aklib_story_怒号光明_EG-5_燃焼の断章5

ページ名:aklib_story_怒号光明_EG-5_燃焼の断章5

このページでは、ストーリー上のネタバレを扱っています。

各ストーリー情報を検索で探せるように作成したページなので、理解した上でご利用ください。

著作権者からの削除要請があった場合、このページは速やかに削除されます。

怒号光明_EG-5_燃焼の断章5

自我とは。


[???] あぁ。

[???] 失礼ですが、貴方がドクター殿ですね?

[ドクター選択肢1] ……12F?

[ドクター選択肢2] 君は……?

[12F] まさか私のことを覚えておられるとは。

[12F] どこかで私を見かけたことが? それとも、私の資料をご覧になられたのでしょうか?

[???] あぁ、申し訳ございません。直接お会いするのは初めてでしたね。自己紹介をさせてください。

[???] お初にお目に掛かりますドクター殿、私は12Fと申します。ごく普通のオペレーターですので、お会いする機会にはあまり恵まれませんでした。

[ドクター選択肢1] そんなにかしこまらなくていい!

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] そんなに堅苦しくなる必要はない。

[12F] いえいえ。私を知っていくうちに、私に嫌気が差すかもしれませんから。

[12F] 少しくらいかしこまっていた方が、どちらにとっても良いのです。さらに近づくか、一歩引くか、その余地が生まれますからね。

[12F] ドクター殿は寡黙な方だと伺っておりますので、無理にお話いただくつもりはございません。

[12F] 私たちが歩んできた道はあまりにも違います。性格も大きく異なるでしょう。

[12F] 対外的な場面では、礼儀正しく振る舞うのが習慣なんです。習慣化した話し方を変えるのは容易ではありません。

[12F] 礼を欠いた言葉遣いが原因で、暴力沙汰になるような場面も、度々目にしてきました……我々が粗暴なものを避ける理由は、単に無益なことを防ぎたいからというだけなのです。

[12F] 今回は非常に厳しい戦いでしたが……ドクター殿は本当に最後までやり抜いたのですね。

[12F] しかし、このような戦いはただ人々を恐怖させるだけにすぎない、そうは思いませんか?

[ドクター選択肢1] (逆に、12Fは恐怖を感じるか尋ねる)

[ドクター選択肢2] (いつものように沈黙する)

[ドクター選択肢3] (そんなことには慣れてしまったと伝える)

[12F] そうお尋ねになるのなら……

[12F] 正直にお答え致しましょう……はい、確かに小隊についてここまで来ましたが、恐ろしく感じています。

[12F] 荒野において、死など取るに足らないもの。これはほぼ全ての人の共通の認識となっています。

[12F] 生き残りたい。荒野で命を落としたくない。そう思ったからこそ、私たちは移動都市を作り上げたのだと思います。

[12F] しかし、そんな移動都市群を繰り返し襲う災難が証明しています。何かの脅威から、幸運にも逃げ延びられたと思ったその瞬間に、私たちは自ら、次の脅威を作り出しているのだと……

[12F] チェルノボーグの民はこのような事態を想像できたでしょうか? いいえ、思いも寄らなかったはずです。怯えながらの暮らしなど、決して良いものではありません。

[12F] こんな結果はあまりにも酷すぎます。自分がこのような未来を予見しながら日々を過ごすなど、想像もできません。

[12F] しかし、気づかぬうちにこれらの全てが彼らに降り注いだのです。私たちが中枢区画を止めた今、チェルノボーグでは何が起きているのでしょう?

[12F] 今後私たちを待ち受けるであろう全てが、恐ろしくてなりません。

[12F] 多くは語らないおつもりのようですので、これ以上問うような真似も控えさせていただきます。

[12F] 何に慣れてしまわれたのですか?

[12F] 恐怖にですか、それとも……戦いにですか?

[12F] いずれにせよ、やりきれませんね。

[12F] ご安心を。ドクター殿に偏見を持っているわけではありません……

[12F] ドクター殿が指しておられるのは、やはり後者の方でしょう。

[12F] 戦いに慣れた……そんな類いの言葉を残す戦士は数多くいます。

[12F] ドクター殿は、戦士ではありませんが、戦士たちと生死を共にする日常に慣れてしまったのでしょう。そして、戦いに何かしらの理想を抱いているのではありませんか?

[12F] あるいは、そのような衝突など、ドクター殿にとっては目的を果たすための手段にすぎないのでしょうか……もしくは、戦いの血なまぐささや栄光に……興奮するのでしょうか?

[12F] 申し訳ありません、ドクター殿。少し、過ぎた言葉でした。

[12F] ただ、私の個人的な願いとしては、ドクター殿には戦場から距離を置いてほしいのです。たしかに戦地の指揮官としては、ケルシー先生にも引けをとらぬほどの実力をお持ちですが――

[12F] ですが、まさにケルシー先生のように、ドクター殿が本業と本来の暮らしに今以上のエネルギーを注げば、人々に更なる利益をもたらすことが出来るはずです。

[12F] とはいえ、物事は思い通りにはいかないものです。美しい家庭が壊され、活力に満ちた者が命を失い、純粋だったはずの子供が武器を取る……そのような事態を、私たちは止めることはできません。

[12F] 恐怖に慣れるというのは、おそらく今の私のような状態を指すのではないでしょうか。

[12F] 私とドクター殿が、同じ種類の人間だとはどうしても思えません。ドクター殿が現れて以降、貴方が参加した戦いは私の知る限り、基本的に全て勝利を収めています。

[12F] ですが、負けて何かを失うことが恐くはありませんか? 逆に勝利し続けることに恐怖を覚えることはないですか?

[12F] 私は、そもそも戦いが嫌いなのです。できることなら、どこまでも避け続けたいと思っています。

[12F] もしかしたら私は、ドクター殿とは真逆なのかもしれませんね……私は、勝利にすら恐怖するのですから。

[ドクター選択肢1] (沈黙を保つ)

[ドクター選択肢2] (どういう意図で、そんなことを聞くのか尋ねる)

[12F] ——

[12F] もうこんな時間ですね。私たちの小隊も撤退する準備をしなければなりません。

[12F] どうか安全に気を配ってください。今日という日が素晴らしい一日でありますように。

[12F] ドクター殿……私は、貴方という人をもっと知りたかったのです。ですが、ここでお会いできて、どうにかその答えが出せそうです。

[12F] かねてよりドクター殿と親しかった者を除けば、私のようにロドスに加入してから日が浅い者の中にも、貴方に興味を抱いている人間は多いのですよ。

[12F] アーミヤ殿についての認識は、誰もが似たり寄ったりのはずです。あの小さな身体の底に潜む強固な意志が、彼女を支えているのだと皆が知っています……

[12F] ケルシー先生に対するイメージは、それぞれ違います。ですが私には彼女が理解できます。彼女の行動には、全て道理があるのです。衝動的な行動や、私情を挟むことはありません。

[12F] これは常人にはなかなかできないことでしょう。

[12F] ですが貴方は……

[12F] 貴方はどうでしょう?

[12F] ロドスに戻ってそれほど時間も経っていないのに……いえ、むしろ戻る前からその名はロドス中に広まっていたのです。

[12F] ですが、私たち新参者はドクター殿のことを知りませんでした……一体どんな人なのだろう? 何をもたらしてくれるのだろうか? そんなふうに思っていました。

[12F] ドクター殿が到着する前、ケルシー先生が全員の個人端末に通知を送りました。貴方が今後、ロドス司令部の重要な一員になると……

[12F] 同じような人事通達は少なくありませんが、それでも私はその短い文章に含まれた意図を読み取りました――

[12F] ――一部の者にとって、貴方は全く見知らぬ存在。少なくともあの時はそうでした。

[12F] ……貴方にどんな過去があるのか、そして貴方がどんな未来を作るのか、私たちには知る由もありませんでした。

[12F] ロドスは私たちをどこへ導いてくれるのでしょうか? この旅路において、きっと貴方は重要な役割を担うはずです。多くの者がそう思っています。

[12F] ですが、貴方自身にとってはどうでしょう? あなたは、これらの全てが……自分とは無関係だと感じますか? 貴方は記憶を失っています。この大地も貴方に多くの事実を隠しているのです。

[12F] ドクター殿、私の個人的な経験談に耳をお貸しいただけますか? 真に受けなくとも、ただ聴いてくれるだけでいいのです。

[12F] 「目を覚ましてからというもの、自分には選択する権利などない。誰かの敷いたレールをただ歩いてきた」――貴方はそう感じているのかもしれません。

[12F] 私の経験から言わせていただけるなら、この大地に投げ込まれたその時から、私はずっとそう感じていました。私に選択肢はなく、この大地で生きていくしかないのだと。

[12F] 運命を己の力で変えられると考えている偉人を除き、私たちのような凡人は――このように表現することをお許しください。私たちのような凡人は常に誰かの敷いたレールの上を歩んでいるのだと。

[12F] ですが、本当に私たちには選択の余地がないのでしょうか?

[12F] 私は自ら志願して、このチェルノボーグ中枢区画の任務に参加しました。

[12F] 危険であることはわかっていました。自分の信条に合わないということも……大地を揺るがすような大それたことをするより、私はただ静かに生きていたいだけですから。

[12F] 自分が何の役にも立てないと言うのも理解していました。腕の立つオペレーターに比べたら、私など足を引っ張らないようにするので精一杯です。

[12F] それでも私は志願しました。後になって悩んだり、他人にその理由を説明したりする必要は微塵もありませんでした。

[12F] 人間は、行動をする前になぜそうするのか考え抜いてから決断し、実行する生き物なのです。

[12F] ですから、ドクター殿……貴方も実はすでに選択をなさっている。そうではないでしょうか?

[12F] 貴方は私たちと共にここまで歩んでこられた。

[12F] そして今、貴方はここにいる。

[12F] ……これが私の結論です。

[12F] 貴重なお時間をありがとうございました、ドクター殿。こんな長話をしてしまい申し訳ありません。ですが以前より確実にドクター殿のことを知ることができました。

[12F] ――もうすでにこんな時間です。おそらく準備も整ったでしょう。貴方の安否も確認できましたし、あとは小隊を撤退させるだけ……

[12F] ではまた、ロドスで会いましょう、ドクター殿。

[12F] あぁ、最後に……

[12F] 微々たる差だったとしても、未来というものは時の流れと共に過去となり、貴方の選択によって異なる一面を見せてくれるでしょう。

[12F] 選択肢は常に貴方の手にあるのですよ。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧