シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション

ページ名:シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション

登録日:2020/04/25(土)16:27:55
更新日:2024/05/17 Fri 11:28:02NEW!
所要時間:約 6 分で読めます



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「この手があったか!冴羽獠、最大の危機! by北条司」




『シティーハンター THE MOVIE  史上最香のミッション(原題:Nicky Larson et le Parfum de Cupidon)』は2019年のフランス映画。


概要


言わずと知れた北条司の人気コミック「シティーハンター(CITY HUNTER)」の実写映画化作品。
同シリーズの実写化としては黒歴史として名高いジャッキー・チェン主演の香港版、タイトルだけを借りた殆ど別物の韓国版に続く三度目の作品に当たる。


フランスでは2019年2月に公開されるとおよそ170万人の観客を動員、多少の批評はあるものの興行的には申し分のないヒット作となった。


日本では同年12月に公開され、上映館は少ないものの、内容自体はかなりの好評。日仏でほぼ真逆の結果だが、いずれにせよ映画単体としても実写化としても見応え充分な作品と言えるだろう。
同年2月8日には劇場版アニメ「シティーハンター 新宿PRIVATE EYES」が公開されており、実写とアニメの新作を見る事ができる「シティーハンターイヤー(C.H.Y)」*1であった。


監督、脚本、主演を担当したフィリップ・ラショーは小学生の頃から原作の大ファンで、権利元である北条先生の事務所へ実写版の企画書・プロットを直筆の手紙と合わせて送ったところ気に入られ、今度は18か月をかけて書いた脚本を携えて来日。北条先生にチェックして貰い映画化を快諾されたという。
ラショー氏は日本の漫画アニメを他国で実写化して酷評された前例も把握しており、原作のイメージを損なわないよう入念に制作されている。
終盤に漫画表現であるカラスが水平飛行するシーンを完全再現する為だけに20回以上リテイクしたとか何とか


劇中ではアニメ版のBGMが流れ挿入歌には「FOOT STEP」、EDには「Get Wild」が使われたほか、主人公の日本語吹替版声優としてアニメで長年リョウを演じてきた神谷明氏を希望するほどの念の入れ様である。
そして出来上がりは映画を見た人のSNSでの感想にラーメン屋でラーメン頼んだら大盛りラーメンが出て来たと言ったものが散見される程に原作のイメージを再現している。
作中にちりばめられた原作や他作品ネタ(妙にクオリティの高い亀仙人など)も探してみるといいかも。


本作は原作にも登場する麻薬密売組織「ユニオン・テオーペ」が登場するが、シティーハンターの映像作品で同組織に関する描写のある作品は本作が初めてである。



あらすじ

ボディーガード、殺し、etc.......法では解決できない秘密の依頼を請け負う凄腕スイーパー、リョウ。人は彼をシティーハンターと呼ぶ。


ある日、リョウはその香りを嗅いだ者を魅了する「キューピッドの香水」を警護する依頼を受ける。
しかし、何者かに一瞬の隙を突かれ香水の入った鞄が奪われてしまう。
香水の効果を試していた獠と香は、香水の効果が永遠に消えなくなる48時間後までに香水の奪還を強いられることになる。



登場人物

少しでもアニメの雰囲気に近づけるためか、洋画としては珍しく吹き替えメイン(と言うかほぼ吹き替えのみ)の上映となっている。


ラショー氏も希望していた神谷明氏は残念ながら主人公リョウ役を固辞し、代わりに後輩の山寺宏一を推薦し、自身は別の役でのゲスト出演という形となった。
山寺氏は若手時代にテレビアニメ版のレギュラー要員として多くの脇役を務め、テレビスペシャル版以降はメインのゲストキャラを担当することが多かった。
同様に伊倉一恵氏も香役を辞退してスペシャルゲストとしての参加となり、代わってシティーハンターシリーズにはアニメ含めて初参戦ながら洋画の吹き替え経験も豊富な沢城みゆき氏が担当。
しかし海坊主や冴子等、その他お馴染みのキャラはアニメ版のキャストが続投。今作限りの脇役も実力派の声優陣が固める非常に豪華なラインナップとなっている。



レギュラーキャラ


原作の登場人物はほぼ全員日本名に戻されているものの、違和感を軽減するためか、エンドクレジットでは全て漢字ではなくカタカナ表記にされている。
「日本人だって露骨な外国人役やるじゃねーか」とは言ってはいけない。



リョウ(冴羽リョウ)/ニッキー・ラルソン
演:フィリップ・ラショー
吹替:山寺宏一
ご存じもっこりスイーパー。新宿、ではなくパリを拠点に法で裁けぬ悪を討つ都会の狩人。
常軌を逸した女好きは相変わらずなのだが、今作では強引に嗅がされた香水の影響で、あろうことか男である依頼人ルテリエに惚れる寸前となってしまう
徐々に強まっていく中年のおっさんへの想いを振り払いながら、(ある意味)自身最大の危機に立ち向かっていく。


カオリ(槇村香)/ローラ・マルコーニ
演:エロディ・フォンタン
吹替:沢城みゆき
ご存じ男勝りのパートナー。依頼を渋るリョウの口約束に乗って香水を浴びたのが災いして思わぬ災難に見舞われる。
無意識にリョウに想いを寄せているのは原作通りだが、名物の100tハンマーはなんと本物のスレッジハンマーとなっている。結果、リョウの不貞に怒ってこれを振り回す姿は原作以上にアグレッシブかつクレイジーに。
ちなみに演じる女優はプライベートでもリョウ役ラショーのパートナー。若干ゴツめのボーイッシュな顔立ちがしばしば男に間違われるというカオリのキャラに説得力を持たせている。


海坊主/マンモス
演:カメル・ゴンフー
吹替:玄田哲章
ご存じシティーハンターのライバル兼悪友。何者かに依頼されて香水を狙い、リョウと激しい争奪戦を繰り広げる。
全キャラでぶっちぎりの原作再現度を誇り、その姿が公開されるや日本のSNS上を騒然とさせた。
尚、本作の字幕版における人名は俳優の台詞に合わせて(リョウはニッキー、カオリならローラといった具合に)フランス語に準拠しているものの、海坊主だけは何故か海坊主のままである。


ヒデユキ(槇村秀幸)/トニー・マルコーニ
演:ラファエル・ペルソナ
吹替:田中秀幸
ご存じ初代パートナー。テロ組織ユニオン・テオーペを追っていたが、首領ブラック・ハンドの凶弾に倒れ志半ばで命を落とす。降りしきる雨の中、リョウに妹を託す場面は原作を忠実に再現している。
若干野暮ったい容姿も概ね原作通りだが、髪にパーマがかかっている。


サエコ(野上冴子)/エレーヌ・ランベルティ
演:ソフィー・モーゼル
吹替:一龍斎春水
ご存じ女狐刑事。リョウの協力者で、ユニオン・テオーペの捜査を担当している。
全体的にクオリティが高いキャストの中では原作再現度は低めぶっちゃけ顔は全然似てない。でもエロいから許す!



オリジナルキャラ


一連の騒動に絡む市井の人々。シティーハンターといえばエピソード毎に異なるもっこり美女の依頼人が大きな魅力の一つなのだが今作では因果が重なり、揃いも揃ってむさ苦しいおっさんばかり。*2リョウは泣いていい。



パンチョ
演:タレク・ブダリ
吹替:浪川大輔
リョウ達が依頼の打ち合わせに訪れた公園の清掃員。キャプテン翼のロベルト本郷みたいな帽子をかぶってる。
カオリの浴びた香水を嗅いでしまい、彼女のストーカーと化す。
一緒に遊んでいて怪我をさせた少年を放置してトンズラする、ペットのハムスターを乾かそうとして[[電子レンジにかけて死なせる>ネタバレ]]等、下手すればサイコパス一歩手前の間抜けな迷惑男。
本来、彼も巻き込まれただけの被害者なのだが、頓珍漢な言動のせいで同情心が全く湧かない。


ジルベール・スキッピー
演:ジュリアン・アルッティ
吹替:多田野曜平
家族に邪険にされる冴えない中年男。数独パズルとファッションモデルの追っかけを日々の楽しみに生きていたが、偶々通りかかった公園で海坊主の乗るバイクにぶつかって香水を手に入れた事で人生逆転のチャンスを得る。
憧れのジェシカ・フォックスのハートを射止めようとモナコへ向かい、道中で出会う美女達を虜にしては思い通りに操るという薔薇色の一時を謳歌する。
中の人は主演のラショーと同じく脚本にも携わっている。


ドミニク・ルテリエ
演:ディディエ・ブルドン
吹替:土師孝也
今作の依頼人。恰幅のいい中年の紳士。
父親の開発したキューピッドの香水の警護を依頼した。余程切迫した状況らしく、自分に香水を付けて嫌がるリョウに嗅がせるという脅しに近い形で依頼を受諾させる。
お陰で観客は度々差し込まれるリョウとの仲睦まじい(誰得な)ツーショットを嫌という程見せられる事に・・・・。


ジェシカ・フォックス
演:パメラ・アンダーソン
吹替:ちふゆ
世界的なファッションモデル。香水を手にしたスキッピーのターゲットにされる。
(本人のアレな性癖には目をつぶるとして)黒幕を含め、男たちが自業自得な目に遭うのと違って本人に殆ど非が無いまま一方的に香水の被害を受けてフェードアウトした辺り作中でトップクラスに不幸な人物と言える。


ボス
吹替:三上哲
ユニオン・テオーペのボス。傍らに愛犬を連れている。
部下が忠誠心の無さを自白しても大目に見る寛大な心の持ち主


海坊主の雇い主
吹替:恒松あゆみ
物語の終盤、電話越しに海坊主と会話していた人物。その目的は....


ムッシュ・モッコリー
吹替:神谷明
パリ市長。小心者で痛いのが苦手。
整形外科での手術中、乱入してきたリョウと海坊主の戦いに巻き込まれる。直前にリョウが言及したように、二人の争いに巻き込まれて命が助かっただけでも幸運ではあるものの、その日のニュース映像では悲惨な姿になっていた。
吹き替えからも分かる通り、原作に敬意を表した名前で実際のフランス語には存在しない。


リョウの主治医
吹替:神谷明
リョウの女好きを見かねたカオリが受診させた心療内科の医師。リョウの旺盛な性欲に困惑するが、本人も[[全裸でアーチェリーをする>ネタバレ]]という少々アレな趣味を持つ。


マダム・スキッピー
吹替:伊倉一恵
ジルベールの妻。甲斐性なしの夫に小言を浴びせる典型的な悪妻で、息子とも口論が絶えない。





追記修正は48時間以内に香水を解毒してからお願いします


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  • あらすじから見て分かる最高にバカな展開が面白そう… -- 名無しさん (2020-04-25 18:01:37)
  • リョウ(ニッキー)役のフィリップさんは主演だけでなく監督と脚本も手掛けているんだよな -- 名無しさん (2020-04-25 18:19:12)
  • ガチで面白かった。原作知らなくても爆笑できるので、気軽に見られる。 -- 名無しさん (2020-04-25 18:43:17)
  • 実写映画の中でも再現度はトップクラス。フランス映画なのに… -- 名無しさん (2020-04-25 19:02:54)
  • しっかり全巻読んだ上で制作したとかだったかな? -- 名無しさん (2020-04-25 19:08:59)
  • この調子で同じく欧米人気の高いルパン三世とコブラもお願いしたい位。 -- 名無しさん (2020-04-25 19:18:25)
  • アレンジやお国柄による違和感もないこたないけど、それでも見ていて「これはCHだ」と思える完成度がスゴい。しかもその上で日本アニメの小ネタまで仕込んでくるんだから恐ろしい -- 名無しさん (2020-04-25 19:57:43)
  • 主演:俺 脚本:俺 監督:俺 ヒロイン:俺の嫁(リアル) -- 名無しさん (2020-04-25 20:27:11)
  • 少々、サブキャラの描写が多すぎた気がした -- 名無しさん (2020-04-25 20:30:51)
  • しかし散々冴羽リョウと(ある意味)激突してた山ちゃんがリョウ役やるとはなぁ…なんか奇妙な巡り合わせというか何というか -- 名無しさん (2020-04-25 21:15:30)
  • 何で辞退したんだろう。 -- 名無しさん (2020-04-25 21:24:54)
  • ↑加齢で声が合わなくなったと感じて固辞したとか。実際前のアニメ知らない状態でプライベートアイズ見たけど神谷さんも伊倉さんも20代設定の人物の声としては無理があるように感じた。 -- 名無しさん (2020-04-25 21:54:18)
  • 観客が終始笑いっぱなしって初めて経験した -- 名無しさん (2020-04-25 21:59:29)
  • ↑2 時代としても当時はああいう渋い20代30代がまだいたんだけど、今はあり得んからねえ。 -- 名無しさん (2020-04-25 23:07:10)
  • 北条司キャラは男女共に日本人離れした筋肉質な体型と肩幅だから実写は海外の俳優が演じるのが合うのかも -- 名無しさん (2020-04-25 23:27:00)
  • 上映後に拍手が起こった映画は何度か遭遇したけど、思い出し笑いが起こったのは初めての経験だった -- 名無しさん (2020-04-25 23:31:53)
  • 作品が作品な上にフランスのユーモア映画らしい下品要素もちょくちょくあって、しかも地味に容赦ない描写もあるので、必ずしも万人にオススメできるとは言えないが、原作ファンやそういうのが気にならない人には十分オススメできる良作 -- 名無しさん (2020-04-25 23:53:59)
  • ↑4神谷さんは74歳、伊倉さんも61歳だしなぁ。当時と同じ声は無理だろうし -- 名無しさん (2020-04-26 00:43:27)
  • 「ラーメン屋でラーメンを注文したらラーメンが出て来たような映画」とかいう一見なんのこっちゃさっぱりな評価を受けてる作品。これは「申し分ないクオリティ」「十分に満足な出来」という意味でよろしいの? -- 名無しさん (2020-04-26 08:56:05)
  • ↑ラーメン屋を例えた評価はこの映画じゃなくて同じ年に公開されたアニメ映画の方 -- 名無しさん (2020-04-26 09:26:27)
  • こっちはほんのりおフランスなラーメン二杯目だよ -- 名無しさん (2020-04-26 10:29:18)
  • 海坊主のビジュアルが公開された時は目を疑ったな。漫画から実写にそのまま出てきた様なぶっちぎりの再現度なんだから、あんだけ再現度が高い実写キャラは今まで見たことが無い -- 名無しさん (2020-04-26 14:36:50)
  • 海坊主はまだパーツ少ないから似ている人がいてもそう不思議じゃないが、槇村が完全に槇村なのが一番凄いと思う。フランス人に見えないよ…あと冴羽商事もまんま冴羽商事だったから、舞台がほぼフランスっぽい新宿 -- 名無しさん (2020-04-27 13:36:55)
  • 作品のラストカットを務めた謎の女()さんの美ケツは最高にござる -- 名無しさん (2020-04-27 15:00:36)
  • 原作愛とはなんたるかを見せつけたと思う。 -- 名無しさん (2020-04-30 15:58:04)
  • 実写化において一番大事なのは限界まで突き詰めた原作再現と止めどない原作愛だと感じる作品。 -- 名無しさん (2020-06-04 21:29:02)
  • そう言えば、映像作品でユニオン出てきたのは本作が初じゃないかな? アニメだと別組織だったし。 -- 名無しさん (2020-07-28 22:02:30)
  • 日仏で評価が逆なのは向こうはアニメ中心で原作読んだ事ない人が多い可能性があるかも。アニメだけだとギャグが原作より上品めだしハードボイルド要素好きな人多くなるからそういう人にとっては評価が低くなる -- 名無しさん (2020-09-29 08:22:57)
  • 市長の名前は原語でも同じと聞いたがどうなの? -- 名無しさん (2020-10-16 21:08:35)
  • ↑2 向こうは評価低いんだ。シリアスよりバラエティー寄りでネタがオタク向け過ぎたのかな? -- 名無しさん (2020-10-16 21:21:39)
  • スキッピーの義母も加えてほしい。ある意味一番の眼福(?)を提供してくれた -- 名無しさん (2021-06-24 20:39:31)
  • 監督も日本では評価されているなら悪い気しないってなってるといいなあ -- 名無しさん (2022-01-23 10:56:38)
  • 主演兼監督の人がフランス版ドキュメンタルの司会やってた -- 名無しさん (2022-01-23 11:28:46)
  • 「逆」というのはフランスでは客は多かったけど(評論家の)評価は低く、日本では(上映館が少ないこともあって)客は少なかったけど(原作ファンの)評価は高かったということ。 -- 名無しさん (2022-05-09 02:09:29)
  • 実写化作品の中でも上位から数えた方が良いレベルで良い作品だと思う。監督の原作への深い愛とオタク心が随所に見られて見ていて間違いなくこれはシティーハンターだ!って断言出来る素晴らしい出来映え、監督曰く続編も計画中らしいし楽しみ。 -- 名無しさん (2022-11-17 02:13:39)
  • 序盤のお馬鹿な展開、中盤の各キャラの過去や背負うものが明かされるしんみりとした展開、そしてフィナーレに向かって一気に畳み掛ける展開とともにカッコいい冴羽のスーパーショット。まさに原作を見てるような雰囲気を味わえる名作。ただ、実写としてはコミカルすぎた演出が評価を下げた一因だったのかもしれない。 -- 名無しさん (2022-11-17 02:45:18)

#comment(striction)

*1 実写版パンフレットより。
*2 とは言え、原作でも序盤の頃は娘のために頑張るお父さんの心意気に打たれ依頼を受けたこともあった

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