aklib_story_怒号光明_M8-8_夢からの覚醒_戦闘前

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怒号光明_M8-8_夢からの「覚醒」_戦闘前

集団の中の個体は、互いに支え合いながら未来を待つ。孤独な個体はただ一人、自由の寂しさを噛み締める。


[盾兵] ウルサスの犬共がレユニオンの皮を被って部隊に紛れ込んでいる! 全員用心しろ!

[盾兵] さっきペンキを塗った奴以外は敵だ、一人も逃すな! 中に一歩でも近づこうとした奴がいればその場で殺せ!

[ロドス前衛オペレーター?] でも、レユニオンの奴らだって煽られたか騙されてここを目指してるんだろ? 殺すしかないのかよ?

[盾兵] その質問の答えは、数分後奴らに殺されたお前自身に聞くんだな!

[ロドスオペレーター] Guard、敵の火力があまりにも高すぎる! レユニオンらしからぬ火力だ!

[ロドス前衛オペレーター?] レユニオンらしからぬ? どういう意味だ!?

[盾兵] こちらの砲兵全員にあの新型兵器を使わせられれば、天災になど頼らずともすぐにチェルノボーグを落とせる程の力を得られるのだが……

[盾兵] ウルサス軍の奴らは、もはや正体が露呈するかどうかなど気にしていない。今は誰もが、中へ突き進むことに必死だ。

[迷彩狙撃兵] どうしてタルラは最初から奴らをそばに置いておかなかったんだ?

[盾兵] 怖いからだ。俺たちが奴らの作戦を見破り、その実力を打ち破ることを恐れていたんだ!

[ロドスオペレーター] 人数が増えすぎれば、タルラであろうと全員の存在を隠し通すことは難しくなるからな。それに、あの武器は気軽に持ち出せるようなものでもない。

[ロドスオペレーター] おそらく最初から中枢区画の各地点に隠し、混乱した状況に合わせて持ち出す計画だったんだろう!

[盾兵] そうだ、全ては最初から俺たちに対抗するための策だったんだ! 奴らは俺たちを全滅させるつもりだろうが、ここで倒れるのは奴らの方だと思い知らせてやる!

[盾兵] 陣形を保て! 前進だ!

[ロドスオペレーター] 何をしてる!? お前ら……陣地を離れる気か!?

[盾兵] ロドス、目を凝らせ!

[盾兵] 俺たちこそが戦線だ! 俺たちの足が向かう先が最前線となろう! さあ、前進しろ!

[レユニオン構成員] それは無理だ、俺たちの部隊が耐えられない!

[盾兵] 耐えるのはこちらの仕事だ! 俺たちが耐え、隙を見て奴らをなぎ倒す! お前たちはその後をついて来ればいい!

[ロドス前衛オペレーター?] お前たちはできそうか?

[迷彩狙撃兵] ……

[迷彩狙撃兵] 隊長がいなくなった今、我々は不利な状況にある。

[盾兵] だが、お前たちならできるはずだ!

[迷彩狙撃兵] もちろんだ。

[迷彩狙撃兵] ファウスト隊長は我々のために命を捨てた。

[迷彩狙撃兵] ……あのロドスのウサギが、本当に隊長の仇討ちを成し遂げられるのなら、我々の命など取るに足らない!

[ロスモンティス] 違う。

[ロスモンティス] その必要はないよ。

[迷彩狙撃兵] お前は……ロドスの……

[ロスモンティス] 向こうの陣地を直接粉々にすればいいんでしょ?

[ロスモンティス] Raidian、このメッセージが聞こえたら、向こうの通信に干渉して。

[ロスモンティス] 一瞬でいいから彼らのイヤホンを爆発させて。あ、本当の爆発って意味じゃないよ。うん、音が大きければ大丈夫。

[ロスモンティス] もちろん、本当に爆発させる方法があるならそれでもいいけど。

[ロスモンティス] わかった、5秒だね。

[ロスモンティス] 4……迷彩狙撃兵、準備して。

[迷彩狙撃兵] なに!?

[ロスモンティス] 3……Guard、部隊を分散させて。

[ロドス前衛オペレーター?] ……信じよう。

[ロスモンティス] 盾兵、構えを解いて陣形を広げて。

[盾兵] お前の位置が露呈するぞ!

[ロスモンティス] 大丈夫。

[レユニオン構成員] 遊撃隊、本当にこれでいいのか……?

[ロスモンティス] 1――

[盾兵] 彼女は俺たちに命を託したんだ、俺たちの命も彼女に預けろ!

[迷彩狙撃兵] レユニオンに紛れ込んだ奴らが突然倒れた!

[ロスモンティス] 三本。

Guardは、これまで幾度も繰り返し考えていた。

不可解な能力を持つロドスのオペレーターたちに……その能力で、戦場を支配できるオペレーターたちに、自分はどう向き合えばいいのだろうか。今、彼は再び己に問う。

やがてAceが彼に答えを告げた。Scoutもその疑問に答えてみせた。そして今、ロスモンティスも、彼女なりの答えを見せている。

巨大な剣が敵の大砲に振り下ろされる。別の場所にいたサルカズの傭兵たちが弓を構えるのを見て、Guardは思わず叫んだ。

[ロドス前衛オペレーター?] 盾兵、九時の方向に盾を構えろ! ロスモンティスを守れ!

彼らも小隊を構成する一員だ。互いに守り、互いに協力し、互いに理解し合う必要があった。

そして、彼らは人間だ。自分と同じように死に物狂いで戦っている人間なのだ。

[盾兵] 受け止めたぞ! 良い観察眼だ、同志よ!

[ロスモンティス] ありがとう、Guard。

[ロドス前衛オペレーター?] 礼はいい。続けましょう、ロスモンティスさん。

[ロスモンティス] 盾兵たち、オペレーターたち、感染者たち……

[ロスモンティス] 友達、家族……

[ロスモンティス] 家に帰るんだ。私たちはこの戦いに勝って、アーミヤもきっとタルラを倒す。そしたらみんなで家に帰ろう。

ここはどこだろう?

そろそろ帰らないと。

なんだか、寒い……

あの黒い影はなんだろう?

ああ、そうだ……あいつらが凍え死にそうだったから、僕は何かを分け与えたんだった。

ううっ、寒い……

何を分け与えたんだっけ?

思い出せない……何かとても大切なものだったような気がする。他人に渡しちゃダメだって、誰かがきつく言ってた。

じゃあ……どうして分け与えてしまったんだろう?

本当は大切じゃなかったから、なのかな? いや、多分違う。寒くなりすぎたら僕も消えちゃうし、大切じゃないはずがないよ。

......

わかった。

僕の友だちが同じ立場なら、みんなきっとそうしていたからだ。

僕の、友だち……

中にはとても厳しい人もいた……彼は僕を友だちだと思ってくれていたかな?

僕のために歌を歌ってくれる人もいた。もう随分聞いてないや。

目つきが鋭い傭兵も。でも彼女の料理はどれも美味しかったな。

それと、僕の大切な人。彼女が僕に向かうべき道を教えてくれた。でも……わからない。わからないよ。

あと、全然しゃべらない人もいたっけ。

何かが来る。

黒い影がいっぱい揺れてる。

何をするつもりなんだろう?

あいつらも、僕の命が欲しいのかな?

そうだ、命。

命は……大切なものだ。

本当かな?

命なんてもの、役に立つの?

黒い影が、すぐ近くまで来てる。

……僕の命を奪いに来たの?

[ドクター選択肢1] あれは……なんだ?

[ケルシー] ドクター、下がっておけ。先には行かない方がいい。

[ケルシー] やはり遅かったか。

「あれ」はもはや感染者ですらない。

別の生き物だ。

[ケルシー] ……むごい。

[ケルシー] さすがの私も、これほど悲惨な光景を見たのは過去に一度きりだ。

[ケルシー] 術者とそのアーツの被害者がひとかたまりとなり、混ざり合った肉体と源石が堆積した小さな丘に、脆い花が咲く……

[ケルシー] 崩れた花の粉末は風に吹かれ、呪われた土地の上空を舞い、人々を感染させていく――

[ケルシー] ――そして、不幸にも感染した者は新たな宿主となり、更なる苦痛と死を伝染する。

[ドクター選択肢1] ただ昔話を語っているようには思えないな。

[ケルシー] 私は見たままを話しただけだ。どんな言葉で言い繕おうと、あの惨劇に対する侮辱になるだけだからな。

[ケルシー] 感染源の播き散らすエネルギーは、毒薬に等しい。そしてそれが引き起こす毒の害は、自然に消えることはない。

[ケルシー] あの時、私は心に決めた。二度とこんな悲劇は起こさせまいと……

[ケルシー] しかし、ままならないものだな。まさかあの悲劇が、再び私の目の前で繰り返されるとは。

[???] (低いうなり声)

[ケルシー] ……「あれ」はもう昏睡状態に陥っているようだ。無意識に排出を続けているように見える。

[ケルシー] 操られていない特殊感染者のサルカズたちがいるのも、「あれ」がそれぞれの個体を操ろうとしていないからだろう。

[ケルシー] 自由、か。

[ケルシー] 皮肉だな。家畜が自由を手にするなど……

[???] (うなり声)

[ケルシー] ――!

[ケルシー] やはり、「あれ」が源石の粉末を広範囲に拡散した元凶だ。

[ケルシー] ……

[ケルシー] マズい。家畜のサルカズも最後にあの形態に変化するとしたら、その影響は計り知れないものとなる。

[ケルシー] 「あれ」が撒き散らす粉末は、もはや単純なアーツなどではない。非感染者をも感染させ、特殊感染者にしてしまうだろう。

[ケルシー] 街に咲き乱れる源石の花……あんな光景はもう二度と見たくない。

[ケルシー] Dr.{@nickname}。ここはひとまず私たちで「あれ」を制圧し、感染源の拡大を阻止して伝染を食い止めるべきだ。

[ドクター選択肢1] 「あれ」は……

[ケルシー] 知り合いか?

[ドクター選択肢1] ああ。

[ドクター選択肢2] よくわからない。

[ドクター選択肢3] いや。

[ケルシー] ……

[ケルシー] 君が何を考えているか、私にはわからないが……

[ケルシー] 私は審判を下す者ではなく、ただの医者なんだ、Dr.{@nickname}。

[ケルシー] この大地は病に侵されている。誰かが治療してやらなければ、どうなると思う?

[ケルシー] 生物には免疫システムがある。もしそれが大地にもあるとしたら、この地もいつかは自己修復が可能かもしれない。

[ケルシー] しかし、今以上に痩せた土地の上で、私たちが生存していくことはできない。大地がこのまま衰弱していけば、私たちも死ぬ。

[ケルシー] そして私たちの前にいる感染者は……

[???] (雄たけび)

[ケルシー] これだけは言っておく。たとえ現時点で治療は不可能と判断されている病があったとしても、医者は決してそれを死とは見なさない。

[ケルシー] 「特効薬がまだ開発されておらず、患者の命がその病によって脅威にさらされている」、それだけだ。

[ケルシー] 医者は絶対に諦めない――たとえ誰もが確信していたとしても……医者は絶対に認めない。

[ケルシー] 「この病は手の施しようがない」などとはな。

[ケルシー] なぜなら、それは言い訳になるからだ。絶対に医者が使ってはいけない逃げ口上だ。

[ケルシー] どんな脅迫を受けようと、私の医学知識は人の道から外れた行為に使うことはない。どの命も生まれた時から尊厳を持っている。

[ケルシー] 感染者が世にどう扱われていようと、患者を診るのが私の責務だ。

[ケルシー] だから、私はどんな命も諦めない。治癒の可能性が残された命を、決して。

[ケルシー] だが、病の拡散を防ぐために、時には残酷な選択を余儀なくされる場合があることを、医者は否定できない。

[ケルシー] 感染者は誰かの道具ではない。何人たりとも、一個の命を操ることはできない。

[ケルシー] 私が何もしなければ、あれは一つのターゲットに、一つの兵器に、一つの言い訳に成り下がる。ここであれを放置したとて、ウルサスへの復讐にもならない。

[ケルシー] 逆に、ウルサスの傷口は誰かの傷口となるだろう。

[ケルシー] 誰かがもがき苦しむのを、私たちは放ってはおけない。

[ケルシー] ある種の病は、普通の医者で治せるものではない。

[ケルシー] この土地が彼らに与えた全ては、いつか必ず何倍にもなって別の人たちに注がれる。

[ケルシー] ――医者ができることなどたかが知れている。

[ケルシー] より多くの命を救おうと言うのなら……

[???] (鳴き声)

[ケルシー] 決断を下すべきだ。

静寂。

オペレーターたちの着けた防護マスクから重々しい呼吸音が響く。

[ケルシー] つまり、我々の目的は決まっている。

[ケルシー] Dr.{@nickname}、中枢区画のエネルギー供給を止める前に、今も数を増やし続けている家畜を一掃し、更なる災いの発生を防がなければならない。

[ケルシー] Mon3tr、起きろ!

[ケルシー] ……残された時間は少ない。この結末は……救いには成り得ないのだろうな。サルカズの家畜たちの運命は、もう決まってしまっているのだから。

ケルシーは、もはや感染者とも呼べない白い結晶体を眺めながら、静かに立ち尽くす。

「その体には、どれほどの傷痕が刻まれているんだ?」彼女はそう問いかけた。

それが目の前で絶えず震える生き物に向けた質問なのか、それとも自問自答なのかはわからない。

白い生物が両腕らしきものを翼のごとく広げた。

――君たちは何が欲しいんだ?

「それ」は前へ向かって体を引きずるが、脆い翼では膨れ上がった重い体を支えられない。

「それ」の喉から、むせび泣くような声が、恐怖の川のように流れ出す。

[ドクター選択肢1] 何かがおかしい。

[ドクター選択肢2] 本当に……美しい生き物だ。

[ケルシー] 君の予感は正しい。あれは普通の感染生物ではない、あれは……この大規模感染の発生源なのだから。

[ケルシー] 自然ではない生物は、大抵歪んだ美学から生まれる。

[ケルシー] だが、その外見に惑わされてはならない。どれほど美しかろうと、周りの惨状を生み出している元凶であることには変わりない――

[ケルシー] ……

[ケルシー] 歌っているのか。

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