登録日:2020/02/18 Tue 16:43:03
更新日:2024/05/16 Thu 12:44:37NEW!
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scp foundation scp explained ワンダーテインメント博士 gol 折り紙 scp-ex
今の人々には、希望が必要です
それを与えるためなら私たちはヴェールを脱ぐことを厭いません
SCP-445-EXはシェアード・ワールドSCP Foundationにに登場するオブジェクト。
オブジェクトクラスはEuclid→Explainedである。
Explainedは「異常性の原因が解明されて異常と呼べなくなった」
「そもそも異常ではないと判明したが削除せずに記録を残したい事情がある」
「一般社会へ隠匿することが不可能になって諦めた」などを表すクラスだが、この場合は最初のケースである。
そのため収容プロトコルも「現在では収容のために特別なことは行わない」と設定されている。
概要
SCP-445-EXは「ワンダーテインメント博士の折り紙ゲーム」と書かれた折り紙のコレクションである。
中には36色のさまざまな色の大きな紙と、それで多種多様な形の折り紙を折るための図が書かれた小冊子のセットである。
説明の通りに紙を折っていくと色々な形が出来上がるのだだが、折り紙を作るだけでなく完成品が勝手に動くのだ。
例えば指定の紙で手順書の通りに折り鶴を作って、
その鶴の指定された位置に塩をかけると鶴がパタパタと羽ばたくのだ。不思議!
SCP-445の詳細な内容
各地のおもちゃ屋で「ワンダーテインメント博士ブランドの折り紙」が店頭に並んだことで
財団はあわてて回収してEuclidのオブジェクトクラスとSCP-445のナンバーを付与した。
内容物を解析したところ、紙の各所に微細な誘電エラストマー*1が仕込まれており、塩によって電荷を与えると物理的に形状を変える効果があり
それによって折り紙の形が変わっていくため折り鶴が羽ばたいたりするのだった。
…あれ?
前述の通り財団の解析によって「手で折って作った折り紙が塩をかけるだけで動く」という奇妙な効果を確認したのだが、
それ自体は(非常に高度かつ精密だが)現代の科学に裏打ちされた原理で動いており
一切の異常性を利用せずに同一のものを再現することができたのであった。
…なんかおかしくね?
SCPオブジェクトの中にはそれ自体に異常性がなくても、普通はありえない場所や状況でそれが出現することが異常だというケースがある。
この折り紙自体が異常性がなくても、それがお店に突如出現したらそれは異常現象に間違いない。
だが財団の追跡調査によれば、各地のおもちゃ屋は正常なルートを介してSCP-445のセールスを持ちかけられ、
おもちゃ屋が売買契約を結ぶと正規の業者を介してSCP-445が納品された。
そしてSCP-445は実在する工場から生産と配送がされており、全てにおいて異常な痕跡は見つからなかった。
…これワンダーテインメント博士の製品でしょ?
いったいどういうことだ!?ワンタメ博士が何の異常性もない玩具を普通に販売しているだと?
財団はワンダーテインメント博士に「Gol-386」のナンバーを付与して専用の調査チームを編成しているが
彼らの調査結果によればSCP-445の生産工場の責任者の名にワンダーワールドの住人が2名確認された。
ワンダーワールドはワンダーテインメント博士の関係者として調査チームのリストに上がっている人々である。
つまり財団が把握しているワンタメ関係者が2人勤務している以外は一切の異常性が見つけられなかったということである。
Gol-386研究調査チーム長:エバーウッド博士
エバーウッド博士の指揮のもとで長年ワンダーテインメント博士を調べていた調査チームだったが、
異常性を用いない「製品」を発見したのは今回が初めてである。
会議の結果、SCP-445の折り紙に書かれた製造元の電話番号に直接問い合わせることにした。
少なくとも工場も業者も実在するのだから電話番号もそうだろうし、よほどおかしな聞き方をしなければ問題は起きないだろう。
Golとの接触記録
日時:2042年4月12日
インタビュアー: メイ・ウォータース
※彼女は過去に他のワンタメ博士の調査でワンダーワールドの人間に問い合わせた経験がある
インタビュー対象:SCP-445に記載された番号のコールセンター
回答者:こんにちは。「ワンダーテインメント博士の折り紙ゲーム」のヘルプホットラインです。
メイ :ハロー、メイ・ウォータースです。前にも問い合わせたことがあったんですけど
メイ :この製品にはなんというか…他の製品のような「魔法」が欠けているように感じたんです。
メイ :その…ある程度の不思議と幻想を期待して御社から購入したのですが…
メイ :どう表現すればいいのかわかりませんが…どうしてこの製品には「スパークがない」のでしょうか?
回答者:(しばらくの沈黙の後で)ええと…それについてはすぐには答えられません。
回答者:お待ちください…(紙をめくる音)あなたは…Gol-386を調べているのですか?
メイ :!?…Gol?
回答者:そうです。もしあなたがそれについて知らないのであれば忘れてください。
メイ :(他のGol調査チームと相談をした後で)そうです。Gol-386はワンダーテインメント博士のコードで
メイ :私たちはSCP財団を代表して電話しています。今回のこの製品は何の異常性も害もありません。
メイ :それは私たちにとってはとても喜ばしいことなのですが…ただ、
回答者:理由を知りたい?
メイ :はい。
回答者:(興奮と逡巡の息遣いをしながら)わかりました。
回答者:いえ、私達も財団の方々が連絡してくるのを待っていました。ただ少し保留させてください。
メイ :もちろんです。
(しばらく電話が保留され、その間にメイとGol調査チーム間で再度打ち合わせを行った)
回答者:ハロー。(先ほどの回答者とは違う女性の声)
メイ :ハロー、あなたはどなたですか?
ホリィ:こんにちはウォータースさん。私の名前はホリィ・ライト。
ホリィ:かつてはホリィ・ライト・ワンダーテインメント博士と名乗っていたのよ。
ホリィ:あなた方の最大の標的の友達でもあるわね。
メイ :標的?それはジュディ・パピルのことを言っているんですか?
※Gol-386チームは現在の「ワンダーテインメント博士」を襲名しているのがJ・P・ワンダーテインメント博士であることをつかんでいる
ホリィ:そうよ。彼女は私よりもずっといい「ワンダーテインメント」を創造してくれているわ。
ホリィ:ところで、あなた方は私に聞きたいことがあるようだけど、
ホリィ:せっかくだから直接会って話してみませんか?私も財団の方に話したいことがたくさんあるの。
Gol-386チームは今回の事態の謎を解く鍵になるならばと彼女との面会に合意した。
(相応の準備や裏工作はしたと思われるが)
日時:2042年4月中旬午後3時
場所:ボストン、ドニーズコーヒー(折り紙工場近辺)
会合に来るのは向こうがホリィ女史、こちらはエバーウッド博士のみ。
エバーウッド博士:本日はよろしくお願いします。
ホリィ・ライト女史:素晴らしい日ですわ。私はワンダーワールド以外の場所で人と会ったことはないのです。
博士 :良い経験になると願っていますよ。
博士 :さっそくですがなぜあなた方は例の折り紙ゲームを何の魔法もなく製作したのですか?どんな思惑があって?
ホリィ:それはあなた方のためですよ。財団の方々に会いたかったから。ああすればきっとあなた方はこうすると思ったのです。
このインタビュー自体は色々興味深い内容があるのだが
内容が長かったり示唆的な会話が多いので要点のみ箇条書きしていく。
- ホリィは1999年にワンダーテインメント博士の座を先代から引き継いで子供達の笑顔を生み出すために魔法の商品を生み出す活動を続けた
- そこから40年以上の歳月が経ち、活動そのものは順調だったが、商品を届けるべき子供達の側に問題があった
- 2040年、自然破壊や政情不安、あらゆる要因で世界の人々から希望が減少してワンダーテインメント博士が魔法を届けるべき子供すら出生率減少で減っていた
- ワンダーワールドで活動を続けていたホリィは徐々に心が疲弊していき、子供に笑顔を与えたいという希望を失ってしまった
- なのでホリィはジュディ・パピルを後継者に指名した。ジュディは優れた「ワンダーテインメント博士」として活動しているがホリィは違うアプローチを試みた
- 「ワンダーテインメント博士」は魔法の品で子供に笑顔を与えることができる。だが博士の力でも魔法の品を子供達すべてに行き渡らせることは難しい。1人の子供にプレゼントを贈っている間にそれを必要としつつも得られない子供達が山ほどいる
- そんな子供達にまで笑顔と希望を届けるためには支援が必要だ。だから財団がそれを手伝え
- その代わりと言ってはなんだがワンダーテインメントの商品の供給を財団が手伝うなら「ワンダーテインメント博士」の魔法の技術は財団に提供する
- 財団は異常なものを収容するが、解明(Explain)された技術を自分のコントロール下で世界に広めることは不都合ではないはずだ
財団との付き合いの長いホリィがこんな提案をするからには財団がワンタメ博士由来の技術を他のアノマリー対処に使うことも反対しないのだろう。
エバーウッド博士:今の私には何も確約はできません。ですがO5は検討はするでしょう。
博士 :彼らとてアノマリーを扱う団体が非異常化することを望むはずです。
ホリィ:ぜひ、検討をお願いしたいわ。
博士 :ぜひとも。
ホリィ:エバーウッド博士、今日は話を聞いてくれてありがとう。
ホリィ:私に希望を与えてくれてありがとう。
2042年6月18日、O5は彼らの要求を受諾しワンダーワールドと平和的な業務提携を結んだ。
Gol-386調査チームはそのままワンダーワールドとの折衝チームに改変しワンダーワールド内で業務を行っている。
世界は今日も不安定で、人類の平和も財団の明日もどうなるかわからない。
だが子供達に希望と笑顔を与えるという行為は世界を救う礎となるかもしれない。
それを支援することが財団の仕事の一つに加わったのだった。
SCP-445-EX The Word of the Day is Hope
長年追い続けてきた相手の謎を解明したエバーウッド博士は財団を退職した。
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補足や追記
このSCPはワンダーテインメント博士ハブの中の一つである「ワンダフルワールド」に属している。
ボストンに入り口がある異世界ワンダーワールドに「ワンダーテインメント博士」やワンダーワールド市民が生まれて暮らしており
子供の無邪気さや笑顔を得るためだけに活動している世界なのだが
その性質から他のハブどころかワンダフルワールド以外のワンタメ博士のハブともカノンを共有していない。
とはいえ人に笑顔と希望を与えたかったワンダーワールドと
(この記事では略したがホリィは長年の間苦しみ悩んだ末での決断だったことがわかる)
人類の平穏を守りたい財団がとった一つの選択を描いているのがこの記事である。
また、Explained記事は最初からそのナンバーで記事を執筆するので
SCP-445-EXもいきなりそのナンバリングで投稿されており
先にSCP-445があってそれをSCP-445-EXに直したわけではない。
(SCP-445はSCP-445-EXとは無関係で独立して記事が存在する)
なのだがSCP-445は「折ると異常な作用で動物などができるワンダーテインメント博士製の折り紙」というオブジェクトなので
SCP-445を元ネタとしてSCP-445-EXの番号を振ったのだろう。
追記・修正は子供に希望を与えてからお願いします。
▷ CC BY-SA 3.0に基づく表示
SCP-445-EX The Word of the Day is Hope
by DarkStuff
http://www.scp-wiki.net/scp-445-ex
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▷ コメント欄
- こんなに若い番号で「今までワンタメ博士は異常性のあるものばかり作ってきたのに」ってどういう事じゃーい!…と思ったら、そういう事か…445自体はすごく古い作品だけど445-EXはそうでもないんだね -- 名無しさん (2020-02-18 17:44:36)
- まだ下にスクロールできるから「なーんちゃってwwwおかしくって腹痛いわぁwww」かと思った。ワンタメ博士はそういう人じゃないって! -- 名無しさん (2020-02-18 18:02:41)
- ↑それやるのは「博士」の方やな。日本支部のワンタメさんのパチモン -- 名無しさん (2020-02-18 20:21:55)
- こうゆうの見るとやっぱ博士クソだわ -- 名無しさん (2020-02-18 21:27:10)
- 楽しもうね! -- 名無しさん (2020-02-18 21:32:18)
- 「博士」もこういう世界観だと楽しめる相手が少なすぎてうんざりしてそうではある…どちらも良い反応をくれる誰かさんがいないと存在意義が無くなっちゃうからね -- 名無しさん (2020-02-18 21:34:26)
- ワンタメ博士って本国でも女性イメージなんだろうか -- 名無しさん (2020-02-19 08:39:58)
- ↑ワンダーワールドハブではね -- 名無しさん (2020-02-19 11:11:14)
- なにもおかしくないもん売ってるのみて「おかしくね?」は毒されすぎてて草はえる -- 名無しさん (2020-07-19 16:49:09)
- ジョークとはまた違う番外編というEXの使い方は面白い -- 名無しさん (2021-09-05 18:05:20)
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