登録日:2017/12/29 Fri 00:32:29
更新日:2024/02/16 Fri 13:12:05NEW!
所要時間:約 3 分で読めます
▽タグ一覧
巨人の星 星一徹 星飛雄馬 大リーグボール ツッコミどころ満載 根性論 バネ ゴム 拘束具 児童虐待 本編より先に立った項目 ギプス 大リーグボール養成ギプス 手の込んだイジメ
この悪魔みたいなギプスは おれの腕力を十分の一以下にしちまうんだからな
大リーグボール養成ギプスとは、巨人の星に登場するアイテム。
その名の通り大リーグボールを身に着けるためのギプスである。ギブスと間違える人がものすごく多い。
星一徹が幼い星飛雄馬に装着を強制した恐るべきアイテムである。ある意味呪いの品である
「ちゃぶ台返し」「コンダラー」と並ぶ巨人の星の象徴とも言える存在。
「巨人の星」を象徴するアイテムであり、そのインパクトがすさまじかったことから、多くの作品でパロディされている。
構造
一徹の「日常の一挙手一投足が訓練になっていれば、自ずと人並み外れた筋力がつく」という発想を元に製作されている。
恐らく革製と思われるベルト部である本体に、強靭なバネを接続した構造。
肩から二の腕にかけての部分と、肘から手首までの部分にバネは付いており、腕を動かそうとするだけで着用者は多大な負担を強いられる。
飛雄馬は幼い頃から日常生活の全てにおいてこのギプスの着用を強いられていた。ぶっちゃけ児童虐待以外の何物でもない。
飛雄馬はこのギプスのおかげで恐るべき筋力を身に着けており、結果的に一徹の教育方針は間違っていなかったことが証明されたのであった。
……反面、成長期の体に無駄に筋肉をつけてしまった為に、体格に恵まれずにボールが軽いという
ピッチャーにとって大きなハンデを抱えこまされてしまったのだが。
(余談だが「体格が小さいから球質が軽い」というのは当時の考えであり、現在のスポーツ科学ではこの説は否定されている。)
なお、バリエーションとして中日のコーチに就任した一徹がオズマに与えた「大リーグボール打倒ギプス」や、
飛雄馬が右投手として再起するための特訓用に製作された下半身バージョンの「右投手用」が存在する。
なおこれは本来極秘特訓であり、飛雄馬が冒頭の台詞でギプスの秘密を明かしたことが食事中に一徹にバレたことが、
前述したもう一つの巨人の星の象徴「ちゃぶ台返し」に繋がることになる。
問題点
……さて、現実的に見るとこのギプス、問題しかない。
①筋肉に負荷がかからない
そもそもの根本的な問題点。前述のようにこのギプスのバネは「肩~肘」「肘~手首」に接続されている。
しかし、実際に腕を動かすとわかるが、この部分は全くと言っていいほど伸び縮みをしないのだ。
革ベルトで多少動きは制限されるだろうが、腕を動かす上ではほとんど負荷になっていない。
負荷をかけるつもりなら、関節をまたぐように「肩~手首」を一本のバネで繋げる方が有効であろう。
(実際、インドで制作されたリメイク版『スーラジ ザ・ライジングスター』では肩~二の腕をゴムでつなぐ形に変更されている)
なお、大リーグボール打倒ギプスの場合は多すぎるバネ同士が負荷を打ち消しあってしまっている可能性が高い。
②肉が挟まる
飛雄馬のように素肌に直にギプスを装着した場合に起こる問題。
腕を動かす度に僅かに開いたバネの隙間に腕の肉が挟まるのである。痛い。
痛いのを我慢しながら毎日装着を続けた場合、最悪、腕の肉が壊死する可能性だってある。
③「筋肉に常に負荷をかける」トレーニング自体に意味がない
これは連載当時からスポーツ科学に関する常識が大きく変動しているため、ある意味仕方ない問題である。
連載当時は「トレーニングはすればするだけ効果がある、休憩などするだけ無駄」というスパルタ&根性論/精神論が幅を利かせていたが、
現代では「休息にはトレーニングと同じぐらいの重要性がある。筋肉は破壊と再生を繰り返すことで強くなるので、負荷をかけたら休むことが重要」というのが常識となっている。
飛雄馬のように食事の時も寝る時も常にギプスを付けているような生活では再生する暇がないので、筋肉が身に付くはずもない。…まぁ前述のようにこのギプスではそもそも筋肉に負荷がかからないので、正確には「破壊する暇が」ないのであるが。
ちなみに「空想科学読本シリーズ」でお馴染みの柳田理科雄氏も、「空想科学漫画読本」にてこの大リーグボール養成ギプスの研究&実験をした際に、
ものの見事に上記の問題点が全て露呈し、氏の腕の肉が犠牲になった。
他にも(構造上の問題を抜きにして)冒頭のセリフを検証した結果は、負荷を掛け過ぎであり逆効果と言う結論になった。
現実では、「バネを使ったトレーニング器具」自体は存在しているため、「それを常に身に着けられるように」という発想なのだろうが、
実際の所「トレーニング器具を常に身に着ける」こと自体が無意味である。
とはいえ、構造的な問題はあるにしてもロマンあるその見た目から、通販で買えたり自作する人もそれなりにいるようである。
ちなみに、実際に製作した前述の柳田氏いわく、バネ代660円程度で作れる意外と安いトレーニング器具であるらしい。
類似例
上にも書かれている通り、ツッコミどころ満載ではあるがロマンがあるため「常に負荷をかけ続ける」トレーニングは他の作品にも登場する。
使用者が人外である場合が多いため、負荷を掛けているというより力をセーブした状態で戦わせるというパターンになっているものもあるが。
呪霊錠(幽☆遊☆白書)
霊光波動拳 修の行。
幻海が浦飯幽助に使用。両手首を霊力で縛る。
幽助曰く「まるで鉛のバネみたいだ」とのことだが、筋力で伸ばすのではなく霊力を使うと言われているため、
もしかしたら霊力を鍛えるのに再生の時間を取る必要はないのかもしれない。
比古清十郎のマント(るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-)
マント自体は普通の布だが、重量37.5㎏の肩当と、筋肉を逆さに釣り背筋力を抑えるバネが仕込まれている。
これにより比古の並外れた身体能力をセーブしている。
テクターギア(ウルトラマンシリーズ)
ウルトラマンゼロがK76星でのウルトラマンレオとの修行の際に使用。
サロメ星人もダークロプスゼロに反乱防止のため使用。
きょうせいギプス(ポケットモンスターシリーズ)
そのものズバリなポケモンの育成用アイテム。
ポケモンに持たせると「すばやさ」が半分になるが、戦闘でもらえる基礎ポイント(高いほどステータスの伸びが良くなる)が2倍になる。
似た効果のアイテムに「パワーウエイト」や「パワーリスト」などのパワー系アイテムが存在する。
スーパーボディー養成スーツ(トータルファイターK)
捕手カオが生まれてから16歳まで着ていた、選りすぐられた蚕の丈夫な生糸を選りすぐられたゴムの樹液に三年間浸して織られたスーツ。
稽古中はもとより寝ているときも排便の時も16年間ずっと着たまま。ゆで理論ここに極まれり。
16年経つと自然と収縮力が弱まって脱げると言われていたが、実際には思ったより丈夫で着たまま他流試合に臨み、試合中に破れた。ついでに締め付けが急になくなったせいでウンコが我慢できなくなった。
こちら葛飾区亀有公園前派出所
飛鷹二徹が両津に使用。脚にもバネが仕込まれていて両さんでも油断すると腕が極まってしまう。
作中でも言われているが二徹自体が一徹のパロディであり、ちゃぶ台返しのためにちゃぶ台がチタン製だったり、
暗いというだけで火の玉でノックをしたりする。
大根性養成ギプス(ガクラン八年組)
秋桜会が開発した強力ギプス。長期間着用し根性で耐え抜いたとき、脅威的な力が身に着いているという。
[[養成するの根性でいいんですか>根性論/精神論]]
スケジュール何が何でも達成ギブス(クレヨンしんちゃん)
星さんなる隣人からのアイデアを経て北与野博士が開発したぐうたら矯正ギブス。
時間と実行内容を設定することで、指定時刻になると体が勝手に動いてその通りの行動を取ってくれる。
しかし一度設定したら最後、時間切れまで自力では一切解除できず、しかも天候や実行に必要な相手の都合なども考慮されないという完全な欠陥品。
作中ではしんのすけが好奇心から使用し一日の予定をすべて設定したが、そのせいで相手がいないグラウンドで一人シャドウ・サッカーをしたり、大嫌いなピーマンご飯を食べたり、(トイレの予定を入れていなかったので)オシッコを漏らしたりする羽目になってしまった。そして博士は設定ミスで一日中トイレに籠っていた
ちなみに北与野博士が大好きな『ドラえもん』の道具にも「タイマー」「スケジュール時計」など似たようなものがある。
重い道着(ドラゴンボールシリーズ)
ちょっと違うが、孫悟空やピッコロが使用。ちなみに前者の重量は推定で合計100kg以上。
類似例として亀仙流の修業で用いた20kg及び40kgの亀の甲羅もある。比古先生ならどちらもクリアできそうである
作品によっては重いバンドなどバリエーションがある。
リミッター解除
さらに違うが、ギプスを外す行為がアクション中に行われる場合、この要素も含まれる。
大リーガー養成バット&ボール(がんばれタブチくん)
もろパロディ。一言で言うとすさまじくでかいバットとボール。
監督いわく、でかいバットとボールに慣れておけば普通のボールが朝飯前になるらしい。
もちろんそんなわけがなく、発射された巨大なボールに押しつぶされるだけである。
バランス養成ギプス(キャプテン翼 海外激闘編 IN CALCIO 日いづる国のジョカトーレ)
日向小次郎が使用。
名前も見た目ももろに大リーグボール養成ギプスであるが、こちらはただ鎖だけ巻いている感じ。
やっぱり素肌に装着するのでオリジナルの問題点がそのまま付きまとう。さらにはもっこりに目がいく。
追記・修正は追記・修正養成ギプスを着けながらお願いします。
[#include(name=テンプレ2)]
この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,13)
▷ コメント欄
- 重力ならともかく、負荷をかけ続けるっていうのはいまだと、ね -- 名無しさん (2017-12-29 01:15:05)
- ダイレンジャーの亮も似たようなギプスを着けて特訓してたな -- 名無しさん (2017-12-29 02:50:36)
- ◯◯養成ギプスの元祖にして頂点。シリアスでもギャグでも、その後のパロディとしてのネタのされっぷりと、特訓ネタの派生を見るだにどれだけ『巨人の星』の影響力が大きかったのかが解るね。 -- 名無しさん (2017-12-29 03:13:19)
- 少なくても連載or放送当時でも虐待だよな?これ…… -- 名無しさん (2017-12-29 06:15:25)
- 問題点の1と2って本当に作成者が自分で考えた事なのかな。柳田理科雄先生の著書の育成ギプスに関する考察と全く同じ内容だけど -- 名無しさん (2017-12-29 06:27:24)
- ↑2 まだ生まれてもない時代だから詳しくは知らないが、一徹の根性論一辺倒の虐待染みたトレーニング方針は当時既に『時代遅れ』という認識だったらしい -- 名無しさん (2017-12-29 06:32:36)
- パワポケ9でイベントをこなしたら練習がギプスにパワーアップするけど、同様の指摘があったな -- 名無しさん (2017-12-29 07:01:04)
- 実際飛雄馬って選手生命短いしな… -- 名無しさん (2017-12-29 08:32:20)
- ↑4別に自分で考えたとか一言も書いてないし、他ソース引用しちゃダメとかいうルールもないからいいだろ。何がなんでもケチ付けたい奴か? -- 名無しさん (2017-12-29 09:29:37)
- 普通に星の身長が伸びなかった原因だよなぁ……どう考えても -- 名無しさん (2017-12-29 10:02:12)
- リメイク版の花形だと「そもそもピッチングに大事なのは体重移動を行うためのハムストリング。腕力を鍛えたところで何の意味もない。」とバッサリ斬り捨ててたな。 -- 名無しさん (2017-12-29 11:26:20)
- ↑当時ですらツッコミどころ満載なのに21世紀だと完全にギャグでしかなくなるからね。そら切り捨てるしかない -- 名無しさん (2017-12-29 11:40:25)
- 野球に限らずそれなりにスポーツ打ち込んでた人なら問題点には普通に気づくと思うけどな。特に今はネットの手伝いもあってスポーツ医学的な知識も浸透してるし。それこそ、世代ド直球な人たちなら上裸でエキスパンダーとかやってそうだけど。(自分は親父が持ってたのを試して服を挟んだ程度だが) -- 名無しさん (2017-12-29 11:44:26)
- 巨人の星って下手なギャグ漫画よりギャグ漫画してるよな -- 名無しさん (2017-12-29 11:48:37)
- じっくりと資料を集めて発進、も今以上に困難極まりなかった時代なので、この手の漫画は知識の仕入れもなく直感と印象で一本勝負、という風潮もあったらしい。 -- 名無しさん (2017-12-29 14:07:52)
- そもそも時代以前に星たちの環境が調べものとかできる環境じゃなかったし…… -- 名無しさん (2017-12-29 15:20:45)
- 確か空想科学読本の数年前にサンデーで読んだ漫画で親からこういうのを付けさせられた子供が「バネに皮膚が挟まって血豆だらけだよ!」と叫んで家出してた
- 作者がスポーツに関する知識に乏しかったからねぇ・・・(´・ω・`) -- 名無しさん (2017-12-29 21:37:47)
- ↑x3当時から図書館はあっただろう。 -- 名無しさん (2017-12-29 22:06:40)
- 突っ込み始めると結局は「ただの腕の骨圧縮器だこれ!」に帰着するわけですが -- 名無しさん (2017-12-29 22:56:21)
- 原作者の梶原一騎はスポーツ漫画描くのに知識が乏しいまま連載してた人だし -- 名無しさん (2017-12-30 03:45:59)
- 当時の制作スケジュール聞いたらまともに取材なんか出来なかったのは想像に難くないやね。説得力もリアリティーよりも物語としてのインパクトがあればよし、て感じだったろうし。 -- 名無しさん (2017-12-30 03:58:58)
- こち亀の両さんも着てたな、バネが強すぎて -- 名無しさん (2017-12-30 05:03:30)
- 筋力効果って言えば、コレか、重いリストバンドってぐらいだからなぁ。 -- 名無しさん (2017-12-30 05:42:19)
- ナルトのロックリーの重りもある意味これかな -- 名無しさん (2017-12-30 07:52:06)
- 類似例はよく見るとどいつもこいつも使ってるのが「人外」だったり、鍛えるのが筋肉以外だったりするからこっちは理にかなってるのかも。 -- 名無しさん (2017-12-30 12:50:21)
- 亀仙人の甲羅を背負って生活するだけの方が丁度いいくらい -- 名無しさん (2017-12-30 13:44:26)
- 花形が主役のリメイク作品があったけど、花形が科学的理由を述べたうえで「そのギプスは意味がない」って言ってたのが現代的だなと思った -- 名無しさん (2018-01-01 07:18:51)
- 上から4番目のコメント>>原作の時点で飛雄馬が「児童虐待だ!」と叫んでる。なのにあんま知られてなくて「虐待じゃねーかww」と突っ込まれる事が多いんだよね。この漫画は間違いなく60年代の倫理観に誤解を与えてる -- 名無しさん (2018-11-11 20:26:24)
- ↑2 なのにどういうわけか1球も打てず完敗する(決して花形は弱くないどころか年齢以上に強者であるにも関わらず)という・・・原作をなぞる以上飛雄馬を負けさせるわけにはいかないとはいえ傍から見れば理不尽 -- 名無しさん (2020-03-19 02:46:48)
- エアギアのイッキも似たようなのつけてたな -- 名無しさん (2020-08-13 21:10:15)
- インド版だとクレーム対策として自転車チューブを改造して作ったって設定なんだよね。 -- 名無しさん (2020-08-13 22:41:42)
- ↑4最初期の子供時代の教育方針が酷すぎただけで、通しで見るとそこまでぶっ飛んでるわけでもないんだよね一徹の指導って。最初期を除けば理論的なトレーニングを施したりチームワークの重要性を叩き込んだりしてるし。まぁプロ編で敵に回ってから息子の可能性をガンガン摘みに行ってるせいでその印象も吹っ飛ぶんだけど -- 名無しさん (2020-08-13 23:05:56)
- 比古清十郎のマントや亀仙人の甲羅みたいに極端に重い物を背負って生活すると肩腰膝にかなりの負担がかかる。肩こり腰痛どころかぎっくり腰になったり膝をぶっ壊したりして歩けなくなる可能性も -- 名無しさん (2021-10-10 07:54:14)
- 問題点①②なんてちゃんとした検証するまでもなくちょっと考えれば気付けそうなものだが… -- 名無しさん (2022-11-02 10:30:36)
- ちびまる子ちゃんの山根も父の手で「力こぶ養成ギプス」を着けられていた事があったがあれは砂の重りを入れただけ。 -- 名無しさん (2022-11-02 13:49:15)
- 超速スピナーの凄く重いヨーヨーのヘビーブレイン(アニメじゃ重いリストバンド)もこの枠に入るんじゃないかな? -- 名無しさん (2023-02-13 08:37:04)
- 単に重いものだといくらでも出てきそう(ここまで出てるの以外でもリンかけとかテニプリとかイナズマイレブンとかまあ色々)から、やっぱりバネ使ってないと類似例として弱いな。 -- 名無しさん (2023-02-13 09:01:19)
- そもそも父親は土方で、戦争の混乱期考えると多分中学レベルの学力も怪しい -- 名無しさん (2023-06-23 07:39:37)
#comment
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧