aklib_story_風雪一過_BI-3_測り難きは人心_戦闘前

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風雪一過_BI-3_測り難きは人心_戦闘前

一難去ってまた一難。しかし危機的状況からSharpがドクターを救い出した。戻ったドクターは、オーロラと共に民衆に利害を説き、ひとまず衝突を回避するのだった。


[Sharp] 状況報告を。

[オーロラ] あまり芳しくないよ。ドクターの予想通り、この辺に人がたくさん集まってる。

[Sharp] 工場の方へ向かっているか?

[オーロラ] うん……間違いない。

[Sharp] 何としてもついていけ、報告を怠るな。

[オーロラ] 了解。

[チェスター] ではこの工場の引き渡しも完了ですね。

[チェスター] 今のところは全て順調です。これもドクターが間に入ってくださっているおかげです。

[チェスター] これまではきちんとしたおもてなしができずに、大変申し訳ございませんでした。

[ドクター選択肢1] ただの学者にもてなしなど必要ない。気にするな。

[チェスター] またまたご謙遜を。今後もご教授いただきたいことが山ほどございますよ。

[ヴァレス] お待ちを。

[チェスター] おっと……ヴァレス将軍、何か問題でも?

[ヴァレス] 待ち伏せがいますわ。

[武装した領民] さすがはヴァレス将軍だ。

[ヴァレス] 何者ですの?

[武装した領民] 説明を求めに来た者だよ。

[チェスター] 説明? 先ほどヴァイスさんとドクターが、領民代表の方々に向けてカランド貿易の対応方針をご説明したばかりです。

[チェスター] きっと、何か誤解をされているのでは……?

[武装した領民] 誤解?

[武装した領民] チェスターさん、あんたも気付いてないみたいだな。

[武装した領民] エンシオディス様はその外国人に騙されてんだよ!

[ドクター選択肢1] なんだって?

[武装した領民] 俺たちも騙されてたんだが、ある奴から話を聞かされてようやく理解したんだ。

[武装した領民] この外国人は、元々鉱石病や感染者対応のコンサルタントって名目でイェラグに来たんだ。それはチェスターさんも知ってるだろ?

[ヴァレス] ……急に何の話をしているの?

[チェスター] ……

[武装した領民] タレコミ屋の情報に間違いはねぇ。いいか、よく聞け――

[武装した領民] この外国人はすでにアークトスと結託してんだよ。それで、ヴァレス将軍はこいつのお目付役ってわけだ。

[武装した領民] 蔓珠院とアークトスが、エンシオディス様のイェラグ開拓に対して長い間不満を抱いていたことは、みんな知ってる。

[武装した領民] この外国人は、工場が鉱石病を蔓延させるとかいう理由で、エンシオディス様に不利な証拠をでっち上げ、工場を永久に閉鎖させる気だ!

[ヴァレス] 言いがかりですわ! ペイルロッシュ家がそのような姑息な手段を用いたことなど一度もありません!

[武装した領民] ペイルロッシュ家と蔓珠院は結託してるくせに、やましいことや犠牲が全くねぇなんて言わせねぇぞ!

[ヴァレス] ……

[ヴァレス] お父様、お父様! 大丈夫ですか?

[大長老] ほら、これを飲むんじゃ。飲めば良くなるじゃろう。

[大長老] イェラガンドの涙は、山雪鬼が残した毒を洗い流してくれる。

[ヴァレス] ……証拠よ! 証拠はあるの!?

[武装した領民] ケッ! てめぇらが自分でやってることを、俺に訊こうってのか?

[チェスター] ドクター、これは……

[ドクター選択肢1] 事実ではない。

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] 君はどう思う?

[チェスター] ……信じていいのですか?

[武装した領民] どうした、何も言えねぇのか?

[武装した領民] ベラベラくっちゃべってんじゃねぇ!

[武装した領民] これ以上話す必要なんざねぇ、テメェにはきっちりけじめをつけてもらうぜ!

[ヴァレス] 衛兵! 客人をお守りして! 彼らを制圧なさい!

[武装した領民] 先にその外国人を捕らえろ!

[武装した領民] て、てめぇ! どこから現れやがった!?

[Sharp] ここは危険だ!

[オーロラ] ドクター、逃げるよ!

ウルサスのオペレーターはあなたを肩に担ぐと、森の中へと力強い足どりで分け入っていった。

[ドクター選択肢1] ストップ、もう大丈夫だ。下ろしてくれ。

[オーロラ] あっ! そうだね。

[Sharp] はぁ……

[Sharp] 改めて言わせてもらう、ドクター。

[Sharp] どんな計画があるかは知らないが、これでは危険すぎる。あなたは覚えていないかもしれないが、俺はもう何度も繰り返し同じことを言ってきているんだ。

[ドクター選択肢1] それでも君を信じている。

[Sharp] どんな者でもミスは犯す、それは俺も同じだ。あなたには極力、俺の仕事が簡単になるように努めてほしい。

[Sharp] 可能性こそ低いが、あの襲撃者たちの中に熟練の戦闘員が混じっていたらどうする?

[Sharp] あるいは、飛び道具を持っていたらどうする?

[ドクター選択肢1] 心配ない。彼らの目的は暗殺ではない。

[オーロラ] ……とにかく、ドクターに状況を報告するね。

[オーロラ] ドクターが伝言を依頼した人から言われた通り、Sharp隊長と私はそれぞれ、ブラウンテイル家の邸宅とシルバーアッシュ家の工場に行って疑わしい人物を追跡したよ。

[オーロラ] その結果、私たちが得た手がかりが思いがけず繋がったんだ……

[オーロラ] さっきの人たちは、ブラウンテイル家に扇動されたんだと思う。

[オーロラ] 一般人を扇動してライバルの評判を落とすなんて、すごく雑なやり方だけど、よくある策略の一つでしょ。

[ドクター選択肢1] シルバーアッシュ家と我々を分断するという算段か。

[ドクター選択肢2] ペイルロッシュとシルバーアッシュを対立させる気か。

[ドクター選択肢1] だが罠である可能性もある。

[オーロラ] ドクターそれって……?

[Sharp] あいつらの装備や戦力は大したことはなかった。あの様子だと、手痛い反撃を食らった場合に、逃げ延びることも難しいはずだ。

[Sharp] 捕まって尋問を受ければ、奴らは情報の出所を自白するだろう……

[オーロラ] そしたら、むしろブラウンテイル家が不利になるかもってこと!?

[ドクター選択肢1] 必ずしもそうとは限らない。

[Sharp] ああ。俺たちの情報はまだ不十分だ。事件の全容すら見えていない状況で、黒幕とその目的を決めつけることはできない。

[Sharp] 唯一断言できるのは、三家を仲違いさせたい者がいるということ。言い換えれば、誰かがイェラグ全体の安定を脅かそうとしているんだ。この状況は部外者のドクターにとって危険極まりない。

[オーロラ] ドクター、これからどうするの? まずは何とかしてロドスに帰るべきなんじゃないの?

[ドクター選択肢1] まだ早い。この件はまだ解決にはほど遠い。

[Sharp] そうだな。この騒ぎは巨大な嵐のほんの一端にすぎない。しかし、俺の責務は明らかだ。ドクター、俺は最も危険な嵐の中心からあなたを遠ざける必要がある。

[ドクター選択肢1] もっと情報が必要だ。

[ドクター選択肢2] まず、さっきの襲撃者たちが捕まらないようにしなければ。

[ドクター選択肢3] 黒幕が三家の不和を引き起こすのを阻止する。

[Sharp] 知れば知るほど、より危険な状況になる。細部まで精査する時間は恐らくないだろう、ドクター。

[Sharp] 恐らくこれはまだ始まりにすぎないぞ、ドクター。

[Sharp] ドクター、忠告させてもらおう。これはもはや、あなたの当初の目的を逸脱している。

[Sharp] だがあなたはそう判断しながらも、なおかつ自信があるようにも見える……ならば止めはしない。

[Sharp] 確認するが、こうなった以上、クーリエとマッターホルン、ひいてはクリフハートに、彼らがシルバーアッシュ家の人間だということを承知でこの件を伝えるのか?

[ドクター選択肢1] そのつもりはない。

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] 君の判断に任せる。

[Sharp] 俺も同意だ。クリフハートには申し訳ないが、事ここに至っては彼らを完全に信用することは難しい。

[Sharp] ドクター、あなたが彼らを信じたいのはわかる。だがクリフハートは別としても、クーリエとマッターホルンの二人に関しては、今の三大名家争いの間は何と言おうと警戒させてもらう。

[Sharp] ならば、彼らには一部の実情を隠させてもらう。

[ドクター選択肢1] ではまずさっきの場所に戻るとしよう。

[ヴァレス] ほかにまだいますこと?

[衛兵] いません、全員制圧しました。

[ヴァレス] ドクターは? どこへ行ったのかしら?

[衛兵] ……誰かに森の中へ連れ去られるのを見ました。

[ヴァレス] ……いけませんわ!

[ヴァレス] あなた方は私と一緒に来て! あの方に何かあっては大変ですわ!

[ドクター選択肢1] 呼んだか?

[ヴァレス] !!

[チェスター] あっ、あなた……私はてっきり──

[ドクター選択肢1] 逃げたとでも思ったか?

[ヴァレス] ……先ほどの緊急事態、あなたの身の安全に注意を向けられませんでしたわ。お許しを。

[ヴァレス] 失態をさらしてしまいましたわ、お恥ずかしい。本来なら最優先であなたの安全を確保すべきでしたのに……

[ヴァレス] ですがご覧の通り……この者たちは、制圧いたしましたわ。

[ヴァレス] 動かないで、おとなしくなさい!

[武装した領民] くそっ、いつまでとぼけてやがんだ! お前はエンシオディス様を陥れるためにやって来たんだろうが!

[武装した領民] 正義の味方を気取りやがって! ペッ!

[オーロラ] ……

[オーロラ] ……兄さん?

[Sharp] ......?

[武装した領民] ララ? なぜお前がここに?

[オーロラ] 兄さん! 何やってるの?

[武装した領民] お、お前なんでこんな奴とつるんでるんだ!?

[オーロラ] この人は私の上司なの!

[Sharp] そこまでだ。今は話している余裕はないぞ。

[オーロラ] ……はい、隊長。

[ドクター選択肢1] 正直、工場の安全措置に少し問題がある。

[ヴァレス] 何ですって?

[ドクター選択肢1] 排気ガスを排出するパイプが作業エリアから近すぎる。

[ドクター選択肢2] 労働者に配られる防護装備の効果が薄い。

[ドクター選択肢3] 源石鉱物の輸送ルートが安全ではない。

[チェスター] それは……エンシオディス様にその件についてお話しされたことはございますか?

[武装した領民] てめぇ! やっぱりデタラメ野郎じゃねぇか!

[ドクター選択肢1] これはすべて事実だ。

[ヴァレス] ……私ではあなたの言ったことが本当かどうか判断できませんわ。

[ヴァレス] ですが、確かに一理ありそうですわね。

[武装した領民] てめぇの話なんざ誰が信じるか! この──

[ヴァレス] おとなしくなさい! 蔓珠院の領地で外来の賓客を襲うなんて、どのような罰が下るかお考えになったことはありますの?

[武装した領民] ……

[武装した領民] エンシオディス様のためなら……

[オーロラ] シルバーアッシュ家の大事なお客さんがその領民たちに襲われるなんて、それこそシルバーアッシュ家の名前に泥を塗るようなことだとは思わないの?

[オーロラ] これが兄さんたちの言う「エンシオディス様のご恩に報いる」ことなの?

[武装した領民] ……それは──

[オーロラ] もっとちゃんと考えてよ!

[オーロラ] 兄さんは冷静な人だったじゃない。どうしてこんなことするの?

[武装した領民] ……もういい、お前に話したところでわからないだろう。

[ドクター選択肢1] ヴァレス将軍、彼らを解放してくれないか?

[ヴァレス] ……何を仰っているの?

[ドクター選択肢1] ご覧の通り、部下の家族がいるんだ。

[ドクター選択肢2] すべて誤解だ、これ以上誤解を広めてはいけない。

[ドクター選択肢3] 先ほどの君たちの失態と相殺ということで。

[オーロラ] 私からもお願いします。ヴァレス将軍、大目に見てくださいませんか……

[ヴァレス] ……はぁ。

[ヴァレス] 本当にただの誤解ですの? 私にはそうは思えませんけど。

[ヴァレス] ……はぁ、まあいいですわ。

[ヴァレス] ……それでよろしいのですか?

[ヴァレス] あなた方、よくお聞きなさい。もしこの方が寛大でなければ、杖罰を免れられませんでしたわよ! ご自身の行為をよく反省なさい!

[武装した領民] この程度で恩を売ったと思うなよ! この──

[戦士のリーダー] もういい、行くぞ。これ以上シルバーアッシュ家を辱めるな。

怒りに燃える領民は、失望と侮蔑に満ちた表情のまま去っていく。ひとまず激しい衝突は回避されたようだ。

だが、雪嵐がまさに吹き荒れようとしている。あなたはそれをよく理解していた。

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