登録日:2020/03/10 Tue 13:08:34
更新日:2024/05/16 Thu 12:59:27NEW!
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銀河英雄伝説 脇役 鞭 変質者 スキンヘッド かませ犬 道原かつみのお気に入り 銀河英雄伝説登場人物項目 銀河帝国 何故か立ってしまった項目 江川央生 間宮康弘 モブキャラ 拷問係 ゴーモン係 何故か立ってしまった項目 ← それもミッターマイヤーの項目の約4年2ヶ月前に
拷問係とは、田中芳樹の小説作品『銀河英雄伝説』の登場人物である。
出番が用意されたのは外伝第1巻「星を砕く者」で、同巻のエピソードを拾った道原かつみのコミカライズ版にも登場している。
アニメ媒体での担当声優はOVA版では江川央生氏、劇場映画『Die Neue These 激突 第一章』では間宮康弘氏。
人物
銀河帝国・内務省社会秩序維持局の雇員で、本名は不明。ちなみに平民出身。
外見は原作の地の文では「巨体の所有者」とだけ表現されており、道原かつみの漫画版ではブーメランパンツ一丁にスキンヘッドの、筋肉モリモリマッチョマンの変態といった容貌で描かれている。
得物は電磁鞭。
人物像については地の文ではっきり「変質者」と断ぜられており、他者への拷問を職務とすると同時に、自身の趣味にして生き甲斐としている。
自分の拷問相手を「素材」と看做し、芸術家気取りで痛めつけることを大いなる喜びとする、はっきり言って筋金入りの危険人物。
とはいえ、肩書の通り「拷問係」としては全くの無能という訳では無く、ゴールデンバウム王朝の貴族達にとって不都合な共和主義者や不敬罪を犯した者を拷問し、精神と肉体を痛めつけるという点に関してはむしろ有能な人物であるらしい。
とかく拷問に就いては秀でた技量の持ち主であり、麻酔無しで相手の歯を抜いたり、失血死しない程度に腕や脚の肉を切り取る術に長けているようで、地の文でも「仮に今の職場を追われるような事があっても、それらの技量を活かして歯医者の助手なり肉料理の名人なりで社会的に通用するであろう」と評されており、事実、拷問係の職務以外にもしばしば他の場所に招かれてその技倆を披露し、それ相応の報酬を受け取る機会も多かった模様。
反面、奴隷根性というべきか、抵抗しえない者、弱い者相手には限度を知らぬ残忍さで接する一方、権威を持った人間に対しては卑屈を極める態度で追従するというもので、ぶっちゃけるとその人間性は思想も理念もない「小物」の一言である。
来歴
元を辿れば帝国暦486年に発生した「クロプシュトック事件」が事の発端である。
家系の権威を盾にして民間人に暴虐を働いた挙句、虐殺したブラウンシュヴァイク公爵の縁者コルプト大尉を、当時少将だったウォルフガング・ミッターマイヤーが軍規に法り銃殺したことで、それを逆恨みしたブラウンシュヴァイク公オットーを始めとする門閥貴族がミッターマイヤーを陥れ、不当に監禁。
そして、電磁石式の手錠で自由を奪われ、毒が入っていてもおかしくないが故に食事も満足に取れないながらも、僚友ロイエンタールを信じて日々を過ごしていたミッターマイヤーの前に姿を現したのが彼、名も知れぬ拷問係である。
拷問係も元々ミッターマイヤー同様に平民出身であったが故に、その点で彼を憎悪する事すら無かったものの、「平民でありながら27歳の若さで少将となり、閣下と呼ばれるようになった男」という相手を拷問できるというのは、拷問係にとっては格別の素材そのものであった。
特に先日、別に与えられた「素材」が、麻酔無しで奥歯を3本抜かれただけで失神してしまった体たらくであったため、拷問係自身も欲求不満を抱えていたというのが、そのサデスティックな人間性に油を注いでいたといえよう。
……以上の身の上を丁寧にミッターマイヤーに話した拷問係であったが、相手が恐怖の表情を顔色に一切出さず、不敵な態度を崩さずにいる事に対して不満を抱き、得物の電磁鞭をミッターマイヤーに振り下ろす。
ミッターマイヤーは俊敏に避けようとしたが、彼の回避先を見越していた拷問係の技量の方が一枚上手であり、鞭の一撃は無残にも彼の右肩から右胸にかけて、文字通り鞭打つこととなってしまった。
「ほう、悲鳴をあげられないのは、さすがですな。柔弱な若さまや坊ちゃん方とはものがちがう。だが、それだけに楽しみも多いというものです。
門地もなく二〇代で提督と呼ばれるような人が、いつ自尊心を放りすてて助けてくれと喚きたてるか、
その一変する瞬間が、それはそれは甘美なものなのですよ。理解していただけますかな」
そう自らのサデスティックな性癖全開な言葉をミッターマイヤーに告げると、電磁鞭による更なる一撃を相手の顔面に加えようとする拷問係。
……が、既にミッターマイヤーは拷問係の動作の欠点、「相手に対する威嚇の必要のために振りかざす動作が大きく緩慢」をたった一撃で見抜いており、拷問係の脚を横払いで薙ぎ払う。
結果、相手が回避するものとばかり思いこんで、反撃に対して無策であった拷問係は、そのまま地べたに叩きつけられ、更に自身の得物であった電磁鞭が身体にまとわりついて横転、地の文で「コンクリートの壁ですら赤面するほど」まで評されるほどの無様な悲鳴を挙げる事となってしまった。
と、そこに現われたのは拷問係の雇い主であるフレーゲル男爵。
ひいひい呻きながらもようやく這い起きた拷問係は、男爵をにらみつけるミッターマイヤーに代わり、
「これは若さま、このような卑しい場所に、足をお運びいただきましょうとは」
と、権力者に対する露骨な媚び諂いを見せるのであった。
なお、当のフレーゲル男爵は拷問係に対しては侮蔑の目線で一撫でしたのみで、その関心は憎きミッターマイヤーへとすぐさま切り替わってしまった。哀れ。
以上、『銀河英雄伝説』における拷問係の出番はこれだけである。
作中での台詞は上記で紹介した二言のみ、文庫にして僅か4ページ足らずの出番に過ぎない。
この後フレーゲル男爵と共に牢を退出したものとは思われるが、地の文でも特にそのような言及すら省かれてしまっている有様。
早いが話、脇役とモブキャラの中間くらいの立ち位置……それが、この拷問係というキャラクターの全てである。
しかし、そういう微妙な立ち位置のキャラクターと言う点に対して魅力を感じる奇特な銀英伝ファンも少なくないようで、コミカライズ版を担当した道原かつみもヨブ・トリューニヒトと共にお気に入りのキャラクターとして挙げている。
ちなみにフレーゲル男爵に雇われてミッターマイヤーを拷問して以降の彼の去就については当然と言えば当然だが全くの不明。
順当に考えれば、ラインハルトが銀河帝国を簒奪した後の国家清浄化によって粛清されたという解釈もできなくはないが……
案外こっそり生き延びて、ローエングラム王朝の片隅で、地の文で示されたように肉料理の名人なり歯医者の助手なりの手に職付けて、細々と生活している可能性もなくはないのかもしれない。
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- ラングの個別項目ないのに拷問係はできるのか… -- 名無しさん (2020-03-10 15:01:05)
- 肉料理の名人か。オフレッサー特製のフリカッセみたいなものかな? -- 名無しさん (2020-03-10 20:14:43)
- なんで今頃になって個別項目作ったんやw -- 名無しさん (2020-03-10 20:34:55)
- ミッターマイヤーすら項目無いのに…w -- 名無しさん (2020-03-10 22:21:30)
- あのコスチュームは自前なのかね -- 名無しさん (2020-03-18 22:42:39)
- 新作はしっかりプロっぽい。映画館だとミッターマイヤーの生い立ちをやってすぐコイツが出てくるから「貴族の下で働くある種の職人」同士の対決って図になって面白い。 -- 名無しさん (2022-03-23 22:34:54)
- 【朗報】ウォルフガング・ミッターマイヤー、個別項目作られる 【悲報】ミッターマイヤー元帥、「クロプシュトック事件」を機に無実の罪で監禁された彼の拷問を任せられた拷問官に個別記事の作成が約4年2ヶ月遅れる -- 名無しさん (2024-05-13 18:59:32)
- ある意味ではミッターマイヤーのもう一人の伴侶と言える漢♂ -- 名無しさん (2024-05-13 19:55:43)
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