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怒号光明_JT8-2_瞠目の先に「黄昏」_戦闘前
チェンに代わりタルラの現状を完全に理解したアーミヤ。そして、タルラの意識の中に、未だあの影が巣食っていることに気づく。
[チェン] ハァッ――!
[アーミヤ] ……
[チェン] 彼女に手を出すな!
[タルラ] あの子を守りたいのか、フェイゼ? この感染者の裏切り者を? 私たちの同胞を殺した者をか?
[タルラ] 失望したよフェイゼ。本当に失望した……私に剣を向けるだけでは飽き足らないようだな……
[チェン] アーミヤ、どうしてここに来た!?
[チェン] 気をつけろ、アーミヤ! タルラは確かにコシチェイの全てを継承している。彼女はもう――
[チェン] もう龍門からさらわれた罪なき少女ではない。
[アーミヤ] チェンさん、彼女は「継承者」というだけではありません……
[アーミヤ] 私がその仮面を暴きます。
[チェン] 何だって? 仮面……それはどういうことだ?
[タルラ] お前はロドスのあのコータスか。
[タルラ] ボジョカスティはどうだった? 彼の鋭い矛を味わったか? 彼の引き裂かれた屍を確認したか?
[アーミヤ] ……
[アーミヤ] あなたは……どうして彼をそんな風に言うんですか?
[タルラ] 私は彼に敬意を表した上で訊いている。ただ事実に対する回答を求めているだけだ。
[タルラ] 彼は最後まで兜を外さなかった、そうだろう?
[タルラ] あの兜は、彼の剥き出しになった灰白色の頭蓋骨を隠してくれる。もし市民がウェンディゴの本来の姿を目にすれば、怖ろしくて石も握れない程に手が震えてしまうだろうからな。
[タルラ] だが、憎しみと狂気が市民を駆り立てれば、群衆に紛れた武器がいずれは遊撃隊の防衛線を突破する。
[タルラ] ボジョカスティは、市民に対する盾兵の攻撃を、一切許さない……確かに彼らはただの市民で、敵の回し者ではない。
[タルラ] しかし、いずれは怒りと無知によって暴徒と化した市民に、ボジョカスティは引き裂かれるだろう……彼はいずれその日が来ると知りながら、最終的に自らの哀れな人の性に投降したのだ。
[タルラ] 今、お前がこの場に現れた、つまり答えは一つ。ボジョカスティは死んだ。
[タルラ] 教えてくれ。彼はどんな死に方を受け入れた? 偉大なる戦士の結末を知りたい。
[アーミヤ] ……私が殺しました。
[アーミヤ] ……私が。
[タルラ] お前が?
[タルラ] ……お前にそんな力が? あれは……ボジョカスティだぞ?
[タルラ] ……信じ難い話だが、お前はたった一人で私の所まで辿り着いた。私の可哀想な妹と同じように。
[タルラ] まあ良いだろう。この街で、私を殺すことのできる最後の一人は死んだ。ならばもう、この都市で怖れるものなど何もない。
[タルラ] お前に褒美を与えるべきかな? 私の同胞を虐殺した感染者よ。
[チェン] アーミヤ、タルラの話に乗るな!
[チェン] 彼女は、これまでに何度もこの手を使っている……彼女の言葉は、ひと言たりとも信じるな。たとえそれが本当の事だとしてもだ。
[アーミヤ] わかってます、チェンさん。彼女はあなたも殺そうとしています。
[アーミヤ] ですが、彼女の心の奥底にはまだ取り除かれていない記憶の脈絡があります。そしてチェンさんは、それに干渉できる唯一の鍵です。
[チェン] おい……何の話をしているんだ?
[タルラ] お前は何を見ている?
[タルラ] ――お前は何が見たい?
[アーミヤ] 無駄です。あなたでは私を止めることはできません。
[タルラ] ……
[チェン] アーミヤ、今言ったことは本当か?
[アーミヤ] はい。でなければ彼女は……あなたをおびき寄せて、直接戦おうとはしなかったはずです。
[アーミヤ] タルラ自らの手でチェンさんを殺した時、タルラはようやく死ぬんです。
[チェン] わかるように説明してくれ。
[アーミヤ] チェンさん、タルラはまだ完全には死んではいません。この暴君は彼女の心を完璧に支配できていないんです。
[タルラ] 言ってみろ、コータス。そんな時代遅れの世迷い言を信じる者がいるとは到底思えないがな。
[アーミヤ] タルラに刺し貫かれたあの時に、あなたは死ぬべきでした。この大地にはもう、あなたが身を置く場所などありません。
[タルラ] 心が読めるのか……これは予想外だ。だが、心が読めたとして、それをお前が知るはずはない。どこで聞いた噂だ?
[アーミヤ] 私は心を読んでいるわけではありません。
[アーミヤ] あなたは精神的アーツ攻撃から完全に身を護ることができると自負していましたね。そんなあなたに対し、政敵たちは手を出せなかった。
[タルラ] ……
[アーミヤ] 私はあなたの記憶を見ました。そして、私に心は読めませんが、感情を感じることはできます。
[アーミヤ] 私は見たんです……あなたの記憶の奥底に沈んだ秘密を――今に至るまであなたの心にまとわりついている呪いを。
[アーミヤ] あなたはタルラではありません。
[タルラ?] 講釈を垂れる前にまず自分の命を守るんだな。
[チェン] アーミヤ! 何をぼうっとしてる、その火を避けろ!!
[アーミヤ] くうっ!
[チェン] ま……まさかあれ受け止めたのか!?
[アーミヤ] ハァハァ……ですが……あまり長くは保ちません!
[タルラ?] お前もそんな風に驚くのだな。フッ、受け止められたのはこれで二度目だ。
[タルラ?] チェルノボーグの時と同じ、その黒い線を束ねた障壁で、な……
[タルラ?] だが、いつまで耐えられるかな? お前の戦士たちは、お前がここで死ぬために犠牲になったのか?
[タルラ?] どうだ? アーツを使いながら、まだ他人の思考を覗き見ることができるか? そんな卑劣な芸当など、奴以外には……
[アーミヤ] 奴とは誰ですか?
[アーミヤ] よく思い出してください。
[タルラ?] ……
[タルラ?] 一体どれがお前のアーツなんだ?
[タルラ?] ……ボジョカスティがお前の手にかかって死んだだと?
[タルラ?] 笑わせるな。
[チェン] アーミヤ、残りの火は私が斬る! 腕を引いて、右に跳ぶんだ! できるだけ遠くへ!
[アーミヤ] はい!
[アーミヤ] ハァ、ハァ……ありがとうございます、チェンさん!
[チェン] 妙だな……アーミヤ、タルラはなぜか君に対し、驚きを隠し切れていないように見える。
[アーミヤ] チェンさん、今から何が起きても……どれほど驚くことが起きたとしても、警戒態勢を解かないでください。
[チェン] わかった。今この場では、君と私の命より重要なものなどない。それに、龍門がこれから辿る運命を考えれば、それ以上の驚きなどありはしない!
[タルラ?] お前は……アーミヤというのか?
[タルラ?] コータス、永遠に醒めない美しい夢を見せてくれと私が頼んだら、お前はどうする?
[アーミヤ] ……!
[タルラ?] その力を使わずにいられるか?
[アーミヤ] あなたの質問には答えません。
[タルラ?] その戸惑いに満ちた表情は、お前の言葉とは裏腹のようだ。善良であることをひけらかすのはさぞ気持ちが良いだろう。
[アーミヤ] 私は自分が善良だなんて言った覚えはありません!
[タルラ?] だがお前の行為はそう告げている。偽善にまみれた感染者戦士よ。
[タルラ?] 漆黒のアーツ、意識ではなく記憶を汲み取る能力、そして、一方的な伝達ではなく、双方向における放散と集積……この力は……
[タルラ?] ありえない……そんなはずが! コータス、答えろ! 説明しろ、カズデルのサルカズは皆狂気に呑まれたのか?
[タルラ?] ――魔族――サルカズに――
[タルラ?] まさか異族種の王が誕生したとでも?
[タルラ?] もうその名も思い出せないが、あの先代の魔王は気が狂ったのか? どうやら、サルカズには絶滅の運命が迫っているようだ。
[タルラ?] あぁ、サルカズの傭兵……W。彼らの後ろのサルカズ……
[タルラ?] そうか……そういうことか。
[タルラ?] コータスの魔王か。ハハ……
[チェン] (アーミヤ、正直な話、私は驚いてこそいないが……)
[チェン] (少し困惑している。)
[アーミヤ] (彼女の言うことを信じますか、チェンさん。)
[チェン] (信じたとして何になる?)
[アーミヤ] (あなた次第です、チェンさん。それに、たとえ全て事実でも、あなたの考えは変わらないはずです。)
[チェン] (そうだな。この状況、彼女は私たちが死ぬまで時間稼ぎをしているように思う。)
[アーミヤ] (それは私たちも同じです……!)
[チェン] (えっ?)
[タルラ?] お前の侍従はどこだ? お前の王庭の衆王と臣民はどこにいる?
[タルラ?] 誰を連れて来た? 腐った肉体で何世紀も生きるあのグールか? それとも一筋の光すら見ることができない赤い目の老いぼれか?
[タルラ?] お前が自らの手でボジョカスティを罰したのか? それとも誰かがお前の代わりに手を下したのか?
[タルラ?] お前には無理だ。幼き偽の魔王よ、お前にはサルカズの衆王とそれらの王庭を従えることなどできない。お前は本当の魔王ではないし、サルカズですらない。お前はただのコータスだ。
[タルラ?] お前には敵と戦う力などない。もしお前たちが本当に争いを始めるというのなら、お前はすぐさま滅びることになる。
[タルラ?] あるいは、お前はサルカズの統治者たちの新たな玩具にすぎないのだろう。自分が実験体であることに哀しみを感じるか、幼いコータス?
[タルラ?] お前は異族種……その命と君主の象徴が、誰かに奪い去られる時をおとなしく待つしかない。お前の命はそれと共に消滅する。
[タルラ?] 私が代わりにそれをしてやってもいい。できるだけ痛みを伴わずにこの大地からお前を消してやろう。
[アーミヤ] ……あなたは何を恐れているのですか? 不死の黒蛇。
[タルラ?] ――
[チェン] なに?
[アーミヤ] あなたは多くを語ってくれました……コシチェイ公爵。
[アーミヤ] ですが、本当にあなたの命が言い伝えのように長いのなら、時折見せる恐れがあなたの演技でないのなら……
[アーミヤ] 私はもう全てを理解したと言えるでしょう。
[チェン] コシチェイだと!? アーミヤ、それはどういうことだ?
[アーミヤ] 彼女はタルラであり、コシチェイでもあります。私の感覚に間違いはありません。
[タルラ?] ……
[アーミヤ] あなたは過去にサルカズと戦ったことがあるんですね、コシチェイ公爵。
[アーミヤ] あなたは私が怖いんです。
[アーミヤ] あなたは私を恐れています。
[タルラ?] 面白い。
[タルラ?] だが、茶番はもう十分だ。
[タルラ?] お前の妄想劇の筋書きは、後ほど整理しておこう。驚くほど素晴らしい脚本だった。
[タルラ?] だがその前に、お前には退場してもらう。まさかお前がここまで大きな役割を果たすとは思っていなかった。少々見くびっていたよ。
[タルラ?] お前が感じられるものが「恐れ」だけならば、それはお前のアーツが未熟である証拠だ。
[タルラ?] ――私は感じたいと思ったものを感じることができる。記憶を遮断することはできないが、感情操作は私にとっても得意分野だ。
[アーミヤ] ……その通りのようですね。だからこそ、私の考えは更に確固たるものになりました。今のあなたは完全にタルラを支配してはいません。
[タルラ?] お前にもう少し時間を与え、私の脳から真相とやらを掘り起こさせてやってもいいが――しかし、私の過去はお前が見た通りだ。それ以上でも以下でもない。何の証明にもならん。
[タルラ?] 私は己の思考をコントロールすることで、考えを読もうと企む者の力を逆手に取ることができる。だがお前には、私が見せたいものは見えていない……正直だな、コータスよ。
[タルラ?] お前は感情を感じ取り、記憶を遡ることはできるが、私が実際に考えていることはわからない。それに嘘偽りはないようだ。
[タルラ?] 忠告してやろう、コータス……
[タルラ?] お前は私を全く知らない。
[タルラ?] お前は「タルラ」を全く知らない。
[タルラ?] お前の言葉全ては、所詮お前の推測に基づくものにすぎない。私を全く理解していないのだから。
[タルラ?] 私が誰であるか、何を根拠に語る?
[アーミヤ] ……
[チェン] ……タルラ。あるいはコシチェイ……お前が誰であろうと、私は構わない。
[チェン] お前が誰であろうと……いや、違うな。お前はタルラだ。コシチェイがお前を作り上げた。
[チェン] タルラ、お前はアーミヤの髪の毛一本にすら触れられない。
[タルラ?] フェイゼ、余所者のために肉親に剣を向けるというのか? 勇ましいことだな。
[チェン] お前が善良な者なら、私の側に誰がいようと、それを利用して私を倒そうとはしなかった。タルラ、お前はもはやただの奸賊だ。
[タルラ?] フェイゼ、お前はウルサスの北原を見たことがないだろう。温室の中で育てられた観賞花のようなお前には、潜り抜けてきた死線の場数が圧倒的に足りないのだよ。
[タルラ?] 何が「過去のタルラ」を今の私へと変えたのか、お前は知らない。
[チェン] そうだ。だからそれを……それを問いただしに来たんだ!
[チェン] 私はお前の身に起こった全てを知りたい。お前の口から――お前の言葉で聞きたい。
[タルラ?] ならば……どうして私のそばに来ない? 私はもう、チェン……お前と戦いたくない、お前を傷つけたくないんだ。
[チェン] ハッ……
[チェン] お前は勘違いをしている。
[チェン] ――私がそれを知りたいのは、こんなことがもう二度と起こらないようにするためだ。
[チェン] 私がそれを知りたいのは、お前の行動を判断し、それに至った動機を推察して、これまでの案件と比較、検証するため。
[チェン] ……私がそれを知りたいのは、お前が今から何をするつもりか、どのようにやるつもりか、どこまでやるのかを見極めるため。
[チェン] そして、どれだけの罪悪がこの一連の事件に関わっているかを、自らはっきりと確認するためだ!
[チェン] だがタルラ……お前はもう――
[チェン] お前はもう既に、ここまでのことをしてしまった。私が望むと望まざるとに関わらず、お前は成長した……今の姿へと成長してしまったんだ。
[タルラ?] お前もだ、フェイゼ……お前は、私を悲しませる姿へと成長した。
[チェン] 私がお前を悲しませるだと? レユニオンが私の都市を侵し、私の友を殺し、ウルサスの無数の命を死に追いやり、あんなにも多くの感染者を葬り去った……誰が誰を悲しませると言うんだ?
[チェン] 私は、レユニオンたちが龍門で互いに助け合い、同胞を救うために犠牲になる姿を見てきた。荒野へ向かっても彼らには居場所などない。誰が誰を悲しませると言うんだ?
[タルラ?] お前が彼らの前に立ちはだかったのだろう。お前が彼らを阻んだせいで、彼らは龍門を奪い取れなかった。
[チェン] 悪いが、タルラ……彼らが龍門で無駄死にすることが、お前の想定の範囲外だったと言っても、私は信じない。それも計画の内、全ては今この瞬間のためだったのだろう?
[タルラ?] フェイゼ、お前はそもそも私を信じたことなどない。
[チェン] タルラを知らないのかと問われたなら、私は知っていると答える。タルラを信じないのかと問われたなら、私はもちろん信じると答える。
[チェン] だからこそ、この考えを確かめるためにお前の前にやってきた。自ら進んで。
[チェン] だが私がここへ来たのは、お前の潔白を証明するためではない……絶対に違う。
[タルラ?] 何故なんだ、フェイゼ? 私を信じるとたった今言ったばかりじゃないか?
[タルラ?] 今となっては私たちは皆感染者だ。どうして同じ側に立てない? 私たちの再会は喜ばしいことじゃないのか?
[アーミヤ] (彼女の感情が本当に揺れ動いている……くっ……!)
[チェン] 話を逸らすな、レユニオンのリーダー!
[チェン] 私には証拠、判断、実証が必要だ。
[チェン] 近衛局所属だった頃の私も、今のチェン・フェイゼも……「お前が潔白だ」と証明するつもりはない。間違ってもそれは有り得ない。
[チェン] 何が「過去のタルラ」を今のタルラへ変えたのか、それを私が知らないと言ったな?
[チェン] だが何が今のお前を形作っていようと、タルラが二つに分かれることなどありえないだろう?
[チェン] 過去のお前を知っているからこそ、私はよりはっきりさせなければならない……誰が、何がお前をこうしたのか!
[チェン] お前が受けた痛みや苦しみ……お前の父が死んだ真相……ウェイに対するお前の憎しみ……全て想像できる。恐らくこれら全てがお前をこの道へと追いやったのだろう……
[チェン] だが何が――一体何がお前を、敵はおろか、同胞に対しても冷酷な人間に変えたんだ?
[チェン] 一体何がお前をウルサスの侵略作戦の先鋒に仕立て上げたんだ? お前は仲間までをも騙したのか、タルラ?
[タルラ?] 私を裁くつもりか? 全てを捨ててここまで来たのは、ただ私と決別するためか?
[タルラ?] お前をこんなにも冷血で盲目的な人間にしたのはウェイなのか? お前が尋ねるべきなのは、私がなぜこんなことをするのかだろう?
[チェン] いいや。そんなものはこれが終わった後でいい。スクラップの山から事件の全貌を繋ぎ合わせることなど、私には容易い。
[チェン] 私はここに、責任を果たしに来たんだ。
[チェン] もしお前が無実だったなら、私は信号弾を空へと放つはずだった。たとえお前が私を殺そうと構わない。お前の罪が死に値するほどではなかったと証明できれば、それで十分だった。
[チェン] だが、お前がまだ誰かに危害を加えようなどと企んでいるのなら、私たちは一切を顧みずお前を阻止する。たとえ私たちの命がここで無くなろうと。
[チェン] 私はお前がどこまで道を踏み外しているのかを確かめに来たんだ。裁判も経ずに処刑するのは、謀殺に等しい。それは感染者に対して都市が犯した罪と同じだ。
[チェン] その答えは、もうこの目ではっきりと見たよ。
[チェン] 私の剣、私の考え、私の信念、全てお前にぶつけるために準備してきた。
[チェン] 過去の出来事は、過去にとどめておけ。全ての過去は――
[チェン] もう二度と戻ってくることはない。
[チェン] 人の命を軽んじる陰謀家ならば……たとえそれが誰であろうと、私の剣は容赦しない。
[チェン] お前とて例外ではない。
[タルラ?] フフッ……
[タルラ?] 私との関係を断ちたいというのだな、フェイゼ。
[チェン] チッ……
[チェン] 皮肉を言っても無駄だ。私に後ろめたさを感じさせるつもりなら、好きにするがいい。
[チェン] これが今の私だ。言ったことは成し遂げる。お前の方こそ、それを心に刻んでおけ。
[チェン] アーミヤ、君が何をするつもりかは聞かない。私が聞きたいのは、私に何をしてほしいかだ。
[アーミヤ] はい、チェンさん……少し時間を作ってください。
[チェン] どれくらいだ?
[アーミヤ] 三分です。
[チェン] なら最低でも三分は作ってやろう。
[チェン] 今回は本当に「共同作戦」だ、アーミヤ。私たち二人でやるんだ。
[チェン] だが私たちは、無数の命を背負っている。それは君もよくわかっているはずだ。
[チェン] 三分だ、アーミヤ。この三分の間、君は絶対に死なない。私が保証する。
[チェン] それと……この戦いで背中を預け合うのとは別に、頼みがある。
[チェン] 私の姉が一体何になってしまったのか、一緒に解き明かしてくれ。
[チェン] そして、私は知りたい。奴の演技欲に塗れた上っ面ではなく、その本質ともう一度向き合うチャンスがあるのかどうかを!
[チェン] どんな結果になろうと、私は全て受け入れる!
[アーミヤ] わかりました。約束します、チェンさん。それから……ありがとうございます。あなたのブレない強固な意志に感謝します。
[チェン] 私がこの目で見たものこそが、私にとっての真実だからな。
[チェン] タルラ、お前の行為、お前の言動……全てこの目で捉えた!
[アーミヤ] 行きます、チェンさん!
[タルラ?] コータス、お前がどんな手で私の妹の思考を操ったかは知らない。お前がサルカズとどんな汚い取り引きをしたのかも知らない。
[タルラ?] だが、背後でお前を操る影と、Wを唆している者は、同一人物か?
[タルラ?] ああ、まだ答える必要はない。まずは炎で教えてやろう……お前はサルカズを頼りにすべきではなかった。サルカズの力で私と妹との関係を辱めるべきではなかったのだ。
[タルラ?] お前の下劣な行為と過去の罪悪は、全て受け入れられる。お前の国家は依然として寛大な懐でもって、お前の全て、お前の懺悔を受け入れるだろう。しかし――
[タルラ?] 多くのサルカズと仲間になり、カズデルと徒党を組むだと?
[タルラ?] ……お前とその指導者は永遠に追放されるべきだ。荒野で飢えと渇きに苛まれ、生きながら虫に齧られ、死んでも安息は訪れない。そうあるべきなのだ。
[チェン] ……
[チェン] ……お前は本当にタルラなのか!?
[タルラ?] フェイゼ、真相を知りたいのなら、これ以上お前のそばにいるその悪毒の種を擁護するな。そいつは、事実を捻じ曲げ、私の記憶を利用してお前を惑わし、私たちの仲を引き裂こうとしている……
[タルラ?] コータス人の小娘よ、ボジョカスティが光を求めて魔窟を去ったにもかかわらず、お前は暗闇へ向かって行く……お前には彼を殺す資格などなかった!
[アーミヤ] ……
[アーミヤ] もしあなたの言う魔族が、私の知っているサルカズ人のことだとしたら、もしあなたの言う人間が、あなたのような人だとしたら……
[アーミヤ] もしあなたの言う光が、虐殺や、痛みをばら撒いて、傷つけ、騙すことだとしたら……そしてあなたの言う暗闇が、救いや同情、正義のために戦うことだとしたら……
[アーミヤ] 私は喜んでサルカズと共に歩んでいきます!
[タルラ?] 感染者という身分がお前を盲目にしたのか? サルカズが感染者を利用したことで、彼らの目的を勘違いしたのか? 自分が駒として利用されていることに気づいていないのか?
[タルラ?] さらには私の妹をたぶらかし、暗闇へと突き落とそうというのか?
[タルラ?] 私の炎は偽りを焼き尽くし、お前の背後にある真実をあぶり出すだろう。少々痛みを伴うが、私はこうする必要があるのだ。
[チェン] まずは私に許可を取ってからにしてもらおう。
[タルラ?] 私もこんなことはしたくないのだ、フェイゼ。
[チェン] 以前のお前なら、決してこんなことはしなかったはずだ。言葉と行動がちぐはぐなその姿はもう……見飽きた。
[アーミヤ] 憎しみがあなたを盲目にしてしまったんです。憎しみによって自分を見失い、自分の立場に囚われてしまった……
[アーミヤ] 炎――あなたはまだあの大火から、抜け出せていないんです。「タルラ」!
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