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局部壊死_6-7_断弦_戦闘後
ファウストが倒れた。 彼の死に思うところのあったグレースロートは、遺された彼のクロスボウを持って行くのだった。
[迷彩狙撃兵] ……。
[迷彩狙撃兵] ようやく泣き止んだみたいだ。
[レユニオン構成員] こいつの目、まるで脳死してるみたいに淀んでる。
[レユニオン構成員] だがこいつに同情はできない。ファウストと違ってな。あいつは命を救ってくれた、良い指揮官だった。
[迷彩狙撃兵] そのファウストがメフィストを俺たちに託したんだ……これはファウストの最後の命令だ。やり遂げてみせるさ。
[レユニオン構成員] それはお前たちの勝手だが、俺には関係ないだろ?
[迷彩狙撃兵] いや、俺たちと一緒に脱出しよう。その方がお前たちの生存率も多少は上がるだろう。
[レユニオン構成員] ……そうか、では行こう。
[レユニオン構成員] 無事逃げられたら、そいつをどこに連れてくんだ?
[迷彩狙撃兵] ファウストはチェルノボーグには行くなと言っていた。
[迷彩狙撃兵] ……だからといって、他に行ける場所はあるんだろうか?
[レユニオン構成員] お前たちはファウストの下に付いて長いのか?
[迷彩狙撃兵] フッ……最初はあいつが俺たちに付いて来ていた、といったほうが正しいな。
[迷彩狙撃兵] 四、五年前のあいつはな、何か特別な戦術が使えるわけでもなかったし、狙撃の腕前だってひどいもんだった。全部俺たちがあいつに教えてやったのさ。
[迷彩狙撃兵] だが自己学習と鍛錬を重ね、スノーデビルの奴らや、パトリオットの戦士たちとも訓練して、どんどん強くなっていった……。
[迷彩狙撃兵] パトリオットやフロストノヴァからも指導を受けて、そして俺たちの隊長を任されるまでになったのさ。隊長なんて呼んだことはほとんどなかったが、誰もが実力を認める素晴らしい隊長だったよ。
[レユニオン構成員] ……お前たちは、運が良かったんだな。
[迷彩狙撃兵] メフィストはともかく、ファウストは俺たちに何かを強要したことは一度もなかった。
[迷彩狙撃兵] みんな、起爆矢は惜しまなくていい。
[レユニオン構成員] 近衛局を蹴散らすのにまだ使えるんじゃないのか?
[迷彩狙撃兵] ファウストは死んでいった仲間を、いつもこうやって弔っていた。
[迷彩狙撃兵] 「敬意を表すことは、浪費には当たらない。」そう言ってたな。
[アーミヤ] グレースロートさん?
[グレースロート] あいつ……。
[アーミヤ] 確か、彼はメフィストと一緒にいた狙撃手でしたね。レユニオンの指揮官の一人です。
[アーミヤ] ……お知り合いですか?
[グレースロート] 分からない。私とあいつが知り合いと呼べるかは……自分でもわからない。
[ドクター選択肢1] ロドスにできることは本当に少ない。
[ドクター選択肢2] ……。
[ドクター選択肢3] 我々は感染者を救えたことはあるのか?
[アーミヤ] そうですね。
[アーミヤ] ロドスはそうです……ほとんどの場合、いつもそうです。
[アーミヤ] ですが、できることがたとえほんの一握りだったとしても、それをやるんです。
[アーミヤ] 私たちは、できることは必ずやります。
[アーミヤ] ドクター、もしかしてこれまでのことを振り返ってるんですか?
[アーミヤ] これまで……たくさんの死を見てきたことを?
[アーミヤ] ドクターの考えは分かりませんし、その感情を感知するつもりもありません。
[アーミヤ] いつかきっと……聞かせてくれると信じてますから。
[アーミヤ] ……オペレーターの皆さんは、これまでたくさんの努力をしてきました。
[アーミヤ] 死んでいった命は、救えたものよりもずっと強く心に残ります。どんな死であっても、私は忘れられません。
[アーミヤ] ですが、もしオペレーターの皆さんの努力がなければ、もっと多くの死を目の当たりにしていたはずです。
[アーミヤ] もっと、もっと多くの死を……。
[グレースロート] これまで、ロドスは感染者のために戦っているものだと思ってた。
[グレースロート] でも今は、私たちの手にかかって倒れるのも同じ感染者。
[グレースロート] アーミヤ……。
[グレースロート] ねぇ、ロドスは何のために戦っているの?
[ブレイズ] 君さ、今それを聞く?
[アーミヤ] ブレイズさん。
[ブレイズ] ……わかってるよ、続けて。
[アーミヤ] 同じことを、私もいつも自分に問いかけています。
[アーミヤ] 感染者も、非感染者も、毎日のように私たちの目の前で命を落としていきます。
[アーミヤ] ……私たちが成すべきは、目の前で起きる「一つの死を阻止する」だけではありません。それだけでは、この大地で起こる無限の死の連鎖を断ち切ることはできません。
[アーミヤ] 今もそうです……私たちが向き合っているこの戦いだって同じことです。
[アーミヤ] 戦っている者同士を死に追いやるのは、一本の矢でも、一つのアーツでも……一度の爆発でも、一つの傷口でもありません。
[アーミヤ] 私たちが真に立ち向かい、打ち克つべきは、感染者と非感染者の間の恐れと敵意です。これが全ての戦いを生み出し、互いに傷つけ合う理由の根源です。
[アーミヤ] 私たちは、そんな敵意に汚染されきったこの大地の土壌を、浄化するための薬にならないといけないんです。
[ブレイズ] あっ。
[ブレイズ] 今のあれ、レユニオンが撃ってるのかな?
[アーミヤ] ……アーツを込めた矢ですね。
[ブレイズ] お粗末な……花火だね。
[ブレイズ] ニアールから聞いたけど、チェルノボーグではあのウロコの坊やにかなり手を焼かされたらしいね。
[ブレイズ] 射撃を受け止めた腕が折れるかと思ったって言ってた。あの人の腕なんて、私ですら折れっこないよ。
[ブレイズ] でもさっきの戦いでは、弦に力がちゃんと入ってなかった。矢に込められたアーツだって大したことなかったし。
[ブレイズ] 何があったっての、ウロコの坊や。
[アーミヤ] もしかすると彼には……もう戦い続ける理由がなくなったのかもしれません。
[ブレイズ] ねぇアーミヤ、あの坊やは消えるアーツで実は攻撃を避けてたなんてことはないかな?
[アーミヤ] ……ごめんなさい。
[ブレイズ] 何謝ってんのさ。ただ、なんか惜しいことをしたなって。私が見た限り、悪い奴じゃなかったから。
[グレースロート] もういまさら何を言っても遅い。
[アーミヤ] 遅くありませんよ。
[アーミヤ] 過去に撒かれた悲劇の種が、今となって花を咲かせて、悪の実を結んでいるんです……。ですがこれから先に起きる悲劇は、私たちで止められるはずです。
[グレースロート] ……。
[グレースロート] あいつのクロスボウ、拾ってくる。
[ブレイズ] 何かを悟ったのかな?
[アーミヤ] 彼女の過去を知らないんですか?
[ブレイズ] 教えてもらってないよ。そんなに仲良くもないし。
[アーミヤ] 彼女のご両親は鉱石病学者でした。感染者のために鉱石病を研究していたのに、感染者と当局との衝突に巻き込まれて命を落としました。
[アーミヤ] 彼女はただ、私たちの境遇と自分は大して変わらないと考えているだけだと思います。
[アーミヤ] グレースロートさんはブレイズさんが思っているより、ずっと敏感な人です。ただそれを表現しないだけで。
[ブレイズ] そんなのさ……ちゃんと言ってくれなきゃ分かるわけないじゃない……。
[グレースロート] ……。
[???] 彼は君の友人ですか?
[グレースロート] ……分からない。
[グレースロート] あんたは誰?
[???] 自己紹介が必要でしょうか?
[グレースロート] いらない。
[???] 感染者と友人になるのは危険です。
[グレースロート] 私は友人が感染者かどうかは気にしない。
[???] そうですか……。
[???] ご愁傷さまです。
[グレースロート] ……どうして私にそんなことを聞くの?
[???] 君が感染者と友人になることを危惧しているからです。
[ブレイズ] アーミヤ、通信だよ。
[アーミヤ] はい。アーミヤです。
[アーミヤ] ガヴィルさん? どこにいるんですか?
[アーミヤ] ……スラム最下層の通路? 新しい通路? どういうことですか?
[アーミヤ] ……黒い装束、それに……。
[アーミヤ] スノーデビル小隊? スラムのレユニオンと合流したんですか?
[ブレイズ] ……これ一番まずいことが起きちゃったみたいだね。
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