登録日:2022/03/08 (火) 02:04:30
更新日:2024/06/18 Tue 10:02:46NEW!
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逆転裁判 逆転裁判6 執事 黒執事 外科医 懐中時計 サイコ・ロックを欺いた人物 モノクル ルーペ オペ ドライバー レントゲン タイムマシン 心電図 交通事故 イケメン 時は金なり 十文字一治 機械技師 ‥‥‥‥‥‥‥‥。 ナナホシくん8号マークⅱ バカパンデミック バカアウトブレイク 八久留間家 パーフェクトジュウモンジ
モノは壊れても直せばまた使えます。
しかし、亡くなった人は医者でも治せませんしね‥‥。
十文字一治とは、『逆転裁判6』の特別編「時を越える逆転」の登場人物である。
■概要
大手航空会社である『レインボーエアライン(RAL)』を運営する八久留間家の執事兼機械技師。26歳。
八久留間家次期社長となる来人の世話係を務めており、研究に明け暮れてその自覚があまりない来人に頭を抱えながらも、八久留間家の身の回りの職務を全て指揮している有能な人物。
来人からも絶大な信頼を得ており、十文字の判断ならば自身の判断も同然であると言い切っている。
冷静沈着な性格だが、主のためならば手段を選ばない性格で、時に苦渋な選択も躊躇うこと無く決断することがある。
今回の事件の被害者である米倉は部下に当たる関係だった。
深緑色を基調としたバトラースーツに、白い手袋と袖を模した腕輪のような物を身に着けており、執事らしく瀟洒な佇まいをしている。
左目にレンズが2つ付いたモノクルを付けており、よく胸ポケットから取り出したハンカチでレンズを取って磨くことがある。
肩には常に半球型の謎の機械『ナナホシくん8号マークⅡ』を乗せている。主人である来人から貰った機械のようで、先端からループアンテナを伸ばすことで通話ができるのをはじめ、様々な機能が施されている。
職業柄時間に厳しく、常に赤い十字が刻まれた金色の懐中時計を開いて時間を確認しながら行動している。本人曰くその懐中時計はお守りのようなものらしい。
八久留間家の修理部門の部長も兼任しているらしく、真宵がうっかり落として壊したラジオも先のナナホシくん8号マークⅡのアームを操作することで数秒で直してしまうほどの腕前を持つ。そのため、"なおす"のは得意分野らしい。
■本編での動向
事件の被告人であり、来人の嫁である雫の弁護を担当することになった成歩堂と真宵が、来人に事情聴衆をした際に割って入る形で出会うことになる。
成歩堂が雫の弁護士と分かるや否や、茶菓子を口実に彼らを八久留間邸に招き入れ、込み入った話を外部に漏れないよう予め手を打つようにしたりと、なかなかに侮れないところがある。真宵に至ってはまんまと茶菓子につられてしまった。
被告人である雫も元は来人の婚約者であったが、殺人事件の容疑者となったことで八久留間家の名誉を傷つけるのを防ぐべく、婚約の件は破棄するよう雫に伝達したりもしている*1。
この性格故に真宵からは「みつるぎ検事と気が合いそう」と言われている。
捜査には協力的で、自身が事件の通報者であり、当初親族らと共に「米倉が倒れているところに雫が凶器を持って佇んでいた」ことを証言する。そのため、雫が犯人で間違いないと見ているようである。
また、雫がタイムトラベラーを自称していることに関しては、流石の彼も本気だとは思っていない。
一方で、来人がタイムトラベルは存在すると話すと、何やら深刻そうな表情を浮かべていた。
更にどういう訳か、矢張が事件当時、飛行船内で2度の披露宴が行われ、まるでタイムトラベルでも起きたかのような出来事を体験したことを外部に漏らさぬよう、口止めまでしていた。
いいですか。未プレイ者の方にはネタバレ注意とお伝えください。
さすがは高名な弁護士。成歩堂 龍一先生だ。
これほどの実力とは、おみそれしましたよ。
実は今回の事件で起きていたタイムトラベルと思わしき奇妙な現象は、全て十文字が八久留間家の親族全員とグルになって仕組んだ工作だった。
彼らは1度目の披露宴が終わった後、急遽その場で2度目の披露宴を展開。全員が口裏を合わせることで、雫(と披露宴に紛れ込んでいた矢張の2人)にさも時間が巻き戻ったかのように見せかけていたのであった。某マジシャンと物理学教授のコンビならば「手間のかかることを」と突っ込んでいたことだろう。
それほど莫大な財産を費やし、親族にまで騙すように指示して2度目の披露宴を行った理由は、今回の殺人事件の存在そのものを"なかったこと"にするためであった。
1度目の披露宴が終わった後、使用人の米倉が雫に襲い掛かる事件が発生する。咄嗟に雫は飛行船の形を模した『タイムマシン』と呼ばれる大型の仕掛け時計で米倉に反撃。米倉は頭を強く打って亡くなってしまったのだという。この時、事故のショックを受けてか、雫は気を失って倒れてしまった。
この事件を隠蔽するべく、十文字は目を覚ました雫にもう1度披露宴を経験させることで、それまでの出来事が夢だったと雫に思わせようとしていたのだった。
驚くべきことにこの真実を知る者はごくわずかであり、多くの親族は2度目の披露宴が何のために行われているかを知らなかったらしい。しかし、八久留間家がやると言ったことはやるのが八久留間家の考えらしく、多くの者が疑問に思うことはなかったとのこと。
十文字は親族と共に米倉の遺体を披露宴の飾りつけとして用意した灯篭の中へと入れた。しかし、その灯篭は計らずしも矢張の手によって2度目の披露宴会場に運ばれており、会場の片づけを行っていた雫が偶然灯篭を倒してしまい、隠れていた米倉の死体を発見してしまう。
これにより誤魔化しが効かなくなった十文字は、やむを得ず事件の通報を行い、検察局になるべく事件のことを公にしないよう圧力をかける作戦に出た。
だが、そんなことを御剣が見逃すはずがなく、自らが担当検事を名乗り出てしまったため、まだ籍を入れていないことを理由に八久留間家と雫の関係を断ち切ることで、企業のイメージダウンを最小限に留めることにしたようである。
無論これらは十文字の証言であり、成歩堂は親族含めてグルであるならば、その証言がどこまで正しいかは定かではないと主張し、事件はもう1度捜査を挟む形となった。
探偵パートにおいて、成歩堂は血の跡が付いた燭台を見つけ、これを十文字につきつけたところ、サイコ・ロックを発動させる。
成歩堂の推理が正しいと知ると、来人から直接聞いたという話を打ち明ける。
彼曰く、1度目の披露宴の後、雫と2人きりでいた所に米倉が突如襲い掛かったという。米倉は雫を誘拐しようとし、それを止めようとした来人は米倉によって腹部を燭台で刺されてしまったらしい。
来人は怪我を負いながらも米倉を追って飛行船の展望デッキへと追いかけたが、その時既に米倉は雫によって撲殺されれていたのだった。
十文字は事件とは直接関係ないとし、捜査を攪乱させないようあえて黙っていたという。
成歩堂は、来人が殺害現場にいたことには裏があると睨んでおり、その推測通り、審理中に実は米倉を殴ったのは来人であったことが明らかになる。
来人は1年前に交通事故に遭っており、その後遺症で眠りにつく度に記憶が事故の時の状態に戻ってしまうのだった。そのため、その日のうちにあったことをノートに書き込むことで、記憶が消去されてもノートを見返すことで思い返せるようにしていた。
そして、事件当日、そのノートには「米倉を殺してしまった」と書いており、事の真相は雫を殺そうとした米倉を来人が殴り倒したというものだった。雫もこの時の来人の姿は見ていたようだが、彼に疑いがかかるのを避けたかったため、どうしても言い出せずにいたようだ。
しかし、先の「米倉を殺してしまった」と書かれていた文章は何故か破られていた。それを破っていたのは、何と十文字だった。
十文字は、事の顛末を法廷にて打ち明ける。曰く、来人は確かに雫を守るために米倉を殴ったが、米倉はそれで死に至らず、反撃をしようとした。今度は来人を守るべく雫が米倉をタイムマシンで殴り倒した。つまり、トドメを刺したのは雫であったため、来人は十文字に「自分が米倉を殺したことにする」と話し、ノートに「米倉を殺した」と書き記すことで罪を被ろうとしていたのだった。
来人に罪を被らせるわけにはいかないと思った十文字は、ここで初めて主の命に背き、そのページを密かに破ることで、来人に米倉を殺した記憶を植え付けないようにしていた。
彼はあくまで、主人である来人を守ることだけを思って行動していたのであった……
だますようなマネをしてしまい、申し訳ございません。
【以下、重大なネタバレにつき注意】
だまれ、無能な検事。
少しは使えると思っていたが、キサマには荷が重かったようだな。
オマエらが口出ししなければ、静かに処理できたものを‥。
上記の主人想いな行動は全て噓であり、彼こそがこの事件の黒幕である。
礼儀正しい態度も演技であり、本性は上記の通り非常に口が悪く、周りの人間全てを見下しているかのような冷酷非道な性格である。
彼の目的は、1年前の交通事故を起こした来人への復讐である。
来人が事故を起こした車には、十文字の婚約者でもあった来人の姉、ひかりが同乗していた。当時彼女は来人の車で自身と十文字の婚約発表パーティ会場に向かう途中だったらしい。
事故で大怪我を負ったひかりと来人は、かかりつけの病院へと搬送された。その病院で手術を担当していたのが、当時外科医であった十文字だった。
十文字は明らかにひかりの方が重症であると判断したが、他ならぬひかりの口から「来人を助けてあげて」と言われてしまい、ひかりのことを優先するべきか、ひかりの言葉を優先するべきかで悩んでしまう。
結果的に十文字は来人の手術を優先。来人は無事に一命をとりとめたが、ひかりは還らぬ人となってしまう。
幸せの絶頂期ともいえる瞬間に最愛の人を喪った深い絶望感を抱いた十文字は、そのショックでメスを手放してしまった。
その後、自身の幸福全てを奪った元凶である来人が結婚という幸せな時を迎えることに耐えられなくなった十文字は、今回の犯行を決行。先の交通事故の犯人という汚名を着せられた米倉を誑かし、来人に自分と同じ苦しみを与えるべく、雫の命を奪うようにしたのだった。
だが、いざ計画が実行に移されたところで、いくつかの誤算が生じてしまった。
1つ目は来人が危険を顧みずに非常脱出用ハッチを開け、狭い足場を乗り越えて展望デッキへ近道する形で、実行犯である米倉を殴り倒してしまったこと。
2つ目は米倉の死体を灯篭に隠してやり過ごそうとしたところ、その灯篭が矢張によって披露宴会場に運ばれてしまったこと*2。
3つ目は死んだと思っていた米倉が実は生きており、2度目の披露宴会場の最中に息を吹き返し、灯篭から出てきてしまったこと。
破綻した計画をどうにか立て直そうと模索していた十文字は、咄嗟に傍にあったタイムマシンで米倉にトドメを刺し、その罪を雫に被せる案を思いついたのだった。
彼が持っていた懐中時計はひかりの形見であったが、それを成歩堂に気づかれ、自身にもこの事件を起こす動機があるとして犯人だと告発されたことで、ついに十文字は本性を露わにする。
手始めに彼は肩に乗せていたナナホシくん8号マークⅡを証人台に叩き付けると、胸ポケットのハンカチをマスク状にかけ、手の装飾品を外して手袋を露わにしては、モノクルを重ね合わせてルーペに変貌させ、自らの容姿を執刀医の姿に変えた。通称『パーフェクトジュウモンジ』
病巣‥‥。
この法廷には、えん罪を生み出す大きな病巣がある‥‥!
そう言い放つと、どこからともなく現れたオペナース*3から渡されたマイナスドライバーを手にし、ナナホシくん8号マークⅡ相手に手術という名の改造作業をし始める。やってることはどちらかというとこっちに近い。
‥‥それは、愚かな弁護士に無能な検事だ!
真実が明らかになった暁には、オマエらを法曹界から摘出してやる!
‥‥これよりオペを開始する!
十文字は改造、もとい手術により変貌を遂げたナナホシくん8号マークⅡを展開しながら、成歩堂と御剣に宣戦布告を吹っかける。
そして証言中に一切喋らないことで、成歩堂の尋問により失言を出すのを回避させる戦術に出る。そして、ナナホシくん8号マークⅡから出したX線の光でレントゲン写真を撮影する形で、成歩堂と御剣を挑発した。いや、待て、それどんな仕組みになってるんだ……?
実際、彼は質問に答えつつ余計な証言を抑えるという形で、ボロを出すのを完全に抑えていた。成歩堂に出来ることは、どうにか十文字に犯行が可能な瞬間を探すことしかなかった。
しかし、十文字は常に親族と行動しており、単独で行動している瞬間はなかった。一見犯行が不可能そうに見えるこの状況下で、成歩堂は2度目の披露宴の最中、あるものによってできた死角の中で犯行を決行したと推理する。
図星を突かれた十文字は裁判長を説得して成歩堂の口を閉ざそうとするが、ここで御剣の妨害に遭い、逆に口を閉ざさるを得なくなる。
そして、成歩堂がスモークマシンでできた死角の中で犯行が行われたと推理を続けるが、今度は御剣から「披露宴の瞬間に犯行が行われた証拠がない」と返され、十文字もそれに便乗して裁判を終わらせるよう誘導する。
だが、御剣は反証こそしたものの、裁判を終わらせようとはしなかった。十文字はひたすらナナホシくん8号マークⅡ相手にガチャガチャと手術を施しながら騒ぎ立てるが、御剣は《真実》を求めているのであって、勝利など求めていないと述べ、成歩堂に後を託した。
追い詰められた十文字は裁判長を説得しようとするが、過去の裁判で色々と学んだのか、今の裁判長には脅しに屈することも無かったのだった。
なぜ判決を下さない!
弁護士に答えられるはずがない!
検事も、裁判長も、どうかしている!
医者もサジを投げるレベルの重症のバカ者だ!
脳ミソを移植しようが治療不可能!
この法廷はバカパンデミック!
バカアウトブレイクだ!
……もはや自分がどうかしているとしか思えないほど取り乱している十文字に冷や汗を隠せない成歩堂だったが、裁判長と御剣に託された証拠品の掲示というチャンスにおいて、成歩堂は今回の事件の凶器であったタイムマシンをつきつける。
それは、十文字が今回の事件を決行するにあたって生じた3つ目の誤算が招いた、致命的な証拠が残っているものだった。当時、会場では愛の起動セレモニーというものが行われていた。
タイムマシンには新郎新婦の2人が持つカギを差し込むことで、飛行船の外枠が外れ、ガラス製の枠の中に入った時計と新郎新婦のぬいぐるみが披露されるという特殊な仕掛けが施されていた。
十文字がこのタイムマシンを凶器に使った際、タイムマシンはガラス製の枠が露わになっており、その部分で米倉を殴りつけてしまったために、そこにガラスの割れた跡と被害者の血痕が付着してしまったのだった。
このことから米倉の殺害は披露宴会場の最中に行われたことが立証され、言い逃れが出来なくなった十文字はナナホシくん8号マークⅡから飛び散った破片を顔面に食らい、そのままよろめいてしまった。
そして……
ピッ‥‥ピッ‥‥ピッ‥‥ピッ‥‥
まだだ‥‥まだ私はあきらめない!
ううっ!しまった、動脈が!
ピッ‥ピッ‥ピッ‥ピッ‥
‥‥ええい、ジャマだ!
止血を急げ !カンシ! カンシを!
誰か! 誰かいないのかっ!
くそ‥‥私1人で‥‥なんとかしてみせる!
私は何でも直せる!治せるはずなんだ!
直れ治れ直れ治れ直れーッ!
ピッ‥ピッ‥ピッ‥ピッ‥ピッ‥ピッ‥ピッ‥ピッ‥
‥‥私には‥‥救うことが‥‥できたはずなんだ!
あの時、彼女の言葉を聞き入れなければ‥‥
あの時、ひかりを先に処置することができれば‥‥
あの時‥‥来人さえ‥‥いなければ‥‥‥‥‥‥‥‥
ピ――――――――ッ‥‥
がはっ!
ひ‥‥か‥‥り‥‥
ブレイクモーションはナナホシくん8号マークⅡ相手に必死の手術を試みるも、やがて心電図の波が一直線上になってしまい、胸部を抑えて倒れ込むというこの上なく重いもの。
背景に映る彼の婚約者の姿が映る様が大変痛々しい。手術の相手が機械であることからオブラードな表現になっているものの、その描写はまさしく手術時におけるあの様子を表しているとみていいだろう。
やがて彼は、失意のうちにこれまでの事件の全てを打ち明けた。当然ながらひかりにはこのような復讐など望んでいないことも十分理解していたつもりだったが*4、それでも愛する者を目の前で救えなかったことへの計り知れない悲しみと怒りに満ちた心を抑えることは出来なかったという。
来人に罪を着せる手もあったが、それでも雫を犯人に企てることに専念したのは、八久留間航空の全てを自らの手中に収めるためだった。そうすることで、本来ひかりが成るはずだった次期社長の代わりに、十文字自らが企業を支えていくつもりだったようである。また、来人に復讐することはひかりの遺言に背くことに他ならないため、来人に直接危害を加えない方法で彼を陥れるつもりだったのかもしれない。
もちろん、巻き添えを食らった雫には何の罪もないため、彼のしたことが決して許されるべきことではないのは確かであるが。
実は十文字が持っていた懐中時計は1年前の事故の時から止まっており、劇中何度も時間を確認していたのも演技に過ぎなかったのだった。十文字は自身の境遇をこの懐中時計にたとえ、自分の時は永遠に動き出すことはないと完全に自暴自棄に陥ってしまった。
そんな時、奇跡が起こった。
カチッ‥‥
ふと、十文字が見つめていた懐中時計から、音が鳴り始めたのだった。
‥‥ま、まさか‥‥
十文字が文字盤を見つめ続けると、それまで全く動かなかったはずの懐中時計が、突然動き始めたのだ。
奇跡ともいうべき瞬間を目撃した十文字は、最後にこう一言だけ述べ、全ての罪を受け止めるのだった。
ひかり‥‥私のしたことは誤りだったんだな‥‥
この事件にタイムトラベラーなど、存在しなかった。しかし、トラウマとなった事故を繰り返し生きる来人と、最愛の人を喪い全てを投げ出してしまった十文字と、"悲しきタイムトラベラー"の姿がそこにあったのだった。
この事件をきっかけに、来人は1年前に揉み消された交通事故の全てを公にすることを決意し、未来へ歩んでいくことにした。
願わくは、十文字も罪を償い、自分の時間を生きてもらいたいものである……。
■考察
- 十文字が医師であることの伏線
冒頭に記載した「亡くなった人は医者でも治せません」という発言は、医師としてひかりの死を目の当たりにした経験があるからこそ出てきた言葉と言える。
また、ラジオを直した際に彼が言った「"なおす"のは得意分野」の「なおす」は平仮名表記になっており、一見すると「直すのは得意」とも読み取れるが「治すのは得意」であると読み取ることも出来る。
更に、来人は1度目の披露宴の後に米倉に腹部を刺されているが、彼はその後、病院に行くことも無く2度目の披露宴に参加しており、そのまま2日間も私生活を送っている。劇中では燭台を見せた瞬間に腹部の傷が開いてしまったが*5、それほどまでに重傷を負っていたはずの来人がずっと平然としていられたのも、十文字の応急処置が適切であったからかもしれない。
- 名前の由来
明言されていないので由来については不明だが、恐らくは機械技師と医師の両方の意味が込められていると思われる。
●機械技師…十と一→+ドライバーと-ドライバー
●医師…十文字→病院を示す赤十字、治→治療。
あるいは外科医繋がりで米倉涼子女史が主演のドラマ『Doctor-X』シリーズ繋がりかもしれない。
- 十文字の選択
もしも十文字がひかりの頼みを聞き入れず(もしくは説得して)ひかりの治療を優先していたら。
怪我の具合が、ひかり>来人だったため、ひかりから先に治療して後で来人を治療すれば両方助かった可能性はあるかもしれない。
しかし、来人の治療が遅れることで今度は来人が手遅れになるという事もあり得る。最悪、ひかりも助けられず、来人も手遅れになってしまった、なんて結末にもなりかねない。
結局はタラレバの話なのだが、ひかりは両方が助かる可能性よりも、弟を確実に救う選択を選んだという事なのかもしれない…。
その結果、今回の事件が起きてしまったのだからいたたまれない話である…。
■余談
- 時系列的には『6』における最後の敵に相当する。
- 何気にサイコ・ロックを欺いた犯人の1人である。前半こそ本当のことを言っているのだが、後半に至っては完全に嘘であり、あくまで彼は被告人の犯行の仕業だと答えている。成歩堂が油断のならない人物だと警戒するのも分からなくはない。
- 奇しくも愛する者への復讐心を抱くという流れは同じDLC版の事件の犯人と共通している(ついでに言えば追い詰められた時の豹変ぶりの激しさも似ている)。そのため、そちらをプレイ済みの人にとっては真犯人の正体に気づきやすいかもしれない。
- 外科医として働き、後に執事として働いてもいる彼だが、驚くべきことに年齢はまだ26歳であり、あの真宵よりも若い。ちなみに現実の日本において最短で医師になれる年齢は24歳であり、そこから最低2年間研修医として活動することでようやく一人前の医師とみなされる。事件当時から執刀医をしていたということは、十文字は25歳の時点で既に一人前になっていたことになるので、とんでもない天才だったのは間違いないだろう。執事としての職務もわずか1年しか経っていないのに、それらを完璧なまでにこなせている辺りからも只者ではないのは明らかである*6。
この度は、当記事の閲覧をして頂き‥‥ありがとうございます。
追記・修正をして頂いたお礼と言ってはなんですが‥‥。
おいしいお茶とオカシでもご用意致しましょう。
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*2 尤もこれに至っては成歩堂が思うように想定しろというのが無理な話だが。
*3 器械出しとも言い、主に執刀医の傍に立ち、メスなどの道具を渡す看護師のこと。
*4 来人もまた自らの運転で姉を喪ったショックで記憶障害を患っており、彼もまた苦しんでいることも十文字は理解していたことだろう。
*5 そもそもその燭台を見せた瞬間に突然傷口が開くのも不自然な話であるが。
*6 年齢を若く設定しているのは、釈放後の未来を生きるだけの時間を与えるためという製作側の気遣いなのかもしれない。
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