登録日:2021/10/28 Thu 14:09:03
更新日:2024/06/06 Thu 13:53:34NEW!
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ルバート・クログレイ。‥‥お見知りおきを。
ルバート・クログレイとは『大逆転裁判シリーズ』に登場する人物である。
■概要
中性的な顔立ちを持つ典型的な英国紳士然とした美青年。27歳。
真っ白なスーツとシルクハットに身を包み、片手には自分のイニシャル入り洋杖を携えており「絵に描いたような英国紳士」と評される。
前髪はユリの紋章をモチーフに取り入れ、頭のてっぺん辺りの髪が少しはねている。
スーツの縁やベスト等衣装の要所要所に”煉瓦”をイメージした装飾を施されている。
職業は通信局に勤める電気通信士。重要な官庁や新聞社のある倫敦の中心・シティ区域を担当している。
電気技師としては非常に優秀で、法務省の通信機の設置や点検の協力チームのリーダーを担当したり、政府の通信班との通信技術の打合せへの参加し国際通信の助言をしたり、《暗号解読大会》で5年連続で優勝を決めたりと逸話が多い。
作中でもクログレイの大ファンだと言う電気技師の女性が登場し、彼の話題になると大興奮でその魅力を語ってくる。
一見紳士的な人物だがその実慇懃無礼な人物であり、庶民や貧民を「ウス汚い”スリ”」、「きわめてザンネンなみなさま」等と罵倒し見下すような態度を取る。普段は丁寧だが追いつめられると口調が荒くなる。
さらに会話の際にやたらと奇妙なポーズを取る癖があり、ステップを踏んだり上半身を回転させたりした後決め顔&決めポーズを見せつけるウザい優雅すぎる動きで己の存在をアピールしてくる。
この「いちいち”動き”がハラ立つ」とも評される所作、紳士的な態度から見え隠れする本性、公式原画集で「ブレイクさせたくなる顔」と書かれるなど色々と掴みどころのない人物である。
■作中での活躍
※ネタバレ注意
- 『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險』
第5話「語られない物語の冒險」に登場。
ベイカー街にあるハッチ・ウィンディバンクの質屋に預けていた外套と、そのポケットの中にあった《自鳴琴》の円盤を引き取りに訪れた。
ここでその場に居合わせた成歩堂龍ノ介達には「エッグ・ベネディクト」という偽名を名乗っている。
質草の合言葉を「PROFESSOR」と正解したことで店主ハッチに正式な所有者と認められ外套と円盤を持ち去ろうとするが、その時先に質草を引き出そうとしていたジーナ・レストレードと口論になった。
どうしても質草を手に入れなければならないジーナはベネディクトに飛び掛かり、結果彼は円盤の突起で指を切ってしまった。
なおも睨み合いが続くが、その騒ぎを聞きつけたシャーロック・ホームズが乱入。
ホームズと龍ノ介の共同推理で「偽名を使ってジーナから質草を横取りしようとした」ことがバレ、
さらに円盤裏の「To Megundal(メグンダルへ)」というメモで、彼は2か月前に非業の死を遂げたコゼニー・メグンダルの”仲間”ではないかと疑われた。
都合が悪くなったベネディクトは拳銃を突き付けてまで円盤を奪おうとするも、ハッチの通報で駆け付けたトバイアス・グレグソン刑事達《倫敦警視庁》に取り囲まれた。
連行されそうになった彼はバレリーナの如くクルクル回りながら現場から逃走。円盤はグレグソンに、外套はジーナに取られてしまった。
その日の夜、質屋で強盗殺人事件が発生。ハッチは殺害され、ジーナが容疑者として逮捕され裁判にかけられた。
彼女の弁護士の龍ノ介により、事件のあった昼頃に質屋を訪ねていたベネディクトが質屋に不法侵入していたと告発し、陪審5号として出廷していた彼の同僚の女性の紹介で証人として召喚された。
ここで彼は初めて本名の「ルバート・クログレイ」と自身の職業を名乗り、挨拶代わりに龍ノ介にシルクハットを投げ渡したことで彼に「(カッコいいこと、しやがって‥‥)」とやっかまれた。
審理中では事件とは無関係で、同じく証人として召喚されているティンピラー兄弟(タリー・ティンピラー&ネミー・ティンピラー)のことも「小悪党に知り合いはいない」と主張し続けるが――
※以下、さらなるネタバレ注意
第5話の事件の真犯人で、第3話でコゼニー・メグンダルを死に追いやった黒幕。即ち『大逆転裁判1』のラスボス。
- 経歴
彼のかつての名は「ルバート・ミルバートン」。第3話の被害者“三度焼きのモルター”こと「モルター・ミルバートン」の息子であり、貧乏な暮らしが原因で両親が離婚した際に「クログレイ」姓になったという。
ティンピラー兄弟とは幼少期の悪友で、《ミルバートン&ティンピラー乳業》なる悪徳商法*1で小遣いを稼いでいた時期もあった。
その一方、貧しい生活が死ぬほどイヤでそこから抜けだしたいと考えており、都会で働くことを夢見て下町を飛び出した。
それから10年、必死に勉強し電気技師の国家資格を取得し、身なりの良いスーツ一式を取り揃えられるくらいに生活は豊かになった。だがそれでもなお、昔の下町の暮らしのユメにうなされ、そんな悪夢を消し去ってしまえるほどの大金を欲していたという。
そんな彼に目をつけたのがコゼニー・メグンダルだった。メグンダルはクログレイに電気技師という立場を利用し法務省の《国際電信》の打電記録を盗み出して売るという“取り引き”を持ちかけた。
政府の極秘情報でもある国際電信の盗難は《国家反逆罪》に値する重罪であるが、カネを欲していたクログレイはこの”悪魔の囁き”に乗ってしまった。
彼は盗難した情報を自鳴琴の円盤にモールス信号で打ち込んで偽装しようと考え、そのためにかつて自鳴琴職人であった父親のモルターに数十年ぶりに再会。父を騙して二枚の円盤を作らせ、それをメグンダルに売って金を受け取ろうとした。
だが、モルターは自鳴琴の不自然さから息子が違法な取り引きに関わっていることを感じ取り、息子からの報酬の受け取りを拒否。自分でスジを通すために自分でメグンダルと交渉に向かうことに。
そして乗合馬車内での交渉中でのもつれにより、モルターはメグンダルに刺され死亡した。
クログレイは父がメグンダルに殺されたと直感したが、メグンダルは己の罪を弁護士をも利用して無罪にしてしまった。
そのためクログレイは自分の手でカタキを取るために裁判終了後、カネで雇ったゴロツキを差し向けて馬車ごと炎上させることでメグンダルを焼死させ悪魔の《命運》を断ち切った。
これが第3話の一連の事件の真相だった。
- 第5話の殺人事件の真相
メグンダルの死から2か月後、取り引きの証拠である2枚の円盤を回収するためにハッチの質屋を訪問し外套を引き出そうとしたが、ジーナやホームズの妨害により失敗。
そして駆け付けたグレグソンに一枚目の円盤は取り上げられてしまった。
その時メグンダルの遺品を警察が捜索していることを知り、彼らよりも先にもう一枚の円盤を回収すべく幼馴染のティンピラー兄弟をカネで雇ってその日の深夜に質屋に侵入した。
円盤はメグンダルが預けた小箱に隠されていた所を発見できたもののハッチに気付かれてしまい、彼に銃撃を受けて左腕を負傷。
それとほぼ同時に、自身が持っていた拳銃を反射的に発砲してしまい、不幸にもハッチの背中に銃弾が命中し彼を殺害してしまった。
恐ろしくなったクログレイは円盤を回収し、ティンピラーに後始末をまかせて現場から逃走した。
- 末路
法廷に引きずり出されたクログレイは殺人事件とは無関係であることを主張し続けるも、国際電信の記録を盗み出そうとしたこと、自分が「ミルバートン」であったことが発覚すると気が動転し左腕の傷口が開きスーツが血で滲んでしまった。
そこでティンピラーと質屋に侵入したことは認めつつ、被告人が被害者を殺害する瞬間を目撃したと言い出し罪を逃れようとした。
しかしそれはホームズが持ってきた御琴羽寿沙都の”置きみやげ”である彼女が法務助士の資格を捨てる覚悟までして行った現場の偽装工作により実現する証言であり、
現場からすぐに逃走したクログレイには目撃不可能であることが立証された。
さらに本来知らないはずの現場の情報は、グレグソンに2枚目の円盤を渡すことを条件に証言台上で”取り引き”をして入手したものだった。
最終的に龍ノ介に追いつめられたグレグソンにより取り引きをバラされてしまい、「殺人の罪を逃れるために偽証のための情報を入手した」事が発覚し自分を守るものを全て失った。
ブレイクモーションは洋杖を証言台に叩きつけてへし折り、
裏切り者がアアアァァァァァァァァァァ
アアアアァァァァァアアアアアアァッ!
と激情し折れた洋杖でグレグソンの首を締め付ける。
じたばたと抵抗するグレグソンをさらに強く押さえつけた結果、彼がいつも食べていたフィッシュ&チップスのフライドポテトが口から飛び出した。
その後はうなだれながら全ての所業を自白した。
クログレイはメグンダルの事を悪魔と称していたが、彼がしでかした「カネの力で全てをねじ曲げ殺人の罪から逃げおおせる」という行為はメグンダルのそれと同じことであり、バロック・バンジークス検事からも「そなた自身が‥‥メグンダルと同じ”悪魔”になってしまったのだ。」と指摘された。
二名の殺人に極秘情報の盗難の共犯…彼は重罪をいくつも重ねて警視庁に連行された。
EDではティンピラー兄弟と同じ牢屋にぶち込まれ、二人から《ミルバートン&ティンピラー乳業》を復活させようと提案され三人揃って決めポーズをしていた。…ティンピラーと違い罪状的に死刑は免れないと思われるが…
逮捕されたので続編の『大逆転裁判2』には登場しないが、彼が盗み出したモールス信号の意味はそちらで明らかになる。
上記の通り彼の表立った評価は「金に塗れた悪魔のようなエゴイスト」であるが、作中ではそれでは説明がつかない点がちらほらある。
- 父モルターが事件に巻き込まれるきっかけになった契約は、実はルバートからしてみれば何のメリットもない。しかも、状況的に依頼料の2割もの報酬は自分から言い出している。
- 円盤を忍ばせるために掴みかかった以外は、散々自分の足を引っ張ったティンピラー兄弟に対して悪態はついても罵倒はしていない。
- 売却先であるメグンダルがいなくなり、もはや自分の頸を絞める要素でしかない(実際見事に止めになった)円盤を壊そうとも隠そうともせず手元に持っている。
- 殺害を完遂するために費やした費用を惜しんでいる様子が全くない。
これらを含めて全体の言動を可能な限り繋ぎ合わせた場合、彼の人物像は「まったく自覚してないが、仲間意識の強い愛情深い人物」となる。
だとすれば、彼を苛んでいた悪夢も、根源にあるのは貧乏への憎悪ではなかったのだろう。
■余談
- クログレイの旧姓である「ミルバートン」はシャーロック・ホームズシリーズに登場する「恐喝王ミルヴァートン」が由来。ただし、本作での「恐喝王」という称号はどちらかというとメグンダルの方が相応しい。
ついでに”ルバート”・ミ”ルバート”ンという言葉遊びにもなっている。 - 質屋の合言葉に登場した「PROFESSOR」という単語を冠する事象は次回作に登場したが、それとクログレイ及びメグンダル自身がどれほど関わっていたかは不明。
- 『逆転裁判シリーズ』のラスボスの中では(エリートの社会人とはいえ)強大な権力者や、法曹関係者ではない身分でラスボスを務めた。(他人を操って犯行に及ぶ点も含めて彼や彼を彷彿とさせる。)
ついでに事件の真犯人でラスボスがEDに登場するのは彼がシリーズで唯一である。 - クログレイのダンスのモーションキャプチャーは元・タカラジェンヌの沙月しゅう氏が担当(バンジークス等も担当)。Youtubeに収録風景が公開されている。
追記・修正は優雅すぎる動きをマスターしてからお願いします。
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▷ コメント欄
- 自分が大逆転1→2と一気にプレイしたからってのもあるけど、歴代で最も記憶に残ってないラスボスだわ なんならティンピラー兄弟の方が印象強い -- 名無しさん (2021-10-28 14:57:47)
- 哀しき悪役みたいな幕切れしたけど強盗殺人や殺人教唆してるから死刑もありえるだろうね。 -- 名無しさん (2021-10-28 18:04:28)
- 国家機密の漏洩までやらかしてるので極刑は免れんだろうなあ… -- 名無しさん (2021-10-28 21:48:51)
- ぶっちゃけ、ただのクズだしな -- 名無しさん (2021-10-30 13:05:39)
- ただのクズと呼ぶにはなぁ 殺人だけならほぼ事故みたいなものだし未必の故意が認められて比較的軽い罪で終わったはず。問題は国家機密漏洩の方でこっちは確実に死刑。言っちゃなんだが、これだけの技術者にそれでも十分な給金を与えなかったことが最大の問題点だったと言える(会話の中で言うほど裕福でもないことがうかがえる。当時を考えれば下町出身の技術者などさもありなんといえばさもありなん) -- 名無しさん (2021-10-30 17:45:01)
- 最後の尋問で(専用では無いが)特殊BGMが流れたり3DS版1やSwitch版のパッケージに描かれていたりで決して扱いは悪くないと思う -- 名無しさん (2021-11-05 21:42:54)
- 他の作品のラスボスは「こいつはやばい」と思わせるような悪辣さや不気味さがあるけど、この人の場合は彼自身ではなく殺したメグンダルの方ばかりにその印象が向かっていってしまう -- 名無しさん (2022-01-31 23:23:18)
- ティンピラー兄弟と牢屋で仲良くしてる方が幸せかもしれない -- 名無しさん (2023-11-19 22:09:17)
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