登録日:2011/12/16(金) 08:33:08
更新日:2025/10/25 Sat 21:49:18NEW!
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頑張りなさい
永い間暗い土の中で過ごしてきたあなたの、
最後の晴れ舞台なんだから……
雷祭(いかずちまつり)殺人事件とは、金田一少年の事件簿での事件の1つであり、かつて金田一少年が解決した事件のうちの一件。ノベルスシリーズ第6弾。
テレビアニメでは第101話~第103話として1999年8月16日~9月6日にかけて放送された。
本作は全3章と、いつものノベルスシリーズより短い。(「読者への挑戦状」も無く、毎回恒例の「怪人●●」も登場しない)
これは元々、短編集に掲載されている読切小説「共犯者X」「迷い込んできた悪魔」を併録するためである。
講談社ルビー・ブックスから、ルビ訳版*1も発売された。
以下、ネタバレにご注意下さい。
【あらすじ】
急きょ転校してしまった元クラスメイト、朝木秋絵に会うため、一たちは雲場村を訪れる。
この村は8月ごろになると、毎日夕方に雷を伴う豪雨が降り、それを奉った「雷祭」が毎年行われるのだという。
武家屋敷を思わせる朝木家に到着した一は、村への道中で出会った一人の少女と再会する。
祭の準備が進められている一方、密かに事件は起こっていた。やがて雷鳴が轟き神木に雷が落ち…「雷祭」は始まった。
【事件の関係者】
- 朝木秋絵(あさき あきえ)
CV:今井由香
一たちの元クラスメイト。
元々雲場村の出身で、父親の急逝に伴い村へ戻ってきた。
父の影響で陶芸の技術自体は学んでいるが、時雨の方が優れていることを認めており、血の繋がりがない妹の時雨を溺愛している。
一方でアニメ版では、春子曰く時雨の才能に嫉妬しているらしかったり、時雨を前に静かに涙を流すなど、彼女に対して複雑な感情を秘めている。
- 朝木春子(あさき はるこ)
CV:野沢由香里
秋絵の叔母。派手な出で立ちをした女性。30歳前後。
村には久々に帰って来た。派手好き。愛車はポルシェ。
ややヒステリック気味で、葉月と時雨の存在を毛嫌いしている。
これだけ見ると嫌な人だが、唯一の血縁である秋絵を気遣っており、秋絵も春子に悪い感情を抱いている様子もないので印象ほど冷淡な人間ではないようだ。
そして、その理由は後に…
アニメ版では東京でブティックを開いているという設定になっている。
- 朝木葉月(あさき はづき)
CV:池田昌子
秋絵の義母。40歳前後。和服を着た色っぽい大和撫子であり、武藤曰く「お乳も大きい」とのこと。冬生の死後、武藤と親密な関係になる。
第一発見者ゆえに事件の容疑者として連行される。だが警察の聴取に対しては、疚しい事がなければ普通はしないはずの『黙秘』を貫く。
- 朝木時雨(あさき しぐれ)
CV:寺田はるひ
葉月の連れ子で、秋絵の義妹。
華奢な体と、白く透き通った肌を持つ少女。エロい。
体が弱く、村の外へ出たことがないらしい。
儚い印象の割に主張は意外に強く、春子に辛辣な対応を見せたかと思えばセミの羽化時には励ます様な言葉を口にする。
アニメ版では写生が趣味なのか時折スケッチブックに絵を描いている様子がうかがえる。
- 武藤恭一(むとう きょういち)
CV:難波圭一
朝木家に居候している昆虫学者。雷が大嫌い。職歴なし。
屋敷内の離れに住んでいる。以前は春子と交際していたが、冬生の死後すぐに葉月に乗り換え、蜜月を繰り返している(初登場時もいつものように関係を迫っていた)。
一応、昆虫学者の端くれで知識を語る際には雄弁となり、蝉のコレクションが自慢。その他、空蝉(蝉の抜け殻)をついつい集めてしまうらしい。
雷祭の最中、離れで何者かに撲殺され、死体には大量の空蝉がぶちまけられていた。
なお、中の人は今回は登場していない佐木竜太/竜二と同じ。
【レギュラー陣】
- 金田一一
毎度おなじみ主人公。
秋絵に誘われ雲場村へ向かう途中、時雨と出会う。
雷祭に参加するが、その中で事件に巻き込まれる。
- 七瀬美雪
毎度おなじみヒロイン。
アニメ版でやたら可愛いと評判。
【その他】
- 赤井(あかい)
県警の刑事。
一の意見に全く耳を貸さず、朝木葉月を容疑者として連行する。
最後には一の推理力を認め、互いに「赤井のオッサン」「金田一」と呼ぶ間柄になった。
- 朝木冬生(あさき とうせい)
CV:菅原正志
陶芸家。秋絵の父。
優れた陶芸家として名をはせたが、事故で急逝したという。
アニメ版では武藤の集めた空蝉からひらめきを得て最高傑作『空蝉』を創り出す事に成功したらしいが、それ以降は『空蝉』を超える物を創る事が出来ずにスランプのあまり『空蝉』を憎み出すようになり、遂には『空蝉』を割った上で火掻き棒で喉を突き自殺したらしい。
だがその一方で自殺の可能性を否定する日記の一部が発見されたり、その日記を何者かが密かに焼却しようとしていたりと、その死には謎が多い。
【以下、事件の真相… 更なるネタバレ注意】
- 朝木春子
この事件における表向きの犯人。
武藤恭一の恋人で、朝木冬生に頼み込み彼を居候させたのは彼女。
しかし冬生の死後、武藤が葉月に鞍替えしたことに嫉妬といら立ちを覚え、離れで口論になった際に彼を殴り倒してしまう。
その後、土地の性質からあえて地面に足跡を残す事で犯行時間を誤認させるというトリックを思いつき、痕跡を作ると言う普通とは逆の発想を用いた心理的盲点を突いたトリックで、葉月に罪を着せようとした。
皮肉にも、自分の痕跡を隠すために行ったトリックに使用した道具で犯行を見破られてしまうことになるのだが…
やっぱり、何もかもわかってらしたんですね、金田一さんは
武藤さんを殺したのは、
時雨さんです
- 朝木時雨
この事件における真犯人。
以前より武藤を毛嫌いしていた。冬生の死後、母・葉月に肉体関係を迫っている現場に出くわし、そのまま一部始終を見てしまう。
春子と武藤が言い争い、春子が灰皿で殴打、武藤が彼女を突き飛ばし双方が失神した現場を見た彼女は、春子が気を失っている間に武藤を撲殺し、彼女に全ての罪をかぶせる完全犯罪を思いつく。
だがその後、現場から立ち去る所を葉月に見られ、更に春子が葉月に罪をかぶせるトリックを実行してしまうという想定外の事態が起こってしまう。
一は葉月が警察で黙秘を貫いた事実から犯人が時雨であると推測したが、その後のトリックを使った犯人が春子以外には考えられなかったため、
時雨が春子に被せようとした罪を、春子が葉月に被せようとしているという二重の構造に辿り着かざるを得ない状況となった。
事件から三日後、持病の悪化によりこの世を去った。
元々彼女は何十万人に一人という難病にかかり、体が弱かったこともあって医者も匙を投げ、外にも出られず薬を飲んで生き永らえている状態だった。
彼女にとって最期になるであろうこの夏だけは外を出歩くことが許され、一と出会えたのもそのためである。
武藤と春子という自分たち親子に害をなす存在をまとめて始末し、母を重圧から解放する目的を成し遂げた彼女は、事件の後薬を飲むことを止めていた。
葬儀は身内だけで密やかに営まれ、その死は後に赤井を通じて一のもとへともたらされた。
物証もない推論だけで死者を犯罪者として告発することを避けた一により、赤井にはこの事実は知らされていないため、少なくとも彼女が起訴されることはないだろう。
金田一に惹かれていたようであり彼の前で浴衣の肌蹴た姿を晒しても全く動じず、雨が好きである事を語っていた。
- 朝木葉月
3年前、冬生に見初められて後妻となった。
冬生が再婚した理由は、娘の時雨をモノにするためであった。ある日、冬生が時雨を強姦(時雨の白い肌を陶芸のヒントに目論んでいたらしいので、性的な目的はなかったかもしれないが、それでも少女を裸にするのは性的虐待に該当する)しようとしている現場を見た彼女は、衝動的に冬生を撲殺してしまう。
警察に自首することを考えた葉月の前に武藤が現れ、殺人を隠蔽する代わりに肉体関係を強請されるようになった。娘を守るため言いなりになるしかなかったが、それは時雨の心にも密かに重圧を与えていたようである。
事件が終わり時雨が死んだ後、警察に自首することを決意する。
ただし、彼女の行為は、性的虐待をされようとしている娘を守るために行われた正当防衛と見なされる可能性が高い。
- 朝木春子
武藤を殴ったことは事実だがそれは致命傷にはならず、逆に武藤に弾き飛ばされて気絶してしまう。
目を覚ました彼女は武藤を殺してしまったと思い込んだが、トリックを思いつきその罪を葉月に着せることを思いつく。
まさか時雨も、自分が罪を被せようと思った女が今度は自分の母を陥れようとするとは、夢にも思わなかっただろう。
嫌とは――言えないハズですよね♡
- 武藤恭一
そのルックスで女を利用するだけ利用して捨てるチャラ男。
元々女癖の悪さは札付きであり、女性関係においてトラブルも多く起こしていたらしい。
春子の誘いに乗ったのも、冬生亡き後に葉月に取り入って莫大な金を手に入れるためであったと思われる。
さすがに未亡人を寝取るのは体裁が悪いので、「冬生の友人の弟」というなんとも回りくどいプロフィールを周囲に言いふらしていたという。
実は朝木家に近づいたのは、すべて金銭目的。都合よく冬生が亡くなり、春子から葉月に乗り換えた。時雨という弱味を握り、葉月に対して関係を強要していた。
結果的に「ミイラ取りがミイラになる」を体現した男である。
- 朝木冬生
武藤と並ぶこの事件の元凶。
秋絵と時雨に陶芸の技術を伝えたり、春子も血縁のない葉月と時雨に遺産が行くことに不満をあらわにするなど秋絵や春子にはどのような存在にと映っていたのかは定かではないが、悪い印象自体はなかったみたいだが、その実態はとんでもないロリコン親父だった。
陶器のように白く美しい肌を持つ時雨の体目当てに葉月と結婚。
表向き後妻の母娘には優しく接していたが、何故か肉体関係を持たず葉月は自分を女と見てくれていない事に疑問を感じていた頃、実は時雨に性虐待をしかけたところを逆上した葉月にブチ殺される。
イエスロリコン、ノータッチ。
流石にこれはまずかったからか、アニメ版では、ロリコンではないどころか死因・動機に至るまで徹底的に変更。
葉月との再婚は時雨目当てではなくなったようだが、再婚当時はスランプ真っ最中で荒れてたため二人からは戦々恐々とされていたようだ。
そんな折に時雨のスケッチブックから何かを感じた冬生は、彼女に陶芸を覚えさせる。
そしてその芸術センスの高さに嫉妬した結果、彼女を殺害しようとした所を葉月に殺害された。
嫉妬から時雨を殺そうとしたことも大問題ではあり原作以上に器が小さいと言わざるを得ない(陶芸家だけに)が、良くも悪くも芸術家らしい人物に改変。
アニメ化により、ある意味一番得をしたのは多分この人だろう。
- 朝木秋絵
事件の後、残った朝木家の人間は彼女一人となってしまったが、その後も上手くやっているようである。
一も結果的に唯一の血縁たる叔母を警察に送った事で恨まれる覚悟を持っていたが、逮捕後に恨んだ様子を見せず夏休みの最終日、一と美雪に自身が焼いた湯呑をそれぞれ贈った。
湯呑には秋絵と時雨の名を冠した「秋雨」という文字が刻まれていた。
アニメ版にのみ登場。
アニメでは原作と比べ、頑固で高圧的な態度は相変わらずだが、人情家的な一面も垣間見えるようになっており、一のこともなんだかんだ認めている様子。
早い話がツンデレ。
特にこの回では、一の家まで相談のためわざわざ出向いているのだが、この時の渋々ながらという様子が結構かわいい。
- 森島刑事
CV:宇垣秀成
長島警部の部下。
【余談】
ところでこのノベルブックの表紙、タイトルをよーく見てみると、
『金田一少年の事件“薄”』という致命的な誤植が存在する。
その他、扉やしおりも同様になっており、訂正の紙が挟み込まれている。
【原作とアニメの違い】
- 一と時雨が出会う場面から始まる。
- 葉月がバケツを使っているシーンを追加(もし葉月が犯人だとしたら空蝉をばらまく必要がない事を強調するため)。
- 朝木冬生は事故ではなく、自殺したという設定に変更。
- 朝木冬生が焼いた陶器の最高傑作「空蝉」が登場する。
- 一が美雪達の着付けの間、客間でウトウトし夢の中に朝木冬生らしき人物が出てくる場面が追加。
- 葉月と武藤の密会に、一が襖をぶち抜いて割り込む。
- 武藤は朝木冬生の「友人の弟」ではなく友人ということになっている。
- 武藤の仕事場での場面で春子が武藤に平手打ちをする。
- 武藤の死体を発見した葉月が気を失っていない。
- 赤井は登場せず、代わりに長島警部が登場する。それに伴い、雲場村の所在が長野県になる。
- 赤井が未登場のため、一から連絡を受けた剣持警部が赤井に一を捜査に協力させてもらうよう連絡する場面はカット。
- 一が朝木冬生の残したメモを発見する。
- ワンシーンのみ二三が登場する。
- 春子は警察に連行される前に自白している。
- 事件後に長島と会う場所が、一の自宅に変更。
- 春子が殴打した部分と、致命傷になった部分が逆になる。
- 時雨が死んだ日が事件の一週間後、葉月に会う日がその2か月後に変更。
- 前掲の通り、冬生が時雨を襲った理由が、自分よりも陶芸家として優れた才能を持っていたことによる嫉妬のために変更。
- 冬生の死因が頭部の殴打ではなく、喉を火掻き棒で突いたことによるものに変更。
- 時雨の死の詳細を聞く人物が、秋絵から葉月に変更。
- 秋絵から湯呑が贈られてくる場面はカット。
- 一がラストで心の中で問いかける相手を蝉から時雨に変更。
なあ、お前
お前の最後の二週間は、どうだった?
楽しく歌えたかよ
満足して、逝けるかよ
なあ……
追記・修正は蝉が脱皮してからお願いします。
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