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エイプリルフール 関連テキスト


[エンペラー] 腰低くしてりゃつけ上がる輩

[エンペラー] よく考えな、誰が勝者か

[エンペラー] 老人は今のうち家に帰りな

[エンペラー] 腰痛で杖を落とす前にな

[鼠王]肩書きは19冠、わめき散らすペンギン

[鼠王]なら帰ってやっとれ、宅急便の親分

[鼠王]MC.グレイが黙らす減らず口

[鼠王]次回に期待、まだ生意気か

[エンペラー] お前は6060からフローを教わりな

[エンペラー] ゴーストライター料金なら180万だ

[エンペラー] 悪く思うな、スキルで持ってくぜ形勢

[エンペラー] 光る照明、楽しみなせいぜい


[鼠王]お主の腕前は認めよう

[鼠王]ワシの番じゃ決めてやろう


[熱狂的ファン] 終わった……

[ファン?] ふうっ。クラクラするぜ。

[感激したファン] やったぁ!エンペラーさんの勝ちだぁ!

[エンペラー] 当然の結果だ!

[エンペラー] どうしてお前らは勝てると錯覚しちまったんだ?みんな年で目がかすんだか?それとも頭がイカれちまったのか?

[エンペラー] まぁいい、番組としては中々悪くなかったな。前のうわべだけのコンテストと比べて随分それらしくなった。

[エンペラー] それと、さっきの挑戦者の中に怪しい奴が混ざってなかったか。まったく、お前らの人選のレベルはクソだな。

[司会] それもサプライズの一環ですよ。いい演出になったでしょう。

[大御所ミュージシャン] わしも良かったと思うぞ。面白いじゃあないか。

[エンペラー] おい。他の奴はおいといて、なんで老いぼれ鼠がそこに座ってるんだ?

[ハスキー・サイクロン] 長いこと立っておったから、足腰が立たなくなってな。

[エンペラー] けっ。じゃあどうしてすぐに老人ホームに帰らねぇんだよ。

[司会] えーとにかく、バトルの優勝者はエンペラーさんです。おめでとうございます!

[司会] 勝者には唯一無二の記念像を準備しています。鑑賞用としてもコレクション用としても非常に価値あるものです!

[大御所ミュージシャン] うーむ、正直言って、タダでも要らんわい。

[ハスキー・サイクロン] 確かにな。家に飾ったら悪夢にうなされそうじゃ。

[エンペラー] そりゃあお前らに見る目がねぇからだろ!

[エンペラー] まぁいい。俺はいいから、あのチビどもにやってくれ。あいつらのビートは悪くなかった。このエンペラーと一緒に舞台に上がるチャンスなんてそうそうないんだ、記念を残さないとな。

[感激したファン] いいんですか!?

[エンペラー] 騒ぐなよ。俺がいいって言ってるんだからいいに決まってるだろ。

[エンペラー] この件は俺の一存で決める。なんだ、まさかまだ分かってない奴がいるのか?仕方ねえ。最後にまだ情況が飲み込めてない奴らのために教えてやるか。これが最後だからな!

[エンペラー] よく聞けよ。それから俺の名前を叫んで、俺を崇拝しろ。

[エンペラー] 俺こそが、この場に立つ唯一の真理だ。

[エンペラー] この舞台上では——俺が絶対だ!


ファッションブランドMartheプレゼンツ——木曜日のフリースタイル『ロイヤル・トゥ・ザ・ビーツ!』ラップ・ナイトへようこそ!

早速今期の王者を迎えましょう。ベイサイドのヒットメイカー、エンペラー———!彼には再び新たな挑戦者を迎えてもらいます……この方々です——

[エンペラー] ロジック、筋道、常識、習慣。

[エンペラー] そういうモンにとらわれてる奴らが多すぎる。だが哀れにも空気を読み、どこにでもいる至極凡庸な人間を演じて何が楽しいってんだ?

[エンペラー] なぁ、教えてくれよ。

[エンペラー] ヘルシーな朝食はどうしてあんなにマズいんだ。コータスにはみんなあんなに長い耳が生えてんのか?その報告書は絶対に今日書き終えなきゃいけねぇのか?1+1の答えは一つだけなのか?

[エンペラー] くだらねぇ。

[エンペラー] 実にくだらねぇ!

[エンペラー] 音楽に必要なのはそんな単調で古くせぇモンじゃねぇ。もっとアツいモンだ。フィーリングや直感、パッションなんだよ!

[エンペラー] 飛び散る火花、インスピレーション、爆発、意外性!そういうモンが、よく練られたショーよりも人を圧倒し、完璧なステージよりも注目を集めるんだ!

[エンペラー] くだらねぇ習慣や常識やロジックは捨てちまえ。今は思い切り叫べ!

[エンペラー] ここに立ってんのは真理、そして奇跡だ。

[エンペラー] ——それがこの俺だ!

[感激したファン] エンペラーさんだ!本物のエンペラーさんが喋ってるぅ!

[感激したファン] 夢じゃないよね?お、終わったらサインをもらいに行ってもいいかな……

[ファン?] おい、気を付けろ。息が止まってるぞ。呼吸しろ呼吸——

[感激したファン] すぅ……はぁ……

[ファン?] マジで大丈夫かよ?あのスーパースター、とんでもねぇことしでかしそうだな。

[熱狂的ファン] 心配するな。それこそがエンペラーのステージだ。本当に爆発を起こしたとしても、それも彼のステージングの一部だ!

[ファン?] マジかよ……

[エンペラー] 這い上がりたい新人ども、すまし顔の審査員たち、代わり映えしない時代遅れな評価。他に何がある?

[エンペラー] おい、わざわざ俺を呼んでおいて、この番組はあくびが出るほどくだらねぇセッティングしかしてねぇのか?

[司会] もちろんそんなことはありませんよ。

[司会] 安心してください、エンペラーさん。あなたに変わって特別にサプライズをご用意しています——

[???] 茶番はそこまでだ。

[エンペラー] あん?

[未来のラップスター] 目も当てられんパフォーマンスじゃな、エンペラー。

[未来のラップスター] お主はトラックも、リリックすらも浅すぎる。そんな駄作、ワシなら一日に20曲は書けるぞ。その時代遅れなフロウは70Percentと共に落ち葉の山に掃き捨てられるべきじゃ。

[未来のラップスター] この新人が皆に今の音楽シーンの潮流を見せてやろう。お主も最新のラップを目の当たりにするんじゃな。

[エンペラー] ちっ、外しちまった。わりぃな、命中させられなかったのは俺の失敗だ。

[エンペラー] おいおい、なんだよ。ムカつく口ぶりだな。

[エンペラー] 誰が老いぼれ鼠を舞台に上げたんだ?ラップ界の新人だって?アツい新人がいるなんて話はここ最近聞いたことがねぇぞ?

[司会] エンペラーさんは長い間音楽シーンをチェックしていなかったのでは?

[司会] 最近は多くの才能あるMCが出てきて、うち何人かはかなりのファンの支持を獲得しています。決して侮れませんよ。

[司会] 「ハスキー・サイクロン」さんは、その新人たちの中でも最も人気があるんです。

[エンペラー] ダセぇ名前だな。毛が抜け落ちちまいそうだ。

[ハスキー・サイクロン] そうか?ワシは悪くないと思うがな。

[ハスキー・サイクロン] 人は見かけによらぬものよ。それに他人の名前をむやみにディスるもんじゃあない。このハスキー・サイクロンa.k.a.MC.グレイがそれを分からせてやろう。

[大御所ミュージシャン] ほう。お前さんたち、そんなに仲が良かったのか?じゃがわしを無視するのはやめてくれんかのう?

[大御所ミュージシャン] おーい、ここじゃよ!

[大御所ミュージシャン] どうして誰も大先輩を敬わんのじゃ。歓声と拍手はどこじゃ?あのアルバムの売り上げは嘘だったとでも?わしはミリオンセラーを叩きだしたんじゃぞ!

[大御所ミュージシャン] おい、若造たち。手を貸してくれ、わしを引き上げとくれ。

[エンペラー] この無名の軍団がお前の用意したサプライズか。俺の勘違いか?ドッキリじゃないんだな?

[司会] 見てのとおり、この方々が今回の「挑戦者」です!

[司会] 我々がブッキングしたMCは一人に止まりません。音楽界の第一線で活躍し続けているベテランから注目の新人、他にも多くのシークレット・ゲストがいますよ。お楽しみに!

[司会] 彼らの、ラップ・ゴッドへの挑戦が今始まります!

[感激したファン] あれは……最近有名になってきた新人MCだぁ!

[ファン?] うん?あの後ろから出てきた奴、動画で見たことがある気がするな。今回の勝ち抜きバトルはこんなに大物揃いなのか?

[感激したファン] わぁ、もうすぐ始まるみたい!エンペラーの出番かな!?

[熱狂的ファン] 今日は来て正解だったな……行こう。もっと前で見るぞ!

[エンペラー] ……。

[エンペラー] いいだろう。面白い。

[エンペラー] 俺に挑戦してくる身の程知らずは大勢いるが、お前らがそいつらとはひと味違うことを祈ってるぜ。あんまりガッカリさせるなよ!

[エンペラー] それで、どういう形式をご所望なんだ?いっぺんに来るか、それとも一人ずつか?俺は時間がかかってもかまわねぇ。

[ハスキー・サイクロン] ワシも時代の波に乗れない古株に衝撃を与えてやってもかまわんぞ。

[大御所ミュージシャン] 待て待て、その時代遅れとやらにはわしも入っておるのかの?

[エンペラー] ちょっと待った。いいことを思いついた!せっかくだから難易度を上げようじゃねぇか。それでこそ面白くなるってもんだ!

[司会] エンペラーさん、必要なものがあればすぐに手配しま……

[エンペラー] 問題ない。そんな面倒なことじゃねぇさ。

[エンペラー] お客さん。そうだ、あんたらだ。ここへ上がってきてくれ。

[感激したファン] えっ!?わ、わたし?

[熱狂的ファン] 何か手伝えることは?

[エンペラー] 楽器はできるか?できなくても問題ねぇ。この先どうなろうと、何が実力の差かをこの場にいる全員が知ることとなる。この俺のスキルでな!

[大御所ミュージシャン] これが難易度アップか?素人にビートを刻ませて、即興でパフォーマンスをすると?

[ハスキー・サイクロン] ふん。驕りおって。

[感激したファン] ほ……本当に私たちでいいんでしょうか……

[エンペラー] 気楽にやってくれ。多めにパーカッションを刻むんだ。あとのことは俺に任せろ。ドラムを叩き壊しても俺が弁償するから安心しな。

[エンペラー] どんなビートだろうと、最後は全て俺の旋律の一部になる!

[ファン?] ほう、自信満々だな。

[ファン?] 面白い。気に入ったぜ、ラップ・キングさんよ。

[エンペラー] 話し過ぎたな。さぁ!グズグズしてねぇで、俺の堪忍袋の緒が切れる前に、全員目の前に来な!

[エンペラー] DJ——

[エンペラー] ——ドロップ・ザ・ビート!


[クロージャ] ドクターおつかれー。何ぼーっとしてるの? どうだった?

[コンビクション] この者はきっと深く震撼しているところなのだ。落ち着くまで待ってやるのが慈悲というものだ。

[選択肢1]物の見事に時間を無駄にしたというわけか?

[選択肢2]……

[選択肢3]おかしい。またプレイしたくなってきた。

[選択肢分岐1,2,3]

[コンビクション] 貴様からは困惑の感情が伝わってくるのである。

[コンビクション] やはりな。貴様の芸術に対する感受性と鑑賞力に、あまり期待しすぎるべきではなかったか。

[コンビクション] 何か質問があるなら申してみるがよい。

[選択肢1]どうやって「芸術は不滅! 正義は不滅!」を感じれば?

[選択肢2]「ほどよい難易度とゲームバランス」はどうした?

[選択肢3]綺麗なグラフィックとリアルなキャラはどこに?

[選択肢分岐1]

[コンビクション] ロドスの戦術指揮官でありながら、何と愚かな質問であるか!

[コンビクション] この私を模したキャラクターがゲーム内に現れたであろうが?

[選択肢4]......

[選択肢分岐4]

[コンビクション] この私――「芸術」と「正義」の継承者であり守り人、そして代弁者たる断罪大師様が決して倒れさぬように守りながらボスを倒す……それの意味するところがわからぬのか!

[コンビクション] ――それはつまり、芸術と正義は未来永劫決して倒れないということなのである!

[選択肢分岐2]

[コンビクション] 何か文句でもあるのか?

[クロージャ] ドクター、あたしがいっつもランキング上位にいるからって、必ずしも難易度曲線に問題があるだなんて言えないんだよ。

[クロージャ] へへっ、何たってあたしは開発者だからね。他の人より上手で当然でしょ!

[コンビクション] ロドスの戦術指揮官たるもの、人を疑う前にまずは自分の実力を疑うべきだろう!

[コンビクション] 今すぐ貴様に断罪を下したい気分である!

[選択肢分岐3]

[コンビクション] 言ったであろうが。我々はシー女史にアートクリエイターをお願いしたのだぞ。

[コンビクション] ……今のところは同意を得られてないがな。

[コンビクション] しかし遅かれ早かれ、いずれは同意が得られるであろう。芸術を愛する者ならば抗えぬ提案であるからな。

[選択肢分岐4,2,3]

[クロージャ] まぁ、このゲームは現状ただのテスト版だからね。テストプレイが一通り終わったら、みんなの意見を取り入れてどんどんブラッシュアップしていくつもりだよ。

[クロージャ] もし何かアイデアがあったら遠慮なく言ってみてね。プレイヤーの意見ってすっごく大事なんだから。

[選択肢1](興奮)まだ仕事が終わってないから、感想は後ほど。

[選択肢2](冷淡)まだ仕事が終わってないから、感想は後ほど。

[選択肢分岐1,2]

[コンビクション] では今は先に戻るがよい。だが今夜貴様の部屋を訪ねるから覚悟しておくようにな。今や貴様も私の同志となった。そして私には、同志の美的センスを磨く義務があるのだ!

[コンビクション] 芸術への無理解も、また一種の罪業であると覚えておくがよい!

[イフリータ] おっ……ドクター!

[イフリータ] オマエもクロージャに呼ばれてゲームのテストプレイか?

[イフリータ] もうプレイしたのか? 何てゲームなんだ?

[選択肢1]弾丸妖精……何だっけ。

[選択肢2]ソルジャー……何とか……要塞。

[選択肢3]……何たらアップルとか何とか。

[選択肢分岐1,2,3]

[イフリータ] ……

[イフリータ] まあ、とりあえずやってみるわ……

[クロージャの声] ようこそイフリータちゃん! 『弾幕要塞!ソルジャーズ・アッセンブル』の五十三人目のプレイヤーとして歓迎するよ!

[コンビクションの声] 『弾幕要塞!ソルジャーズ・アッセンブル』のメインプランナー兼美術顧問として、貴様に本作のデザインコンセプトとアピールポイントを説明してやろう。耳かっぽじってよく聞くのである! ……

[選択肢1]イフリータ、頑張れ……!

[選択肢分岐1]


[コンビクション] 秘密は漏らしてはいないであろうな?

[クロージャ] うん。システムに作業記録は残してないし、人目を避けて作業してたからたぶん大丈夫……

[コンビクション] IDが隠れていないではないか!

[クロージャ] あれ、ホントだ! もう一回やり直して、と……

[???] よし、よくやった。

[???] うううっ、何日も夜なべして、ついに――

[???] なにをそんなに感動しておる。この私の助力があれば成功は必然であろう。それに、まだテストプレイの準備が残っておるのだから気を抜くでない。

[???] あー、忘れるところだったよ! テストプレイは肝心要だからね……みんな連れてくるつもりだけど、もし嫌がる人がいたら……

[???] これはしたり! テストであろうと、誰しもが資格を得られるわけではないのだぞ。選ばれるだけで名誉だというのに、嫌がる者などおらぬわ!

[???] それもそうだね……よーし、みんなのリアクションをバッチリ撮影しちゃおう!

[???] ふふふ……愚昧なる者どもめ、恐怖、震撼、当惑、狂気、憂慮の洗礼を受けるがよいわ!

[クロージャ] ……

[クロージャ] とにかく、ドクターはテストプレイヤーに選ばれたってわけ。

[クロージャ] あたしたちの――

[クロージャ] 『弾幕要塞!ソルジャーズ・アッセンブル』のプレイヤーにね! おめでとう!

[選択肢1]……帰っていい?

[選択肢2]光栄だな。で、それは何なんだ?

[選択肢3]そのタイトル誰がつけたんだ?

[選択肢分岐1]

[コンビクション] 何だその反応は!

[コンビクション] 指揮官のくせに体が弱っちいのはまあいいとしても、芸術に対する尊敬と憧憬がないとは不届き千万である!

[コンビクション] 貴様の協力を仰ぐつもりでなければ、即断罪しておったわ!

[選択肢分岐2]

[コンビクション] その態度、とりあえず気に入ったものと受け取っておこう。

[コンビクション] ふん、だがあまり図に乗らぬことだな。

[選択肢分岐3]

[コンビクション] 聞くまでもなかろうに……名付け親はこの私――溢れんばかりのインスピレーションとイマジネーションを我が身に宿す、断罪大師様である!

[選択肢分岐1,2,3]

[選択肢1]クロージャ、これが「急を要する案件」なのか?

[選択肢分岐1]

[クロージャ] まあまあ聞いてよ。最近オペレーターたちからこんな意見が出てるんだ――「数ヶ月続くこともある外勤任務では、長期的に過酷で危険な環境に晒されるため心身に多大なストレスがかかる」ってね。

[クロージャ] 本艦の外だと、コンディションを整えるのも一苦労だからねー。

[選択肢1]クロージャがまともなこと言ってる!

[選択肢2]君が真剣にロドスの労働環境について考えるとは!

[選択肢分岐1,2]

[クロージャ] ちょっとドクター、何そのリアクション。あたしはいつだって真面目なんだから……

[クロージャ] とにかく、それで通信端末をアプデする案を思いついたの! 具体的には、インタラクション機能の最適化とUIの改善をして、ついでに娯楽プログラムもインストールしちゃおうって!

[クロージャ] そしたらみんな仕事もプライベートも充実すること間違いなし!

[クロージャ] ――なんだけど、一番の悩みどころは……

[選択肢1]通信端末をどうやってアップデートするか、か?

[選択肢2]端末を十分に活用してもらうにはどうすべきか、か?

[選択肢分岐1,2]

[クロージャ] いやいや、どんなゲームをインストールするかってことに決まってるでしょ。

[選択肢1]......

[選択肢分岐1]

[クロージャ] つまり、今回のゲーム開発は、みんなの今後のモチベーションに影響するんだよ。これが「急を要する案件」じゃなきゃ何だって言うの?

[クロージャ] こちとら早く仕上げるために、わざわざコンビクションにも協力をお願いしたんだから。

[コンビクション] うむ、近頃は断罪すべき罪もなく手持ち無沙汰だったのでな。このくらい朝飯前である。

[コンビクション] とにもかくにも、『弾幕要塞!ソルジャーズ・アッセンブル』は初期開発を終え、心昂るテスト段階を迎えたということだ。細かい説明は不要であろう。

[選択肢1]つまりそのテスト要員として呼ばれたのか。

[選択肢分岐1]

[クロージャ] そうそう。正式リリースしたらプレイヤーも殺到するだろうし、今のうちにちゃんと負荷テストをしとかなくちゃ。

[クロージャ] あー、ついでにファンの熱意に応える予行練習もしときたいから、良いと思ったポイントがあればどしどし絶賛の言葉を浴びせてね。心の準備はできてるから!

[選択肢1]なんとなく不服だけど、やってみよう。

[選択肢2]確かに一理ある。それじゃあ始めよう。

[選択肢分岐1,2]

[コンビクション] ちょっと待った! そう急くでない!

[コンビクション] 『弾幕要塞!ソルジャーズ・アッセンブル』のメインプランナー兼美術顧問として、貴様に本作のデザインコンセプトとアピールポイントを説明してやろう。耳かっぽじってよく聞くのである!

[コンビクション] 本作の着想は、初代断罪大師の体験談から得たもので……

物語は古代王国「アガモン」にて幕を開ける。

ある日、邪悪なる芸術家たちが王国の統治者の席を奪った。彼らは高度な芸術の創作を統治者だけの特権とし、全国民にトマトだけを食すべしと命じた。

そうして慎ましく暮らしていた国民だったが、やがて市民層の芸術家たちが精神的貧困と身体的不調に耐えかね、ついに手に持ったトマトを邪悪な芸術家たちへと投げつけ始めた。

それはある四月の一日のこと、無数のトマトが空を飛び交ったそうな。

[クロージャ] なんか前に言ってたのと違う気がするんだけど……

[コンビクション] そうだったか?

[クロージャ] まぁいいや……続けて。

[コンビクション] ふん、とにかく、クロージャからゲーム制作の話を持ちかけられたときに、私の脳裏には瞬時にその光景が浮かんだのだ。

[コンビクション] その着想をもとに、クロージャが自らの魂と美しき哀愁を込めた芸術的構想を見事に具現化したというわけだ。これぞ匠の精神の融合である。

[コンビクション] つまり、テスト版といえど、既に至高の作品として仕上がっているのである。

[コンビクション] 操作感も抜群で、ストレスフリーであるぞ。

[クロージャ] 当然だね。

[コンビクション] 難易度は程よく、ゲームバランスも素晴らしい。コアユーザーの期待にも背かず、比較的ゲームが苦手なプレイヤーも手を付けやすいよう配慮されているのである。

[クロージャ] へへーん。

[コンビクション] さらに我々はシー女史にもアートクリエイターとして協力を要請したのだ。

[クロージャ] ……

[クロージャ] ……今はまだ承諾してもらえてないけど。

[クロージャ] 今はまだ、ね。

[コンビクション] と、とにかくゲーム内では、とてつもなく綺麗なグラフィックと超リアリティ溢れるキャラクターたちが待っているのだ。

[コンビクション] 間違いなく強烈な没入感が得られることであろう。手に握るは汗、心に生ずるは賞賛というわけである!

[選択肢1]……

[選択肢2]とても楽しみだ。

[選択肢3]わかった、じゃあさっさと始めよう。

[選択肢分岐1,2,3]

[クロージャ] よし、じゃあこっち来て。

[コンビクション] ちょっと待つのである!

[クロージャ] もー、今度は何?

[コンビクション] 話は終わっておらぬ! まだ最も重要なことを話しておらんのだ!

[コンビクション] ウォッホン……ゲームとはただの遊戯にあらず、一種のアートなのである。彫刻や文学、絵画などと同様に、作者の理念と思想がその中に注ぎ込まれるのだ。

[クロージャ] (小声)え? 理念とか思想とか……なんのこと?

[コンビクション] む? クロージャ、貴様はまだ感じ取れていなかったのか? そんな調子では相棒失格であるぞ!

[クロージャ] ……

[コンビクション] 我らの理念と思想はこうだ――「芸術は不滅なり」! そして「正義は不滅なり」! 以上、順不同である!

[コンビクション] ゲームキャラクターのデザインやアクションはすべて私の断罪拳法を元に作られており、その優雅さは明々白々!

[コンビクション] 貴様もその正義のエネルギーに圧倒されるであろう! テラの大地が暗雲に覆われようと、正義が呑み込まれることは永久にありえないのだ! 悪は必ずや断罪されるのである!

[コンビクション] 『弾幕要塞!ソルジャーズ・アッセンブル』は気分転換のためだけに作られたゲームではないのだ。その真の目的は、皆の信念をより確固たるものとすることなのである!

[クロージャ] (小声)……あー、そうなんだ……

[コンビクション] では、心の準備は万端であるか?

[選択肢1]……

[選択肢2]準備万全だ、コンビクション先生。

[選択肢3]まだ話し足りないのでは?

[選択肢分岐1]

[コンビクション] なにを呆けておる! ではもう一つ、我々の創作過程における裏話を――

[選択肢分岐2]

[コンビクション] いや待つのである! 最後にもう一つ、我々の創作過程における裏話が――

[選択肢分岐3]

[コンビクション] ご名答である! では心して聞くがよい。我々の創作過程における裏話なのだが――

[選択肢分岐1,2,3]

[クロージャ] あーほらほら、ドクターも待ちきれないって顔してるしさ、テストプレイの後でゆっくり話そうよ! ね?

[クロージャ] よーし、じゃあドクター、君を五十二人目のテストプレイヤーとして歓迎するよ。クロージャとコンビクションのタッグで贈る完全新作――『弾幕要塞!ソルジャーズ・アッセンブル』!

[クロージャ] テストプレイ、スタート!

[選択肢1]もう五十二人目なんだ!?

[選択肢分岐1]


[コンビクション] よし、『弾幕要塞!ソルジャーズ・アッセンブル』の操作説明を始めるのである!

[クロージャ] ボイス実装が間に合ってないから、とりあえずあたしとコンビクションの生ボイスでお届けしちゃうよ。

[コンビクション] 私がボートに乗って勢いよく移動しているであろう? いちいちツッコむでない。ゲームに先入観は禁物なのである!

[コンビクション] そもそもゲームでもなければ、貴様がこの断罪大師と行動を共にする機会などないのだからな。

[クロージャ] いいから本題に入るよ! まずは操作方法だけど、画面上をスライドすれば自由にボートを動かせるよ。

[クロージャ] こんなふうにね。

[クロージャ] いつもの作戦とはちょっと違うけど、オペレーター配置にはやっぱりコストが必要なんだ。

[コンビクション] どうであるか? 生活より生まれ、生活をも凌駕するもの――それすなわち芸術である!

[クロージャ] それよりさ……そのゲンコツはやっぱり弾に変えない?

[クロージャ] そのままだと、君がずーっと自分のゲンコツを発射し続けることになるけど……

[コンビクション] むしろさらにド派手な拳にしたいところである! これは魂と美しき哀愁を注ぎ込んだ断罪の拳であるぞ! 大師たる私が銃など使うはずがあるまい!

[クロージャ] ……わかったよ。

[クロージャ] 基本的な操作方法はこんなところかな。もうやる気満々って感じみたいだけど、でももう一つ、一番重要なポイントがあって――

[クロージャ] それはコンビクションをしっかり守り抜いて、さらにステージ終盤のボスを倒して初めてクリアになるってこと!

[コンビクション] 貴様、ちゃんと聞いていたか? もしもゲーム内の私に何かあったら、必ずや現実の貴様に断罪が下るであろうぞ!

[クロージャ] ところで、今気付いたんだけど……

[クロージャ] 君、自分のHPを多めに設定しすぎじゃない!?

[コンビクション] ふははっ、細かい事は気にするでない!

[クロージャ] はぁ……それじゃあ、ゲーム――スタート!


[コンビクション] 最初のステージということで、慈悲深い私が貴様にアドバイスをしてやろう。そろそろ大物がやってくるから備えるがよいぞ。

[コンビクション] 一番目のボスは比類なきスピードとパワーを備えた「レールスレイヤー」である。

[クロージャ] 大層な名前だけど、たしかそれ、スピードを二倍……いや、三倍に調整したサルカズ突撃兵って言ってなかったっけ?

[コンビクション] ウォッホンっ……とにかく出現したボスを撃破すれば、ステージクリアなのだ。

[コンビクション] だがグズグズするでないぞ。さもなくば奴が画面から飛び出して貴様を串刺しにするであろう。


[コンビクション] 最後の審判では、慈悲深き芸術の神が罪人どもを――待て、クロージャ、神の画像素材が変ではないか!?

[クロージャ] 何も問題ないよ。

[コンビクション] そんなはずなかろう! あれは一体何なのだ!

[クロージャ] 何って……ビッグ・アグリーだけど。


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