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更新日:2024/01/22 Mon 13:43:05NEW!
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nhk ドラマ 大河ドラマ 歴史 時代劇 戦国時代 幕末 平家物語 忠臣蔵 所要時間30分以上の項目 所要時間60分以上の項目 豪華俳優陣 テレビ テレビ番組 コメント欄ログ化項目 史実を基にした、フィクションや仮説や推測や脚色や噂や伝説を織り交ぜて描かれたドラマ 1920年代以降生まれホイホイ
NHK大河ドラマとは、NHKにて一年間に渡り放映される大型時代劇である。
日曜の夜に45分×50話前後という大枠を取って放映される珍しい大型ドラマ枠である。
概要
連続テレビ小説に遅れること2年、1963年から現在まで50年以上に渡って制作・放映されている。
当初は大型時代劇と呼ばれていたが、二作目以降新聞で「大河ドラマ」の異名が付き一般的に呼ばれるようになった。
NHKも1977年辺りから公式に大河ドラマ呼びになっている。
地上波は日曜20時からNHK総合にて放送されているが、NHKBSでは日曜18時、2019年からはBS4Kでも日曜朝9時からそれぞれ先行放送されている。
また、本放送を見逃しても、翌週の土曜13時からも先週回の再放送を行っている他、
動画配信サービス「NHKプラス」「NHKオンデマンド」でも放送終了後から最新話が配信されている。
また、BSやAbema、CSで時々過去の大河ドラマが再放送されることもある。
長く続いているだけあり視聴率やクオリティに対するハードルは高め。
現在他局のドラマの場合、視聴率は二桁取ることさえ至難だが、大河ドラマの場合10%前半であってもメディアからは「視聴率低迷」と評されることもある。
一方で高評価を得た場合は、キャストやスタッフにとっても大きな実績になりうるチャンスでもある。
キャストの演技は勿論のこと、脚本や劇伴(特にテーマ曲)なども注目され、他作品で実績のある錚々たるキャスト・スタッフが揃うことも多い。
また、舞台となった地域や登場人物ゆかりの地が賑わうこともある。
大河ドラマはあくまでも「史実を基にしたドラマ」なので、架空の人物が物語に絡んできたり、
歴史上無名の人物が物語の主要人物になったりと、史実に必ずしも忠実ではない演出も多い。
というかむしろその脚色と演出こそが「大河ドラマをどう面白くするか」と言う重要な鍵となる。
一方史実に忠実な部分はしばしば「すでにネタバレされてる」等と逆にネタにされることも。
こうして日本における「時代劇」のイメージを定着させ、民放のテレビ時代劇が壊滅状態となった現在では地上波でレギュラー放送される時代劇として貴重な存在となっている。
舞台
舞台となる時代は、概ね戦国・安土桃山時代か幕末が多く、時折源平争乱や忠臣蔵が混ざると言った塩梅。
変わり種で1980年代中頃に放送され、第二次大戦期を描いた「山河燃ゆ」などもある。
舞台となる地域はテーマ、地域、時代、主人公プロフィールなどが偏らないよう日本各地になるため、
各自治体で大河ドラマの誘致活動が行われており、地域によっては「〇〇(歴史上の人物)の大河ドラマ化を願う会」といった誘致団体を設けている例も少なくない。
1年間放送されるため経済効果は莫大なものがあり、舞台となった地域では放送期間中に様々なイベントや大河ドラマに因んだ臨時の展覧会が行われるほか、
近接する交通機関でのラッピング電車・バスの運行や、NHKにおいてもスピンオフのようなドキュメンタリーの放送、場合によっては民放でも特集されることがある。
但しこれらの経済効果もドラマの視聴率やクオリティに左右されるのだが。
出演者
主演俳優は他作品で実績を積んだ人物が起用されることが多く、2000年代後半以降はホリプロ所属俳優が起用される例が多い。
ちなみに主演最多は西田敏行の4作品。
俳優にとっては長いスパンで演技を見てもらえるので飛躍のチャンスであり、脚色と俳優の演技がマッチすれば大いに株を上げることになる。
しかし、一年近くスケジュールを拘束されるため、大河で悪評を被るとしばらく他の仕事がなくなる上に評判だけが加速度的に悪くなるという諸刃の剣でもある。
ナレーションを含めた最多出演者は江守徹の19作、西田敏行の15作、石坂浩二の12作と続く。
西田敏行は先述の通り主演が4作もあるため、「ミスター大河ドラマ」とも称される。
「西田敏行が西田敏行に滅ぼされる」という年表コピペを見たことある人も多いのでは。
その他
予算は他のテレビドラマと比しても潤沢な方ではあるが、大抵は序盤にド派手なロケ撮影を敢行し、終盤は屋外のシーンもスタジオ撮影で済ませる傾向が強い。
このため合戦シーンが終盤に来る場合、だいぶ妥協したクオリティになるか、過去作品からの使い回しと合わせて簡単な内容になることが多い。
エキストラを多数集めて軍装や鎧を着せるのは至難の業だから仕方ないね。
NHK公式サイトの歴代作品一覧表ではNHKのマスコット「どーもくん」が各作品ごとに主人公のコスプレをしており*1、
『源義経』版は牛若丸・『義経』版は武将義経と主役被りがある場合は違うコスをしたり、『春の波濤』等女性主役では女装したり、
『花燃ゆ』だけ和服版と洋装版の2種類いたり、『真田丸』では忍者連れだったり、『新選組!』では拳を口に入れようとしたりと以外に芸が細かい。
なお、2009年から2011年までの3年を掛けて大河ドラマ枠で放送された坂の上の雲に関しては当該項目を参照。
作品リスト
昔は収録用のテープが2インチと呼ばれる貴重品で、再放送に関する著作権制度も確立されていなかったため使いまわすのが常識であり、全話が完全に残されているのは1978年の「黄金の日日」以降となる。
それ以前の作品はNHKに1話程度しか残っておらず、全話の再視聴は絶望的となっている。
一方出演俳優やどこかの旧家や施設が録画していたテープが発見されることもあり、それに望みをかけよう。
また、NHKの番組公開ライブラリーでは現存回や総集編が公開されているが、
2019年現在『山河燃ゆ』・『八代将軍吉宗』・『元禄繚乱』・『八重の桜』の総集編公開はされていない(他は『軍師官兵衛』まで公開済み)。
1963~1969年
※一覧
大型時代劇として始まった時期である。
今となっては鉄板の戦国モノからではなく、幕末モノでしかも井伊直弼主人公という始まりで、戦国ものは三作目からであった。
打ち切りがちらつく時期でもあった。あまり評判が良くない、と後世言われる女性主人公の初出もなんとこの時期である。
花の生涯
放映期間:1963年4月~12月
原作:舟橋聖一「花の生涯」
主人公:井伊直弼(演:二代目尾上松緑)
時代:幕末
脚本:北条誠
記念すべき大河ドラマ第一作。
幕末ものであるが主人公がまさかの井伊直弼。幕末志士の一番の怨敵である彼の人生を、彼と関わった女性たちを絡ませながら描いたという。
特筆すべきところは、松竹の専属俳優であった佐田啓二(『武田信玄』の中井貴一の父)が、映画各社によるTVへの出演禁止などを定めた「五社協定」を破って直弼の腹心長野主膳役で出演したこと*2。
以降映画会社付きのスター俳優が次々とTVドラマに参戦。映画産業の斜陽を加速させる結果となった。
また本作の映画版で松緑の兄八代目松本幸四郎(白鸚)演じる直弼と共演した淡島千景が、映画に続いてメインヒロインで最終回の題ともなった「村山たか」を演じ、
そんな彼女が演じた「たか」の息子「多田帯刀」役を若手時代の田村正和が演じている。
他にも脇役で『刑事コロンボ』の吹き替えで有名な小池朝雄(後に1983年のドラマ『大奥』で井伊直弼役に)や、
後に同じ局の『忍たま乱太郎』レギュラーになった辻村真人・大塚周夫、6年後大河主役を務める石坂浩二等が出演していたという。
現存するのは第1話と第38話の一部(桜田門外の変のシーン)のみ。
ただ原作・史実・サブタイトルを対応させると、最終回は主役死亡後のバッドエンド(主膳は斬首、帯刀は惨殺、たかも過酷な私刑を受け尼となる)だった可能性が高い。
2023年2月には大河ドラマ60周年を記念して、本作が作られる経緯と過程を描いた『大河ドラマが生まれた日』というドラマが放映された。また、同ドラマの放映翌日には最新AI技術を駆使してカラー着色を施した本作の第1話と桜田門外の変のシーンも公開。60年の月日を経てなお、文字通り色褪せない大河ドラマの魅力が発信された。
赤穂浪士
放映期間:1964年
原作:大佛次郎「赤穂浪士」
主人公:大石内蔵助(演:長谷川一夫)
時代:江戸時代前期
脚本:村上元三
通年放送一発目となった大河ドラマ。大河ドラマの異名がついたのもこの作品から。
一年かけて討ち入りに至るまでの苦悩や葛藤を丹念に描き出して大評判となり、
平均視聴率は30%越え、最高視聴率は53%ととんでもない数字を叩き出し名声を確かなものにした。
大河ドラマ名物でもあり、時に主役を食いかねない人気を博する架空の登場人物の系譜も、本作の堀田隼人から始まったといえる。
現存しているのは第7話の一部(松の廊下のシーン)と討ち入りを描いた第47話のみである。
太閤記
放映期間:1965年
原作:吉川英治「新書太閤記」
主人公:豊臣秀吉(演:緒形拳)
時代:戦国~安土桃山時代
脚本:茂木草介
第三作目。今となってはド定番の戦国武将もの初見参となった。
二作品で終わる予定だったが、前作までの大評判を受けて、若手キャスト中心にもう一作、となって作られた。
織田信長を演じた高橋幸治の評判が非常に良く、視聴者から「信長を殺さないで」という投書が多く届き、
その結果、本能寺の変を延期して42話まで持って来るという暴挙に出た程である。
これによって主人公が秀吉なのに見せ場となる天下統一・関白に登り詰め豊臣姓を得る過程が10話もないという事態になってしまい、
秀頼が最終話にいきなり現れる有様だったとか。
現存しているのは42話「本能寺」のみだが、主演の緒形拳が亡くなった時にNHKニュースでその42話に無いシーンが流れたため、断片は多少あるようだ。
またこの作品以降総集編が製作されるようになり、通常回がほとんど現存していない作品でも総集編は残っているパターンもある。(ただし本作の総集編は現存していない)
源義経
放映期間:1966年
原作:村上元三「源義経」(脚本も担当)
主人公:源義経(演:七代目尾上菊之助)
時代:平安時代末期~鎌倉時代前期
脚本:村上元三
第四作目。幕末・忠臣蔵・戦国ときて義経である。当時大河主演最年少の23歳で七代目尾上菊之助が演じた。
更に前作の主演を務めた緒形拳が、武蔵坊弁慶としてそのまま1年間続投するというかなり珍しいパターンとなった。
初回が最高視聴率で平均は23.5%と、前作と比べると振るわなかった。
映像の現存度では1960年代大河としては最多。それでもわずか三話(第1話・第33話・最終話)と総集編のみである。
ちなみに菊之助と静御前役の藤純子(現・富司純子)は本作での共演が縁で結婚に至った。
三姉妹
放映期間:1967年
原作:大佛次郎(氏の著作数本を合体)
主人公:永井家三姉妹(オリジナルキャラクター)
時代:幕末
脚本:鈴木尚之
五作目にして主人公オリキャラという大冒険に出た明治維新100年記念大河。
旗本一家の三姉妹という当事者であるが、維新の中心にいるわけではない市井の人物から見た明治維新を描く。
視聴率自体は平均19.1%と前作にまして振るわなかったが、三女の雪を演じた栗原小巻の人気が爆発したことで有名。
現存するのは第19話のみで、あとは総集編前編の一部が確認されている。
竜馬がゆく
放映期間:1968年
原作:司馬遼太郎「竜馬がゆく」
主人公:坂本龍馬(演:北大路欣也)
時代:幕末
脚本:水木洋子
初の同時代二連発、さらに前作登場キャラ主役昇格という今でも珍しいパターンとなった。
現在となっては様々な媒体で割と人気の坂本龍馬モノだが、この時は視聴率が伸び悩み昭和ワーストの平均14.5%という散々な結果に終わった。
脚本自体も45分に収まらず、早口でせりふを言わざるを得なかったなど製作上にも問題があったらしい。
最後のモノクロ大河ドラマでもある。
アニメ関連では当時俳優メインか俳優・声優兼業の面々が複数登場しており、石田太郎(生涯で14回大河出演)、津嘉山正種(現在まで計11回大河出演)、広川太一郎、
野島昭生、森山周一郎(初大河は『太閤記』、このあと4回大河出演)、「寺田誠」時代の麦人、池田秀一、増岡弘等が出演していた
現存するのは第16話のみ。ただし、NHKのビデオ「想い出の大河ドラマ」にはそれ以外の話の断片と思しきシーンが入っているため、他にも多少残存しているものと思われる。
天と地と
放映期間:1969年
原作:海音寺潮五郎「天と地と」
主人公:上杉謙信(演:石坂浩二)
時代:戦国時代
脚本:中井多喜夫、須藤出穂、杉山義法
概要:初のフルカラー大河ドラマ。上杉謙信と武田信玄の戦いを軸に描く戦国絵巻。
少年期の上杉謙信役の中村光輝の演技が評判を呼び、平均視聴率25%と一気に回復。
最後の大河にするという空気があったが、それを見事にひっくり返したのであった。
現存するのは第2話の一部と、第50話と総集編前編のみ。
なお、武田信玄に仕えた軍師として有名な山本勘助は当時架空の人物と言う説が強く、今作には登場していなかった。
しかしこの作品を見た視聴者の家から「山本『菅』助」と言う名が記された資料が発見され、彼にあたる人物が実在したという説が強まっている。
1970~1979年
※一覧
大河ドラマとして、完全に定着した時期。
伊達騒動を取り上げた作品が登場したり、平清盛をただの悪として描かない作品、
柳沢吉保目線からの忠臣蔵、平将門主役作品などバリエーション豊かな作品が大河ドラマを伝統にしていった。
樅ノ木は残った
放映期間:1970年
原作:山本周五郎「樅ノ木は残った」
主人公:原田甲斐(演:平幹二朗)
時代:江戸時代前期
脚本:茂木草介
主人公は「伊達騒動」の中心人物の一人である原田甲斐。
悪党として描かれることが多かった彼を「藩のために命を賭した忠臣」という従来とは正反対のイメージで描き、
彼と彼の属した仙台藩を中心として、泰平の世に争いを求める人の悲しさを描いた作品。
前作「天と地と」などで地方ロケは多少あったが、本作より本格的に始まり、
大河ドラマの「ご当地ロケ」誘致が地方自治体にとっての狙い目になっていくきっかけとなった。
マイナーで暗く華のない題材だったが、平均視聴率は21%とそこそこの結果であった。
この作品も以前の作品の例に漏れず映像は残っていなかった……のだが、
原田甲斐の居城・船岡城のあった宮城県柴田町の郷土資料館に放送を録画したテープが残っていたことが判明。
29話のみ録画失敗で欠番だが、現在はNHKアーカイブで見ることが出来る。まさに「樅ノ木は残った」は残った
春の坂道
放映期間:1971年
原作:山岡荘八「春の坂道(後に「柳生宗矩」に改題、ドラマ用に書き下ろし)」「徳川家康」
主人公:柳生宗矩(演:初代中村錦之助(後の萬屋錦之介))
時代:安土桃山~江戸時代前期
脚本:杉山義法
初となる大河原作用の描きおろし小説を原作とした作品。
柳生の剣豪、幕府の大名監視員・大目付として生きた柳生宗矩の人生を主君家康・秀忠・家光の歩みと共に描く。
主演の中村(萬屋)錦之介は原作者山岡荘八の指名によく応え、生涯の当たり役として柳生宗矩を手中に収める程の熱演を見せた。
以前は本編どころか総集編の映像すらNHKに無く、幻の大河となっていた。
その事もあり、1984年の『宮本武蔵』(吉川英治原作、本作の脚本を担当した杉山義法が脚本を担当)では本作をイメージしたような描写が多い。
その後モノクロで録画された最終回「かくれんぼ その三」のVTRがNHKに寄贈され、現在では同話のみNHKアーカイブスで視聴が可能となっている。
新・平家物語
放映期間:1972年
原作:吉川英治「新・平家物語」
主人公:平清盛(演:仲代達矢)
時代:平安時代末期
脚本:平岩弓枝
武士の心を忘れ驕れる公家めいた描き方が多かった平清盛を、現実主義者で理知的に描いた作品。
他にも自分の行動で無為な争いを起こしたことを悔いる後白河院など、今までカットされた描写や新しい描写を取り入れる場面が多かった。
大河十作目記念ということで、清盛を演じた仲代達矢以外にも豪華キャスト揃い踏みとなった。
清盛の出自は白河院のご落胤説を取っている。これは40年後の『平清盛』も同様である。
現存するのは第46話・最終話・総集編のみ…とされるが、
後年TBSの番組「テレビ探偵団」に義経役の志垣太郎が出演した際、第35話と思しき五条大橋のシーンが流れたらしい。
大河ドラマの常連俳優の一人である西田敏行の初出演作品でもある。また郷ひろみや古川登志夫はこのドラマで映像デビューした。
国盗り物語
放映期間:1973年
原作:司馬遼太郎「国盗り物語」他
主人公:斎藤道三(演:平幹二朗)、織田信長(演:高橋英樹)、明智光秀(演:近藤正臣)
時代:戦国~安土桃山時代
脚本:大野靖子
国盗り物語を軸に、司馬遼太郎の戦国期の小説を数本合体させて脚色した作品。
美濃を一代で(現在では父と道三の二代で奪ったのが定説だが)盗った斎藤道三、
果断さと合理思考を武器に天下を盗る一歩手前に至った織田信長、その信長から天下を盗り損ねた明智光秀の三人の生きざまを描く。
信長役には藤岡弘、にオファーがあったが、仮面ライダーとの兼ね合いで高橋英樹にお鉢が回ったという経緯がある。
高橋はこの信長役が大当たりしてブレイクし、現在の地位を築き上げた。
ちなみに、藤岡弘、はその後『おんな太閤記』に信長役で出演することとなった。
現存映像は総集編のみとされていたが、浅井長政役の杉良太郎が個人的に録画していた第37話・第38話が2015年になって発見され、NHKに寄贈された。
勝海舟
放映期間:1974年
原作:子母沢寛「勝海舟」
主人公:勝海舟(演:渡哲也→松方弘樹)
時代:幕末
脚本:倉本聰、中沢昭二
「竜馬がゆく」がコケて以来の幕末モノ。制作体制は紆余曲折あったらしい。
まず主演の渡哲也が病に倒れて9話までで降板。松方弘樹にスイッチしたものの制作体制に様々な理由から問題があり、
脚本を務めた倉本聰が降板、松方も制作に怒りを爆発させて「NHKはものを作るところじゃない」と放言するなど内情はぐちゃぐちゃであったという。
ただ視聴率は幕末ものとしてはそれなりに高かったらしい。
前年織田信長役を逃した藤岡弘、が坂本龍馬として出演した。
現存するのは第38話・第39話・第44話・総集編のみだったが、
2016年になって坂本龍馬役だった藤岡弘、により保管されていた11話分の映像が提供された。
元禄太平記
放映期間:1975年
原作:南條範夫「元禄太平記」(描きおろし)
主人公:柳沢吉保(演:石坂浩二)
時代:江戸時代前期
脚本:小野田勇、小幡欣治、土橋成男
大ヒットした「赤穂浪士」以来の忠臣蔵モノ。今作は大石内蔵助ではなく時の将軍綱吉の寵臣柳沢吉保の視点から描く変わり種。
しかしやっぱり柳沢吉保の人気はさっぱりで、人気は大石内蔵助や吉保の甥という設定のオリキャラ・柳沢兵庫に集中したという。
また後に声優兼業となる磯部勉も本作で大河デビューし、現在まで計13回出演している。
大河ドラマでは、吉良邸討入りは四十七士にちなんで「第47話」にすることがほとんどだが、本作では第50話。
ただし、その放送は討入り日と同じ12月14日である。
フルで現存するのは第2話・第3話・第7話・第18話・総集編で、
2019年には清水一学役の三善英史から劣化が激しいものの第1話等計41話分のビデオが提供され、現在保存状態確認が進められている。
ただし、大石内蔵助役の江守徹は自宅で全話録画していると発言していたとも。
また、本作撮影中にはイギリスのエリザベス女王がスタジオ見学に訪れており、その様子は生中継で放送されたほか、見学の様子を収めたVTRも残されている。
風と雲と虹と
放映期間:1976年
原作:海音寺潮五郎「平将門」「海と風と虹と」
主人公:平将門(演:加藤剛)
時代:平安中期
脚本:福田善之
平安中期という大河ドラマ史上最古の時代を描いた作品。
関東で平家の内乱の中で中央への反乱軍の首領に祭り上げられていった平将門と、
ほぼ同時期に西国で反乱を起こした異端の貴族・藤原純友の生きざまを描く。
熱狂的ファン「サユリスト」が今なお存在する清純派女優の頂点・吉永小百合演じるヒロインが酷い目に遭う。
かつては総集編以外は現存しないと考えられていたが、2000年代半ばになって全話分の2インチVTRが発見され、完全版DVD発売に繋がった。
奇しくも大河ドラマ史上最古の時代を描いた作品が、大河ドラマ史上全話現存する最古の作品となった。
花神(かしん)
放映期間:1977年
原作:司馬遼太郎「花神」他
主人公:大村益次郎(演:中村梅之助)
時代:幕末
脚本:大野靖子
日本近代陸軍の父こと大村益次郎を中心に、維新回天を成し遂げた青年たちを描く群像劇。中には龍馬の彼女「お竜」役で島本須美も出演していた。
中村梅之助は「大村益次郎にそっくりだし抜群の演技だ、笑わない大村益次郎も顔をほころばせるだろう」と司馬遼太郎が太鼓判を押す程の名演を見せた。
しかし視聴率は平均19%と決して高いものではなかったが、関係者や専門家の評価は高い。その中には後に大河脚本を3作書く三谷幸喜もいる。
ちなみに群像劇要素を強めるためか、司馬の他作品要素もガンガン入れて制作。
最終回題にはその中から同時期の長州藩題材な『世に棲む日日』が選ばれているここで使い切らなきゃ後々楽だったのに…。
現存するのは第19話・第24話・第39話・総集編のみ。
黄金の日日
放映期間:1978年
原作:城山三郎「黄金の日日」
主人公:呂宋助左衛門(演:六代目市川染五郎(現・二代目松本白鸚))
時代:戦国~安土桃山時代
脚本:市川森一、長坂秀佳
南シナ海を股にかけて活躍した豪商呂宋助左衛門の視点から、市井の人々と自由貿易都市・堺の栄華と落日を描く。
主演の市川染五郎は初代大河主役二代目尾上松緑の甥でもあった。
今回は大河用に脚本家と作家で協議して方向性を決めた上でそれぞれが独立して書くという方式を採用したため、厳密には原作はない。
第二次大戦の事があり、日本人への感情があまり良くなかったフィリピンでロケを敢行するなど大きなスケールで描かれた。
当時の独裁者マルコス大統領の娘が日本に来た時に、大河の撮影現場を見たことが許可につながったらしい。
また、それまで「農民から駆け上がった太陽のような人たらし」だった豊臣秀吉像をある時期までは踏襲しつつ、関白となった後は「権力欲に堕ちた悪党」として、
佞臣扱いをされるなどあまり良い扱いではなかった石田三成を「能力はあるが人当たりがよくないために誤解されやすい善人」として描く、後に定番となった描写もあった。
この作品も全話のデータが揃っている。DVDも発売されており、オンデマンド視聴も可能。
草燃える
放映期間:1979年
原作:永井路子「北条政子」他
主人公:北条政子(演:岩下志麻)、源頼朝(演:石坂浩二)
時代:平安時代末期~鎌倉時代前期
脚本:中島丈博
鎌倉幕府創立~承久の乱までを描く。そのため基本は源頼朝が主人公だが、32話で落馬して頼朝が死ぬと主人公は北条政子にスイッチする。
ちなみに石坂浩二はこれが三回目の大河主演であり、歴代最多タイとなった。
OPこそ明るいが中身は昼ドラチックのドロドロした展開。
特に物語が進むにつれてどんどんどす黒くなる上様松平健演じる北条義時は今でも語り草。
この作品から所謂現代語調の作品が増えて行く。
NHKに現存していたのは総集編のみだったが、ディレクターや一般視聴者が家庭用ビデオで録画した映像が提供され、
現在では全話をNHK番組公開ライブラリーで視聴する事ができる。
ちなみに中田譲治の俳優デビュー作はこの作品。
アニメ関係では他にも子役時代の松野太紀や無名時代の江原正士・千葉繁、小山茉美等が登場している。
1980~1989年
※一覧
英雄ではなく敗者の視点や市井の民の視線に立った大河、近代路線移行&新大型時代劇の立ち上げ、再び時代劇路線への回帰など改革が意識され始めた時期である。
その中で、大河史上屈指の大ヒット作「独眼竜政宗」が生まれ、全盛期を迎えた。
初の単独女性主人公大河も誕生し、この年代では概ね好評であった。
獅子の時代
放映期間:1980年
原作:なし
主人公:平沼銑次(演:菅原文太)、苅谷嘉顕(演:加藤剛)
時代:幕末~明治時代前期
脚本:山田太一
初の原作なし、メインライター山田太一のオリジナル脚本作品となった。
幕末最末期のパリ万国博覧会から始まり、パリで偶然邂逅した架空の会津藩士平沼と薩摩藩士苅谷の目を通じて、維新回天とその現実を敗者と勝者の視点から描く。
従来の英雄譚から、敗者の運命にも踏み込む90年代以降の作品の先駆けとも言える作品。
またOP前の解説が初めて設けられた作品でもある。
初回のアバン部分は現代(放映当時)のパリ駅に志士が降り立つ演出がなされた。
テーマ曲は宇崎竜童によるもの。ダウン・タウン・ブギウギ・バンドとNHK交響楽団によるロックとクラシックを融合させた曲に仕上がった。
アニメ関係ではアニメや特撮で悪役の声を多数務めた青森伸や渡部猛が劇中の方言の監修をしている。
この作品以降の放映データは揃っており、いずれもオンデマンド配信やソフト化がされている。
おんな太閤記
放映期間:1981年
原作:なし
主人公:ねね(演:佐久間良子)
時代:戦国~安土桃山時代
脚本:橋田壽賀子
秀吉の妻、ねね(北政所)の視点から見た戦国時代を描く当時としては変わり種の大河。
橋田壽賀子オリジナル脚本で2年連続原作なしの大河となった。平均視聴率30%超えと人気は非常に高かった。
秀吉が二人きりの時、ねねを「おかか」と呼んだが、これが流行語となるほどであった。
仲睦まじい秀吉と北政所の描写のベースはおそらくこの作品である。また信長が身内には優しさを見せる姿を見せたりしたのもこの作品から。
国盗り物語ではオファーがありながら仮面ライダーとの兼ね合いで出演できなかった藤岡弘、が信長を演じた作品でもある。
峠の群像
放映期間:1982年
原作:堺屋太一「峠の群像」
主人公:大石内蔵助(演:緒形拳)
時代:江戸時代前期
脚本:冨川元文
赤穂浪士の討ち入りを義士の行動としてではなく、
赤穂藩に就職した「サラリーマン」が「会社の倒産」に対してどう対処したか、という視点で見て描いた作品。
主演こそ緒形拳とベテランを起用したが、ジャニーズ系のアイドルなど若いキャストを積極起用したのが特徴の一つ(後に有名になる小林薫・光石研等)
アニヲタ的にも浪士役に磯部勉(堀部安兵衛役)や毒蝮三太夫、伊丹十三演じる吉良の護衛役で寺田農、脇役で森山周一郎や宮内洋等オタク心をそそりそうな面子が揃っていた。
「水戸黄門がんばる」「石野組できるか」「石野組できた」などタイトルがやたらはっちゃけている。
脚本家が当時若手だったため、タイトルに出してみたらしい。
徳川家康
放映期間:1983年
原作:山岡荘八「徳川家康」
主人公:徳川家康(演:滝田栄)
時代:戦国~江戸時代
脚本:小山内美江子
「大河ドラマは翌年以降、近代路線にする」ということが決定していたため、最後の時代劇路線として山岡荘八の名著「徳川家康」を原作とし
300年の太平を作り上げた徳川家康の生涯を丹念に描いた。糞も漏らすよ!
…が、原作の分量がすさまじいため、どうしてもおざなりな扱いとなったキャラも散見された。
例えば数話続けてメイン級に描かれたキャラが突然フェードアウトする…といったことがそこそこあった。
人気小説が原作という事もあり高視聴率を記録。
役所広司はこの作品で信長を演じて一躍スターとなった。
渡辺守綱役を加藤精三が演じており、40年後の「どうする家康」では同じく声優の木村昴が同役を演じる事となった。
山河燃ゆ
放映期間:1984年
原作:山崎豊子「二つの祖国」
主人公:天羽賢二(演:九代目松本幸四郎(現・二代目松本白鸚))・忠一(西田敏行)
時代:昭和
脚本:市川森一、香取俊介
近代路線に舵を切った大河ドラマの第一弾。
架空の人物(原作ではモデルが存在)を主人公に据えつつ、日系二世としてアメリカのコミュニティに生まれた日本人たちが、
太平洋戦争という大きなうねりの中で懊悩し、差別され、銃弾に、原爆に倒れる…。
ルーツの国日本と生まれた国アメリカが憎しみ合い戦う中、二つの祖国を持つ苦しみの中でどう生き抜くかを描く。
放送期間中に存命であった人物が登場した初の大河ドラマでもある(西春彦・鈴木貞一・昭和天皇)。
初めてOPのクレジットが横書きになった作品である。
ただし、次の全話を通して横書きの作品は2006年の「功名が辻」まで出てこない*3。
この年の4月から水曜日に新大型時代劇として、大河の代替となる一年間の時代劇シリーズが始まっている。
この年は前年の大河徳川家康で人気を博した役所広司を主演に据えた「宮本武蔵」(原作:吉川英治)であった。
春の波濤
放映期間:1985年
原作:杉本苑子「冥府回廊」「マダム貞奴」
主人公:川上貞奴(演:松坂慶子)
時代:明治~大正
脚本:中島丈博
日本初の女優川上貞奴の生涯を、明治大正期の風俗とともに描く近代路線第二弾。
しかし川上貞奴というマイナー人物故に人気は伸び悩み、
さらに盗作沙汰で裁判を起こされ、勝訴はしたもののソフト化が長い間されなかったり(2017年にDVD化)など散々な結果となってしまった。
ちなみにチョイ役で「鈴木みえ」時代の一龍斎貞友が出演していた。
この年の新大型時代劇は真田昌幸(演:丹波哲郎)・信之(演:渡瀬恒彦)・幸村(演:草刈正雄)の三人を中心に描いた「真田太平記」(原作:池波正太郎)。
いのち
放映期間:1986年
原作:なし
主人公:岩田未希(演:三田佳子)
時代:昭和
脚本:橋田壽賀子
脚本橋田壽賀子によるオリジナル作品で、昭和時代を生きる女医の人生を放送時付近の時代まで描いたドラマ。
昭和20年から始まり歴代大河で最新の時代を描いたと同時に、歴史上の人物は池田勇人の名前が一回出るだけで終わるという異色作でもある。
農地改革やオイルショックなど、庶民的な意味で戦後の歴史を彩る事件は登場しているも、完全に英雄の視点がないという意味では唯一無二の作品*4。
主人公の師役は後に『渡る世間は鬼ばかり』で岡倉大吉(2代目)役を演じる宇津井健で(泉ピン子や赤木春恵も登場)、主人公の夫を声優としても活動していた伊武雅刀が演じていた。
橋田壽賀子脚本の同時代を描いた1983年の朝の連続テレビ小説『おしん』*5が好評だったことも後押ししたか視聴率は非常に高かったものの、
近代路線は山河燃ゆがデリケートな題材かつ暗かったため不評、春の波濤は盗作沙汰で裁判と割と散々だったため、
翌年以降は時代劇路線に回帰することが決定。近代路線は三作で終焉した。
この年の新大型時代劇は中村吉右衛門主演による「武蔵坊弁慶」(原作:富田常雄)。
翌年の時代劇路線回帰が決定していたため、1986年4月~12月の九ヶ月放送となった。なお石田太郎のみ双方に出演していた。
独眼竜政宗
放映期間:1987年
原作:山岡荘八「伊達政宗」
主人公:伊達政宗(演:渡辺謙)
時代:戦国~江戸時代
脚本:ジェームズ三木
新大型時代劇の好評と「連続テレビ小説の延長が大河でいいのか」という世論に押されて時代劇に回帰した大河の第一弾は、
今でこそ戦国DQN四天王として六本の刀を振り回して馬鹿めが!とか言っちゃうくらいブイブイ言わせているものの、
撮影・放送当時は宮城県のローカル英雄だった伊達政宗が題材であったが、そんな(当時)マイナーな武将を主役とした本作が大ヒット。
伊達政宗の知名度を全国区に押し上げたのはこの作品の人気故と言ってもいいかもしれない。
なんせ平均視聴率39.7%、最高視聴率47.8%というもはや信じ難い数字を叩き出し、平均視聴率では歴代一位に君臨しているのだから。
当時、日曜の夜は政宗を視聴するために街角から人が消えた…という逸話が残されているほどである。
なぜか二回くらいしか出ていない「梵天丸もかくありたい」という台詞ががアホみたいに流行ったのも良い思い出。
人気の証拠としては、当時流行っていたファミコンの歴史SLGソフトとしてナムコから「独眼竜政宗」が発売されている。
信長の野望でさえ全国版でようやく少し登場したくらいで、戦国群雄伝ではカットされた東北限定のSLGが発売されるのだからこの作品の勢いのすさまじさを感じる。
さらにこの作品で陰険な質として描かれた最上義光を擁する山形県からブーイングが来たくらいである。
また、宮城県はこの作品で観光客が激増。ご当地ロケ効果の絶大さを見せつけた。
今では世界の渡辺謙と呼ばれる名優の名声を確かなものにしたのもこの作品である。
もっとも、渡辺自身は長い間政宗の影に悩まされたようだが。
アニヲタ的には二大ジブリ映画の敵役を演じた石田太郎と寺田農の共演、
そして鬼庭左月を討ち取った窪田十郎役で後に次作主人公を演じる大友龍三郎が出演しているのが見どころだろうか。
武田信玄
放映期間:1988年
原作:新田次郎「武田信玄」「武田三代」
主人公:武田信玄(演:中井貴一)
時代:戦国時代
脚本:田向正健
独眼竜政宗の大好評を受けて始まった2年連続の戦国モノ。昭和内で完結する最後の大河となった。
前作の記録的ヒット、肖像画の信玄に全然似てないという批判もあり主演の中井貴一にかかるプレッシャーは半端なものではなかったようだが、
こちらも平均視聴率39.2%という化け物番組として君臨した。
信長の野望シリーズにも大きな影響を与え、暫くの間武田武将のグラフィックは本作の俳優似で作られる、
直近に出た戦国群雄伝ではこの作品の締めのセリフである「今宵はここまでにいたしとうごさいまする」をゲーム終了時に表示するなどしていた。
さらに武田信玄のゲームも多数出たが…まあ、出来はお察しという作品も多かった。
また、小川真由美が演じる八重はオリジナルキャラクターとは思えないほどの活躍(主に腹黒い方向で)をし、
その怪物染みた存在感から視聴者に強烈なインパクトを与えた。(劇中でも物の怪扱いされる回も)
春日局
放映期間:1989年
原作:なし
主人公:春日局(演:大原麗子)
時代:戦国~江戸時代前期
脚本:橋田壽賀子
謀反人と呼ばれる人間の側にずっといながら、徳川家康に徳川家光の乳母として起用され、
後に家光のために作られた女の園・大奥を取り仕切った春日局の生涯を描いた。
様々なトラブルはあったが、山崎の戦いや関ヶ原の戦いを明智側や小早川秀秋側から描くなど一癖あるギミックがあったためか、
三作連続の戦国モノであったことも影響したか、平均視聴率は32.4%と前作から7%近く落としたが十分すぎる数字を挙げた。
1990~1999年
※一覧
バブル崩壊の影響や大ヒット作後という事もあり、改革がより強く意識され半年スパンの大河や3クール大河など
実験的な作品も登場したが、結果に繋がらなかった時期。
その中でも、中盤頃には久々のヒットを飛ばす。
翔ぶが如く
放映期間:1990年
原作:司馬遼太郎「翔ぶが如く」(第二部のみ)他
主人公:西郷隆盛(演:西田敏行)、大久保利通(演:鹿賀丈史)
時代:幕末~明治前期
脚本:小山内美江子
維新までを描いた第一部29話、明治維新後を描いた第二部19話からなる作品。
薩摩藩の巨魁西郷隆盛と大久保利通が日本を列強に滅ぼされぬよう、ひたすらに前に進み続け、その中で袂を分かち対立していく様を描いた。
しかし視聴率でいうと独眼竜政宗からのいい流れを引き継げず、平均視聴率23.2%と大きく落とすこととなった。
また全10巻の作品を実質1クール半にまとめ、しかも群像劇方式から西郷・大久保メインに変更したため、
原作でキーパーソンの一人だった「宮崎八郎」の出番がオリキャラに差し替えられる等原作再現率も低めになっていた。
西郷の介錯をした事で知られる別府晋介役で黒田崇矢(当時は黒田隆哉)が出演している。
太平記
放映期間:1991年
原作:吉川英治「私本太平記」
主人公:足利尊氏(演:真田広之)
時代:鎌倉時代末期~南北朝時代
脚本:池端俊策、仲倉重郎
情勢の複雑さ、難解さからと時の天皇や上皇が政治的に大暴れしたせいで現在に至るまで殆ど無い、南北朝時代にスポットを当てたドラマ。
同じ時代を題材とした、大楠公こと楠木正成が主題の映画やドラマはままあるが、幕末に木像を晒し首にされたり配下の敗走の図をずっと肖像画扱いされてきた足利尊氏が中心なのはほぼオンリーワンといっていい。
鎌倉幕府を裏切り、建武の新政も裏切り、時には北朝すら裏切り弟を毒殺するなど未だによくわからない男として通る尊氏の生涯を描く。
難解な時代を描いたが、役者陣の熱演もあって視聴率は持ち直し、平均視聴率26%と人気は高い方であった。
後藤久美子の北畠顕家は変な性癖をくすぐりに来るし大楠公が関西のオッサンっぽいのが特徴。
若かりし頃の尊氏の父足利貞氏役として高野八誠が出演している他、細川顕氏役で森次晃嗣も出演している。ちなみに音楽担当は『Zガンダム』で知られる三枝成彰。
本作から本編が終わった後に人物や史実にまつわる名所を紹介する「紀行」コーナーが始まった。
信長 KING OF ZIPANGU
放映期間:1992年
原作:なし
主人公:織田信長(演:緒形直人)
時代:戦国~安土桃山時代
脚本:田向正健
これまで同時代人がやたら主役になりながら、自身はダブル主人公の一人としてしか取り上げられなかった織田信長単独主役としては初であり、未だに唯一の大河。
自身も戦国時代についての風聞を(私見バリバリで)記した資料を残した宣教師ルイス・フロイスから見た織田信長の覇業を描く。
そのため、ナレーションでは「聞くところによると~」というように伝聞を強調するフレーズが多用された。
主役の緒形直人が若いため、俳優は若手を中心に起用され、明智光秀役にマイケル富岡が配されたりした。
富岡本人はどうせ宣教師役だろうと思ったところに光秀というバリバリの戦国武将が回ってきて感激したらしい。
オリキャラ・加納随天の異様な存在感が目立つが、林通勝ら尾張の守護代の庶流の頃から仕える家臣、
織田信次など血縁の重臣が重視される描き方になっているドラマはなかなか珍しい。
なおこの作品から「花の乱」まではNHKの子会社であるNHKエンタープライズと合同製作になっている。
琉球の風 DRAGON SPIRIT
放映期間:1993年1月~1993年6月
原作:陳舜臣「琉球の風」
主人公:啓泰(演:東山紀之)
時代:安土桃山~江戸時代
脚本:山田信夫
大河ドラマのスリム化として、放映期間半年への短縮など様々な改革を入れた1993年一発目の大河。
中国歴史小説を得意とする陳舜臣の小説を原作とし、宗主国明の弱体化、西洋人の進出で貿易拠点としての価値が低くなり、
薩摩藩(日本)の膨張を受ける厳しい時代を迎えた琉球王国に生まれた主人公(オリキャラ)が苦難の中で琉球人の誇りを忘れずに生きていく悲哀のドラマ。
主流の歴史観ではあまり顧みられることのなかった琉球王国を主題に据えている。
前作で羽柴秀吉を演じた仲村トオルがやはり羽柴秀吉として登場し、この作品に繋がるようリンクを張るなど連動ギミックを張ったものの
マイナーな題材故か視聴率は振るわなかったが、放送終了後に琉球語吹き替え版が沖縄で放映されたり、1997年には沖縄返還25年ということでNHK総合で再放送された。本放送が終わった大河の再放送が総合で行われるのはめったにないことである。
また、長らく映像ソフト化されなかった作品でもあったが、2023年に同じく半ば封印作状態にあった『武蔵 MUSASHI』と共に「完全版」と「総集編」のDVD化が成された。
キャスト面では『源義経』でゴールインした尾上菊五郎・富司純子夫婦が琉球を治める尚永王夫婦として、その後を継ぐ尚寧王の妻として尾上夫婦の娘寺島しのぶが出演。
アニメ関連ではケイン・コスギ&ショー・コスギ親子や哀川翔、岸谷五朗が出演している。
OPのクレジットは初回は横書きだったが、2話以降は縦書きに戻った。
OPは谷村新司が歌唱。歌謡曲がOPに使われたのはこの作品が唯一。1993年の紅白でも歌われた。
炎立つ(ほむらたつ)
放映期間:1993年7月~1994年3月
原作:高橋克彦「炎立つ」
主人公:藤原経清(演:渡辺謙)、藤原清衡(演:村上弘明)、藤原泰衡(演:渡辺謙)
時代:平安中期~平安末期
脚本:中島丈博
陸奥国に赴任し、俘囚長(朝廷に従うようになった蝦夷の長。つまり朝廷からすると異分子)の安倍頼時と縁を結び、
陸奥国に利権を広げんとした源頼義と戦った奥州藤原氏の祖・藤原経清、
八幡太郎義家を出し抜いて奥州藤原氏の栄華の基礎を作った経清の遺児・藤原清衡、
奥州藤原氏最後の当主として八幡太郎義家の末裔、関東に武家の王国を作り上げた源頼朝と対峙した藤原泰衡の三人の生き様と源氏との戦いを描く。
俘囚、つまり蝦夷(異民族)と朝廷(日本)のぶつかり合いとその悲哀を描いた主流の歴史観ではあまり見えないポイントを突いたシリーズの第二弾。
しかし、原作サイドと脚本サイドで軋轢が起きたり脚本サイドと役者の関係も悪いなど、良い題材にもかかわらずそういうところが目立ってしまった。
視聴率も平均17.7%と、渡辺謙効果もあまりなかったようである。
元スカイライダーな村上弘明演じる清衡の妻役で坂本冬美が、経清の家臣役で稲垣吾郎が出演している。
琉球の風最終話の紀行で首里城の螺鈿細工から奥州中尊寺の螺鈿細工につなげて、本作予告が流れる形でリンクを採用していた。
この作品以降は次作との明確なリンクを張ることはなくなった。
花の乱
放映期間:1994年4月~12月
原作:なし
主人公:日野富子(演:三田佳子)
時代:室町時代~戦国時代
脚本:市川森一
応仁の乱を主な舞台とし、悪女と言われる日野富子の生涯を描く。
しかし、難解な勢力構造や、史実とのズレが多い脚本により、視聴率は当時ワーストの14.1%と振るわなかった。
本作では特に史実との乖離が悪目立ちしていた。そもそも今作の主人公は正確に言うと日野富子ですらなかったりする。
また登場人物はどの面々もかなり腹黒く「善人がいない」と言われるほどのドロドロしたドラマが繰り広げられている。
ただ後の『平清盛』のように「ハマる人はとことんハマる」マニアックな作品のようだ。応仁の乱を取り上げた作品自体が殆ど無い影響もあるか。
この作品も音楽担当は三枝成彰である。
八代将軍吉宗
放映期間:1995年
原作:なし
主人公:徳川吉宗(演:西田敏行)
時代:江戸時代前期~中期
脚本:ジェームズ三木
一年一作に立ち返って初の大河。米将軍とあだ名され享保の改革の成功で中興の祖と言われた徳川吉宗の生涯を
時にはコミカルに、時には権謀術数を交えシリアスにホームドラマ調に描いた。
しかし目立ったのは吉宗より資料から脳性麻痺を患っていたと推定される長男の九代将軍家重を熱演した中村梅雀や
狂言回しとしてメタ視点で語り手を任された近松門左衛門であった。
なお、近松の決め台詞「さればでござる」は「梵天丸もかくありたい」に続いてまた流行語を作ろうと、
脚本のジェームズ三木がなんとかもう一つと狙ったものだが、残念ながら流行語誕生とはならなかった。
暴れん坊将軍ではないので旗本の放蕩息子に化けたりはしないが、町民に変装し城下町に降りようとして家臣に止められたり、
「この顔に見覚えはないか?」と詰め寄ったりパロディ要素がちらほら登場していた。
ホームドラマ路線が受けたか平均視聴率は26.4%と回復。
放送時間は違うが、あっちの吉宗といい勝負を繰り広げた。(あっちの方はマツケンということもあり、西田吉宗より子供受けが良かった。西田敏行は家康か秀忠って感じだし)
それなりの人気にも関わらず長らく総集編しかソフト化されていなかったが、2023年に完全版DVDの発売が決定した。
秀吉
放映期間:1996年
原作:堺屋太一「秀吉 夢を越えた男」「豊臣秀長 ある補佐役の生涯」「鬼と人と 信長と光秀」
主人公:豊臣秀吉(演:竹中直人)
時代:戦国~安土桃山時代
脚本:竹山洋
春日局以来の戦国武将モノ。竹中直人が明るい秀吉を熱演した。
暗い話題が多かった前年の世相を踏まえて明るさやわかりやすさが重視されたため、考証面ではやや不出来ではあったがそれ以上に高評価された。
しかし、話題を呼んだのは渡哲也演じる信長であり、出番が四話増やされたという。またか…
四話引き伸ばしがあったせいかは不明だが、秀吉の負の面の掘り下げがイマイチに終わったのは否めない。
竹中直人も後年のインタビューで「堕ちて行く秀吉を演じたかった」と述べている(後の軍師官兵衛でこの夢が叶った)。
平均視聴率30%越えを達成した最後の大河だが、信長退場後の19話中5話しか30%を越えられず、信長人気で持ったような部分もあったと言える。
とはいえ、決め台詞である「心配ご無用!」は流行したりしたので別に秀吉に魅力がないわけではない。第一話で竹中直人のタマキンが見られる。
毛利元就
放映期間:1997年
原作:永井路子「山霧」
主人公:毛利元就(演:中村橋之助)
時代:戦国時代
脚本:内館牧子
陰険な謀将としての性格が強かった毛利元就を、家族思いの愚痴っぽい悩める男として描いた。家族思いなのは史実通りである。
ちなみに原作の山霧の主人公は元就とその正室で毛利隆元・吉川元春・小早川隆景の母である美伊の方なのだが、彼女の登場から死までしか分量がないため
幼少期や美伊の方死後の話は脚本の内館牧子が付け足している。
基本は受けの良いホームドラマ調だが、元就の時に冷酷な策謀や山陰の梟雄・尼子経久の威圧感など抑えるべきポイントは抑えている。
特に緒方拳演じる尼子経久の存在感は大きく、経久があまり取り上げられることがないのもあるが今でも経久といえばこれという声が多い。
なお、歴史上の毛利元就は手紙魔であり、自筆が数多く残っていたため、題字は毛利元就本人の書いた字が採用された。
音楽を担当したのは渡辺宙明の子息であり、さだまさしのアレンジャーで知られる渡辺俊幸。
徳川慶喜
放映期間:1998年
原作:司馬遼太郎「最後の将軍 徳川慶喜」
主人公:徳川慶喜(演:本木雅弘)
時代:幕末
脚本:田向正健
江戸幕府最後の将軍徳川慶喜の生涯を描く。
しかし原作が中編小説で分量が足りないため、サブ原作として「徳川慶喜公伝」という徳川慶喜研究の基礎資料も起用している。
視聴者から要望も強く、毀誉褒貶激しい才人徳川慶喜に挑むということで話題性はあったが、
本木雅弘の常にポーカーフェイスで冷静に時に謀略を用いる聡明な慶喜は評価を得たものの
オリキャラが多くそれを使いこなし切れていないなど高い評価は得られなかった。
また、明治時代にも色々やっている慶喜なのだが本作は明治を迎えると共に終了した。
アニヲタ的にはモブで山崎和佳奈や折笠富美子が出演し、
岸田今日子やささきいさお、森山周一郎に伊武雅刀、檀臣幸と声優経験のある俳優も複数出演していた。
また『獅子の時代』のパリ万国博覧会映像が流用され、前年度主役中村橋之助の若かりし頃の姿(慶喜の弟役)が使われた。
元禄繚乱
放映期間:1999年
原作:舟橋聖一「新・忠臣蔵」
主人公:大石内蔵助(演:五代目中村勘九郎)
時代:江戸時代前期
脚本:中島丈博
1900年代最後を飾ったのは忠臣蔵。『元禄太平記』で大石主税役だった勘九郎が主税の父内蔵助として主演し(主税役は実の息子中村七之助)、
吉良役はその『元禄太平記』での主人公柳沢吉保役だった石坂浩二。
箍の緩みきってしまった将軍家への批判を目論む大石内蔵助、
吉良の息子が治める米沢藩上杉家の取り潰しも狙う側用人柳沢吉保、
米沢藩の取り潰しを防がんとする家老色部又四郎の暗闘を描く。
……はずだったのだが、視点が散って散漫な印象になったり、脚本家と主演の中村勘九郎が大喧嘩したり、
勘九郎の友人である明石家さんま(リアルでの元嫁大竹しのぶは内蔵助の正妻役)がゲスト出演したがほぼワンシーンまでにカットされるなどあんまりいい話題がなかった。
とはいえ今まで赤穂浪士側を善、吉良側を悪としがちだった忠臣蔵物を、三勢力それぞれの思惑での戦いにしたことで、平等な視点で描かれているところは評価に値する。
また浪士側で今井翼・吉良の養子(実の孫)役で滝沢秀明が登場して討ち入り時一コマだけタッキーVS翼シーンになったり、
最終回エピローグでは晩年「十八代目中村勘三郎」となった勘九郎が江戸時代の「五代目中村勘三郎」として登場するという中の人ネタが描かれた。
かつて謙信役だった石坂が「上杉景勝の曾孫の父親役」なのもあるいは中の人ネタといえるかもしれない。
ちなみに浅野内匠頭役の東山紀之(以前にも浅野役の経験あり)は「大石に関する感情は愛情に近い感じで頼む」(意訳)、
徳川綱吉役の萩原健一(正室役が涼風真世)は「柳沢とはいちゃついているような感じで頼む」(意訳)*6
…とそれぞれ演出陣から依頼されたことを自伝で明かしている。なにこの裏設定。
2000~2009年
※一覧
この頃から娯楽の多様化や、妙なハードルに悩まされて視聴率獲得に苦労するようになっていく。
ホームドラマ路線の強調や反戦主義的傾向の導入など、現代人に分かり易い方向性に持って行こうとして逆に歴史好きの反発を食らう…というパターンが確立してしまったのもこの時期。
しかし、分かり易さとのバランスを何とかできれば「篤姫」のようなヒット作になる事も示された。
葵 徳川三代
放映期間:2000年
原作:なし
主人公:徳川家康(演:津川雅彦)、徳川秀忠(演:西田敏行)、徳川家光(演:尾上辰之助(現・尾上松緑))
時代:安土桃山時代~江戸時代前期
脚本:ジェームズ三木
徳川幕府創立から、確立した全国政権に進化していく姿を徳川家康・秀忠・家光の三人の征夷大将軍を通して描く。
語り部に徳川光圀(演:中村梅雀)を起用し、メタっぽい事も話させる八代将軍吉宗方式を再登板させている。
なぜか助さん格さん(のモデル)の演者が『うる星やつら』のサクラ先生こと鷲尾真知子ら女優2人だったが。
視聴率はそこまで上がらなかったが、安定感のある作風と重鎮勢揃い(全体的に老けすぎという難点でもあるが)のキャスティングは安定した評価を集めており、
この作品の後からは出演者の年齢層が比較的若い傾向になることから「最後の大河ドラマ」と評されることもある。
資金を投じて関ヶ原の戦いの合戦シーンをクオリティ高く作り上げたため、この後の大河やNHKの歴史番組に何度も何度も合戦の映像として登板することになった。
家康役の津川雅彦は、実際の家康の癖であったという爪を噛む癖を過剰にして、噛んだ爪を懐紙の上に吐き出すというシーンを繰り返したが、
「食事の時間なのに気分が悪い」と苦情が続出し、演じた津川は「行儀を言うなら、テレビを見ながらの食事をやめたらどうだ」と反論したものの、
NHKは苦情を考慮し、吐き出す音を消すようにし、その後吐き出すシーン自体を無くしたという一幕もあった。
後に光圀の解説でそれを皮肉ったようなシーンがある。
また家光役の尾上辰之助は、「花の生涯」で主役を務めた二代目尾上松緑の孫である。
アニヲタ的注目ポイントはサンホラなどでお馴染みの黒沢ともよが家康の五女・市姫役として出演しているところだろうか。当時3歳である。
このことは家康を演じた津川にも覚えられていたらしく、後に再会した時に彼から声をかけられたらしい。
また、後にけものフレンズでつとに知られるようになる尾崎由香も、秀忠の五女・和姫役として出演している。
他にも、ささきいさお、磯部勉、てらそままさき、菅生隆之、土師孝也といった声優を兼業している俳優が多く出演している。
北条時宗
放映期間:2001年
原作:高橋克彦「時宗」
主人公:北条時宗(演:和泉元彌)
時代:鎌倉時代中期~後期
脚本:井上由美子
21世紀一発目の大河は、元寇という明治維新以前唯一の侵略を受けた事件を通して当時の世界での日本や元を描くという気宇壮大な作品となった。
炎立つ同様、原作が並行で執筆されるパターンである。今回は幸いにも特に何も起こらなかった。
クビライ・ハーンをただの悪役としてでなく、大元内で兄弟の骨肉の争いを経てハーンとして即位し、なおも権力をめぐっての暗闘に悩むなど、
北条得宗家の当主として庶兄時輔を殺し、名越流やら極楽寺流、お飾り将軍の宗尊親王と激しく争う時宗と対になる存在として描かれている。
「時宗が夢の中で未だ見ぬ大陸を思い浮かべている」というのをコンセプトにCGで作られたオープニングは大河ドラマ屈指のスケールを誇り、その音楽、映像からモンゴル帝国の壮大さを実感させる。
毛利氏が相模から安芸に行くきっかけとなった宝治合戦や二月騒動、前述の通りの元寇が描かれた珍しいエンタメであったのだが
「メジャーな題材じゃないと評判が上がりにくい法則」はこの作品にも適用されてしまい、
- 何故か生きていた兄時輔が赤マフラーの変なヤツとして大元側で登場する、
- 北条同士で争いすぎ
- 将軍の補佐たる執権なのに将軍より出張って宗尊親王と対決する図がわかりにくいなど陰鬱な感じがあったこと
などが祟ったか視聴率は伸び悩んだ。更に和泉元彌の度重なるやらかしもしくは空中元彌チョップなんかのせいか20年以上に渡り総集編しかソフト化されていなかったが、2023年にようやく完全版DVDの発売が決定した。
子役時代の内山昂輝がチョイ役で出ている。
利家とまつ~加賀百万石物語~
放映期間:2002年
原作:竹山洋「利家とまつ」
主人公:前田利家(演:唐沢寿明)、まつ(演:松嶋菜々子)
時代:戦国時代~江戸時代前期
脚本:竹山洋
「戦国最強のホームドラマ」と銘打って始まった、W主人公の大河。
加賀藩百万石の基礎を作った「槍の又左」前田利家と、利家を支えた妻のまつの姿を描く。
しかし、例によって一番の話題となったのは織田信長であった。なんなんだアンタ…。
信長演じる反町隆史が松嶋菜々子と婚約中で、本能寺の変で退場した後に結婚したことも話題をさらった。
トレンディドラマみたいなキャストということで大御所キャスト好きからは軽さについてとやかく言われる事もあったが、戦国モノ故か人気は2000年代では高い方であった。
利家を演じる唐沢寿明も無名時代に特撮のアクションを経験しているため、「槍の又左」にぴったりなキャスティングである。
特徴的な台詞回しが印象的で、反町信長の「で、あるか」という口癖は後の創作に大きく影響を与えた。
まつの口癖である「わたくしにお任せくださいませ」も流行語となり、某BASARAなまつにも受け継がれた。
武蔵 MUSASHI
放映期間:2003年
原作:吉川英治「宮本武蔵」
主人公:宮本武蔵(演:市川新之助(現・市川團十郎))
時代:安土桃山時代~江戸時代前期
脚本:鎌田敏夫
問題作。
伝説の剣豪・宮本武蔵の生涯を描く……とはいうものの、原作小説は巌流島の戦いで終わっているため、後半は完全なオリ展開。
武蔵がキリシタンの村を作って大坂の陣を舞台に柳生宗矩へと立ち向かうという史実も既存の武蔵伝説も無視した内容に、あまり良くなかった視聴率は第39話から最終回第49話まで大きく低迷した。
さらに戦国時代の下流層出の武蔵を描くにはレイプ示唆とか慰み者とか大坂夏の陣後の雑兵による暴虐云々は必要な場面ではあるが、夜8時にやれるような時代ではなくなっていたことで苦情殺到。なお、30年前の『風と雲と虹と』では吉永小百合演じるヒロインが犠牲になったがそちらは特段何も言われなかった
さらにさらに主役の市川新之助が隠し子騒動を起こしたりキャストの不祥事が頻発、制作も藤田まことを激怒させNHKボイコットに発展させてしまい、
原作小説で武蔵を精神的に成長させた吉野太夫が単なる花魁扱いな事に抗議されて以後NHKで嶋原が一切特集させてもらえなくなり
おまけに本作第一話の描写が「七人の侍」と似ている*7として著作権絡みの訴訟を起こされたるなど全てにおいて散々。
一応訴訟はNHK側の勝訴ではあるものの、裁判所からも「『武蔵』には『七人の侍』のような高邁な人間的テーマや高い芸術的要素はうかがえない」と言われるほど。
同じ吉川英治作品原作の『バガボンド』や1984年の『宮本武蔵』を見たほうがいいと言われてしまうくらいの代物となった。
2014年にテレビ朝日で放送された木村拓哉の『宮本武蔵』は2時間の二夜連続放送で原作小説をザッと一通り見せてくれるので、最近ならこれがお手軽。
2019年12月から番組公開ライブラリーで公開されている総集編しか見ることが出来なかったが、2023年になり遂に完全版ソフトの発売が決定した。
若き日の本位田又八役で内山眞人が出演している。
音楽を担当したのはマカロニ・ウェスタン作品の音楽を多数手がけたイタリアのエンニオ・モリコーネ。
初めて外国人が劇伴を担当した。
新選組!
放映期間:2004年
原作:なし
主人公:近藤勇(演:香取慎吾)
時代:幕末
脚本:三谷幸喜
前年度の散々な結果により、その再建を託されたのは古畑任三郎などでお馴染みの脚本家三谷幸喜。
花神を大いに評価しており、実は歴史大好きな氏を起用した大河の不人気枠・幕末モノである。
新選組モノの決定版を目指すという意気込みで近藤勇の人生を瑞々しく描いた意欲作。
視聴率自体は幕末モノという事や、維新志士と多摩の田舎者近藤が知り合いだったりする脚本故か伸び悩んだものの*8、
後に大河主役となる堺雅人や中村勘太郎(後の勘九郎)ら比較的若手の俳優を抜擢したキャスティング、
池田屋も史実に近い造りで描くなど史実研究もしっかり盛り込んだ脚本などで若い世代には人気を博した。
レギュラー出演者の多くは当時知名度イマイチな顔ぶればかりであったが、10年後は一定の知名度を誇る実力派揃いである。
アニヲタ的にはオダギリジョーや照英、後に実写映画版夜神月になる藤原竜也やリュークの声になる中村獅童等がレギュラーとなり、
サブで三谷作品の常連であるアンパンマンの戸田恵子も出演した上、他のキャストも特撮・アニメ・劇団関係者が多め。
近藤の処刑までが本編だったので、土方歳三の転戦が描かれず続編希望が殺到し、2006年正月のスペシャルドラマとして箱館戦争を描く続編が作られ(但し本編とは榎本武揚役が異なっている)、
ソフト化された当作品は大河史上屈指の売上を記録。ある意味で2000年代らしいヒットとなった大河となった。
なお、土方歳三役の山本耕史は2015年に放送された連続テレビ小説「あさが来た」でも同じ土方役を演じており、「新撰組!」と同じカツラと衣装で出演した。
本Wikiにも項目が立っている。
義経
放映期間:2005年
原作:宮尾登美子「宮尾本 平家物語」「義経」
主人公:源義経(演:滝沢秀明)
時代:平安末期
脚本:金子成人
1966年以来となる義経主人公による源平争乱モノ。
清盛を親として育ったが、後に自身の出生を知り、兄頼朝と共に義父清盛率いる平家と戦う義経の栄光と最期を描く。
しかし清盛ら平家の側の描写が掘り下げられた結果、肝心の義経の本当の家族である源氏側が軽くなってしまった感はあった。
メイン演出家の黛りんたろう独自の花びらが散ったり金粉が舞ったり、義経が死んだ時に光の柱が出たりする演出も賛否両論となった。ギャグに見えないこともないような……。
しかし義経たち一党が自分たちの夢の為に奔走し、破れ、逃亡生活の中で故郷である平泉を望むも追手が差し向けられ……という展開はドラマチックで、視聴率自体は前年度より向上した。
功名が辻
放映期間:2006年
原作:司馬遼太郎「功名が辻」
主人公:千代(演:仲間由紀恵)、山内一豊(演:上川隆也)
時代:戦国時代~江戸時代前期
脚本:大石静
利家とまつ以来の戦国武将モノ。微妙なポジションだった山内一豊を支え、時に知恵で大いに出世に貢献した千代の人生を描く。
今作は心情描写に重点が置かれ、本能寺の変が15分、山崎の戦いに至ってはアバンで終了し、周辺の人物の心情描写に割かれている。合戦シーンを作る金の話はしてはいけない(戒め)
原作では戦国時代の女性として生きる強かなタイプでそんな描写はなかったのに戦嫌いの平和主義者になった千代はどうかという場面もあったが
視聴率は義経より上がり、国民的歴史小説家なのに大河では周りより視聴率が落ち込む司馬遼太郎作品としては珍しい成功作と言える。
ちなみに一領具足虐殺の件は一豊の決断からオリキャラ家臣の進言に差し替わっている。汚いなさすが山内きたないカットしないだけまだマシか。
なお4年後制作された『龍馬伝』にて、オリキャラ家臣役の香川照之が岩崎弥太郎になり、山内一豊だった上川が中岡慎太郎役を演じることになる。
西田敏行と中村梅雀の親子役(家康と秀忠)、唐沢寿明演じる前田利家、寧々を「おかか」と呼ぶ秀吉など過去作のオマージュ要素が強いのも特徴。
また、一豊の半生を絵巻風アニメで描くOPの評価がとても高い。ラストの高知城を見上げるカットで挿入される
ロンドンブーツ1号2号が顔を見せていたり安田顕が宇喜多秀家役で出演していたりしたが、何より信長・秀吉・家康役の大御所(舘ひろし・柄本明・西田敏行)の名前が圧巻。
ちなみに今回の本能寺の変における信長は西部警察よろしく種子島ぶっ放してました。
オープニングのクレジットは『琉球の風』の第1話以来13年ぶりに横書きが採用された*9。
風林火山
放映期間:2007年
原作:井上靖「風林火山」
主人公:山本勘助(演:内野聖陽)
時代:戦国時代
脚本:大森寿美男
武田晴信(信玄)の軍師として仕えたとされる人物・山本勘助の人生を描く。
なお、勘助は実在が疑問視されていたが、現在はそれに当たる人物の存在を示す資料が見つかっている(「口先ばかりの無能な人物だった」と書かれているが)。軍師かどうか*10まではわからないがとりあえず武田の重臣ではあるらしい。
今川家の軍師太原雪斎、上杉謙信の謀臣宇佐美定満や北条家最盛期を作り上げた北条氏康らも登場。
晴信がカピバラっぽいとか上杉謙信(本作では長尾景虎か上杉政虎の名乗り)が一人だけ耽美なミュージカルから出てきたような感じだったりと、
重厚さとキャッチーさをうまく配分したキャストと脚本で戦国ファンの人気を博した。
さすがにGACKTの上杉謙信はだいぶ評価が分かれたが、紅白にもお屋形様ルックで登場したし、
上杉まつりにも何度も謙信役で招かれるなど、よい反響も大きかった。
視聴率は功名が辻より下がってしまった。シエとかが生まれたのはそのせいなのだろうか…
しかし人気の高さから当初の予定より1話延長されるという嬉しい事態も起きている。
何故かネット界隈ではOPに妙な歌詞をつけるのが流行っていた。
\コッペパーン ジャム塗ったら あーんぱーん/
OPのクレジットは2年連続で横書き。
篤姫
放映期間:2008年
原作:宮尾登美子「天璋院篤姫」
主人公:篤姫(演:宮崎あおい)
時代:幕末~明治前期
脚本:田渕久美子
江戸幕府13代将軍徳川家定の御台所(正室)として嫁いだ篤姫が、激動の幕末をいかに生き抜いたかを描く。
2003年版のフジテレビドラマ『大奥』が流行ったからって安直……と言われたが、
今までの幕末モノで影の薄かった薩摩藩重臣・小松帯刀をメインキャラに据えるなど意外性もあり
旬の俳優をキャスティングしたことも相まって女性層からの支持を獲得。幕末モノにも関わらず大いに人気を博し直近10年では最高の平均視聴率を誇る。
「女性大河は滑りやすい法則」に一石を投じたが、後があんまり続いてくれなかった…
この作品に罪は無いとはいえ、NHKが篤姫の二匹目のドジョウを狙いに行った結果に江や花燃ゆが生まれたとの声も。
島津久光の母役で涼風真世、橋本左内役で後に黄金騎士になる中山麻聖が出演している。
天地人
放映期間:2009年
原作:火坂雅志「天地人」
主人公:直江兼続(演:妻夫木聡)
時代:戦国~江戸時代前期
脚本:小松江里子
上杉景勝の股肱として仕えた直江兼続を主人公に据えた大河で、初の関ヶ原負け組が主人公となった。
……が、直江兼続といえばというイメージと本作の兼続は大いに乖離しており、否定的な意見が多数であった。
主演である妻夫木聡は演じるにあたってブラックな面も含め兼続の人物像をしっかり調べて臨んだが製作はあくまで「義理に厚い愛の武将兼続」を描くことに拘った。
有名人からの兼続上げが多すぎて辟易するという意見も多かった。
上杉謙信が認めてたとかはそこまで理解できなくもないが、さすがに直江状からずっと反徳川を貫いたら家康が評価して秀忠も慕ったという展開は意味がわからない方が多いだろう。
登場人物も首をひねりたくなるような人選で、特に兼続が主役でありながらライバルである新発田重家や藤田信吉や最上義光が直接登場さえしなかったのは語り草。
御館の乱が描かれているにも関わらず前々作の風林火山には普通に出てるのに上杉憲政も登場しない。
更に原作小説には出ている前田慶次も何故かこちらでは登場することはなかった。
兼続のブラックな面に関連する人物や出来事の描写が不自然なほど極力排除された結果、上杉家を舞台にした必要性がほぼ皆無という皮肉な作風になってしまった。
作品の評判自体はともかく、前年度の篤姫が好評だったことや、主演の妻夫木聡人気もあってか年間平均視聴率は20%を超えるなど好調だった。(20%超えは今作が今のところ最後)
石田三成役の小栗旬は過去に「秀吉」で子供時代の三成を演じたことがあり、アバンの解説コーナーでは三成の子供時代のワンシーンで子役時代の小栗旬演じる石田三成が1カット登場した。
須賀貴匡が宇喜多秀家役で出演している。
大島ミチルが劇伴を担当した。女性の劇伴担当は初となる。
また、OPのクレジットは2年ぶりに横書きが採用された。
2009年~2011年は12月にスペシャルドラマ「坂の上の雲」が放送されたため、いつもより回数が少なくなっている。
2010~2019年
※一覧
前の十年と傾向は同じだが、NHKの迷走が激しくなってきた。
平均視聴率で「花の乱」以下の作品が五作も登場する程であり、以前は頻繁にあった20%以上の数字が出ることも大げさではなく極めて稀になり、それまで殆どなかった一桁の回も頻発するようになった*11。
しかし低視聴率の作品に対する全体的な評価は『「花の乱」同様に好きな人は徹底的に好きだけど万人受けはしない、むしろ嫌われる』または『単純な出来の悪さや賛否両論で左右にぶん殴る』という傾向に分かれていた。
ただし2010年代中盤以降はその骨太な出来、意外な展開、そして魅力的なキャラクターから高視聴率を記録したり、SNSで高評価を得ている作品も現れており、視聴率だけが総合評価ではない事を印象付けた。
最も、従来から土曜日の再放送やBSプレミアムなどでの先行放送があることに加え、近年の録画機器の普及や有料動画配信サービスのNHKオンデマンドの存在により、
視聴スタイルが激変したことで従来の視聴率だけでは成り立たなくなったことも忘れてはならない。
また、「いだてん」からはBS4K放送がスタートし、地上波やBSプレミアムよりも最も早い日曜午前9時から放送されている。
なお、大河ドラマ枠での放送ではないが2016年から2018年までは3シーズンに分けて大河ファンタジー「精霊の守り人」が放送されている他、
2017年2月には大河ドラマを公式が盛大にパロった深夜ドラマ「空想大河ドラマ 小田信夫」が放送された。
龍馬伝
放映期間:2010年
原作:なし
主人公:坂本龍馬(演:福山雅治)
時代:幕末
脚本:福田靖
1968年以来となる坂本龍馬モノ。坂本龍馬が拠点をおいた長崎出身の福山雅治が坂本龍馬役を演じた。
維新回天が成った後、三菱財閥の領袖にのし上がった土佐出身の岩崎弥太郎から語られる龍馬の話という形を取っている。
ちなみに記者が取材に来たのは「維新の影で活躍した土佐藩の人物がいるそうですが?」という理由。
坂本龍馬が維新後すぐはマイナー人物だったという史実から来ている。
篤姫で人気を博した幕末モノだったが、幕末モノは伸びない法則が適用され天地人より視聴率は落ちた。一応、前回の坂本龍馬主役の大河竜馬がゆくからは4%くらい上げている。
本作の1年前に放映されたドラマ版『JIN-仁-』に登場する、内野聖陽が演じた坂本龍馬の評判が非常によかった為、そちらと比較されてしまったのも一因だろう。
なお、最終回、近江屋事件の龍馬暗殺シーンで愛媛県知事選挙の当確速報テロップが出たため、苦情が殺到する事態にも発展した。
TEAM NACSのメンバーが演じた役柄がやたら不憫なのは気のせいだろうか……*12
チーフ監督を務めたのは大友啓史。後に監督を務めた実写映画『るろうに剣心』シリーズでも本作のキャストの何名かが出演している。
OPのクレジットは2年連続で横書き。
江~姫たちの戦国~
放映期間:2011年
原作:田渕久美子「江 姫たちの戦国(書き下ろし)」
主人公:江(演:上野樹里)
時代:戦国時代~江戸時代前期
脚本:田渕久美子
通称:シエ。あるいは「スイーツ大河」など。
浅井家の三姉妹の人生は散々ドラマ化されるだけのドラマチックなものであって題材は悪く無いうえ、
「篤姫」を成功させた田淵久美子脚本なのにどうしてこうなった……という出来。
(史実では燃えていない)小谷城が炎上する*13、信長が死の間際に江の幻を見る、その信長の亡霊が江の危機を(物理的に)救う、
本能寺の変後の明智光秀に会いに行って説教する、清洲会議を盗み聞きする、近江・大坂・江戸を簡単に行き来する、
徳川秀忠が大坂の陣直前に一人で大坂城に乗り込んで秀頼・淀殿と直談判しようとする、
文禄の役で豊臣秀勝(江の2番目の夫)が朝鮮の民衆を庇って家臣に斬られ現地の子供と交流して非戦思想を持つ…などなど、
史実における有名人物・事件に(本来関わっていない)江を無理矢理*14絡ませようとする姿勢や、
そのくせ史実と全く乖離している上に当時の思想や風習も丸無視した展開、
さらには「光るものを持っている」などのふわっとした理由で江をやたらと持ち上げる(史実の有名人を含む)周辺人物等、ツッコミどころを挙げていけばキリがない。
9歳の姫様が神君伊賀越えに参加して無事生還できるわけねぇだろ! いいかげんにしろ!
三姉妹の子役時代がほぼ無い(江6歳時点で既に上野樹里(当時24歳))のもどういうことだったのだろうか。
ただ、戦国ものでもスルーされがちな朝鮮出兵を時間を割いて描写したことだけは評価できるという声も。
東日本大震災による放送休止の影響か、予定より話数が1話削減された。
また、慶長伏見地震と思しき描写は、単なる伏見の徳川屋敷の火事(原因は侍女の失火)として扱われている。
男性陣(信長・光秀・秀吉・家康・浅井・秀次あたり)の評価は高く、「こっちが主演の大河で良かったんじゃね?」という声もちらほら。
幕末モノで数字が出ないと言われる龍馬伝を平均視聴率で下回ったのも宜なるかな。17話までは20%以上の回もあったが、それ以降は一度も20%以上を記録できずに終わった。
当作品終了以降、今日に至るまで視聴率が関東地方で20%以上の回は何とたったの3回しかない。*15
2011年の大河は坂の上の雲第三部という意見もないことはない。
平清盛
放映期間:2012年
原作:なし
主人公:平清盛(演:松山ケンイチ)
時代:平安末期
脚本:藤本有紀
7年ぶりとなる平安末期・源平争乱モノ。脚本は『ちりとてちん』やドラマ版『Q.E.D. 証明終了』を手掛けた藤本有紀。
今回は時代を反映したセットを作り、しっかり平安末期を描こうとした…のだが、
セットが結果としてみすぼらしくなってしまい、当時の兵庫県知事から的外れな批判を受けたり(対照的に神戸市長はフォローするような発言をしていた)、
皇室(あるいは皇族)を研究家内でも賛否ある「王家」呼びして要らん問題を引き寄せたりと、周辺が囂しかった。下手に触れるとこうなるため、南北朝時代など時の天皇や上皇がハッスルした時代はやりにくいのである。
さらに中盤でオリンピック中継が入って潰れる、夜8時に濡れ場的描写などマイナスも多く、視聴率は伸び悩み花の乱すら下回るワースト記録を達成してしまった。
後に並ぶ作品が出てくるが、回ごとの最低視聴率ではワースト2位。39~42話にかけては全て一桁、源氏が決起する45回に至っては7.3%と2012年時点での史上最低記録を出してしまった。
しかし、批判を受けても史実重視で作ったセットのこだわりなど見るべき面はあり、むしろシンプルなキャラが少ないレベルというエキセントリックな登場人物たちや幻想的な演出、
男同士の濡れ場を示唆するようなシーンなども一部で受け、2012年Twitterでもっとも話題となったドラマになった。
実写映画版デスノートのL役の松山ケンイチと、後に連続ドラマ版デスノートで夜神月を演じた窪田正孝が清盛・重盛の親子役で出演している。
同人方面も盛り上がり、本Wikiにも項目が立っている。
良くも悪くも見る人を選ぶもののクオリティは決して低く無い作品のため、興味のある人は一見の価値あり。
八重の桜
放映期間:2013年
原作:なし
主人公:新島八重(演:綾瀬はるか)
時代:幕末~明治中期
脚本:山本むつみ、吉澤智子、三浦有為子
2011年の東日本大震災を受けて急遽福島出身の新島八重を主人公に据えた企画を立ち上げて作った大河である。
幕末、逆賊となってしまった会津藩で官軍にスペンサー銃をぶっ放して戦い、
維新回天後は新島襄の妻として夫の夢である同志社大学設立に奔走し、日清戦争で看護婦として活躍した新島八重の人生を描く。
当初は朝ドラでやれと言う下馬評もあったが、蓋を開けてみてば安心の大河クオリティ。
八重がスペンサー銃を構えてぶっ放すシーンは非常にかっこいい。
綾瀬はるかのそれまでのイメージをひっくり返す当たり役と評する人も多く、本人も非常に印象に残っているらしい。
他にも、松平容保役の綾野剛の本人が乗り移ったと言われるほどの役への入れ込み様や、胡散臭さ満点の徳川慶喜役の小泉孝太郎等、若手男性陣のハマりっぷりも見どころ。
「西郷」繋がりで会津藩の重役西郷頼母(維新時38歳)を福島県出身の西田敏行(『翔ぶが如く』版西郷隆盛、当時66歳)が演じるという小ネタもあったりした。
ただし明治期以降は駆け足気味の描写となり、会津藩関係者も殆ど出なくなり、例によって低予算のシーンが増えたため、悪い意味でも大河クオリティだった。
それでも藩閥政治とその問題点、明治期のキリスト教史など、同時代を舞台にした他作品ではあまり触れられない要素を真正面から描いているため、
後半も明治期を描いたドラマとしては良作という声も。
あと腕相撲の回は腹筋崩壊もの。
後半やや落ち込んだものの、視聴率は前作より回復した。とは言え花の乱から少し上げただけとすこし寂しい結果となった。
また、タイムスクープハンターとタイアップしたり漫画雑誌『ジャンプSQ.』等でコミカライズが行われるという一風変わったプロモーションが展開された。
軍師官兵衛
放映期間:2014年
原作:なし
主人公:黒田官兵衛(演:岡田准一)
時代:戦国~安土桃山時代
脚本:前川洋一
秀吉の軍師として知られ、後半生は秀吉も恐れたとされる怜悧な智謀の士・黒田官兵衛の人生を描く。
前半戦は戦は嫌じゃあ!とかそんなことを言っていたが、有岡城幽閉を経て脚を痛めてからは人が変わったように悪い顔して悪辣な策を囁く暗黒軍師と化し、視聴者をびっくりさせた。
なんでも岡田准一と竹中直人が人物像について製作に意見した結果だとか。
それでも近年の戦国大河の主人公と同じく、基本的に「戦のない世を作る」のが最終目標。
なのに最終回でヒャッハーしたのは謎展開なのだが……史実最後の九州切り取り大暴れと、作中思想の折り合いが付かなかった結果であろう。
終盤の非常に悪い笑顔で活躍する官兵衛は必見。
竹中直人を秀吉として再登板させるなど話題作りに腐心したが、前作は越えたが視聴率は伸びきらなかった。
晩年の黒い秀吉を積極的に描こうとしていた割には秀次事件や朝鮮出兵は終盤が低予算化する関係もあってなおざりに触れる程度と、やや中途半端だった感は否めない。
しかし関西圏や北部九州といった官兵衛の「お膝元」ではかなり高い視聴率となっており、地域性が出る結果になった。
劇伴はジョジョの奇妙な冒険などでおなじみ菅野祐悟。
黒田長政役の松坂桃李他、特撮出身のキャストが多数出演している。また小河良利役で出演するはずだった石田太郎(80年代版ウルトラの父)が撮影前に急逝したため、代役として磯部勉(魔導騎士ウルザード)が登板している。
無双シリーズの『戦国無双4』ではコラボ衣装やエディットパーツが配信された。
因みに主演の岡田准一氏は歴史が好きで、黒田官兵衛の有名な台詞である「ご運が開けましたぞ」を言えて嬉しかったらしい。
OPクレジットは4年ぶりの横書きだが、次の横書きの作品は2023年の『どうする家康』まで出てこない。
語り手は当初は藤村志保だったが、フガフガ声独特な語り口が賛否両論となり、その上大怪我して入院したことから、7話以降は元NHKアナウンサーの広瀬修子に交代した。
花燃ゆ
放映期間:2015年
原作:なし
主人公:杉文(演:井上真央)
時代:幕末~明治中期
脚本:大島里美、宮村優子、金子ありさ、小松江里子
ひとことで言うとシエとほとんど同じ轍を踏んでダダ滑りした。
登場しても良いはずの重要人物(長州藩士や主人公の姉も含む)が大勢登場しなかったり、出ていてもわずかな出番だったり、
多少の史実をスルーするのは大河でもよくある事とは言え、殆どがナレーションで済まされるなど、ピックアップのやり方は大いに突っ込まれた。
幕末物で大政奉還について一言も触れないというのは流石にないだろう……。
同じくマイナーな幕末女性主人公だった新島八重とよく比較されるが、あちらは(歴史ファン以外への知名度こそ無かったものの)激動の人生を力強く歩んだ女性だったのに対して、
こちらは歴史の表舞台で活躍したと言える時期が「再婚した群馬県令の妻だったころ」位では、どうしても捏造部分が多くならざるを得ない。
しかも前線で銃をぶっ放していたヒロインの記憶がまだ新しいのに「家で健気に夫の帰りを待つのが妻の戦いよ!!」とか言われても……
群馬県令も大物チックに描かれていたが、「篤姫」の小松帯刀みたいに大久保や西郷という巨魁に埋もれてしまったタイプではなく、どうも地味。
おまけに群馬県令時代最大の事件である県庁移転問題を華麗にスルーしたため地元民からもそっぽを向かれた。
身もふたもないが、吉田松陰の妹で久坂玄瑞の妻(しかも久坂には邪険にされていた)ってだけの人物を主人公に据えたのが間違いだったし、
(ただし戦時中に「杉文」を主人公にした本が一冊存在したことも確か)
そもそも「『花神』である程度長州ネタ総ざらいしちゃった」感がある。
かといって他に長州系で一年持ちそうな人物となると「こと死去時の事件にうかつに触れると隣国から苦情が来る人」くらいしか……(本作でも出番自体はあるけど)
「八重の桜」で長州藩士をテロリストのように描いて長州ファンや地元民からクレームが来たためバランスを取るために作られた、とまことしやかに噂される。
……のだが、その「八重の桜」は「長州にも義はあった」としっかりフォローしている上に、木戸孝允や槇村正直などは「クセは強いが魅力もある」人物として描かれている。
対して本作の長州藩士は「突然中二レベルの薄っぺらい主張を声高に叫び、政権転覆を主張する」「意味もなく軍を率いて上京し挙句勝手に乱を起こす」などの描写(というより描写不足)のせいで
よっぽど救いのないテロリストっぽいと言われることも。
また「山口県が選挙区の安倍晋三総理に媚びた」という噂もあるが、だったら何でリアルに吉田松陰と接点のあった安倍総理の先祖が一コマも出なかったのかという疑問がある。
プロモーションも斜め上にすっ飛んでいくようなものだったりどうしたらよく見えるのか…という塩梅であった。
視聴率も第三回以降は15%すら越えられず、平均視聴率はワースト3位タイの12.0%、厳密に言えば平清盛を0.01ポイント下回って実質ワースト2位である。
底の深さでは清盛やいだてんに軍配が上がるものの、浮上するきっかけすらなかったといえよう。
脚本家4人体制というのも異例(最初は2人だったが、視聴率が伸びず新たに入れたがそれでも伸びなかったという感じ)。
なお、そのうち1人は時代劇初挑戦で、「家長とは一緒に食事しないとか、各自にお膳があることも初めて知った」と歴史に疎い発言もある。脚本がこんな体たらくなのに、このご時世で幕末の長州藩士をテロリストに見えないように描けというほうが無茶だ。
しかもよりによって、単体でもトホホな本作は後半になって凶悪な刺客が身内のNHKから出現したのである。
それがこの年の下半期の朝の連続テレビ小説で、本作と同じく幕末から明治期を生きた女性を描き、平均視聴率23.5%を記録し今なお根強い人気に支えられる『あさが来た』。
シナリオの質も時代考証も良く、魅力的なキャラクターも多かった『あさが来た』は回を重ねる毎に評判を上げ、本作と明暗を大きく分けていくことでも当時話題になった。
口の悪い御仁には「2015年の大河は『あさが来た』だろ」などと言われる始末である。
ナレーターを務めたのは赤い彗星こと池田秀一であった。
また、川井憲次担当の松陰の辞世の句を歌詞として取り入れたメイン・テーマは、本編の評価に反して大河ドラマ屈指の名OP曲。OP詐欺? 何故松陰を主人公にしなかったって? 言ってやるな。
なお、主演の井上真央にとって本作は自身のキャリアに傷をつけた黒歴史同然らしい。そもそも脚本の不出来が批判されているのに会見で主演に「私の力不足」とか言わせてる時点で……
真田丸
放映期間:2016年
原作:なし
主人公:真田信繁(演:堺雅人)
時代:安土桃山時代~江戸時代前期
脚本:三谷幸喜
大坂夏の陣において「日の本一の兵」と言わしめた真田信繁(幸村)。
その信繁を主人公に、武田家滅亡後、有力国人に過ぎなかった真田家を大名に発展させた父・真田昌幸、
徳川家臣の大名として真田家を守り抜いた兄・真田信之ら真田家全体を戦国を渡る「一艘の船」として描く。
脚本は『新選組!』以来の登板となる三谷幸喜。
当初は「講談(真田十勇士)ではなく史実準拠で描く」とのことで不安の声もあったが、考証に基づいた骨の通った脚本は健在であり、概ね好評である。
汁かけ飯を食う北条氏政、家康を前に居眠りをする本多正信など、歴史好きをニヤリとさせるシーンも随所に登場する他、
「真田太平記」で真田幸村を演じた草刈正雄が真田昌幸役でカムバックしたり、
北条氏政役の高嶋政伸や秀吉役の小日向文世らの不気味さが尋常じゃないなど、大物のキャスティングが絶妙。
「黄金の日日」で呂宋助左衛門を演じた九代目松本幸四郎が、呂宋助左衛門として衣装もそのままに登場するなどの心憎いファンサービスも。
さらに十勇士こそ登場しないものの、史実にモデルとなった人物がいたことで「佐助」は信繁の忠臣として登場しており、
服部半蔵や、名前こそ出ないが北条の風魔忍軍と忍者対決をするなどの活躍を見せている。
ストーリーは「青春篇」「大坂城篇」「九度山篇」「大坂の陣篇」の四部構成で、
信繁という若者が武田家の滅亡から豊臣政権の興亡まで戦国時代を駆け抜けた、15歳から48歳、33年間の物語となっている。
主人公・信繁は「なるべく犠牲を出さずに戦国を終わらせたい」という最近の大河主人公らしい考えを抱くが、そこから「謀略策略駆使して犠牲を最小限に抑える」という方向性に弾け、
やがて自分を気にかけてくれた秀吉への恩義から、敗者である豊臣方の人間でありながら「最期まで望みを捨てずに生きる」という信念を持って戦い続けていく。
あくまでも信繁、あるいは真田家視点に徹し、真田家が関わらないところは本能寺の変や関ヶ原の戦いでさえ速攻で終わらせ、
むしろ以後の混乱にフォーカスを当てるなど、徹底的に最初から最後まで「真田家の戦国」を描くことに終止している。
史実で信繁が大坂の陣まであまり戦場で活躍していなかった一方、滅びゆく戦国武将たちと関係があったことを逆手に取り、
本能寺の変で空白地帯と化した甲信地方の争奪戦いわゆる「天正壬午の乱」や、
家族経営のブラック企業と化した大坂城の情勢に振り回されつつ必死に駆け回る中で武田・上杉・北条・豊臣と様々な英雄たちの思いを背負い、
最後の大坂の陣では信繁が積極的に自分の武勲を捏造して士気を上げていくなど、後に講談が生まれた理由も描写している。
またその構成を利用して序盤は予算を抑え、クライマックスの大坂の陣篇で一挙に資金を投入して合戦シーンを撮影する方針は極めて効果的で、
特に終盤に向けた四十話「幸村」と四十四話「築城」はこれまでの積み重ねが一挙に意味を為してくる、長期放送の大河ドラマならではの回であった。
また優秀な武将だが行き当たりばったりでやること為すこと上手くいかない真田昌幸、
大名として必死になって真田家を守ろうとするが父・弟へのコンプレックスがある真田信幸、
人が良すぎて義を重んじるためホイホイ引き受けるが実行できない上杉景勝、
恐ろしいほど有能かつ冷酷な独裁者から次第に耄碌していくが孫のように信繁を可愛がる豊臣秀吉、
決して無能ではないが叔父からの重圧に潰れていく豊臣秀次、優秀で義理堅いが頭も堅いため孤立を深めていく石田三成、
悪辣で腹黒で執念深いが小心で理を重んじ情に篤い最後の戦国武将・徳川家康、天真爛漫だが虚無的な淀殿、
秀吉の後継者として才覚を発揮するも未熟なため情勢を読めない豊臣秀頼など、
各人を一方的に善人・悪人、優秀・暗愚と描くのではなく、正負両面を描写しているのも特徴。
最後まで扱いが残念だった大蔵卿は泣いていい。
が、彼女もまた「戦がわからないし浪人を信用しない」という面が強調されているだけで、「豊臣の御家大事で戦反対」という女性らしい心情はきちんと表現されている。
それに臣下であった徳川によって追い詰められた状況下では、浪人たちではなく豊臣家が勝たねばならないと思い詰めるのも無理はない。
そもそも主人公の信繁からして「知恵者ではあり戦術面では優れているが、自分で大きな戦略や軍略を描くことは出来ず、大業を成す器ではない」という形で描かれており、
最後に立ちはだかる敵であり、常に大局的視点で動き続ける家康との対比が最後まで描かれた。
他にもあの高木渉が俳優として出演していたり、思いつきだけで行動する父に振り回される信幸を評しての「真田丸どうでしょう」、
室賀正武の繰り返される「黙れ小童!」、大河史上最速級の退場をする織田信長、
各大名が本能寺の変後の混乱から必死に立ち直ろうとする中マジで必死の伊賀越をする徳川家康、今にも仮面ライダーに変身しそうな顔をした本多忠勝を指しての「あまりに恐ろしい舅」、明国攻めを描くかわりに史実準拠で開かれる肥前名護屋城大仮装大会、
全く出てこないと思っていたら終盤ナントカ官兵衛呼ばわりされる前々作主人公*16、
そして、登場人物の死を有働由美子アナの淡々としたナレーションのみで告げる演出(通称「有働砲」「ナレ死」)などが視聴者の間で異様な盛り上がりを見せるなど、ネタにも事欠かない。
ちなみにこの「ナレ死」の反響は早々に製作側も把握していたらしく、二十六話ではナレーションの途中を息を吹き返し、いくらか大事なセリフを語ったあと改めてナレ死で退場という逆手に取った演出もされた(※字面はギャグっぽいけど真面目なシーンです)
ただし、『新選組!』同様にこれら喜劇的な部分はかなりの賛否両論である。
特に序盤はメインヒロイン格のきりがウザいとか、史実では優秀で活躍した兄・信幸の扱いが悪すぎるなどの批判が多かった。
ただ、きりのウザさは武将ではないただの娘(正室側室はもちろん大名家の姫ですらない地元豪族の娘)としての視点のためで、信幸も才覚を発揮するのは老成してから。
加えて言えば信繁を含めた彼ら全員がまだ十代後半から二十代前半、関ヶ原でやっと三十代になる若者だった事が大きい。
一気に十数年経過する九度山篇を経て、信繁は一人の武将として世に打って出る決意を固め、長く信繁の傍にいたきりは彼の正室側室たちを纏めていく重要な役割を担い、
信幸もまた一人の大名として戦後の真田家を背負っていくべく策を練るなど、終盤に向けて成長を見せてくれる。
結果的には初回視聴率19.9%、最終回視聴率14.7%、平均視聴率16.6%と、過去五年間の大河ではトップの記録を残したので、大成功と言って良いだろう。
特筆すべきは地上波より1時間前倒しで放送されるBSプレミアム(通称早丸)の高視聴率で、
「3%で健闘」と言われるBSにおいて平均視聴率4.7%、最後の10話は全て5%を突破するなど、歴史的な数字を残している。
ちなみに劇中のCGは大河ドラマから多くの影響を受けている「信長の野望」を手掛けるコーエーテクモグループが担当している。
シブサワ・コウによるCG地図を使用した解説のわかりやすさは概ね好評で、『信長の野望』の方にも『真田丸』仕様の大坂城のDLCが配信予定である他、
本格的にコーエーテクモとコラボし、真田幸村(信繁)の生涯48年間を描く「戦国無双真田丸」も発売決定している。
このゲームには、『真田丸』に使用されているCG地図を逆輸入されており、初回特典として『真田丸 真田信繁赤備え』のダウンロードシリアルが封入されている。
別にコラボはしていないが『戦国BASARA』もこの流れに乗って真田幸村が主役の似たようなゲームを出した。
また本作のキャストの内信之・稲夫婦と塙団右衛門の演者は2017年の舞台『子供の事情』、
大谷吉継の演者以下他のサブキャスト陣は2018年のNHK正月時代劇『風雲児たち~蘭学革命(れぼりゅうし)篇~』で再び三谷作品に出演している。
おんな城主 直虎
放映期間:2017年
原作:なし
主人公:井伊直虎(演:柴咲コウ)
時代:戦国時代
脚本:森下佳子
遠江の国人として徳川家康に仕え、譜代の大藩・彦根藩の祖となった井伊直政。
その井伊直政を育て、一時的に女性ながら井伊家当主として支えた井伊直虎の生涯を描く。
井伊直弼の生涯から始まった大河ドラマは、54年目にしてついに彼の先祖の物語にまで至った。
本作の脚本の森下佳子は『JIN-仁-』で時代劇脚本執筆経験がある。
2年連続の戦国もので、今までかたや「徳川四天王・徳川十六神将・徳川三傑の一柱」、
かたや「織田信長に桶狭間で倒される暗愚な大名」というイメージ優先でしか描かれることの無かった井伊家・今川家に焦点を当てた作品。
主人公がまた女性であること、本人が井伊谷城を巡る戦いを三度経験しただけなこと、
桶狭間以外の戦国大事件にほぼ関わることなく1582年で亡くなること、恋愛関係が重点されるような予告から、早々に出来が懸念されていた……
……だが蓋を開けてみると、戦国の殺伐さ・理不尽さもしっかり描きつつも、中心人物三人を始めとするキャラクターをしっかり掘り下げ、
戦国時代という動乱の中、過酷な運命に立ち向かっていく小領主の物語であった。
予告編で一部の登場人物が当時の成年としてはあり得ない格好をしていたことにもちゃんと意味があることが明かされたり、意外なほど骨太な作りだった*17。
その一方、この健気な人々が今後次々井伊家に降りかかる苦難*18に翻弄される姿を見せられるのかと戦々恐々としている人もおり、
案の定、父以上に苛烈な支配体制を敷く今川氏真とそれを操る女大名寿桂尼の前に、井伊家の男たちが次々と死亡して女子供しか残っていない状態となり、
そんな中で1人生き残った小野但馬守政次が井伊家を守るために主君を売ってまで今川に屈し暗黒面に染まっていくという、
前年の清々しいまでの智謀知略のぶつかり合いとは正反対のハードな描写へと急転している。
男だけがほとんど灰色に染まった公式HPの相関図は衝撃的である。
その後直虎が井伊家の当主、そして「おんな城主」となる形でようやく新章が開幕したが、
それ以降も今川家の圧力、家臣や農民との仲違い、更に事あるたびに邪魔をするような態度を示す政次など苦労の連続。
しかし、そんな中でも直虎は諦めずに奮闘を続け、その政次を含めた頼もしい家臣たちと共に井伊谷、そして井伊家を立て直していく事になる。
だが、その果てで彼女たちを待っていた結末、そして直虎が取った選択は……。
そして、物語は虎松改め井伊万千代――後の徳川四天王の1人、井伊直政へと受け継がれていく。
中野直之と奥山六左衛門の「ユキロック」こと凸凹家臣コンビ、架空の人物ながら非常に重要な役割を担った龍雲丸、銭の犬こと瀬戸方久、
情に厚い徳川家康、これまでに無い側面が描かれた今川氏真など魅力的なキャラクターが非常に多い作品だが、
特に上記の高橋一生氏が演じる小野但馬守政次は、それまでの伝承で「井伊家を陥れた極悪人」というイメージが強かったのを、
家臣としての責務、代々家に受け継がれてきた暗黙の矜持を見事な演技で昇華させたとファンから高く評価された。
その人気は物語退場後も続き、彼をテーマにした「鶴のうた」という緊急特盤CDまで制作されるに至っている。
白黒を つけむと君を一人待つ 天つたう日ぞ 楽しからずや
また今作のサブタイトルは総集編も含めて古今東西の様々な映画・テレビドラマなどの作品や一節を捩ったものになっており、
「おとわ危機一髪」「罪と罰」「ぬしの名は」「嫌われ政次の一生」「井伊を共に去りぬ」「信長、浜松来たいってよ」など分かりやすいものから、
「虎と龍」「死の帳面」など一捻り加えたものまで様々。
その範囲は「おんな城主対おんな大名」「虎松の野望」、前年のパロディ返しとも言える「逃げるは恥だが時に勝つ」、
果ては脚本を手掛けた森下佳子女史の作品から取られた「天正の草履番」まで節操がない。
一方で第4回「女子にこそあれ次郎法師」は史実の直虎の詳細を記した数少ない資料「井伊家伝記」の一節から取られた他、物語の大きな節目となった第12回は今作のタイトルがそのままサブタイトルになっている。
なお、これらの元ネタについては番組終了後の公式ツイッターでそれを連想させるツイートが投稿されており、その中で第49回「本能寺が変」はただのダジャレだとぶっちゃけられている。
放送前に発売されたノベライズはなかなかハードな展開だったらしいが、ドラマ本編でも解死人、人身売買など放送コードギリギリのラインで中世戦国時代の荒んだ世情をちょくちょく導入している。
史実的大事件に絡んだことが少ないがゆえに世情を描くしかないというところもあるが、マニア受けは相当する部分もキチンと描いており、評判はかなり高い。
全話の平均視聴率こそ12.8%と歴代大河ドラマワースト4位となってしまったものの、2017年のツイッターで最も話題になったドラマとして「#Twitterトレンド大賞」ドラマ部門で1位を獲得したり、
地元の「大河ドラマ館」の入場者数があの『篤姫』を抜く歴代2位を記録したり、視聴率だけでは測れない人気ぶりを示す結果を見せた。
西郷どん
放映期間:2018年
原作:林真理子「西郷どん!」
主人公:西郷隆盛(演:鈴木亮平)
時代:幕末~明治前期
脚本:中園ミホ
2018年放送。平成内で完結する最後の大河となった。
1990年放映の「翔ぶが如く」以来28年ぶりとなる西郷隆盛主役の大河ドラマ。
ちなみにタイトルの読みは「さいごうどん」ではなく「せごどん」。
放送開始と同時期に単行本が発売された。
「政治的な話ではなく、西郷隆盛の人生を描く」という脚本家のコメント及び原作展開からやっぱり不安の声があがり、
今までメディア作品であまり出てこなかった西郷最初の妻登場、渡辺謙が島津斉彬役で出演、奄美大島ロケと話題を創るも、最終的な平均視聴率はワースト5位となる12.7%を記録してしまった。
当初は全50話と発表されていたが、3話削られて全47話となり、代わりに本作に関係する特番を放送することになったが、大河ドラマの視聴者から不満が相次いだ。
但しこれはNHKの働き方改革によってスタッフの休日増加に伴う措置であり、翌年以降もシーズン途中の中断が行われている*19。
明治時代編はそのせいか後半10話しかなく、西南戦争がラスト2話しかない。
さらに、西郷と西南戦争を語るにあたり必須と言えるだろう征韓論について一切触れないという衝撃の展開を行い*20、視聴者の失笑を買った。
おまけに西郷の最期が単に撃たれて倒れるだけ。確かに銃弾を受けて転倒後、「最早これまで」と悟って介錯されたという史実に伝わる西郷の最期は壮絶であるが、
切腹→周囲の人間が介錯という展開自体は時代劇でもよく見られる上、史実で介錯を担った別府晋介はちゃんと出ているのに……。
史実人物の描写にも偏りがあり、中村半次郎(桐野利秋)は「人斬り半次郎」の異名こそ出てくるが、(唯一確認できる人斬りである)赤松小三郎が未登場のため人斬りシーンが無い。
また史実で最初薩摩に確保され斉彬と対話し、維新直前薩摩藩に英語や航海術を教えたりしたジョン万次郎も、
日本帰国直後に捕まった「謎の漂流者」扱いで出番ほぼ無しで、(前述の話数削減のあおりを受けてか)再登場は無かった。
西郷に大きい影響を与えた人物の1人として知られる藤田東湖も本編には登場せず紀行で触れられるのみだった。
西郷と敵対する島津斉興、井伊直弼、島津久光といった面々はテンプレ的な悪人描写が目立ち、ただの主人公の敵役程度に貶められてしまった。
特に徳川慶喜に至っては遊郭狂いという原作小説にすら無い謎設定を与えられている。
結果的に西郷隆盛という清濁併せ呑む複雑な人物を描き切れていたとは到底言えず、
西郷の戦争や陰謀を好む黒い一面に関する描写はほとんど除外され、陽の部分だけ抽出したような作風となってしまった。
ひとことで例えるなら幕末版「天地人」と言ったところだろうか。
とはいえ、鈴木亮平の役への入れ込みようは本物で晩年の太った西郷を体現するために、一日四食とったほか、間食としてドーナツを思いついたら食べていたと後日談で明かしている(さらにすごいのは監督からの指示ではなく、自発的にやっていたということ)。
ナレーターは当初市原悦子が担当予定だったが、体調不良のため降板、「翔ぶが如く」版西郷役だった西田敏行が代役を務めた。
番組後半では西田氏が西郷の息子(奄美大島での妻である愛加那との子)で本編終了後京都市長になった西郷菊次郎役としても出演し、
以降は息子の視点から父の人生が語られていく形となった。
また余談だが、本作・『いだてん』と2作続けて伊藤博文が同じキャスト(演:浜野謙太)で出演し、
キャストこそ違うが大隈重信も登場(本作では若き新政府サイドの人物。『いだてん』では早稲田大学創始者)。
アニメ関連では橋本左内役で風間俊介(2020年の『麒麟がくる』で徳川家康役に)、西郷のご近所さんとして犬山イヌコ、中山忠能役で緒方賢一がゲスト出演している。
劇伴は富貴晴美が大河史上最年少で担当した。
いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~
放映期間:2019年
原作:なし
主人公:金栗四三(演:六代目中村勘九郎)、田畑政治(演:阿部サダヲ)
時代:明治~昭和
脚本:宮藤官九郎
最後の平成開始作品。2019年5月から新元号となるため、大河ドラマとしては『春日局』(1989年元日開始)についで2作目の「年号をまたぐ」作品となった。
2020年東京オリンピックに先駆けて日本と近代オリンピックの関わり、東京の変遷を描く、
1986年「いのち」以来の近現代を題材とした大河ドラマ*21で、
1985年『春の波濤』に次いで2作目の実在人物主役近現代大河でもある。
「落語の神様」五代目古今亭志ん生(演:ビートたけし、青年期:森山未來)による架空の落語「東京オリムピック噺」と彼の半生を背景にし、
1912年ストックホルムオリンピックでの日本初出場から1964年の東京オリンピック開催までの約半世紀を、
最初のオリンピック選手である金栗四三と、東京オリンピック招致に中心的な役割を果たした田畑政治の二人の主人公によるリレー形式で描く。
主演の一人中村勘九郎は20年前の『元禄繚乱』主演の故中村勘三郎の息子で、脚本を手がけるのは阿部サダヲの芝居兼バンド仲間であるクドカンこと宮藤官九郎。
また、同脚本家による『あまちゃん』から続投したスタッフも多い。
……が、「現代劇」、「マイナーな主人公」、「題材がスポーツと落語」、「東京2020合わせ」、「時代を行き来する複雑な群像劇構成」、
「事故の後遺症で滑舌の悪いビートたけしを語りに採用する」等の「王道外し、挑戦的要素の多さ」から、『何がしたいのかわからない』などと酷評され視聴率は低迷。「小河ドラマ」とも揶揄された。
またサブキャストの内、黒坂辛作役のピエール瀧が第10話放送後に薬物使用で逮捕され、後任には三宅弘城が急遽起用され、それまでの出演シーンもソフト化に向けて全て撮り直された。
また、大松博文役の徳井義実は初出演回の放送前に脱税発覚で活動自粛となったが、登場時期が終盤だったため出演部分は殆ど放送され、
自粛から復帰後のBSプレミアムでの再放送では一部カットされていた徳井の出演シーンが放送された。
これらの不祥事も重なったせいか、瞬間・平均共に歴代ワースト一位、史上初の平均視聴率1桁大河となってしまった…。
しかし、『花燃ゆ』をも下回ってしまった視聴率に反してSNSでの評価は賛否ありながらも決して低くなく、
そのような評価を受けて「録画で後から観ていた視聴者も少なくないのでは?」と言われたほど(しかし、実際は録画視聴率も低かった)で、
『平清盛』同様、「見る人は選ぶが、ハマる人はとことんハマる作品」と言えるかもしれない。
2019年12月のギャラクシー賞月間賞も受賞している。
ちなみに時代が近い影響か、志ん生の孫である池波志乃が志ん生の妻(池波の祖母。ちなみにこの役は3回目)役、
中盤に登場した犬養毅(演:塩見三省)の曾孫である安藤サクラが終盤で河西昌枝役としてゲスト出演。
サブキャスト陣は特撮出身・ミュージシャン・芸人・元アイドル・声優兼業と多岐に渡り、
たけし・田口トモロヲ(金栗信彦役)・松尾スズキ(橘家圓喬役)・塚本晋也(副島道正役)・三谷幸喜(市川崑役)と計5人映画監督経験者もいたり。
また作中の国旗考証を担当した評論家吹浦忠正が終盤でドラマにも登場(演:須藤蓮)し、
勘九郎の弟である中村七之助も6代目三遊亭圓生役で参加。高橋是清役だった萩原健一は本作が遺作となった。
2020~2029年
※一覧
2020年代初頭は新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、大河ドラマの製作にも大きな影響を及ぼした。
一方で折からの働き方改革の流れやCG技術の発展もあり、話数削減や合成などの工夫によってその都度乗り切っている。
SNSによる情報発信もますます活発化しだし、実況などの相性の良さも相俟って大河ドラマの楽しみ方も新時代に突入していった。
また、人気声優の出演も定番化してきており、毎年何らかの形で声優が起用されている。
2023年2月には日本でのテレビ放送70周年、大河ドラマ60周年を迎えることを記念して、
最初の大河ドラマ『花の生涯』製作の様子を描いたドラマ『大河ドラマが生まれた日』が放映された。キャストがなんだか4年前の大河で見た面子が多いような…
麒麟がくる
放映期間:2020年~2021年2月
原作:なし
主人公:明智光秀(演:長谷川博己)
時代:戦国時代
脚本:池端俊策、前川洋一、岩本真耶、川本瑞貴
戦国時代の全国メジャークラスでは最後の大物がようやくの単独主役として抜擢。
脚本を手がけるのは「太平記」以来の池端俊策。…マジかよ!?
研究が進みつつも未だに謎が多い「本能寺の変」が如何に描かれるか注目され、
また、同局の『チコちゃんに叱られる!』のレギュラーである岡村隆史も出演しており、
主に同番組内で事あるごとに「大河俳優」と一層イジリ倒されるようになった。
しかし、2019年12月に濃姫役にキャスティングされていた沢尻エリカが薬物所持で逮捕されてしまう。
まさかの2年続けて出演者が薬物で捕まってしまうという不祥事を受けて、
序盤部分の大幅な撮り直しを余儀なくされ(代役は川口春奈)、放送開始は本来より2週間遅れの1月19日となった。
また、東京オリンピック・パラリンピック期間にあたる5週間は番組を休止することが決定し、全44話というやや短めな話数を予定していた。
…が、その後、更にコロナウィルス流行に伴うオリンピック延期や、撮影休止を受けて3か月近く放送が中断。
2020年10月、話数はそのままに2021年2月7日に最終回を放送することが判明。『炎立つ』に次ぐ越年大河ドラマとなる。
ただ、沢尻の逮捕に伴う女優変更や放送開始延期という不安要素も逆に本作への注目を高めるきっかけになり、第1話の視聴率は19.1%を記録した。
更に第1話では声優の大塚明夫がゲスト出演したことで話題を呼んだ*22。
才はあるものの人が良く不器用な明智光秀が、家族から冷遇され「誰かに認められたい」と必死な織田信長と友誼を結ぶ一方、
幕府再興の志を掲げる足利義輝と出会った事で足利将軍家を守ろうと決意し、足利家を盛りたてんとする織田家に仕えるようになる。
しかしその思い故に光秀は義輝の死に伴う義栄と義昭の後継者争い、義昭と天皇――天皇に認められたい信長の対立に巻き込まれていく。
そしてやがて信長が自分を褒めない者、認めない者を排除し、遂には天皇にまで譲位を迫らんとするようになるにつれ、
光秀は今の信長を作り上げてしまった責任を取らねばならぬという決意を固めていく……。
仁政を行う王の元に現れるという獣、麒麟は、はたしていつ現れるのか。
「誰かに褒められたい・認められたい」と必死な信長と光秀の友情に、信長の行動が過激になるにつれて亀裂が入っていき、
そのすれ違いが徐々に「本能寺の変」に向けて収束していく展開はSNSなどでも話題になっており、
令和大河一作目としては(さまざまなトラブルに見舞われたにしては)順調だといえるだろう。
特に序盤は斎藤道三や織田信長が次々に政敵を毒殺、暗殺していく展開が話題となり、
それがやはり終盤になって光秀の行動につながっていくあたりは長期番組である大河ならではの展開といえる。
愚直で誠実であろうと努めるが故に結果的に八方美人になり、周囲の人々の企みに翻弄され、信じた人々の変貌に戸惑い迷いながらも、
足利将軍や織田信長を支えんとする明智光秀を演じる長谷川博己。
自分を認めてくれた明智光秀が足利家、天皇、そして家康と友誼を深める事で苛立ち、
どうにか彼を喜ばせ、褒めてもらおう・認めてもらおうとするも、全てが空回りする織田信長を演じる染谷将太。
また、緊急登板で懸念されていた川口春奈も、斎藤道三の娘にして信長の正室という立場に苦しめられながらも、
強くあり続ける帰蝶→濃姫役として、終盤まで熱演を見せてくれる。
他にも、事なかれ主義に見えて一筋縄ではいかない朝倉義景役のユースケ・サンタマリアの怪演や、
人の良さそうなお調子者の一面と武士の世を憎む冷徹な面を持ち合わせる羽柴秀吉役の佐々木蔵之介、
当初は民草を想う僧侶として登場しながら、兄の跡を継いで15代将軍となったことをきっかけに、
信長の台頭によって回が進むごとに不穏さや冷酷さを顕にしてゆく足利義昭役の滝藤賢一、
織田家や今川家の間で翻弄されながらも、父の仇討ちの機をうかがいつつ、
光秀から200年続く平らかな国造りを託される麒麟を招く才覚を見せる徳川家康役の風間俊介二年も前から無茶振りされたぞ、どうする家康!、
そしてその徳川家の忍び・菊丸を演じる岡村隆史、ギリワンボンバーマン天下の大悪人という従来の人物像とは異なり、
若干胡散臭いが気のいいおじさんといった人物像で、周りに振り回されがちな苦労人の松永久秀役の吉田鋼太郎、
非常に雅な言動が目立つが、節々でしたたかな面も見せる帝の威厳を感じられる正親町天皇役の坂東玉三郎など脇を固める俳優陣にも注目。
とキャラクター人気は真田丸同様非常に高いが、「合戦シーンが極端に少なく、主要な戦や人物の死ですらナレーションで済ませる」、
「話自体は面白いものの史実の光秀とは関係ない美濃編の尺が長く*23肝心の織田家臣時代の展開がかなり巻かれている」、
「オリジナルキャラクターの駒と望月東庵が、妙に出番が多い上に、将軍や大名、帝と深く関わるなど、一応『一般市民』なのに活躍しすぎ」、
「光秀と信長の物語として描いているので本能寺の変をクライマックスに置いているが、それによって山崎の戦いは全カット」などという点は否の意見が多い。
とりあえず7年に渡り明智光秀の誘致活動をしたにも関わらず、丹波攻めがほぼ省略される形になった京都府亀岡市・福知山市は泣いていい。
ただしこれらのことはコロナウィルスの流行や沢尻エリカの逮捕などにより合戦シーンが撮りづらかったり、
脚本そのものが大きく変更される事態になった面ので仕方なかったという側面はある。
あとは脚本の「自身が過去に描いた室町幕府の終焉を描きたい」という考えと、
プロデューサーの「斎藤道三と曲直瀬道三の二人が主人公という企画を考えていた」という考えが合わさり、
明智光秀がそちらに振り回された結果といったところか。
「新撰組!」の時のように続編や番外編を希望する声もある。
アニヲタWiki的には明智家の重鎮として鬼武者こと明智左馬助がちょこちょこと活躍しているのが嬉しいところか。
彼が大河ドラマのクレジットにどーんと名前が出るだけで、PS2ユーザーにとっては感無量である。
青天を衝け
放映期間:2021年2月~12月
原作:なし
主人公:渋沢栄一(演:吉沢亮)
時代:幕末~昭和初期
脚本:大森美香
一作品を挟んで再びの近代を舞台とした大河ドラマ。脚本は『あさが来た』や実写映画版『宇宙兄弟』を手掛けた大森美香。
2024年秋より新しい一万円札の顔となる「日本資本主義の父」渋沢栄一の生涯を描く。
友情のために戦う拳法使いのライダーや真選組一の腹黒ドS、
中華統一を目指す若き秦王に無敵のマイキーでお馴染みの吉沢亮が、弱冠25歳で主演に大抜擢された。そのせいかは不明だが、真選組世界で上司役だった堤真一が恩人役となり、慶喜の身内や14代将軍等ライダー出演者も妙に目立つ役で登場していたり。
また一部歴史ファンの間では徳川斉昭役の竹中直人が、現存する肖像画に激似という点ではこれ以上ない配役として話題になったりもした*24。
東京オリンピック・パラリンピックの1年延期による夏の大型休止で話数が減ったが、
『麒麟がくる』の放送期間変更による開始時のズレを修正するため越年はせず全41話で年内の放送終了が確定している。
昨年に引き続きコロナ禍での撮影となったが、渋沢の出身地である武蔵国血洗島村(現・埼玉県深谷市)を再現するため、
なんと東京ドーム5個分の広さにもなるオープンセットを組み、藍や桑を栽培しているあたりNHKの本気具合が窺える。
そんな血洗島は序盤の栄一と家族、仲間たちの舞台となっていて、中央の政局とは全く関わりのない部分ではあったが、
ここで描かれた様々な出来事が後の展開や人物描写に繋がっている。
さらにコロナ禍での撮影制限も、CG合成をフル活用することで密集シーンや疑似海外ロケを描くなどの新しい試みが行われた。
また、攘夷を志す「攘夷志士」として上京しながらも、一転して一橋家に仕える幕臣となった渋沢栄一が主役ということで、
今作では攘夷志士だけでなく、徳川慶喜(演:草なぎ剛)の故郷である水戸藩や一橋にも焦点が当てられている。
その結果、坂本龍馬や桂小五郎といった幕末モノではまず間違いなく重要人物として登場する有名人が影も形もない一方、
幕末ドラマでは比較的マイナーな扱いとなる平岡円四郎や小栗忠順といった、一橋家や幕府側の重要人物がピックアップされたり、
普通の幕末ドラマでは省かれがちな天狗党騒乱やパリ万博などの出来事がピックアップされたのも特徴である。
特に、栄一を一橋家に取り立てた人物である平岡円四郎の存在感は大きく、
彼の死は慶喜と栄一に深く影響を及ぼすなど中盤のターニングポイントとなっている。
さらに、一見めちゃくちゃで「また創作か」と思えるような主人公・栄一の発言や行動が、
公式Twitterの「青天ナビ」にて「本当に渋沢栄一が言っていた/やっていた」ということが判明するという流れの連続には視聴者の度肝が抜かれてばかりである。
各勢力の人物の丁寧な描写、史実のエピソードをしっかり描く、下手な戦国大河より迫力があり、
痛みを感じさせる殺陣など作品的には比較的好評。本来大河ドラマとして当たり前のことのはずなんだけどなぁ……
さらに、放送開始後はナレーションとは別に北大路欣也演じる初放送の前の週まで風間俊介だった徳川家康が、
本編には一切登場しないのに「こんばんは、徳川家康です」と時代背景の説明役として登場する演出も話題となった。
この家康、本編に登場しないのをいいことに、当然のように横文字を使ったりタブレットを持つなどやりたい放題で、
製作側も後半からどうするか迷うなど割と出オチ気味だったらしいが、無事最終回まで登場し続けた。
また、『あさが来た』で五代友厚を演じたディーン・フジオカが本作でも同役で起用されたが、
本作では栄一が仕える幕府と敵対する薩摩藩側の人物として描かれたこともあってか同一人物ながら印象が大きく異なる。
『西郷どん』や『龍馬伝』で登場した時とは大きく異るダーティな魅力を秘めた西郷隆盛や岩崎弥太郎が描かれ、
幕末大河では影の薄い大隈重信や伊藤博文がレギュラーキャラとして登場するなど、明治時代を通して大正時代まで至る
「日本の夜明け」の後に幕末を生きた人々の行動に重きを置いた、幕末大河の中でもやや異色な作風が特徴である。
さらに、史実において渋沢栄一は、当時としてはかなりの長寿と言える満91歳という大往生を遂げた人物で、
年代で言えば昭和6年(1931年)、つまり、江戸(幕末)→明治→大正→昭和の四つの時代を生きたということもあり、
それもあって、彼と同世代以上の人物は全員が作中で何かしらの要因で亡くなっている。
更には同時期後半の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の物語開始年が1925(大正14)年であり、
連続テレビ小説と大河ドラマの時代が重なる珍しい現象も発生している。*25
江戸時代の頃にはとっくに成人してバリバリ活動していたにも関わらず、
最終回には現在もご存命である彼のひ孫が登場するなど彼が現代に近い存在であることがよくわかる。
鎌倉殿の13人
放映期間:2022年
原作:なし
主人公:北条義時(演:小栗旬)
時代:平安時代末期~鎌倉時代
脚本:三谷幸喜
『真田丸』以来の3度目となる三谷作品。主人公は鎌倉幕府第二代執権・北条義時。あれやりたいって言ってた泰時じゃないの?
タイトルに算用数字が用いられるのはNHK大河ドラマでは初である。
脚本は三谷幸喜は今作の内容をサザエさんで例え、
「サザエ(北条政子)とカツオ(北条義時)がマスオ(源頼朝)の死後に波平(北条時政)を追い出す話」となかなかアレな説明をしている。
義時が権力闘争に生きた人であり、前述の「草燃える」で義時を演じた松平健が平清盛役ということもあって、本作で義時を演じる小栗旬の悪役演技が話題に上がるが…?
前作において「みんなが幸せなのが一番」というフレーズが出ていたが、こちらは「ほとんどの登場人物が不幸になる」と一部で囁かれている。
そしてその通り1話から幼い子供が暗殺されるなど、序盤から数々の登場人物が不幸な最期を迎える展開が続いている。
平安時代末期~鎌倉時代を舞台としているが、セリフ回しは現代的であるため、
源頼朝役の大泉洋は「時代劇とは思えないセリフを喋った」と事前番組で明かしている。また大泉洋が身内絡みで胃を痛めそうなキャラやってる…
尤も、いざ蓋を開けてみると大泉演じる頼朝自身もしょっちゅう愚痴を零したり、
政子と結婚後も女性関係はだらしなかったり(通称:スケベ殿)で、主人公で義弟でもある義時の胃を痛めつけているが……。
演者の大泉がそれまで演じてきた役柄の印象を覆したとも評される、
鎌倉を守るためには時に冷酷非情に徹し、危険人物と看做せば命を奪う事すら厭わない頼朝や、
(近年の研究結果を交えた結果)ファングジョーカー悪辣非道で好戦的な人物として描かれた菅田将暉演じる源義経など、
見ている側もハラハラな源氏一門との関わりの中、回を重ねるごとに義時の苦悩や闇堕ちが顕著になっていくのも見所の一つである。
序盤はやはりというかコメディチックな部分が多かったが徐々にハードな展開が増えだし途中からほぼ毎回名有りの人物が死んでいる。
その雰囲気ときたら『鎌倉殿の13人』と書いて『13RIDERS』と読むと言われても納得するほどの殺伐っぷり。戦わなければ生き残れない!
事実、物語後半は頼朝死後、将軍や執権に取り入って幕府の実権を握ろうとする御家人たちの勢力争いが主題となっており、
陰謀渦巻く幕府を舞台に、義時と政子が頼朝らから受け継いだ智謀政を如何にして成就させるかという物語である。蛮族の集まりながらもアットホームだった坂東武者たちが権力に溺れ闘争を続けて行く地獄と化していく……あとまた後白河法皇を演じる西田敏行の年表が増えてしまった
ちなみに、本作は平安~鎌倉時代が舞台なのだが、徳川家康が熱心な『吾妻鏡』の読者であったことで有名という点を利用してか、
最終話冒頭では、次作『どうする家康』の主人公である若き徳川家康(演:松本潤)が「承久の乱辺りの『吾妻鏡』を読んでいる」という形でサプライズ出演。
これにより、大河ドラマに4年連続で徳川家康が登場するという快挙?を達成した。
どうする家康
放映期間:2023年
原作:なし
主人公:徳川家康(演:松本潤)
時代:安土桃山時代
脚本:古沢良太
脚本は『リーガル・ハイ』『コンフィデンスマンJP』などの脚本を手掛けた古沢良太。
『葵徳川三代』以来23年ぶり、単独であれば『徳川家康』以来40年ぶりとなる徳川家康を主人公とする作品。
過去に大河ドラマに主演経験のある俳優が多く集まるなどの豪華キャストも特徴で、
特に藤岡弘、と岡田准一が演じる、異様に強そうな織田信秀・信長親子が話題になった。
『天地人』では上杉謙信を演じた阿部寛が今度は武田信玄を演じる。その容貌からローマ皇帝やら、ダレイオス〇世やら、達磨大師やら呼ばれるけど
オープニングのクレジット表示は2014年の『軍師官兵衛』以来9年ぶりに横書きが採用されている。
紀行は石川数正役の松重豊がナレーションを担当しており、松潤を始めとしたキャストらが由縁の地を訪れている*26。そのまま腹が減ったと言ってどこかの飲食店に入りそうなナレーションをしている
後述の通り、歴代の戦国大河とは異なるアプローチがなされており、特に脚本・演出面においてかなり独特な作品となっている。
働き方改革や自然災害の頻発に伴う野外ロケが難しくなったなどの事情により、最新のCGやVFXを多用している。
特に役者の後ろに巨大なLEDパネルを設置して、そこにCGで作り込んだ背景を投影する「バーチャルプロダクション」は、
スタジオ撮影ながら外連味のある画づくりを可能とした。
ただ、そこに映される映像というのが中国の宮殿めいた異様の清須城*27や、ミッドガルみたいな本證寺など、
良くも悪くもクソバカ吹っ切れており、毎週視聴者の度肝を抜いている。
甲斐なんてなんか信玄の容貌も合わさって完全に中国の秘境だし…演者はローマ人なのに
ちなみに美術スタッフ曰く「家康の心情に合わせて誇張表現している」との事。完全に確信犯である
また、あらすじや史実の説明をしつつ『神の君』たる家康の活躍を褒め称える寺島しのぶ氏*28のナレーションも、
「後世の人物が誇張した」という演出か、時折同じ出来事・人物を説明しているように思えない内容(主に家康関係)になっていたりも。
登場人物も非常に癖が強いキャラ付けが成されており、1話目ラストからして、
元康(家康)を「俺の白兎…」と呼びながら槍に括り付けた今川義元の首を投げ飛ばす織田信長などインパクト抜群。
本編で丸々1話かけて忍者の活躍を描いたのに、紀行で「忍者のイメージは講談等で作られたフィクション」と突然梯子を外しにかかるなど、
その面の皮の厚さ史実とフィクションの違いをわかった上で歪にしているバランス感覚は中々独特である。
一方で自分より立場や勢力が上の諸将に加えて、家臣団や身内などにも詰められてしまい、
「どうする」というより「どうしようもない」状況に追い込まれる若き家康の葛藤はシビアだったりと、
クソバカ部分とシリアス部分の振れ幅の大きさでぶん殴ってくる。
史実描写に関しては比較的近年の研究を反映しており、回が進むにつれ、家康のメンタル沈みっぷりと共にクソバカ描写は減っていく。カメラワークによって「ツインテール秀秋」という事故が起きたこともあったが
他にも有名だが史実ではなかったとされる「三方ヶ原の負け戦で食い逃げしてう○こ漏らした家康」を、
「家康を嫌う町民が三方ヶ原の敗北をネタにある事ない事吹聴した話」として演出したり、
金ヶ崎の戦いの逸話である小豆の話を「お市の方が派遣した侍女」のエピソードとして描くなど秀逸な点もあった。
よく言えばキャラが立っていると言えるが、悪く言えば記号的なキャラ付けであり、合う合わないが激しい。
ほとんどの徳川家家臣が、あまり動いていない家康を時にイジりつつも頑なに支持していたり、
登場人物の私生活やオリジナルキャラクターの活躍に時間を割く一方で、
金ヶ崎の退き口や姉川の戦いなど歴史上重要なイベントを一瞬で終わらせる等、描写のアンバランスさが指摘されていた。
また敵対した政敵の描き方に対しても、『麒麟がくる』にて長谷川博己氏が演じた高潔なイメージが未だ強い中で、
同作とは真逆に、ルイス・フロイスが述べていた狡猾で信長のご機嫌を取る嫌味な側面を全面に反映させ、家臣や家康に辛辣に当たる明智光秀や、
関ヶ原の戦いの責任を三成に押し付けようとして淀殿に平手打ちを喰らった毛利輝元など心の狭い卑怯な悪者として描かれた面が否めない。
一方で家康と共に天体観察で夢を語る石田三成、気弱さや優柔不断さを全く見せず冷徹な判断を下せる人物として描かれた小早川秀秋など既存のイメージ像を覆す新たなアプローチも随所に見られる。
徳川陣営以外が一様に悪く描かれているわけではないが、やはり合う合わないが激しく分かれる点になっている。
良くも悪くも話題性には事欠かなかったが、結果としては平均視聴率11.2%と歴代ワースト2位をマークしてしまった。
「近年の大河離れの中で健闘した」と見るか、「有名武将・有名アイドルを主役に据えた割には伸びなかった」と見るか、やはり評価が分かれるところ。
ちなみに同年1月には脚本に本作の古沢良太、監督に『龍馬伝』で演出を務めた大友啓史という大河ドラマコンビによる、
織田信長と濃姫を題材にした歴史映画『LEGEND&BUTTERFLY』も公開されている。
どうする家康ほどではないが、こちらも毀誉褒貶の激しい作品となっている。
光る君へ
放映期間:2024年予定
原作:なし
主人公:紫式部(演:吉高由里子)
時代:平安時代
脚本:大石静
脚本は『功名が辻』以来の登板となる大石静。
平安時代を舞台に「源氏物語」の作者として知られる紫式部を主人公とする作品。
源氏物語を書いたこと以外に何をやったのかがあまり知られていないとはいえ、ネームバリューだけで言えば日本史でもトップクラスであろう人物であるがどうなるか。
また、同時代の最大の大物にして紫式部とも関わりのある柄本佑演じる藤原道長が大きく関係してくると思われる。
キャスティングには清少納言役にファーストサマーウイカ、藤原実資役にロバート秋山、藤原道長の実母・時姫役に三石琴乃と異業種からの選出が多い。
なお、クランクイン直後に藤原隆家役で出演予定だった永山絢斗が大麻所持の容疑で逮捕されてしまい降板となっている。
べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~
放映期間:2025年予定
原作:なし
主人公:蔦屋重三郎(演:横浜流星)
時代:江戸時代後期
脚本:森下佳子
18世紀半ばに吉原の貧民から、江戸きっての版元(出版社)にまで成り上がった“江戸のメディア王”蔦屋重三郎の生涯が描かれる。
喜多川歌麿の名作を世に出し、東洲斎写楽といった有名浮世絵師をプロデュースしたということもあり、2年連続の文化人を題材にした大河となっている。ちなみに副題部分は「つたじゅうえいがのゆめばなし」と読む。
また、太平の世としての江戸時代を舞台にした大河は『元禄繚乱』以来となる。
脚本は『おんな城主直虎』以来、2作目となる森下佳子。しかし、NHKで「べらぼう」となるとなんだこれは!な特撮番組を思い浮かべてしまうが…
最後に。本シリーズは「史実を基にした」ドラマではあるが、当然その史実が後世に書き換えられているものだってある。
そのため、史実を基にしたドラマかつフィクションと思った方が断然いい*29。
もちろん程度はあるだろうが、別段その時代の研究者等でもないのにムキになって細かなところまで粗探ししても、
「ドラマの内容にそこまで本気にならなくとも」と苦笑されるのが大半であり、楽しく見るのが一番である。
多少の差異なら笑って流すくらいの心持ちで楽しみ、
もしも個人的に許せない差異があったとしても、だからといって楽しんで見ている人を不快にさせるような振る舞いは避けるべきであろう。
追記・修正は、大河ドラマはフィクションだと割り切れる方がお願いします。
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*2 なお佐田は翌1964年に事故死している
*3 一部なら「琉球の風」の第一話のみ横書き
*4 他のオリキャラ主人公大河は主人公周辺と実在人物・歴史的事件が絡み合って進み、2019年の『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』は大正・昭和時代が舞台だが実在人物を主人公としている。
*5 ここから小林綾子も本作に出演
*6 さすがに「ゴールデンタイムであんまりそれやっても」と思ったらしい
*7 野武士と戦う為に侍を雇う、戸口で不意打ちして侍を選別、豪雨の中の決戦で次々と倒れていく仲間たちなど。原作小説でも野武士と武蔵が小競り合いをするシーンはあるがこんな展開ではないし、時代劇ましてや大河ドラマでこれをやるとパロディですらなくなってしまう
*8 ただし、史実で維新志士の面々が剣術修行や藩命などで江戸に来た時期と合致はしており、住居や道場の位置などから、天然理心流師範で度々江戸の各剣術道場に顔出ししていた近藤が顔合わせしていてもおかしくはない…という想像を膨らませることは出来るっちゃあ出来る。
*9 年間を通してなら『山河燃ゆ』以来22年ぶり
*10 そもそも戦国時代に軍師らしい軍師という概念があったかもわからない
*11 2010年代序盤から中盤は日テレの、2010年代後半はテレ朝(制作は大阪の系列の朝日放送テレビ)の番組が躍進したのも大きい
*12 大泉洋は同時期「水曜どうでしょう」で高知まで行かされたり龍馬コスをしたりとちゃっかり便乗させられていたり、自身でも楽屋での福山の言動のモノマネをちゃっかり自分の定番ネタにしていたりするのだが
*13 歴史考証の小和田哲男は、「分かりやすい演出にしたいというスタッフからの要望があり、『少しなら』ということで折り合いをつけたが、完成版では想像以上に炎上しており、今年一番のショックだった」「学者仲間からも散々苦情を言われた」と述べている
*14 例えば上述したように近江・大坂・江戸を簡単に行き来するなど、当時の交通事情等を考えればまず有り得ない。
*15 八重の桜の初回と真田丸の第二話、青天を衝けの初回
*16 しかも本人は結局本編には1回も登場しなかった
*17 その一方で桶狭間の戦いの影響が井伊家に与えた影響を上手く描けていないという意見もあるが
*18 主要人物の戦死・暗殺、御家乗っ取り、戦で焼け野原になるetc
*19 『いだてん』でも中断があったが、こちらは統一地方選や参院選による開票速報や日本が進出したラグビーワールドカップの準々決勝を放送する事情があり、それ以外の特番は放送されていない。因みに以前開票速報が大河ドラマが放送される当日の夜に行われる時は、編成状況によって大河ドラマを一時間早く放送する措置が取られることがあった
*20 尤も、描き方次第では韓国を不必要に刺激する国際上デリケートな問題ゆえ、仕方ないと言えば仕方ないのだが
*21 時系列的には『春の波濤』終盤から始まり、『山河燃ゆ』の時代を経て『いのち』後半あたりで終わる(『いのち』最終回時点で本作の主人公2人は既に他界)ストーリーとなる。
*22 以前から「顔が似ている」と噂されていた吉田鋼太郎との2ショットが実現したことも話題を後押しした
*23 しかもいわゆるお使い展開の多さに、視聴者からは往年のファミコンRPGとかけて「十兵衛クエスト」と呼ばれた
*24 写真が残っている徳川慶喜も草彅剛とかなり似ており、セットで取りざたされることも。
*25 同様の現象は『花燃ゆ』と『あさが来た』でも発生しているが、『あさが来た』の方が幕末から始まる変則的な作りであったのと逆に、こちらは『青天』が昭和に至るまでを描いたことで発生した
*26 ちなみに、同じNHK系列の歴史番組である『英雄たちの選択』でも松重氏はナレーションを担当しているため、同番組の『どうする家康』関連の回では一瞬石川数正として話そうとしたり、城郭考古学者として有名な千田嘉博先生と数正所縁の城にロケに行ったりしていた。
*27 門をくぐってから城までに目測で1kmぐらいの広場がある
*28 最終回にて、三代将軍徳川家光の乳母である「福(春日局)」役として登場している。
*29 『いだてん』では「事実を元にしたフィクションである」ということが明記されている。
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土曜日の再放送が国会にされた事はない
週末は国会が休みであるため
これは平日のお昼の連続テレビ小説再放送も同様
国会が昼休み中であるため
正直不動産でもフィクションのテロップ出ていた
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