登録日:2016/11/16 Wed 18:58:44
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仏教 密教 明王 五大明王 ヨーガ 男体化←現代日本人とは逆の発想 軍荼利明王
■軍荼利明王
『軍荼利明王』は大乗仏教(密教)の尊格の一つ。
明王部の中でも特に重要な働きを与えられた五大明王の一尊として知られる。
異名に大咲明王があり、八大明王として祀られる場合はこの名前になると云うが余り知られていない。
【概要】
梵名をクンダリー、或いはグンダリと云う。
“クンダ”が水器や瓶。
“リ”が止めるとなる事から、そのまま蓋のある瓶や水器と解釈された。
そして、この“瓶”がヒンドゥーの神々の霊薬アムリタ=甘露*1の入れ物と考えられた事から甘露軍荼利尊の異名も持つ。
ただし、この名については後述の理由から名付けられたダブルミーニングの可能性もある。
“軍荼利”は、そのまま梵名を音写(当て字)した表記である。
自らの四肢に蛇を絡み付かせると云う、中々に攻めた姿をしている。
蛇の色は赤で執念を顕すとも伝えられる。
この蛇は兪伽(ヨーガ)に於いて目覚めさせられる女神であり蛇たるクンダリニーであると云う。
グンダリの名は、このクンダリニーの男性名への変換とも取れる。
軍荼利明王は強大な霊験を持ち、とにかく扱いが難しいと注意づけられている歓喜天に対して強い影響を持つと説明されている*2が、この理由についてもヨーガと関わる軍荼利明王の成立理由と関連付けられたのかもしれない。
軍荼利夜叉明王は宝生如来の教令輪身として南方に配される。
【ヨーガ】
インドに於けるヨーガの発祥は紀元前4世紀にまで遡り、5世紀以降の形態をヒンドゥー化したハタ・ヨーガと呼ぶが、軍荼利明王の姿はこのハタ・ヨーガの理想を顕したものであるとも研究される。
ハタ・ヨーガ自体もインドにて13世紀に及ぶまで改良がされていったが、その修法は仏教にも強い影響を与えており、この修法を下に西蔵密教や道教、中国禅を経て日本密教にも持ち込まれたと考えられている。*3
ハタ・ヨーガとは“活性化のヨーガ”と説明され、身心を綺麗にするのみならず潜在意識を活性化させて神と一体化するのを目指す。
この際にその潜在意識が目覚め、通り道とするのが七つのチャクラであり、最下層のムーラダーラチャクラからから目覚めるのが“クンダリニー”と呼ばれる性力(シャクティ)の象徴であり、
人間に3回半巻きついた蛇であると解説される。
クンダリニーは、耳環、腕環、螺旋、巻き毛などを意味するサンスクリット語“クンダラ”の派生語“クンダリン”=螺旋を有するもの”の女性人格の変形であることから女神であると考えられた。
このクンダリニーは地方の土着神の名前とも呼ばれるが、名前が近いものを結びつけたのかどうかは不明。
元々ヨーガはヒンドゥーに至る系譜とは別の思想からスタートした修法であったが、後にはバラモン、ヒンドゥーの修行に取り入れられ一体化された。
特にシヴァ神は理想のヨーガ行者と捉えられた。
ヨーガの修法はクンダリニーを目覚めさせてシヴァの域にまで到達させる様子に喩えられ、後には女神クンダリニーと大神シヴァの想像上の交合のイメージが=としてのヨーガの行法の完成と重ねられた。
ここに至り、クンダリニーはシヴァ神妃と合一し、クンダリニー=シャクティはシヴァ神妃パールヴァティーの異名ともなったのである。
そして、軍荼利明王の姿は名称からもこのハタ・ヨーガにより開かれていく肉体と精神の変化をカリカチュアしたものであり、ここからクンダリニーを男性化した姿ではないか?……との予想がされている。
ハタ・ヨーガではクンダリニーの目覚めによりチャクラが拓かれていく段階において休眠している筈の肉体に、五感やそれを越えた領域の感覚を覚えることがあるが、この時に舌に覚える甘い蜜の味を前述の甘露に準え、神の領域へのアクセス法として説明されていたりもする。
よって、軍荼利明王をシヴァ神妃の変形。乃至はシヴァとクンダリニーの合一により覚醒した行者の姿と考えると、息子神であるガネーシャ(歓喜天)に強い影響力を持つのも頷ける話である。母ちゃんが強面のオッサンになってたらそりゃビビるやろ!
【像容】
一面八臂で大瞋印を結び、百蓮華が両足を受ける。髑髏を頭に掲げ、四肢や首には蛇を纏い付かせている……等、省略しない場合の姿が物凄いことになりそうな姿が伝えられる。特に持ち物は説かれていないが宝輪や斧、金剛杵などを持たされたりする。
額には第三の眼があるが、これも第六のチャクラアージュニャーが拓かれた事を示す、シヴァ神と同じシンボルであると見なされる。
【真言】
■オン アミリティ ウン ハッタ*4
■オン キリキリ バザラ ウン ハッタ*5
【種字】
■ウン
追記修正はおチャクラ全開してからお願い致します。
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*1 ※神酒ソーマとも同一視される。興奮作用のある麻薬成分が抽出できた植物や菌類の類と考えられている。*2 ※西蔵密教でもガネーシャに対して影響を与えるとされる為、成立当初からある設定の模様。
*3 ※釈尊の瞑想も古典ヨーガから無駄を省いたものと言える。
*4 ※甘露軍荼利小咒
*5 ※金剛軍荼利小咒
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