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統合戦略1 関連テキスト
全ての果てには、ただ広い荒野が広がっている。塵埃積もる大地は、灰色の濃霧が立ち込める大気に覆われている。密林も、騒がしい荒野の人間もなく、一面の無の世界がそこにあった。
彼女は果ての無い荒野を見つめ、この絶対的な静謐に身を託す。今までの冒険と疲弊は全て意味を失った。彼女は道の終点、旅の終焉に到達した。
その瞬間空が溶けて、滝のように落ちてくる。地面は柔らかくなり、ゆっくりと不規則な形状にへこんでゆく。
霧が綿のように万物を掠め、地平線が歪む。全てが融合し始め、薄らいでいく。
人智では知りえぬ遠い深淵には、極彩色の、綺麗で、名状しがたい光の束が迸る。
光は段々と人の形になり、混沌とした空間の中で上下に跳ねなから浮かんでいる。まるで美しい狂宴のように彼女を誘い入れ、形のない光の中で浮遊する。安寧と混乱は共存している。
そして灰色の迷霧はいくつかの固い岩に変形し、彼女の頭に痛恨の一撃を入れた。
彼女は墜落していく感覚に包まれた。まるで自分が岩と一体化したような、あるいは自分が岩であったかのようだ。
手を伸ばそうとすると、迷霧と燦々たる光が徐々に消え去り、安寧と混乱はなりを潜める。
目を開けると、目の前にいたのはよく知っている人たちだった。仲間たちが不思議な顔で彼女を見つめている。
ここは現実なんだろうか。頭痛が彼女に訴えてくる。
辺りを見回し、仲間たちの目線と慣れない環境に、彼女は笑顔をこぼした。
夢の中のすべてが、彼女の小さな頭から消えていった。
以前も、彼女はこんな風に楽しく笑って。
全ての果てには、ただ広い荒野が広がっている。塵埃積もる大地は、灰色の濃霧が立ち込める大気に覆われている。密林も、騒がしい荒野の人間もなく、一面の無の世界がそこにあった。
彼女は果ての無い荒野を見つめ、この絶対的な静謐に身を託す。今までの冒険と疲弊は全て意味を失った。彼女は道の終点、旅の終焉に到達した。
その瞬間空が溶けて、滝のように落ちてくる。地面は柔らかくなり、ゆっくりと不規則な形状にへこんでゆく。
人智では知りえぬ遠い深淵には、極彩色の、綺麗で、名状しがたい光の束が迸る。
光は段々と人の形になり、混沌とした空間の中で上下に跳ねなから浮かんでいる。まるで美しい狂宴のように彼女を誘い入れ、形のない光の中で浮遊する。安寧と混乱は共存している。
そして灰色の迷霧はいくつかの固い岩に変形し、彼女の頭に痛恨の一撃を入れた。
彼女は墜落していく感覚に包まれた。まるで自分が岩と一体化したような、あるいは自分が岩であったかのようだ。
手を伸ばそうとすると、迷霧と燦々たる光が徐々に消え去り、安寧と混乱はなりを潜める。
目を開けると、目の前にいたのはよく知っている人たちだった。仲間たちが不思議な顔で彼女を見つめている。
ここは現実なんだろうか。頭痛が彼女に訴えてくる。
辺りを見回し、仲間たちの目線と慣れない環境に、彼女は笑顔をこぼした。
夢の中のすべてが、彼女の頭から消えていった。
しかしその時、彼女は自分が何かを手にしているのに気付いた。
――袋にパンパンに詰まったはちみつクッキーだ。
すべては、本当に夢だったのだろうか?
神殿の果てでは、はちみつクッキーで敷かれた道が深い空へとこぼれ落ちていっていた。甘い香りがケオベに歩みを促す。顔を上げると、空はぱっと明るくなった。
深い空へと歩いていくその刹那、景色が一変し、虚無の中から古の囁きが聞こえてくる――帰ってきた! 帰ってきた!
声が響くと凍土と砂利が退き、今まで見てきた数多くの山々と川が、パズルのように彼女の歩みの跡に勝手に寄せ集まってくる。
目の前に玉座が佇んでいる。それが自分の玉座だと、彼女は何故かすぐに気付いた。
彼女は玉座に座った。硬くて座り心地が悪い。キノコの王冠が目の前に浮かんでいる。彼女はそれを取って頭に乗せた。次の瞬間、目の前の景色が激変した――
見渡す限りの荒野は黄砂が空を支配しており、草木が一本も生えていない。何もかも、ロドスに来る前の見慣れた光景だ。
俯くと、自分が獣の懐で寝ていることに気付いた。
獣、巨大な獣。それが望まない限り、誰もそれの姿を見ることが出来ない。しかしケオベは見た。混沌とした思慮の中で、それを見た。
彼女は好奇心でその毛に触れた。野性的な感触だ。
獣はまるでわが子に返事をするかのように、慈しみ深く彼女を見つめる。ケオベはふと、血の繋がりを嗅ぎつけ、そして悟った――彼女は家に帰ってきたのだ。
獣は彼女を乗せ、地平線に向かって走っていく。周りの景色は散り散りとなり視野から消え、偽りの大地だけがその知覚し得る荒野に取り残された。
彼女はゆっくりと荒野の一部となり、大地の血脈に溶け込み、土となり、道となってゆく……
彼女はこの大地で、永生の存在になった。
ケオベの顔に温かい感触が伝わってくる。何かが彼女を舐めているようだ。
彼女が目を開くと、目の前には何もなく、周囲にはただカラフルな色がちりばめられているだけ。
足元を見て、彼女は喜んだ。自分が大きなはちみつクッキーの上に立っている事に気付いたからだ。
そして1つ、2つ、3つとはちみつクッキーが道となり、とある方向に伸びてゆく。
どこかで不思議な力が自分を呼んでいるように感じて、彼女は歩き出した。
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