aklib_story_デッキの向こう側

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デッキの向こう側

仕事終わりに仲間を呼んで、トランプとゴシップを肴に飲んでは夜を満喫する――ノイルホーンはそんな他愛無い日々が好きだ。


p.m. 19:46 天気/晴天

ロドス本艦 オペレーター休憩エリア バースペース

[バティ] それで、各々方。何枚ご所望だ?

[ディラン] 二枚で。

[チャード] 俺は……一枚。

[バティ] ノイルホーンさんは?

[ノイルホーン] 俺は……詰みだ。

[ディラン] ははっ。今日はツイてないな、ノイルホーンさん。

[ノイルホーン] はぁ……出掛けに被るマスクを間違えたんだろうな。くそっ!

[バティ] そういや最近、すごく忙しいんだろう? 外勤任務に出てるだけでなく、他のオペレーターの模擬訓練にも付き合ってるそうじゃないか。

[ノイルホーン] ああ、それか。たまに残業してるだけさ、大したことじゃねぇよ。

[ノイルホーン] それに、新しく入ってきた若造たちと一緒に訓練するのは嫌いじゃないしな。

[ディラン] ってか、ノイルホーンさんって結構人気者だよな。

[ディラン] 俺が新入りの頃は、いつもマスクを着けてる取っつきにくい大先輩だと思って一言も声を掛けられなかったけど……それがまさか、訓練後に飲みに誘われるようになるなんてな。

[ノイルホーン] 大先輩だぁ? 俺がそんな年寄りに見えるのか? そんなら今日の酒は奢らないぜ!

[ディラン] いや、その……そう、兄貴! 良い兄貴分って意味で言ったんだ!

[ディラン] だから、な? 優しい兄貴、もう一枚カードをくれよ。

[バティ] なぁ、ディラン。お前も毎日コックピットに籠ってないで、外に出ればもっとモテるんじゃないのか。

[ディラン] いやいや、勘弁してくれよ。やっぱサボってた方が俺らしいっていうかさ。それに今日だってノイルホーンの兄貴が誘ってくれなきゃ顔を出すこともなかっただろうよ。

[チャード] ……俺だって籠もってたい気分だよ。

[チャード] この前ノイルホーンさんとドクターが一緒に出てくるのを見かけた時なんて、俺は反射的に物陰に隠れちまったし……

[バティ] ははっ、なんだよそれ。大げさすぎやしないか?

[チャード] し、仕方無いだろ……こちとら龍門から戻ってきて以来、ずっと悪夢にうなされてんだから……

[チャード] それに……ようやく勇気を振り絞って、ケルシー先生の前で仕事ができるようにはなったけど……未だにドクターや当時の隊列にいた連中を見かけると……家畜の群れが脳裏を過るんだよ……

[チャード] あの光景こそ……まさに地獄だ……

[ディラン] はぁ……そいつは散々だったな。そんで、兄貴はどうなんだ? あんたも龍門に行ったんだろう?

[ノイルホーン] 俺は別に……なんとも……

[ノイルホーン] けど確かに、あの戦いは凄惨だった。チャードの気持ちもわかる。俺だって、思い出すと背筋が寒くなるくらいだからな。

[チャード] ……一杯くれ。こんな話をしたせいで、また嫌な汗をかいちまった……

[ディラン] あ、俺もあれが欲しい……スピッタースにバニラルートビアを混ぜたやつ!

[ディラン] 兄貴は飲まないのか?

[ノイルホーン] 俺はいい。

[バティ] ははぁ……さてはヤトウさんに何か言われるのが怖いんだろ? 昔はイケる口だったのになあ。

[ノイルホーン] ははっ、俺はあんたらほど若くないんだ。少しは体を気遣ってやらないとな。

[ノイルホーン] ――そら、俺のジョーカーを食らえ!

[ディラン] おいおい、まーた兄貴がハッタリかましてるよ。毎回バレバレだってのに……自覚がないのかもしれんが。

[ノイルホーン] (マスクを掻きながら)そう……なのか?

[ノイルホーン] けどマスクを被ってりゃ、表情は読めねぇだろ? だったらハッタリも効くんじゃねぇのか?

[ディラン] 声のトーンでもバレるんだよ。兄貴の場合は、嘘を吐く時に口調がやたらと大げさになるんだ。「やってやるぜ!」なんて大声で言ったところで演技なのがバレバレだぜ?

[ノイルホーン] へぇ……つまり、俺は演技を磨かないことにはお話にならんってわけか。

[ノイルホーン] しょうがねぇ、このラウンドはあんたらに譲るさ。好きに飲め。

[チャード] ……じゃあ、お言葉に甘えて。もう一杯くれ。

[バティ] チャード、お前はその辺にしとけ。便器に縋って吐きながら、別れた女房と娘の名前を呼んでる姿なんて二度と見たくないからな。

[バティ] それにこの前の打ち上げの時も、ノイルホーンさんがお前を部屋まで担いでくれなきゃ、ドクターとケルシー先生の前で一晩中みっともない姿を晒すとこだったんだぞ。

[チャード] うっ……

[ディラン] おいおい、もう勘弁してやれって。それ以上言ったら、チャードが酒瓶抱いたまま気絶しちまうぞ、ははは!

[ノイルホーン] そうからかわないでやってくれ。チャードは苦しんでるんだ。悲惨な戦場から生きて帰って来られたってのに、それを大事な人に伝えることすらできない辛さは……俺にもわかる。

[チャード] ありがとう……本当に……本当に怖かったんだ……だからこそ、俺はあなたを心から尊敬してるよ……ノイルホーンさん。どんな時でも、緊張した素振りすら見せないし……

[ノイルホーン] 俺はあんたらよりもちょっと踏んだ場数が多いだけだ。そのうち慣れてくる。

[チャード] でも……戻ってきてからも、龍門での光景が……状況が……幾度となく脳裏に過るんだ。今にして思えば、きっと俺の意志だけじゃ、一歩も動けなかったんだろうな……前にも、後ろにも。

[チャード] チェルノボーグで、ケルシー先生に「娘にチャンスを与えろ」って言われたよ……父親にもう一度会えるチャンスを作れってさ……

[チャード] けど……わかってたんだ。俺があの場を生き延びたとしても、娘に会える権利を得られるわけじゃないってことはさ……

[ノイルホーン] ……ああ、わかるよ。

[チャード] そんな俺でもここまで来られたのは……先生が勝てると言ってくれたからなんだ。だから俺は、あの時……先生を信じることにしたんだ……

[チャード] でも俺は……一瞬とはいえ、勝てないと思ってしまった。だから、あれ以来……先生とドクターの姿を目にする度に……あの時の自分が情けなくて……恥ずかしくて……仕方ないんだ……

[ノイルホーン] 別に慰めるために言うわけじゃないが……チャード、俺も勝てないと思ったことくらいあるぜ。

[ノイルホーン] 俺は昔、多くの戦場を経験してきた。しかも、ただ延々と戦いを繰り返してただけで、勝敗なんざ俺みたいな「その他大勢」には関係ないことだと思ってたよ。

[ノイルホーン] だから勝てないと思うことなんてしょっちゅうあった。負けそうになりゃ逃げればいい。命より惜しいものはねぇんだし、食っていけたらそれで十分だ、ってな。

[バティ] 傭兵ならよくある考え方だ。何も間違っちゃいない。

[バティ] 俺も昔、警備会社を経営していた。報酬分だけ仕事して、それ以外のことはまったくの無関心だったよ。

[ノイルホーン] けどよ、ロドスに入っても、依頼を受けて金をもらうって仕組み自体は何の変わりもねぇんだが……

[ノイルホーン] ドクターたちと行動を共にしていくうちに、こう思うようになったんだ。俺たちがこのまま勝って勝って勝ち続けることができたら、それも悪くねぇ、ってな。

[ノイルホーン] それからは、戦場でサボることもなくなったし、訓練にも励むようになった。まるで若造のようにな。

[チャード] ……それを言うなら、俺だって……勝ちたいよ。俺は先生たちがしていることを……ずっと……信じてきたんだから。

[チャード] そして……できることなら、娘にだって……会いたい。普通に考えたら……可能性はかなり低いんだろうが……それでも、諦めたくないんだ。

[ノイルホーン] ははっ、なんだよ。結構やる気あるじゃねぇか!

[ノイルホーン] いいか、ロドスには俺たちのような人間が必要だ。迷うこともあれば怯えることもあるし、さほど強くもねぇ……でも、それは俺たちのせいじゃねぇ。

[ノイルホーン] 俺はドクターに「自分の場所を守れ」と言われてからずっとそうしてきた。だから、給料に見合うだけ働いてるという自負もあるし、ドクターの信頼にも応えてるつもりだ。

[ノイルホーン] チャード……あんただって、ケルシー先生に最後までついていけただろ。なのに、帰った後で叱られでもしたか?

[チャード] いや……先生は……先生は、叱るどころか……俺を、褒めてくれた……

[ノイルホーン] な? 俺の言う通りだろ?

[チャード] ……ありがとう。兄貴のお陰で気が楽になったよ。

[チャード] でも、俺は兄貴のようにどっしりとは構えられないし、次ドクターに会った時は隠れず挨拶することくらいが関の山だ。なんたって古参のオペレーターたちが口を揃えて称賛するような方だしな。

[チャード] あっ、けど……この間の任務では……あまり……話せなかったし……うっぷ……

[チャード] そう考えると……きっと俺の事なんて……忘れて……うっ……

[バティ] ったく……やっぱ今回も飲み過ぎたじゃないか、チャード。

[ノイルホーン] ほら、背中さすってやるよ。

[ノイルホーン] どうだ、少しはマシになったか?

[チャード] ふぅ……だいぶ……

[ノイルホーン] 俺に言わせりゃ、顔を隠してる奴らが全員とっつきにくい人間だとは限らないぜ。俺を見ればわかるだろ?

[ノイルホーン] だから、あんたらはもっと戦場以外でのドクターの姿もしっかり見ておくべきだ。

[ノイルホーン] そんで親しくなりゃドクターだって俺たちと大して変わんねぇと思えるようになるさ。サボることもありゃ、ミスもするし、毎日各部門のスケジュール管理に頭を抱えてるような人だからな。

[ディラン] ああ、そういや、もうすぐ始まる外勤任務でドクターと一緒になるかもしれないんだった!

[ディラン] これは絶好のチャンスだな! 俺の好奇心は今、兄貴の素顔からドクターに移ったぜ!

[ノイルホーン] ははは……そいつはよかった。

[バティ] チャード、平気か? まだ続けるかい?

[チャード] ゴホッ……ああ、続けよう。だいぶマシになった……

[バティ] おう。で、ディラン。お前の役は?

[ディラン] ロイヤルフラッシュ!

[ディラン] ははっ! また俺の勝ちだな、兄貴!

[バティ] これ以上飲んだら、バースペースがすっからかんになりそうだ。別の物を賭けようぜ。

[ディラン] じゃあ……また兄貴が負けたら、今度こそマスクを外してくれよ!

[ノイルホーン] ははっ、そいつはオススメしないぜ。俺は別に構わねぇんだが、あんたらががっかりするかもしれないしな。

[ディラン] いや、そう言われるほど俺たちの好奇心がそそられるんだって! それこそ悪夢を見ちまうほどにさ……

[チャード] 悪夢……? それってどんな?

[ディラン] ……兄貴がマスクを外すと、下にもう一枚マスクがあるんだよ。それで、いくらめくってもマスクしか見えてこないっていう……それはもう恐ろしい夢さ。

[チャード] 確かにそいつは……悪夢だな。俺まで鳥肌立ってきた。

[ノイルホーン] なんだ、良い夢じゃねぇか。俺は気に入ったぜ。

[ノイルホーン] マスクを何枚も重ねて被れたら、出かける度にマスク選びに時間を取られずに済むしな。

[ディラン] 勘弁してくれよ、兄貴……こんな悪夢を毎日見続けなきゃならないなんて、俺は御免だぞ!

[バティ] ははっ、ディランが毎日夢に見るほどか。秘密のある奴は魅力的に見えるって聞くが、そいつもあながち間違いじゃないみたいだな。

[ノイルホーン] いや、俺は別に隠す気なんてないんだぜ。秘密にするほどのもんでもないしな。そんなに見たいって言うなら、今ここで――

[ディラン] いや、やめとく!

[ディラン] 兄貴はそのままでいてくれよ! 今マスクを外されたら、なんていうか、その……違和感っての? そういうのを感じそうだし……

[バティ] それじゃあ、いつものアレをお願いするってことでいいか?

[ノイルホーン] ……あんたらなぁ、また俺に語らせるつもりかよ!

[ディラン] ほら、お前らもこっち来いよ。兄貴の物語といやぁ、トランプゲーム最大の余興だからな。

[ノイルホーン] はぁ……で、どこまで話したっけな……?

[チャード] たしか、雨の夜、母と娘が……寂れた寺だか神社だかに隠れてたんだよな? そこで鬼に会ったとか。

[ディラン] おお、よく覚えてるな、チャード! そういやちょっと恐ろしげなホラー話で止まってたんだった。で、その後はどうなったんだ、兄貴。

[ノイルホーン] ――あの鬼は、人を殺しに現れたんだ。

[ディラン] 人を……殺しに? 良い奴だと思ってたのに。

[ノイルホーン] その時の鬼は、ただの鬼に過ぎなかった。だから親子を殺せと命じられた鬼は、親子が隠れてる場所へ向かったんだ。

[ディラン] そいつはなんて言うか……ひどい話だな。

[ノイルホーン] 鬼は母親を気絶させると、娘を片手で持ち上げた。まだ七、八歳の年端もいかない娘は声にならない悲鳴を上げていた。

[ノイルホーン] これも任務だ、仕方がない。鬼はそう自分に言い聞かせると、娘を殺めようとした。

[ノイルホーン] だが、そこで自分の攻撃が一本の刀によって止められたことに気づいた。

[ディラン] おぉ、かっけぇ!

[ノイルホーン] ああ、かっこいいよな。俺もそう……いや、鬼もそう思った。

[ノイルホーン] 刀身に反射する月光が夜闇の中ではあまりに眩かったこともあり、鬼は思わず後ずさった。

[ディラン] わかった! その鬼の攻撃を止めた奴は親子を助けに来たヒーローだろ?

[ノイルホーン] ははっ、鬼もそう考えただろうな。

[ノイルホーン] 勝ち目が薄いならとっととずらかろう、元々人殺しに興味はなかったんだ……怪我を負ったふりでもして任務は失敗したと報告すりゃ大した問題にもならんだろう。

[ノイルホーン] そう考えていたところで、鬼はその刀を振るった女も鬼であることに気づいたんだ。

[ディラン] へ? なら、どうしてその女の鬼は親子を守ったんだ?

[ノイルホーン] 鬼も同じことを思っただろうよ。まあ、向こうは別のファミリーの手先に見えたしな。大方、彼女の主は鬼の主と同じで、娘の命を狩ろうとしてたんだろうさ。

[チャード] ……えっ? じゃあ、その女の鬼は自分の手柄にするために攻撃を止めたってことか?

[ノイルホーン] 鬼もそんなこったろうと踏んでたが、戦ってるうちに向こうは本気で親子を助けるために動いてることに気づいた。

[ノイルホーン] そこで鬼は彼女に尋ねた。「あんた、一体何してんだ!」ってな。

[ノイルホーン] すると、女の鬼はこう答えた。「特に目的はない。ただ、これ以上罪のない人を傷つけたくないだけだ」……ってな。

[ノイルホーン] 答えを聞いた鬼は呆気に取られた。自分たちにもまだそんな選択肢が残されていたなんて思ってもみなかったからな。

[バティ] 聞いてる限り、相手は心優しい人……いや、鬼だったんだな。

[ノイルホーン] ……ああ。だからその時、鬼は決心した。娘を逃がしてやろうと。

[ディラン] それは、女の鬼に心を打たれたからか?

[ノイルホーン] はは……単純に勝ち目が無いと思ったから、かもしれねぇな。

[バティ] でも、任務を放棄しちまったら組織を裏切ることになるわけだろ。そんなことをすれば、どっちの勢力も黙ってないんじゃないか?

[ノイルホーン] ああ。だから鬼は、女の鬼と逃げるしかなかった。

[ディラン] おお、命懸けの逃避行か! ホラーから一気にロマンチックな話に変わったな!

[ノイルホーン] これのどこがロマンチックだ。いいか、逃げるってのはそう簡単なことじゃない。共に怪我をすることもあれば、共に病にうなされることもあったし……共に死にそうになった時だって何度もあった。

[ノイルホーン] しかも、女の鬼は日光が苦手なせいでマスクが手放せなかった。だから、どこへ行っても信用を得ることができなかったんだ。

[ノイルホーン] そんな彼女を見て、鬼は思った。マスクを着けた奴ってそんなに怖いか? むしろカッコイイじゃねぇか、と。それから鬼は苦労に苦労を重ね、大量のマスクをかき集めていった。

[ディラン] 大量の……マスク?

[ノイルホーン] ああ、大変だったんだぜ。どのマスクも、どこぞの一族の間で千年以上受け継がれてきた不思議な力が秘められたもんらしくてな……

[バティ] なんか……聞けば聞くほど胡散臭さが際立つな。

[ディラン] そんで? その秘められた力ってのは具体的にどんなものがあったんだ?

[ノイルホーン] そうだな……着ければ不老不死になれるものだとか、怪力になれるもんとか、それはもう色々あった。

[ノイルホーン] そしてある日……鬼は最強のマスクを手に入れた。まぁ、そのためにとんでもねぇ代償を払った挙げ句、危うく命を落としそうになったわけだが……

[ノイルホーン] 女の鬼は、そんな彼をひどく心配していた。だが、追手は一向に後を絶たない……そこで鬼はとっさに閃いて、そのマスクを着けた!

[ノイルホーン] そこからは一瞬の出来事だった。石は震え、砂塵が舞い、敵の顔色は一変した――

[ノイルホーン] そして鬼はこう叫んだ。「俺は限界を超越した!」

[ノイルホーン] ……それで漲る力をもって、敵を全員倒しましたとさ。めでたしめでたし。

[ディラン] はあ? なんだそれ? オチが雑すぎるだろ! ったく、兄貴の物語はいつもそうだ! 終盤になると、どんどん脱線してとんでもない方向にいきやがる……

[ノイルホーン] おっ、俺の勝ちじゃないか?

[ディラン] へ!? うわっ、聞き入ってたせいで……

[チャード] 俺も……

[バティ] 皆やられたみたいだな。

[ディラン] わかった! これが兄貴の得意技なんだろ?

[ノイルホーン] はっはっは! 下手な芝居なんざするよりもずっと効率が良いな。

[ディラン] あーあ、二匹の鬼の物語、もっと聞きたかったなぁ……

[ディラン] そういや、この前話してくれた吹雪の夜に一匹の鬼が十人の大将を倒したって話。あれは面白かった!

[ノイルホーン] ああ、その話は今度な。見ろよ、チャードの瞼が今にもくっつきそうだ。

[ノイルホーン] それに、あんたの外勤任務が終われば、また一緒に飲めるだろう。

[ノイルホーン] ……って、あそこにいるの……ドクターじゃないか。

[ディラン] マジかよ! トランプに夢中で気づかなかった……

[ディラン] ってことは……さっき話してたことは全部……

[チャード] ゴホッゴホッ……あ、頭が……クラクラするような……気が……

[バティ] 今更酔ったフリしても遅いぞ、チャード。

[ノイルホーン] よぉ、ドクター。あんたがバーに来るなんて珍しいな。

[ドクター選択肢1] アーミヤから、リラックスしてくるよう勧められたんだ。

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] まさか、迷彩モジュールが切れたのか?

[チャード] お、おい……突っつくなって……

[チャード] あー……ド、ドクター、お久し……じゃなくて、こんばんは!

[チャード] ふぅ……

[ドクター選択肢1] こんばんは。チャード、ディラン、バティ、ノイルホーン。

[チャード] ド、クター……俺たちの名前、覚えてくれてたんですか!?

[ノイルホーン] ははっ、ドクターの記憶力は相変わらずだな。

[ノイルホーン] 山ほどある資料を全部読まなきゃいけねぇ上に、俺たちの名前も全員分覚えなきゃならねぇってか。まっ、あんま無理すんなよ。

[ドクター選択肢1] このくらい、当然のことだ。

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] PRTSの補助もあるし、問題ない。

[バティ] ドクター、俺たちはそろそろ部屋に戻ります。お邪魔してすみませんでした。

[ディラン] ドクター、また外勤任務でお会いしましょう!

[ディラン] おい行くぞ、チャード。いつまで突っ立ってんだ?

[チャード] へ? あ、ああ……それでは、ドクター……また。

[ノイルホーン] なあ、ドクター。隣いいか?

[ノイルホーン] 悪かったな、見苦しいモン見せちまって。仕事終わりに集まって、酒を飲みながらバカ騒ぎしてたんだ。

[ノイルホーン] ……あいつらはまだ、あんたのことをあんま理解できちゃいない。けど俺は、あんたがユーモアのあるお人好しだってことを知ってるぜ。

[ノイルホーン] それに……俺みたいな奴でも、あんたの指揮のおかげで、ごちゃついた戦場の中に守るべき場所を見出すことができたわけだしな。

[ノイルホーン] 俺が守るべき場所は、ここだ。

[ドクター選択肢1] 砂虫の足の炭火焼きでも食べるか?

[ドクター選択肢2] サボテンの辣椒老媽和えでもどうだ?

[ノイルホーン] おっ、良いな。もらうよ。

[ノイルホーン] そんじゃあ、そいつを肴に一杯どうだ、ドクター? たまにはこういうのも悪くねぇだろ。

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