岸辺露伴は動かない 〜エピソード2‥六壁坂〜

登録日：2011/09/19 Mon 17:41:49
更新日：2023/08/10 Thu 14:35:44
所要時間：約 6 分で読めます

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命尽きるまで――！

芸術人――ッ!!!

『岸辺露伴は動かない 〜エピソード2‥六壁坂〜』とは、2007年にジャンプスクエアに掲載された読み切り作品。原作は岸辺露伴、漫画は荒木飛呂彦。

掲載される数年前から『岸辺露伴は動かない』をシリーズで描きたいと思っており、SQ編集部に頼まれた時にアイディアがあったので執筆した。
元々はエピソード番号は振られておらず『岸辺露伴は動かない ～六壁坂～』の題だったが、単行本化の際に「エピソード2」が付加された。

しかし60ページ以上の読み切りはスケジュール的に無理があったのか掲載後のウルトラジャンプでSBRが初の休載になってしまう。

後にマスターピースVOL.002に再録され、岸辺露伴を描けて嬉しかったというメッセージを残した。

ちなみに本作が掲載されたジャンプスクエアでは屍鬼の連載が開始した。

ジャンプコミックス版『岸辺露伴は動かない』単行本第2巻の特別版同梱という形でOVA化も果たしている。

2021年12月29日にはNHKにて実写化。
「ザ・ラン」「背中の正面」から続くエピソードの〆として位置づけられている。

◆あらすじ
(露伴が妖怪伝説の漫画の取材のために山を買い一文無しになった事を編集者に話して)

おいおいおいおい なんだよその顔は？　今 目そらしたな！
あ…目をそらしてるッ！ 僕のこと　頭があぶないヤツだとおもってるらしいな!!　編集者くん
いいか！　スーパーカー買ったり自宅の地下にゲームシアター作ったりするだけが漫画家の金の使い道じゃあないだろ？

しかも…ちゃんといたんだからな　取材の価値は十分あったぜ
いいか！　この話をするのは君の編集部だけだぜ

なぁ…君ねぇ！　人の話ちゃんと聞いてんのかッ!?
この目で見たんだ　「六壁坂」の妖怪は今もいる
ヤツは まだ今もあそこにいるんだ！

◆登場人物

• 岸辺露伴(CV：櫻井孝宏／演：高橋一生)

27歳独身。デビュー11年目の漫画家。
本編と変わらず面倒臭い性格をしているが、ファンに対しては好意的。

妖怪伝説の漫画を描こうと別荘がある山へ取材に行き、山の妖怪を逃がさないためにと周りの山を6つ買い、開発業者のリゾート道路計画を阻止する。
しかし計画が消えたために買った山の価格が原野同然になり、借金はないが一文無しになってしまったので現在は康一の家に居候している。

一方で妖怪は見つける事が出来たので、その妖怪の話を編集者にする。

ヘブンズ・ドアーのデザインがロボっぽくなった。

ドラマ版では、「ザ・ラン」「背中の正面」が「六壁坂」の前日譚という位置付けである関係上、破産云々については「ザ・ラン」の時点で語られており、家も一ヶ月後には露伴の手から離れるとされていた他、
自身の経験を話して聞かせる形式だった原作とは異なり、（劇中の）リアルタイムで「六壁坂村」に向かっている。

• 貝森稔(CV：茂木たかまさ)

23歳既婚子供なし。入社1年目の漫画編集者。
露伴との打ち合わせで予定より6分早く着いたためいちゃもんをつけられた。
露伴が破産した生々しい話の後に妖怪伝説を聞く事になる。

• 泉京香(演：飯豊まりえ)

ドラマ版における露伴担当の編集者。
原作では『富豪村』にしか登場しないが、ドラマ版では一貫して彼女が編集者となっている。

上述の貝森の役柄を引き継いでいるが、露伴から話を聞かされるのではなく勝手に彼の取材に同行しており、
「妖怪がいる」と露伴が目している「六壁坂」や関連する話を取材するべく行動する。

• 小林玉美、音石明(CV:鶴岡聡、森久保祥太郎)

『ダイヤモンドは砕けない』本編にも登場したスタンド使い。
露伴のドリッピング画法で一瞬にしてサインをもらう。
音石はどうやらちゃんと改心して音楽を続けている模様。
こちらもドラマ版では未登場だが、代わりにファンの少年たち（モブ）がサインをねだっている。

• 大郷おおさと 楠宝子なおこ (CV：種﨑敦美／演：内田理央)

本作の主人公。六壁坂村で300年続く味噌作りで成功した一族のひとり娘で来春卒業予定の女子大生。
両親は彼女を非常に溺愛しており、ひとり暮しを許さず、送迎に運転手を雇い片道2時間以上の通学をさせた。
ドラマ版では六壁坂村にある大きな屋敷に住んでおり、泉の仲介で露伴のファンだという子供たちにサインをもらいたいと露伴に一人で接触。
露伴はサインを書き上げた後、これ幸いと彼女を「ヘブンズ・ドアー」で本にし、「妖怪」の手がかりと目される彼女の記録を読むのだが…。

アニメの担当声優は後のTVアニメ版『ストーンオーシャン』のエンポリオ・アルニーニョ役。
また、ドラマ版で演じた内田氏は特番「私の『岸部露伴』語り」にも露伴役の高橋一生氏らと共に出演しており、『ジョジョ』シリーズ、そして結婚したいほど好きだという露伴への愛を語っていた。

• 釜房かまふさ 郡平ぐんぺい (CV：間島淳司／演：渡辺大知)

大郷家を手入れするバイトの庭師。
RPGっぽいゲームを楠宝子の前で一人で遊んでいた。

楠宝子とは恋愛関係にあったが、元々楠宝子には郡平と知り合う何年も前から定められた婚約者がおり、
大学卒業を間近に控え、郡平との関係を清算しようとした楠宝子に手切れ金と共に別れを切り出されるが…
楠宝子曰く「寝顔が可愛い」。
担当声優は後のTVアニメ版『黄金の風』のメローネ役。

• 修一(CV：益山武明／演：中島歩)

楠宝子と結婚し大郷家の養子になる予定の男。
服装のセンスが70年代。

以下ネタバレ注意

楠宝子のことを諦められない郡平は、家を訪れた修一に楠宝子に抱きついた姿を見せようとするも、
反発した楠宝子に抵抗され、彼女に突き飛ばされる。
その際、近くにあったゴルフクラブに後頭部を強打した郡平が即死するという事故が起こってしまった。
しかもその凄惨な現場は、不可抗力だった事実とは異なり、あたかも楠宝子が郡平をゴルフクラブで撲殺したような絵面となっていた。

焦った楠宝子は、父親と話していた修一が玄関に向かってきたのを察すると、
彼を中に入れないようにし、郡平がいる証拠を隠して死後も何故か流れ続けている出血を止めようとした。

しかし、いかなる手段でも血は止まらずむしろ大量に血が吹き出し、その間に修一は合鍵で家に入ってしまう。
楠宝子はカーペットで郡平を、冷蔵庫で血を隠し、流れる血は見えないように楠宝子自身が飲み続ける事でその場をしのいだ。

挙式を迎えた楠宝子は郡平の死体を寝室に隠し、体を動かさなければそんなに溜まらない彼の血を密かに捨てるのが日課になった。

以下更なるネタバレ注意

妖怪伝説の取材のために度々六壁坂村を訪れた露伴は楠宝子の記憶をヘブンズ・ドアーで読み、この事件を知る。

郡平に興味を持った露伴は会いに行こうとするが、楠宝子の娘・桐子(CV：高田憂希／演：白鳥玉季)に変質者だと思われてしまった。
が、走り出した直後にその娘は石にこけて頭を強打し死亡する。

桐子が楠宝子と郡平の子供だと確信した露伴は、彼女に対し完全に死んで自分に取り憑く前にヘブンズ・ドアーで彼女の中の岸辺露伴の記憶を消し、
自分が見えないようにする事で桐子を蘇生させやり過ごした。

郡平の正体は全ての世話を人間にさせて子孫を残す事を目的とした妖怪であり、
生き物としての幸福の絶頂は誰かの前で死ぬ時であると悟った露伴。
しかし彼は学者でもジャーナリストでもなく漫画家である。
生態や妖怪の退治には興味を持たず、目的も突き止めたので取材を終了して家路についた。

ドラマ版では、原作ではラストにしか登場しなかった息子の大郷櫂(演：吉田奏佑)も泉に妖怪話を提供しており、
桐子の一件が無事済んだ後、泉と櫂が一緒にいたことを思い出した露伴は今まさに自分の身に起きたように泉も取り憑かれるのではと考え、
急いで泉の下に向かおうとするが、何故か電話が繋がらない。
そして、露伴の危惧した通り、共に行動していた泉の目前で、櫂は桐子のように足を滑らせたが―――

その後、泉と合流した露伴は、櫂が彼女の背に負ぶわれているのを見て「死んでいるのでは」と危惧するが、
当の泉は訝しげな顔をし、歩き疲れた櫂を背負っているだけだと返し、実際櫂は意識もはっきりしていた。
サインをねだられた露伴はそのシャツに描いてやり、家に走って戻る櫂を見送りながら、
「流石の『妖怪』も取り憑く相手は選ぶのか」と内心で呟くと、泉に取材終了を告げ、六壁坂村を後にするのであった。

ラストでは、前借りの話がうまく通り、破産した際に売りに出した家を再び買い戻せたことが語られる。

ま…追記・修正はどうでもいいか……

ぼくは冥殿じゃなく立て主でもないし

ROM専だからな……

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▷ コメント欄

• こういった妖怪にも利くって事は貞子みたいな存在にも「ヘブンズ・ドアー」は無敵なんだなきっと。 -- 名無しさん (2013-11-20 14:20:18)
• 『振り向いてはいけない小道』なんかの一部の例外を除けば幽霊にスタンド攻撃は有効だからな。単に能力を行使するだけじゃなく力づくでブッ殺すことさえ可能。写真のおやじは息子のスタンド攻撃でキレイに成仏しちゃったしｗ -- 名無しさん (2013-11-20 14:50:11)
• 懺悔室のコメントでもあったけど、ほぼ毎回危ない目に遭ってるよな。今回もほんとに間一髪だったし。 -- 名無しさん (2013-11-20 17:23:56)
• 自分の漫画にプライド持っているので外の漫画家など意に介さないのかと思っていたら「るろうに剣心全巻」や「セーラームーンのフィギュア」を持っていたことに驚いた。（売ってしまったが） -- 名無しさん (2013-11-20 17:27:06)
• るろ剣を持ってたことには和月先生も感激だろうな -- 名無しさん (2013-11-20 17:36:55)
• さらりと玉美と音石が登場したのにはﾜﾛﾀ -- 名無しさん (2013-11-21 16:24:23)
• ただ、トニオのアワビの密猟話で東方家が名家になってたりと、第４部と違う世界の可能性もあるんだよな。だから音石も犯罪者かはわからない -- 名無しさん (2013-11-22 14:51:00)
• なぜ六壁坂というネーミングにしたのか思い出せない荒木先生。先生も人間ということか、多次元の自分とチャネリングしたのか -- 名無しさん (2013-11-22 15:17:56)
• 『壁の目』と脳内で混線したとか？ま、先生の忘れっぽさは今に始まったことではないが -- 名無しさん (2013-11-22 15:57:57)
• 楠宝子の子供の一人の「僕は庭師になる」というセリフを見て、歴史は繰り返されるのかと背筋がぞっとした。 -- 名無しさん (2013-11-26 19:50:31)
• ↑多分それを狙ってんだろ -- 名無しさん (2013-11-26 20:49:06)
• 「まっさかーのまっさかーだよね」なんかこのせりふがツボ！ -- 名無しさん (2013-12-02 13:16:36)
• 珈琲であんなに見事なサインが一瞬にしてできるんだから文無し脱却なんてあっという間じゃ無いだろうか？ -- 名無しさん (2014-06-14 09:51:09)
• 怖すぎ。てか、妖俄味ﾌものより、長年、死体（と、思い込んでる妖怪）や味諶揩ﾁて世話し、交わって子供まで作り、更にそれを夫の子供として育ててる女が、何よりコワイ。 -- 名無しさん (2014-06-14 10:16:05)
• ある意味誰かにかまってもらうのをモットーとするあたりサンダーマックイーンを思い出す -- 名無しさん (2014-06-17 21:42:36)
• 最初「ジョジョの世界に妖怪？」と思ったが、吸血鬼とか柱の一族がいる世界だし、妖怪いてもおかしくなかったな -- 名無しさん (2014-11-02 19:16:25)
• 子供たちがすでに妖怪化しているからな・・・うかつに近寄れん。 -- 名無しさん (2014-11-23 17:49:24)
• ↑12 巻末コメントで和月先生いわく「天国への扉が開かれた気分」 -- 名無しさん (2017-09-18 01:00:27)
• 富豪村に続いて六壁坂もOVA化決定！これ単体が好きなエピソードな上に富豪村のOVAも面白かっただけに期待大だな！ -- 名無しさん (2018-02-26 18:36:33)
• まず、妖怪もやべーけど -- 名無し (2019-08-05 09:09:46)
• あの妖怪、とりつく側がメスだったらそこから産まれた子供は戸籍どうすんだろうと思ったが、そもそも最終的にあの形に落ち着くなら戸籍がない方がむしろ都合がいいのか -- 名無しさん (2019-10-02 01:47:18)
• 妖怪は気持ち悪すぎるし有害なんだが、だから「絶対許せん！人類の尊厳にかけて必ず絶滅させてやるッ！」とかじゃなく「まあ、関係ないか。近づかないでおこう」とシメるところが好き -- 名無しさん (2020-04-08 10:01:12)
• 岩人間もそうだけど、普通の人間の中に外見は人間だけど人間じゃない存在が紛れてる事がジョジョの世界ではけっこうあるみたいだな -- 名無しさん (2020-11-04 10:53:50)
• 今にして思えば、露伴がるろ剣持ってたのは武装錬金でカズキが露伴の大ファンだって設定だったことへのアンサーなのかもね -- 名無しさん (2021-01-13 06:59:24)
• ドラマの例のシーン、画面白黒にして血液を上手いこと誤魔化しててうまかった。ちゃんとシリアスな雰囲気にもあってたし -- 名無しさん (2021-12-30 00:16:04)
• 実写はモノクロ場面もあってどこか市川崑の横溝作品っぽい。 -- 名無しさん (2022-01-17 14:34:59)
• アニメ版では仗助が遊んでいたグラディウス的なやつが出てたな -- 名無しさん (2022-08-25 16:25:00)
• （縁を）繋いで（社会的地位を）消すのが郡平だ -- 名無しさん (2022-10-18 14:38:46)
• 寄生虫の類だな。この妖怪は。特に何の見返りとかも無かったし、ああいう生態?だから、神とも悪魔とも妖怪とも呼ばれず、つい最近まで忘れ去られていたのだろうか -- 名無しさん (2022-12-30 20:37:59)

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