aklib_story_ウォルモンドの薄暮_TW-5_冬霊挽歌_戦闘後

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ウォルモンドの薄暮_TW-5_冬霊挽歌_戦闘後

市民を守るため、タチヤナは命を賭して暴動の渦中に飛び込む。幸いにもグレースロートとエアースカーペが駆けつけたが、暴動は制御不能に陥る一歩手前であった。

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[スズラン] 早く！ こちらへ！

[住民] ありがとう、ありがとうございます！

[スズラン] フォリニックお姉さん！

[フォリニック] リサ！ 住民たちを連れて先に行って！

[フォリニック] きゃあっ――！

[フォリニック] あの暴徒たち……街に無差別攻撃を仕掛けてるの？

[武装した感染者A] おい！ やっとの思いでこいつを奪ったんだぞ、もっとしっかり撃てよ！

[武装した感染者B] 黙ってろ！ こいつの操作はそんな簡単じゃないんだ！ クソッ、音楽学校で勉強したってのに――！

[武装した感染者A] はぁ？ 音楽学校でだと！？ おい、憲兵！ あんまり軽率なことはしないほうがいいぜ、こっちには人質がいるんだ！

[武装した感染者B] 人質？ どこにいるんだ？

[武装した感染者A] *リターニアスラング*！ 街で逃げ回ってる奴ら全部だ！

[フォリニック] チッ！

[タチヤナ] フォリニックさん！ このまま街を破壊され続けるわけには！

[タチヤナ] この周辺の家屋はどれも木造です。これでは一帯が火の海に――！

[住民] 火だ！ 早く消さないと！ 他の人たちは早く逃げろ！

[タチヤナ] 逃げ遅れた住民を助けなければ！

[フォリニック] でもこの炎じゃ近づけない――！

[タチヤナ] ――ううっ、この火力……！

[タチヤナ] フォリニックさん！ 怪我人をお願いします！

[フォリニック] ちょっと！？ タチヤナさん！

[頑固な住民] 冬霊人たち！ 感染者たちめ！

[頑固な住民] なんで俺の家を燃やすんだ！ 俺たちがお前らみたいな害虫を養ってやってたってのに――！

[タチヤナ] 上っ！ 危ない！！

[頑固な住民] えっ？

[頑固な住民] う……あ、タチヤナ？ ぶ、無事か！？

[タチヤナ] ううっ……はい。彼らはあの自律式アーツユニットをコントロールしきれていません、ここは危険です！

[頑固な住民] 一緒に戦おう、タチヤナ！ 奴らを追い出すんだ！

[タチヤナ] 今はまだ――その時ではありません！ ぐっ――！

[頑固な住民] えっ、お前、足を――！ わ、わかった、言うことを聞くよ！

[タチヤナ] ありがとうございます。まずはここを離れましょう！

[タチヤナ] （くるぶしが痛い……骨折してるかもしれない。なんてこと……）

[タチヤナ] （早く他のみんなと合流しないと……）

[武装した感染者] この、貴族の回し者め！

[タチヤナ] ――！？

[セベリン] ……全員撤退したか？

[住民] は、はい！

[スズラン] セベリン憲兵長、負傷者が多すぎます、もう手が回らなくなりそうです……！

[セベリン] 医者はこちらのヴァルポのお嬢さんの指示に従え、怪我をしていない若者たちは手を貸すんだ。

[住民] わかりました！

[スズラン] ああ、もしフォリニックお姉さんがいてくれれば……！

[セベリン] 待て……彼女たちはまだ戻ってきていないのか？

[セベリン] おい！ フォリニックさんとタチヤナはどうした？

[住民] ま、まだドデカフォニー通りにいるかもしれません……

[セベリン] ――さっき「全員撤退したか」と聞いただろう！？

[住民] はい！ す、すみません！ ですが、フォリニックさんもタチヤナさんもきっと無事です！ だって、これだけ多くの住民を救ったんですから！

[セベリン] 反乱者が市街防衛設備を占領したんだ、正規の武装戦力を持たない彼女たちが無事であるはずが――ゴホッ、ゴホゴホッ！

[セベリン] ――ゴホン、何人かガタイの良い者を集めろ。ドデカフォニー通りに行くぞ。

[住民] 待ってください！ 反乱者には火力の優位がありますし、既に人質がとられている可能性もあります。これ以上刺激せず、交渉のチャンスを待つべきです！

[セベリン] チャンス！？ 敵がチャンスをくれると思うのか？ お前は戦場に出たことがあるのか！？

[住民] も、申し訳ありません！

[？？？] 彼の意見が全部間違ってるとは言えない。ウォルモンドの基礎エリアには、大裂溝が残した活性源石が残っている可能性が高いわ。その源石に刺激が加わったらどうなるか……想像したくもない。

[住民] 誰だ、どこから入ってきた！？ 関係者以外はここから出て行け！

[セベリン] ……いや。

[セベリン] 今の状況では、憲兵隊を連れていない私たちの方が、出ていくべき存在なのかもしれん……君には会ったことがあるな、ロドスのオペレーター。

[グレースロート] 話を聞いてくれるのね。良かった。エアースカーペ、お願い。

[エアースカーペ] ……簡単な現場検証の結果だが、もし彼らがあの装置で街を破壊し続けたら、ウォルモンドは十分から三十分程で座礁する。

[エアースカーペ] 一番良いのは、あの通りと市街エリアの連結を断ち切ってしまうことだ。しかしウォルモンドは移動都市と違って、自律的に移動する動力を決定的に欠いている。

[セベリン] ああ、牽引機を使えばなんとか動かすことは可能だろうが……それも街に反乱軍がいないことが前提だ。

[グレースロート] 武装介入するには、何か手続きが必要？

[セベリン] ……いや、必要ない。

[セベリン] お二人とも……タチヤナとフォリニックさんの救出をお願いできないだろうか。

[スズラン] セベリン憲兵長――ここには――あっ！

[グレースロート] ……リサ？

[スズラン] あ……グレースロート先輩……あの、こちらは？

[エアースカーペ] オペレーターのエアースカーペ、天災トランスポーターレオンハルトの護衛だ。当人は別の任務があるとかで、俺だけがここに送られた。

[グレースロート] リサ、アントとフォリニックは？

[スズラン] フォリニックお姉さんはまだ街にいます！ ア……アントお姉さんは……あの……

[グレースロート] もうわかった、無理して言わなくていい。確認しただけだから……詳しい話はまた後で聞く。

[スズラン] ……うう……せ、先輩たちが助けに来てくださって、本当に良かったです……

[スズラン] ――ダ、ダメ、まだ気を緩めちゃダメです！

[スズラン] 負傷者は私がお世話するので、フォリニックお姉さんたちをお願いします！

[グレースロート] ええ、任せて。

[エアースカーペ] あんな小さな子どもも……オペレーターなのか？

[グレースロート] アーミヤもリサと大して変わらないわ、忘れないで。

[エアースカーペ] ……そうか。

[エアースカーペ] 今回の救援に関しては完全に想定外だ。何の防護設備も持ち込んでいないが、大丈夫か？

[グレースロート] ええ。

[エアースカーペ] ――意外だな。グレースロートは源石や感染者問題に関わりたがらないって聞いてたから、心配してたんだが。

[グレースロート] ……何回も同じような悲劇が起きるのを見たくないだけ。とにかく今は救援が先よ。無駄話は止めましょう。

[武装した感染者] この状況でまだ突っ込んでくる勇気があんのか？

[武装した感染者] この二人、早いぞ！ さっさと片付けろ！

[エアースカーペ] 現地の住民も多いようだが、いいのか？

[グレースロート] 極力急所は狙わないで。行くよ。