登録日:2016/07/17 Sun 04:05:03
更新日:2024/01/25 Thu 13:53:04NEW!
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漫画 名作 sf ホラー akira 大友克洋 双葉社 日本sf大賞 童夢 団地 超能力 フューリー スキャナーズ サイキック アクションデラックス
そーだよ
ボクだよ
童 夢
『童夢』は大友克洋の漫画作品。
1980年~81年に掛けて双葉社の「アクションデラックス」等に4回に分けて掲載。
1983年に大幅に加筆された単行本が「アクションコミックス」から発売された。
【概要】
緻密な作画と動きを意識したカット割りによる実写的なアプローチの描写により漫画界に衝撃を与えた大友克洋による、超能力をテーマとして扱ったSF、ホラー要素を含むオリジナル作品。
79年に発表された『FIRE BALL』と共に、
後に世紀の大作と呼ばれる『AKIRA』の原型となった作品としても知られる。
もちろん、本作自体もまた『AKIRA』と並び、氏の傑作SFコミックとして語られ続けている。
第4回日本SF大賞受賞作品。
【物語】
あるマンモス「団地」にて、不可解な人死にが相次いでいた。
3年2ヶ月の間に25人……。
捜査に当たっていた地元警察の捜査本部を指揮する山川部長は団地に関わる捜査対象を拡大する事を決定。
自ら現場に足を運び管理人から情報を聞いていた山川は、被害者の目撃情報とパトロール中に突如として姿を消した直後に犠牲となった警官の死体から消えてなくなっていた拳銃……といった情報から漠然とながら事件の真相に気づくが、その直後に“犯人”により殺害されてしまうのだった。
事件を引き継いだ新たな捜査責任者の岡村や長髪刑事の高山らは死んだ山川の無念を晴らすべく「団地」に潜む人の範疇を超えた“犯人”に挑むが、意外にも凄惨な事件を終わらせたのは……。
【登場人物】
※以下はネタバレ含む。
■山川
刑事部長。
地元警察の捜査主任。
かなり有能な刑事で、自らが指示した捜査対象の拡大の命令の直後に現場を訪れ、それまでに誰も気付かなかった被害者の共通項に気づき“犯人”の正体に迫るも、その直後に邪悪な“犯人”に誘い込まれた末に殺害されてしまう。
■高山
刑事。
長髪の若い刑事。
死んだ山川の事を尊敬しており、彼の死を切っ掛けに事件に急速にのめり込んでいく。
若いだけあってか柔軟で、現場で山川の幽霊を見たこともあってか超常現象の専門家である金子教授を頼り、行き着いた野々村典子から「子供に気をつけなさい」との警告をも得ていた。
「団地」が破壊されて事件が収束に向かう段階で遂に“犯人”の正体を悟り、彼を監視していたが……。
■岡村
刑事部長。
山川の後任の捜査主任で、山川とは同期で親しい知人であった模様。
飛び降りた山川の死を自殺ではないと疑っており、疑念を持ったからか早々に“犯人”から警告を受ける。
高山同様に“犯人”の正体には気づいていたと思われる。
■佐々木勉
浪人生。
「団地」役員の佐々木の息子で、三浪を重ねるも未だにパッとせずに趣味のプラモデルに没頭する所謂オタク青年。
“犯人”に悦子を殺害する為の傀儡に使われるが失敗。
しかし、悦子への精神的ダメージを狙ってか自らの手で首をカッターナイフで切り裂かされた後に、尚も悦子に迫らされる。
■吉川ひろし
「団地」に住む男の子。
家庭環境が悪く、父親が鼻摘み者となっている事もあってか仲間外れにされてしまっていた。
隣に引っ越してきた悦子や同じく“はみ出し者”のヨッちゃんと仲良くなり、ようやく明るくなってきたと思われた矢先に……。
■吉川
ひろしの父親。
元はトラックの運転手だったが、事故で片足がダメになり、酒に溺れアル中に。
妻(ひろしの母親)にも逃げられ、ひろしからも半ば見捨てられたような状態にあった。
世の中に不満を抱えていたようで、物語の後半“犯人”により悦子を殺害する為の傀儡として利用され、警官から奪った拳銃により殺人を重ねる。
■藤山良夫
通称はヨッちゃん。
「団地」に母親と共に住む青年で、身体は大きいが精神は子供のままで止まっている。
管理人の証言によれば「女の子にいたずらしようとしたとかしないとか」の理由で事務所に連れて来られた事があったらしいが、その見た目から在らぬ疑いを掛けられただけだと思われる。
物怖じしない悦子と、同じく奇異な目でしか見られないひろしと仲良くなるも、“犯人”に操られた吉川に撃たれ、更にひろしまでもが殺されてしまう。
怒りに任せて、追ってきた吉川を壁に叩きつけて殺害。
傷ついた身体で尚も悦子を救おうとするが、悦子と“犯人”の戦いによる「団地」の崩壊に巻き込まれ、投げ出されたひろしの亡骸を抱き止めた後に、共に瓦礫に巻き込まれて消えていった。
矢張り、彼もまた“子供”であった事を示すような場面がある。
■手塚さんの奥さん
流産した母親。
事件そのものには関わりがないが、最初から最後まで強烈なインパクトを残す狂人。
楽しみにしていた赤ん坊を流産。
更に、噂によれば頼み込んで見せてもらった我が子が胞状奇胎であったことから心が壊れてしまったのだと囁かれる。
以来、誰も乗っていない乳母車を押してブツブツと呟いたり子守り歌を歌いながら辺りを徘徊している。
終盤、死んだひろしを見つけて念願の子供を得るが「団地」の崩壊に巻き込まれる。
ひろしの死体を投げ棄てた後に狂喜の笑いをあげていたが、その直後に足場が崩落。更に頭を柱に潰されて死亡。
■野々村典子
霊能者。
一見すると普通のおばちゃんだが、凄腕のシャーマン。
超自然的な力の関わりを直感して手掛かりを探していた高山が行き着き、自身も高山の目的を察していた模様。
……が、現場の「団地」を訪れたことで何が起きていたのかを知り、その恐ろしさの前に自分の無力を悟り手を引く事を告げる。
更に高山に「子供に気をつけなさい」との忠告を与えた。
■悦子
引っ越してきた女の子。
この物語のヒロインにして最強の超能力者。
一見すると普通の女の子で、家族や周囲からも全く浮いていないが実は“犯人”をも凌ぐ圧倒的な超能力を持っており、来て早々に“犯人”の悪戯を看破してしまった。
その事を危険視され、幾度も“犯人”に命を狙われるが、悦子自身は“犯人”を自分と同じ子供(仲間)と見ていた節があり、その事が事態の悪化を招いてしまった面もあると言える。
結果的に、仲良くなったひろしやヨッちゃんを失い「団地」をも破壊した“犯人”の邪悪さを許せないと判断。
「団地」の破壊の後に京都の母親の実家へと再び引っ越していた筈だったが、裁きを与えるべく“犯人”の眼前に。
“犯人”との壮絶な超能力の押収の末に、団地の「子供」達の力をも加えて“犯人”に止めを刺した。
元から強力な超能力の持ち主だが、感情が爆発した時には自分でも制御出来ない程の力の暴発が起きる。
名前の由来は石ノ森章太郎の漫画『サル飛びエッちゃん』からとの事。
■内田長二郎
独り暮しの老人。通称はチョウさん。
同居していた娘夫婦からも見放されて一人で「団地」に残された老人。
元より“そうだったのか”或いは孤独な身の上となった事が原因なのかは定かでは無いが、精神が無邪気で奔放、それ故に残酷な「子供」となっており人知を超えた超能力を発揮する。
自らの思うまま、欲しいままに気紛れに「団地」の人々を殺害していた“犯人”であり、自分の正体に気付いた人間もすぐに消しにかかる等、注意深く狡猾でもある。
しかし、自分をも越える超能力の持ち主である悦子を危険視して執拗に追い詰めた事で悦子ばかりか団地の「子供」達にも敵として認識されてしまう。
「団地」の破壊後、悦子も消えて安心していたが……。
直後の見開きによるアップは漫画史に残る。
■子供達
団地に住む子供達。
子供は無限の夢を見ているのです。
【余談】
※緻密すぎる背景は当時アシスタントを勤めていた漫画家の高寺彰彦が独力で描き上げたとの事。
※大友克洋の転換期を代表する作品であり、リアリティーを重視していた作画から『AKIRA』に見られるようなヒロイックな要素が終息に向けて作中で加わっていくのが見て取れる。
※舞台となる「団地」のモデルは埼玉県川口市の芝園団地。
所轄警察署は旧川口警察署との事。
追記修正は自由なイマジネーションを広げてお願いします。
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▷ コメント欄
- こんな作品があったのか… -- 名無しさん (2019-06-20 13:05:30)
- まぎれなく漫画史における古典の一つであるが以降のフォロワーが多すぎてどうしても古臭くなってしまい、今はもう読まれない漫画になってしまっているからね。 -- 名無しさん (2023-05-29 17:16:53)
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