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将進酒_IW-3_光と影_戦闘前
酒杯を盗んだのは意外な人物――ズオという名の少年とテイだった。両者は早くから取引をしていたようだ。クルースは追跡中、ドゥの口から多くの情報を得るのだった。一方、リーはリャンから改めて依頼を受けることに。
[テイ] ……偽物ですな。
[ズオ・ラウ] これほど楽に解決するなら、むしろリャン知府の人を見る目を心配しないといけませんよ。
[ズオ・ラウ] テイさん、あの龍門からの人ですが、何者かご存じですか?
[テイ] リャン・シュンの友人だそうです。
[ズオ・ラウ] その他は?
[テイ] いくつか裏どりが出来ていない情報はありますが、少なくとも一つだけは確実です。今回の件はウェイ氏とは無関係です。
[ズオ・ラウ] ……そうなると、父の最大の懸念もこれでなくなったということですね。
[ズオ・ラウ] 考えてみれば、それも道理でしょうね。もし龍門のウェイ氏が一枚噛んでいたら……恐らく今頃我々は、こうしてお茶を飲んでいられはしないでしょう。
[テイ] 昔からウェイ氏の逸話は数多く聞いてきましたが、いまだに龍門へ拝みに行く機会に恵まれていないのが残念でなりませんな。
[ズオ・ラウ] おや、テイさんもウェイ氏にご興味があったのですね。
[テイ] これでも若い頃は刀を携えて江湖の片隅にいましたもので。ウェイ氏が卓越した剣客であることだけは聞き及んでいますよ。
[ズオ・ラウ] そういうことでしたか。ウェイ氏は確かに剣を帯びていますが……彼の剣術の腕については、私も噂話でしか知りません。
[ズオ・ラウ] ウェイ氏が無関係であれば、あの龍門人をこの件に関わらせることにしたのは、リャン知府ということでしょうね。
[テイ] 恐らくそうでしょう。
[ズオ・ラウ] ……なるほど。あの龍門人は唯一の不確定要素であり同時にリャン知府の唯一の持ち駒ということですか。
[テイ] しかし解せませんね。リャン様は本来こちら側の立場のはず。彼が選んだ者であれば、私たちを騙すことも、こんな無理手を打つこともないのでは?
[ズオ・ラウ] リャン知府も、がんじがらめで思うままには動けない苦労人ですからね。もし……はぁ、もしもの話なんて無意味かな。
[ズオ・ラウ] あの人が尚蜀にいるからこそ、こんなに厄介なことになっているんですからね。
[テイ] ……三山十七峰、仙あらば則ち霊あり。
[テイ] 古くは、尚蜀に夢多し。人に夢あり万物もまた皆夢の中にある。世人に曰く、「衆物に霊あらば皆神仙なり、千言万語を表すはただ一言の感嘆のみ」と。
[テイ] 伝説によれば、尚蜀の誕生は今から千年も前に遡ります。尚蜀人の祖先たちは、全く同じ夢を見て、その夢に導かれ、当時は都市など形も見えなかったこの地にやってきて根を下ろしたといいます。
[ズオ・ラウ] ……尚蜀にまつわる伝承は、このように壮麗なものばかりです。
[テイ] 外の方から見れば伝説ですが、地元の者たちは皆歴史だと思っております。
[ズオ・ラウ] あの製薬会社の……名は確かクルースでしたか?
[ズオ・ラウ] もしテイさんの助太刀がなければ、街中で彼女に追いつかれていましたよ。感謝をさせてください。
[テイ] 先般は娘が事を急いて、危うくすべて台無しにするところでしたからな。私は当然のことをしたまでです。これではお詫びの代わりにもなりませんがね。
[ズオ・ラウ] ロドスの存在は不確定要素になるのでしょうか? テイさんはどう思います?
[テイ] あれらは部外者にすぎないでしょう。
[ズオ・ラウ] ですが彼らは既に、盤に近いところにいます。
[テイ] ……実際、あれだけの手練は滅多にいません。彼女の追う動きを見た時、おおよその実力は把握しています。
[ズオ・ラウ] ……どの程度の力量と?
[テイ] 百戦錬磨と言っていいでしょう。歳に不釣り合いなほどにね。
[ズオ・ラウ] ほぅ。その見立ては、テイ番頭のものですか? それとも問霜客(もんそうかく)・鄭清鉞(テイ・チンユエ)のものでしょうか?
[テイ] いずれも同じく。
[ズオ・ラウ] ……ずっとこの偽の酒杯をご覧になっていますね。
[テイ] 記憶を……あの酒杯の本来の姿を思い起こしてるだけです。
[ズオ・ラウ] ……
[テイ] ……あれは、護送の途中のことでした。荒野を進んでいたら、賊と思しき連中に遭遇しました。炎国語も通じず、どこから来たのかもわからない相手です。
[テイ] 奴らは車列を爆破し、混乱に乗じて荷を奪おうとしてきましたがそれは仲間が阻止しました。だが奇襲に失敗しても、賊は数の多さを頼みに、しつこく二百里ほども私たちに追いすがってきた。
[テイ] 不運なことに、あの晩はたらいを返したような大雨で、視界は最悪でした。雨水からかばっても灯火はほとんど役立たず。闇雲に進んでいるため、地の利がある賊どもは振り払えませんでした。
[テイ] 罠が仕掛けられていることを考慮して、こちらから打って出ることもできず、かといってなりふり構わず逃げることもできません。あの状況では、とても逃げ切れる保証はありませんからね。
[ズオ・ラウ] ……司歳台(しさいだい)がかつて、その界隈で名の轟いてた行裕鏢局にとある奇物の輸送依頼をしたと、聞いたことがあります。しかし途中で事故が起き、荷物は行方不明になったとか……
[テイ] 私の不手際でした。
[ズオ・ラウ] ……私は人を慰めるのが苦手です、テイさん。
[テイ] ……私はただ、あのように練達な弓士と再び渡り合うことになろうとは思ってもいなかったのです。しかも故郷の街中で、煌々と明かりが灯る夜に、あの日と同じ酒杯を巡ってとはね。
[テイ] 本当に……ひと言ではとても言い尽くせない。
[ズオ・ラウ] ……その後テイさんはどうやって、危険な場を逃れたのですか?
[テイ] どの時の話ですかな?
[ズオ・ラウ] それはもちろん、先ほど仰っていた……私はまだ世事にうとい若輩ですので、見聞を広めるために年長者のお話をよく聞くようにと父には申しつけられているんですよ。
[ズオ・ラウ] 折角こうしてテイさんが話してくさだるんですから、できれば最後まで伺いたいものです。
[テイ] お話ししたところで、ご参考になるものでもありませんな……あの晩は、ただ運が良かっただけですよ。
[テイ] 多くの者が亡くなりました。即死しなかった二人の仲間も、結局目を開けることはありませんでした。
[テイ] 鏢局において「荷は命よりも重い」。鉄の掟です。この稼業で生きてくなら、覚悟をしておかなければなりません。
[テイ] ……皮肉なことに、負傷者がいなくなり、荷も守れるか分からないという状況になると、却って大胆に動けるものです。
[テイ] 刀を洗うのにちょうどよい、雨でした。
[リー] 酒杯の主人を見つければいいのかな?
[リャン・シュン] そうだ。
[リー] 主人とは、買い手かコレクターの類いのことか?
[リャン・シュン] そうとも言えん。もしそんな単純な話ならいいのだがな。
[リー] うーん……そいつぁおかしな話だ。この酒杯は、確かに驚くほどに安かったがね、密輸業者から奪った闇市の鑑定書によると、どうやら……
[リャン・シュン] ああ、正真正銘の骨董品だ。
[リー] で、相手は誰なんだい?
[リャン・シュン] ……名は知らない。持ち主が男であるか女であるかも、種族についても、年齢も何もわからん。
[リー] いや……それはどう探せばいいんだ? 相手が尚蜀に居るのは確かなのか?
[リャン・シュン] それだけは間違いない。
[リー] なぜ言い切れるんだ? 万が一長旅にでも出ていた日にゃ、おれたちはとんだ無駄足を踏むことになりやしないか?
[リャン・シュン] いや、その者は必ずまだ尚蜀にいる。
[リャン・シュン] もし去っているなら……私に教える者がいる。
[リー] なんとも奇怪な話だな。相手をずっと監視できているのに、何も知らないし、見つけることもできないって?
[リャン・シュン] ……その通りだ。
[リー] まさか、相手は妖魔か仙の類か?
[リャン・シュン] 会えば、自ずとわかるだろう。
[リー] 何かしら、「そいつがそこにいる」っていう痕跡が分かるってことかい? 近頃のお役人さんは、そんなのまで相手にしなきゃなんないのか?
[リー] まあいいよ。お前が言う気がないならおれも聞かない。とは言ってもこれっぽちの手がかり……尚蜀の広さはよーく知ってるだろ?
[リャン・シュン] 恐らく三山の、いずれかの峰に隠れている。
[リー] 根拠はあるのか?
[リャン・シュン] いくらかは。かの者はごく稀に山の中腹に現れ、酒屋で酒を買っていくそうだ。いつ現れるかには、全くといっていいほど規則性はないがな。
[リャン・シュン] しかし、これまで山を下りたことも、移動都市区域に現れたこともない。であれば十中八九山にいるというものだろう。
[リー] はいよ。手がかりは三山十七峰のみか。どうやら駆けずり回る必要がありそうだ。
[リャン・シュン] 噂によれば、相手は相当に雅な嗜好を持つらしい。美しい眺望を好んで東家で日がな一日、詩を詠んでいるとか。
[リー] 噂?
[リャン・シュン] いや、噂だがその……確かな話だ。
[リー] お前さんの知り合いなのかい?
[リャン・シュン] ……いや、知り合いではない。
[リャン・シュン] しかし現状、捜索は運に任せるしかないだろう、すまない。
[リー] 期限はいつまでだ?
[リャン・シュン] 早いほどいい。君も見ただろう、この件に関わっている者は多いから時間をかければ、また別の問題が生じるかもしれない。
[リャン・シュン] ……それとこの酒杯だが。狙う者がいるのであれば、私の屋敷に置いていった方が安全だろう。
[リー] さすがリャン様。わざわざ龍門くんだりから酒杯を届けさせて、その持ち主も探せというのに、実物はおれに渡さないとはねぇ。
[リー] そこまで人を困らせるのが好きなら、次は龍門にいながら、尚蜀にある杯に酒を注げくらい言ったらどうです?
[リャン・シュン] これは君を信じてのことだ。
[リー] ……まあ。こいつをツケ狙ってるのがいるようだし、おれが持ってても面倒なことになるかもしれないな。わかった。
[リー] ツケ狙ってるといえば行裕客桟の件は……
[リャン・シュン] 調査中だ。慎重に動いてくれ、必要であればこちらからも人を貸せるが。
[リー] いんや、護衛がたくさんいたところで、人目について面倒になるだけだよ。わかってるだろ。
[リャン・シュン] ……本当に一人で問題ないのか?
[リー] リャン様の方で、もうおれに何も隠し事がないってんなら、問題ないね。
[リー] 結局ただの人探しだろ? 龍門でおっかない外国密輸業者を調査するわけでもあるまいに、何か面倒事でもあるってのか?
[リャン・シュン] ……やはりシェン殿には声を掛けておくのがいい。彼は渡し場のベテランだ、尚蜀においては、どこだろうと役に立つ。
[リー] わかったよ。
[リー] ところで……
[リー] 尚蜀三山十七峰の中に攥江峰(さつこうほう)って山はあるか?
[ドゥ] あ、あんた、なんでこんなにしつこいのよ!
[クルース] あなたが最後の手がかりだからね、そう簡単に逃がさないよぉ。
[クルース] あなたの子分はみんな逃げちゃったし、こんな賑やかな街じゃ、大立ち回りもできないでしょ?
[ドゥ] ……ふんっ。
[ドゥ] ここまでさせるなんて、あの龍門の盗人はいくら払ったわけ?
[クルース] 状況をすべて把握できてるわけじゃないけど、リーさんがロドスの重要な仕事仲間なのは確かだからねぇ。
[ドゥ] 仕事仲間? ビジネスの相手のように聞こえるけど、そんな簡単に信じられるの? あんたあいつに騙されてないって確証あるの?
[クルース] 私はロドスを信じてて、だからこそ彼も信じてるんだぁ。それだけだよぉ。
[ドゥ] ……ふーん? どうやら話し合いは無駄みたいね。
[クルース] そうだねぇ。
[クルース] でもテイさんが言ってたよぉ、この件であなたにこれ以上余計なことさせられないって。
[ドゥ] ……!
[クルース] うん……その反応、リーさんの予想は当たってたみたいだねぇ。店主と本当に仲間だったんだ。
[ドゥ] あんた……かまかけたのね!? どこの駄獣の骨かも分からないよそ者が、このあたしを愚弄するなんて!
[ドゥ] いいわ! そっちがその気なら、お望み通り痛い目に遭わせてあげるわよ。
[クルース] ……本気でやる気なのぉ?
[クルース] いいよ、私も実はあなたに聞きたいことがあったから――リーさんとは関係のないことだけどねぇ。
[ズオ・ラウ] あのドゥお嬢様と呼ばれていた方は……
[テイ] 私の娘ですよ。まったくの愚女でして、公子には笑われてしまいますな。
[ズオ・ラウ] ……いえ、テイさんの家庭の事情でしたら、私も口出しをすべきではありませんでした。
[ズオ・ラウ] テイさんは、尚蜀で客桟や酒楼をずいぶんと開いていらっしゃいますね。
[テイ] はっはっ、蓄えをすべてつぎ込んだ商売ですからね、幸いに商いを始めてからも、古い友人たちが気にかけてくれてましてね。かつて江湖で築いた人脈も、少しは役に立ったというわけです。
[テイ] はぁ、江湖では人脈がものを言いますが、最終的にはやはり実力が必要だ。しかし商売は逆です。事業を起こすには腕っぷしがものを言うが、でかくするにはやはり人脈が不可欠です。
[テイ] ……しかしこれらは取るに足らぬことです。公子が知る必要はありませんよ。
[ズオ・ラウ] そんなことはありませんよ。父がよく言うように、私のような若輩者に足りていないのは、能力でも信念でもなく、周囲の物事への理解です。
[テイ] ふむ。ごもっともですな。空中楼閣で暮らしたところで、それは生きているとは言えないでしょう。
[テイ] ズオ将軍は、父親として正しい方でしょう。しかしお父上の考えがどうあれ、一番重要なのは、あなたがどう思っているかです。
[ズオ・ラウ] ……
[テイ] あまり重く考えないことです。若い頃というのは、みな血気盛んなものですからなぁ。どれほど尖ったところで、振り返ってみれば案外大したことないのですよ。
[テイ] 私はむしろ、若者はあまりに早く鋭さを失うべきではないと思っています。
[ズオ・ラウ] 勉強になります。
[テイ] はぁ……あなたに言い聞かせるだけではいけませんね。言うは易く行うは難し、私も自分に言い聞かせてやらないと。
[テイ] しかしあの娘ときたら……本当に困った子だ。
[ドゥ] ――ハッ!
[クルース] へえ、悪くない腕前だねぇ。
[ドゥ] ……かすってもないのによく言うわよ。
[クルース] あなたは戦闘になると人が変わったみたいになるねぇ……ウユウくんもそんな感じだし、炎国の人ってみんなそうなのぉ?
[ドゥ] あたしは人を傷つけたくないの。
[クルース] あなたにとって私たちは盗みを働いた泥棒でしょう。それって泥棒に対して、優しすぎない?
[ドゥ] 何度も引っかからないわよ。
[クルース] 残念。
[ドゥ] ふっ……ならお互いに正直に話すのはどう?
[クルース] うん、いいよぉ。でも先に言っておくと、リーさんに代わって発言するわけじゃないからねぇ。
[ドゥ] 構わないわ。あんたにしろ、あのボサボサ頭のペテン師にしろ、厄介なのは変わりないもの。早めに腹を割って話した方が、全員に都合がいいでしょ。
[ドゥ] それで、あんたは何者なの?
[クルース] ロドスのオペレーター、コードネームはクルースだよぉ。
[ドゥ] ……ならウユウとかいうのもコードネームってことね?
[クルース] そんな感じだよぉ。まだ入職手続きが終わってないけどねぇ。
[ドゥ] 本当の名前を隠して、笑顔の裏に刃も隠してるって、あんたたちほんと気取った奴らね。
[クルース] えーとぉ……そんなこと言われたの初めてだよぉ……
[ドゥ] あたしたちは、とある人の依頼で、あの龍門人が持ってる酒杯を返してもらいにきたの。
[クルース] 炎国の言葉は奥深いから、まだちゃんと勉強できてないけど、「返してもらう」は、都合良すぎる表現じゃないかなぁ?
[クルース] リーさんは信頼できる人だよぉ。何か要求や誤解があるなら、なんで会話じゃなくて暴力で解決しようとするのぉ?
[クルース] ここは炎国の奥の方だよ、シラクーザやボリバルみたいな場所でもないのに……暴力は反対だよぉ。
[ドゥ] それはもちろん、先に武で何とかしようとしたのは理由があるわ……でも、あんた本当に何も知らないの?
[クルース] あれぇ……今度は私がかまをかけられる番なのぉ?
[ドゥ] ……
[ドゥ] 本当に何も知らないなら……深入りしない方がいいわ。あたしはもうあの龍門人と話をつけてるの。あんたが勝手に行動すれば、みんなの計画をぶち壊すことになるわよ。
[クルース] ……堂々としてるねぇ。
[ドゥ] つまり、これだけ堂々と事を起こせるだけの理由があるのよ、分かるでしょ。
[ドゥ] ここまで話したからには、あんたが信じるかどうかはともかく、教えてあげる――
[ドゥ] ――梁府で盗みを働いたのはあたしじゃないわ。
[クルース] でも誰かは知っているんでしょ~。
[ドゥ] かもね。
[クルース] リーさんと話が通ってるなら……ひとまず休戦かなぁ? それなりの説明をしてくれる~?
[ドゥ] ……説明?
[ドゥ] あの龍門人は、リャン知府の依頼を受けて龍門から酒杯を運んできたんでしょうけど――
[ドゥ] ――でも鏢局に依頼してきたのは、そのリャン知府でさえ簡単に手を出せない相手だって言ったら?
[クルース] ……え?
[ドゥ] 事の経緯はとても複雑なの。だから、あたしじゃ説明してあげられない。
[街の青年] お嬢様!
[ウユウ] 恩人様ぁぁ! ご無事ですかぁぁぁ!
[街の青年] こいつ、俺たちの邪魔しに来やがったのか!?
[ウユウ] ちょっ、いきなり!? まだ何もしてませんよ!?
[街の青年] やっちまえ!
[ドゥ] ……ふん。もう十分話したから、今日はこの辺で失礼するわ。
[ドゥ] あんたたち、行くわよ。そいつに構わなくていいわ!
[街の青年] ――承知!
[ウユウ] やると言ってやらないとは、これぞ肩透かし!! いつもいつも私ばかりさすがに酷すぎません!?
[クルース] ――待って!
[ドゥ] あんたは腕も立つし、道理もよくわきまえてる人みたいだし、一つ忠告してあげる――
[ドゥ] ――山深くの川の流れって急だし、底に足もつかないものよ。邪魔をしないことね。
[ウユウ] 恩人様。
[クルース] ……へーきへーきぃ、心配しなくていいよぉ。
[街の青年] お嬢様、大丈夫ですか。
[街の青年] あの二人は龍門人の仲間じゃないんですか? どうして本当のことを言わないんですか?
[ドゥ] あたしにはあたしの考えがあるの。
[街の青年] そうですか……
[ドゥ] ……テイのじじいはこのままあたしに任せようとしてるけど、誰が従うもんですか。
[ドゥ] あの龍門人とは話をつけたわ。うちの鏢旗はもうずっと野ざらしでひどい姿だし、そろそろ交換してあげないとね。
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