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紅炎遣らう落葉_CF-8_悪童への報い_戦闘前
天災とリオレウスの脅威にさらされ、村は混乱に陥った。しかし、そんな時に利藤が村人の怒りと不安を煽り、村長へと矛先を向けさせようとする。状況がさらに混迷しかけたその時、未来とヤトウ一行が村へと戻ってきたことで、事態は無事に集束し、村人たちは村を離脱していった。
[利藤裕] 早くしろ、お前ら!
[覆面の村人] だけど……
[覆面の村人] 利藤さん、あんたも早く逃げた方がいいって……! お金なんかより命のほうが大事だぞ……!
[利藤裕] 黙れ!
[利藤裕] 俺があの爺さんを止めてやる……!
[利藤裕] 何してるんだ、グズグズするな!
[利藤裕] 妹の病気を治してやりたいんだろう!?
[覆面の村人] で、でも……うう、わかったよ……
[利藤裕] チッ、愚か者が……
[迷子の子供] うっ、ぐすっ……
[迷子の子供] お母さん、どこ……?
[迷子の子供] どこにいるの……?
[迷子の子供] お母さん……ううっ、おいてかないでよ……
[ヤトウ] (――突進連斬!)
[ノイルホーン] っしゃ、ばっちり間に合ったぜ!
[ヤトウ] ノイルホーン、子供は無事か?
[ノイルホーン] 五体満足、外傷なし……どっか痛えところはないか?
[迷子の子供] うぅ……お兄さんの鎧が当たって痛い……
[ノイルホーン] うわっ、ごめんな!
[取り乱す村人] 直樹! よかった、無事で……!
[迷子の子供] お母さん!
[取り乱す村人] この子を救ってくださって、ありがとうございます……!
[ヤトウ] 以降、決して森に近付かないように。獣は村に迫っているし、この先も数を増していく。この辺りは危険だ。
[ノイルホーン] でもよ、ヤトウ……この人たちも自分からここに来たわけじゃねえと思うぜ。
[柏生義稜] おかしい……村の中でも、森に接する場所には防護用の柵があるはずだ! この間補強したばかりなのに、どうして獣がここにいる……?
[柏生義稜] 少し見てくる!
[ノイルホーン] 二人とも落ち着けって。なあ、村の人たちはまだ避難を始めてないのか?
[取り乱す村人] はい……鉱床が爆発して、炎が空まで立ち上って……色々なものが吹き飛んでしまいましたから。
[取り乱す村人] そこに獣が来たと聞いて、みんな取り乱してしまって……逃げようとはしていますが、どこへ向かえばいいのかもわからず……
[滝居未来] どうしてここまで混乱が広がっちゃったんだろう?
[取り乱す村人] それがわからないの。直樹を……この子を連れて人の少ないところに行くつもりだったんだけど、急にたくさんの人が走ってきたものだから、気付けばはぐれてしまっていて……
[柏生義稜] 誰かが防護柵を壊して、わざと獣を村に入れたに違いない!
[柏生義稜] *極東スラング*……! 滝居の奴はどこだ!
[取り乱す村人] 村長は……
[ヤトウ] ノイルホーン、奴らが来るぞ!
[ノイルホーン] おう、俺が止めてやる! この盾……じゃねえや! 刀……でもできんだろ!
[ヤトウ] 柏生さん、この親子を安全な場所に連れて行ってくれ。村のことはあなたに任せた。私たちは獣の群れを止めに行く。
[柏生義稜] 言われるまでもない。……未来、行くぞ。……未来?
[ノイルホーン] あいつなら村にすっ飛んでっちまったぜ。
[滝居應] なぜここまで急に……この前は、天災が起きるまで時間があるという話だっただろう!
[滝居應] 野成、伊上、皆を避難所まで連れて行ってくれ! あの場所なら恐らく安全だ。全員揃ったらすぐに近辺を離れるぞ!
[滝居應] この日のために備えていてよかった……それにしても、お前の言った通りになってしまったな……
[躊躇する村人] 燃え、てる……
[躊躇する村人] 山頂からも煙が見えるし……空から、炎が……鉱床だって……もう終わりだ……
[滝居應] ぼーっとするな! さっさと必要なものだけ持って避難しろ!
[躊躇する村人] 仕事も、生活も……全部吹っ飛んだ……
[躊躇する村人] ……村長、鉱床がなくなったら、俺たちは……昔の生活に戻らないといけないんでしょうか?
[滝居應] そんなことを考えている場合か!
[躊躇する村人] 終わりだ……何もかもなくなったんだ……
[滝居應] 妙だ……なぜここまで大きな混乱が起きている? 天災はまだ村に来ていないというのに、一体……
[怯える村人] 獣たちが来るぞ!
[滝居應] 何……? っ、確かに鳴き声が……! だが、本来なら防護柵があるはず……
[滝居應] 利藤! 向こうで何があった?
[利藤裕] あっ、村長! 実は、村の西側の防護柵が破られてしまって……獣が村に入ってきたんです! どうしましょう……!?
[滝居應] くっ、一体どうなっているんだ……!?
[滝居應] 皆、聞け! 慌てずに、必要なものだけを持って北東の避難所に向かうんだ! あそこなら獣は入ってこられない!
[利藤裕] 避難所? ……どうしてそんなものを準備していたんですか?
[滝居應] どういう意味だ?
[利藤裕] こうした事態を予期していたということですよね?
[利藤裕] となると、この災いが起きたのは鉱床を閉鎖したせいだとか……?
[怯える村人] そ……村長さん……?
[激怒する村人] おい、どういうことだよ村長!
[滝居應] ふざけたことを言うな、利藤! そんなはずがないとお前もわかっているだろう!
[滝居應] この緊急時に、デタラメな発言で皆の命を危険に晒すような真似をするんじゃない!
[滝居應] とにかく、全員ここで立ち止まらず、早く避難所に向かえ!
[利藤裕] 私はデタラメなど言っていません! 我々の努力が無駄になろうとしているのに、何の説明もしないおつもりですか!
[利藤裕] 鉱床を閉めた理由も、そのあとにこんな災いが起きた理由も話してください!
[怯える村人] そ、そうですよ……急に五日間も閉めるなんて……設備を点検するためって言ってましたけど、実際はこんなことになって……! 鉱床が吹き飛んだ挙げ句、山ごと全部燃えてるじゃないですか!
[利藤裕] もしや、鉱床に現れた正体不明の怪物が関係しているのでは? 誰にも相談せず、あの場所を閉めたりするからこんなことになったんじゃありませんか?
[利藤裕] 話してもらえたら皆で解決できたのに!
[滝居應] 皆の心を乱さないように、情報を漏らすなと言い出したのはお前だろう!
[滝居應] 利藤、お前の行いはすべて知っている。鉱石の交易をお前の家に任せて以来、お前が村の金をいくら横領してきたか……覚えていないとは言わせんぞ!
[滝居應] 少しでも良心が残っているのなら、避難の邪魔をするな!
[利藤裕] では、避難所についてはどう説明するのです? きっと何か企んでいるのでしょう……あなたのほうこそ、鉱床の利益を独占するおつもりなのでは!?
[利藤裕] あの洞窟を爆破して……鉱石病の調査に当たっていたお二人を殺してまで、そんなことを!?
[伊上] 村長……?
[野成] 村長、どういうことなんですか……?
[滝居應] お前たちまで……
[滝居應] 確かに私は、鉱床を閉めたいと考えていた。過度な開発を進めていけば、いずれ災いを招くだろうと思ったからだ。避難所は、その日のために作っていたものだった。
[滝居應] 私が閉鎖を考えたのは、我々が源石に頼りすぎているからだ。その一方で、採掘作業が源石粒子の循環を生んでしまったことにより、その危険性は少しずつ増してきていたしな。
[滝居應] 天災はいつか必ず訪れ、鉱床を手放す日も来るものだ。だが、それを今まで先延ばしにしてきたのは、村の全員が源石の恩恵を受けていたからこそだった。
[滝居應] しかし今、その「いつか」が早々に訪れてしまった。
[滝居應] 私が鉱床を封鎖したのは……お前の言う通り、正体不明の怪物があの場所に侵入したからだ。
[滝居應] 皆も知っての通り、私はかつて狩人だった。当時の経験から、あれが我々だけで容易く仕留められるようなものではないと判断したんだ。鉱床は奴との戦いには適さんしな。
[滝居應] そして――石取やほかの数名が鉱石病になり、採掘を続ければまた感染者が出るかもしれないというこの状況においても、私には皆の命を守る義務がある。
[滝居應] ……今ここで、全員の避難を要求しているのがその証左だ。
[滝居應] 鉱床があろうとなかろうと、何よりもまず生きなくては。
[悲しむ村人] でも……鉱床がなければ、昔の生活に逆戻りなんでしょう……?
[悲しむ村人] 冷たい夜も、空腹も、絶えない不安ももう嫌なんです……! 夜は森から遠吠えが聞こえて、それを退けるために血を流して、なんて……あんな生活には耐えられません……!
[悲しむ村人] 生きなくてはと言われても……希望はどこにあるんですか? あの頃に戻るくらいなら、ここで死んだほうがマシです!
[滝居應] そんな……お前たち、目を覚ましてくれ!
[利藤裕] そう……その通りだ! 我々は絶対に、昔の生活になんて戻りたくない!
[利藤裕] そもそも、元を辿れば……あの時、皆を連れて源石を掘りに行ったのは村長じゃないか! だったらこれはあんたのせいだろう!
[悲しむ村人] そうですよ……! 全部あなたのせいじゃないですか!
[利藤裕] あんたが村に災いを招き、私たちに被害をもたらしたんだ!
[利藤裕] みんな、この人に代償を払わせるんだ!
[滝居未来] いい加減にして! 揉めごとなんてもうたくさんでしょ?
[滝居未来] 争ってる暇なんてないの! 天災が迫ってるんだよ!
[滝居未来] あれだけ代償を払わされ続けてきたのに、こんなところで……意味もなく怒りをぶちまけるために死んでも構わないって言うの!?
[滝居應] 未来! どうして戻ってきたんだ!?
[利藤裕] ふん、また面倒な奴が増えたな。
[滝居未来] みんな、聞いて! 天災に怯えた獣たちが山から下りてきてるの。だけど、防護柵が壊されてて……きっと混乱を起こそうとしている人がいるんだよ!
[滝居未来] みんながただ絶望の中で死を待つだけになるように、あるはずの希望を諦めさせようとしている人が……!
[悲しむ村人] えっ……?
[滝居未来] そもそも――鉱床を離れても、狩りに頼らなくても、明日への希望がなくなるわけじゃないでしょ!
[滝居未来] あたしが村に戻ってきたのもそれを伝えるためなの!
[利藤裕] バカバカしい! お前はただ鉱床を閉めて、私たちの生活を壊そうとしているだけだろう!
[滝居未来] 確かに、初めは鉱床を壊してしまおうと思ってた。だって源石は危険で、コントロールするのは難しいものだから。
[滝居未来] もちろん、源石がなければ今の生活もなくなることくらいあたしもわかってるよ!
[滝居未来] でも、考えてもみて! 昔の生活は確かに苦しかったけど、あたしたちはそれを乗り越える方法を一生懸命探してたよね。あの頃のあたしたちに希望がなかったなんて思う?
[滝居未来] 今は源石があるから希望があるんだなんて、本気で思ってるの?
[滝居未来] そんなの違うよね。希望を得たのは、努力の結果なんだよ。みんなで頑張って鉱脈を探し出したから、そして源石に触れる勇気を持っていたからこそ、厳しい生活を脱するチャンスを掴めたんでしょ。
[激怒する村人] そ……そうだよな……
[滝居未来] 源石に頼らずにいた昔だって、狩人は獣と戦うことで活路を見つけ出してきた。彼らの数え切れないほどの犠牲の下であっても、あたしたちは皆で命を繋いできたじゃない。
[滝居未来] 勇気と希望は不滅のものだって、あたしは信じてる。……あたしたちは、勇気を捨てたことなんてないんだから……
[滝居未来] 希望も……きっとまた、あたしたちの元に訪れるはずでしょ。
[利藤裕] 耳を貸すな! 鉱床を閉めたいと言い出したのは彼女なんだぞ! あの爆発も彼女がやったことに違いない!
[強健な村人] だけどさ、未来ちゃんはあの時……過剰採掘は天災を招くから鉱床を閉めたい、って言ってたよな。そして今、天災が本当にやってきた……
[大柄な村人] 正しかったのは未来ちゃんだ。俺たちが間違ってたんだ……
[滝居未来] ねえ、この瓶を見て。みんながよく知る涼花草――これは、源石の次によく売れる交易品でもあるよね。
[滝居未来] 産地も生産量も限られてるし、昔は命懸けで集めていたような植物だけど……
[滝居未来] あたしは生態学者として、涼花草の人工栽培や、ほかの土地での育種を研究するために帰ってきたの。この瓶に入ってるのは、今回最大の発見――山の上で見つけた涼花草なんだ。
[滝居未来] これが、村以外の場所で育った成功例として研究の糸口になって、あたしたちの未来を切り開いてくれるはずだよ。
[滝居未来] だから……今はとにかく、生きなくちゃ!
[悲しむ村人] ……目が覚めたわ……あの子の、言う通りかも……
[落ち着いてきた村人] そう、だな……今まで散々苦労してここまでやってきたんだ、こんなところで死んでたまるかよ……!
[利藤裕] だ、ダメだ、聞くな! 鉱床がなければ、我々の収入がどれだけ減るか――
[利藤裕] ぐあっ!?
[利藤裕] だ、誰だ……うわっ!
[ヤトウ] それ以上何か言ってみろ。頭を土にめり込ませてやるぞ。
[ヤトウ] お喋りはここまでだ。
[ヤトウ] 全員聞け。今私が踏みつけているこいつは、村の防護柵を壊し、獣をわざと村へ入れて混乱を招き、注意を逸らそうとしていたんだ。
[ヤトウ] 村の向こう側では、何人かがこいつの指示を受けて、こっそりと大量の資産を移送しようとしていた……私が片付けておいたがな。
[ヤトウ] さて、この場の皆に指示する。避難所に向かうため、すぐさま列を作り、待機しろ。間もなくロドスからの支援が到着し、あなたたちの離脱をサポートする。
[ヤトウ] この指示が聞けない場合は、気絶させてでも連れて行くぞ。
[滝居未来] ありがとう……
[滝居應] 私の予測通りなら、森の中ではすでに獣災が起きているはずです。恐らくは村のそばまで近付いているでしょう。目下の脅威は奴らです。
[ヤトウ] ああ。我々はそれを止めに行く。すべて仕留めるという保証まではできないが……あなたたちの安全を確保できるよう、尽力しよう。
[滝居應] いいえ、それより村に残っていただけませんか。避難中の村人たちの護衛はあなた方にしか務められないでしょうから。
[滝居應] どうか……未来のことを、お願いします。
[落ち着いてきた村人] 村長! どこに行くんだ?
[滝居應] 決まっているだろう。――私は露華村の村長であり、狩人たちの首領でもある。
[滝居應] あの畜生どもが森から下りてきた以上、たとえ私一人であっても身命を賭して戦い抜く!
[落ち着いてきた村人] ……よし。母ちゃん、露丸を連れて避難所に行け!
[落ち着いてきた村人] 俺の刀は……裏庭の物置に入ってるよな?
[悲しむ村人] ええ、まだそのままよ。……あなた、必ず戻ってきてね……!
[強健な村人] 兄貴! 俺たち平路家は、いつも村長さんによくしてもらってきたよな。今こそ恩返しの時だ!
[大柄な村人] おう! あの人のあとについて、森から鉱床まで渡り歩いてきたが――俺たちは今も狩人なんだ! 矛を取れ!
[大柄な村人] この村も、家族も……俺たちの手で守ってみせよう!
[強健な村人] 村長さん! 俺たちも行きます!
[ハゲてる村人] 俺も行くぞ!
[怖がる子供] お母さん……狩人はもういないって、お父さんが言ってたよね?
[狩人を信じる村人] それは違うわ。狩人は、危機が訪れた時には必ず戻ってきてくれるのよ。
[柏生義稜] ふん……あの連中、今さら狩人ぶりやがって。
[柏生義稜] 俺こそが……
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