オタク

ページ名:オタク

登録日:2011/10/28 Fri 00:22:05
更新日:2023/10/30 Mon 13:44:17NEW!
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[[君も…オタクかい?>ハル・エメリッヒ(オタコン)]]



『オタク(ヲタク)』
現在では主にアニメ、ゲーム、(主に女性)アイドル*1などのサブカルチャー系文化を好む人々の総称。
広義では、それぞれの分野の事物に並々ならぬ興味や関心、含蓄、そして好意を持つ人々を指す。
略称は『オタ(ヲタ)』。
英語では『geek(ギーク)』『nerd(ナード)』『otaku』等と訳される*2


概要

一昔前はSFやアニメのファンを指していたが、今ではより広いジャンルを包括しており明確なオタクの定義はなく、マニアやファンと同じ意味で使われている事も多い。
が、今現在世間一般でオタクと言えば、アニメやアイドルなどを好む「アキバ系」を連想する人が多い。
他にはミリオタ(軍事趣味)や鉄オタ(鉄道趣味)、ガジェオタ(電子機器趣味)やら色々いる。様々な分野に強い関心を持ち、それ相当の知識量を持つ人間も多い。


その様な人と出会ったとき、そっと彼らの話に耳を傾けて欲しい。
それは、彼らとの人生のアイデンティティ共有へと繋がるだろう。


一方で、ステレオタイプのオタク像として、

  • 不健康な体型
  • 不細工
  • ファッションや髪型に無頓着
  • 臭い
  • 友人が少ない
  • 異性にモテない
  • 弱々しくて頼りない
  • ニート
  • PC等の電化製品に詳しい
  • アニメ、ゲーム、アイドルが大好き
  • 二次元キャラが嫁
  • サブカルチャー以外に興味がない

などが挙げられ、こうしたイメージを持つ者も未だに多い。
しかし、これらは偏見や差別として、ネガティブなイメージでオタクを語った者が炎上するケースもしばしばある。
勿論、全てのオタクがこうしたイメージに当てはまる物ではないという事は言うまでもない*3


1980年代後半から1990年代に出没しはじめ恐らくセーラームーンが発端となり、ステレオタイプのオタク像が輪郭を見せ始める。


ヤマトガンダムエヴァ、デ・ジ・キャラット、CCさくら等、
アニメの多彩化によりその人口は加速度的に上昇した。
近年では深夜アニメや配信アニメ等によりその門を大幅に広げている。


更に世代の変化などもあって芸能人や実業家などの著名人にもオタクである事を公言する人も珍しくなくなった。
今やジャニーズや富豪のオタクもいるほどである。


そのため、ネガティブなイメージで語られやすかったオタクも市民権を得てきており、「オタク」という言葉が内包するマイナス要素は薄れてきている。
焼け石に水?聞こえんなぁ~。真面目な話をすると、年代によって反応が異なることに注意。


そもそも現代日本ではゲーム機やPC、スマホの普及などもあり、(特に若い世代ならば)サブカルチャーに全く触れていない人の方が珍しい時代である。
むしろオタク文化に一切触れたこと無いと言う人の方が少ないかもしれない。最近ではこうした趣味を持つ人であっても自分がオタクである事を誇示しない人もいる。


参考資料からの抜粋

富野 問題なのは「オタク的」っていう言葉の使い方だと思いますね。
(中略)
僕は数年前から、オタクっていう言葉を安易に使えなくなっちゃったのね。
岡田君が言うように、平均的な日本人の中に「オタク的」な要素が蔓延している。もはやこれは一部の特殊な人々の問題として、おもしろがっている場合じゃないと思う。

出典:富野由悠季・岡田斗司夫対談「オタク学入門最終講義:ガンダムは何を教えてくれるのか」、岡田斗司夫『オタク学入門』(新潮文庫、2008年)に収録されている


参考資料からの抜粋

しかしその後、社会の共通性はいよいよ解体し、大衆は分衆化する。そのためオタクは「中心─周辺」概念では捉えられなくなり、オタクの逸脱性は和らげられていく。
大衆が分衆化によって多様性を失い、集団の正統性が弱まって危機化したので、時代と関係なく存在していたオタク文化が相対的に確からしさを人々に与えるようになってきたのである。
このように、正統文化が解体してオタク文化のもっていた周辺性・逸脱性は解除された。

出典:樫村愛子『ネオリベラリズムの精神分析』光文社新書、2007年


語源

「おたく(御宅)」とは、もともとは山の手言葉の二人称であったが、初対面の同好の士との距離感を図りかねたオタクたちが、適度に距離感のある二人称として使い始めた。
これに目を付けた評論家の中森明夫が「彼らをオタクと呼ぼう」と提唱。1983年のことである。


参考資料からの抜粋

アニメファンの小学生や中学生が「おたくらのセル画あれでしょ……」とかそういう言い方をするでしょう?
大人のサラリーマンが「おたくは……」というのは聞いたことがあったけど、僕が小学生や中学生の時、使ったことなかったから奇妙な感じを受けたんです。

出典:中森明夫氏インタビュー「〈おたく〉族の神話学」、『筑波學生新聞』1985年3月臨時増刊号


当時は竹の子族やカミナリ族など、サブカルチャーに耽溺する若者を「〇〇族」と呼称してくくる風潮があったため、最初は「おたく族」と呼ばれていた。


参考資料からの抜粋

おたく族──アニメ映画に並ぶ行列や、パソコンショップにたむろってるガキんちょどもの会話に耳をかたむけるとみると、「おたくさー……」てな調子で、友達を「おたく」呼ばわりしているのに驚かされる。小学生時代から、このように相手との関係性に適度な距離を保とうとする二人称を使用することは、なんとなく修学旅行のお風呂で海パンはいての“ハダカのおつきあい”に通じる。
で、アニメファン、SF読者、マイコン少年、カメラ小僧……等、わりにマニア性の強い趣味に溺れている青少年を総称して、俗に“おたく族”と呼ぶならわしがある。ほら、色白・小太り・銀ブチめがね・不潔な長髪・趣味の悪いファッション・ショルダーバッグ……思いあたるでしょ。ところで、おたく、“おたく”?

出典:中森明夫「20代感性事典」、難波功士『族の系譜学 ユース・サブカルチャーズの戦後史』(青弓社、2007年)に引用されている


余談

冒頭でも触れたが、日本語の「オタク」に相当する英単語はいくつかある。
代表的なのは『geek(ギーク)』『nerd(ナード)』の2つだが、それぞれニュアンスは異なる。
ざっくりと言うと、ギークは「ある特定の分野、特にコンピューター等の技術的分野において、専門的な知識を有する人」、
ナードは「ある特定の分野に傾倒し、社交性に欠ける人」といった感じ。
後者の方が日本語の「オタク」に近いとも言われるが、ネガティブな意味合いが強いため注意が必要。「コミュ障オタ」というのが一番近い表現かもしれない。
また、日本製のアニメや漫画の流行に伴い、それらの愛好者を日本語からそのまま『otaku』と呼んだりもする。


2013年頃からSNSを中心に「イキリオタク」という言葉がよく使われるようになっているが、これは意気がるオタクに対する蔑称である。
具体的には、自分はステレオタイプなオタク像とは違う事*4を自慢したり、DQNのような言動が目立つオタクを指す。
ただし、イキリオタクに感じるかは主観による面も大きい為、安易なイキリオタク認定や晒しは控えた方が良いだろう。


人間は誰しも何かのオタクである。
相手を全否定していては何も始まらない。
相互理解の努力を怠らないでほしい。


例)〇〇研究の第一人者→〇〇オタク
野球ファン→野球オタク


参考資料からの抜粋

宮台──死刑判決が出た宮崎勤被告と神戸の小学生殺人事件の酒鬼薔薇聖斗が比較され論じられているけど、こういう猟奇的事件が起こると、反射的にオタク・カルチャーが問題視される。
中森──今回も「犯人はオタクですか」「マスコミの影響は」とコメントを求められました。でも、今の日本の40代以下でマスコミの影響を受けていない人も、サブカルチャーの影響を受けていない人もいないんじゃないか。
「オタク」は多様に変化してきた言葉ですが、今やマスコミに過剰に影響を受けている人をオタクとすると“1億総オタク”ですよ。

出典:宮台真司・中森明夫「オタクの現在」、宮台真司ほか『新世紀のリアル』(飛鳥新社、1997年)に収録されている


差別的命名をした中森氏も現在ではオタク擁護派だーと説明すると、出版不況のせいで持論を引っ込めただけだーなどと反論されるが、これは時系列を無視した意見なので信用してはいけない。
そもそも中森明夫氏がオタクバッシングしていたのは1983~85年までのわずか二年間だけであり、1989年には宮崎勤君を擁護して、1994年には宅八郎氏を擁護している。


参考資料からの抜粋

中森 それで言うと、まさにカウチポテトというのがそうですよ。インドアでビデオ見てすごすという。
宮崎氏はカウチポテト族です。
だけど、今回の報道でも「おたく族の犯罪」とか「1・5の世代」とか言われるけど、「カウチポテト族殺人」と呼ばれないのが不思議でしょうがない。それは、カウチポテトが肯定的に語られてたからでしょう。

出典:大塚英志+中森明夫ほか『Mの世代:ぼくらとミヤザキ君』太田出版、1989年


参考資料からの抜粋

宅氏の出発点が89年夏の連続幼女誘拐殺人事件に関するM被告の逮捕と、その後のマス・ヒステリーとも思える国家的なおたくバッシングにあったことは、彼の著書『イカす!おたく天国』(太田出版)にも明らかです。

出典:中森明夫「支援声明文」、宅八郎『処刑宣告』(太田出版、1995年)に収録されている


参考資料からの抜粋

相当に強引な論旨だ。でも、私は胸を撃たれた。
宮崎勤は、私より二歳下だ。私が中退した高校の後輩だった。そうして、彼の部屋の床に散乱した雑誌の中に、私が連載しているアイドル雑誌があったのだ。
はっとした。胸が痛んだ。
小塚英士と私とは、同じ痛みを共有している、と思った。

出典:中森明夫『青い秋』光文社、2019年



なお修正はオタクのみが行えます。


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*1 なぜかジャニーズなどの男性アイドルファンはオタク扱いされにくい傾向がある。
*2 ただし、『geek』『nerd』はニュアンスが若干異なる。
*3 ただし、それをしつこくアピールするとイキリオタク扱いされて、それはそれで問題視される。
*4 喧嘩が強い、異性にモテる等……。

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