aklib_story_理想都市-エンドレスカーニバル-_IC-ST-1_旅行前夜

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理想都市-エンドレスカーニバル-_IC-ST-1_旅行前夜

ロドスにいるガヴィルとユーネクテスは、休暇で帰省したトミミが残した手紙を受け取った。手紙には、「地下から来たドゥリン人のもたらした情報によると、ジャングルに危険が迫っているらしい」と書かれていた。


カンコンカンコン。──ったく、アカフラ人をやってると忙しいぜ。

オレたちが何してるかって? ハッ、アカフラの戦士がやるこたぁコレっきゃねーだろうがよ?

なによりも偉大な武器に、超すんげぇメカを作ってるのさ! 大祭司とイナム商会の力がありゃ、オレたちゃ楽にメカをたくさん開発できるんだ!

そんでもって大地を征服する! アカフラの名は高らかに響き渡るだろうよ! 「ゴンギョー」によってな!

[興奮するアダクリス人] 「ゴンギョー」、「ゴンギョー」、あぁ、なんて最高の響きだ……おいヨギ、発音合ってるよな?

[ヨギ] 違うって兄貴。「工業」だ、「こうぎょう」。それと、動き回ってないで休んでろって。この、えーと、自動栽培伐採ロボ「ジャングル三号」の作業の邪魔しに来るんじゃなくてさ。

[ヨギ] いや、昨日の夜にオーバーホールとカスタマイズをしたから正確には四号か。

[ヨタ] 心配すんなヨギ、ここんとこ体調はすこぶる上々だぜ。しっかしまさか石ころ……いやいや、源石がこんなふうに使えるなんてな! こんな技術、誰が持ってきたんだ?

[ヨギ] 多分イナムだろ。

[ヨタ] そっか……すげぇよな。ガヴィルと同じくらいの怪力で、しかも体を回転させながら発射して、三十秒近くも滞空できるんだぜ……

[ヨギ] うーん、確かにすごかったけどよ、あの状態は単に「ぶっ壊れた」だけだって大祭司が言ってたぜ。

[ヨタ] ヨギよぉ、前から思ってたんだけどな。外の大地はすげー広くて、んで今のオレたちにはこんなにたくさんの……「コンギョー」がある!

[ヨギ] 「こうぎょう」だって。それに言葉の使い方が違うぞ。大祭司が言うには──

[ヨタ] んなモンはどうだっていいんだよ。肝心なのは前よりもたくさんの巨大マシンが揃ってるってことだ! それに操作も簡単になって事故率も下がった! つまり──

[ヨタ] 今のオレたちにはもっとすげぇことができると思わねぇか!?

[ヨギ] ……例えば?

[ヨタ] ちったぁ野心を持て、弟よ。視線をサルゴン全体に向けてみろ、そんで想像するんだ。将来そこにあるはずのものを──

[ヨギ] えーと、何だろ……

[ヨタ] ──オレたちの像だよ! 山三つ分の高さで、湖二つ分くらいおっきいんだ!!

[ヨギ] おおお──!

[ヨタ] もちろん、族長の像もあるんだ。それと大祭司のも! イナムも忘れちゃならねぇ……

[ヨタ] 像だけでも足りないな。もっと記念になるなにか……建物? そうだ宮殿だ! 建材には……木を使うか? いやダメだ、砂岩か硬い石……いっそ源石でも使ってみるか! それがいい!

[ヨタ] 積み上げよう! 源石を積み上げて巨大な建物にするんだよ!

[ヨギ] 積み上げる? ど、どんな形にだ? 神殿とかみたいにか?

[ヨタ] あー、もうちっと簡単にしようぜ、例えば真ん丸とか……うーん、石じゃ真ん丸には積めねぇか。なら上に向かって積むか。どの方向から見ても三角形になるようによ!

[ヨギ] おお……おお! 三角の塔か! よし、じゃああとは名前を決めるだけだな!

[ヨタ] ……でもよ、こんな話しても無駄かもな。ガヴィルが言ってたろ、オレの病気じゃ、完成した塔を拝むまでもたねぇよ……

[ヨギ] 兄貴……そんなこと言うなって! 考え方を変えようぜ、その塔を兄貴の墓にしちまえばいいだろ?

[ヨギ] そうすりゃアカフラだけじゃなく、サルゴンの誰もが兄貴のことを覚えるだろ。だから塔の名前は、「ヨギヨタ塔」だ! 絶対に兄貴が生きてるうちに完成させようぜ!

[ヨタ] ヨギ……!

[トミミ] そんな不吉なことを言わないでください……

[ヨタ] あれ、トミミ……お前なんでまだここにいるんだ?

[ヨタ] 昨日のうちにガヴィルと族長んとこに戻っちまったと思ってたぜ。

[トミミ] せっかく帰ってきたんですから、そんなにすぐには戻りませんよ。

[ヨタ] それもそうか。で、今日は何しに来たんだ? もう挨拶は済ませただろ?

[トミミ] 実は……

[冷淡なドゥリン人] ……

[ヨタ] おう、お前はイナムが言ってたあのチビだろ。どうした? 今日のメシの文句でも言いに来たのか? まっ、オレだって最近のメシは味気ないと思うぜ、肉がなくちゃやってらんねぇよな。

[冷淡なドゥリン人] 違う、別の用件。それと、オレの名前はスディチ・ブランクキャンバスだ。人を身長だけで判断しないでくれるかな。アダクリス人ってみんなこうなの?

[トミミ] アハハ、そんなことはないんですけどね……

[スディチ] まあいいや、尻尾の太い細いで喧嘩し始めるような連中だし……文化の違いは尊重しないといけない。

[トミミ] えっ、あっ……

[ヨタ] そんで、スディチ、一体何の用なんだ? オレたちは今サルゴンの壮大な「ビジン」を描いてる最中なんだが。

[ヨギ] ビジョンな。

[ヨタ] おっと、ビジョンか。聞いてるか、ドゥリン人。ビジョンだぞ、これは偉大なる計画なんだ!

[トミミ] 私は……大きなお墓を建てることが偉大な計画だとは思えません……それにもし皆さんがそんな大きなお墓を建てたら、このジャングルでは収まりきらなくなりますよ。

[ヨタ] なぁに、墓だって思うな、記念だ! 記憶に残すためのものだよ!

[ヨタ] でっけー建物にすりゃ、オレも族長やガヴィルと一緒に入って大丈夫だろ。そんで後世の人らは、オレたちの像の前で子供を抱いて、ズゥママや「ガヴィルウィル」の美談を語って聞かせるんだ……

[スディチ] (もしかして、ここまで来たオレの判断は間違ってたんじゃないか……)

[トミミ] ……! で、ですが……

[スディチ] そうだよ、今オレたちはそんな──

[トミミ] ──ですが、そういうことなら「ヨギヨタ塔」じゃダメですよ! ガヴィルさんの名前も入れないと! あ、あと私のも……!

[スディチ] ……

[トミミ] あっ、話が逸れてしまいました……えっと、イナムとスディチさんの間ですでに話はついているのですが、皆さんにも彼の話を聞いてもらおうと思って来たんです。

[トミミ] 事は重大なので、ガヴィルさんには手紙を残してきましたが、彼女たちがすぐに来てくれるかどうかはわかりません……

[ヨタ] 重大だぁ? 一体どんな話だよ? こちとら残り少ない人生をどう使い切るかって話なんだぞ! それよりも重大な事だってのか?

[スディチ] ……こほん。アンタたち地上人の珍妙な思考に意見するつもりはないよ。ただ……

[スディチ] さっきもイナムに言ったばかりだけど、もしオレたちの都市が本当に危機に陥ったら、地上だって災害からは逃れられないからね。

[スディチ] ここも例外じゃないよ。どんなに壮大な景色だって、単なる瓦礫の山になるだろう。

[ガヴィル] よぉ、ズゥママ。

[ユーネクテス] ……ガヴィルか、まさか帰艦がお前と同じタイミングだとはな。

[ユーネクテス] どうだ? あの感染者たちは落ち着いたか?

[ガヴィル] アタシを誰だと思ってんだ? あいつらだけじゃねぇ、採掘場の警備員に付近の農民、それにあのレム・ビリトンの老いぼれも、全部まとめて大人しくさせたよ。

[ユーネクテス] 老いぼれ……パートナーまで一緒に説教したのか?

[ガヴィル] ああ、あいつの感染者の扱い方にはちょっと問題があったからな。医者の立場から優しく言ってやらないとだろ。もちろん、「医者の立場から、ガヴィル流」でだ。

[ガヴィル] そんなことより、手紙は見たか?

[ユーネクテス] いや、まだ宿舎に戻っていないのでな……トミミからの手紙か? 確か里帰りしていたんだったな。

[ガヴィル] あいつ、これまでもずっとイナムを通じてアカフラのダチと連絡を取り合ってたみたいだぜ。

[ガヴィル] で、あいつは出発する時に、アタシたちも呼ぼうとしてたっぽいんだよな。

[ユーネクテス] 一緒に里帰りしようということか……この後クロージャ師匠からの仕事がないようなら、戻ってみるのも悪くないかもしれない。

[ユーネクテス] だが、連れ立って帰るだけのために、お前が私を訪ねたりはしないだろう?

[ガヴィル] んだよ、アタシたちそんなに仲悪かったか?

[ユーネクテス] ……その話は一旦置いておこう。イナムは何と言ってるんだ? トミミに面倒事でも起きたのか?

[ガヴィル] ああ、正確には、ジャングル全体の面倒事なんだけどな。

[ユーネクテス] なんだと?

[ガヴィル] 準備しとけよ、大冒険が待ってるぜ。

[ヨタ] ジャ、ジャングル全体が地下に沈むゥ!? 地形が急激に変化するだと!?

[スディチ] そうだ。

[スディチ] ドゥリン族の都市構造……アンタらに言ったところでわからないと思うけど、とにかくこのジャングルからそう遠くない地底に、オレの住んでる都市があるんだよ。

[スディチ] そこでちょっとした面倒事が起きててね……だから地上人に助けを求めに来たってわけ。

[スディチ] 元々、あんまり期待してなかったんだけど、仕事を見させてもらったら考えが変わった。アンタらなら、オレたちを助けられるかもしれない。

[ヨタ] 聞いた限りじゃかなりヤバそうだが……オレたち部族とは何の関係もなくねぇか?

[ヨギ] だけど、こいつの言う通りなら、ドゥリンの都市っていうのが滅びたら、連鎖的に地上にも影響が出るんだろ……そうなったらオレたちのヨギヨタ塔も……

[スディチ] もう一つ付け足しておくと、力を貸してくれたら、ドゥリン人の科学技術でお返しができるかもしれない。

[スディチ] そっちの科学技術の発展具合はよく知らないけど……アンタたちの暮らし方って、たまにありえないくらい原始的みたいだから。

[ヨタ] 力を貸す? 外のやつにか? そいつはどうもなぁ……

[スディチ] チッ、外がどうとかって言うんなら、地上人だって……いや、何でもない。

[トミミ] ですが、スディチさんに「ジャングル三号」の改造について意見をもらったところ、確かに問題点をズバリと言い当ててくれました。大幅に機能を減らされてしまったみたいですけど……

[ヨタ] こいつが!?

[トミミ] はい。それでイナムは色々と考えた結果……スディチさんと一緒に地下都市へ行くことを決めたんです。わ、私も「ガヴィルウィル」の族長として当然ついていきます。

[トミミ] その間は、ティアカウの皆さんのことはよろしくお願いしますね。

[ヨタ] それは問題ねぇ……むしろ、オレたちのヨ……じゃなくて、「偉大なるアカフラ金ぴか源石エメラルド偉大なる三角塔」のために、お前たちにはぜひ問題を解決してもらいたい!

[スディチ] ……「偉大なる」が被ってるけど。

[トミミ] 頑張ります。

[ヨタ] でもよ、どうやってそこに行くんだ? オレたちはこのジャングルから出たことすらあんまねぇってのによ。迷子になったりしねぇだろうな?

[???] その点は心配には及ばないよ!

[エリジウム] だって僕がいるからね。

[トミミ] エ、エリジウムさん!

[ヨギ] お前はあのロドスの……

[エリジウム] いかに僕がタフだとはいえ、仕事でたまったストレスを旅行で発散したい時もあるんだよね。なのに結局こうして、ドゥリン人を救う作戦に巻き込まれるなんてさ……でもまあいいか、楽しそうだし。

[エリジウム] ディランとブレイズの言う通りだ。少なくともここは退屈しないですんで、しかもちょっぴりリラックスできるいい場所だよ。

[エリジウム] だけど、例の美味しいって噂のキノコは、ジャングル中を探し回っても見つからなかったな……

[エリジウム] イナムさんが約束通り、「アカフラに来たらやるべき七つのこと」をクリアする手伝いをしてくれればいいんだけど。

[トミミ] エリジウムさんとスディチさんの間ですでに話がついています。お二人のガイドがあれば迷うことはない……そう保証してくれています。

[エリジウム] アハハ、ガヴィルとユーネクテスが里帰りする前に、僕たちが全部片づけちゃうかもね。

[ユーネクテス] ……

[ユーネクテス] 普段せっかちなのは間違いなくガヴィルの方だというのに、まさか私が廊下で三十分も待つ羽目になるとはな……

[ユーネクテス] あの新装備の発注……ガヴィルなら月一回程度はあのような申請をしているものと思っていたが、クロージャ師匠の反応を見る限り、そうでもないらしい。

[ユーネクテス] 今度は「医術を学ぶために部族を抜けた」者として、故郷へ戻るつもりはないということか。

[ユーネクテス] ……

[ユーネクテス] それにしても時間がかかり過ぎだ! おいガヴィル! 一体何をしているんだ!?

[ガヴィル] 急かすんじゃねぇ! 大体なんでお前らの作る装備はこんなに複雑なんだよ!?

[ユーネクテス] 突然の注文じゃそれが限界だ。文句あるなら、次からはちゃんとエンジニア部のプロセスに則って発注してくれ。

[ガヴィル] だぁ~もぉ――くそめんどくせー! カジミエーシュの騎士だってこんなに邪魔くさい鎧は身につけねぇぞ!!

[ユーネクテス] しょうがないやつだ、わからないところがあれば──

[ガヴィル] 知るかもう! これだけでいい、あとはいらねぇ!

[ユーネクテス] はぁ!?

[ガヴィル] 残りのごちゃごちゃしたやつは必要ねぇ、全部置いていく。さっきこの斧を握った時に全部わかったよ。

[ユーネクテス] ……何がわかったんだ?

[ガヴィル] こいつがありゃ充分だってことだよ。

[ガヴィル] お前が作ったのか?

[ユーネクテス] 急な注文に対応しただけだ。

[ガヴィル] やっぱりな、こんなすげぇ得物はお前にしか作れねぇよ。バランスから重量まで申し分ねぇ。

[ガヴィル] だけどこのチャームは……

[ユーネクテス] 姉様が言ったんだ、自分が手掛けるものには気持ちを込めろと……相手が患者だろうと装備だろうとな。

[ガヴィル] Lancet-2がそんなことまで言うなんてなぁ。クロージャが教えたんだろうな……ま、どうでもいいや。

[ガヴィル] そんじゃ、出発するか!

[ユーネクテス] ……ガヴィル!

[ガヴィル] なんだよ、今度はお前がモタモタする番なのか?

[ユーネクテス] お前な……それより算段はあるのか? トミミがドゥリン人からの救援要請を受けたということだが、聞く限りじゃ彼らの都市の存亡に関わるレベルなんだろ?

[ユーネクテス] 天災か……あるいは戦争に巻き込まれるかもしれない。

[ガヴィル] あの手紙には「炎が空から降ってきてみんなの布団を焼き尽くす」だの、「巨大キノコが地面を突き破って空を覆い、他の植物たちが成長できなくなる」だの、イカれたことばっか書かれてたけど……

[ガヴィル] どんなトラブルが起きても、アタシらなら解決できるだろ。それにイナムとエリジウムもいんだろ?

[ユーネクテス] だからどうやって解決する気なんだ?

[ガヴィル] お前がたった今、アタシに答えをくれたじゃねぇか! この格好を見ろよズゥママ、正直アタシは久しぶりに気持ちが高ぶってんだ。

[ユーネクテス] つまり、拳に物を言わせるということか。

[ガヴィル] ん、いつも通りな!

[ユーネクテス] ……いつも通りか……

[ガヴィル] さっさと出よう。時間は待ってくれねぇぞ、ズゥママ。

[ガヴィル] それに、お前の部族の奴らがジャングルをどんなふうに変えたか、見てみたいとは思わねぇか?

[ユーネクテス] ……ハハッ、それもそうだな。

[ユーネクテス] 行こう。

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