aklib_story_ニアーライト_NL-6_包囲された者_戦闘後

ページ名:aklib_story_ニアーライト_NL-6_包囲された者_戦闘後

このページでは、ストーリー上のネタバレを扱っています。

各ストーリー情報を検索で探せるように作成したページなので、理解した上でご利用ください。

著作権者からの削除要請があった場合、このページは速やかに削除されます。

ニアーライト_NL-6_包囲された者_戦闘後

ソーナは目的のデータを手に入れた。しかし、そこへ入った一本の電話により、すべては無冑盟の手のひらの上だということに気付いてしまう。


そこら中が真っ暗だ。

グレイナティがやってくれたのか? だったらソーナの潜入は、上手くいったのか……?

......

この作戦が成功したら、あたしたちは本当に――カジミエーシュで何不自由なく暮らしていけるようになるのか?

[ジェイミー] そうやって自分を騙すのはやめろ。

[イヴォナ] ……!

[ジェイミー] 我々の境遇を考えてもみるんだ。

[ジェイミー] 地下競技場で野獣と、そして仲間とだって殺し合った。試合を終えるたび残るのは苦痛だけだった。

[ジェイミー] なのに主催者のやつらは、更なる血と刺激を求め、八百長や場外でのはかりごとを楽しんでいる……

[ジェイミー] このすべての元凶は、なんだと思う?

[ジェイミー] ……もう一度、カヴァレリエルキの外へ目を向けてみろ。この大地の上で、感染者はどこへ向かえばいい?

[イヴォナ] ……どこへ、って……

[ジェイミー] 我々は鉱石病を、いずれ死をもたらす不治の病を患ったんだ。……あまつさえ、感染者となった私たちの死は、周りに災いを振りまいてしまう……

[ジェイミー] もはや私たちは不吉で、制御不能の、排斥を受ける異種なんだよ。

[ジェイミー] だというのに、監査会が本当に、感染者による正規の騎士団設立なんて許すだろうか?

[ジェイミー] それに、カジミエーシュには、いや、この大地には……本当に感染者が生き延びられる余地なんてあるんだろうか?

[ジェイミー] 仮にあったとしても……

[ジェイミー] ……それが、あなた自身に何の関係があるというんだ?

[無冑盟構成員A] こいつ、ピクリとも動かなくなったな……死んだのか?

[無冑盟構成員B] だといいがな。はぁ感染者と殺し合うなんて勘弁してほしいよ。俺たちまで感染したらどうしてくれるんだか。

[無冑盟構成員B] なあ、マジで息がないのか確かめてみてくれよ。で、死んでたら処理チームに対応させようぜ。

[イヴォナ] ……ごほっ……

[イヴォナ] 誰が……死んだって……?

[イヴォナ] ……来い、よ……!

[イヴォナ] っ……無、冑盟の……クズども、っ……! お前ら、全員……ぶっ倒して、やる……っ!

[イヴォナ] 感、染者を……傷つけ、る……人殺し、が……ッ!

[無冑盟構成員A] ……まだ動けんのかよ……

[無冑盟構成員A] 血だらけでフラフラしてるってのに、どうしてそこまで……

[イヴォナ] 来い……っつってん、だろっ……!

[イヴォナ] 誰、一人……逃がさ、ねぇぞ……! ……ッごほ、っ……!

[無冑盟構成員B] ……なかなか根性のある奴だ。苦しませるのもなんだし、楽にさせてやるとしよう。

[無冑盟構成員B] どの道これだけ血が出てりゃ、ほっといたってあと数分の命だろうしな。……まったく、モニークの腕は大したもんだよ。

......

あたしがもっと強ければ……もっと、速ければ……

もし、そうだったなら……

この時代から、逃げ出すこともできたのか?

......

逃げ出す……?

違うだろ。あたしは何を考えてんだ。

動け……動くんだよ、イヴォナ……! クソッ……なんで、視界がぼやけるんだ……

目を……開けねぇと……

[無冑盟構成員] 安心しろ、すぐに痛みから解放され――

突然、無冑盟が動きを止めた。

足音が聞こえる。

殺し屋たちの軽やかなそれとは違う、何かとてつもなく重いものを背負っているかのような、重々しい足音が。

[無冑盟構成員] ……! ……

[イヴォナ] (よく……聞こえねえ……何、話してんだ……?)

[無冑盟構成員] …………。……!

[イヴォナ] (……? こいつら、どうして……)

[イヴォナ] 待、て……と……まれ……! あたし、は……まだ……

[???] ……騎士よ、もう十分だ。

[???] よくぞこれまで戦い抜いた。

[観光客A] あれ……? なんで急に真っ暗になっちゃったの!?

[観光客B] な、何が起きたんだ……?

[ビッグマウスモーブ] はあ……!? 街中が、停電してる……!? なんてこった、こんなの補償にいくらかかると思ってんだ!?

[ビッグマウスモーブ] と、とにかく……あの、ちょっと、そこの騎士! 観客の避難誘導を手伝ってください!

[ソーナ] よいしょ、っと……

[ソーナ] ……わあ、外は一面真っ暗ね……

[ソーナ] カイちゃんたち、完璧な仕事ぶりじゃない。

[ソーナ] だけど……

[ソーナ] ……

[ソーナ] ……連合会ビルには独立電源があるし……時間がないのは確かね。

[ソーナ] っ! 誰か来た……!

[企業職員A] どうして停電しちゃったんでしょう……?

[企業職員B] そ、外を見ろ! 都市全体が暗くなってるぞ……!

[企業職員A] ま……まさか、また動力炉に問題が……? と、ということは大分断……? また、大分断が起きたんでしょうか……!?

[代弁者マルキェヴィッチ] 慌てる必要はありません。

[企業職員A] あっ、マルキェヴィッチ様……!

[代弁者マルキェヴィッチ] ……幸い、今日は代弁者会議の日でしたので。取締役数名も今は連合会ビル内にいますし、全員無事を確認しています。

[代弁者マッキー] 彼の言う通り、落ち着いて動こう。指示に従い、民衆を導くんだ。それから、すぐに監査会の代表へ連絡を。最も重要なのは、治安関係の問題を生じさせないことだからね。

[代弁者マッキー] ……それぞれの区画には、独自の予備電源があるはずだ。各エリアの責任者たちに、適切に対処させるように。

[企業職員] はい!

[ソーナ] ……取締役の出る会議。

[ソーナ] じゃなかった、違う違う。まずは、コンピュータールームの入り口を見つけないと――

[企業職員] ラズライト様!

[ソーナ] ――!

[ロイ] ……よう。随分大ごとになっちまったなあ。

[ロイ] しっかし……とっくに言っといたはずだろ? 感染者への対応は、連中にチャンスを与えないようにちゃっちゃと済ませるべきだってよ。

[ロイ] ラッキーなことに、今日は取締役たちが俺を呼び出してたからまだいいけどさあ……上司に何か起きてたら、どうするつもりだったんだ?

[代弁者マッキー] ……この件についての反省は、のちほど行わせてもらうよ。

[ロイ] オッケー。そうなると今の問題は……モニークも含めた無冑盟の大部分が、み~んな感染者の包囲掃討に向かってるってことだな。今すぐ呼び戻しても時間がかかるしよ……

[ソーナ] ……っ!?

[代弁者マッキー] ……わかった。ではその間、君には取締役たちの安全確保を行ってもらうとしよう。本来の任務は、一度後回しにしてくれ。

[ロイ] リョーカイ。つっても……理事会に手を出せる奴なんていないだろうけどな。

[ソーナ] ……包囲、掃討……

[ソーナ] ううん……みんななら、大丈夫だから。……あたしは……

[ソーナ] とにかく、急がなくちゃ。

[ユスティナ] ……イヴォナ……一体どこにいるの?

[ユスティナ] どうか無事でいて……!

[シェブチック] 遠牙!

[ユスティナ] ……シェブチック?

[ユスティナ] ほかの人は見かけた? 実は、私たちの通信が切断されて――

[シェブチック] 事はそう単純じゃない。……ここは都市の中心部だ。俺たちの通信を狙って切断できるということは、初めからその周波数を特定し、傍受していたということになる。

[シェブチック] 電力系統を麻痺させたのも、灰毫騎士ではない。その突撃を待たずして動力炉が襲撃されたんだ。……彼女のほうは今、急いで焔尾の元へ向かっている。

[ユスティナ] ……どういうこと?

[シェブチック] 仕組まれていた、ということだ。無冑盟は初めから、何かを企んでいた……奴らは感染者にその罪を被せる機会を狙っていたんだ――

[シェブチック] 俺たちは窮地に立たされている。一刻も早く、ほかの連中を見つけなければ!

[ユスティナ] っ、イヴォナ!

誇り高き感染者騎士が、血だまりの中に倒れ込んでいる。

その鎧を赤く染めるのもまた、鮮血だ。

[ユスティナ] イヴォナ! 目を開けて!

[ユスティナ] ――!

[ユスティナ] ま、まだ息がある……!

[シェブチック] ……

[ユスティナ] シェブチック、手を貸して――

[シェブチック] ……待て。……この辺り……ほかに、誰か来ていたように見える。

[シェブチック] 無冑盟に斧の使い手などいないはず……仮にいたとしても、この痕跡は妙だ……

[シェブチック] 壁から……血が、染み出している……?

[シェブチック] ……! まさか、奴なのか……?

[ソーナ] ……ダウンロード完了、っと。

[ソーナ] これが、零号地の計画書と、無冑盟の内部資料ね。

[ソーナ] ……

[ソーナ] ……こんなに上手くいっちゃうのも、なんだか変な感じだけど……

[ソーナ] まあいいわ。こんな場所、とっとと抜け出して――あっ、尻尾が――

[企業職員] 何をぼんやりしてるんですか! 早く国民議会に連絡を!

[企業職員] それからそこのあなた! そちらの部署はファイヤブレード競技場の避難担当ですよね? 急いで任務に当たってください!

[カジミエーシュ騎士] 失礼、我々は代弁者を迎えに来た者なのですが……彼女は、まだ二階でしょうか?

[ソーナ] (混乱状態って感じね……よし。)

[ソーナ] (このまま、何事もなく帰れるといいんだけど……)

[ロイ] ……お~いマジかよ……

[ソーナ] (――!)

[ロイ] 混乱に乗じて連合会ビルに紛れ込もう~なんて考える奴が本当にいるとはなあ。

[ソーナ] (気付かれた――!?)

[ソーナ] って、わわっ!?

[ソーナ] いったたた……ここ、どこ? あたしったら、いつの間にドアへ寄りかかってたのかしら……

[ソーナ] 暗いわね……うーん、もしかして会議室とか……?

[ソーナ] とりあえず、出口を探さないと――

――この瞬間まで、ソーナは、自分が常に自らの意志で戦いを選んできたとばかり思っていた。

無冑盟と戦い、商業連合会と戦い、感染者に関わるすべての不公平と戦い……運命と戦う。

そうして抗い続けてきた彼女は、それが必要なことだと信じて疑わなかった。

だがこの時、頭から爪先までをぞくりと走った悪寒は、彼女を動揺させるに足るものだった。

ソーナは初めて知覚した。

自分は、得体の知れない大きな存在によって、踊らされているにすぎないのかもしれないということに。

[ソーナ] ……

電話が鳴っている。

彼女のほか、誰もいない室内にベルの音が響き渡る。

[ソーナ] ……もしもし?

[電話の声] ……焔尾騎士、ソーナ。

[電話の声] ここまでよくやり遂げてくれた。

[ソーナ] え……?

[電話の声] 君には、二つの選択肢がある。

[電話の声] 一つは――簡単な取引だ。今、「ラズライト」のロイがその会議室の扉の向こうにいるんだが……

[電話の声] 君の手にある二つのデータチップのうち、無冑盟のほうを彼に差し出せ。

[電話の声] 零号地の情報は持ち帰って構わない。

[電話の声] それさえあれば、監査会との取引で合法的な生存権と交換するには十分だろう。

[電話の声] 採る必要のない選択肢の提示は省いてもいいかな。

[電話の声] すべてはこちらの手のひらの上だ、焔尾騎士。感染者を排除する気はないし、君個人と対立する気はもっとないがね。

[電話の声] 私に言わせれば、騎士にしろ、商人にしろ、感染者にしろ、皆視野が狭すぎる。

[ソーナ] ……

[電話の声] ともあれ、社会を敵に回すのはやめたまえ。

[電話の声] あのサーバーは我々が既に破壊した。君の持つチップこそが、最後のコピーなんだ。

[電話の声] さあ、決断を。

[ソーナ] …………

[電話の声] 今すぐ電話を壊してしまおうとでも考えているか?

[電話の声] であれば、好きにするといい。それが、運命に抗うために出した答えだと思うのなら――

[ソーナ] ……わお、まさかお見通しだったの? すごい人ね。

[ソーナ] さてと。ラズライトが扉の外にいるわけだし、どうしようかしら……

[ソーナ] ……

[ソーナ] ……そういえば、ここって何階だっけ?

[ソーナ] わわっ!? ――嘘、やだ――ちょ、ちょっと高すぎない――!?

[グレイナティ] ッ!? ソーナ!!

[ソーナ] カイちゃん! お願い、受け止めてっ!

[グレイナティ] ――お前、またなんて無茶な真似を! ――どうしてそんな高さから――って、うわっ――!

[ソーナ] あいたたた……アーツを使っといてよかった。お陰で衝撃を抑えられたし……

[グレイナティ] …………

[ソーナ] そ、そんな目で見ないでよ! わかった、わかりました、二度とこんな無茶しないから! 尻尾を離してってば……ねえ。

[グレイナティ] ……責めてるわけじゃない。……ただ、お前が無事で本当によかったと思って。

[グレイナティ] 実は、動力炉を襲撃する前……何者かに先を越されてな。私たちは利用されていると気付いたんだ。

[ソーナ] ……だとしても、大丈夫よ。欲しかったものは手に入れたしね。

[ソーナ] ほら、見て!

[グレイナティ] ……こんな小さなデータチップで……本当に、私たちの未来を切り開くことができるんだろうか?

[ソーナ] ……今はそう祈るしかないわ。

[ロイ] ……う~わ、これ10メートル以上はあったよなあ?

[ロイ] そのくせピンピンしてやがるし。やれやれ。もっと痛い目に遭いたいのか? 感染者さんよ。

[グレイナティ] ……! その出で立ち、お前は……

[ロイ] おおっと、俺を知ってるっての?

[ソーナ] ……普通の騎士からすれば、無冑盟の幹部なんて、謎の代名詞みたいなものだけど、あなたは違う。

[ソーナ] この十数年、唯一そのランクに在り続ける「ラズライト」ロイ。あなたの噂や逸話は山ほどあるし、誰だって知ってるわ。

[ロイ] へえ、マジで? ハハッ、名が売れてんのは嬉しいが、殺し屋のお仕事的にはいいことじゃあねーんだよなあ。無冑盟は騎士様と違って、人気で稼げる商売じゃねえしよ。

[ロイ] さーて、それじゃ――二つに一つだ。チップを渡して、生きて帰るか……ここで死んで、チップを取られるか。

[ロイ] 俺個人としては、金にならねえ殺しは好きじゃねーんだけどさ。

[グレイナティ] ……ソーナ、いけるか?

[ソーナ] ええ、大丈夫よ。でも……厳しい戦いになりそうね。

[グレイナティ] 生き残れさえすればいい。

[ソーナ] ふふっ。肩を並べて戦うなんて、いつぶりかしら? 鉗獣と戦ったあの時以来?

[ロイ] おいおーい、こんなイケメンを鉗獣なんかと一緒にするのはさすがにないだろ。

[禿頭マーティン] まさか、予備のライトが役に立つ日が来るなんて……備えあれば憂いなしというやつだね。

[老騎士] しかし、何が起きとるんじゃろうな。また大分断でも起きたのか?

[老職人] おい、外はマジで停電してるみたいだぜ! 何の冗談だってんだよなあ、今はメジャーの期間中だってのに!

[禿頭マーティン] 電力自体はすぐに復旧するだろうが……この眠らない街から光を奪うなんてこと、誰がしでかしたのやら……

[ムリナール] ……

[ムリナール] ……馬鹿馬鹿しい。まったくもって、馬鹿げた話だ。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧