aklib_story_将進酒_IW-6_伝説_戦闘後

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将進酒_IW-6_伝説_戦闘後

最初にシャンを見つけたのはタイホーであり、激戦の末、彼に逃げられてしまう。クルース一行もその時到着した。一方、ニンはリャンと腹を割って話すのだった。


[街の青年] ……鏢頭を見てないっすか?

[客桟の店員] 見てないな。

[街の青年] おかしいなぁ。どの店にもいねぇし、やっと家でのんびり過ごした方がいいって納得したんですかね?

[客桟の店員] そうであればいいんだけどな。

[街の青年] ……リュウさんどうしたんすか、機嫌でも悪いんすか?

[客桟の店員] 機嫌はいいさ、すこぶるな。

[客桟の店員] 悪いわけないだろう?

[山の担夫] ――あんた、土石のアーツ使いか?

[タイホー] まさに。

[タイホー] 惜しいかな。貴様も腕は悪くないが、扱い方を知らん。

[山の担夫] 砂を拳にまとわせ俺の天秤棒に殴打で裂くとは、どんな掌法だ?

[タイホー] ……我の一撃を食らい、かすかに裂けただけとは。このような天秤棒は珍しい。何でできている?

[山の担夫] ……ただの竹の棒だ。

[タイホー] ならば我が使ったのもただの粗雑な掌法だ。

[山の担夫] ……あんた、名は?

[タイホー] タイホー。

[山の担夫] そうか、すげぇな。

[山の担夫] 最後にあんたほどの達人と戦えるなんて、捨てたもんじゃなかったかもな。

[山の担夫] 役人さんよ。あんたらがやろうとしていることを教えてくれ。何故この酒杯にここまでこだわる?

[タイホー] 世の繁栄と安寧のため。

[山の担夫] ……ははっ、大きく出たな!

[山の担夫] ただ残念だ、やはりこれは渡せない。

[タイホー] 貴様に逃げ場はない。

[山の担夫] どうだか。

[タイホー] ――逃げる気か!?

山の担夫が後ろへ一歩、飛び跳ねた。

十年も山を登ってきた、幾千幾百万の歩みの中の一歩だった。

凧の糸が切れたように、風の勢いに任せてすさまじい速さで進んでいく。

[タイホー] ……ほお、先程はその軽効を隠していたのか?

[山の担夫] 山では、あんたは俺に追いつけない。

[山の担夫] タイホーさんよ、あの若いのに伝えておいてくれ。取江峰の頂、忘水坪だ。

[山の担夫] 忘れるなよ。

[タイホー] ……

[ズオ・ラウ] ……タイホーさん!

[ズオ・ラウ] 追いつけなかったのですか?

[タイホー] なりふり構わず追えば、難しくはありません。ただ……

[ズオ・ラウ] 彼は酒杯で脅し、テイさんと会おうとしているのですね。

[タイホー] 山頂の忘水坪で、両者は相まみえ、そのうち一人は必ず死ぬ。

[ズオ・ラウ] ……ほかに余地はないのですか?

[タイホー] 先ほど拳を交えて覚悟は伝わりました。他に道はないでしょう。

[ズオ・ラウ] ……忘水坪ですか。

[ズオ・ラウ] 彼らよりも先に辿り着かねば。

[リー] ……あの担夫とやり合わずに済んでよかったですねぇ。あの腕前は十数年前最後にワイに会った時を思い出しました。

[ドゥ] ……

[リー] 嬢ちゃんは、あの二人を知ってるんでしょう?

[ドゥ] ……言ったでしょ、父は朝廷の密命を受けたって。あの二人が、朝廷の使者よ。

[リー] どんなご身分なんです?

[ドゥ] 先頭に立ってる大柄の方は知っているわ、粛政院の高官よ。

[リー] ……そういうことでしたか。

[リー] ロドスに迷惑はかけたくなかったんですがねぇ。こいつはどうやら力を借りないといけないみたいです……

[リー] はぁ、となると、どーも面倒なことになりましたね。

[ドゥ] 何が?

[リー] 話は聞こえませんでしたが、彼らが急いで向かった方向は恐らく山頂でしょう。

[リー] ロドスの人らと落ち合う約束をしていたのも、ここの山頂なんですよねぇ。大集合となると、一体全体どうなることやら。

[ドゥ] なら一足先に山頂に身を隠す?

[リー] やめときましょう、みぃんなやり手です。とっくに手を打ってるだろうとこに飛び込むのは勘弁ですよ。

[ドゥ] ならどうすれば――

[ドゥ] ――いや! 早く隠れて! 顔を出しちゃダメ!

[リー] うっ。

[リー] 今のは店主じゃないですかい?

[ドゥ] どうして父さんがここに……? しかも……

[リー] 嬢ちゃん嬢ちゃん、顔色が真っ青ですよ。

[ドゥ] 今……今刀を持ってなかった?

[ドゥ] いや、でももう何年も……刀を持ったことなかったし……父さんは……

[リー] 剣客なんですかい?

[ドゥ] ……昔はね。

[リー] ってことは今もそうみたいですね。

[リー] これはあんまり良い状況じゃなさそうだ。

[ドゥ] ……

[リー] 行きましょう。

[リー] 山頂に近づくほど、道は狭くなります。

[船頭] もうすぐで着きます。

[クルース] ……これが最後の道なのぉ?

[船頭] はい。

[船頭] この町を出てから、西にいくらか行くと長い階段の山道が見えてきます。

[船頭] 終点まで登れば、忘水坪です。

[クルース] ん?

[ズオ・ラウ] ……うっ。

[タイホー] ……

[クルース] ……ここで会うなんて、奇遇だねぇ。

[ズオ・ラウ] 確かに奇遇ですね。

[クルース] 何か探してるのぉ?

[ズオ・ラウ] 酒杯です。

[クルース] 山頂にあるのぉ?

[ズオ・ラウ] ……隠しても無駄ですね、そうです。

[ズオ・ラウ] しかも今、とある部外者の手にあります。

[クルース] ……あの酒杯って一体何なのぉ?

[ズオ・ラウ] 教えたら、クルースお姉さんは酒杯を奪還するのを手伝ってくれますか?

[クルース] あなたたちの目的は「奪い返す」だけじゃないでしょぉ? 明らかにあれを利用して何かしようとしてるもん。

[クルース] 本当はリーさんと一緒で、酒杯の持ち主を見つけ出しそうとしてるでしょ~。

[ズオ・ラウ] ……

[クルース] ならあなたたちはどうして余計なことをするのぉ?

[ズオ・ラウ] それは疑問ですか、それとも……詰問ですか?

[クルース] 詰問なんてするわけないよぉ。

[ズオ・ラウ] この酒杯は、ある大罪人が作ったものです。

[クルース] 罪人~?

[タイホー] 大罪だ。

[タイホー] 朝廷の密事にて、詮索無用。

[クルース] でも大罪人のものを利用して、ロドスのオペレーターに関係する何かをしようとしているんでしょ~。

[クルース] 内容も教えてくれないのに、どうやって手伝うのぉ?

[ウユウ] 恩人様の仰る通り!

[ウユウ] 身分の違いはあれど、人に頼み事をするのであれば、きちんと経緯を説明するのが道理というもの。曰く「人心は測り難し」、誠意を見せていただけねば、この件を処理するのは難しいですよ!

[クルース] ウユウくんよかったぁ。迷っちゃったのかと思ったよぉ。

[ウユウ] あはは、ご明察でございまする。

[ズオ・ラウ] ……やはり彼女たちをあなた方の「オペレーター」として見なすのですね。

[クルース] そうだよぉ。

[ズオ・ラウ] ……

少年が黙る。

司歳台の最年少の持燭人として、彼は利害を天秤にかけたうえで選択しなければならない。

彼が明かそうとしているのは、そこまで驚くべき秘密ではない。

しかし彼はいかなる過ちも起こることを望んでいなかった。

[ズオ・ラウ] ……あの酒杯には凶獣が宿っています。もちろん、彼の意識にすぎませんが。

[タイホー] 公子。

[ズオ・ラウ] いいんです。もし後々司歳台が責任を問うようなら、私に同情する必要はありません。法に照らして処罰して下さい。

[タイホー] ……

[クルース] 宿っているぅ?

[ズオ・ラウ] 現代の巨獣学者は一般的に、巨獣たちは何らかの形で実体をとって大地を歩くほかに、一部の物体に宿る手段を有していると認識しています。

[ズオ・ラウ] 古い書籍によく見られる「獣は厚土と行く」という言葉、実はこうした特性を言っています。

[クルース] ……うーん、どんな物体でもいいのぉ?

[ズオ・ラウ] よく見かけるのは武器ですね。古代サルカズの剣にしろ、今日の工業製品であるアーツユニットにしろ、どちらも事例はあります。

[ズオ・ラウ] ただ具体的な原理については、まだ解明されていません。

[クルース] ならあの酒杯もぉ?

[ズオ・ラウ] あれがある所に器鬼が出現します。まだ確定ではありませんが、疑うだけの理由があるのです。

[ズオ・ラウ] 酒杯は生きていますが、動き出しはしません。その周囲にある物体は生きていないはずなのに、酒杯により動き出します。

[ズオ・ラウ] この酒杯は長く行方が分かりませんでしたが、ある偶然により、ようやくその位置を特定したのです。

[クルース] だからあなたたちはその罪人を見つけたいんだねぇ。

[ズオ・ラウ] ……いいえ。

[ズオ・ラウ] 先ほども言いましたが、それを作ったのは、ある罪人です。しかし今の主は、別の者なのです。

[クルース] どんな人なのぉ?

[ズオ・ラウ] 詩人です。

[ニン] ……リャン様。

[リャン・シュン] ニンさんでしたか。

[ニン] 今日は風が強く、日が暮れるのが早いですね。

[リャン・シュン] もう早いとも言えない時間ですよ。私もすっかり気がつきませんでした。

[ニン] 一つの山を登るのに、どれだけ時間がかかるのでしょう?

[リャン・シュン] ……

[ニン] 古くは、尚蜀の連山、人の力の及ぶこと能わず。

[ニン] 蜀道の難きこと、青天に上るよりも難し。

[リャン・シュン] ……今は違います。

[ニン] 違うと言ったところで、変わらないものは変わらないのです。

[ニン] 三山十七峰、どこを探しても見つかりません。リャン様はまだお探しになるのですか?

[リャン・シュン] 探さなければなりません。

[ニン] 誰の目をごまかすことも厭わず、私を騙し、あらゆる人を騙してでも探さなければならないのですか?

[リャン・シュン] 探さなければなりません。

[ニン] なぜです?

[ニン] あなたはまさか、どれほど道理を並べようと、過ちは過ち、禁忌は禁忌と分からないのですか?

[ニン] あなたはまさか、今回の件で少しでも問題が生じたら、今後のあなたの立場が守られないどころか、真っ先に罪を被ることになることが分からないのですか?

[リャン・シュン] ……

[ニン] あなたはまさか……私は喜んで話を聞くと分からないのですか?

[リャン・シュン] ……わかっています。

[リャン・シュン] だから尚更、あなたには教えられないのです。

[ニン] ……どうしてですか?

[リャン・シュン] このリャン・シュン、尚蜀の知府として、この都市の安全だけを考えているからです。レンガの一つ、かまどの一つでも傷つけば、それは私の過失。

[リャン・シュン] 上の人間と意見が食い違うなら、私にできることは……ただ全力を尽くすことのみです。

[ニン] ……初めて尚蜀で会った時、あなたは意地っ張りでありましたが他人におもねることなく正しさを貫いていました。あなたとなら、あらゆる困難を乗り越えられると私は固く信じてました。

[ニン] ですが今は……

[ニン] ……少し失望しました。

[リャン・シュン] ……その言葉は……

[リャン・シュン] 友人のニンさんとして私に助言しているのですか……

[リャン・シュン] ……それとも朝廷の従二品(じゅにほん)勅使、礼部左侍郎(れいぶさじろう)の寧辞秋(ニン・ツーチウ)として、私を批判しているのですか?

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