aklib_story_怒号光明_R8-1_殻破りし昨日_戦闘後

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怒号光明_R8-1_殻破りし「昨日」_戦闘後

公爵の娘は己の正義に従い行動する。しかし正義の行いでは善意の結果をもたらせない。その背に巣食う影は、彼女の意思を呑み込むことを諦めてはいなかったのだ。


[感染者監視隊] あがっ……!!

[タルラ] その手はまだ切り落とさずにおいてやったんだ……立て!

[感染者監視隊] ……こ、これで済んだと思うなよ!

[タルラ] なら今すぐその舌を切り落としてやる。

[感染者監視隊] ひぇっ!!

[タルラ] ……逃げたか。

[タルラ] 爺さん、大丈夫――

[おじいさん] 何てことだ! あぁ、タルラ……お前何をしたかわかっとるのか!

[おじいさん] 監視隊に手を出したんじゃ! 大変なことになるぞ!

[おじいさん] あと二日で村の移動があるというときに……お前は全く何ということを!

[タルラ] 爺さんがやられるのを黙って見ているなんてできない。さっき奴を殺しておけば、死体に気付かれる前に村の移動を終えることもできたかもしれないな。まあ、今さらもう遅いが。

[タルラ] だが、そうなれば一生逃亡生活だ。監視隊を総動員すれば、私たちを見つけることなんて容易い。報復は避けられないだろうな。

[おじいさん] そもそも手を出さなければよかったじゃろうが! お前は一体何を考えとるんじゃ!

[タルラ] 安心しろ爺さん。奴らの仕事は感染者の捜索だ。それにまだ奴らは知らない。

[おじいさん] ……?

[おじいさん] 知らないって何をじゃ?

[タルラ] 私がこれからすることを。

[おじいさん] おい……タルラ!

[タルラ] 爺さん、大丈夫さ。ほら、私につかまって。

[タルラ] とにかくその足を治療しないと……

[おじいさん] はぁ、まさかお前の肩を借りる日が来るとはのう……まだまだ現役だと思っておったが、寄る年波には勝てんということか。

[おじいさん] タルラ、お前に話しておきたいことがある……

[タルラ] 爺さん、どうした急に?

[おじいさん] ……

[おじいさん] その……何だったかの? ははっ、こりゃ失敬、忘れてしもうた。いかんな、どうもボケてきたようじゃわい……

[タルラ] ……

[タルラ] まったく、素晴らしい記憶力だことで。

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