大国家にコードギアスやガンダムW等の作品に登場する敵勢力を統合・再編する』というスパロボ独自のアレンジが為されている。
ちなみに、機動戦士ガンダム00とコードギアス 反逆のルルーシュの2作品は、
- どちらも放送時期が近いヒット作
- 制作会社がどちらもサンライズ
- ジャンルはどちらもロボットアニメ
ということでファン層が被っていたためか、2008年には日本武道館にて両作品のアーティストを招いたコラボライブが開催されている。
SDガンダムGジェネレーションシリーズには、GジェネレーションWARS(2009年発売)に1stシーズンが、WORLD(2011年)に2ndシーズンがそれぞれ本格参戦。
また、2019年発売のGジェネレーションCROSS RAYSでは、W・SEED・鉄血と並んで主要作品に抜擢された。
特に鉄血とは一部で共演を望む声があった*13ため、Gジェネシリーズとしては本作で実現する形となった。
余談だが、2018年に立ち上がった『機動戦士ガンダム40周年記念プロジェクト』では、いくつかのキービジュアルが公開されたが、その中のひとつに00×鉄血の公式コラボイラストが存在していた。
その内容は、
- 夕日をバックに荒野に佇むガンダムバルバトスと三日月・オーガス
- 彼らに花を差し出す刹那・F・セイエイ
…というもの。
スタッフ的にも共通項の多い作品ではある*14ので、公式としても推したい組み合わせなのかもしれない。
【ガンプラ】
シールが多いことを除けば総じて出来が良く、特にMG化された機体は内部フレームの大半の再現に加え、太陽炉の着脱完全再現という完成度を誇る。
本作に登場するモビルスーツ(特に2ndシーズン以降の機体)は、“立体物になったときの稼働範囲”を強く意識したデザインになっており、HG版ダブルオーガンダムは正座が可能という驚異的な脚部の稼働で当時話題になった。もちろんバンダイの企業努力もあるが。
MGダブルオーガンダムセブンソードが発売されてからは散発的に主人公機がRG化されていたが、2018年代に『ガンダムビルドダイバーズ』が放送されると放送10周年ということもあり再び人気に火がつき、プレミアムバンダイ限定でアドヴァンスドジンクス(ノーマル、デボラ機)とジンクスⅢ(アロウズ、連邦カラー)がMG化、ジンクスⅣがHG化。
さらに2019年3月にガンダムデュナメス、2020年5月にガンダムキュリオス、2020年11月にガンダムヴァーチェが新規造形でMG化され一般販売されることが決定した。
MGのガンダムエクシア発売から約12年を経て、1stシーズンにおける主役ガンダム4機が全てMG化されたことになる。
【余談・エピソード】
監督の水島精二氏はガンダムシリーズにあまり詳しくなく、「ファーストガンダムは好きだが、他の作品は見ていないか多少かじったことがある程度」というレベルだが、これは「既存のガンダム作品にとらわれない新しいガンダム像を打ち立てたい」という企画サイドの意図した人選であった。
「少数のガンダムが世界を相手に戦う」という物語の構図についてガンダムWとの類似を指摘された水島氏は、自身の学びのためにWやSEEDシリーズを視聴しようかと周囲に提案したところ、「見ないでくれ」と止められたと後に語っている。
一方、脚本の黒田洋介氏や助監督の角田一樹氏はスタッフ内でも熱狂的なガンダムファンとして知られており、監督のガンダムの知識不足を周囲のスタッフが補う形で機能していた。
本編を1st・2ndシーズンに分け、間に半年のインターバルを設ける分割放送形式は、当時の夕方アニメとしては珍しい放送形態であった。
そのため一部の視聴者の中には、1stシーズン終了時に打ち切りと勘違いする者もいたという。
この分割形式は、ガンプラの販促期間やアニメの制作スケジュールに余裕を持たせたいという大人の事情も絡んでいた。
脚本の黒田洋介は本作の企画初期に「全50話の1年放送」のつもりでストーリーを書き上げ、早い段階で物語の大筋は出来上がっていたため、後から1st・2ndの分割放送が決定したことで話数やエピソードを調整せざるを得ず、さらに上記のとおり視聴者から打ち切りと誤解されるなどのマイナス面があることを危惧し、1年放送にできないかと泣きながら懇願した、というエピソードもある。
とはいえ、本作はほぼ毎話戦闘シーンを挟みながらもハイレベルな作画クオリティを維持できており、「(分割放送が決まって)最初はふて腐れた」と述べた黒田氏も「結果的には分割形式で良かった」と述懐している。
また、1stシーズンの視聴者の反応を受けて2ndから演出の方向性が多少変化するなどのフィードバックこそあれど、物語の大筋に変更は無いとのこと。*15
ちなみに、現場が2ndシーズン前半の話数を製作していた頃に劇場版の話をもらった、ということを後に水島監督が明かしている。
そこから脚本の黒田氏と共に劇場版のプロットを検討し、結果的に2ndシーズン終盤は劇場版に繋げる形でさらなる微調整が必要となった。
このように紆余曲折を経て完成した形こそ『ガンダム00』という作品であり、是非ともシリーズを通して観賞して頂きたいものである。
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- 反対意見がなかったので、リセットしました。 -- 名無しさん (2022-09-09 22:26:02)
- 今更だけど、ガンダム〇〇と〇〇ガンダムで機体名の前後にガンダムってつくのはなにか違いがあるの? -- 名無しさん (2022-12-05 12:41:34)
- ↑多分正式名称はガンダム〇〇の方。システムの中心は"ガンダム"ので、それを強調したいのかなと個人的には思ってる。グラハムガンダムとか本人の自我出まくりだし…w -- 名無しさん (2023-03-28 17:25:25)
- ↑2 個人的な解釈だけど、1st/2ndでソレスタルビーイングの役割が違うことがガンダムの名付けの違いに出てるのかなと思った。刹那の言葉を借りるなら「戦争根絶を体現する者」こそが正しいガンダムの姿で、それならば『ガンダム◯◯』のネーミングになる。一方で2ndシーズンは戦争根絶というより1stシーズンを経て自分達が変えてしまった世界に対して責任をとる(ラッセの言葉では『ケジメをつける』)ために動いてて、本来なら武力介入の対象になるカタロンに手出しをしないなどソレスタルビーイングの行動原理が1stと異なる。本来のガンダムのあり方から逸脱しているから『◯◯ガンダム』というネーミングにして、ガンダムであることを前面に押し出さない形にしたのかなと。劇場版で(ティエリア機を除いて)『ガンダム◯◯』に戻るのも、CBの立場や行動原理がまた変わったからなのかなと。 -- 名無しさん (2023-07-26 15:56:52)
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*2 様々な国家勢力による政治劇や、軌道エレベーターやGNドライヴ等の個性的なガジェット、「武力による戦争根絶」というセンセーショナルなテーマ等
*3 ただしこの方針転換は1stシーズンの反省を踏まえて『低年齢層の視聴者にも分かりやすくする』ための配慮であり、主人公勢力を絶対的な善玉として描写しているわけではない。主人公勢力のやり方を否定的に見るキャラクターなども作中には登場する。
*4 逆にライト層の女性や若者の視聴者には『戦争=2勢力の軍事的全面衝突』という認識で1stシーズンの対立構図や各国の問題を理解できなかった者や、理解不足から的外れな批判をする者まで散見された。
*5 黒田氏曰く、セルゲイ・スミルノフなどの真面目なキャラにふざけた台詞を言わせると、水島監督に鼻で笑われ修正が入るとのこと。結果的に残ったセルゲイの面白台詞は、ソーマ・ピーリスを指して言った「しかし彼女はまだ乙女だ」のみらしい。
*6 「刹那が海に潜り、海中に隠したガンダムに乗り込む」というシーンなど、作品の方向性が定まっていないが故の描写・演出などが1stシーズン序盤では散見される。
*7 長崎氏が絵コンテ・演出を担当した代表的な回としては、1stシーズンの18話(グラハムvsヨハン)、23話(ロックオンvsサーシェス)、2ndシーズンの3話(アレルヤ奪還作戦)、17話(軌道エレベーター崩壊)などがあり、いずれも人気が高い。
*8 ソレスタルビーイングに所属するガンダムの正規パイロットのこと
*9 作中世界に登場する役職で、統計学や戦術史などに精通し、現在の戦況と過去の知見を照らし合わせて作戦の立案などを担当する参謀役のこと。
*10 SEEDとの作風の違いから、乳揺れシーンはほぼ存在しないが…。
*11 本作は基本的に黒・茶・金など現実的な髪色のキャラが多く、髪色がカラフルなキャラはデザインベイビーなど特殊な存在であることが多い。フェルトの髪色は明るいがそういった特殊な背景はなく普通の人間である。コロニー生まれのコンプレックスが理由で髪を染めているらしい。
*12 ソレスタルビーイングの活動を注視する存在。プトレマイオスチームやトリニティなどの実働部隊が組織の理念に反する行動をとった際は、「監視者全員の全会一致」という条件の元に拒否権を発動し、実働部隊に何らかのペナルティを与えることができる。
*13 00と鉄血の2作品間は主役機や主人公に関して特徴的な対比関係にあり、ファンアートなどでこの2作が扱われることがしばしばあった。
*14 鉄血の長井龍雪監督は00でエンディングの絵コンテを担当した縁がある。また、キャラデザ・メカデザにも共通するスタッフが多い。さらに、00の脚本家・黒田洋介は鉄血でも数話分の脚本を担当し、隠しきれない黒田節で話題になった。
*15 黒田氏は分割放送決定後に行われた具体的なシナリオ修正として、2ndシーズンのアニュー・リターナーの登場を挙げている。また、ダブルオーガンダムの登場は本来30話あたりを想定していた(=1stシーズンに相当するストーリーに30話前後使うつもりだった)ことを明かしている。なお1st→2ndの間に作中世界で4年の月日が流れているが、この時間経過は分割放送決定前のシナリオ時点で既に想定されていた。
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