aklib_story_紅炎遣らう落葉_CF-ST-3_夜明け

ページ名:aklib_story_紅炎遣らう落葉_CF-ST-3_夜明け

このページでは、ストーリー上のネタバレを扱っています。

各ストーリー情報を検索で探せるように作成したページなので、理解した上でご利用ください。

著作権者からの削除要請があった場合、このページは速やかに削除されます。

紅炎遣らう落葉_CF-ST-3_夜明け

天災が過ぎ去り、訪れた平穏の中、子供たちは狩人の伝説に耳を傾けている。未来は、村のこの先について模索を続けていくようだ。そして、ヤトウとノイルホーンは、露華村の跡地へと戻り、共にリオレウスの最期を見届けるのだった。


物語の最後――結局、狩人は怪物を倒せはしなかった。

けれど村人たちは無事に避難し、炎の中には燃える廃墟だけが残された。

標的を失い、深手を負った怪物が森へ帰っていくその姿は――

狩人にこう言い残すかのようだった。

「いずれ私は戻ってくる。」

狩人は森と向かい合ったまま、無言で立っていた。長い沈黙の後、彼は返事を口にした。

[やんちゃな子供] ええ? 結局狩人は怪物を倒せなかったの? つまんない!

[好奇心旺盛な子供] 村最強の狩人が怪物に負けるはずないじゃん!

[滝居未来] でも、物語の中ではそうなってるの。

[好奇心旺盛な子供] まあ、しょーがないか。この前村を襲ったリオレウスにも、逃げられたっていうもんね。

[やんちゃな子供] ふん、そんなの大人たちが弱すぎるせいだろ! おれが狩人になったら、リオレウスなんか余裕で倒せるもん!

[和也] 何言ってるのさ! ぼくはリオレウスの強さをこの目で見たんだ、きみに勝てるわけないよ!

[和也] ほら、これ見て! なんだかわかる?

[やんちゃな子供] リオレウスの狩猟に使われてた矛だ!

[和也] そう! ヤトウお姉さんが、しばらくぼくに預けるって言ってくれたんだ。つまり、ぼくにはその資格があるって認められたんだよ。だから、ぼくはいつか村で一番の狩人になるんだ!

[やんちゃな子供] なんだと~! おれの気刃兜割を喰らえ!

[滝居未来] はいはい、騒がないの。

[好奇心旺盛な子供] ねえ、お姉ちゃん。お話の中の狩人は、最後に何て言ってたの?

[滝居未来] それはね……

[滝居未来] あっ、もうご飯の時間じゃない。それじゃあ、一旦休憩ね! 戻ってきたらまた、狩人のセリフを聞かせてあげる。

[滝居未来] ほらほら、行った行った。

[滝居應] 未来……あれから半月が過ぎたというのに、まるで昨日の出来事のように感じるな。

[滝居未来] あれ、随分記憶力良くなったね。

[滝居應] はあ……私は元々記憶には自信がある。明を忘れたことなど一度もないしな。それで、柏生さんはもう目覚めたのか?

[滝居未来] まだ眠ったままみたい。でも、怪我のほうはだいぶ良くなったって先生が言ってたよ。ほんと、しぶとい人だよね。ふふっ。

[滝居應] そうか。……しかし、このところは本当にくたびれたな。道路の計画に、村の建物の再建に……

[滝居應] 源石のお陰で蓄えがあったのは幸いだった。利藤の奴も、怒りに燃える皆の前では横領した金を返さざるを得なかったしな。

[滝居應] 立て直すのは難しくないが、本当の試練はこれからだ……

[滝居應] 未来。この間言っていた涼花草の異地栽培の件、すべて落ち着いたら試験栽培に取りかかってみようか。

[滝居未来] ああ、あれ? 嘘だよ。

[滝居應] なっ……嘘、だったのか?

[滝居未来] うん。わかってると思うけど、涼花草が育つ環境条件はかなり厳しいからね。今の科学技術では、異地栽培なんてできないよ。

[滝居應] だが、この前は……

[滝居未来] ああでも言わないと、みんな避難してくれないでしょ? あの時は全員利藤に振り回されてたし、なんとか説得しなきゃと思って。

[滝居應] 困ったな……それでは、今後の村の産業が……

[滝居未来] 慌てない慌てない。もう一つ考えがあるの。

[滝居應] 今度は嘘じゃないんだな?

[滝居未来] こっちはほんとだよ。

[滝居應] では、聞こうか。

[滝居未来] 今までの経験を活用するの。

[滝居未来] 村のやり手たちを集めて、外の正式な源石工業プロジェクトに参加してもらうんだよ。そうやって、安全でコントロール可能な技術と産業チェーンを村に持って帰るんだ。

[滝居應] 未来……自分が何を言ってるのか本当にわかってるのか? やっと源石鉱床から解放されたというのに、また源石に近付けと?

[滝居應] そもそもお前は……鉱床を爆破したいとすら思っていたんだろう?

[滝居未来] あたしが反対してたのは鉱床での活動そのものじゃなくて、制御可能な範囲を超えた採掘だよ。ただ、みんなあたしの忠告なんて聞いてくれなかったから、ほかに手段がないと思ってたの。

[滝居未来] 何はともあれ、あたしたちは源石鉱との付き合いも長いし、その経験自体はこの先もきっと役立つはずだよ。

[滝居應] だが、源石は危険すぎる。天災も鉱石病も経験したというのに……またあんな悪夢にうなされる生活へ戻らなければいけないのか?

[滝居未来] 叔父さん。たとえそうだとしても、この大地で生きていくには、源石は必要不可欠でしょ。

[滝居未来] 眩しくネオンが輝く都市も、その光は全部源石の工業技術で灯されたものなんだよ。

[滝居未来] それに背を向けることはできないし、原始的な時代に戻ることも現実的にありえないんだから。

[滝居應] しかし……何か別の手段は……

[滝居未来] やり直しっていうのは、今までの積み重ねを捨てることじゃないんだよ。

[滝居未来] それに、あたしたちが触れた源石工業は氷山の一角でしかないし、ぼんやりしてると時代に取り残されちゃうからね。ちゃんと成熟した技術を持つ人たちと交流して、経験を補わないと。

[滝居未来] この先、安全かつ制御可能な状態で源石を利用できるように、あたしたちは進み続けないといけないの。

[滝居未来] 前は目先の利益に囚われて、災いをもたらしてしまったけど……だからって源石の活用自体を諦めることないでしょ。

[滝居未来] 逆に源石をより尊重すればいいんだよ。それがもたらす破滅までもをきちんと把握して扱うことで、源石に秘められた機会を掴むの。

[滝居未来] 過去の犠牲を無駄にしちゃいけない。それは、あたしたちがするべきことじゃない。その上今は、手伝ってくれるロドスの人たちがいる……そうでしょ?

[滝居應] ……確かに。

[滝居應] 村の未来のためにも、一歩ずつ歩み続けないとな。

[滝居應] 源石工業、か……これまでの経験を完全に活かせるかどうかはわからないが、お前の言う通り、生き抜くためにすべてを試すべきだろう。

[滝居未来] そうだ! 村の景気が良くなったら、あたしのために豪華で素敵な研究所を建ててくれない?

[滝居應] それで……何をするつもりだ?

[滝居未来] もちろん、涼花草の異地栽培を研究するの。ほかにも色んな研究をしてみたいな……いつか、源石に本当のさよならを言うためにね。

[滝居未来] あたしたちならきっと辿り着ける……災厄の陰に隠れず、胸を張って……

[滝居未来] 光に満ちた明日に。

[ノイルホーン] なあヤトウ、やっぱり心配なんだが……任務の帰りに勝手にルートを変更するなんて、ドクターにバレたら……

[ヤトウ] 言いつけるつもりか?

[ノイルホーン] そんなことしねえよ!

[ヤトウ] 着いたぞ。

[ノイルホーン] ……天災で何もかも壊されちまったんだな……

[ノイルホーン] 山がまるごと燃やされて……立ち昇る灰が雲に溶け込んで漂ってる……

[ヤトウ] ノイルホーン。あの天災から、何日経った?

[ノイルホーン] 半月は過ぎたな。

[ヤトウ] もう半月か? まるで昨日のことのようだが……

[ヤトウ] アイルーたちは、ロドスで新しい小隊を編成したんだったか?

[ノイルホーン] らしいぜ。正式な小隊名は「アイルー特別行動隊」、隊長はあのオトモなんだが……学者先生が団長を名乗って、小隊名を「テラ大陸調査団」にしたがってるとかで……

[ノイルホーン] 特殊生物の専門家ってポジションで、テラの生態環境を記録しつつ……ついでに元のところに戻る方法を探すってよ。

[ノイルホーン] とは言え、最後の一言はオトモが付け足したんだがな……学者先生と鍛冶屋のあいつは、すっかり忘れてたらしいぜ。

[ヤトウ] ……あの学者の得意げな顔が目に浮かぶ。

[ノイルホーン] 露華村の再建も始まったし、きっと全部うまく行く。心配する必要はねえさ。

[ヤトウ] なら良い……私がここに寄った理由はわかるか?

[ノイルホーン] 過去を振り返りに来たわけじゃねえんだろ。

[ヤトウ] 私のことをよくわかっているな。

[ヤトウ] リオレウスのこと、覚えてるか?

[ノイルホーン] ああ、あいつか……観測報告によると、あれ以来ずっと蒼暮山地にいるって話だぜ……たまに灰の雨の中を飛ぶ姿が見られるんだと。

[ノイルホーン] ここじゃ、あいつを見つけるにはちょいと手間がかかりそうだが……探してくるか。

[ヤトウ] 奴はそこにいる。空を見ろ。

[ノイルホーン] どこだ? おお、見えたぜ。

[ヤトウ] 私は……

[ヤトウ] (手を差し出して灰を受ける)

[ヤトウ] 奴が落ちるのを、見届けに来たんだ。

舞い散る灰の中、リオレウスは高い空へと飛んで行く。

遠く、遠く……まるで一本の糸に引っ張られているかのように。

結果はもうわかっていた。……糸はやがて千切れて……空のある一点で……

一つの生が絶え、大地へと還った。

[ノイルホーン] ……

彼はなんとなく、傍らを見た。彼女は空の果てを見つめている。

彼の視線は徐々に下がって、最後は彼女の指先に止まった。

[ノイルホーン] (手を伸ばそうとする)

[ヤトウ] ん?

[ノイルホーン] いや、えっとその……肩に灰が……

[ヤトウ] ああ……

[ノイルホーン] ヤトウ……笑ってるのか?

[ヤトウ] なんでもない。ほら、帰るぞ。

狩人の最後の言葉はこうだった。

「私はここで待っていよう。」

物語の最後には、それから数年後のことが書かれている。――村に新たな家が建てられ、森もすっかり姿を変えた頃……

かつて狩人だった老人がいた場所には、若き狩人が立ち――その目の前には、新たなモンスターが立っていた。

彼らは互いの瞳を見つめ合った。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧