茅沼みゆき

ページ名:茅沼みゆき

登録日:2023/01/08 Sun 09:49:49
更新日:2024/06/28 Fri 13:59:05NEW!
所要時間:約 17 分で読めるわよ



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でんこの仕事、わたしなんかに
きちんと務まるかしら……

*1


駅メモ! -ステーションメモリーズ!-に登場する、鉄道車両を擬人化したキャラクター「でんこ」の1人。



プロフィール

でんこNo.110
属性cool
タイプサポーター
でんこカラー
モチーフ茅沼駅(釧網本線/北海道
国鉄C11形蒸気機関車171号機 SL冬の湿原号
実装日2021/12/01
誕生日01/08
どこか影のあるお姉さんでんこ。
現代に派遣されてきたけど、自分にでんことしての仕事が務まるのか不安な様子。
とっても寂しがり屋なようですが、どうやら遠い未来での出来事が関係しているとの噂が……?

概要

黒とグレーを基調とした衣装を着ているでんこ。
蒸気機関車モチーフということで、帽子には煙突と前照灯が付いている。靴は雪かき(スノープラウ)をイメージしてかやや尖った形状。黒髪をボブカットにしており、瞳の色は赤。
黒のセーターとグレーのスカートの上から黒いジャケットを羽織っており、そのジャケットにはSL冬の湿原号のヘッドマークをイメージしたタンチョウ型の白いピンバッジが付いている。


上述の通り一人称は「わたし」
性格としては自己肯定感が極端に低く、ことあるごとに「わたしなんかでいいのかしら」「わたしが一緒でごめんなさい」とネガティブな発言ばかり。また寂しがり屋でもあり、一人にされることを嫌う。
そんな彼女が好きなものは冬や雪。雪国の支部に在籍していたらしく、雪かきや雪遊びに関しては非常に詳しい。またするめも好物としており、石油ストーブで炙って食べている*2。しかしそれ以外の季節に関しては明るい雰囲気に対して申し訳なくなってしまうらしい。
同じ蒸気機関車モチーフのコタン・ヒメギ・アンナに関しては「ちょっとあの子たちのことを、思い出してしまうわ」と評している。果たして「あの子」とは一体……?


でんこな話に登場するマスターは、のぞみの頼みでみゆきの再稼働後の運用テスト相手に選ばれる。しかしみゆきは何かをひた隠しにしているようで、ついには頭痛をはじめとする不具合で倒れてしまい……。




みゆき、見て!こんなに積もったよ!


外に出てみない?
雪だるまをたくさん作って、
支部中をびっくりさせよう!


早く、早く!みんな待ってるよ!




(いつの間にか、
過去のメモリーを再生していたのね)


(懐かしい夢……みんながいた頃の……)


(わたし、夢でもみんなに置いていかれた。
……置いていかれるのはもう、嫌……!)


かつてみゆきがいた支部では、彼女と友人のでんこ達、そして協会の職員達は財政難という問題を抱えつつも楽しく暮らしていた。
ある時、支部にいた旧型でんこに新型装置の搭載を行うことになる。しかし先述した財政面での問題から、最も開発費がかかる見込みのみゆきの稼働を終了し、無期凍結処分とすることになった。眠りにつく間際、彼女はせめてもの恩返しのつもりで使命を託した。




しかし、訪れたのは余りにも残酷な結末だった。
みゆきが眠っている間に発生した事故ででんこ達の反重力装置が誤作動。支部の施設は甚大な被害を受け、残されたみゆきの友人たちは稼働はおろか、修復さえも不可能となってしまった。
唯一無事だったみゆきは残された僅かな費用を使って装置を搭載した状態で再稼働され、現代を訪れることとなった。
支部も友人も、もうみゆきの心に降り積もる思い出に過ぎない。


みゆきがここまで不具合を隠していたのは、動作不良や自分がでんことして相応しくないと認めること、友人の死、そして運用テストが失敗したらマスターを置いて未来へ帰ること、その全てを恐れていたからだった。
犠牲になったでんこ達の分まで生きることを、みゆきは拒んでいた。確かに再稼働は出来たが、自分だけが残されたのはどうしてなのか。自分が受ける痛みは、生き残ってしまった自分への罰だとみゆきは信じて疑わなかった。


昔の思い出を大切にしまいこむほど、
わたしの胸が頭と同じように、深く痛むの。

忘れたら、胸の痛みは消えるのかと思ったわ。
……でも、忘れることなんか絶対にできない。
したくない。


ねぇ、マスター。
いつか言っていたように、
思い出が雪のように降り積もるのなら、

わたし、この雪で圧し潰されてしまった方が、
しあわせなのかしら……


氷にひびが入るかのような声をみゆきは絞り出す。


……そんな幸せ、絶対に違う。


だが、マスターは「思い出の大切さ」を誰よりも理解しているみゆきがいなくなることは辛い、と返した。これ以上、彼女の心のひびを広げさせないために。


……みゆきが降り積もる雪に痛みを感じるなら。
それはみゆきが想いを抱えて、
今ここにいるって証拠なんだ。


ねえ、みゆき。
みゆきが思い出を大切に思っているうちは、
きっとずっと痛いんだと思う。


あなたは痛みから逃れるために、
なにもかも忘れてしまえっていうの?……
わたしのために?


……言えない。忘れろなんて。
思い出は痛くても、君だけのものだから。


だからせめて、みゆきのそばで
痛み止めになれないかな。


え……?
痛くて、いいの。
このままで、いいの……?


痛くていいんだよ。
ありのままのみゆきで、いいよ。


でもそんなみゆきをただ
見てられないから。
少しだけ、そばにいさせて。


君が大切だって言い続けることを許して。




……マスター。
ありがとう、わたしの痛みを、
許してくれて。


再稼働後のテスターが、
あなたで良かった……


それでも一度は「これからも一緒にいてほしい」というマスターの頼みを拒否するみゆきだったが、どうやら思い出をデータに変換するプログラムに不具合が発生していたらしい。軽微なレベルだったため、マスターはみゆきの継続稼働許可を取ることができた。
頭の痛み、そしてほんの少しだけ胸の痛みがなくなったような気がして、「もうどこにも行かないでほしい」という言葉と共に「痛み止め」たるマスターの元にいることを決断したみゆきであった。





(少しずつ、少しずつ、雪は深くなる)


(けれど降り積もったなだらかな雪の上に、
あなたの足跡がついていく)


スキル:降り積もる雪のように


マスターは雪かきしたことある?
積み重なった雪ってかなり重いの。
積もれば積もるだけ力がいるのよ。


任意発動型。
発動時間中、編成内でんこのアクセス時に相手のDEF上昇率(最大100%)に応じて固定ダメージを与える。
最高レベルでの発動時間/クールタイムは45分/2時間45分。


エクストラでんこ第2弾(ツヅキ・まや・チェル)とシャンティに次ぐ固定ダメージ付与サポーター*3。時間制限がある代わりに自分にも使用でき、タイプ・属性に依存しない。
特に防御をガッチリ固めている相手には効果覿面で、なほ*4やレオニー*5といった低HP状態を強いられるでんこはもちろんのこと、ギンカ*6やあさひ*7といった低HPの代わりに優秀な効果量を持つディフェンダーにとっては天敵となりうるでんこである。


しかしながら弱点は「相手のDEFアップ依存」という発動条件そのもの。
みゆきの実装直前にプレイアブル化したリコ同様、DEF増加ではない被ダメージカット手段に対しては一切効果を及ぼさない。固定値軽減以外にもATK・APデバフ、いちほやるるといった特殊防御*8、ひかるの庇い等が挙げられる(細かな内訳はあちらの項目に譲る)。
ただしリコとは異なり、ラッピングやフィルムシリーズボーナス、アクセサリーといったスキル以外のDEFアップ手段にも反応する上、効果時間内は確定発動(あちらもカンスト時かつオリジナル・エクストラ相手では発動率100%になるが)なので発動できる機会は多め。あちらの最高レベル時の発動時間/クールタイムは30分/4時間のため、再発動可能までのスパンでも勝る。


また最大効果が出るのはDEF+100%なのだが、この次元となるとこちらのAPがいくら高くてもAP依存のダメージがほぼカスダメになってしまうレベル。なのでこちらのATKアップスキルで埋め合わせたり、他の固定ダメージ持ちと併用してぶち抜いたりしないとキツイかも。
当然だが相手がDEFアップスキルを一切使っていなかったり、ちとせやてすとといった無効化スキル持ちがいたりしても不発なのはお忘れなく。


モチーフ解説:国鉄C11形蒸気機関車171号機

1940年7月19日に川崎車輛兵庫工場で落成した、C11形の3次形。


まずはC11形の登場経緯から。
新設計の制式タンク機関車として製造された先代のC10形の「自重が重く軸重制限の厳しい路線には適さない」という弱点を補うために、1932年から1947年にかけて製造された車両である。軽量で手頃なため、鉄道省以外の私鉄や外地でも同型の車両が数多く採用されていた。
このようにローカル線での運行にも適していることと大型の機関車と比べ運行や維持のコストが比較的安いことからC11形は現在大井川鐵道などで6機(整備中のものも含む)も本線上での走行が可能な状態で動態保存されている。
型番の「C」は駆動軸が3軸あること、そしてその後ろの2桁の数はタンク機関車(石炭と水を積載している機関車)であることを示す。


171号機に話題を戻す。
製造から約1週間後の7月28日に愛知県の稲沢機関区に新製配置された。
1942年2月14日に深川機関区に転属された後は道内を転々とし、1975年4月24日の無煙化、同年6月25日に釧路機関区で廃車されるまで運用された。同車は当該機関区で運用されていた最後の蒸気機関車である。その後は1975年8月13日より標茶町の桜町児童公園に静態保存される。


転機が訪れたのは1999年。
1995年に廃止された「C62ニセコ号」の後継となる車両を探していたJR北海道からの要請で、道内に保存されていた車両を調査した結果、標茶町のC11 171が最も保存状態が良いことが判明。
苗穂工場にて動態復元がなされ、1999年4月8日に火入れを行われた。同月21日には車籍を復活し、翌日より留萌本線にて試運転を開始。
同年5月1日の「SLすずらん号」としての運転開始を皮切りに、「SL函館大沼号」「SLふらの・びえい号」「SL冬の湿原号」など道内のSL列車に充当されることになった。みゆきの誕生日である1月8日は「SL冬の湿原号」の運行開始日(2000年)。


客車は14系と43系を使用。1号車からスハフ14 505・スハシ44 1・オハ14 526・オハ14 519・スハフ14-507の5両編成。塗装は旧型客車をイメージしたぶどう色に赤帯*9
14系4両はリクライニングシートからボックスシートに換装されている。
そして唯一組成される43系であるスハシ44 1は14系よりも更に古い旧型客車に分類される。同車はスハフ44 2を種車にC62ニセコ号に使用するために飲食物カウンターを設置した「カフェカー」に改造したもの。当然スハシ44という形式もこの時初めて誕生した。C62ニセコ号はスハシ44を含む43系で5両で運行されていたが同列車の廃止後はスハシ44のみダルマストーブを設置の上湿原号に編入された。
また2014年までは展望車代用で貫通扉を設置したヨ3500(ヨ4647)が連結されることもあった。


2014年、JR北海道では自動列車停止装置用の設備機器を旧型のATS-SNから、デジタルを用いた新型のATS-DNへ更新することになる。しかしコスト面の問題からATS-DNへの更新は難しく交換できないということになってしまい、旧式ATSのままの線区である釧網本線でしかSLの運行ができなくなってしまった。そのため171号機は2015年12月より釧路運輸車両所に転属している。
2021年には苗穂工場で全般検査を実施、ボイラーの修繕が行われた。また老朽化が目立つ客車も北の魔工場苗穂工場にて1・5号車はボックスシートの高床化、川側シートのカウンター席化、座席モケットの変更、大窓の展望通路やモバイルコンセントの設置などという魔改造を行い「たんちょうカー」としてリニューアル。しかし試運転の際にピストンリングが割損、当面の運行は全てDE10形ディーゼル機関車1690号機によって代走となった。
その後C11修理と2・3・4号車のリニューアルを終え2023年1月21日よりC11 171による運転を再開した。


ここで、171号機と関連の深い207号機の話。
当該車両は1941年12月26日に日立製作所笠戸工場で落成。日高本線や瀬棚線といった濃霧の多い線区で走っていたため、前灯が2個装備されている「カニ目」「蟹」と呼ばれる独特な外見が最大の特徴。
1979年10月1日に廃車となり、同11月19日より静内町(現・新ひだか町)の山手公園に静態保存されていた。その後は2000年9月30日に車籍を復活、旭川運転所所属となる。だが故障が多く満足に運行できない状況が多かった。
そして先述したATS更新の問題につき道内での運用を終了。東武鉄道に貸与*10され、2017年8月10日から東武鬼怒川線にて「SL大樹」として運行開始している。


こうした史実を鑑みると、

  • 釧路機関区で運用されていた最後の蒸気機関車
  • ATS更新の問題による充当線区縮小
  • 207号機の東武への貸与

これらの「北海道の蒸気機関車の生き残り」という側面がみゆきの設定に色濃く反映されている。


余談

  • TwitterにはC11 171とみゆきが登場しているプロモーションツイートが存在する。
  • 由来駅の茅沼駅は天然記念物・タンチョウの飛来地として有名な場所。1964年に発生した水害により営巣地を失ったタンチョウが周囲の畑を荒らすようになった際に、駅員が餌付けし始めたことに由来する。
    • 「タンチョウの給餌」は代々の茅沼駅長の業務であり、無人駅となった2023年現在は近所の住民が餌やりを行っている。

追記・修正ね……
わたしなんかがやっても、本当にいいのかしら。


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  • 彼女の『でんこな話』には、沢田研二の歌が似合う様に思うのは自分だけなのか。 -- 名無しさん (2024-06-09 18:42:47)

#comment(striction)

*1 画像出典:駅メモ! -ステーションメモリーズ!-,モバイルファクトリー・ジーワンダッシュ,2014年6月26日配信開始(C)Mobile Factory, inc.
*2 SL冬の湿原号の客車内でもするめが販売されており、備え付けのだるまストーブで焼いて食べることができる
*3 固定ダメージ付与効果を持つでんこはマコも出ていたが、あちらはトリックスター
*4 効果量が+85%と全でんこの中でもトップクラス、バージョンアップ後ならカスダメを無効化できる。ただし効果時間中はバッテリーが使用不可になる
*5 残りHPが低くなるほどATKとDEFが上がるが、アクセスごとに60ダメージを受ける。最高レベルで残りHPが1なら+75%
*6 HPが満タンならDEF増加、最高レベルでは+60%。バージョンアップ後は残りHPが50%以上でも増加するが効果量は若干落ちる
*7 相手編成のスキル発動中でんこが4体以上ならDEF増加の効果量アップ。最高レベルなら+70%
*8 但しいちほ等のHP1で耐えるスキルが発動してしまった場合は「固定ダメージ以外の攻撃をHP1で耐える→固定ダメージ付与」という順で発動する仕様のため、みゆきのスキルが1ダメージ分だけでも機能した時点で倒せる。つまり相手側が固定値軽減を使っていた場合相殺される可能性があるということ
*9 赤帯は国鉄時代においては3等車(現在の普通車)を意味する。
*10 保有者については正確には客車・車掌車共々東武博物館の保存車扱い。

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