aklib_story_ニアーライト_NL-3_それぞれの準備_戦闘前

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ニアーライト_NL-3_それぞれの準備_戦闘前

マルキェヴィッチはひそかにイングラを告発したのだが、前途は多難であるようだ。悩み多き彼は、その後別件でロドスのドクターを訪ねることとなる。その頃、商業連合会は燭騎士に、マーガレットを陥れることへの協力を依頼していたが、燭騎士にその気はないようだ。


[代弁者マルキェヴィッチ] ……

[代弁者マッキー] 聞いたよ。オルマー・イングラを国民議会に告発したんだって?

[代弁者マルキェヴィッチ] ……はい。

[代弁者マルキェヴィッチ] メジャーで死人が出た以上、彼は裁かれるべきです。相応の罰を与えられないのなら、法律など何の意味もありませんから……

[代弁者マッキー] マルキェヴィッチ君、国民議会のやり方は周知の事実だろう。ましてや君は起業したことがあるそうだし、彼らとのやり取りを経て理解しているはずだ。思い詰めるのはやめたまえ。

[代弁者マッキー] ほら、君には感染者収容治療エリアへ行って、騎士協会と医療系企業数社の間で仲介役を務める仕事もあるじゃないか。

[代弁者マッキー] つまり――前向きに考えれば、この仕事は人助けでもある。そうだろう?

[代弁者マルキェヴィッチ] ……

[代弁者マッキー] 自分を追い込み過ぎては体を壊すだけだ。あまり無理をしないようにな。……私は、先に会議へ向かうとするよ。

[代弁者マルキェヴィッチ] ……はぁ……

[代弁者マルキェヴィッチ] ……!

[代弁者マルキェヴィッチ] はい、もしもし……

[電話の声] 代弁者マルキェヴィッチ様、お世話になっております。

[電話の声] 私は国民議会の副審官です。代弁者からの訴状は受け取りました。

[代弁者マルキェヴィッチ] あっ……

[代弁者マルキェヴィッチ] ……そちらの件、どのようにご対応いただけますでしょうか?

[電話の声] ……連合会の規定に従わない騎士を告発することは、代弁者の責務です。そのため、錆銅騎士に対するあなたの「ご意見」について、我々は無論優先的に考慮いたします。

[電話の声] とはいえ、錆銅騎士オルマー・イングラに関する事情は……少々複雑でして。

[電話の声] ご存知の通り、少し前に彼の保釈申請が国民議会で承認されたばかりですから、このタイミングで再度裁判を行うとなると、議会の権威を損ないかねません。

[電話の声] もちろん……代弁者の要求は理事会の要求でもある、ということは承知しておりますので、お申し出を拒否するつもりはありませんがね。

[代弁者マルキェヴィッチ] ……電話をしてきた理由はそれですか。わかりました、国民議会側の条件を伺いましょう。

[電話の声] 条件……? 滅相もない! そのようなものはございませんとも。これはあくまで業務上必要なやり取りですので、どうかご理解くださいませ。

[電話の声] ――チャルニー様の追放はイレギュラーなものでした。誰もが予想だにしていませんでしたし、我々ですらも、彼の失態がそこまでひどいものだとは思っておりません。

[電話の声] ですがどうあれ、事は既に起きてしまった。チャルニー様は大騎士領を去り、代弁者としての地位を失ったのです。

[電話の声] しかしながら、今回の追放は何分突然のことでしたので……我々も各方面の関係者と上手く連携が取れず、その影響で後始末が不十分だったと考えております。

[代弁者マルキェヴィッチ] ……まさか……

[電話の声] ローズ新聞連合社が錆銅騎士のために支払った献金は、チャルニー様が手配したものでした。

[電話の声] 彼は事情を知りすぎているのです。……この言葉の意味が、おわかりになりますね? マルキェヴィッチ様。

心臓が跳ね上がる。

[代弁者マルキェヴィッチ] っ、わ……私には、わかりません……

[電話の声] チャルニー様の件が問題に繋がることは「永遠に」ないと保証してくださるのなら……我々は必ず、錆銅騎士を法に照らして処罰いたします。

こんなことに関わるなんて、想像もしていなかった。

いや、より正確に言うならば、仮に関わったとしても、決定権を持つ側の立場になるとは思っていなかったのだ。

[代弁者マルキェヴィッチ] ……

[代弁者マルキェヴィッチ] あなたが……仰っているのは……

[電話の声] メジャーの業務でご多忙でしょうし、今すぐにとは申しません。責任をもってチャルニー様の姿を表舞台より消してくださるというお約束さえいただければ、この件は、ただちに処理いたしましょう。

[電話の声] 当然、彼さえ消えてくださるなら……あなたとも、より深い信頼関係を築けるでしょうしね。

[代弁者マルキェヴィッチ] ……

[代弁者マルキェヴィッチ] ……申し訳ありませんが、今はまだお答えできません……

[電話の声] ……それは残念です。では、できる限り早くご決断ください。錆銅騎士様の出場停止期間は、決して長くはありませんので。

[電話の声] ご連絡をお待ちしておりますよ、マルキェヴィッチ様。……では、良い一日を。

[代弁者マルキェヴィッチ] ……

[代弁者マルキェヴィッチ] ……わっ!?

[扉の外の声] マルキェヴィッチ様、いらっしゃいますか?

[代弁者マルキェヴィッチ] は、はい。どうぞお入りください……

[ビッグマウスモーブ] お……お邪魔して申し訳ありません、マルキェヴィッチ様。

[ビッグマウスモーブ] あの……メジャーで行われる多くの試合で、MCを担当させていただけると連絡を受けまして……もちろん、本当に光栄なんですが……実はその、近頃あまりよく眠れなくて……

[ビッグマウスモーブ] もしかして最近、苦情が来ていませんか? 一部の観客が、今の私のパフォーマンスに不満を抱いていると聞いたんです。彼らは以前のスタイルの方が好みのようでして……

[代弁者マルキェヴィッチ] 申し訳ない。その件で理事会から直接の指示を得るのは、恐らく難しいかと思います。とにかく慎重にお願いします、モーブさん。

[ビッグマウスモーブ] そうですか……はぁ……メジャーの実況を務めれば、ボーナスをいただけたりはしますでしょうか……?

[代弁者マルキェヴィッチ] ええ。ミスさえなければ、お出ししますよ。

[代弁者マルキェヴィッチ] ……そういえば……話は変わりますが、あなたの故郷について聞かせていただけませんか? ええと、確か……

[ビッグマウスモーブ] 職人の都のことですか?

[ビッグマウスモーブ] ええと、なぜ今、その話を? ただの小さな町ですよ。……前はそれなりに有名な所だったんですが、今じゃそんなの過去の栄光で……

[ビッグマウスモーブ] だから私は、仕事を探しに大騎士領までやってきたんです。

[代弁者マルキェヴィッチ] お話ししてくださって、ありがとうございます。モーブさん、あなたはもう十分努力をなさっている……私も、あなたをお助けできるように力を尽くします。

[代弁者マルキェヴィッチ] ……彼らがあなたをわずらわせることはありませんから……どうかご心配なく。

[グラベル] ……ドクター。

[グラベル] 何見てるの~?

[ドクター選択肢1] 感染者治療プロセスの準備資料だ。

[ドクター選択肢2] 商業連合会のチラシだよ。

[ドクター選択肢3] メジャーのゴシップ記事。

[グラベル] あ~……感染者の収容治療って、ここ数年で始めたプロジェクトだから、まだまだ足りないところがあるのよねぇ。

[グラベル] だけど、いくらあなたでも、あれにはあんまり関わらない方がいいと思うわよ~。

[グラベル] 感染者騎士は大貴族たちにとってずーっと目障りな存在だもの。ロドスが好条件の商業契約を望んでいるだけだったら、深追いしないのがご賢明ってところね~。

[グラベル] 連合会ねぇ……ほ~んと、興ざめするチラシだわ~。

[グラベル] そんなもの見てるほど退屈だったら、少しくらいお散歩してもいいのよ? あたしが同行していれば、ちょっと街に出るだけなら問題ないもの~。

[グラベル] もちろん……ここにいたいって言うのなら、邪魔しないけどね。

[グラベル] メジャーかぁ……あっ、そういえば。

[グラベル] ロドスのみんなって、耀騎士と深い関係があるみたいよねぇ。

[グラベル] ってことはぁ、あなたもやっぱり、彼女のことが気になるの~? うふふっ……羨ましくなっちゃうわ~……

[グラベル] 競技騎士はいつだって、注目を集め続けるものだけど……ドクター……あなたは、彼女を「仲間」として心配してるみたいよね~?

[グラベル] それって、ほんとに新鮮だわ~。カジミエーシュの外に出た耀騎士は――騎士の国の外で、騎士というものは、一体どう扱われているのかしら?

[グラベル] そうだ、ドクター。

[グラベル] あとで、面会の予定が入ってるわ。相手は商業連合会の代弁者よ。

[ドクター選択肢1] 代弁者?

[グラベル] そう。彼らは、連合会の常務取締役たちに選出された各界のエリートで……それぞれが、メジャーの色んな業務を担当しているの。

[グラベル] 代弁者は権力のトップでこそないけれど、それと密接に繋がっている……連合会の代表者があなたを指名してきたからには、気を付けておいた方がいいわ。

[グラベル] まあ、カジミエーシュにいる間は、何があってもあたしがず~っとそばであなたを守ってあげるから大丈夫なんだけどね。

[グラベル] あら、どうしてそんな顔をするの? もしかして、まだあたしを信用してくれてないのかしら……すっごく傷ついちゃうわ。

[グラベル] でも、安心してちょうだい。あたしがついている限り、あなたの安全は保証するから。

[グラベル] この忠誠心が疑わしいと思ったら……そしてあたしが、あなたを不安がらせるような行動を取ったら……その時は、好きなように処罰してもらって構わないわ。

[グラベル] ……お気に召すまま、ね。

[代弁者マルキェヴィッチ] 失礼いたします……ロドスの{@nickname}様がいらっしゃるのは、こちらで間違いございませんか?

[代弁者マルキェヴィッチ] おや……そちらの騎士様は?

[グラベル] 第四階級の騎士、「グラベル」よ。ドクター及びロドスの方々がカジミエーシュに滞在する間、警護を担当しているの。

[グラベル] 監査会から直接受けた命令で動いているから、あたしのことは気にせずに仕事を続けて大丈夫よ。代弁者さん。

[代弁者マルキェヴィッチ] では……座ってお話ししましょうか、{@nickname}様。それとあなた……グラベル様も。よろしければおかけになってください。

[グラベル] 場を掌握できる感覚が好きなの。ここに立っているわね。

[代弁者マルキェヴィッチ] ……わかりました。

[代弁者マルキェヴィッチ] ――ドクター様。貴殿が、ロドスの責任者の方ですね?

[ドクター選択肢1] ああ。お目にかかれて光栄だ。

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] 違うと言ったら、驚かせてしまうかな?

[代弁者マルキェヴィッチ] こちらこそ光栄です。

[代弁者マルキェヴィッチ] ええと……はは、どうやら貴殿は積極的に人付き合いをなさるタイプではないようですね。だからといってそれが、貴殿に対する……尊敬の念の妨げになるわけではありませんが。

[代弁者マルキェヴィッチ] えっ? そう、ですね……責任者の方は、現在この付近に宿泊されていると伺っていますし……

[代弁者マルキェヴィッチ] ……まさか、本当に違うというわけではありませんよね? 貴殿は確かに{@nickname}様ですから……はははっ。ご冗談を仰るとは、ユーモラスなお方だ。

[代弁者マルキェヴィッチ] ――さて。

[代弁者マルキェヴィッチ] 私は商業連合会の代弁者、マルキェヴィッチと申します……お気軽にマルキェヴィッチとお呼びください。

[代弁者マルキェヴィッチ] 御社の資料はいくつか拝見しました。私はその道を修めたわけではありませんが、鉱石病と戦い続けることは……そう簡単ではないというのは、想像がつきます。

[代弁者マルキェヴィッチ] カジミエーシュ騎士競技事業にご協力いただき、誠にありがとうございます。提携条項はご覧になりましたか?

[代弁者マルキェヴィッチ] ロドス製薬様には、我々のパートナー企業になっていただきまして……「カジミエーシュ感染者共同医療組織」を構成する医療チームとして業務に当たっていただくことになります。

[代弁者マルキェヴィッチ] 組織は監査会直属となっておりますが……もちろん、私たちも騎士協会も、できる限り皆さんの仕事にお力添えいたしますよ。

[ドクター選択肢1] 監査会と騎士協会……そして「君たち」、か。

[代弁者マルキェヴィッチ] ……はい。ここ大騎士領では、様々勢力と付き合っていく必要がありますが……おいおい慣れていただけるかと思います。

[代弁者マルキェヴィッチ] ご不明な点がございましたら、遠慮なく仰ってください。

[ドクター選択肢1] 留意すべきなのは「商業連合会」だと聞いたが。

[ドクター選択肢2] ここには、騎士以外の感染者もいるのか?

[ドクター選択肢3] 我々の……事業についてはどう思う?

[代弁者マルキェヴィッチ] あっと……何か誤解されているようですね。私の職務は「代弁者」ですが、ここで私が代表しているのは商業連合会です。

[代弁者マルキェヴィッチ] 商業連合会はカジミエーシュ騎士競技の主催者であり、同時に、この国にとって必要不可欠な国内経済連盟でもあります。

[代弁者マルキェヴィッチ] 実は……医療チームは名目上監査会の管轄下ですが、その資金と物資の流通については、連合会がすべてを掌握しておりまして……

[代弁者マルキェヴィッチ] そうした事情から、我々が連合会の意向を重視しなければならないというのは事実だと言えるでしょう。

[代弁者マルキェヴィッチ] えーっと……はい、おそらく……はっきりとはわかりませんが。

[代弁者マルキェヴィッチ] ただ、このプロジェクトの対象者は、騎士協会に登録されている合法の感染者騎士、騎士見習い、そしてその候補者のみとなります。

[代弁者マルキェヴィッチ] ……例えば、不幸にも労働災害によって感染した一般の方の場合は……

[代弁者マルキェヴィッチ] 補助適用外ではありますが、その方が費用を支払えるのであれば、治療と収容の申請は可能です。

[代弁者マルキェヴィッチ] ……ええ……支払えるのであれば、の話です。

[代弁者マルキェヴィッチ] どう思う、とは……はは、私に尋ねていらっしゃるのですか?

[代弁者マルキェヴィッチ] 正直なところ、感染者とは縁のない生活を送ってきたものですから……ああ、誤解なさらないでくださいね。

[代弁者マルキェヴィッチ] 私はただ、日々の暮らしや仕事のために駆けずり回っていて……このめまぐるしい都市の中、自分を保つので精一杯だったというだけですから。……多くの人々が、似たような状況でしょう。

[代弁者マルキェヴィッチ] 確かに、この大地にある他国に対する私の理解は乏しいものですが……病のために差別を受けている病人たちを保護することは、決して悪いこととは言えませんよね?

[ドクター選択肢1] だが、全国民が感染者に手を差し伸べるわけではあるまい。

[代弁者マルキェヴィッチ] ……本来、貴殿とこうした議論はすべきでないのですが……はぁ。

[代弁者マルキェヴィッチ] ――感染者騎士という制度は、血騎士の優勝後、監査会と商業連合会の常務取締役が共同で決定した新制度です。

[代弁者マルキェヴィッチ] ああ、無論このすべては「競技騎士」を前提とした話ですから……そちらの女性はこの制度とは無関係ですし、軍隊は独自のルールで感染者対応を行っていますよ。

[代弁者マルキェヴィッチ] 話を戻しますね。感染者が競技騎士を目指す場合、俗に「クリーニングルール」と呼ばれる特殊な試合規則の元で、騎士としての能力を証明しなければなりません。

[代弁者マルキェヴィッチ] そうして、感染者の中にポテンシャルの高そうな選手を見いだした際には、商業連合会は、その選手の身分を綺麗に整えることもいといません。

[代弁者マルキェヴィッチ] 貴殿は……最近の新聞をご覧になりましたか? ……紙面にあるように、今もなお、この行いには反対意見が多く上がっています。

[代弁者マルキェヴィッチ] ですが少なくとも、こうした制度が存在することで、悲惨な死を遂げずに済んだ感染者もいる……私は、それだけでも良い結果だと感じるのです。

[グラベル] ……

[代弁者マルキェヴィッチ] 監査会は、ロドスの皆様のことを……経験豊富な感染者対策機関として認識しています。

[代弁者マルキェヴィッチ] ですので、医療スタッフの方々には、「感染者騎士」に対して責任をもって身体検査を行っていただき、その上でメジャー期間の治療プランを策定していただけたらというのが、こちらの考えです。

[グラベル] 治療プラン、ねぇ……

[ドクター選択肢1] 感染者騎士の人数は? 規模を教えてくれ。

[代弁者マルキェヴィッチ] 感染者騎士は、競技に参加する騎士全体の7%未満といったところです。ただし、この数字は協会に登録されている合法の感染者騎士だけに絞れば、という話でして……

[代弁者マルキェヴィッチ] 騎士候補や見習い、そしてそれ以外の……生活のため、貴族に身を捧げて働くほかに選択肢のない感染者たち。彼ら全員の数を合わせたら……

[代弁者マルキェヴィッチ] 十分、憂慮に値する数字となります。我々がここにいるのも、そのためなのです。

[ドクター選択肢1] 最近は、良くない噂もあるようだが。

[代弁者マルキェヴィッチ] 先ほどお伝えした状況から……カジミエーシュ人のうち、どれだけの人が感染者騎士に対する偏見を抱いているかは、ご想像がつくかと思います。

[代弁者マルキェヴィッチ] 包み隠さず申し上げますと……「感染者共同医療組織」を結成する本来の目的は、感染者騎士に体系的な治療及び管理を行うことで、人心を落ち着かせることなのです。

[代弁者マルキェヴィッチ] ご不快に感じられるかもしれませんが、結局、彼らは病人ですから……我々はこうした、客観的な……差異を、無視することはできないのです。……こんな言い方をして、申し訳ありません。

[代弁者マルキェヴィッチ] ……もちろん、何かお手伝いできることがございましたら、遠慮なくお申し付けください。

[代弁者マルキェヴィッチ] 私個人としては……善良な騎士たちが、誰一人として悲惨な結末を迎えることがないように願ってやみませんから。

[ドクター選択肢1] ところで、商業連合会について教えてもらえないか?

[代弁者マルキェヴィッチ] ……ええと……申し訳ございません。このあと、ほかの予定がございまして……機会さえあれば、夕食を共にしながらお話ししたいものですが。

[代弁者マルキェヴィッチ] 貴殿はどういったことにご興味をお持ちで?

[ドクター選択肢1] 情報は多いほど役に立つ。内容は問わないさ。

[マーガレット] すまない、遅くなった。

[ゾフィア] マーガレット!

[ゾフィア] 燭騎士に連れて行かれたって聞いたけど、何があったの!?

[ゾフィア] あの女に何か嫌なことでも言われた? 脅しでもかけてきた? 商業連合会が――

[マーガレット] ……落ち着け、ゾフィア。

[マーガレット] 彼女はただ、私を報道陣から遠ざけてくれただけだ。

[ゾフィア] ……本当に?

[老騎士] 燭騎士ドロステか……つかみ所のない人物じゃな。

[老職人] けどよ、人気だけで言うなら、カジミエーシュのトップ3には入るんじゃねえか? 毎年あいつのもたらす経済効果ときたら、要塞の一つくらいは作れちまうほどだしなあ。

[マーガレット] 彼女は、どういった騎士なんだ?

[ゾフィア] ……どうして君までマリアと同レベルなのよ。競争相手たちにもっとしっかり目を向けておきなさい。

[マーガレット] 私には君たちがいるじゃないか。

[ゾフィア] ……調子のいいこと言ったって、私には通用しないわよ。

[ゾフィア] こほん。……燭騎士は新時代のスーパースターってところね。世間は彼女のことを、「第二の黒騎士」なんて呼んでるわ。

[ゾフィア] リターニアからやってきた、恐ろしいまでのアーツの天才で、美しい容姿に、貴族のような教養を持ち、驚くほどの戦績を収めてきているわね。

[ゾフィア] おまけに素性は謎だから、ミステリアスな魅力があるのよね。そうした要素が重なって、彼女はほとんど一夜にしてカジミエーシュ中の誰もが知る大騎士の一人になった。

[ゾフィア] 今でもまだ、メディアは彼女の私生活を掘り下げて話題にしているくらいだし……

[マーガレット] ……だが、彼女は実際、評判だけの人物ではない。

[マーガレット] 若く、そして強大な騎士だ。

[マーガレット] 私は放浪の日々の途中、天賦の才を持つ術者を多く目にしてきた。リターニアにも、ヴィクトリアにも、そして……感染者の中にも。

[マーガレット] 燭騎士から感じるオーラは、この大地で最も優れた術師と比べても見劣りしない。戦士でなかったとしても……侮れない相手だ。

[ゾフィア] 思えば、黒騎士はリターニア人としては変わり者だったわね。出身はリターニアなのに、少しもアーツを使えないなんて……あれぞ天性の武者ってところかしら。

[ゾフィア] 彼女の時代は過去の物だけど……きっと、あの大きな武器を振るう彼女の姿は、今でも人々の記憶に焼き付いている……

[ゾフィア] 一方、燭騎士ドロステは、それとまったくの真逆だわ。彼女は「典型的な」リターニア人騎士だもの。

[ゾフィア] 燭騎士のアーツの核を為すものはわからないけれど……「燭」という称号が、その装備や戦闘スタイルから来ているのは確かよ。

[ゾフィア] マーガレット……もしかして、次の相手は彼女なの?

[マーガレット] ああ。二日後の試合は厳しい戦いになるだろう。準備の時間も多くはない。……ところで、マリアは?

[ゾフィア] 彼女なら、家で休んでるわ。……って、君……

[ゾフィア] まさか笑ってるの?

[マーガレット] うん? ……だとしたら、無意識だったな。

[代弁者マッキー] ……あなたは了承しないだろう、とは思っていました。

[代弁者マッキー] ですが、耀騎士がこのまま順調に勝ち進むことを、連合会は望んでいないのです。

[燭騎士] それはおかしな話ですね……勝ち進まれたくないのなら、初めから耀騎士の身分を認めなければ良かったのではありませんか?

[代弁者マッキー] ……それは……

[燭騎士] 「商業連合会が一枚岩になった試しはない」。そうなのでしょう?

[代弁者マッキー] ……! ……どうか、ほかの人がいる前でそのようなことを仰らないでください。

[代弁者マッキー] 確かに、理事会には内部矛盾がつきものです。しかし、あなたのような騎士がそうした発言を行ってしまうと、ご自身の社会的地位に影響を及ぼしかねませんから……

[燭騎士] それは失礼をいたしました……マッキーさん、あなたもご苦労なさいますね。

[代弁者マッキー] ああ……はい。お気遣いいただいて、ありがとうございます……

[代弁者マッキー] ……話を戻しましょう。とにかく私が全力で取り持っておきます。あなたが、耀騎士に対して「特殊な手段」を用いることを拒否されたとしても……

[代弁者マッキー] ですが……どうかご理解ください。あなたが理事会の提案を拒否したとしても、彼らはまた別の手段をとるだけです……場合によっては極端な事態に発展する可能性もあります。

[燭騎士] 無冑盟、ですか。

[燭騎士] できることなら、そうした事態は避けていただきたいものですが。

[代弁者マッキー] ドロステさん……申し訳ないのですが、それは私の一存で決められることではありません。

[燭騎士] ……ふふ……こんなお話が来るなんて、理事会は私の実力を信用してくださっていないのでしょうか? 騎士としては、とても複雑な気持ちです。

[代弁者マッキー] いいえ、決してそのようなことはありません。信じてください。

[代弁者マッキー] メジャーのトップに立つ大騎士の方々は、各国の騎士の頂点に君臨する人々に匹敵する実力者であることは疑いようのない事実です。

[代弁者マッキー] けれども相対的に、この領域まで上り詰め、いわゆる「限界」に近付きつつある方々の間では、その差は縮まるばかりですから。

[燭騎士] 実力が僅差の場合には、不確定要素も多くなる……と?

[代弁者マッキー] ……ええ。

[燭騎士] わかりました。……あなたを困らせるつもりはありません。理事会の考えも、承知しております。

[燭騎士] 先に戻っていていただけますか。私は……耀騎士について、研究していきますので。

[代弁者マッキー] かしこまりました。では、試合映像と個人資料は、ここに置いておきます……

[代弁者マッキー] ……追放後の耀騎士は、随分と変わったようです。どうかご注意ください。

[燭騎士] ええ……だからこそ、私は彼女に一目会いたいと思ったのですよ。

[燭騎士] マーガレット・ニアール……

[燭騎士] 騎士競技という産業を蔑視しており、あの戦争における英雄の孫娘……ニアール家のペガサスにして、メジャーの誰もが注目するチャンピオン……

[燭騎士] 貴族騎士とは言うものの、征戦騎士のような雰囲気を纏っている。……彼女は、死や戦争を見てきたのかしら……?

[燭騎士] ええ……きっと、そうなのでしょうね。

[燭騎士] であれば、死を乗り越えたこともあるのかもしれないし……無邪気な理想の束縛からは、解き放たれているのかもしれない。

[燭騎士] あるいは既に、まったく新たな領域へと踏み出しているのかも……

[燭騎士] ふふっ、マーガレット。彼女は、とても……真の騎士にみえるわ。

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