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局部壊死_6-15_悪くない思い出_戦闘後
最初に救出されたフロストノヴァはドクターを殺そうとはせず、ただ、二人が二度と会わないようにと願った。 しかし、現実とは常に自分の望みとは正反対のものだ。
[アーミヤ] ……。
[アーミヤ] (ブレイズさん。チームを連れていつでも先手を打てる体制を敷いてください。)
[ブレイズ] (奇襲でもするつもり?)
[アーミヤ] (今の状況が心配で。)
[アーミヤ] (私たちもスノーデビルも、それぞれの方法でドクターとフロストノヴァさんの位置を特定できています。ブレイズさんのアーツがうまくいったようで、二人共安全なはずです。)
[アーミヤ] (ですが……二人の位置が近すぎます。一人救出すれば、もう一人も同時に上がってくることになると思います。)
[アーミヤ] (そうなると、二つの不確定要素がどうなるか心配です。)
[アーミヤ] (一つ目は、誰が先にドクターとフロストノヴァさんを掘り当てるか……。)
[ブレイズ] (もう一つは、フロストノヴァの動向ってところかな。)
[アーミヤ] (そうなんです。)
[アーミヤ] (もし私たちが先に掘り当てたなら、すぐにフロストノヴァさんを制圧し、説得する必要があります。それでスノーデビルの皆さんにも話を通してもらいます。)
[アーミヤ] (そうすれば、戦いが避けられるだけでなく、より深い交流の機会も生まれます。)
[アーミヤ] (ですがもし、あちらが先に掘り当てた場合は、私たちは……。)
[ジェシカ] ア、アーミヤさん、心拍探知機に反応がありました。座標は正確に特定できましたが、深度は不明です……。
[アーミヤ] わかりました!
[ブレイズ] ちょっと……待ってよ!
[ブレイズ] あんなに慌てて走って行くなんて……まったく。
[メテオリーテ] ドクターのことになると、本当に人が変わるんだから。普段の落ち着きはどこへ行ったものやら……。
[メテオリーテ] アーミヤの欠点と言うべきか、彼女らしいと言うべきか……。
[ブレイズ] さっきアーミヤちゃんが言ってたことだって、あの子らしくなかったよ。あまりにも結論を急いでるというか。
[メテオリーテ] でも、さすがにスノーデビルを奇襲するって考えには至らなかったみたいね。私はそうするべきだと思うけど。
[ブレイズ] いや、それが正しいとは断言できないよ。今スノーデビルに奇襲を仕掛けても、決死の抵抗をされるだけだから。
[ブレイズ] 私たちの目的は、みんなを救うことであって、さらに多くの被害を生むことじゃない。アーミヤちゃんはその一番悩ましい部分と向き合ってる。
[メテオリーテ] ……謝らないといけないのは私みたいね。傭兵としての考え方にとらわれすぎてるみたい。
[ブレイズ] それでも、君だって直接手は出さなかったでしょ?
[ブレイズ] 目の前の勝機に惑わされず、本来の戦術目標を見失わない。それが私が信じてる、戦地指揮官としてのアーミヤちゃんだよ。
[ブレイズ] スノーデビルの様子を見てくるね。
[メテオリーテ] えっ?
[スノーデビル1号] ここの構造は……複雑すぎる。何がなんだか分からん。
[スノーデビル隊員B] 口で構造を説明してくれ、俺が図に起こす。
[スノーデビル1号] えっ? こちとら八年生の教科も勉強し終えてないんだ、勘弁してくれ。
[スノーデビル隊員B] お前、学校で何してたんだ?
[スノーデビル1号] 訓練に駆り出されてな。
[スノーデビル1号] ビッグベアにやってもらうか? なんかそれっぽいアーツが使えるはずだろ。
[スノーデビル隊員B] 奴が得意なのは、詩を詠んだり文章を書いたりする方だ。お前の構造分析とは訳が違う。
[スノーデビル隊員B] うーむ、そうだな……では、数式で表現してみるのはどうだ?
[スノーデビル1号] おっ、良さそうだな。数学ならそこそこできる、やってみよう。
[スノーデビル隊員B] それにしても、少し暑くないか?
[スノーデビル1号] そんなわけないだろ。これだけ厚着をしてても、姐さんの源石で肌が凍りつきそうだぜ……。
[スノーデビル1号] あっ。
[スノーデビル1号] あんたか、ロドスのネコさん。
[ブレイズ] ごめんね、私が汗をかくと周りが暑くなっちゃうんだよね。暑くなればなるほどさらに汗もかくし。
[ブレイズ] まぁ君たちがいるおかげで、普段より涼しいけどね。
[スノーデビル隊員B] 顔がひきつっている、緊張しているのか?
[ブレイズ] ちょっとね。敵と協力するなんて思わなかったから。
[スノーデビル隊員B] ……少なくとも今は、俺たちのことは敵だと思わなくていい。姐さんを救出した後は姐さんの言う通りに動くが、それはまだ先のことだ。
[ブレイズ] ……君たちは本当に、他のレユニオンとちょっと違うんだね。
[スノーデビル隊員B] レユニオンだからと言って、一から十まで同じ考えの者を探すことは難しいだろう。お前は自分とあのウサギが全く同じ考えだなんて考えたことはあるか?
[ブレイズ] おっと、確かにその通りだね。私たちのところは人間性の見本市みたいに本当に色々な人がいるから。
[スノーデビル隊員B] どこに行ってもそれは同じさ。
[スノーデビル1号] 少なくとも、あんたたちは俺たちの話を聞いてくれる。前に会ったウルサスの兵士たちは、出会い頭に射ってくるような奴ばかりだったからな。
[スノーデビル1号] そこら中バンバン矢が飛び交って、それから取っ組み合いさ。どっちかが死に絶えるまでな。
[ブレイズ] まぁ私たちはウルサスの兵士じゃなくて製薬会社だからね。
[スノーデビル1号] 製薬会社でそんな装備が支給されるのか?
[ブレイズ] 今はどこもかしこも争いが絶えない。誰だって自己防衛の手段を持つ必要があるってこと。
[スノーデビル1号] ……そうやって争ってる時間を、種を植えるのに充てられればいいのにな。
[スノーデビル1号] もし赤麦を目一杯植えられれば、集落の感染者だってあんなに飢えずに済む。
[スノーデビル1号] もし飢えに苦しまなければ、あいつらだって、わざわざあの街に行く必要もなかったし、射殺されることもなかった。
[スノーデビル1号] もしも……なぁ……。
[スノーデビル隊員B] もう言うな。
[ブレイズ] 意外と感傷的なんだね。と言うか、ウルサス人はみんなちょっと感傷的なところがある気がするな。
[スノーデビル隊員C] おい! なにをサボっている!
[スノーデビル1号] あっ、すまん。仕事に戻らせてもらうぜ。
[ブレイズ] うん、頑張って。
[ブレイズ] でも君が持ってるそれ、いい香りが漏れ出してるよ。
[スノーデビル1号] えっ? これは……えーっと……。
[スノーデビル隊員C] 何のことだ?
[ブレイズ] ううん、何でもないよ。
[ブレイズ] あーあ、ちょっと口寂しくなってきちゃったよ。
[スノーデビル隊員C] ほう……?
[スノーデビル1号] な、何見てんだよ?
15:22 P.M.
チェルノボーグ移動都市「エリア14」跡地
エリアブロック
発掘作業開始から三時間後
[メテオリーテ] アーミヤ、もう止めて!
[メテオリーテ] もう指が血だらけじゃない……! 手で掘るのはもう止めて!
[アーミヤ] ですが……「感情」を感じたんです。このすぐ下……すぐ下にいるんです!
[アーミヤ] 道具を使って掘ったら、この感情は感じ取れません……この手で、指でじゃないとあの繊細な感覚が感じ取れないんです……。
[メテオリーテ] アーミヤ!
[アーミヤ] もうすぐそこなんです!
[ブレイズ] (メテオリーテ……。)
[メテオリーテ] (でも……。)
[ブレイズ] (やらせてあげよう。)
[アーミヤ] もし彼らに先に見つけられでもしたら……もし私が先に見つけられなかったら……!
[スノーデビル1号] 大丈夫だ、お前ならできる!
[スノーデビル隊員D] アーツで? ぼ、僕はダメですよ、無理ですって!
[スノーデビル1号] 姐さん以外で、この手のアーツを使えるのはお前ぐらいだ。さぁ早くやってみろ、両側に温度差ができればいい。もちろん差は大きいほど良いぞ!
[スノーデビル隊員D] じゃあやってみますが……失敗しても責めないでくださいね!
[スノーデビル隊員B] お前以外に、誰を責めればいいんだ……。
[スノーデビル隊員C] あまりイジメてやるな、集中させてやろう。
[アーミヤ] ここです、ここです!
[アーミヤ] ……壁? 間違えたの?
[アーミヤ] ううん、やっぱりここ。邪魔な壁の瓦礫を破壊できれば……!
[アーミヤ] でも、もしここが全部崩れてしまったら……どうすれば……。
[アーミヤ] 失敗……しちゃったの?
[スノーデビル1号] 開いたぞ!
[アーミヤ] ……!
[アーミヤ] ブレイズさん! メテオリーテさん!
[メテオリーテ] ……了解。
[ブレイズ] 準備を。
[ドクター選択肢1] 君の勝ちだ。
[フロストノヴァ] 私が負けるとでも?
[ドクター選択肢1] いや、そもそも勝てる選択肢はくれなかった。
[スノーデビル1号] 姐さん!
[スノーデビル1号] ……そいつは……。
[スノーデビル1号] そいつがロドスが言ってたドクターだな。
[ドクター選択肢1] 煮るなり焼くなりお好きなように!
[ドクター選択肢2] ……。
[ドクター選択肢3] どうも。
[フロストノヴァ] ロドスのリーダー。
[アーミヤ] はい。アーミヤと呼んでください。
[メテオリーテ] (アーミヤの指輪が……指輪が赤くなってる?)
[ブレイズ] ……。
[メテオリーテ] (止めないの?)
[ブレイズ] (唯一の勝機を止める理由なんてない。)
[メテオリーテ] ブレイズ!
[ブレイズ] アーミヤちゃんの選択を信じる。
[ドクター選択肢1] アーミヤ、止めるんだ。
[アーミヤ] ドクター!
[フロストノヴァ] ビッグベア、ロドスはお前たちと交戦していないのか?
[ビッグベア] ああ。そうだ。
[フロストノヴァ] ……ではこの戦場では、我々は敵同士ではないな。
[アーミヤ] フロストノヴァさん……。
[フロストノヴァ] 敵同士でなければ、殺し合う理由もない。
[フロストノヴァ] 戻るがいい、ドクター。お前の仲間の元へ。
[スノーデビル1号] ……さすが姐さんだな。
[スノーデビル隊員B] いまさらお前が褒めなくても皆知っている。
[フロストノヴァ] 静かにしていろ。
[フロストノヴァ] 子ウサギ。
[アーミヤ] えっと、ですから私はアーミヤ……。
[フロストノヴァ] お前たちも龍門へ向かうのだな?
[アーミヤ] ……はい。
[フロストノヴァ] ではいずれ敵同士となるだろう、子ウサギよ。だが、今はまだその時でない。
[アーミヤ] フロストノヴァさん、あなたとあなたの小隊は、殺戮も、暴力も好まないことを知りました。他のレユニオンとは違って。
[フロストノヴァ] 「他のレユニオン」か……だがどうであれ、我らの同胞を非難してやるな。彼らが経験してきたことは、お前にはわからないだろう。
[アーミヤ] ですがあなたは、彼らの行いを見過ごすことに心を痛めているはずです!
[フロストノヴァ] ……ほう?
[フロストノヴァ] 私の考えが読めるのか?
[アーミヤ] いえ。ですがあなたの不安と焦りがかすかに伝わってきます。
[フロストノヴァ] だが、それらは龍門が陥落すれば全て消えてなくなるものだ。
[アーミヤ] 私たちロドスは……あなたのことも、あなたの小隊のことも理解できます。
[アーミヤ] 「お前たちに何がわかる」と仰られるかもしれませんが……。
[アーミヤ] ですがフロストノヴァさん、彼らが一体何を経験してきたか、私にはちゃんとわかっています。
[フロストノヴァ] ……本当に甘い奴だ。
[ドクター選択肢1] フロストノヴァ、その服は他人のものか?
[フロストノヴァ] ……。
[フロストノヴァ] その通りだ。元は「パトリオット」のマントだった。それをコートに仕立て直した。
[アーミヤ] ……えっ……。
[フロストノヴァ] どうしてわかった?
[フロストノヴァ] いや、いい……。
[フロストノヴァ] ……。
[フロストノヴァ] 話せないことは誰にでもある。
[アーミヤ] フロストノヴァさん、ロドスは相手が誰であれ不要な衝突は避けたいと思っています。
[フロストノヴァ] 不要な衝突か。だがこれまでに起きた衝突で、一度でもそれが本当に必要なものだったことなどあるのか?
[アーミヤ] 少なくとも、あなたの小隊とは戦いたくありません!
[アーミヤ] 皆さんはまっすぐで優しい人です。彼らを傷つけることも、彼らが罪のない人を傷つけることも、私たちは見過ごせません!
[フロストノヴァ] ……ではもう、二度と我々と会わないことを祈るのだな。
[アーミヤ] フロストノヴァさん!
[フロストノヴァ] 私自身、お前たちを傷つけたくないと感じているのかもしれない。だがもし必要に迫られれば、ためらうことなくお前たち全員を殺すだろう。
[ドクター選択肢1] ロドスに来ればお互い戦わずに済む。
[フロストノヴァ] では私に勝利してみせろ。
[フロストノヴァ] そうすれば、考えるとしよう。
[フロストノヴァ] だが、我々が戦場で再び相まみえるとすれば、間違いなく敵同士だろう。敵同士なら、どちらかが死に絶えるまで殺し合うだけだ。
[アーミヤ] ……。
[フロストノヴァ] そうだ、これをあの子ギツネに。
[フロストリーフ] ……なんだ?
[フロストノヴァ] 凍傷の特効薬だ。秘伝の配合がしてある。少なくとも焼けるような痛みは治まる。
[フロストノヴァ] 長きに渡る研究の成果だ。先の戦闘では、実に素晴らしい戦いっぷりだった。
[フロストノヴァ] 自分の身を顧みない戦士ほど、強いものはない。
[フロストリーフ] ……。
[フロストリーフ] 感謝する。
[アーミヤ] フロストノヴァさん……。
[ブレイズ] あ、待って。私も一言だけ。
[ブレイズ] スノーデビル1号!
[スノーデビル1号] えっ……俺?
[フロストノヴァ] ……?
[フロストノヴァ] なにごとだ?
[ブレイズ] 次は一緒に飲もう! そのウォッカ、私にも飲ませてよ!
[スノーデビル1号] あっ、バカ、それは言うんじゃねぇ!
[フロストノヴァ] ……。
[フロストノヴァ] フッ。
[フロストノヴァ] ハハハ……。
[フロストノヴァ] さらばだ、ロドス。
[フロストノヴァ] 我らが再会しないことを願おう。
龍門下層フロア
[アーミヤ] ……。
[アーミヤ] やはりこちらにいましたか。
[ドクター選択肢1] やあ、フロストノヴァ。
[フロストノヴァ] ……。
[フロストノヴァ] また会ったな、ロドス。
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