降三世明王

ページ名:降三世明王

登録日:2016/11/15 Tue 21:31:47
更新日:2024/01/29 Mon 13:44:15NEW!
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仏教 密教 ヒンドゥー シヴァ 明王 五大明王 不動明王 大日如来 阿閦如来 踏みつけプレイ 降三世明王



■降三世明王

降三世明王ごうざんぜみょうおうは大乗仏教(密教)の尊格の一つ。
明王部の中でも特に重要な働きを与えられた五大明王の一尊として知られる。
異名に勝三世明王、孫婆明王がある。


【概要】

梵名をトライローキャヴィジャヤと云い、一般的には「三界(過去・現在・未来)に渡り三毒(貪・瞋・痴)を降す者」と記述される事が多いが、より本質的には「三千世界の支配者シヴァを降した者」 とされる。


三毒とは仏教に於いて最も愚かとされる人間の心であり、貪欲(度を過ぎた欲望)・瞋恙(怒り)・愚痴(知ろうとしない心)を指す。


三千世界とは三千大千世界の略で、仏教に於ける仏(仏陀)が教化出来る範囲を示す言葉で、転じて宇宙凡ての意味で使われる。


ヒンドゥーの大神であるシヴァとその妻のウマー*1を踏みつけると云う、他の宗教とは云え罰当たりな姿をしている事で知られるが、実は降三世明王自体のルーツが当の足下に破れたシヴァにあると見なされている。


つまり、仏の教えを受けて転身した己が己を罰しているのである。


また、降三世明王のインドでの名として挙げられるシュンバ(ソンバ)・ニシュンバ(ニソンバ)はインド神話の強力なアスラ(魔神)の名である。
神々を散々に苦しめた魔神の兄弟の名前により、外教の神々を威圧せしめる降神、降魔の尊格が降三世明王なのだと云える。


日本に入る前は不動尊よりも信仰が目立つ程の尊格であったらしいが、日本では密教思想を持ち帰り完成させた弘法大師により五大明王の一尊として纏められた。


降三世夜叉明王は阿閦如来の教令輪身であり、東方に配される。


【説話】

大日如来(仏陀)が宇宙の教化を進めていた時の事、宇宙に生きる凡るものが仏の教えに従ったが、大自在天(シヴァ)と妃の烏摩妃(ウマー)のみは自らが「三千世界の創造主」であるとして、これに従わなかった。
仏陀は仕方なく不動尊を遣わしこれを捕らえさせたが、それでも降伏しない。


不動尊が伺うと、仏陀は断罪すべきとの命令を下したので、仕方なく不動尊は降三世明王の姿を執って大自在天と烏摩妃を踏みつけ殺害SATSUGAIした。


この後、仏陀は不動尊に命じて大自在天と烏摩妃を生き返らせると、仏の力と優しさに感服した大自在天は教化を受け入れたと云う。


……前述の様に、降三世明王と大自在天がルーツを同じくするとしたが、更に不動尊もまたシヴァ神にルーツが求められる尊格である(更に、不動尊は命令を下した仏陀の化身でもある)。


この、殺される者と殺した者を同根(因果で結び付いた同じもの)とする思想が仏教にも深く根付いてる凡インド的思想の顕れであり、彼らは本質的に同じものだと云えるのである。
わけがわからないよ?悟りが拓けるまで悩めばいいじゃない。


因みに、原始仏教で残されたレリーフ等では名前を変えずにシヴァ神その物が仏教の守護者として取り入れられている。
この仏教の守護者としての役割が不動尊や降三世明王、大黒天へと引き継がれていったのであろう。


【インド神話】

創作でも人気のカーリー女神の誕生譚である「デーヴィー・マーハートミヤ」に降三世明王の属性の一つであるシュンバ、ニシュンバの魔神兄弟が登場してくる。
共に「破壊」を意味する兄弟は、嘗て神々を打ち倒すもドゥルガー女神に破れたアスラ王マヒシャの無念を晴らすべく、今度は自分達で手下の軍勢を率いて神々の世界に侵攻して再びこれを支配してしまった。


ある時、配下のチャンダとムンダがガンジス河でアムビカーという女性を見初め、ボスの妃にするのはどうかと提案した。
シュンバはさっそくアムビカーのところへ行って求婚したが、これに対して美女は「戦いにおいて自分に打ち勝った者だけが私の夫になる資格がある」と告げるやいなや、殺戮者のエントリーだ!ドゥルガー女神としての正体を顕し魔神に挑みかかった。


これを見て魔神に敗北していた神々も立ち上がり、再び争いが開始されるも魔神軍団は手強く今度はドゥルガーすらも劣勢に追い込まれた。
この危機的状況の中でアスラ殺すべし!怒りで真っ黒に染まったドゥルガーの内からカーリー女神が出現。
チャンダとムンバを打ち倒し、みずからの流した血から無限に再生する能力を持つラクタヴィージャをもその血を吸い尽くして殺害と、魔神軍団を圧倒。
最終的には神々のトップ4(ブラフマーシヴァヴィシュヌインドラ)の力を借りてやっと魔神兄弟を倒すことが出来たと云う。


仏教に於けるシュンバ、ニシュンバの名前は金剛界曼陀羅の孫婆菩薩、爾孫婆菩薩としても見られるが、元のインド神話の悪名や降三世明王、勝三世明王とはかけ離れた柔和な姿で顕されている。


【像容】

四面八臂で降三世印を結び、戟・弓・金剛索・金剛杵・箭(矢)・剣を持ち足下に大自在天と烏摩妃を踏みつけている
中央の面には三眼があり、額の眼はシヴァ神を思わせる。
異名を勝三世明王といい、この場合には一面二臂で顕される。
降三世明王=孫婆明王がシュンバなら、勝三世明王はニシュンバ(爾孫婆)なのかもしれない。


【種字】

■ウン


【真言】


■オン ソンバ ニソンバ ウン ギャリカンダ ギャリカンダ ウン ギャリカンダ ハヤ ウン アノウヤ コク バギャバン バザラ ウン ハッタ(大咒)


■オン ソンバ ニソンバ ウン バザラ ウン ハッタ(小咒)


【余談】

パズドラで何か女体化させられた。……もっと相応しいのが居るのに(軍荼利明王)
パールヴァティーは踏まれたままだが、シヴァは尻に敷かれている


不動「まあまあ」




追記修正は全知全能の神を踏みつけてから御願いします。


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  • まさかのシヴァの強化フォーム扱い。言ってみれば降三世明王とシヴァの戦いはカブトVSハイパーカブトみたいなモン。やっぱシヴァって世界最強だわ -- 名無しさん (2018-06-12 14:18:18)
  • 現在の延長か、あるいは別の世界線の未来のシヴァ自身が、過去(今現在)のシヴァを踏みつけて教化するという流れはシヴァの修業者としての側面を感じる。未来の因果を今現在につなげることにより修行の新たな地平を見出そうとしているのだろうか。 -- 名無しさん (2023-08-24 08:44:47)

#comment

*1 ※シヴァ神妃パールヴァティーの異名として取り入れられる。

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