英雄譚(MTG)

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登録日:2021/08/22 Sun 12:36:57
更新日:2024/06/03 Mon 13:43:01NEW!
所要時間:約 14 分で読めます



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magic the gathering mtg tcg カード エンチャント 物語 一覧項目



「御山はクラダクに炎を与えた。人々の心の炉を灯すためである。放浪していた人々はケルドの国を作り、クラダクが最初の大将軍となった。」

――「ケルドの炎」




英雄譚とはトレーディングカードゲームマジック:ザ・ギャザリング」に登場するカードの一種である。


【概要】

初登場セットは2018年発売の「ドミナリア」という、比較的新しいカードタイプ。
日本語では「英雄譚」と訳されているが、元の英語では「Sagaサーガ」、つまり物語のこと。
レイアウトを見ると分かるが、縦長のカードをさらに縦半分に分割し、右側をイラストに、左側を章ごとに分けたテキストにしている。
このイラストが中々凝っており、壁画、タペストリー、像、北欧神話時代の挿絵、江戸時代以前の日本の絵巻物風、果ては彫刻やステンドグラスなどを描いたもののみならず、なんと実際の彫刻作品を写真に撮ったものまでイラストになっている。イラストって?
これまでのMtGとはまったく違ったタイプのイラストであり、今後も増えていくものだろう。


「ドミナリア」時代はこれまでの「スラン時代」「ウルザ時代」「氷河期」「ウェザーライト・サーガ」などのストーリーを追体験できるものや、
設定上存在していた神話や歴史などをカード化したものが主で、この英雄譚からの引用という形で書かれたフレーバー・テキストも多数存在する。
その後「テーロス還魂記」で再登場。ギリシャ神話をモチーフにした次元「テーロス」を舞台にしているため、実際の古代ギリシャのオリンピックをモチーフにした英雄譚の他、以前のテーロス・ブロックでの事件、今回明らかになった設定、さらにテーロス還魂記そのもののストーリーを示した英雄譚まで登場した。
「カルドハイム」でも登場。北欧神話をモチーフにした次元で、背景ストーリーや舞台となるカルドハイムの説明に注力している。イラストが妙に凝っており、「彫刻の実写」になっているものが2つある。
「神河:輝ける世界」でも登場。神河ブロックの大雑把な見どころと、そこから今の変わり果てたサイバーパンク世界に至るまでの背景が語られる。神河の英雄譚は両面カード仕立てになっており、最後の章で裏返ることでクリーチャーに変身する。
「団結のドミナリア」でも登場。戦場に出すに際して前の章を飛ばすことができるが前の章に戻ることができない「先読」というメカニズムを持つ。
「機械兵団の進軍」ではクリーチャーの第2面として登場。ファイレクシアの5人の法務官が、条件を満たすことで「各派閥が崇める法典や信条」に変身し、最終章に到達するとクリーチャーとして戻ってくる。
さらに外部コンテンツとのコラボレーションでもたびたび登場し、「ウォーハンマー40,000」「ドクター・フー」「指輪物語」「ジュラシック・パーク」といった作品の展開や有名エピソードをMTGで再現している。


その後も折に触れて登場しており、英雄譚が登場しない年がなくなっているほど。フレーバーに富んだカード・タイプなので現物を見ていて飽きることがないというのが最大の特徴。
MTGの壮大な物語の一節を示したもの(《最古再誕》《世界呪文》《ウルザの物語》など)はもちろんのこと、「フレーバー・テキストの大御所(《夜と昼の恋歌》)」「おとぎ話に範を取ったもの(《三匹の盲目のネズミ》《王女、空を飛ぶ》)」「本筋と関係ないけど雰囲気が合うもの《第1回イロアス競技会》)」「映画の序盤の展開やドラマの第1話(《ようこそ……》《地球外から来た子供》)」、果ては「風呂に入ってる時に歌う歌(《湯浴み歌》)」「料理のレシピ本(《香り草入り兎肉シチュー》)」などカード化の対象が非常に幅広い。英雄譚ってなんだよ
しかもそこに各種wikiなどで暇な詳しい人がいちいちストーリーを書いてくれるので、そこからマジックやコラボ先の世界に引き込んでくれるという案内役を務めているようなカードタイプ。


カード化された枚数に対して環境に食い込むほどのパワーを持つカードは少ない上に《ウルザの物語》《鏡割りの寓話》、かつての《ベナリア史》*1のように環境に食い込むときはえげつないほど強いこともあり、そういう意味では賛否両論。
だが昔の短編がカード化したり、カード化が避けられていた登場人物がイラストで登場することがあったり(《ウルザ、タイタンズを組織する》)、
原作を知っていると「そもそもなんでこんなもんカード化したんだよ」というツッコミどころまで用意できる(《梅澤俊郎の生涯》*2《エントの長い名簿》)という芳醇極まりないフレーバーのおかげで明るい話題が絶えず、
ここ最近に新設されたカードタイプの中では文字通りの「大好評」を博している。


ゲームにおいてはエンチャントとして戦場に置かれるカードで、エンチャント・タイプの1つ。
共通して

(この英雄譚が出た際とあなたのドロー・ステップの後に、伝承カウンターを1個加える。Ⅲ*3の後に、生け贄に捧げる。)

のルール・テキストを持つ。


収録セットの次元で起こった出来事を、ターンごとに分かれて発生する複数の効果で表現している。
基本的に三~四章形式で、カウンターが貯まるごとに章が進み、最後まで読み終えた後には墓地へと送られる。
開発中は章の量が多い、マナの支払いでも章を進められる、結末以外は同じ効果の反復でテストされていたが、最終的に現在の形となった。


その性質上、強力な物はカード1枚で複数のアドバンテージを得ることが可能。後々のメリットを見越してデメリットを織り込めるためデザインの幅も広い。
また戦場に出ているパーマネントなので、明滅*4などでカウンターを取り除けば効果の再利用もできる。
一方で後半の章の効果を得るためにターン経過を要する、何が起こるか相手にも見えているため対策を取られる場合もある、各ターンに1回しか使えない、といった短所も持つ。


この短所のせいもあってカードの評価がプレインズウォーカー以上に難しく、
「実際に使ってみたら環境を定義するレベルで強かった」なんてこともあれば「下馬評通り即効性がなく遅い」とされることもある。
環境の速度に大きく依存するため、ライトプレイヤーやショップ、バイヤー、転売厨などの悩みの種でもある他、トーナメント志向が強めな新規プレイヤーや以前プレイしていた引退勢などにとっても非常に困るタイプである。
実際に使ってみよう。昔の赤単とか使っていたレベルのよほどのせっかちさん以外なら、多分好きになるはずだ。
ただし強いのは主に1vs1の試合であり、ターンの回ってくる絶対数が少ない多人数戦では遅かったり全体除去が乱れ飛んだりして遅すぎるなんてこともある。どんなカードも環境次第ということだ。


英雄譚はその性質上、特にスタンダードにおいてゲームスピードの高速化に歯止めをかける存在にもなっている。
もちろん中には逆に高速化を促進するものもあるが、メインとなる効果が最終章以降になりやすいため。
「出来事」カードなどに比べるとバランスがとりやすいこともあるのだろう、今のところは1年に1回程度の頻度で登場してプレイヤーをにぎわせている。


【主な英雄譚】

英雄譚の初出。
初期のMtGで多くのストーリーを彩った舞台への再訪だけあって過去に出てきたキャラクターや団体に関わるものが多く、古参プレイヤーには感慨深い。


History of Benalia / ベナリア史 (1)(白)(白)
I,II ― 警戒を持つ白の2/2の騎士クリーチャー・トークンを1体生成する。
III ― ターン終了時まで、あなたがコントロールしている騎士は+2/+1の修整を受ける。

ウェザーライト・サーガの主人公ジェラード・キャパシェンの出身地でもある大帝国ベナリア、その創成の歴史。
3マナで実質4/4とマナレシオに優れる上に準備が整えば全体強化で突撃してくる、白ウィニーの戦略とがっちり噛み合ったカード。
騎士ならトークン以外も強化される点や全体強化まで準備ができる点も強く、連続で複数貼ると人が死ぬ。
「出てくる騎士を機体に搭乗させることで召喚酔いを回避する」というテクもあるなど、単純なテキストながらできることがかなり多い。
「ドミナリア」がスタンダードリーガルだった頃に最も頻繁に唱えられた英雄譚であり、白が相手なら間違いなく入っていた。
禁止指定やその疑惑に抵触したこともないため、最も成功した英雄譚のひとつといって差し支えない。


The Antiquities War / アンティキティー戦争 (3)(青)
I,II ― あなたのライブラリーの一番上からカードを5枚見る。あなたはその中からアーティファクト・カード1枚を公開してあなたの手札に加えてもよい。残りをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。
III ― ターン終了時まで、あなたがコントロールしているアーティファクトは基本のパワーとタフネスが5/5のアーティファクト・クリーチャーになる。

ウルザとミシュラの兄弟が互いの持つパワーストーンを巡って争った戦争の物語。アンティキティーはMtG最初期のカードセット名の一つでもある。
イラストでも一・二章のアーティファクトサーチを表す二つのパワーストーンと、三章の大型クリーチャーを表す二体の兵器が描かれている。


The Eldest Reborn / 最古再誕 (4)(黒)
I ― 各対戦相手はそれぞれクリーチャー1体かプレインズウォーカー1体を生け贄に捧げる。
II ― 各対戦相手はそれぞれカード1枚を捨てる。
III ― 墓地からクリーチャーかプレインズウォーカーであるカード1枚を対象とし、それをあなたのコントロール下で戦場に出す。

最古のドラゴンにしてMtGを代表するプレインズウォーカーの一角、ニコル・ボーラスが死んだっぽい状態からの復活を表した英雄譚。ちゃんと小説の1シーンを再現している*5
犠牲が出るのは相手だけで相手の墓地からリアニメイトもできる、アンコモンとしては破格の内容。当時はリアニメイトデッキがトーナメントに存在しており、
さらにリアニメイトしたい対象がいたことや、ラヴニカのギルド期では「他にいい選択肢がない」ということも手伝い、しかもカジュアルMTGの流行もあってたびたび見かけたカード。


Rite of Belzenlok / ベルゼンロック典礼 (2)(黒)(黒)
I,II ― 黒の0/1のクレリック・クリーチャー・トークンを2体生成する。
III ― 飛行とトランプルと「あなたのアップキープの開始時に、他のクリーチャー1体を生け贄に捧げる。そうできないなら、このクリーチャーはあなたに6点のダメージを与える。」を持つ黒の6/6のデーモン・クリーチャー・トークンを1体生成する。

悪魔王ベンザブロックベルゼンロックを賛美する儀式。
大量の信徒を集め、それらを生け贄に力を振るう強大な悪魔を呼び出す。


なおベルゼンロックは過去に何かしたわけではないドミナリアが初出のキャラだが、ドミナリアで起こった数々の出来事をそれも私だと歴史の歪曲を企む悪魔なので、ある意味では英雄譚と噛み合っている。


The Mending of Dominaria / ドミナリアの大修復 (3)(緑)(緑)
I,II ― カードを2枚切削する。その後、あなたはあなたの墓地からクリーチャー・カード1枚をあなたの手札に戻してもよい。
III ― あなたの墓地から土地カードをすべて戦場に戻す。その後、あなたの墓地をあなたのライブラリーに加えて切り直す。

数多の事件や災害の影響で次元からマナが漏出する異変をプレインズウォーカーの力と引き換えに阻止した「大修復」から。これも時のらせんというカードブロックになっている。
「木彫りの彫像にされた過去の登場人物のイラストイラスト」がかなり凝っている。デザインとしてはマナの加速とライブラリーの修復という第三章の効果が主。
ただし第三章に至るまでのターン経過やそれまでの効果の弱さ、それに対して重い効果などもあってさっぱり活躍しなかった。英雄譚の弱点が如実に出ている例。


過去のブロックで主役を務め、テーロスに魂を囚われたエルズペスに関わるものが多い。
またテーロスのモチーフであるギリシャ神話にちなんだ英雄譚も作られている。


Elspeth Conquers Death / エルズペス、死に打ち勝つ (3)(白)(白)
I ― 対戦相手がコントロールしていてマナ総量が3以上のパーマネント1つを対象とし、それを追放する。
II ― あなたの次のターンまで、対戦相手がクリーチャーでない呪文を唱えるためのコストは(2)多くなる。
III ― あなたの墓地からクリーチャーかプレインズウォーカーであるカード1枚を対象とし、それを戦場に戻す。それの上に+1/+1カウンターか忠誠カウンターを1個置く。

大神ヘリオッドの手にかかり命を落としたエルズペスが、死の国で彼の神性を奪い現世へと蘇った物語。テーロス還魂記のメインストーリーでもある。
一章が3マナ以上のコスト制限あり、かつ破壊不能やエンチャントも除去できるパーマネント追放である点は、エルズペスの死というより過去のセットで彼女が歓楽の神ゼナゴスを討ち取った話に近い。ヘリオッドのジジイも射程範囲なので追放できる。
二章はゲーム的には地味だが、ヘリオッドの力がエルズペスに及ばなくなりつつあるのを示している。三章は言わずもがな。


Kiora Bests the Sea God / キオーラ、海神を打ち倒す (5)(青)(青)
I ― 呪禁を持つ青の8/8のクラーケン・クリーチャー・トークンを1体生成する。
II ― 対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーがコントロールしていて土地でないパーマネントをすべてタップする。それらは、そのコントローラーの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。
III ― 対戦相手がコントロールしているパーマネント1つを対象とし、それのコントロールを得る。それをアンタップする。

キオーラが海神タッサを出し抜き神の武具をパクって逃げたエピソードから。打ち倒すという捏造。
まずテーロスから巨大クラーケンをパクって従えようとしたためのクラーケンを召喚、その後は触手で拘束、最終的に相手のパーマネントをパクって消えると実際やったことのわりには7マナのコストに恥じない効果となっている。


Elspeth's Nightmare / エルズペスの悪夢 (2)(黒)
I ― 対戦相手がコントロールしていてパワーが2以下のクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。
II ― 対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは自分の手札を公開する。あなたはその中からクリーチャーでも土地でもないカード1枚を選ぶ。そのプレイヤーはそのカードを捨てる。
III ― 対戦相手1人を対象とし、そのプレイヤーの墓地を追放する。

悪夢を操るプレインズウォーカー、アショクがエルズペスに見せた悪夢。
パワー2以下の恋人のダクソスを殺してしまい、手札という精神を苛まれ、墓地からも逃れられず苦しむ様が黒の得意分野らしく表されている。


The Akroan War / アクロス戦争 (3)(赤)
I ― クリーチャー1体を対象とする。アクロス戦争が戦場に残り続けているかぎり、それのコントロールを得る。
II ― あなたの次のターンまで、各戦闘で、対戦相手がコントロールしているクリーチャーは可能なら攻撃する。
III ― タップ状態の各クリーチャーはそれぞれ、自身にそれのパワーに等しい点数のダメージを与える。

こちらはテーロスで起きた出来事というより、元ネタであるギリシャ神話のトロイア戦争がモチーフとなっている。
強奪から後に退けない戦争が始まり結果は死屍累々と、まさに凄惨な戦争を演出する。


The First Iroan Games / 第1回イロアス競技会 (2)(緑)
I ― 白の1/1の人間・兵士クリーチャー・トークンを1体生成する。
II ― あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とし、それの上に+1/+1カウンターを3個置く。
III ― あなたがパワーが4以上のクリーチャーをコントロールしているなら、カードを2枚引く。
IV ― 金トークンを1つ生成する。

ギリシャの古代オリンピックをモチーフとした競技会。イラストも古代ギリシャ風。
代表選手を鍛え上げてカードという報酬をもらい、最後は金メダルを獲得する秀逸なカードとなっている。
クリーチャーに+1/+1カウンターを置くタイミングで除去されると丸損の危険性もあるが、パワー4以上のクリーチャーについては選手の兵士トークンでなくその辺のビーストとかでもOK。どんなオリンピックだよ。


このセットの英雄譚はすべて二色となっている。
初出の次元で過去のエピソードは特になく、採用についてはモチーフの北欧神話が「英雄たちのサーガ」であることが大きい。


Binding the Old Gods / 古き神々への拘束 (2)(黒)(緑)
I ― 対戦相手がコントロールしていて土地でないパーマネント1つを対象とする。それを破壊する。
II ― あなたのライブラリーから森カード1枚を探し、タップ状態で戦場に出し、その後ライブラリーを切り直す。
III ― ターン終了時まで、あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーは接死を得る。

北欧神話における神々の争いの歴史。
破壊と隆盛、そして最後の戦いによる死の黄昏を表現している。
ゴルガリカラーお得意の万能除去にマナ加速まで付いてくるパワーカード。黒緑系デッキのミラーマッチになると先に置かれた方を対象に除去するのもよく見られる。


Fall of the Impostor / 騙し屋の崩落 (1)(緑)(白)
I,II ― クリーチャー最大1体を対象とする。それの上に+1/+1カウンター1個を置く。
III ― 対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーがコントロールしているクリーチャーの中で最大のパワーを持つクリーチャー1体を追放する。

ケイヤたちに敗れ落下するティボルトが描かれている一幕……だが、ストーリーではティボルトは普通に逃亡している。また捏造か。
自分のクリーチャーを強化する他に、相手のクリーチャーをあえて強化して対象を選別することもできる。だがティボルトはプレインズウォーカーなので追放できない。また捏(ry*6


The Three Seasons / 三つの季節 (緑)(青)
I ― カード3枚を切削する。
II ― あなたの墓地から氷雪パーマネント・カード最大2枚を対象とする。それらをあなたの手札に戻す。
III ― 各墓地からそれぞれカード3枚を選ぶ。それらのオーナーはそれらのカードを自分のライブラリーに加えて切り直す。

切削した後に氷雪パーマネントを回収できるというもの。
カルドハイムには氷雪土地をはじめとした氷雪パーマネントが何種類かあるため、適切にデッキを組めば「第2章で質の良い2ドロー」のようになる……のだが、
第1章が激烈に弱く、第2章は強力だがタイムラグが無視できず、第3章はこちらが選べるものの「対戦相手のボムレアや強力なカードなども戻さなければならなくなる可能性がある」と非常に癖が強い。
つまり「もっと役割を特化した別のカードを使った方がいい」となるカード、率直に言うと「弱い」と評した方がいいカード。ゲーム中盤~後半で引いた時はタイムラグが本当に重くのしかかってくる。
しかしこのカードのイラストをぜひ見ていただきたい。なんと実写の彫刻である。落ち葉までひっかけてあって、実に「美術館とか公園とかに置いてある美術品」感がある。
MTGのイラストの歴史に一石を投じたとすら言える作品。当wikiを中心に競技志向の薄いプレイヤーがたびたび口にする「カードの価値は決して強弱だけではない」という例に挙げるのに、これほど適当なカードもないだろう。値段は安いけど。


なお一目で写真と分かりやすいこのカードのおかげで、同じく木造彫刻の写真である《古き神々への束縛》がすっかり割を食ってしまった。こちらは一見写真とは思えないほどの凝りっぷりである。


Showdown of the Skalds / スカルドの決戦 (2)(赤)(白)
I ― あなたのライブラリーの一番上からカード4枚を追放する。次のあなたのターンの終了時まで、あなたはそれらのカードをプレイしてもよい。
II,III ― このターン、あなたが呪文を唱えるたび、あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。それの上に+1/+1カウンター1個を置く。

スカルドと呼ばれる詩人が謳い上げる文字通りの英雄譚。
情熱という引き出しから呪文が唱えられるたびに物語の戦士たちは力を増していく。
唱える回数を水増しし、衝動的ドローで引いたカードをキープできる出来事との相性が抜群。禁止された《僻境への脱出/Escape to the Wilds》の後釜としてアドベンチャー系デッキに採用された。


このセットの英雄譚は全て両面カードとなっている。
一章および二章はこれまでの英雄譚と同様に動作するが、三章になるとなんと裏面に変身し、クリーチャー・エンチャントになる。
事前評価ではクリーチャーとしては遅すぎると過小評価されていたが、そもそも一章および二章が同コスト帯の他のカードと遜色ない性能を持っている上に、裏面も多くがシステムクリーチャーだったり遅さをカバーする効果を持っており、おまけとしても十二分に強力であった。


ストーリーでは、初代神河ブロックからネオカミガワ輝ける世界に繋がるエピソードがカード化されている。神の乱の顛末から梅澤俊郎の十手の活躍、果てはネズミ暴走族の武勇伝に至るまで幅が広い。
あくまでも顕現するのは「似姿」という設定があるため、第2面のクリーチャーは伝説ではないし、本物ではないことを示すように絵や彫刻の形で描かれている。
このイラストの凝り方もまた面白く、なんと革ジャンの背中に描かれた、「AKIRA」の金田のようなポーズでバイクを止めるネズミの絵なんてものまである。なんなんだこの次元。


Life of Toshiro Umezawa / 梅澤俊郎の生涯 (1)(黒)
I,II ― 以下から1つを選ぶ。

  • クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+2/+2の修整を受ける。
  • クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは-1/-1の修整を受ける。
  • あなたは2点のライフを得る。

III ― この英雄譚を追放する。その後、これを変身させた状態であなたのコントロール下で戦場に戻す。


Memory of Toshiro / 俊郎の記憶 [黒]
クリーチャー・エンチャント-人間(Human) 侍(Samurai)
(T)、1点のライフを支払う。:(黒)を加える。このマナは、インスタントやソーサリーを唱えるためにのみ使用できる。
2/3


梅澤俊郎の生き様を十手の効果でなぞり、最終的に梅澤のイメージがクリーチャー・エンチャントとして具現化する。
生涯を描いたI,II章がともに十手の効果であり、それだけでも強力。…なのだが、梅澤の生涯にわたる活躍の本体が十手だったことは笑いを禁じえない。
でも《梅澤俊郎》のテキストなんて覚えてる人いるかと聞かれたら……しょうがないよねぇ。


Kumano Faces Kakkazan / 熊野と渇苛斬の対峙 (赤)
I ― 熊野と渇苛斬の対峙は各対戦相手と対戦相手がコントロールしている各プレインズウォーカーにそれぞれ1点のダメージを与える。
II ― このターン、あなたが次にクリーチャー・呪文を唱えたとき、そのクリーチャーは追加で+1/+1カウンターが置かれた状態で戦場に出る。
III ― この英雄譚を追放する。その後、これを変身させた状態であなたのコントロール下で戦場に戻す。


Etching of Kumano / 熊野の食刻 [赤]
クリーチャー・エンチャント-人間(Human) シャーマン(Shaman)
速攻
このターン、あなたがコントロールする発生源からダメージを受けたクリーチャーが死亡するなら、代わりにそれを追放する。
2/2


山伏の長、熊野が火山の神と対決する場面を描いた英雄譚と、その彫像が具現化したクリーチャー・エンチャント。効果はいずれもスライ向きで、1ターン目にとりあえず1点を通し、さらにII章で後続を強化できる。最後のクリーチャー・エンチャントも速攻2/2と元手1マナとしては十分すぎる戦力であり、さらに火力がすべて追放となり相手のPIGや墓地利用を許さない。


Michiko's Reign of Truth / 魅知子の真理の支配 (1)(白)
I,II ― クリーチャー一体を選ぶ。ターン終了時まで、それはあなたがコントロールしているアーティファクトやエンチャント1つにつき+1/+1の修整を受ける。
III ― この英雄譚を追放する。その後、これを変身させた状態であなたのコントロール下で戦場に戻す。


Portrait of Michiko / 魅知子の肖像 [白]
クリーチャー・エンチャント-人間(Human) 貴族(Noble)
魅知子の肖像は、あなたがコントロールしているアーティファクトやエンチャント1つにつき+1/+1の修整を受ける。
0/0


神の乱を終息させた今田魅知子の治世を描いた英雄譚と、その肖像画が具現化したクリーチャー・エンチャント。
I,II章がオーラでなくなり、アド損しにくくなった《きらきらするすべて/All That Glitters》であり、エンチャントやアーティファクトが並べやすい輝ける世界にあって非常に強力なパンプアップである。
第2面はきらすべ効果が自身にかかるようになっており、そのまま相手を殴り倒すこともできるため、エンチャントを並べるタイプのビートダウンでたびたび使われた。


Fable of the Mirror-Breaker / 鏡割りの寓話 (2)(赤)
エンチャント — 英雄譚(Saga)
I ― 「このクリーチャーが攻撃するたび、宝物(Treasure)トークン1つを生成する。」を持つ赤の2/2のゴブリン(Goblin)・シャーマン(Shaman)・クリーチャー・トークン1体を生成する。
II ― あなたは最大2枚のカードを捨ててもよい。そうしたなら、その枚数に等しい枚数のカードを引く。
III ― この英雄譚を追放する。その後、これを変身させた状態であなたのコントロール下で戦場に戻す。


Reflection of Kiki-Jiki / キキジキの鏡像[赤]
クリーチャー エンチャント — ゴブリン(Goblin) シャーマン(Shaman)
(1),(T):あなたがコントロールしていてこれでも伝説でもないクリーチャー1体を対象とする。速攻を持つことを除きそれのコピーであるトークン1体を生成する。次の終了ステップの開始時に、それを生け贄に捧げる。
2/2


数々のコンボを生み出した《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》の英雄譚。公式ページで短編(2004年に書かれたもの)を読むことができる。
キキジキの鏡像が本家キキジキに比べてシステムクリーチャーとして大幅にパワーダウンしていたこと、コピー効果を使えるようになるのが非常に遅いことから発売前の評価は低かったが、
そもそも3マナで2/2が2体出せる上にマナ加速・ドロー・墓地肥やしまでできるのが弱いはずもなく、赤いデッキならまず入るほどの活躍を見せ、とうとうスタンダードでは禁止カードになってしまった。
下環境でも相変わらず大活躍しており、今やキキジキ本人よりも見る機会が多い。このゲームにおいて軽いというのはそれだけで正義なのだ。


再度訪れたドミナリアの英雄譚。前回選出されなかったイベントや伝説のソーサリー*7に回された出来事がチョイスされている。
共通の特徴として「先読/Read Ahead」という能力を持ち、Ⅱ章またはⅢ章から開始することができる。
だが先読との兼ね合いで効果がそれぞれバラバラなものが多く、役割を特化させられないのもあってプレイングが非常に難しい。
そもそものカードパワーが不足しているものも多く、スタンダードで共存する神河の英雄譚に比べて採用率は低いと言わざるを得ない。


Urza Assembles the Titans / ウルザ、タイタンズを組織する (3)(白)(白)
エンチャント — 英雄譚(Saga)
先読(章を選び、それに等しい数の伝承(lore)カウンターで始める。あなたのドロー・ステップの後に、伝承カウンター1個を追加する。飛ばされた章は誘発しない。IIIの後に、生け贄に捧げる。)
I ― 占術4を行う。その後、あなたのライブラリーの一番上にあるカード1枚を公開してもよい。これによりプレインズウォーカー・カードが公開されたなら、それをあなたの手札に加える。
II ― あなたは、あなたの手札にありマナ総量が6以下であるプレインズウォーカー・カード1枚を戦場に出してもよい。
III ― このターン、あなたは、あなたがコントロールしている各プレインズウォーカーの忠誠度能力を、1回のみではなく2回起動してもよい。 


先のファイレクシア戦争において、ウルザがプレインズウォーカーを招集しファイレクシア次元に殴り込みをかける決死隊「ナイン・タイタンズ」を結成した様子を描いた英雄譚。
カードのイラストとして登場するのが初めてというキャラが数名おり、そういう意味で話題を呼んだカード。なおうち2人が裏切り、それに巻き込まれ3人が犠牲になった。
プレインズウォーカーサポートに特化した効果で、複数のプレインズウォーカーを並べるコントロールデッキと相性が良い。
なお次の兄弟戦争でプレインズウォーカーのウルザが登場したが、いずれの効果の恩恵も受けられない*8こんなんでいいのかよ。


2023年後半からプレインズウォーカーに関する設定が変更され、カード化枚数が少なくなることが宣言された。活躍期間は残り1年半ほど残っているが、伸びしろとなる部分が少なくなってしまっている。


The Phasing of Zhalfir / ザルファーのフェイジング (2)(青)(青)
エンチャント — 英雄譚(Saga)
先読(章を選び、それに等しい数の伝承(lore)カウンターで始める。あなたのドロー・ステップの後に、伝承カウンター1個を追加する。飛ばされた章は誘発しない。IIIの後に、生け贄に捧げる。)
I,II ― 土地でもこれでもないパーマネント1つを対象とする。それはフェイズ・アウトする。あなたがザルファーのフェイジングをコントロールし続けているかぎり、それはフェイズ・インできない。
III ― すべてのクリーチャーを破壊する。これにより破壊された各クリーチャーにつきそれぞれ、それのコントローラーは黒の2/2のファイレクシアン(Phyrexian)・クリーチャー・トークン1体を生成する。


テフェリーが故郷ザルファーをフェイジングさせファイレクシア戦争から守った、文字通りの英雄譚。
青単色で使用できる《神の怒り》系の除去だが、対価としてファイレクシアトークンを出すため全体化した《猿術》といったところ。Ⅰ章とⅡ章で残したいクリーチャーを守ることもできるが、守るべきものがいないなら先読でⅢ章を使ってしまおう。
実際のザルファーは大修復の際のゴタゴタで永遠に帰ってこなくなったが、このカードの場合はそんなことはないので一安心。



The Cruelty of Gix / ギックスの残虐 (3)(黒)(黒)
先読(章を選び、それに等しい数の伝承(lore)カウンターで始める。あなたのドロー・ステップの後に、伝承カウンター1個を追加する。飛ばされた章は誘発しない。IIIの後に、生け贄に捧げる。)
I ― 対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは自分の手札を公開する。あなたはその中からクリーチャーやプレインズウォーカーであるカード1枚を選ぶ。そのプレイヤーはそのカードを捨てる。
II ― あなたのライブラリーからカード1枚を探し、あなたの手札に加える。その後、ライブラリーを切り直す。あなたは3点のライフを失う。
III ― 墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とする。それをあなたのコントロール下で戦場に出す。


法務官ギックスが裏切者のザンチャを処分しようとしたシーンの英雄譚。ウルザズ・サーガでも《犠牲》《抑圧》などでカード化されている。
先読によって第3章の能力を即座に使うことができるため、「オマケ付きの《ゾンビ化》」のように使うことができるのが特徴。しかも対戦相手の墓地も対象に取れる。
3マナ相当の《不気味な教示者》のあとに、現在では5マナ相当のリアニメイトが使えるのは結構嬉しいし、第1章で墓地に落とした相手のクリーチャーを奪い取ることもできる。
そのためカタログスペックだけならかなり万能なカード。しかしすべての章の能力が絶妙に噛み合っておらず、登場当初はわざわざリアニメイトしたいクリーチャーに恵まれていなかったこともあってあまり活躍はしなかった。


その後強烈なETB能力を持つ《偉大なる統一者、アトラクサ》が登場したことで、これを5マナで出すことができるこのカードに注目が集まる。
トーナメント級のポテンシャルがあることが知られるようになり、使用者が増えたことで様々なプレイングの工夫が研究されるようになり、急速に評価を上げていった。
現在でも強力なETBを持つが重いクリーチャーをリアニメイトするためにたびたび使われている。活躍期間は残り1年半ほどだが、リアニメイトデッキの軸として活躍し続けてくれることだろう。


Urza's Saga / ウルザの物語
エンチャント 土地 — ウルザの(Urza's) 英雄譚(Saga)
I ― ウルザの物語は「(T):(◇)を加える。」を得る。
II ― ウルザの物語は「(2),(T):『このクリーチャーは、あなたがコントロールしているアーティファクト1つにつき+1/+1の修整を受ける。』を持つ無色の0/0の構築物アーティファクト・クリーチャー・トークン1体を生成する。」を得る。
III ― あなたのライブラリーからマナ・コストが(0)か(1)のアーティファクト・カード1枚を探し、戦場に出す。その後、ライブラリーを切り直す。

モダンホライゾン2で登場した、初の英雄譚の土地にしてエンチャント土地。
過去にウルザズ・サーガというカードセットがあり、土地にUrza'sという種別があるのと引っ掛けたユニークな名前ネタが元。
……なのだが、日本語だとウルザズ・サーガ成分は消えてるしカード名とサブタイプでも訳が違ったり色々と台無しになっている。
はじめての「起動型能力を持った英雄譚」かつ「エンチャント・土地」であるため挙動が少々ややこしく、公式に調整不足が認められている危険物。
例を挙げると「第3章の能力が誘発している最中にも1章や2章の起動型能力は使用できる」「同タイミングで《演劇の舞台/Thespian's Stage》でコピーすると1章と2章の能力を持ち自壊しない土地になる」「《血染めの月/Blood Moon》などで能力を失うと即座に生け贄に捧げられる」などなど。
エンチャント土地でありながらアーティファクト関連の効果ばかりなことと、いつ禁止になってもおかしくない代物であるところまでウルザズ・サーガのそれ*9を再現している。


Long List of the Ents / エントの長い名簿 (緑)
エンチャント — 英雄譚(Saga)
I,II,III,IV,V,VI ― エントの長い名簿に記録されていないクリーチャー・タイプ1つを記録する。このターン、あなたが次にそのタイプのクリーチャー呪文を唱えたとき、そのクリーチャーは追加で+1/+1カウンター1個が置かれた状態で戦場に出る。

指輪物語の一節が英雄譚になった。同じテキストが6ターンに渡って続くという、最軽量にして最長の英雄譚。実物を見た時のインパクトがすごい。
たとえば1ターン目に「スリヴァー」、2ターン目に「ゴブリン」、3ターン目に「セファリッド」……のように部族を宣言して名簿に記録すると、すでに記録済のカードがちょっとボーナスを得た状態で出てくるというもの。
カード化されたシーンは「二つの塔」において、エント族の長老、「木の髭」ファンゴルンが初めてであったホビットであるピピンとメリーに、生き物の名簿を諳んじてみせる部分。
ピピンはそこにホビットの名前を入れてくれと頼み、ファンゴルンは名簿に追加する。
本当にここにしか出てこないし、戦闘どころか大筋にもあまり関係しないという実に微妙なシーン。一応原語版だと音韻がそろっていて美しいので印象深いシーンといわれている。
ただフレーバー自体はかなりうまくカード化できているし、開発コラムでは元ネタからうまくカード化できる部分が意外と少なかったということに相当苦心してたことが明かされている。
そんな開発事情や、コラボ先のカード化という事業などにも思いを馳せられるという実に芳醇なカード。


使い勝手はかなり独特。「唱えたとき」でなければ強化されない点を忘れやすく、特にトークンや頑強、明滅などと組み合わせようとして落胆する。
一見部族デッキに入りそうな感があるが、1つの部族でまとめたデッキの場合は単なる「6ターンしか維持できない上に上述の弱点を持つ」という中途半端な存在になりやすく、残り5章分の指定が無駄になってしまう。
シミックのクリーチャーや多相のように様々なタイプを持つカードを唱えたところで、乗るカウンターの個数は1個で固定されてしまうのであまり意味はない。
部族が様々にばらけているデッキ、たとえばかつての【Zoo】などならうまく使えるだろうが、それなら最初から素直に《栄光の頌歌》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《踏み荒らし》のような別のカードを使いたいところ。
軽い上に6ターンの維持ができるため、うまく使いこなせそうなポテンシャルを感じさせるのがなおのこと惜しいカードである。


The Night of the Doctor / ドクター前夜 (4)(白)(白)
I ― すべてのクリーチャーを破壊する。
II ― あなたの墓地にある伝説のクリーチャー・カード1枚を対象とする。それを戦場に戻す。それの上に、先制攻撃カウンターや警戒カウンターや絆魂カウンターのうちあなたが選んだ1個を置く。

「ドクター・フー統率者デッキ」で登場したカードで、2章しかない最短の英雄譚。英雄譚の存在意義を考えると、これ以上短い英雄譚は作られないだろう。
《審判の日》相当の全体除去に、条件付きのリアニメイトがついたカード。かなり重いのだが「全体除去の次のターンに勝手にクリーチャーを釣り上げられる」というのはデッキを選ばない強さがある。
さらに「エンチャント」であり「歴史的」でもあるため、既存の全体除去とは違った手段で参照できるというのも利点。もし白を含むデッキでカジュアルに遊ぶのであれば、持っておいて決して損ではないはずだ。


2013年に放送された同名エピソードを端的にカード化したもの。つまりドラマのカード化。
第1章で「8代目ドクターの最期」を、第2章で「ウォードクターへの再生」を描いている。ドクター・フーに興味がないとそれでおしまいなのだが、
これが実はシリーズにおけるとても重要な部分を補完したサプライズエピソードであり、このエピソードだけで項目が1つかけてしまうくらいプロモーションに力を入れたもの
そんなもんだってカード化できてしまう。英雄譚というカードデザインの懐の深さを語るのであればこのカードは実に分かりやすい例だろう。


The Legend of Arena (1)(青)(赤)(白)
The Legend of Arenaは統率者として使用できる。
I,II ― 赤の2/1の人間・ウィザード・クリーチャー・トークンを1体生成する。このターン、あなたが呪文を唱えるためのコストはあなたがコントロールしているウィザード1体につき(1)少なくなる。
III ― あなたのライブラリーからプレインズウォーカー・カードを1枚探し、それを戦場に出し、その後あなたのライブラリーを切り直す。それはあなたがコントロールしているウィザード1体につき忠誠カウンターが追加で1個置かれた状態で戦場に出る。

2018年のHeroes of the Realm*10MTGアリーナの開発チームに贈られたカード。
初の三色英雄譚でウィザードやプレインズウォーカーを雇用する。


War of the Spark (3)(黒)
I ― 各プレイヤーは自分の手札か墓地から、灯争大戦に収録されているプレインズウォーカー・カードかゾンビ(Zombie)・カード1枚を戦場に出してもよい。
II ― 望む数のクリーチャーかプレインズウォーカーを生け贄に捧げる。各対戦相手は同じ数のクリーチャーかプレインズウォーカーを生け贄に捧げる。
III ― ボーラス(Bolas)を最大1体対象とし、それを追放する。増殖を3回行う。

2019年のHeroes of the Realmで灯争大戦の開発チームに贈られたカード。
ボーラス率いるゾンビ軍団にゲートウォッチ*11率いるプレインズウォーカー達が立ち向かう第一章。
ゾンビ軍団の犠牲と引き換えに《古呪/The Elderspell》*12を発動させる第二章。
そしてボーラスを打ち倒し、《次元を挙げた祝賀/Planewide Celebration》*13(に似た効果)が湧きおこる第三章と、灯争大戦のストーリーを表現している。


Wikikomori Create a Page / wiki篭り、項目を作成する (3)
エンチャント — 英雄譚
I ― 項目を1つ作成する。占術2を行う。
II ― 項目1つを対象とする。各プレイヤーはそれぞれコメントを書き込む。
III ― 項目1つを対象とする。各プレイヤーはそれぞれ追記・修正を行う。


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  • 追記・修正チャンスは1回限りなのか -- 名無しさん (2021-08-22 12:56:45)
  • ウルザの物語、なんか色々暴れすぎてるみたいだけど大丈夫かなあ……。モダンホライゾンでのウルザもオーコと組んで実質毎ターンMox量産なんてスラン文明もビックリの荒業起こしてたしなあ -- 名無しさん (2021-08-22 13:24:49)
  • 宿屋の主人がムキムキになってオリンピック出場したら恋する野獣にフラれた -- 名無しさん (2021-08-22 13:32:32)
  • さーて来週のキオーラさんは? -- 名無しさん (2021-08-22 14:29:15)
  • 全体的にヨーリオンとかの明滅と相性がいい -- 名無しさん (2021-08-22 22:11:47)
  • ほぼ一覧項目に近い内容だな… -- 名無しさん (2021-08-23 22:26:53)
  • 鏡割りは使われるとトークンも本体もなんで伝説じゃないんだってなる -- 名無しさん (2022-12-16 11:40:46)

#comment(striction)

*1 英雄譚が初登場した「ドミナリア」でもっとも高値が付いた英雄譚。当時のスタンダードの白いデッキでは必ず数枚採用されており、MTGアリーナの初期デッキにも1枚含まれていたことで当時増えた初心者が使うことも多かったこと、他の英雄譚に比べて見かける頻度が非常に高かったことから「英雄はベナリアにしかいない」「ベナリアの話以外もしてよ」などとジョーク交じりに揶揄された。
*2 ストーリーでは中盤以降登場しない《梅澤の十手》が彼の生涯扱いになっている。イメージ的には「スラムダンクの桜木花道の名シーン!」といいつつフンフンフンディフェンスだけが紹介されてるようなもん。
*3 カードによってⅣの場合もあり。
*4 一度戦場外へ追放し、すぐに戦場へ戻す効果の俗称。
*5 ボーラスが自らの力を見せてテフェリーを恫喝気味に交渉する際の、モブのプレインズウォーカーを殺すシーン。色々あった後、テフェリーはボーラスの復活に同意する。第II章はテフェリーが悩んでるのとかを再現しているのかな?とヴォーソスに深読みされていたが、マローが「バランス調整のためにつけた」とぶっちゃけるという、実になんともいえないオチがついた。
*6 ティボルトの別面であるヴァルキーを狙えば、一応はティボルトを追放したと言えなくもない。
*7 英雄譚と同じくドミナリアで登場したメカニズムで、伝説のクリーチャーかプレインズウォーカーをコントロールしている時のみ使用可能な大魔法。使い勝手が悪すぎて失敗メカニズムとして扱われている。
*8 ウルザは合体してプレインズウォーカーになるクリーチャーであるためⅠ章とⅡ章は効果がなく、もとから2回忠誠度能力が使えるのでⅢ章も意味がない。
*9 《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》《ヨーグモスの意志/Yawgmoth's Will》などマジック史上最強クラスのカードを多数輩出して禁止カードが続出、「本来エンチャントをテーマにしたエキスパンション」とされているにもかかわらず環境にいたのは《記憶の壺》《厳かなモノリス》《通電式キー》などのアーティファクトデッキばかりだった。
*10 社員の功績を称えるために作られるユニークカード。実際のゲームでは使えない。
*11 ざっくりいうと正義と次元間の平和を守るプレインズウォーカー戦隊
*12 プレインズウォーカーから『灯』と呼ばれる力の源を抜き取り吸収する呪文
*13 緑のモード選択呪文で、同じモードを複数回、合計4回選択できる。モードの一つで増殖ができる

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