登録日:2020/12/12 Sat 18:24:09
更新日:2024/05/23 Thu 13:00:16NEW!
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『Batman: Last Knight on Earth』は2019年にDCコミックスから出版されたアメコミ作品。
『Batman: Last Knight on Earth』#1~#3
発売 2019年5月から
脚本 スコット・スナイダー
作画 グレッグ・カプロ
日本では2020年に小学館集英社プロダクションから邦訳本が発売されている。
『New 52』から長きに渡ってバットマンを手掛けてきたスコット・スナイダーとグレッグ・カプロによるバットマンの最終章。
グラント・モリソンから受けたアドバイス『自分にとっての最初と最後のバットマンを作れ』をきっかけに生まれた。
人類が悪を選びディストピアと化した『DCユニバース』を舞台にバットマンそしてジョーカーの旅と戦いを描いている。
スナイダーが『Batman Vol.2』で描いてきたバットマンとゴッサム、ジョーカーの関係性や、
本作と同時期に『Justice League Vol.4』で描いてきた正義と運命、善と悪の対立が盛り込まれており、
最終章に相応しく極限の状態で描かれたそれらの要素が、残酷な展開と希望に満ちた結末につながっていく。
アートの面でもホラーにルーツを持つカプロの才能がいかんなく発揮され、不気味かつ残酷な姿の『DCユニバース』を楽しめる。
ちなみに元々は『All-Star Batman』の最終章になるはずで、作画はショーン・マーフィーになる予定だった。
【物語】
街全体を使い自分の姿が描かれる謎の事件を追っていたバットマンは、犯罪通りで一発の銃弾に倒れた。
そして彼が目を覚ましたのは、精神病院『アーカム・アサイラム』のベッドの上だった。
自分が正気を失い長年入院していると言われるも信じられずにいたバットマンことブルース・ウェインだったが、
忠実なる執事アルフレッドの口から両親の死がブルースの手によるもので、バットマンは妄想だと告げられてしまう。
【登場人物】
- バットマン/ブルース・ウェイン
ゴッサムを守る闇の騎士。しかしヴィランとの戦いや『バットケイブ』、コスチュームなど全てが妄想だと言われてしまう。
信頼するアルフレッドから告げられる真実に動揺するも、バットマンとしての人生を疑えずにいる。
- アルフレッド・ペニーワース
ウェイン家に仕える執事。正気を取り戻したブルースにバットマンの真実を突き付けていく。
最後にブルースが作った拘禁服のスーツを見せつけ、全てを受け入れ家に帰るよう促す。
- レドマンド・ハッド
『アーカム・アサイラム』の医師。20年近くブルースの主治医を務め、新薬で彼の正気を取り戻させた。常にハエがたかっている。
その姿はジョーカーを思わせ、彼以外のスタッフも様々なヴィランを彷彿とさせる。
ブルースは彼らから様々な知識や戦闘術を学ぶと共に、悪人と決めつけて暴行を繰り返したという。
アルフレッドの嘘に気付いたブルースは拘禁服のスーツを身に着け、警察を振り切り『アーカム』の最上階にたどり着く。
そこでアルフレッドは年老いた真の姿でバットマンの敗北を告げ、自らが作った偽りのゴッサムで暮らすことを提案する。
しかしブルースはバットマンとして世界を救うことを諦めず、アルフレッドと別れのハグをして旅立った。
外の世界に飛び出したバットマンは、何故か生首のまま生きるジョーカーを発見し、彼を案内人に変わり果てた世界を巡り始める。
そして再会したダイアナから守るべき人々による世界の崩壊と新たな強敵オメガが進める世界支配の存在を知った。
絶望的な事実を前にしても戦いを続けようとするバットマンは、コスチュームとジョーカーと共に再び世界を巡っていく。
【登場人物】
- バットマン(ブルース・ウェイン)
ゴッサムを守る闇の騎士。本物のバットマンではなく、ある装置で生み出されたバットマンのコピー。
先代は運命を受け入れ暴走する市民を信じ続けたが、その末に命を落とし、アルフレッドが現在のバットマンを生み出した。
戦いを放棄するよう求める仲間たちの制止を振り切り、世界を救うために宿敵ジョーカーを連れて世界を旅する。
一先ずスーパーマンの行方を捜し『孤独の平原』にたどり着いたが、そこで待っていたのはレックス・ルーサーだった。
彼からスーパーマンの死の真相を知った直後に敵の襲撃を受けるが、ダイアナの援護で危機を脱した。
しかしルーサーの話と逃げる途中に三途の川で目撃したヒーローたちとアルフレッドの姿を前に決意が鈍ってしまう。
心の底では人々を信じながらも、人々が変わり果てた世界を望んでいるという思いに飲まれてしまうが、
ダイアナとの語らいで気を持ち直し、オメガが待つ生まれ変わったゴッサムにたどり着いた。
そこで『梟の法廷』として戦うディックたちと出会い、彼らを説得し協力して最終決戦に挑むことになった。
新たな肉体を得たジョーカーと共に『ウェインタワー』に向かうも、似て非なるオメガに思いを巡らせた隙に捕まってしまう。
そして自分を新たなオメガに作り変えようとする彼に怒りをぶつけるも、オメガから衝撃の真実を知らされる。
犯罪の道化王子とも呼ばれるバットマンのライバル。とある事情で生首のまま生きており、バットマンから案内役を任された。
バットマンのための詩やジョークを交えつつ崩壊した世界を解説し、その活躍ぶりを理由にロビンになりたがっている。
最終決戦ではティム・ドレイクが使用していたアーマーを新たな肉体に本当にロビンになってしまった。
アーマーのパワーでバットマンをサポートしていたが、オメガには敵わず破壊され、最後にバットマンにあることを伝えた。
超人的力を持つアマゾン族の王女。ワンダーウーマンの名を捨て髪型はモヒカンになり、右頬には大きな傷がついている。
生き残った女性ヒーローを率いており、地底の異次元世界『ジェムワールド』で生存者を保護していた。
生存者を守るために彼らを連れて冥界に旅立つ予定で、再会したバットマンにその守護者になるよう頼むも断られた。
その後バットマンの信念に希望を見出し、『孤独の平原』でピンチに陥る彼を救い行動を共にする。
最終決戦ではオメガの切り札である電波増幅器を破壊するため、『梟の法廷』と共に『アーカム』に乗り込み、
電波増幅器の正体であるマーシャン・マンハンターとの一騎打ちに臨む。
≪梟の法廷≫
ゴッサムを歴史の裏で支配してきたとされる秘密結社。現在は蝙蝠に代わる象徴として『バットファミリー』が名乗っている。
少し前までオメガに洗脳されていたが、洗脳を逃れていたティム・ドレイクの活躍で解放された。
そしてオメガに決戦を挑むも、多くの仲間を失い敗北、現在はオメガによる世界支配の時を待つだけとなっていた。
そんな中バットマンとダイアナと再会し、バットマンの説得によって再び決戦を挑む。
バットマンの初代サイドキック。組織のリーダー格で、バーバラとの間に娘ブライスを授かっている。
再会したバットマンに絶望的な状況を語るも、彼と娘の説得で決戦に向かう決意を固めた。
- バーバラ・ゴードン
バットガールとしてディックと共に長きに渡ってバットマンを支えた女性。
多くの仲間を失ったこともあり、その場にいなかったバットマンとダイアナに強い怒りをぶつけていた。
決戦にも否定的だったが、周囲の説得、特に娘ブライスからの説得がきいて戦いに参加した。
- デューク・トーマス
『バットファミリー』の一員シグナルとして活躍したアフリカ系男性。
ブライスと仲が良く、ディックと共にチームの主力を担う。
- ブライス
ディックとバーバラの娘。スキンヘッドにタトゥーをしたワイルドな外見。
その若さゆえに前向きな性格で、いち早くバットマンの説得を受け入れて反撃の策を思いついた。
- ジェームズ・ゴードン
かつてゴッサム市警本部長としてバットマンを支えた老人。現在は視力を失いながらチームを支えている。
飄々とした性格でチームの緩衝役を担い、最終決戦では裏方としてチームを援護する。
≪ヴィラン≫
- オメガ
人類が悪を受け入れた世界で生まれた新たな英雄。バットマン風の姿をしており、その正体はバットマンの関係者だとされる。
圧倒的な力と『反生命方程式』による洗脳でゴッサムを支配しており、現在は増幅器によって支配を全世界に広げようとしている。
バットマンが自分を倒しに現れるのを予期しており、彼を洗脳することで新たなオメガにしようと企む。
- スケアクロウ(ジョナサン・クレイン)
恐怖に魅入られた元心理学者。オメガの右腕として活動している。下半身を失っており、ベインを足代わりにしている。
『孤独の平原』や『アーカム』でバットマンたちに襲い掛かり、他のバットマン・ヴィランたちを利用して追い詰めていく。
- レックス・ルーサー
大企業レックス・コープの社長でスーパーマンのライバル。水晶の柱が立ち並ぶ『孤独の平原』の奥地に潜んでいた。
自らが命を奪ったスーパーマンを再び世界に呼び戻すため、ワームホールの研究をしているのだが上手くいかずにいる。
スーパーマンの生存を信じ現れたバットマンをスーパーマンのロボットで出迎え、何故今回の事件が起きたのかを語り出した。
『リージョン・オブ・ドゥーム』を率いて戦っていた彼は、善と悪の戦いにケリをつけるべくスーパーマンにある提案をした。
それは全世界にそれぞれの主張を語り、全人類に善か悪かを決めさせ、少なかった方が命を落とすというものだった。
互いに全力を尽くした結果、人類は悪を選んだのだが、人類の暴走は止まることを知らず世界は崩壊に至ることになった。
全てを語り終えた直後にスケアクロウの襲撃を受け、スーパーマンのロボットのコントロールを奪われ追い詰められるも、
バットマンとダイアナにスーパーマン復活を託し、彼らをスペクターの外套にワープさせ命を落とした。
≪その他≫
- アルフレッド・ペニーワース
ウェイン家に仕える執事。死亡したバットマンの後継者を生み出し、彼のために偽りのゴッサムを作り上げた。
しかし予定より後継者が早く目覚めた上に自分の脈拍から年老いていることを見抜かれ、計画は失敗に終わった。
バットマンを送り出すと偽りのゴッサムの明かりを消して回っていたが、そこにスケアクロウが現れ仲間に誘われる。
当然拒否するも、スケアクロウの薬品とオメガの言葉でウェイン夫妻が生き延びた幻を見ながら安らかに息を引き取った。
猫のようなコスチュームに身を包んだ女盗賊キャットウーマンとして活躍した女性。
オメガと取引をしており、洗脳されないまま活動することを許されている。
一度目の決戦では『梟の法廷』への協力を断るも、バットマンの姿を前に物資を提供することにした。
- バットマン(ブルース・ウェイン)
かつてゴッサムを守った先代の闇の騎士。ルーサーの演説で暴徒化した市民を信じ続け、
『ホール・オブ・ジャスティス』に現れた市民を招き入れたが、彼らの手で他の多くのヒーローと共に殺されたとされる。
- スーパーマン(クラーク・ケント/カル=エル)
かつてメトロポリスを守った鋼鉄の男。ルーサーの演説対決を受け入れ、全力を尽くしたのだが敗北し死亡した。
ルーサーは彼を取り戻そうと、彼を模したロボットを量産している他、赤子の彼を乗せたロケットを呼び出そうとしている。
- ジョー・チル
ブルースの両親を殺した強盗。バットマンの回想に登場し、古ぼけたアパートにいたところをバットマンの訪問を受けた。
その理由は犯罪通りでバットマンを撃ったジョーの息子の遺体に関することで、その質問にブルースの名前で返した。
その後の調査でジョーの息子は実在し、酒に酔ったトーマス・ウェインのミスで命を落としたと明らかになったが……。
- 指輪餓鬼
コーストシティで暴れ回る『パワーリング』が生み出す怪物。巨大な赤子の姿をしている。
戦いの中で『セントラル・パワーバッテリー』と惑星モゴが破壊された結果、『パワーリング』は誰でも拾える状態になっていた。
それを身に着けた人々の多くは『リング』を制御できず、エネルギーの怪物が暴れ回る事態になった。
事実を確かめるためにコーストシティに立ち寄ったバットマンに襲い掛かり追い詰めるも、
ダイアナの仲間『新アマゾン』の手で倒され、バットマンとダイアナが再会するきっかけとなった。
- スピードフォース嵐
フラッシュたちスピードスターの力の源である『スピードフォース』でできた嵐。触れたものは一瞬で塵となる。
バリー、ウォリー、ジェイ、バートが一体化しており、バットマンに助けを求めていた。
- ウォラー要塞
バットマンが目撃した世界の中で最も最悪な場所。元々はキャプテン・アトムが守護者を務めるはずだった軍事施設。
様々な天才が集い、自然を象徴する『グリーン』と生物を象徴する『レッド』を組み合わせ、新たなヒーローを生むはずだった。
実際は軍人、植物、獣人がそれぞれの力を奪い合う小さな戦場となっており、地獄の様相を呈している。
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